JP2003294086A - 伝動ベルト - Google Patents

伝動ベルト

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JP2003294086A
JP2003294086A JP2002096303A JP2002096303A JP2003294086A JP 2003294086 A JP2003294086 A JP 2003294086A JP 2002096303 A JP2002096303 A JP 2002096303A JP 2002096303 A JP2002096303 A JP 2002096303A JP 2003294086 A JP2003294086 A JP 2003294086A
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transmission belt
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Gakushiyu Okazawa
学秀 岡沢
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法安定性及び屈曲性が高く、動力伝達能力
に優れ、ジャンピングしにくいとともに、省スペース化
の要求に対応可能な伝動ベルトを提供するすることを目
的とする。 【解決手段】 ベルト長手方向に沿って複数の歯部2
と、そしてベルト本体のベルトピッチライン上に補強用
心体である心線3をスパイラル状に埋設した背部4より
構成された歯付ベルト1のような伝動ベルトにあって、
ベルト本体は例えばウレタン組成物などのエラストマー
で構成されている。上記心線3は、ポリアリレート繊維
フィラメントで構成された総繊度が100〜250dt
exの撚りコードであって、ベルトモジュラスが50〜
100N/mmとなるよう構成されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリンター等のOA
機器、その他一般産業用に用いられる伝動ベルトに係
り、詳しくは、経時的な寸法安定性及び高い屈曲性を要
求される精密機器に好適な伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、精密機器の高機能、高性能化に伴
って、厳しい使用環境にも耐えうる伝動ベルトが望まれ
ている。
【0003】一般に歯付ベルト、Vベルト、Vリブドベ
ルトといった伝動ベルトは、エラストマー組成物で構成
された本体に補強用心体として繊維コードが埋設されて
おり、エラストマー層表面には必要に応じて帆布が積層
されている。なかでも精密OA機器など高度なベルト寸
法安定性が要求される歯付ベルトには、繊維コードとし
てポリエステル、ガラス繊維といった高モジュラス繊維
で構成された撚りコードが利用されている。
【0004】これら歯付ベルトの使用レイアウトとして
は、ベルトを駆動軸、従動軸に掛架するとともに、張力
を一定保持すべくテンショナーを設けることが一般にな
されてきた。ところが近年では装置のコンパクト化に伴
う設置スペースの減少化、コストダウンによる部品の減
数化の要求からテンショナーを設置できず、軸間固定に
よるレイアウトで使用されるケースが多くなっており、
寸法変化及び経時寸法変化の少ないベルトが求められて
いる。また、省電力、省コストの観点から、より容量の
小さなモータで伝動できること、つまり屈曲性(しなや
かさ)が高く、動力伝達能力に優れることが要求されて
いる。更に、装置のコンパクト化に伴ってベルトの細幅
化、薄厚化の要求もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来のベルトを
検討してみると、ポリエステル繊維コードを用いた伝動
ベルトは、屈曲性が非常に良好であるものの、モジュラ
スが低く、ジャンピングし易いという欠点があった。耐
ジャンピング性を高めるためにはベルトモジュラスを高
くする必要があるが、コードの繊度を汎用値より高く設
定すると、屈曲性が低下すると共に背厚が高くなるとい
った問題がある。また幅広にベルトを設計して本体中に
埋設させる心線本数を増加させると、エンジンルームの
省スペース化に逆行するといった弊害が生じる。
【0006】一方、ガラス繊維コードを用いた伝動ベル
トは、高負荷条件下でもジャンピングし難く、寸法安定
性及び経時寸法安定性に優れているが、ベルト本体を構
成するエラストマー部との接着性及び耐屈曲性が悪く、
伝動ベルトに要求される性能としては不十分であり、何
れの繊維コードも未だ充分満足される状態に至っていな
いのが現状である。
【0007】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、寸法安定性及び屈曲性が高く、動力伝達能力に
優れるとともに、省スペース化の要求に対応可能な伝動
ベルト、並びにジャンピングしにくい歯付ベルトを提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本願請求項1記載
の発明は、エラストマー組成物で構成されたベルト本体
と、ベルト長手方向に沿って埋設された心線からなる伝
動ベルトであって、心線は、ポリアリレート繊維フィラ
メントで構成された総繊度が100〜250dtexの
撚りコードであって、ベルトモジュラスが50〜100
N/mmとなるよう構成した伝動ベルトにある。上記構
成を有する伝動ベルトは、寸法安定性、屈曲性が高く、
動力伝達性能に優れると共に、伝動ベルトをコンパクト
化することが可能である
【0009】本願請求項2記載の発明は、請求項1記載
の伝動ベルトにあって、伝動ベルトが、長さ方向に沿っ
て所定間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背
部とを有し、上記歯部の表面に基布を被覆した歯付ベル
トである。本発明は歯付ベルトに有効であって、走行時
にジャンピングし難いといった効果が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を添付図面
に従って説明する。図1に本発明に係る歯付ベルト1を
示す。歯付ベルト1はベルト長手方向に沿って複数の歯
部2と、該ベルト本体のベルトピッチライン上に補強用
心体である心線3をスパイラル状に埋設した背部4から
なるベルト本体からなり、必要に応じて上記歯部2の表
面には基布が貼着される。
【0011】ここで、ベルト本体を構成するエラストマ
ー組成物としてはポリウレタン組成物がある。ポリウレ
タン組成物は液状のウレタン原料を注型、加熱すること
によって得られるが、一般に成形方法としては、ポリオ
ール、触媒、鎖延長剤、顔料等を混合したプレミックス
液と、イソシアネート成分を含有する溶液とを混合し、
これを注型して硬化反応させるワンショット法と、予め
イソシアネートとポリオールを反応させて、イソシアネ
ートの一部をポリオールで変性したプレポリマーと硬化
剤を混合して注型し、架橋反応させるプレポリマー法が
あるが、本発明ではプレポリマー法が好ましく用いられ
る。
【0012】イソシアネートとしては限定されるもので
はないが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソ
シアネート、脂環式ポリイソシアネート、またそれらの
変性体が使用可能である。具体的には、トルエンジイソ
シアネート(TDI)、メチレンジイソシアネート(M
DI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフ
タレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジ
イソシアネート(HDI)そしてイソホロンジイソシア
ネート(IPDI)などが例示できるが、中でもTDI
及びMDIが好ましく用いられる。
【0013】ポリオールとしては、エステル系ポリオー
ル、エーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリ
ブタジエンポリオール、及びこれらの混合ポリオール等
が挙げられる。エーテル系ポリオールとしては、ポリエ
チレンエーテルグリコール(PEG)、ポリプロピレン
エーテルグリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール(PTMG)などがあり、またエステ
ル系ポリオールとしては、ポリエチレンアジペート(P
EA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキ
サメチレンアジペート(PHA)、ポリ−ε−カプロラ
クトン(PCL)などが例示できる。
【0014】硬化剤としては、1級アミン、2級アミ
ン、3級アミンであるアミン化合物が用いられ、具体的
には1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノト
ルエン、1,5−ナフタレンジアミン、4,4´−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3´−ジクロロ−4,4´
−ジアミノジフェニルメタン(以下MOCAと記す)、
3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメ
タン、1−メチル−3,5−ビス(メチルチオ)−2,
6−ジアミノベンゼン、1−メチル3,5´−ジエチル
−2,6−ジアミノベンゼン、4−4´−メチレン−ビ
ス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,
4´−メチレン−ビス−(オルト−クロロアニリン)、
4,4´−メチレン−ビス―(2,3−ジクロロアニリ
ン)、トリメチレングリコールジ−パラ−アミノベンゾ
エート、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−ジエチ
ルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−
ジイソプロピルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス
−(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)、4,4
´−ジアミノジフェニルスルホンなどが利用できる。
【0015】上記各成分以外の他に、可塑剤、顔料、消
泡剤、充填材、触媒、安定剤等の添加剤を配合すること
ができる。可塑剤としては、一般にはフタル酸ジオクチ
ル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン
酸ジオクチル(DOA)、リン酸トリクレジル(TC
P)、塩素系パラフィン、フタル酸ジアルキルなどが利
用できる。
【0016】また触媒としては、酸触媒である有機カル
ボン酸化合物が利用され、具体的にはアゼライン酸、オ
レイン酸、セバシン酸、アジピン酸などの脂肪族カルボ
ン酸、安息香酸、トルイル酸などの芳香族カルボン酸が
用いられる。その他に、トリエチルアミン、N,N−ジ
メチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミンに
代表されるアミン化合物、スタナスオクトエート、ジブ
チルチンジラウレート、ジオクチルチンマーカプチドに
代表される有機金属化合物が適宜用いられる。
【0017】次に、ウレタン原料の準備工程を記す。前
記イソシアネートとポリオールと予め反応させたウレタ
ンプレポリマーに必要に応じて消泡剤、可塑剤を配合し
たA液を調整し、50〜85℃にて保管する。また、硬
化剤を120°C以上の雰囲気温度下にて完全に溶解さ
せたB液を準備する。尚、触媒をウレタン原料に配合す
る場合はB液に予め攪拌混合しておくことが好ましい。
【0018】ベルト成形方法としては従来の製造方法と
同じく、金型に心線をスパイラルに巻きつけた状態で、
上記A液、B液を攪拌混合して金型内に注入し、一定条
件下で加熱して架橋させることによってベルトスリーブ
を作製し、その後所定幅にカットすることによってベル
トを製造することができる。
【0019】心線3は、ポリアリレート繊維フィラメン
ト群を撚り合わせた撚糸コードである。ポリアリレート
繊維は、フタル酸またはイソフタル酸とビスフェノール
を縮合した全芳香族ポリエステル繊維であって、剛直性
繊維群に分類される。この撚糸コードの構成は、1〜5
dtexのポリアリレート繊維モノフィラメントを20
〜200本収束した総繊度100〜250dtexの無
撚りの原糸に撚り数3〜50回/10cmの撚りを与え
たものである。総繊度が100未満の場合には、心線の
モジュラス、強力が低くなり過ぎ、また総繊度が250
を越えると、ベルトの厚みが増し、屈曲疲労性が悪くな
る。
【0020】心線3には接着処理を施すことが好まし
い。この際、ポリアリレート繊維コードへの接着剤の固
形分付着率が1〜20質量%となるよう構成するとポリ
アリレートの良好な屈曲性を維持しつつ、ケバ立ちを防
止できる効果がある。固形分付着率が1質量%未満の場
合は、接着剤によるケバ立ち防止効果が低く、一方、固
形分付着率が20質量%を超えると、ポリアリレート繊
維の高い屈曲性が損なわれると共に、心線径が太くなり
小型歯付ベルトを作製するのが困難となる、といった問
題がある。
【0021】接着処理剤としては、シランカップリング
剤、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ポリウレ
タン樹脂、アクリル樹脂、RFL溶液、そしてゴム糊等
からなる接着剤を1段階もしくは多段階処理する手法が
ある。具体的に例示すると、RFL溶液で処理する方
法、エポキシまたはイソシアネート化合物で前処理した
後にRFL溶液で処理する方法、エポキシまたはイソシ
アネート化合物を配合したRFL溶液で処理する方法、
更にこれらの処理に加えて、ゴム糊でオーバーコートす
る方法などが挙げられる。尚、ベルト本体がウレタン組
成物で構成されている場合は、イソシアネート化合物を
含有する接着剤で処理すると高い接着効果が期待でき
る。この効果は1段階処理しただけでも効果が研著であ
る。
【0022】前記処理もしくは未処理コードは、スピニ
ングピッチ、即ち心線の巻き付けピッチを0.1〜1.
3mmにすることで、モジュラスの高いベルトに仕上げ
ることができる。0.1mm未満になると、コードが隣
接するコードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.
3mmを越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くな
る。
【0023】さらに、背部4の表面や、ベルト歯部2か
らベルト溝部にかけての表面には、基布を積層するよう
にしても良い。基布は、織物、編物、不織布等から選択
される繊維基材であって、基布を構成する繊維素材とし
ては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等
の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そ
してポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウ
レタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアク
リル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、
全芳香族ポリアミド等の有機繊維が挙げられる。また織
物の場合、その織りを限定するものではなく、平織、綾
織、朱子織等に製織した基布を用いることが可能であ
る。
【0024】基布は無処理のまま用いても良いが、公知
技術に従ってディップ処理及びコート処理を施すことも
可能である。ウレタン及びイソシアネートをトルエン、
メチルエチルケトン等の溶剤に溶解させた処理液(ディ
ップ液)に繊維基材を浸漬させ、コート液を一定の厚み
でラミネートして繊維基材に接着処理を施す。コート液
はディップ液とほぼ等しい組成を有する処理液だが、デ
ィップ液と比べてウレタンの割合が多く、粘度が高い。
【0025】そして、ベルトモジュラスは50〜100
N/mmの範囲になるよう構成されることを必要とす
る。ベルトモジュラスは、エラストマー組成物、撚りコ
ード等の構成により影響を受け、50未満であると実使
用時のベルト張力低下が大きくなると共にジャンピング
し易いといった問題がある。一方、100を超えると、
張力が大きい場合、小容量モータでは回転することが不
可能となることがある。
【0026】尚、上記歯付ベルトは本発明の実施の一形
態であって、これに限定されるものではない。例えば、
Vベルト、Vリブドベルト等の伝動ベルトも、本発明の
技術範囲に含まれるものである。また上記実施例ではベ
ルト本体をウレタン組成物で構成した伝動ベルトを例示
したがこれに限るものではない。
【0027】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1 心線として、ポリアリレート繊維フィラメント(クラレ
社製 ベクトランHT110T/1)を未処理状態のま
まで撚りを与えて、総繊度110dtex、撚り数40
回/10cmの撚りコードとした後、イソシアネート樹
脂を主成分とした接着剤を用いて接着処理を施した。
【0028】実施例2 心線として、ポリアリレート繊維フィラメント(クラレ
社製 ベクトランHT220T/1)を未処理状態のま
まで撚りを与えて、総繊度220dtex、撚り数40
回/10cmの撚りコードとした後、イソシアネート樹
脂を主成分とした接着剤を用いて接着処理を施した。
【0029】比較例1 心線として、ポリアリレート繊維フィラメント(クラレ
社製 ベクトランHT440T/1)を未処理状態のま
まで撚りを与えて、総繊度440dtex、撚り数40
回/10cmの撚りコードとした後、イソシアネート樹
脂を主成分とした接着剤を用いて接着処理を施した。
【0030】比較例2 心線として、溶融紡糸されシランカップリング剤で表面
処理された素線径約9μmの無アルカリガラス繊維フィ
ラメント約200本を束ねてストランドとし、3本のス
トランドを引き揃えてエポキシ樹脂を含有する前処理液
で処理した後、RFL液で後処理した。その後、撚りを
与えて、撚り数16回/10cmの撚りコードを作製し
た。
【0031】比較例3 心線として、ポリエステル繊維フィラメント(帝人社製
テトロンK-303Y)を未処理のまま撚りを与えて、
総繊度168dtex、上撚り55、下撚り95回/1
0cmの撚りコードとした。
【0032】次に上記心線を用いて、ベルト幅2.5m
m、ベルト歯形KZ53歯形、歯数548、歯ピッチ
1.355mm、ベルト長さ742.54mmの歯付ベ
ルトを作製した。尚、ベルト本体を形成するポリウレタ
ン組成物としては、NCO含有率4.1%のウレタンプ
レポリマー100質量部、アミン系硬化剤(MOCA)
12.5質量部、可塑剤(DOP)20質量部、触媒
(アゼライン酸)0.2質量部を配合した配合Aのポリ
ウレタン組成物、また、NCO含有率2.9%のウレタ
ンプレポリマー100質量部、アミン系硬化剤(MOC
A)8.8質量部、可塑剤(DOP)15質量部、触媒
(アゼライン酸)0.2質量部を配合した配合Bのポリ
ウレタン組成物、の2種の配合を用いた歯付ベルトを作
製した。得られたベルトについてベルトモジュラスを測
定した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】1.起動トルク測定 ベルト動力伝達性能の評価として、歯付ベルトをφ12
の駆動プーリ(23歯)、そしてφ15の従動プーリ
(40歯)を備えた走行試験機にベルトを掛架し、従動
プーリに図2に示す所定の軸荷重を与えてベルトに張力
を付与する。その後、前記駆動プーリに糸を巻き掛け、
糸の先端に装着したロードセルを引っ張る。この時、従
動プーリが回転を始める時のトルク値(起動トルク)を
測定した。ベルトの屈曲性(しなやかさ)が高いと起動
トルクは低くなる傾向にあり、つまりは、起動トルクが
低いベルトは起動時の動力伝達性能に優れるということ
が分かる。起動トルクと軸荷重の関係を図2に示す。
【0035】結果、適正値の総繊度を用いたポリアリレ
ート繊維コードを用いた実施例1,2は、ガラス繊維コ
ードを用いた比較例2に比べて起動トルクが低い、つま
り屈曲性が高く、しなやかであるために伝達性能に優れ
るということが判った。この値は、一般に屈曲性に優れ
るといわれるポリエステル繊維コードを用いた比較例3
と同程度であることも知見できる。更に、ポリアリレー
ト繊維で構成された繊維コードであっても総繊度が適正
値を超えている比較例1では屈曲性が低下し、伝達性能
が低下しているのが判る。
【0036】2.ジャンピングトルク試験 歯付ベルトを駆動プーリ(23歯)、従動プーリ(23
歯)に懸架し、駆動プーリにトルクゲージを取り付け、
従動プーリに図3に示す所定の軸荷重を与えて走行させ
て、トルクを増加させていき、ベルトがジャンピングし
た時のトルク(ジャンピングトルク)を測定した。この
ジャンピングトルクと軸荷重の関係を図3に示す。
【0037】結果、モジュラスが適性値外のポリエステ
ル繊維コードを用いた比較例3の歯付ベルトは低トルク
でジャンピングするが、実施例1,2及び比較例1,2
の歯付ベルトは高トルク下でも良好な耐ジャンピング性
を呈することが知見できる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明はエラストマー組
成物で構成されたベルト本体と、ベルト長手方向に沿っ
て埋設された心線からなる伝動ベルトであって、心線
は、ポリアリレート繊維フィラメントで構成された総繊
度が100〜250dtexの撚りコードであって、ベ
ルトモジュラスが50〜100N/mmとなるよう構成
された伝動ベルト用であって、ベルトモジュラス、総繊
度を適正値に調節することでポリアリレート繊維の高い
屈曲性を維持しつつ、高負荷でもジャンピングを防止で
きるといった効果がある。また本発明にかかるベルトは
従来のベルトに比べて、薄厚化、細幅化が可能であるこ
とから、省スペース化の要求にも適したベルトであると
言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯付ベルトの断面斜視図である。
【図2】実施例と従来の歯付ベルトについて、軸荷重と
起動トルクの関係を示すグラフである。
【図3】実施例と従来の歯付ベルトについて、軸荷重と
ジャンピングトルクの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 歯付ベルト 2 歯部 3 心線 4 背部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エラストマー組成物で構成されたベルト
    本体と、ベルト長手方向に沿って埋設された心線からな
    る伝動ベルトであって、心線は、ポリアリレート繊維フ
    ィラメントで構成された総繊度が100〜250dte
    xの撚りコードであって、ベルトモジュラスが50〜1
    00N/mmとなるよう構成されていることを特徴とす
    る伝動ベルト。
  2. 【請求項2】 伝動ベルトが、長さ方向に沿って所定間
    隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背部とを有
    する歯付ベルトである請求項1に記載の伝動ベルト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006009810A (ja) * 2004-05-28 2006-01-12 Mitsuboshi Belting Ltd キャリッジ駆動用ウレタンベルト
JP2011163445A (ja) * 2010-02-09 2011-08-25 Bando Chemical Industries Ltd 歯付ベルト

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