JP2002349636A - 伝動ベルト - Google Patents

伝動ベルト

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JP2002349636A
JP2002349636A JP2001278924A JP2001278924A JP2002349636A JP 2002349636 A JP2002349636 A JP 2002349636A JP 2001278924 A JP2001278924 A JP 2001278924A JP 2001278924 A JP2001278924 A JP 2001278924A JP 2002349636 A JP2002349636 A JP 2002349636A
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transmission belt
adhesive
cord
core wire
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JP2001278924A
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English (en)
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Tomofumi Okamoto
智文 岡本
Gakushiyu Okazawa
学秀 岡沢
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行時における摩耗粉の発生を抑制し、経時
的な寸法安定性、屈曲性に優れた伝動ベルトを提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 ベルト長手方向に沿って複数の歯部2
と、そしてベルト本体のベルトピッチライン上に補強用
心体である心線3をスパイラル状に埋設した背部4より
構成された歯付ベルト1のような伝動ベルトにあって、
ベルト本体をウレタン樹脂組成物で構成すると共に、上
記心線3として、ポリアリレート繊維フィラメントから
なる撚コードを使用する。また、撚りコードにはケバ性
を改善すべく接着処理を施すことが可能である。更に、
接着処理剤の固形分付着率が1〜20質量%となるよう
調節すると高い屈曲性が維持できる。接着処理剤として
はイソシアネート化合物を含有するものが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリンター等のOA
機器、その他一般産業用に用いられる伝動ベルトに係
り、詳しくは粉塵の飛散が無く、経時的な寸法安定性及
び高い屈曲性を要求される精密機器に用いる伝動ベルト
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、精密機器の高機能、高性能化に伴
って、厳しい使用環境にも耐えうる伝動ベルトが望まれ
ている。伝動ベルトの特性は、本体を構成するエラスト
マー組成物及び前記組成物と複合化する繊維基材により
定まり、前記材料の選定は設計上重要な位置を占める。
【0003】一般に歯付ベルト、Vベルト、Vリブドベ
ルトといった伝動ベルトは、ゴム組成物で構成された本
体に補強用心体として繊維コードが埋設されており、ゴ
ム層表面には必要に応じて帆布が積層されている。なか
でも精密OA機器など高度なベルト寸法安定性が要求さ
れる歯付ベルトには、繊維コードとしてポリエステル、
ガラス、アラミド繊維といった高モジュラス繊維で構成
された撚りコードが利用されている。
【0004】これら歯付ベルトの使用レイアウトとして
は、ベルトを駆動軸、従動軸に掛架するとともに、張力
を一定保持すべくテンショナーを設けることが一般にな
されてきた。ところが近年では装置のコンパクト化に伴
う設置スペースの減少化、コストダウンによる部品の減
数化の要求からテンショナーを設置できず、軸間固定に
よるレイアウトで使用されるケースが多くなっているこ
とから、経時寸法変化の少ないベルトが求められてい
る。また、省電力、省コストの観点から、より容量の小
さなモータで伝動できるベルト、つまり屈曲性が高く、
動力伝達能力に優れたベルトの要求もある。
【0005】しかし従来のベルトを検討してみると、ポ
リエステル繊維コードを用いた伝動ベルトは、耐屈曲疲
労性が非常に良好であるものの、寸法安定性に乏しく、
高い位置決め精度が得られないといった問題がある。ま
た、ガラス繊維コードを用いた伝動ベルトは、寸法安定
性及び経時寸法安定性に優れているが、ベルト本体を構
成するエラストマー部との接着性及び耐屈曲疲労性が悪
く、伝動ベルトに要求される性能としては不十分であ
る。一方、アラミド繊維コードはガラス繊維コードと比
較してベルト本体を構成するエラストマー部との接着性
が良好で、これを用いた伝動ベルトは強度が高く、屈曲
疲労性に優れるといった特性を有するが、吸湿による経
時的な寸法変化が大きいという問題があり、何れの繊維
コードも未だ充分満足される状態に至っていないのが現
状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に鑑みて、本
発明者らが様々な繊維コードを試験した結果、ポリアリ
レート繊維がアラミド繊維と同等のモジュラス・強度を
有し、耐屈曲疲労性、寸法安定性、屈曲性が良好である
と共に、吸湿が少なく経時寸法安定性に優れることを知
見した。
【0007】しかし、上記繊維コードはゴムに対する接
着力が低く、ゴムと複合化させるには、何らかの接着処
理を施す必要がある。その上、ゴムベルトは走行時にゴ
ム摩耗粉が発生するといった問題があり、精密機器等の
粉塵を忌み嫌う環境下での使用には不適当である。
【0008】以上の如き問題から、上記問題を解決すべ
く鋭意研究を重ねた結果、本発明を提案するものであ
り、その目的とするところは、走行時に粉塵の飛散が無
く、高い寸法安定性を有する伝動ベルトの提供にある。
詳しくは、ベルト本体をウレタン樹脂組成物で構成する
ことで、走行時に摩耗粉が発生せず、更に繊維コードと
してポリアリレート繊維コードを選定することで、高強
度・高モジュラスであるとともに、経時的な寸法安定
性、屈曲性に優れ、特に高精密機器の動力伝動に用いる
歯付ベルトとして有効であることを見出したるものであ
る。
【0009】また、本発明は、接着処理を施すことなく
エラストマー組成物−繊維コード複合体の接着性が良好
な伝動ベルトの提供することを目的とする。接着方法と
しては例えば特開平6−57568号公報に、剛直性繊
維を素材としたフィラメント群に、エポキシ樹脂又はイ
ソシアネート樹脂等を主成分とする前処理液を含浸若し
くは含浸後熱処理してコード素材となし、更にRFL液
で後処理することが開示されている。元来、アリレート
繊維はゴムとの接着性が悪く、複合化の際には接着処理
を必須としたが、本発明では、ベルト本体をウレタンで
構成することで、接着処理しなくとも本体と繊維コード
との接着性が良好であるといった利点を有する。また、
ポリアリレート繊維に接着処理を施すとコードが硬くな
り、屈曲性が低下することから、高度な屈曲性を求めら
れる場合には接着未処理のポリアリレート心線を用いた
ベルトを適用することが好適な場合もある。その上、接
着処理を施すとコスト高になると共に大量に溶剤を用い
ることから環境への負荷が大きく、環境保護の観点から
は接着処理を行なわないことが望ましい。
【0010】更に、本発明者らはポリアリレート繊維コ
ードのケバ立ちを防止したポリアリレート繊維コードを
提供する。具体的には、接着未処理のポリアリレート繊
維コードを用いた伝動ベルトは、高温、高負荷条件下で
長時間走行させた際に、フィラメント同士が擦れあって
ケバ立ちが発生し、ベルトの強力維持率が低下するとと
もに屈曲疲労を促進するといった問題がある。また、ベ
ルトカット面においては、ケバ立ちからコードほつれに
至り、更には繊維コードがポップアウトして、このポッ
プアウトした繊維コードがプーリに絡まってベルトが破
損するという問題もある。前記問題に鑑みて研究を重ね
た結果、本発明者はポリアリレート繊維コードに接着処
理剤を含浸させることで、ケバ立ちを防止することがで
きることを見出した。また、本発明者らは、接着処理剤
の固形分付着率を適切な値に設定することで、ポリアリ
レート繊維コードの良好な屈曲性を損なうことなく、ケ
バ立ちを防止することができることをも見出したるもの
である。更に、特定の成分を含有する接着処理剤で処理
することで、ウレタン組成物で構成された本体とポリア
リレート繊維コードとの間により高い接着力が得られる
ことを知見した。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本願請求項1記載
の発明は、ベルト本体と、ベルト長手方向に沿って埋設
された心線からなる伝動ベルトであって、ベルト本体が
ウレタン樹脂組成物で構成されると共に、心線としてポ
リアリレート繊維フィラメントからなる撚りコードを用
いた伝動ベルトにある。繊維コードとしてポリアリレー
ト繊維コードを選定することで、高強度・高モジュラス
であるとともに、経時的な寸法安定性、屈曲性に優れた
伝動ベルトを提供できる。
【0012】また本発明は、以下の2つの特徴を有する
アリレート繊維コードを用いた伝動ベルトを提供する。
本願請求項2記載の発明は、請求項1記載の伝動ベルト
にあって、撚りコードは接着処理剤が含浸されていない
伝動ベルトにある。ポリアリレート繊維コードとウレタ
ン樹脂は接着力が良好であるため、接着処理を施すこと
なく複合化が可能であり、接着処理のコストが削減でき
ると共に接着処理液による環境への負荷が発生しないと
いった利点がある。
【0013】本願請求項3記載の発明は、請求項1記載
の伝動ベルトにあって、撚りコードは、接着処理剤が含
浸されてなる伝動ベルトにある。撚りコードに接着剤を
含浸させることで、ケバ立ちの発生を抑制することがで
きる。また、繊維コードとベルト本体がより強固に接着
するといった利点もある。
【0014】本願請求項4記載の発明は、請求項3記載
の伝動ベルトにあって、撚りコードは、接着処理剤の固
形分付着率が1〜20質量%である伝動ベルトにある。
接着剤の固形分付着率を前記範囲に設定したベルトは、
ポリアリレート繊維の良好な屈曲性を維持しつつ、ケバ
立ちの発生を抑制することができる。
【0015】本願請求項5記載の発明は、請求項3また
は4記載の伝動ベルトにあって、接着処理剤が、イソシ
アネート化合物を含有する伝動ベルトにある。ベルト本
体がウレタン組成物で構成されているので、接着処理剤
にイソシアネート化合物を含有する接着処理剤を用いる
と、ベルト本体との接着力を高める上で好適である。
【0016】本願請求項6記載の発明は、請求項1〜5
のいずれかに記載の伝動ベルトにあって、伝動ベルト
が、長さ方向に沿って所定間隔で配置した複数の歯部
と、心線を埋設した背部とを有し、上記歯部の表面に基
布を被覆した歯付ベルトである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を添付図面
に従って説明する。図1に本発明に係る歯付ベルト1を
示す。歯付ベルト1はベルト長手方向に沿って複数の歯
部2と、該ベルト本体のベルトピッチライン上に補強用
心体である心線3をスパイラル状に埋設した背部4から
なるベルト本体からなり、必要に応じて上記歯部2の表
面には基布が貼着される。
【0018】ここで、ベルト本体を構成するポリウレタ
ン組成物は液状のウレタン原料を注型、加熱することに
よって得られるが、一般に成形方法としては、ポリオー
ル、触媒、鎖延長剤、顔料等を混合したプレミックス液
と、イソシアネート成分を含有する溶液とを混合し、こ
れを注型して硬化反応させるワンショット法と、予めイ
ソシアネートとポリオールを反応させて、イソシアネー
トの一部をポリオールで変性したプレポリマーと硬化剤
を混合して注型し、架橋反応させるプレポリマー法があ
るが、本発明ではプレポリマー法が好ましく用いられ
る。
【0019】イソシアネートとしては限定されるもので
はないが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソ
シアネート、脂環式ポリイソシアネート、またそれらの
変性体が使用可能である。具体的には、トルエンジイソ
シアネート(TDI)、メチレンジイソシアネート(M
DI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフ
タレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジ
イソシアネート(HDI)そしてイソホロンジイソシア
ネート(IPDI)などが例示できるが、中でもTDI
及びMDIが好ましく用いられる。
【0020】ポリオールとしては、エステル系ポリオー
ル、エーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリ
ブタジエンポリオール、及びこれらの混合ポリオール等
が挙げられる。エーテル系ポリオールとしては、ポリエ
チレンエーテルグリコール(PEG)、ポリプロピレン
エーテルグリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール(PTMG)などがあり、またエステ
ル系ポリオールとしては、ポリエチレンアジペート(P
EA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキ
サメチレンアジペート(PHA)、ポリ−ε−カプロラ
クトン(PCL)などが例示できる。
【0021】硬化剤としては、1級アミン、2級アミ
ン、3級アミンであるアミン化合物が用いられ、具体的
には1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノト
ルエン、1,5−ナフタレンジアミン、4,4´−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3´−ジクロロ−4,4´
−ジアミノジフェニルメタン(以下MOCAと記す)、
3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメ
タン、1−メチル−3,5−ビス(メチルチオ)−2,
6−ジアミノベンゼン、1−メチル3,5´−ジエチル
−2,6−ジアミノベンゼン、4−4´−メチレン−ビ
ス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,
4´−メチレン−ビス−(オルト−クロロアニリン)、
4,4´−メチレン−ビス―(2,3−ジクロロアニリ
ン)、トリメチレングリコールジ−パラ−アミノベンゾ
エート、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−ジエチ
ルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−
ジイソプロピルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス
−(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)、4,4
´−ジアミノジフェニルスルホンなどが利用できる。
【0022】上記各成分以外の他に、可塑剤、顔料、消
泡剤、充填材、触媒、安定剤等の添加剤を配合すること
ができる。可塑剤としては、一般にはフタル酸ジオクチ
ル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン
酸ジオクチル(DOA)、リン酸トリクレジル(TC
P)、塩素系パラフィン、フタル酸ジアルキルなどが利
用できる。
【0023】また触媒としては、酸触媒である有機カル
ボン酸化合物が利用され、具体的にはアゼライン酸、オ
レイン酸、セバシン酸、アジピン酸などの脂肪族カルボ
ン酸、安息香酸、トルイル酸などの芳香族カルボン酸が
用いられる。その他に、トリエチルアミン、N,N−ジ
メチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミンに
代表されるアミン化合物、スタナスオクトエート、ジブ
チルチンジラウレート、ジオクチルチンマーカプチドに
代表される有機金属化合物が適宜用いられる。
【0024】次に、ウレタン原料の準備工程を記す。前
記イソシアネートとポリオールと予め反応させたウレタ
ンプレポリマーに必要に応じて消泡剤、可塑剤を配合し
たA液を調整し、50〜85℃にて保管する。また、硬
化剤を120°C以上の雰囲気温度下にて完全に溶解さ
せたB液を準備する。尚、触媒をウレタン原料に配合す
る場合はB液に予め攪拌混合しておくことが好ましい。
【0025】ベルト成形方法としては従来の製造方法と
同じく、金型に心線をスパイラルに巻きつけた状態で、
上記A液、B液を攪拌混合して金型内に注入し、一定条
件下で加熱して架橋させることによってベルトスリーブ
を作製し、その後所定幅にカットすることによってベル
トを製造することができる。
【0026】心線3は、ポリアリレート繊維フィラメン
ト群を撚り合わせた撚糸コードであり、1〜3デニール
のモノフィラメントを100〜1,000本収束したト
ータル100〜3,000デニールの無撚りの原糸を1
〜5本寄せ集め、これを撚り数4〜50回/10cmで
上撚りして得たものである。無論、上撚りの前に下撚り
を施してもよい。トータルデニールが100未満の場合
には、心線のモジュラス、強力が低くなり過ぎ、また
3,000を越えると、ベルトの厚みが増し、屈曲疲労
性が悪くなる。
【0027】心線3は接着処理を施さなくとも良い。ポ
リアリレート繊維は、フタル酸またはイソフタル酸とビ
スフェノールを縮合した全芳香族ポリエステル繊維であ
って、例えばポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾー
ル等のヘテロ環剛直性高分子繊維、そしてメタ系アラミ
ド、パラ系アラミド等の全芳香族ポリエステル繊維とい
った剛直性繊維群に分類されるものである。一般に剛直
性繊維はゴムとの接着力が低いとされているが、本発明
ではベルト本体をウレタン組成物で構成することで、ポ
リアリレート繊維コードに接着処理を施すことなくベル
ト本体と心線との複合化が可能である。
【0028】尚、心線3のケバ立ちを防止するには、心
線3に接着処理を施すことが望ましい。この際、ポリア
リレート繊維コードへの接着剤の固形分付着率が1〜2
0質量%となるよう構成するとポリアリレートの良好な
屈曲性を維持しつつ、ケバ立ちを防止できる効果があ
る。固形分付着率が1質量%未満の場合は、接着剤によ
るケバ立ち防止効果が低く、一方、固形分付着率が20
質量%を超えると、ポリアリレート繊維の高い屈曲性が
損なわれると共に、心線径が太くなり小型歯付ベルトを
作製するのが困難となる、といった問題がある。
【0029】接着処理剤としては、シランカップリング
剤、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ポリウレ
タン樹脂、アクリル樹脂、RFL溶液、そしてゴム糊等
からなる接着剤を1段階もしくは多段階処理する手法が
ある。具体的に例示すると、RFL溶液で処理する方
法、エポキシまたはイソシアネート化合物で前処理した
後にRFL溶液で処理する方法、エポキシまたはイソシ
アネート化合物を配合したRFL溶液で処理する方法、
更にこれらの処理に加えて、ゴム糊でオーバーコートす
る方法などが挙げられる。尚、本発明においては、ベル
ト本体がウレタン組成物で構成されていることから、イ
ソシアネート化合物を含有する接着剤で処理すると高い
接着効果が期待できる。この効果は1段階処理しただけ
でも効果が研著である。
【0030】前記処理もしくは未処理コードは、スピニ
ングピッチ、即ち心線の巻き付けピッチを0.3〜1.
3mmにすることで、モジュラスの高いベルトに仕上げ
ることができる。0.3mm未満になると、コードが隣
接するコードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.
3mmを越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くな
る。
【0031】さらに、背部4の表面や、ベルト歯部2か
らベルト溝部にかけての表面には、基布を積層するよう
にしても良い。基布は、織物、編物、不織布等から選択
される繊維基材であって、基布を構成する繊維素材とし
ては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等
の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そ
してポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウ
レタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアク
リル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、
全芳香族ポリアミド等の有機繊維が挙げられる。また織
物の場合、その織りを限定するものではなく、平織、綾
織、朱子織等に製織した基布を用いることが可能であ
る。
【0032】基布は無処理のまま用いても良いが、公知
技術に従ってディップ処理及びコート処理を施すことも
可能である。ウレタン及びイソシアネートをトルエン、
メチルエチルケトン等の溶剤に溶解させた処理液(ディ
ップ液)に繊維基材を浸漬させ、コート液を一定の厚み
でラミネートして繊維基材に接着処理を施す。コート液
はディップ液とほぼ等しい組成を有する処理液だが、デ
ィップ液と比べてウレタンの割合が多く、粘度が高い。
【0033】尚、上記歯付ベルトは本発明の実施の一形
態であって、これに限定されるものではない。例えば、
Vベルト、Vリブドベルト等の伝動ベルトも、本発明の
技術範囲に含まれるものである。
【0034】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1 心線として、ポリアリレート繊維フィラメント(クラレ
社製 ベクトランHT440T/1)を未処理状態のま
まで撚りを与えて、トータル440デニール、撚り数4
0回/10cmの撚りコードを作製した。
【0035】実施例2,3 心線として、ポリアリレート繊維フィラメント(クラレ
社製 ベクトランHT440T/1)を未処理状態のま
まで撚りを与えて、トータル440デニール、撚り数4
0回/10cmの撚りコードとした後、イソシアネート
樹脂を主成分とした接着剤を用いて、接着剤の固形分付
着率が表1となるよう接着処理を施した。
【0036】比較例1 心線として、アラミド繊維フィラメント(帝人社製 テ
クノーラT400−1)をエポキシ樹脂を主成分とした
処理液にて接着処理した後、撚りを与えてトータル40
0デニール、撚り数40回/10cmの撚りコードを作
製した。
【0037】比較例2 心線として、溶融紡糸されシランカップリング剤で表面
処理された素線径約9μmの無アルカリガラス繊維フィ
ラメント約200本を束ねてストランドとし、3本のス
トランドを引き揃え、未処理状態のままで撚りを与え
て、撚り数16回/10cmの撚りコードを作製した。
【0038】比較例3 心線として、溶融紡糸されシランカップリング剤で表面
処理された素線径約9μmの無アルカリガラス繊維フィ
ラメント約200本を束ねてストランドとし、3本のス
トランドを引き揃えてエポキシ樹脂を含有する前処理液
で処理した後、RFL液で後処理した。その後、撚りを
与えて、撚り数16回/10cmの撚りコードを作製し
た。
【0039】次に上記心線を用いて、ベルト幅2.5m
m、ベルト歯形KZ53歯形、歯数548、歯ピッチ
1.355mm、ベルト長さ742.54mmの歯付ベ
ルトを作製した。尚、ベルト本体を形成するポリウレタ
ン組成物としては、NCO含有率4.1%のウレタンプ
レポリマー100質量部、アミン系硬化剤(MOCA)
12.5質量部、可塑剤(DOP)20質量部、触媒
(アゼライン酸)0.2質量部を配合した配合Aのポリ
ウレタン組成物、また、NCO含有率2.9%のウレタ
ンプレポリマー100質量部、アミン系硬化剤(MOC
A)8.8質量部、可塑剤(DOP)15質量部、触媒
(アゼライン酸)0.2質量部を配合した配合Bのポリ
ウレタン組成物、の2種の配合を用いた歯付ベルトを作
製した。
【0040】1.引張り強度測定 上記ベルトから、長さ100mm、幅2.5mmの試料
片を作製し、この試料片を長手方向に引張り速度50m
m/minで引張り試験して、心線が切断した時の強度
を測定した。そしてその強度を試料片に含まれる心線本
数で割った値を引張り強度とした。結果を表1に示す。
【0041】2.心線引き抜き試験 夫々の歯付ベルトについて、心線とベルト本体とのあい
だの接着力を心線引き抜き試験で測定した。心線引き抜
き試験の条件は、ベルトに埋設されている心線2本分×
3歯長さを心線方向に沿って50mm/minで引き抜
く際に要する力である。測定結果を表1に併記する。
【0042】
【表1】
【0043】3.ベルト伸び率 配合Aを用いた各々の歯付ベルトを2個の歯付プーリ
(歯数40)に掛架し、引張り速度1mm/minの条
件の下で0〜50Nの荷重を与えてプーリの軸間距離を
測定した。荷重と軸間距離伸び率の関係を図2に示す。
【0044】4.ベルト寸法安定性 湿潤下におけるベルト寸法安定性の評価として、配合A
を用いた夫々の歯付ベルトを室温40℃、湿度90%の
環境下で保管し、経過日数とベルトの寸法変化率を測定
した。寸法変化率の測定としては、2個の歯付プーリ
(歯数40)に前記ベルトを掛架し、荷重12Nを与え
てプーリの軸間距離を測定した。日数と軸間距離変化率
の関係を図3に示す。
【0045】5.起動トルク測定 ベルト動力伝達性能の評価として、配合Bを用いた各歯
付ベルトをφ12の駆動プーリ(23歯)、そしてφ1
5の従動プーリ(40歯)を備えた走行試験機にベルト
を掛架し、従動プーリに図4に示す所定の軸荷重を与え
てベルトに張力を付与する。その後、前記駆動プーリに
糸を巻き掛け、糸の先端に装着したロードセルを引っ張
る。この時、従動プーリが回転を始める時のトルク値
(起動トルク)を測定した。ベルトの屈曲性が高いと起
動トルクは低くなる傾向にあり、つまりは、起動トルク
が低いベルトは起動時の動力伝達性能に優れるというこ
とが分かる。起動トルクと軸荷重の関係を図4に示す。
尚、実施例4としては接着剤の固形分付着率が18.2
%となるよう接着処理を施した撚りコードを、そして実
施例5として接着剤の固形分付着量が28.6%となる
よう接着処理を施した撚りコードを用いた以外は実施例
2,3と同様の手順で作製した歯付ベルトを評価してい
る。
【0046】表1の結果より、接着未処理のポリアリレ
ート繊維コードを用いた実施例1の歯付ベルトは、接着
処理を施したパラ系アラミド繊維を用いた比較例1の歯
付ベルトと同等のモジュラスを有し、ベルト本体との接
着性も良好で、複合体として充分な機能を有するが、接
着未処理のガラス繊維コードを用いた比較例2は本体と
心線との接着力が極端に低く、複合体として充分に機能
できないことが判明した。また、接着処理を施した各繊
維コードの物性値を比較すると、モジュラスは実施例、
比較例の各物性値に大きな差異はないものの、イソシア
ネート化合物を含有する接着剤で処理した実施例2,3
は接着性に特に優れることが判った。よって、ポリアリ
レート繊維コード−ウレタン複合体は他の繊維コード−
ウレタン複合体と比較して、同等のモジュラスを有し、
しかも接着未処理であってもコード−本体間の接着力が
高く、更にイソシアネート化合物を含有する接着剤で処
理すると非常に高い接着効果が得られるといった特性を
有することが知見できる。
【0047】また、図4より、ポリアリレート繊維コー
ドを用いた実施例1〜3はガラス繊維コードを用いた比
較例2に比べて起動トルクが低い、つまり屈曲性が高
く、しなやかであるために伝達性能に優れるということ
も判った。更に、接着未処理コードを用いた実施例1及
び固形分付着率が適正値の実施例2,3,4では非常に
優れた伝達性能を示すものの、固形分付着率が適正値を
超えている実施例5では屈曲性が低下し、伝達性能が低
下しているのが判る。一方、ベルト寸法安定性について
は、パラ系アラミド繊維コードを用いた比較例1の歯付
ベルトは経時的に収縮して寸法変化するが、実施例1及
び比較例2の歯付ベルトは湿潤下でも良好な寸法安定性
を呈することが知見できる。
【0048】6.ベルト摩耗粉発生評価 次に、ポリアリレート繊維フィラメント(クラレ社製
ベクトランHT440T/1)をRFL液にて接着処理
した後、トータル440デニール、上撚り40回/10
cmの撚りコードを作製した。この繊維コードを心線と
してベルト本体をクロロプレンゴム組成物で構成した歯
付ベルトを作製した。この歯付ベルトを各々歯数40の
駆動プーリ、従動プーリに装着して走行試験し、摩耗粉
の発生状況を観測した。尚、雰囲気温度は室温である。
また実施例1で作製した歯付ベルトを同条件下で走行試
験した。結果、ゴム製歯付ベルトは摩耗粉が発生した
が、ポリウレタン製歯付ベルトには摩耗粉の発生がみら
れなかった。
【0049】7.心線ケバ性評価 ポリアリレート繊維フィラメント(クラレ社製 ベクト
ランHT440T/1)を未処理状態のままで撚りを与
えて、トータル440デニール、撚り数40回/10c
mの撚りコードとした後、イソシアネート樹脂を主成分
とする接着処理剤を用いて、接着処理剤の固形分付着率
が表2となるよう接着処理を施した撚りコードを準備
し、前記心線を用いて歯付ベルトを作製した。ベルト本
体を形成するポリウレタン組成物としては上記配合Bを
用い、ベルト幅2.5mm、ベルト歯形KZ53歯形、
歯数548、歯ピッチ1.355mm、ベルト長さ74
2.54mmの歯付ベルトを作製した。
【0050】心線ケバ性評価として、上記歯付ベルトを
夫々100本ずつ準備し、ベルトのカット面を目視で観
察して各歯付ベルトの心線ケバ性を評価した。尚、ケバ
性の評価は以下の4段階で評価した。結果を表2に記
す。 4:ケバ立ちが見られない 3:少しケバ立ちが見られる 2:ややケバ立ちが目立つ 1:ケバ立ちが目立つ 尚、本発明においては評価3以上を製品合格レベルとみ
なす。
【0051】
【表2】
【0052】表2より、接着未処理コードを用いた実施
例1では心線ケバ立ちが散見され、不合格とみなされる
歯付ベルトが1/5発生するものの、実施例2,3と固
形分付着率が増加するにつれ、心線のケバ性が改善され
ることが知見できる。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明はベルト本体をウ
レタン組成物で構成し、ポリアリレート繊維フィラメン
トからなる撚コードを心線として用いた伝動ベルト用で
あって、本体と心線が良接着して複合化するとともに、
走行時における摩耗粉の発生を抑制し、優れた寸法安定
性、屈曲性が得られる効果がある。また本発明に係る伝
動ベルトは、クリーンな環境、且つ、高い寸法安定性が
要求されるOA精密機器等の歯付ベルトとして用いる
と、その特性を充分に発揮できる。更に、心線に接着処
理を行うことでケバ性を改善し、しかも、固形分付着率
を適正値に調節することでポリアリレート繊維の高い屈
曲性を維持しつつ、ケバ立ちを防止できる。更に、接着
剤としてイソシアネート化合物を含有する接着剤を選定
すると、接着効果を高める上で効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯付ベルトの断面斜視図である。
【図2】実施例と従来の歯付ベルトについて、荷重と軸
間距離伸び率との関係を示すグラフである。
【図3】実施例と従来の歯付ベルトについて、湿潤下に
おける保管日数と軸間距離変化率の関係を示すグラフで
ある。
【図4】実施例と従来の歯付ベルトについて、軸荷重と
起動トルクの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 歯付ベルト 2 歯部 3 心線 4 背部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト本体と、ベルト長手方向に沿って
    埋設された心線からなる伝動ベルトであって、ベルト本
    体がウレタン樹脂組成物で構成されると共に、心線とし
    てポリアリレート繊維フィラメントからなる撚りコード
    を用いたことを特徴とする伝動ベルト。
  2. 【請求項2】 撚りコードは、接着処理剤が含浸されて
    いない請求項1記載の伝動ベルト。
  3. 【請求項3】 撚りコードは、接着処理剤が含浸されて
    なる請求項1記載の伝動ベルト。
  4. 【請求項4】 撚りコードは、接着処理剤の固形分付着
    率が1〜20質量%である請求項3記載の伝動ベルト。
  5. 【請求項5】 接着処理剤が、イソシアネート化合物を
    含有する請求項3または4に記載の伝動ベルト。
  6. 【請求項6】 伝動ベルトが、長さ方向に沿って所定間
    隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背部とを有
    する歯付ベルトである請求項1〜5のいずれかに記載の
    伝動ベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177802A (ja) * 2005-12-26 2007-07-12 Fuji Xerox Co Ltd 半導電性ゴムベルト及びその製造方法、並びに画像形成装置
KR20160140682A (ko) 2014-03-31 2016-12-07 미쓰보 시베루토 가부시키 가이샤 톱니 벨트

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EP3792521A1 (en) 2014-03-31 2021-03-17 Mitsuboshi Belting Ltd. Toothed belt

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