JP2001152009A - ベルト成形用ウレタン組成物及び該組成物により形成された伝動ベルト - Google Patents

ベルト成形用ウレタン組成物及び該組成物により形成された伝動ベルト

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JP2001152009A
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Shinji Fujiwara
伸二 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造されるウレタン製ベルトの特性を損なう
こと無く、且つDOPの混合量を低減した又は使用しな
いベルト成形用ウレタン組成物を得る。 【解決手段】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応さ
せてウレタン製ベルトを製造するために使用されるベル
ト成形用ウレタン組成物を、ポリオールとポリイソシア
ネートとを合成して得られるウレタンプレポリマーに、
クエン酸エステル系化合物を混合したものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルト成形用ウレ
タン組成物及び該組成物によって形成された伝動ベルト
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般産業用機械、OA機器等の分野にお
いて、ポリウレタン組成物によってベルト本体が形成さ
れた伝動ベルトが使用されている。かかるウレタン製ベ
ルトは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポ
リオールとトリレンジイソシアネート等のポリイソシア
ネートとを合成した液状のウレタンプレポリマーに、
3,3’−ジアミノジフェニルメタン等の硬化剤及びそ
の他の配合剤を混合したベルト成形用ウレタン組成物を
注型用金型に注入して硬化反応させることにより成形さ
れるものである。この際、上記配合剤には可塑剤が含ま
れ、それによってウレタンプレポリマーの粘度が低下し
て注型加工性が向上すると共に、ベルトを構成するポリ
ウレタン組成物の硬度や摩擦係数といった物性の調整が
図られることとなる。そして、この可塑剤として、ジ−
(2−エチルヘキシル)フタレート(以後「DOP」と
称する)が最も一般的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、DOPを代
表とするフタル酸エステル化合物類は、人体の生殖器異
常、神経異常並びに免疫系異常を引き起こす、いわゆる
「環境ホルモン」と称される有害化学物質として指摘さ
れ、近年問題となっている。
【0004】上記ウレタン製ベルトの製造過程では、ウ
レタン組成物の調整段階でDOPが直接取り扱われるこ
ととなる。また、DOPはウレタンプレポリマーの硬化
反応には関与しないため、製造されたウレタン製ベルト
では、DOPが化学構造が変化することなく含有され、
それがベルト表面にブリードすることがある。従って、
揮発蒸気の吸入や直接の接触等により何らかの経路でD
OPが人体に吸収・蓄積されるおそれがあり、かかる事
情から、ウレタン製ベルトにおけるDOPの使用量の低
減、好ましくは不使用が強く要望されている。
【0005】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、製造されるウレタン
製ベルトの特性を損なうこと無く、且つDOPの混合量
を従来よりも低減した又は使用していないベルト成形用
ウレタン組成物、及び該組成物によって形成された伝動
ベルトを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ウレタン製ベ
ルトを形成するウレタン組成物として、プレポリマーに
可塑化効果を発現させるクエン酸エステル系化合物を混
合することとしたものである。
【0007】具体的には、本出願の発明は、ベルト成形
用金型に注入し、硬化反応させてウレタン製ベルトを製
造するために使用されるベルト成形用ウレタン組成物で
あって、ポリオールとポリイソシアネートとを合成して
生成したウレタンプレポリマーに、クエン酸エステル系
化合物を混合してなることを特徴とする。
【0008】上記構成のベルト成形用ウレタン組成物に
よれば、可塑剤としてクエン酸エステル系化合物が混合
されているので、ベルト強度等の特性を従来と比較して
落とすこと無く、人体に有害な環境ホルモンとして指摘
されている可塑剤のDOPの使用量を低減した、又はD
OPを使用していないウレタン製ベルトを得ることがで
きる。ここで、クエン酸エステル系化合物を混合した場
合と、DOPを混合した場合とでベルト強度等の特性に
大差が生じないのは、理由は明らかではないが、DOP
及びクエン酸エステル系化合物は共にポリウレタン分子
骨格との相互作用が同程度であるため、それらがポリウ
レタン組成物の物性に与える影響にも違いが現れないた
めであると考えられる。
【0009】また、従来のDOPを使用した場合に比較
して、ウレタン組成物の粘度が低減されて注型加工性が
向上することとなる。この理由も明らかではないが、ク
エン酸エステル系化合物の方がDOPに比べて、ウレタ
ンプレポリマーとの相溶性が優れるためであると考えら
れる。
【0010】ここで、クエン酸エステル系化合物の混合
量は、プレポリマー100重量部に対して3〜40重量
部であることが望ましい。混合量が3重量部より少ない
場合は、プレポリマーの粘度低減等の効果が十分に発揮
されないからであり、40重量部より多い場合は、ベル
ト表面へのブリードが著しいものとなってベルトのスリ
ップ等の原因となるおそれがあるからである。従って、
かかる観点から混合量は10〜30重量部とすることが
さらに好ましい。
【0011】また、クエン酸エステル系化合物として
は、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレー
ト、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n
−ブチルシトレート(以後「ATBC」という)等を挙
げるとことができるが、汎用材料で入手容易であること
からATBCを用いることが好適である。
【0012】そして、ウレタンプレポリマーを構成する
ポリオールとして、ポリエーテルグリコールを用いる構
成としてもよい。この場合、ポリエーテルグリコールは
結晶性が低いので、形成されるポリウレタン組成物の硬
度は混合されるクエン酸エステル系化合物の量に敏感に
影響を受けることとなる。従って、クエン酸エステル系
化合物の混合量によってポリウレタン組成物の硬度調整
が容易に行えることとなる。
【0013】また、ウレタン組成物に硬化剤としてポリ
オールを混合し、これにより硬化反応させることでポリ
ウレタン組成物を形成させることができるが、硬化剤と
してアミン化合物を含ませ、これにより硬化反応させる
ことでポリウレタンウレア組成物を形成させることもで
きる。後者の場合、硬化反応の反応性が高いため、短時
間でベルトの成形をすることができ、生産性の向上を図
ることができる。
【0014】そして、ベルト成形用ウレタン組成物によ
って形成される伝動ベルトとしては、平ベルト、Vベル
ト、Vリブドベルト、歯付ベルト、丸ベルト等を挙げる
ことができる。ここで、可塑剤としてクエン酸エステル
系化合物を混合しても、形成されるベルト表面へのブリ
ード量はDOPと同程度となることから、摩擦伝動であ
るVベルトやVリブドベルトを形成することとしてもベ
ルトのスリップ性は従来レベルが確保されることとな
る。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本出願の発明によ
れば、可塑剤としてクエン酸エステル系化合物が混合さ
れているので、ベルト強度等の特性を従来と比較して落
とすこと無く、人体に有害な環境ホルモンとして指摘さ
れている可塑剤のDOPの使用量を低減した、又はDO
Pを使用していないウレタン製ベルトを得ることができ
る。また、従来のDOPを使用した場合に比較して、ウ
レタン組成物の粘度が低減されて注型加工性が向上する
こととなる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づい
て詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の実施形態に係るVリブドベ
ルトBを示す。
【0018】VリブドベルトBは、内周面にベルト長さ
方向に延びる突条により形成されたリブ部2がベルト幅
方向に所定ピッチで設けられ、外周面にベルト幅方向に
延びる背面コグ部3がベルト長さ方向に所定ピッチで設
けられたベルト本体1によって形成されている。また、
ベルト厚さ方向のの中間部には抗張体としての心線4が
略ベルト長さ方向に延び且つベルト幅方向にピッチを形
成して螺旋状に埋設されている。
【0019】ベルト本体1は、ポリオール成分をポリテ
トラメチレンエーテルグリコール(以下「PTMG」と
称する)とし、ポリイソシアネート成分をトリレンジイ
ソシアネート(以下「TDI」と称する)として両者を
合成して得られた液状のウレタンプレポリマーに、硬化
剤として1,1’−メチレンビス(o−クロロアニリ
ン)(以下「MOCA」と称する)と、反応促進剤とし
て有機酸であるオレイン酸と、可塑剤としてATBCと
が混合されたウレタン組成物が硬化反応したポリウレタ
ンウレア組成物で形成されている。
【0020】また、心線4は、ポリエステル繊維の撚糸
により形成されており、エポキシ樹脂溶液への浸漬及び
加熱による接着処理が施されている。
【0021】次に、VリブドベルトBの製造方法につい
て説明する。 <心線セット工程>軸方向に延びる断面円弧状の溝が周
方向に所定ピッチで設けられた内金型の周面に、ポリエ
ステル繊維の撚糸からなる心線を所定ピッチで螺旋状に
巻き付ける。
【0022】そして、円筒状の外金型の中心に上記内金
型を設置する。このとき、内金型と外金型との間にはウ
レタン組成物を注入するための隙間が形成されることと
なる。 <ウレタン組成物準備工程>PTMGとTDIとにより
合成されたウレタンプレポリマーを80℃に温調すると
共に、減圧して脱泡する。次いで、100℃に温調され
た容器内でMOCAとオレイン酸とATBCとを混ぜ合
わせて均一な溶液とし、これをウレタンプレポリマーに
注入して攪拌・混合することにより液状のウレタン組成
物を形成する。 <ウレタン組成物注入・硬化工程>得られたウレタン組
成物を外金型と内金型との間の隙間に注入し、これを1
00℃雰囲気下に60分保持する。これによって、ウレ
タン組成物の硬化反応が促進されることとなる。 <脱型・幅カット工程>外金型及び内金型から円筒状の
ベルト前駆体を脱型し、そのベルト前駆体を所定幅に輪
切りにする。 <研削工程>幅カットされた帯状体の外周面に、周方向
に延びる突条が幅方向に所定ピッチで形成されるように
研削する。そして、これを裏返すことによりVリブドベ
ルトBを得る。
【0023】以上の構成のVリブドベルトBは、プレポ
リマーに可塑剤としてATBCが混合されたウレタン組
成物によりベルト本体1が形成されているので、従来の
DOPを使用した場合と同等のベルト強度等の特性を有
するものとなっている。従って、人体に有害な環境ホル
モンとして指摘されているDOPを可塑剤として使用す
る必要がない。
【0024】また、ATBCは、ウレタンプレポリマー
100重量部に対して3〜40重量部混合されているの
で、液状ウレタン組成物の粘度低減等の効果を十分に発
揮すると共に、ベルト表面へのブリードが適度なものと
なる。
【0025】そして、ベルト製造時において、従来のD
OPを使用した場合に比較して、ウレタン組成物の粘度
が低減されて注型加工性が向上することとなる。
【0026】また、ウレタン組成物中のウレタンプレポ
リマーを構成するポリオールとして、結晶性の低いPT
MGが用いられているので、形成されるポリウレタン組
成物の硬度は混合されるATBCの量に敏感に影響を受
けることとなり、その混合量によりベルトの硬度調整を
容易に行うことが可能となる。
【0027】また、ウレタン組成物中に硬化剤としてア
ミン化合物であるMOCAを混合しているので、形成さ
れるベルト本体1はポリウレタンウレア組成物からなる
こととなる。この場合、硬化反応の反応性が高いため、
短時間でベルトの成形をすることができ、生産性の向上
が図られることとなる。 (その他の実施形態)上記実施形態では、ウレタン組成
物で形成される伝動ベルトをVリブドベルトとしたが、
特にこれに限定されるものではなく、平ベルト、Vベル
ト、丸ベルト、歯付ベルト等であってもよい。
【0028】また、上記実施形態では、ウレタン組成物
のウレタンプレポリマーを形成するポリオールとしてP
TMGを用いたが、特にこれに限定されるものではな
く、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)等の
他のポリエーテルグリコールや、ポリエチレンアジペー
ト(PEA)、ポリ−ε−カプロラクトングリコール
(PCL)等のポリエステルグリコールであってもよ
い。但し、グリコール化合物の結晶性が高い場合には、
可塑剤混合による硬度調整効果が小さいものとなるの
で、ポリエーテルグリコールが好適に用いられる。
【0029】また、上記実施形態では、ウレタン組成物
のウレタンプレポリマーを形成するポリイソシアネート
としてTDIを用いたが、特にこれに限定されるもので
はなく、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
であってもよい。
【0030】また、上記実施形態では、可塑剤としてA
TBCを用いたが、特にこれに限定されるものではな
く、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレー
ト、アセチルトリエチルシトレート等の他のクエン酸エ
ステル系化合物であってもよい。
【0031】また、上記実施形態では、ウレタン組成物
の硬化剤としてMOCAを用いたが、特にこれに限定さ
れるものではなく、その他のジアミン化合物やポリオー
ル化合物であってもよい。
【0032】また、上記実施形態では、ウレタン組成物
の反応促進剤として有機酸であるオレイン酸を用いた
が、特にこれに限定されるものではなく、セバシン酸や
アジピン酸等の脂肪族カルボン酸化合物、安息香酸やト
ルイル酸のような芳香族カルボン酸化合物であってもよ
い。但し、配合等の加工性を考慮すると室温で液状であ
るオレイン酸が特に好ましく用いられる。
【0033】また、上記実施形態では、ウレタン組成物
の可塑剤としてATBCを単独で用いたが、特にこれに
限定されるものではなく、他の可塑剤を併用してもよ
い。この場合、ATBCとDOPとの併用であってもよ
く、それによりDOPの使用量を従来よりも低減できる
という効果を得ることができる。
【0034】また、上記実施形態では、ウレタンプレポ
リマーと、硬化剤と、有機酸と、可塑剤とにより構成し
たが、特にこれに限定されるものではなく、必要に応じ
て顔料や滑剤等を混合したものであってもよい。
【0035】また、上記実施形態では、心線4としてポ
リエステル繊維の撚糸を用いたが、特にこれに限定され
るものではなく、アラミド繊維等の撚糸であってもよ
い。
【0036】また、上記実施形態では、Vリブドベルト
Bの製造に際し、プレポリマーを80℃に温調すると共
に硬化剤等を100℃に温調し、金型温度を100℃と
して加熱時間を60分としたが、特にこれらに限定され
るものではなく、プレポリマーや硬化剤等の種類によっ
てプレポリマーの温調温度は60〜100℃、硬化剤等
の温調温度は100〜150℃、金型温度は100〜1
50℃、加熱時間は10〜90分の各範囲で適宜選択さ
れるべきものである。
【0037】
【実施例】(プレポリマーと可塑剤との混合物の粘度) <試験評価サンプル> −実施例1− 分子量1000のPTMGとTDIとにより合成された
イソシアネート濃度5.6%のプレポリマー100重量
部に対し、可塑剤としてATBCを10重量部混合した
ウレタン組成物を実施例1とした。 −比較例1− 可塑剤としてATBCの代わりにDOPを混合した他は
実施例1と同一のウレタン組成物を比較例1とした。す
なわち、従来例に係るウレタン組成物である。 <試験評価方法>上記各例に係るウレタン組成物を60
℃及び80℃に温調し、それぞれの温度におけるウレタ
ン組成物の粘度をBL型粘度計にて計測した。 <試験評価結果>試験結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】同表によれば、可塑剤を混合することによ
るウレタン組成物の粘度低減効果は、DOPを混合する
場合よりもATBCを混合する場合の方が大きいという
ことが確認できる。この理由は明らかではないが、DO
PよりもATBCの方がウレタンプレポリマーへの相溶
性が高いためではないかと考えられる。よって、可塑剤
としてATBCを使用することにより、従来に比べて注
型加工の加工性がより良好なものとなる。 (ポリウレタン組成物の物性等) <試験評価サンプル>以下の各例に係る試験評価用サン
プルを作成した。なお、配合は表2にも示す。 −実施例2− 分子量1000のPTMGとTDIとにより合成された
イソシアネート濃度5.6%のプレポリマーを耐熱性容
器に入れ、80℃に温調しつつ減圧下で脱泡した。次
に、プレポリマー100重量部に対し、17重量部のM
OCAと、0.4重量部のオレイン酸と、20重量部の
ATBCとを別の耐熱性容器に入れ、100℃に温調し
つつ攪拌して均一な溶液を作成した。そして、プレポリ
マーにMOCA等の混合物を加え、攪拌・混合した。こ
れを100℃に温調したオーブンに予め入れておいた金
型に注入し、さらに金型を60分間オーブン内に保持し
てウレタン組成物を硬化反応させた。このようにしてで
きた厚さ2mmのシート状ポリウレタン組成物を実施例
2とした。 −比較例2− 可塑剤としてDOPを用いた他は実施例2と同一のポリ
ウレタン組成物を比較例2とした。すなわち、従来例に
係るポリウレタン組成物である。 −比較例3− 可塑剤としてジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート
(DOZ)を用いた他は実施例2と同一のポリウレタン
組成物を比較例3とした。 −比較例4− 可塑剤としてトリメリット酸混合エステル可塑剤(アデ
カサイザーC79 旭電化工業社製)を用いた他は実施
例2と同一のポリウレタン組成物を比較例4とした。
【0040】
【表2】
【0041】<試験評価方法> −引張特性− 上記各例に係るポリウレタン組成物シートからダンベル
状テストピースを切り出し、これをJIS K6301
に準じて引張試験を行い、破断強度と破断伸度とのデー
タを採取した。 −引裂特性− 上記各例に係るポリウレタン組成物シートから「く」の
字状の引裂試験用テストピースを切り出し、これをJI
S K6301に準じて引裂試験を行い、引裂強度のデ
ータを採取した。 −ブリード性− 上記各例に係るポリウレタン組成物シートを幅10mm
の短冊状に切り、そして、長さ100,120,14
0,160,180及び200mmのテストピースを各
3本ずつ作成した。これらのテストピースの各端から1
0mmのところに標線を入れ、図2に示すように、両端
部の標線同士を合わせて留め具12で固定してリング状
とした。これらの各テストピース11を60℃に温調し
たオーブンに入れ、20時間後にテストピース11表面
への可塑剤のブリード状態を目視にて確認した。ここ
で、可塑剤のブリードは、テストピースにかかる歪みが
大きいほど顕著なものとなる。また、テストピースの長
さが短いほどリング状とした際に加わる歪みが大きなも
のとなる。そこで、ブリードが観察され始めたテストピ
ースの長さをブリードし易さの指標とした。すなわち、
ブリードが観察され始めたテストピースの長さが長いほ
どブリードし易いということになる。 <試験評価結果>試験結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】同表によれば、可塑剤としてATBCを混
合した実施例2とDOPを混合した比較例2とを比較す
ると、引張特性及び引裂特性が同等レベルであることが
確認できる。これについては理由が明らかではないが、
DOP及びATBCは共にポリウレタン分子骨格との相
互作用が同程度であるため、それらがポリウレタン組成
物の物性に与える影響にも違いが現れないためであると
考えられる。また、実施例2と比較例2とは同等のブリ
ード性を有することが確認できる。従って、摩擦伝動で
あるVベルトやVリブドベルトを形成するためのウレタ
ン組成物に混合する可塑剤としてATBCを使用して
も、ブリードによるベルトのスリップ性は従来レベルが
確保されることとなる。
【0044】次に、実施例2と他の可塑剤を混合した比
較例4及び5とを比較すると、比較例4及び5では引張
特性及び引裂特性が実施例2に比べて劣ることが確認で
きる。この理由も明らかではないが、比較例4のジ−
(2−エチルヘキシル)アゼレート及び比較例5のトリ
メリット酸混合エステル可塑剤は、ポリウレタン骨格と
の相溶性がATBCやDOPよりも悪い。このため、ポ
リウレタンマトリックス内での分散も悪く、ポリウレタ
ン組成物にクラックを与えやすくなり、破断強度や引裂
強度のような破壊特性の低下を招いたものと考えられ
る。また、実施例2よりも比較例4及び5の方がブリー
ドし易いという傾向が確認できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るVリブドベルトBの斜
視図である。
【図2】ブリード性試験評価用のテストピースの正面図
である。
【符号の説明】
1 ベルト本体 2 リブ部 3 背面コグ部 4 心線 11 テストピース 12 留め具 B Vリブドベルト

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応さ
    せてウレタン製ベルトを製造するために使用されるベル
    ト成形用ウレタン組成物であって、 ポリオールとポリイソシアネートとを合成して生成した
    ウレタンプレポリマーに、クエン酸エステル系化合物を
    混合してなることを特徴とするベルト成形用ウレタン組
    成物。
  2. 【請求項2】 上記クエン酸エステル系化合物の混合量
    が、上記プレポリマー100重量部に対して3〜40重
    量部であることを特徴とする請求項1に記載のベルト成
    形用ウレタン組成物。
  3. 【請求項3】 上記クエン酸エステル系化合物がアセチ
    ルトリ−n−ブチルシトレートであることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のベルト成形用ウレタン組
    成物。
  4. 【請求項4】 上記ポリオールがポリエーテルグリコー
    ルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
    れか一に記載のベルト成形用ウレタン組成物。
  5. 【請求項5】 硬化反応によりポリウレタンウレア組成
    物が形成されるように、硬化剤としてアミン化合物が混
    合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の
    いずれか一に記載のベルト成形用ウレタン組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一に記
    載のベルト成形用ウレタン組成物によりベルト本体が形
    成されていることを特徴とする伝動ベルト。
  7. 【請求項7】 上記ベルト本体がVベルト本体であるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の伝動ベルト。
  8. 【請求項8】 上記ベルト本体がVリブドベルト本体で
    あることを特徴とする請求項6に記載の伝動ベルト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013526629A (ja) * 2010-05-10 2013-06-24 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 少なくとも1種の脂肪族カルボン酸でエステル化されたグリセロールを可塑剤として含む、熱可塑性のポリウレタン
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