JP2004036654A - ガラス心線及びそれを用いた歯付ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】真円度、異物不良率を改善し、しかも接着性に優れた伝動ベルト用ガラス心線及びそれを用いた歯付ベルトを提供する。
【解決手段】歯付ベルト1はベルト長手方向に沿って複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4からなり、歯部2と背部4は注型ウレタンエラストマーにより成形されてなり、背部に埋設された心線3が、ブロックドイソシアネート水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液とを混合した処理液で接着処理を施されてなるとともに、接着処理後の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成したガラス心線である。
【選択図】 図1
【解決手段】歯付ベルト1はベルト長手方向に沿って複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4からなり、歯部2と背部4は注型ウレタンエラストマーにより成形されてなり、背部に埋設された心線3が、ブロックドイソシアネート水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液とを混合した処理液で接着処理を施されてなるとともに、接着処理後の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成したガラス心線である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は伝動ベルト用ガラス心線及びそれを用いた歯付ベルトに係り、詳しくは真円度、異物不良率を改善し、しかも接着性に優れた伝動ベルト用ガラス心線及びそれを用いた歯付ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
精密OA機器など高度なベルト寸法安定性が要求される歯付ベルトにおいて、心線として高モジュラス繊維を用いた撚りコードが利用されている。なかでもガラス繊維コードを用いた歯付ベルトは、寸法安定性及び経時寸法安定性に優れており、軸間固定によるレイアウトにおいて好適に用いられている。しかし、ガラスは無機繊維であることから、ベルト本体を構成するエラストマー部との接着性に劣ることが指摘されている。また歯布を使用しない構成の歯付ベルトにおいては、内金型に歯布をセットせずに心線を直接スピニングするため、金型によりガラス心線に傷が生じやすいといった問題もあった。
【0003】
そこで、従来より、接着処理液をもってコード表面に被膜を形成し、接着性の改善と金型による損傷の防止を講じてきた。一般に用いられている接着処理方法としては、エポキシ又はイソシアネート化合物を含有する前処理液に浸漬後、RFL液、ゴム糊、等の処理液を付着し、更に必要に応じてオーバーコート処理を行ってコードに被膜を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の効果を高めるべく、コードに接着処理液を多量に付着させて被膜を厚く形成すると、余剰の処理液が液ダマとなって異物不良が発生していた。また接着処理剤濃度を高めて被膜を厚く形成すると、屈曲性や真円度が低下するといった問題があった。
【0005】
心線の真円度が低いと、金型に心線を捲き付ける際に、狙いの心線ピッチに制御し難いといった不具合が生じる。心線ピッチが乱れたベルトは、走行時に一部の心線にのみ応力が集中し、ベルトの片寄り、プーリフランジへの乗り上げ、ベルト早期切断等のおそれがある。また、OA用ベルトとして用いた場合、蛇行等の不安定な走行により、高い位置決め精度が得られないといった不具合もある。
【0006】
しかし、従来の接着処理では充分な接着力が得られないために、処理剤を多量に付着させる傾向にあり、屈曲性や真円度の低下、異物不良の増加といった弊害を改善するに至る技術が提案されていない。また従来の如き多段階処理は工程やコストの増加となり、能率的、経済的に問題がある。
【0007】
本発明者らは、上記問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、接着処理剤成分と有機物付着率を特定することによって、多段階接着処理を行わなくとも優れた接着性を有し、しかも高い真円度を兼ね備えた心線並びにこれを用いた歯付ベルトの提供を試みたるものである。つまり、その目的とするところは、異物不良が少なく、真円度が高くて、しかも優れた接着力を有するガラス心線、及び、心線ピッチが正確で、安定した走行が得られると共にウレタンエラストマーとの接着性が良好なガラス心線を用いた歯付ベルトを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願請求項1記載の発明は、伝動ベルトに用いられるガラス心線にあって、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ樹脂の水分散液を混合した処理液で接着処理を施されてなると共に、接着処理を施された心線の強熱減量値が10〜20質量%であることを特徴とする。
【0009】
本願請求項2記載の発明は、ベルト長手方向に沿って複数の歯部と、心線を埋設した背部からなる歯付ベルトにあって、前記歯部と背部は注型ウレタンエラストマーにより成形されてなり、そして心線が、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液を混合した処理液で接着処理を施されてなるとともに、接着処理後の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成したガラス心線ことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する伝動ベルト用心線はガラス繊維からなるコードであって、ガラス繊維の組成はEガラス、Sガラス(高強度ガラス)何れでも良く、フィラメントの太さ及びフィラメントの収束本数及びストランド本数に制限されない。
【0011】
ガラス繊維コードには以下のような接着処理が施されてなる。
溶融紡糸されたモノフィラメントをRFL溶液、ブロックドイソシアネートの水分散液、非水溶性エポキシ樹脂の水分散液を混合した処理剤に浸漬する。この処理は仮撚りの状態で行うことが好ましく、浸漬処理を行った後、オーブンで乾燥し、必要に応じて下撚り、中撚り、上撚りなどの撚りを与えて繊維コードとする。
【0012】
ブロックドイソシアネート樹脂におけるイソシアネートとしては、ヘキサメチレンモノイソシアネート、イソシアン酸フェニル等のモノイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソジアネート、ブタン−1,2,2−トリイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート3量付加体、2,4,4’−ジフェニルエーテルトリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物、そしてポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のポリイソシアネート化合物などが例示できる。なかでも1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートであることが接着力を高める上で好ましい。
【0013】
上記イソシアネートをブロックするブロック剤としては、ラクタム類やオキシム類が好ましく用いられ、オキシム類として具体的にはアセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシムなど、ラクタム類としては、プロピオラクタム、プチロラクタム、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。他のブロック剤としては、低級アルコール、フェノール類、活性メチレン化合物、イミド類なども用いることができる。
【0014】
これら単独又は2種以上のイソシアネート化合物を、これら単独又は2種以上のブロック剤でブロックしたブロックドイソシアネート化合物は、公知の界面活性剤の存在下で、ボールミル、ホモジナイザー、メディア分散機等を用いて水に分散または乳化させて用いられる。
【0015】
RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期縮合物を上記のゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルマリンのモル比は3/1〜1/3にすることが接着力を高める上で好適である。ゴムラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン−ビニルエステル共重合体、EPDM等のラテックスが挙げられる。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、このゴムラテックスのゴム分100質量部に対してその樹脂分が5〜100質量部になるように混合される。
【0016】
エポキシ樹脂としては、非水溶性で、しかも分子内に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。水溶性エポキシをRFL溶液と混合すると、RF樹脂と反応して、処理液の品質や接着性の低下を生ずるためである。例えば、ポリオールとエピクロルヒドリンとの反応から得られるエポキシ樹脂などは水溶性のため本発明の技術範疇には含まれない。
【0017】
本発明で用いられるエポキシ樹脂として具体的には、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の多価フェノールとハロゲン含有エポキシ類との反応生成物が使用される。特に、末端に2個のエポキシ基を持つビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適である。尚、非水溶性エポキシ樹脂は水分散液の状態で用いることが好ましく、例えば非水溶性エポキシ樹脂を微粉砕させた粉体を分散剤の存在下で水分散させたものが用いられる。他には、溶融させた非水溶性エポキシ樹脂を分散剤の存在下で水と混合攪拌し、更にコロイドミルを通して微細化させる、或いは、有機溶剤に溶解させた非水溶性エポキシ樹脂に、水と分散剤を加えたものを分散機により攪拌混合した後、減圧蒸留を行うなどにより、目的とする水分散液が得られる。
【0018】
更に、上記混合処理液による接着処理に加えて、上述の如きゴム配合物をトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトンから選ばれた、ゴム配合物の良溶媒となる溶剤に溶かしたゴム糊に浸漬して、オーバーコート処理することも可能である。浸漬時間は0.5〜30秒であり、80〜200°Cに調節したオーブンに1〜3分間通して熱処理される。
【0019】
そして本発明において、接着処理されたガラス繊維コードは、強熱減量値が10〜20質量%となるよう設定されることが好ましい。強熱減量値とは、有機物付着率とも言われるものであって、JIS R 3420に基づき625±20℃で10分以上加熱したときの質量減少値を表示したものであって、下記式に示される。
強熱減量値(質量%)={(a−b)/a}×100
a:接着処理コード加熱前質量
b:接着処理コード加熱後質量
つまり、ガラス繊維に付着した接着処理剤やガラス繊維成分中に含まれる有機物成分といった有機物付着率がこれにあたる。尚、接着処理にかかる熱処理工程で熱分解もしくは揮発してしまう溶媒や低温分解成分は、接着処理後のガラス心線に残存していないため、ここにいう強熱減量値(有機物付着率)には含まれない。
【0020】
心線の強熱減量値が10質量%未満の場合、接着性が乏しく、エラストマー部と良複合化しない。一方、強熱減量値が20質量%を超えると、接着性は向上するものの、ダマ不良率の増加やピッチ誤差が高いといった不具合がある。
【0021】
このように接着処理された伝動ベルト用心線は、例えば図1に示すような歯付ベルト1に使用される。この歯付ベルト1はベルト長手方向(図中矢印)に沿って複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4からなり、上記歯部2の表面には必要に応じて歯布が貼着した構成からできている。
【0022】
ここで、ベルト本体を構成するポリウレタン組成物は液状のウレタン原料を注型、加熱することによって得られるが、一般に成形方法としては、ポリオール、触媒、鎖延長剤、顔料等を混合したプレミックス液と、イソシアネート成分を含有する溶液とを混合し、これを注型して硬化反応させるワンショット法と、予めイソシアネートとポリオールを反応させて、イソシアネートの一部をポリオールで変性したプレポリマーと硬化剤を混合して注型し、架橋反応させるプレポリマー法があるが、本発明ではプレポリマー法が好ましく用いられる。
【0023】
イソシアネートとしては限定されるものではないが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、またそれらの変性体が使用可能である。具体的には、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)そしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)などが例示できるが、中でもTDI及びMDIが好ましく用いられる。
【0024】
ポリオールとしては、エステル系ポリオール、エーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、及びこれらの混合ポリオール等が挙げられる。エーテル系ポリオールとしては、ポリエチレンエーテルグリコール(PEG)、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)などがあり、またエステル系ポリオールとしては、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などが例示できる。
【0025】
硬化剤としては、1級アミン、2級アミン、3級アミンであるアミン化合物が用いられ、具体的には1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、1,5−ナフタレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン(以下MOCAと記す)、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、1−メチル−3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−ジアミノベンゼン、1−メチル3,5´−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、4−4´−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(オルト−クロロアニリン)、4,4´−メチレン−ビス―(2,3−ジクロロアニリン)、トリメチレングリコールジ−パラ−アミノベンゾエート、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)、4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなどが利用できる。
【0026】
上記各成分以外の他に、可塑剤、顔料、消泡剤、充填材、触媒、安定剤等の添加剤を配合することができる。可塑剤としては、一般にはフタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、リン酸トリクレジル(TCP)、塩素系パラフィン、フタル酸ジアルキルなどが利用できる。
【0027】
また触媒としては、酸触媒である有機カルボン酸化合物が利用され、具体的にはアゼライン酸、オレイン酸、セバシン酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸などの芳香族カルボン酸が用いられる。その他に、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミンに代表されるアミン化合物、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンマーカプチドに代表される有機金属化合物が適宜用いられる。
【0028】
次に、ウレタン原料の準備工程を記す。
前記イソシアネートとポリオールと予め反応させたウレタンプレポリマーに必要に応じて消泡剤、可塑剤などを配合したA液を調整し、50〜85℃にて保管する。また、硬化剤を120°C以上の雰囲気温度下にて完全に溶解させたB液を準備する。尚、触媒をウレタン原料に配合する場合はB液に予め攪拌混合しておくことが好ましい。
【0029】
ベルト成形方法としては公知の製造方法と同じく、金型に心線をスパイラルに巻きつけた状態で、上記A液、B液を攪拌混合して金型内に注入し、一定条件下で加熱して架橋させることによってベルトスリーブを作製し、その後所定幅にカットすることによってベルトを製造することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(撚糸コードの作製)
実施例1
心線として、溶融紡糸された無アルカリガラス繊維フィラメント約150本をストランドとし、3本のストランドを引き揃えて、ブロックドイソシアネート水分散液(ブロック解離温度180℃)、RFL溶液、非水溶性エポキシ樹脂水分散液を固形分比率が85.7:9.5:4.8となるよう混合した処理液(固形分27%)に浸漬し、ダイスにて付着量を調節した。これをオーブンにて乾燥し、熱処理を施した後、かかるストランドに14.5回/10cmの撚りを与えて撚りコードを作製した。得られた撚りコードの強熱減量値を測定したところ18%であった。
【0031】
比較例1
上記実施例1と同様にして撚りコードを作製した。得られた撚りコードの強熱減量値を測定したところ7%であった。
【0032】
比較例2
上記実施例1と同様にして撚りコードを作製した。得られた撚りコードの強熱減量値を測定したところ25%であった。
【0033】
得られた各撚りコード1000本についての異物不良率を評価した。結果を表1に記載する。
【0034】
【表1】
【0035】
次に上記心線を用いて、ベルト幅2.5mm、ベルト歯形KZ53歯形、歯数548、歯ピッチ1.355mm、ベルト長さ742.54mmの歯付ベルトを作製した。尚、狙いの心線のピッチは、0.680mmである。製造方法としては、歯形状に対応した溝部を有する内金型に前記心線を所定ピッチでスパイラル状にスピニングし、そして外金型をセットした後、ウレタンプレポリマー100質量部、アミン系硬化剤(MOCA)12.5質量部、可塑剤(DOP)20質量部、触媒(アゼライン酸)0.2質量部を配合したウレタン配合物をキャビティ内に注入し、加熱硬化させて歯付ベルトを作製した。
【0036】
得られた夫々の歯付ベルトについて、心線とベルト本体とのあいだの接着力を心線引き抜き試験で測定した。心線引き抜き試験の条件は、ベルトに埋設されている心線2本分×3歯長さを心線方向に沿って50mm/minで引き抜く際に要する力である。また各歯付ベルト18本の心線ピッチを測定し、標準偏差を評価した。各測定結果を表1に併記する。
【0037】
この結果、実施例は全ての評価項目で充分な結果が得られた。しかし、比較例1のように強熱減量値が少ない場合には、異物不良率について良好な結果が得られるものの、真円度並びにエラストマー部との接着性が低下することが判る。一方、比較例2に示すように強熱減量値が大きい場合には、真円度の低下や異物不良率の増加の傾向があり、得られた歯付ベルトの心線ピッチに影響を与えることが判った。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本願請求項記載の発明では、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液を混合した処理液で接着処理が施されてなると共に、接着処理後の心線の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成されたガラス心線、並びに、これを用いた歯付ベルトにあって、真円度が高く、異物不良率が少なく、しかも優れた接着性を兼ね備えた伝動ベルト用ガラス心線、並びに、心線とエラストマー部が良複合化し、心線ピッチの乱れが少なく、安定した走行が期待できる歯付ベルトを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるガラス心線を用いた歯付ベルトの断面斜視図である。
【符号の説明】
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 歯布
【発明の属する技術分野】
本発明は伝動ベルト用ガラス心線及びそれを用いた歯付ベルトに係り、詳しくは真円度、異物不良率を改善し、しかも接着性に優れた伝動ベルト用ガラス心線及びそれを用いた歯付ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
精密OA機器など高度なベルト寸法安定性が要求される歯付ベルトにおいて、心線として高モジュラス繊維を用いた撚りコードが利用されている。なかでもガラス繊維コードを用いた歯付ベルトは、寸法安定性及び経時寸法安定性に優れており、軸間固定によるレイアウトにおいて好適に用いられている。しかし、ガラスは無機繊維であることから、ベルト本体を構成するエラストマー部との接着性に劣ることが指摘されている。また歯布を使用しない構成の歯付ベルトにおいては、内金型に歯布をセットせずに心線を直接スピニングするため、金型によりガラス心線に傷が生じやすいといった問題もあった。
【0003】
そこで、従来より、接着処理液をもってコード表面に被膜を形成し、接着性の改善と金型による損傷の防止を講じてきた。一般に用いられている接着処理方法としては、エポキシ又はイソシアネート化合物を含有する前処理液に浸漬後、RFL液、ゴム糊、等の処理液を付着し、更に必要に応じてオーバーコート処理を行ってコードに被膜を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の効果を高めるべく、コードに接着処理液を多量に付着させて被膜を厚く形成すると、余剰の処理液が液ダマとなって異物不良が発生していた。また接着処理剤濃度を高めて被膜を厚く形成すると、屈曲性や真円度が低下するといった問題があった。
【0005】
心線の真円度が低いと、金型に心線を捲き付ける際に、狙いの心線ピッチに制御し難いといった不具合が生じる。心線ピッチが乱れたベルトは、走行時に一部の心線にのみ応力が集中し、ベルトの片寄り、プーリフランジへの乗り上げ、ベルト早期切断等のおそれがある。また、OA用ベルトとして用いた場合、蛇行等の不安定な走行により、高い位置決め精度が得られないといった不具合もある。
【0006】
しかし、従来の接着処理では充分な接着力が得られないために、処理剤を多量に付着させる傾向にあり、屈曲性や真円度の低下、異物不良の増加といった弊害を改善するに至る技術が提案されていない。また従来の如き多段階処理は工程やコストの増加となり、能率的、経済的に問題がある。
【0007】
本発明者らは、上記問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、接着処理剤成分と有機物付着率を特定することによって、多段階接着処理を行わなくとも優れた接着性を有し、しかも高い真円度を兼ね備えた心線並びにこれを用いた歯付ベルトの提供を試みたるものである。つまり、その目的とするところは、異物不良が少なく、真円度が高くて、しかも優れた接着力を有するガラス心線、及び、心線ピッチが正確で、安定した走行が得られると共にウレタンエラストマーとの接着性が良好なガラス心線を用いた歯付ベルトを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願請求項1記載の発明は、伝動ベルトに用いられるガラス心線にあって、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ樹脂の水分散液を混合した処理液で接着処理を施されてなると共に、接着処理を施された心線の強熱減量値が10〜20質量%であることを特徴とする。
【0009】
本願請求項2記載の発明は、ベルト長手方向に沿って複数の歯部と、心線を埋設した背部からなる歯付ベルトにあって、前記歯部と背部は注型ウレタンエラストマーにより成形されてなり、そして心線が、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液を混合した処理液で接着処理を施されてなるとともに、接着処理後の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成したガラス心線ことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する伝動ベルト用心線はガラス繊維からなるコードであって、ガラス繊維の組成はEガラス、Sガラス(高強度ガラス)何れでも良く、フィラメントの太さ及びフィラメントの収束本数及びストランド本数に制限されない。
【0011】
ガラス繊維コードには以下のような接着処理が施されてなる。
溶融紡糸されたモノフィラメントをRFL溶液、ブロックドイソシアネートの水分散液、非水溶性エポキシ樹脂の水分散液を混合した処理剤に浸漬する。この処理は仮撚りの状態で行うことが好ましく、浸漬処理を行った後、オーブンで乾燥し、必要に応じて下撚り、中撚り、上撚りなどの撚りを与えて繊維コードとする。
【0012】
ブロックドイソシアネート樹脂におけるイソシアネートとしては、ヘキサメチレンモノイソシアネート、イソシアン酸フェニル等のモノイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソジアネート、ブタン−1,2,2−トリイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート3量付加体、2,4,4’−ジフェニルエーテルトリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物、そしてポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のポリイソシアネート化合物などが例示できる。なかでも1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートであることが接着力を高める上で好ましい。
【0013】
上記イソシアネートをブロックするブロック剤としては、ラクタム類やオキシム類が好ましく用いられ、オキシム類として具体的にはアセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシムなど、ラクタム類としては、プロピオラクタム、プチロラクタム、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。他のブロック剤としては、低級アルコール、フェノール類、活性メチレン化合物、イミド類なども用いることができる。
【0014】
これら単独又は2種以上のイソシアネート化合物を、これら単独又は2種以上のブロック剤でブロックしたブロックドイソシアネート化合物は、公知の界面活性剤の存在下で、ボールミル、ホモジナイザー、メディア分散機等を用いて水に分散または乳化させて用いられる。
【0015】
RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期縮合物を上記のゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルマリンのモル比は3/1〜1/3にすることが接着力を高める上で好適である。ゴムラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン−ビニルエステル共重合体、EPDM等のラテックスが挙げられる。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、このゴムラテックスのゴム分100質量部に対してその樹脂分が5〜100質量部になるように混合される。
【0016】
エポキシ樹脂としては、非水溶性で、しかも分子内に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。水溶性エポキシをRFL溶液と混合すると、RF樹脂と反応して、処理液の品質や接着性の低下を生ずるためである。例えば、ポリオールとエピクロルヒドリンとの反応から得られるエポキシ樹脂などは水溶性のため本発明の技術範疇には含まれない。
【0017】
本発明で用いられるエポキシ樹脂として具体的には、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の多価フェノールとハロゲン含有エポキシ類との反応生成物が使用される。特に、末端に2個のエポキシ基を持つビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適である。尚、非水溶性エポキシ樹脂は水分散液の状態で用いることが好ましく、例えば非水溶性エポキシ樹脂を微粉砕させた粉体を分散剤の存在下で水分散させたものが用いられる。他には、溶融させた非水溶性エポキシ樹脂を分散剤の存在下で水と混合攪拌し、更にコロイドミルを通して微細化させる、或いは、有機溶剤に溶解させた非水溶性エポキシ樹脂に、水と分散剤を加えたものを分散機により攪拌混合した後、減圧蒸留を行うなどにより、目的とする水分散液が得られる。
【0018】
更に、上記混合処理液による接着処理に加えて、上述の如きゴム配合物をトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトンから選ばれた、ゴム配合物の良溶媒となる溶剤に溶かしたゴム糊に浸漬して、オーバーコート処理することも可能である。浸漬時間は0.5〜30秒であり、80〜200°Cに調節したオーブンに1〜3分間通して熱処理される。
【0019】
そして本発明において、接着処理されたガラス繊維コードは、強熱減量値が10〜20質量%となるよう設定されることが好ましい。強熱減量値とは、有機物付着率とも言われるものであって、JIS R 3420に基づき625±20℃で10分以上加熱したときの質量減少値を表示したものであって、下記式に示される。
強熱減量値(質量%)={(a−b)/a}×100
a:接着処理コード加熱前質量
b:接着処理コード加熱後質量
つまり、ガラス繊維に付着した接着処理剤やガラス繊維成分中に含まれる有機物成分といった有機物付着率がこれにあたる。尚、接着処理にかかる熱処理工程で熱分解もしくは揮発してしまう溶媒や低温分解成分は、接着処理後のガラス心線に残存していないため、ここにいう強熱減量値(有機物付着率)には含まれない。
【0020】
心線の強熱減量値が10質量%未満の場合、接着性が乏しく、エラストマー部と良複合化しない。一方、強熱減量値が20質量%を超えると、接着性は向上するものの、ダマ不良率の増加やピッチ誤差が高いといった不具合がある。
【0021】
このように接着処理された伝動ベルト用心線は、例えば図1に示すような歯付ベルト1に使用される。この歯付ベルト1はベルト長手方向(図中矢印)に沿って複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4からなり、上記歯部2の表面には必要に応じて歯布が貼着した構成からできている。
【0022】
ここで、ベルト本体を構成するポリウレタン組成物は液状のウレタン原料を注型、加熱することによって得られるが、一般に成形方法としては、ポリオール、触媒、鎖延長剤、顔料等を混合したプレミックス液と、イソシアネート成分を含有する溶液とを混合し、これを注型して硬化反応させるワンショット法と、予めイソシアネートとポリオールを反応させて、イソシアネートの一部をポリオールで変性したプレポリマーと硬化剤を混合して注型し、架橋反応させるプレポリマー法があるが、本発明ではプレポリマー法が好ましく用いられる。
【0023】
イソシアネートとしては限定されるものではないが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、またそれらの変性体が使用可能である。具体的には、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)そしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)などが例示できるが、中でもTDI及びMDIが好ましく用いられる。
【0024】
ポリオールとしては、エステル系ポリオール、エーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、及びこれらの混合ポリオール等が挙げられる。エーテル系ポリオールとしては、ポリエチレンエーテルグリコール(PEG)、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)などがあり、またエステル系ポリオールとしては、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などが例示できる。
【0025】
硬化剤としては、1級アミン、2級アミン、3級アミンであるアミン化合物が用いられ、具体的には1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、1,5−ナフタレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン(以下MOCAと記す)、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、1−メチル−3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−ジアミノベンゼン、1−メチル3,5´−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、4−4´−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(オルト−クロロアニリン)、4,4´−メチレン−ビス―(2,3−ジクロロアニリン)、トリメチレングリコールジ−パラ−アミノベンゾエート、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4´−メチレン−ビス−(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)、4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなどが利用できる。
【0026】
上記各成分以外の他に、可塑剤、顔料、消泡剤、充填材、触媒、安定剤等の添加剤を配合することができる。可塑剤としては、一般にはフタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、リン酸トリクレジル(TCP)、塩素系パラフィン、フタル酸ジアルキルなどが利用できる。
【0027】
また触媒としては、酸触媒である有機カルボン酸化合物が利用され、具体的にはアゼライン酸、オレイン酸、セバシン酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸などの芳香族カルボン酸が用いられる。その他に、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミンに代表されるアミン化合物、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンマーカプチドに代表される有機金属化合物が適宜用いられる。
【0028】
次に、ウレタン原料の準備工程を記す。
前記イソシアネートとポリオールと予め反応させたウレタンプレポリマーに必要に応じて消泡剤、可塑剤などを配合したA液を調整し、50〜85℃にて保管する。また、硬化剤を120°C以上の雰囲気温度下にて完全に溶解させたB液を準備する。尚、触媒をウレタン原料に配合する場合はB液に予め攪拌混合しておくことが好ましい。
【0029】
ベルト成形方法としては公知の製造方法と同じく、金型に心線をスパイラルに巻きつけた状態で、上記A液、B液を攪拌混合して金型内に注入し、一定条件下で加熱して架橋させることによってベルトスリーブを作製し、その後所定幅にカットすることによってベルトを製造することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(撚糸コードの作製)
実施例1
心線として、溶融紡糸された無アルカリガラス繊維フィラメント約150本をストランドとし、3本のストランドを引き揃えて、ブロックドイソシアネート水分散液(ブロック解離温度180℃)、RFL溶液、非水溶性エポキシ樹脂水分散液を固形分比率が85.7:9.5:4.8となるよう混合した処理液(固形分27%)に浸漬し、ダイスにて付着量を調節した。これをオーブンにて乾燥し、熱処理を施した後、かかるストランドに14.5回/10cmの撚りを与えて撚りコードを作製した。得られた撚りコードの強熱減量値を測定したところ18%であった。
【0031】
比較例1
上記実施例1と同様にして撚りコードを作製した。得られた撚りコードの強熱減量値を測定したところ7%であった。
【0032】
比較例2
上記実施例1と同様にして撚りコードを作製した。得られた撚りコードの強熱減量値を測定したところ25%であった。
【0033】
得られた各撚りコード1000本についての異物不良率を評価した。結果を表1に記載する。
【0034】
【表1】
【0035】
次に上記心線を用いて、ベルト幅2.5mm、ベルト歯形KZ53歯形、歯数548、歯ピッチ1.355mm、ベルト長さ742.54mmの歯付ベルトを作製した。尚、狙いの心線のピッチは、0.680mmである。製造方法としては、歯形状に対応した溝部を有する内金型に前記心線を所定ピッチでスパイラル状にスピニングし、そして外金型をセットした後、ウレタンプレポリマー100質量部、アミン系硬化剤(MOCA)12.5質量部、可塑剤(DOP)20質量部、触媒(アゼライン酸)0.2質量部を配合したウレタン配合物をキャビティ内に注入し、加熱硬化させて歯付ベルトを作製した。
【0036】
得られた夫々の歯付ベルトについて、心線とベルト本体とのあいだの接着力を心線引き抜き試験で測定した。心線引き抜き試験の条件は、ベルトに埋設されている心線2本分×3歯長さを心線方向に沿って50mm/minで引き抜く際に要する力である。また各歯付ベルト18本の心線ピッチを測定し、標準偏差を評価した。各測定結果を表1に併記する。
【0037】
この結果、実施例は全ての評価項目で充分な結果が得られた。しかし、比較例1のように強熱減量値が少ない場合には、異物不良率について良好な結果が得られるものの、真円度並びにエラストマー部との接着性が低下することが判る。一方、比較例2に示すように強熱減量値が大きい場合には、真円度の低下や異物不良率の増加の傾向があり、得られた歯付ベルトの心線ピッチに影響を与えることが判った。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本願請求項記載の発明では、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液を混合した処理液で接着処理が施されてなると共に、接着処理後の心線の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成されたガラス心線、並びに、これを用いた歯付ベルトにあって、真円度が高く、異物不良率が少なく、しかも優れた接着性を兼ね備えた伝動ベルト用ガラス心線、並びに、心線とエラストマー部が良複合化し、心線ピッチの乱れが少なく、安定した走行が期待できる歯付ベルトを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるガラス心線を用いた歯付ベルトの断面斜視図である。
【符号の説明】
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 歯布
Claims (2)
- 伝動ベルトに用いられるガラス心線にあって、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液を混合した処理液で接着処理が施されてなると共に、接着処理後の心線の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成されたことを特徴とするガラス心線。
- ベルト長手方向に沿って複数の歯部と、心線を埋設した背部からなる歯付ベルトにあって、前記歯部と背部は注型ウレタンエラストマーにより成形されてなり、背部に埋設された心線が、ブロックドイソシアネートの水分散液、RFL溶液、非水溶性エポキシ化合物の水分散液を混合した処理液で接着処理が施されてなるとともに、接着処理後の強熱減量値が10〜20質量%となるよう構成したガラス心線であることを特徴とする歯付ベルト。
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2002
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