JP2003200807A - エアバッグ装置のカバー体 - Google Patents

エアバッグ装置のカバー体

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JP2003200807A
JP2003200807A JP2001401908A JP2001401908A JP2003200807A JP 2003200807 A JP2003200807 A JP 2003200807A JP 2001401908 A JP2001401908 A JP 2001401908A JP 2001401908 A JP2001401908 A JP 2001401908A JP 2003200807 A JP2003200807 A JP 2003200807A
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JP2001401908A
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Takahiro Suwama
貴博 諏訪間
Shuji Yamada
修司 山田
Megumi Morii
恵 森井
Yasushi Yakushiji
裕史 薬師寺
Izumi Sato
泉 佐藤
Tomoji Yamada
智司 山田
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Nihon Plast Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インストルメントパネルに一体的にカバー体
を形成する。エアバッグの展開時にカバー体をテアライ
ンに沿って円滑に破断する。 【解決手段】 折り畳んだエアバッグを覆うカバー体11
を、硬質樹脂製のパネル体21の裏面に軟質樹脂製のバッ
キング部材22を固着して構成する。エアバッグの展開時
に、パネル体21の扉予定部26を、テアライン24に沿って
非展開部25から切り離す。バッキング部材22に設けたヒ
ンジ部37を支点として、扉予定部26は回動し、エアバッ
グの突出口を形成する。テアライン24は、直線部27とコ
ーナ部28とで形成する。コーナ部28は、半径30mm以下
の曲線状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車の
助手席乗員用のエアバッグ装置のカバー体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、自動車の内装パネルであ
るインストルメントパネルの内側すなわち裏面側に配置
される助手席乗員用のエアバッグ装置が知られている。
このエアバッグ装置は、箱状をなすリテーナを備え、こ
のリテーナの内側に、折り畳まれたエアバッグと、この
エアバッグを膨張させるガスを噴射するインフレータと
を収納しているとともに、リテーナ上側の開口部は、イ
ンストルメントパネルに沿って取り付けられるカバー体
により覆われている。さらに、このカバー体には、平面
略C字状などの破断可能なテアラインが形成され、この
テアラインに囲まれた部分が扉予定部として区画形成さ
れている。そして、このエアバッグの下部は、インスト
ルメントパネルの内側に車幅方向に沿って配置されたリ
インフォースに固定され、リテーナの上部は、カバー体
の裏面側に一体に形成された前後一対の取付片に係止さ
れている。そして、自動車の衝突時には、インフレータ
からガスを噴射してエアバッグを膨張させ、このエアバ
ッグの膨張の圧力によりテアラインを破断し、テアライ
ンを形成していない部分をヒンジとしてカバー体を扉状
に展開させて突出口を形成し、この突出口からエアバッ
グを膨張させ、乗員に加わる衝撃を緩和するようになっ
ている。
【0003】ここで、インストルメントパネルにエアバ
ッグ装置を備えることが極めて通常のこととなった今日
では、エアバッグ装置の存在をことさらに明示しないこ
とにより、すっきりとした意匠とし、車室の見映えを向
上する構成が求められる場合がある。
【0004】この点、例えば、特開2001−3925
4号公報に示されるように、カバー体をインストルメン
トパネルと一体に形成し、すなわち、インストルメント
パネルの裏面側に前後一対の取付片を形成するととも
に、これら取付片同士の間の裏面側に溝状のテアライン
を形成した構成が知られている。そして、この構成で
は、テアラインは閉ループ状に形成されているととも
に、このテアラインを越えてアルミニウム製などの金属
製の裏当部材が配置され、テアラインの内側の扉予定部
と、テアラインの外側の取付片とにそれぞれ固着されて
いる。そこで、エアバッグ装置の作動時には、エアバッ
グの膨張の圧力により裏当部材を介して扉予定部の全面
が押し上げられ、閉ループ状のテアラインの破断によ
り、扉予定部がインストルメントパネルの他の部分から
切り離されて突出口を形成する。そして、切り離された
扉予定部は、裏当部材のテアラインに対応する部分をヒ
ンジとして外側に展開するようになっている。
【0005】また、この公報記載の構成では、インスト
ルメントパネルが開くドア部分は、プラスチック材料を
用いた一般的な射出成形法により形成され、材料として
は、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ある
いはABSを使用し、好ましくはインストルメントパネ
ルの他の部分と同じ材質とする旨が示されている。
【0006】しかしながら、この公報記載の構成では、
ドア部分の形状は、公報の図2あるいは図12などに示
されるように、リセスと呼ばれるテアラインは、滑らか
で径寸法の大きな曲線部で直線部同士を接続し、また、
図12に示す構成では、一部の直線部に代えて、比較的
大きな曲率の曲線とこの曲線と他の曲線を結ぶ比較的小
さな曲率の曲線とを組み合わせて用いている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ドア部
分のテアラインを滑らかな曲線で構成すると、展開後の
ドア部分の形状は丸みを帯びることが図られるものの、
本願発明者らが上記公報の教示するところに基づいた実
験を行った結果、必ずしも上記曲線を多用したドア形状
が好ましいとは認められなかった。すなわち、エアバッ
グの展開においては、きわめて短い時間でドアが切り離
され、硬質の樹脂については、ヒンジに交叉する方向の
開裂と、ヒンジに略平行する方向の開裂とが殆ど時差な
くなされる。インストルメントパネルに一般に使用され
る硬質樹脂では、大きな曲線をコーナに設定すると、ド
アの開裂においてはむしろ開裂端末が不整に形成される
場合があることが認められた。特に低温域において不整
の度が増大する傾向を有し、自動車の通常の使用温度範
囲で安定した展開性能を得るための一層の改善が望まれ
ている。
【0008】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、外観の自由度を向上できるとともに、広い温度域
で所望の特性を確保できるエアバッグ装置のカバー体を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のエアバッ
グ装置のカバー体は、折り畳んで収納されたエアバッグ
を覆うとともに、このエアバッグの膨張時にこのエアバ
ッグが突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカ
バー体であって、樹脂製のパネル体と、このパネル体の
前記エアバッグ側である裏面側に配置され前記パネル体
より軟質で変形可能なバッキング部材とを具備し、前記
パネル体は、前記エアバッグに対向する扉予定部と、こ
の扉予定部を囲む非展開部と、これら扉予定部と非展開
部とを区画し前記エアバッグの膨張時の圧力で破断する
閉ループ状の破断部とを備え、前記バッキング部材は、
前記非展開部に固着される固定部と、前記扉予定部に固
着される扉補強部と、前記破断部を横断してこれら固定
部と扉補強部とを一体に連結する変形可能なヒンジ部と
を備え、破断部は、直線状に形成された複数の直線部
と、これら直線部同士を連結する半径30mm以下の曲線
状のコーナ部とを備えたものである。
【0010】そして、この構成では、エアバッグが膨張
すると、この膨張の圧力により、閉ループ状の破断部が
破断し、扉予定部が非展開部から切り離されて、パネル
体にエアバッグの突出口が形成される。破断部で非展開
部から切り離された扉予定部は、バッキング部材により
パネル体に連結され、ヒンジ部が支点となって回動す
る。破断部は、直線状に形成された複数の直線部と、こ
れら直線部同士を連結する半径30mm以下の曲線状のコ
ーナ部とを備えたため、膨張の圧力により、破断部が円
滑に破断する。パネル体は、柔軟に変形する特性を備え
る必要がなく、硬質な樹脂で形成可能であり、エアバッ
グ装置以外の部材と一体に形成して、外観の向上が容易
になる。
【0011】請求項2記載のエアバッグ装置のカバー体
は、請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体におい
て、破断部は、直線状に形成された複数の直線部と、こ
れら直線部同士を連結する半径15mm以下の曲線状のコ
ーナ部とを備えたものである。
【0012】そして、この構成では、膨張の圧力によ
り、破断部が円滑に破断する。
【0013】請求項3記載のエアバッグ装置のカバー体
は、折り畳んで収納されたエアバッグを覆うとともに、
このエアバッグの膨張時にこのエアバッグが突出する突
出口が形成されるエアバッグ装置のカバー体であって、
樹脂製のパネル体と、このパネル体の前記カバー体側で
ある裏面側に配置され前記パネル体より軟質で変形可能
なバッキング部材とを具備し、前記パネル体は、前記エ
アバッグに対向する扉予定部と、この扉予定部を囲む非
展開部と、これら扉予定部と非展開部とを区画し前記エ
アバッグの膨張時の圧力で破断する閉ループ状の破断部
とを備え、前記バッキング部材は、前記非展開部に固着
される固定部と、前記扉予定部に固着される扉補強部
と、前記破断部を横断してこれら固定部と扉補強部とを
一体に連結する変形可能なヒンジ部とを備え、破断部
は、直線状に形成された複数の直線部と、これら直線部
同士を直接連結する角部であるコーナ部を備えたもので
ある。
【0014】そして、この構成では、エアバッグが膨張
すると、この膨張の圧力により、閉ループ状の破断部が
破断し、扉予定部が非展開部から切り離されて、パネル
体にエアバッグの突出口が形成される。破断部で非展開
部から切り離された扉予定部は、バッキング部材により
パネル体に連結され、ヒンジ部が支点となって回動す
る。破断部は、直線状に形成された複数の直線部と、こ
れら直線部同士を直接連結する角部であるコーナ部とを
備えたため、膨張の圧力により、破断部が円滑に破断す
る。パネル体は、柔軟に変形する特性を備える必要がな
く、硬質な樹脂で形成可能であり、エアバッグ装置以外
の部材と一体に形成して、外観の向上が容易になる。
【0015】請求項4記載のエアバッグ装置のカバー体
は、請求項1ないし3いずれか記載のエアバッグ装置の
カバー体において、バッキング部材は、破断部の外周側
の縁部に沿って非展開部に固着されるとともにエアバッ
グ装置を構成する他の部材に取り付けられる連結片を備
えたものである。
【0016】そして、この構成では、エアバッグが膨張
すると、この膨張の圧力による力を破断部に集中させや
すく、破断部が円滑に破断する。
【0017】請求項5記載のエアバッグ装置のカバー体
は、請求項1ないし4いずれか記載のエアバッグ装置の
カバー体において、パネル体は、表面が略平坦な平坦部
を有して射出形成され、扉予定部は、前記平坦部に位置
し、破断部を切り刃で彫刻して区画形成されるものであ
る。
【0018】そして、この構成では、パネル体の表面に
はエアバッグ装置を配置した位置が現れず、外観の向上
が容易になる。
【0019】請求項6記載のエアバッグ装置のカバー体
は、請求項1ないし5いずれか記載のエアバッグ装置の
カバー体において、バッキング部材は、曲げ弾性率58
8〔MPa〕(6000〔kgf/cm〕)以下で、マイナス4
0℃におけるアイゾット試験(JIS K-7110)で非破壊の軟
質樹脂であるものである。
【0020】そして、この構成では、低い温度域を含む
広い温度条件の下で、エアバッグの突出口が安定して形
成される所望の特性が容易に確保される。また、バッキ
ング部材を樹脂としたため、パネル体及び扉予定部がと
もに樹脂製となり、熱的な寸法安定性が容易に確保され
る。
【0021】請求項7記載のエアバッグ装置のカバー体
は、請求項1ないし6いずれか記載のエアバッグ装置の
カバー体において、パネル体は、自動車の内装パネルを
構成するものである。
【0022】そして、この構成では、カバー体が自動車
の内装パネルに一体的に形成され、外観の自由度が向上
するとともに、低い温度域を含む広い温度条件の下で、
エアバッグの突出口を安定して形成できる所望の特性が
容易に確保される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のエアバッグ装置の
カバー体の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】図1ないし図7において、1は自動車のイ
ンストルメントパネル部で、このインストルメントパネ
ル部1は、車室の前部に車幅方向の略全長にわたり設け
られ、このインストルメントパネル部1の上方には、フ
ロントウィンドウガラス2が位置している。
【0025】そして、このインストルメントパネル部1
の内部には、助手席の乗員に対向して、エアバッグ装置
3が設置されている。そして、このエアバッグ装置3
は、リテーナとも呼ばれるケース体5と、このケース体
5の下部のリアクションキャニスタ6内に収納されたイ
ンフレータ7と、ケース体5の上部に折り畳んで収納さ
れたエアバッグ8と、このケース体5の上部の開口部9
を覆うカバー体11とを備えている。そして、このエアバ
ッグ装置3は、ケース体5のリアクションキャニスタ6
をブラケット14を介して車体のリインフォース15に固定
して、車体に取り付けられている。また、ケース体5の
上部とリアクションキャニスタ6との間は、上下に連通
するガス噴出口16aを設けたミッドリテーナ16で区画さ
れている。さらに、ケース体5の上部の前面及び後面に
は、断面略C字状などのフック18が取り付けられてい
る。なお、本実施の形態では、インフレータ7は燃焼タ
イプ(パイロタイプ)であるが、ガスを圧縮して貯留す
るタイプなど、他種のインフレータを用いることもでき
る。
【0026】そして、カバー体11は、いわゆるインスト
ルメントパネルを構成するパネル体21と、このパネル体
21の下面である裏面に取り付けられたバッキング部材22
とを備えている。
【0027】そして、パネル体21は、インストルメント
パネル部1の表面側を一体的に覆い、すなわち、車室の
前部に車幅方向の略全長にわたり設けられている。そし
て、このパネル体21は、曲げ弾性率2969〔MPa〕(3
0300〔kgf/cm〕)の硬質ポリプロピレン樹脂によ
る射出成形品で、表面にはフロントウィンドウガラス2
への映り込みを防止するとともに、好ましい皮革などを
模した外観を得るための艶消しシボ加工が施されてい
る。なお、パネル体21を構成する樹脂は、曲げ弾性率1
078〔MPa〕(11000〔kgf/cm〕)以上、好まし
くは、1862〔MPa〕(19000〔kgf/cm〕)以上
の硬質樹脂が好適である。具体的には、上記のポリプロ
ピレンの他、例えば、塩化ビニル、ABS、変性PPO
(ポリフェニレンオキサイド)、ポリカーボネート、ある
いはこれらを組み合せた複合樹脂などが使用できる。こ
の複合樹脂としては、例えば、ポリカーボネートとAB
Sの複合樹脂などを用いることができる。また、当該分
野または関連分野にて通常使用される樹脂に利用される
複合化技術、例えば、タルク、ウィスカー、チタンホワ
イトなど物性や色調を調整するための種々の添加剤を加
えることもできる。
【0028】そして、このパネル体21の裏面側には、ケ
ース体5の上部の開口部9に略対向して、破断部として
のテアライン24が閉ループ状である四角形枠状に形成さ
れ、非展開部25に囲まれた平面長方形状の扉予定部26が
区画形成されている。そして、テアライン24は、テア
溝、破断予定線、開裂予定溝などとも呼ばれる破断可能
な弱部であり、パネル体21の成形後に、射出成形により
平坦に形成された平坦部にフライス刃などの回転刃によ
り彫刻して後加工した切削溝である。従って、射出成形
時および溝形成過程においては、パネル体21の表面には
全く艶ムラが生じない。すなわち、薄肉部と厚肉部(一
般部)との板厚差に起因する成形収縮差によるシンクマ
ーク(通称「ひけ」と呼ばれる)や、超音波加熱や熱プ
レスなどによる摩擦や熱履歴の影響が生ずることがな
く、表面側を容易に平滑に形成でき、エアバッグ装置3
の位置をことさらに目立たせることなく、意匠の自由度
を向上できるものである。
【0029】さらに、このテアライン24は、直線状に形
成された2対の対向する4辺の直線部27と、これら直線
部27同士を連結する連結部(コーナ部)としてのいずれも
半径6mmの単純な円弧であるコーナ部28とにより長方形
状に形成されている。
【0030】なお、各直線部27は、いずれも真正な直線
としたが、実質的な直線であっても良く、具体的には、
本実施の形態では、半径が500mmを越える曲線は、真
正な直線と同様に扱うことができる。
【0031】また、各コーナ部28は、半径6mmの円弧と
したが、半径30mm以内の曲線、好ましくは半径15mm
以内の曲線、さらに好ましくは半径10mm以内の曲線と
することができ、さらには、各直線部27を直接接続した
角部とすることもできる。さらに、各コーナ部28は、全
て同じ形状とする他、互いに異なる形状とすることもで
きる。
【0032】また、このテアライン24の断面は、図3に
示すように断面略三角状とする他、図1に示すように断
面略台形状とすることもできる。
【0033】一方、バッキング部材22は、軟質樹脂製
で、扉予定部26よりも大きい平面形状を有し、テアライ
ン24の内側及び外側に溶着され、すなわち、パネル体21
の裏面の扉予定部26及びこの扉予定部26の周囲の非展開
部25に結合されている。そして、このバッキング部材22
は、曲げ弾性率274〔MPa〕(2800〔kgf/cm〕)
のTPO樹脂(サーモプラスチックオレフィン)の射出
成形品である。なお、バッキング部材22の材質として
は、TPO樹脂の他にも、TPU(ウレタン系)、TP
E(ポリエステル系)、SES、SEBS(スチレン
系)等の略称で呼ばれる軟質の各種エラストマー樹脂が
適用可能であり、曲げ弾性率としては588〔MPa〕(6
000〔kgf/cm〕)以下、好ましくは、441〔MPa〕
(4500〔kgf/cm〕)以下で選択できる。
【0034】そして、このバッキング部材22は、扉予定
部26よりも大きい平面形状を有する略平板状の基板部31
と、この基板部31の裏面から下方に突設された筒状の取
付片部32とが一体に形成されている。また、基板部31に
は、パネル体21のテアライン24に対向する部位に沿っ
て、前側の辺部を除いて、小さい幅のスリット状の切断
部34が平面略コ字形に形成され、非展開部25に接合され
る周縁補強部である枠状の固定部35と、扉予定部26に接
合される扉補強部36とが区画形成されている。さらに、
テアライン24の前側の辺部である直線部27に対向する部
位には、このテアライン24を跨ぎ、固定部35と扉補強部
36とを連結する変形可能なヒンジ部37が形成されてい
る。そして、このヒンジ部37には、図3及び図5に示す
ように、下方に膨出するように湾曲した断面弧状さらに
は断面略U字状の湾曲部であるヒンジ本体部38が設けら
れ、このヒンジ本体部38に囲まれた部分が、ポケット部
40となっている。
【0035】また、このヒンジ部37のヒンジ本体部38
は、テアライン24に対して相対的に内側すなわち扉予定
部26の内周側に偏倚する位置関係にある。そして、ヒン
ジ部37のヒンジ本体部38は、バッキング部材22の固定部
35及び扉補強部36と同一の厚さ寸法である3.0mmの厚
さ寸法で一定に形成されている。さらに、図3に示すパ
ネル体21及びバッキング部材22の各部の寸法について
は、本実施の形態では、バッキング部材22の基板部31の
表面側からヒンジ部37の裏面の裏面側の端部までの深さ
寸法H1は11mm、バッキング部材22の基板部31の表面
からヒンジ部37の表面の裏面側の端部までの寸法すなわ
ちポケット部40の深さ寸法H2は8mm、バッキング部材2
2の表面側のヒンジ部37のヒンジ本体部38の凹部の外幅
寸法W1は20mm、バッキング部材22の表面側のヒンジ
部37のヒンジ本体部38の内周側の縁部からテアライン24
の中心部までのバッキング部材22の表面側に沿った方向
の寸法W2は13mmに設定されている。
【0036】なお、これらの寸法は、使用する樹脂の特
性とエアバッグ8のサイズすなわち容量、形状や、イン
フレ−タ7の形式やガス噴射特性など、種々の因子を考
慮して設定するが、ヒンジ部37の深さ寸法H1は上限1
5mm程度、ヒンジ部37の外幅寸法W1は10mmないし3
0mm、ヒンジ本体部38の部分の厚さ寸法は厚み1mmない
し5mmとし、さらに、ヒンジ部37の断面形状は、図3に
示すような側面視で対称形のほか、左右非対称とし、あ
るいは湾曲部であるヒンジ本体部38に沿って厚みを変化
させるなど、種々の変形が可能である。
【0037】なお、ヒンジ部37のヒンジ本体部38はエア
バッグ8を収納する空間に向かって膨出するリブ状とな
っており、このエアバッグ8の収納空間を占有するもの
であるので、上記の寸法範囲を選択することは、エアバ
ッグ8の収納空間の確保上好ましい。また、エアバッグ
8の膨張に際しては、ヒンジ本体部38にエアバッグ8の
膨張圧力が加わることから、ヒンジ機能を発揮しうる範
囲で潰れ変形を少なくすることも考慮すべきであり、上
記寸法は好ましい範囲である。しかしながら、本発明は
必ずしもこれらに限定されるべきものではない。また、
例えば図4に示すように、ヒンジ部37のヒンジ本体部38
は、テアライン24の前側の直線部27に沿って長手方向に
連続して形成したが、この構成に限られず、例えば、複
数のヒンジ本体部38を間欠的に配置してヒンジ部37を構
成することもできる。
【0038】一方、バッキング部材22の取付片部32は、
テアライン24の外周側に近接した位置に沿って、所定の
方向に向かい四角筒状に突設されている。そして、この
取付片部32の前後に対向する面部が前後一対の係止部4
2,43になっている。そして、これら係止部42,43に
は、それぞれ四角状の角孔である取付孔45が形成され、
これら取付孔45に、ケース体5の各フック18が係止され
ている。なお、バッキング部材22は樹脂製のため、この
ような係止部42,43の一体形成が容易である。さらに、
バッキング部材22はパネル体21とは別体に形成されてい
るため、係止部42,43の角度は、インストルメントパネ
ルであるパネル体21の形成時の型抜き角度と関係なく、
自由に設定することができる。また、係止部42,43を取
付片部32の前後の対向面部として形成したため、係止部
42,43の強度を容易に向上でき、エアバッグ装置3全体
の支持強度を容易に向上できるとともに、この取付片部
32によりエアバッグ8の膨張方向をガイドする機能も向
上できる。さらに、これら係止部42,43がバッキング部
材22と一体に形成されているため、部品点数の増加を招
くこともなく、製造コストを抑制できる。
【0039】なお、バッキング部材22のパネル体21への
溶着は、振動溶着によるもので、溶着前の段階で、バッ
キング部材22のパネル体21に対向する面には溶着リブを
形成し、パネル体21のバッキング部材22に対向する部位
は一切のリブを形成せず、すなわち、ほぼ平坦な面を形
成する。そして、振動溶着の作業の際は、互いに接触す
る溶着リブと平坦な面とのうち、TPO樹脂からなる溶
着リブが溶けて、パネル体21とバッキング部材22とが互
いに接合される。従って、比較的小さなエネルギーを与
えて強固な接合ができ、パネル体21は確実に固定されバ
ッキング部材22が微小な振幅の振動をされるので、パネ
ル体21の表面の艶消しシボには艶むらなどの影響を生じ
ない。また、溶着リブは、例えば幅1.5mm、高さ1.
0mmで、相隣する溶着リブ同士の間の間隔は5〜15
mmの格子状である。例えば、テアライン24に最も近い
ところは一辺が5mmの正方形とし、テアライン24から
離れるにしたがって一辺が10mmあるいは15mmの
正方形や、5mm×15mmの長方形とされている。な
お、溶着リブは硬質樹脂からなる部材側に設けず軟質樹
脂からなる部材側に設けるのが好ましい。硬質樹脂に溶
着リブを設けると、硬い溶着リブが柔らかい部材を削っ
て深堀りが進むばかりで、境界の樹脂の溶融が進まず、
高い溶着強度が出ないことがあるからである。
【0040】次に、エアバッグ装置3が作動した際のエ
アバッグ8の展開挙動を説明する。
【0041】常温ないし高温において、すなわち、例え
ば、パネル体21の表面温度にして20℃程度から100
℃程度の高温において、本実施の形態のエアバッグ装置
3を装着した自動車が衝突すると、インフレータ7から
ガス噴出口16aを介してエアバッグ8へガスが噴出され
る。すると、エアバッグ8は、ケース体5内で膨張し
て、その膨張力により、バッキング部材22及びパネル体
21の扉予定部26が上方に押し上げられる。この時、エア
バッグ8の膨張力の作用により、テアライン24を全長に
わたって確実に破断し、扉予定部26をパネル体21の他の
部分から切り離すことができる。
【0042】そして、扉予定部26を切り離した状態で、
図6に示すように、ヒンジ部37は柔軟に変形して、扉予
定部26はいわば円滑にスイングアップし、エアバッグ8
の突出口を形成することができる。そして、この突出口
から突出したエアバッグ8は、図1に2点鎖線8aで示す
ように、フロントウィンドウガラス2に沿って膨張展開
し、助手席の乗員を保護する。
【0043】そして、上記の温度では、ヒンジ部37は外
周側すなわち前側の係止部42側の端部近傍を支点Aとし
て回動し、すなわち、破断により形成されたパネル体21
の係止部43側の端末部51は下側すなわちヒンジ部37側に
大きく膨出することなく、ヒンジ部37のヒンジ本体部38
は上方に伸ばされつつ扉予定部26を支えて保持する。こ
のようにして、扉予定部26を一体に設けたパネル体21を
硬質の樹脂で構成しても、エアバッグ8の膨出用の突出
口を適切に開くことができる内装パネルを構成すること
ができる。
【0044】そして、本実施の形態でパネル体21に使用
したポリプロピレン樹脂は、インストルメントパネル部
1の他の部分やさらに周縁の内装部品にも一般的によく
利用されており、したがって、類似のパターンのシボを
選択することにより、室内をきわめて統一感のある仕立
てにすることができる。すなわち、ポリプロピレンなど
の樹脂とエラストマー樹脂とは光沢の現れかたが微妙に
異なるので、同じシボパターンを付与した金型を用いて
も、同じ風合いを得ることが難しい。そこで、エラスト
マーよりなる部品を組み合せなくてもよければ、インス
トルメントパネル部1のアッパーフェイス部となるパネ
ル体21を他の例えばインストルメントパネル部1のロア
ーフェイス部、グローブボックスリッド、メーターバイ
ザーやフロントピラーガーニッシュなどと外観を容易に
統一できるため、構成部品毎の異なる光沢による意匠的
煩雑感を抑制でき、また例えばポリプロピレンに統一す
れば色調の統一も極めて容易になる。そこで、たとえエ
アバッグ装置3を内蔵させたインストルメントパネル部
1であっても、ことさらにエアバッグ装置3の存在を強
調することがなくなり、別体リッドを使用した従来のイ
ンストルメントパネルの外観にあった煩雑な感じを一掃
して、シンプルでスマートな見栄えを容易に実現でき
る。
【0045】次に、低温におけるエアバッグ8の展開の
挙動を説明する。
【0046】図7は、例えば冬季の屋外において冷やさ
れた条件下における場合を模式的に示している。高温に
ついては、太陽光による輻射加熱による場合が想定され
るが、低温は雰囲気温度による冷却による場合が主であ
り、ヒンジ部37は他の部分とともに時間をかけて均一に
冷やされる。このとき、TPO樹脂は冷えて柔軟性が低
くなる。例えば、本実施例のエラストマーは住化TPE
(住友化学工業製)を使用したものであるが、常温であ
る23℃における伸びが700%であるのに対して、低
温であるマイナス40℃においては、伸びが140%、
すなわち五分の一になる。そして、このエラストマー
は、単体でカバー体であるエアバッグリッドを構成でき
るもので、単層構成の扉であれば、低温において平板状
のヒンジに曲げ変形をさせて、扉の円滑な回動が可能で
ある。そのようなエラストマーよりなるバッキング部材
22にインストルメントパネル1を組み合せた本実施例の
ものにおいては、低温では、図7に示すように、ヒンジ
部37はあまり形状を変化させず、幅方向の中央部分を支
点Bとして、ほぼ扉予定部26の端末部51をヒンジ部37の
ポケット部40内に引き込むようにして扉予定部26を立ち
上げ、もってエアバッグ8の突出口を開成できる。
【0047】もとより、インストルメントパネルを構成
するパネル体21は常温にあって硬いものであるが、低温
においてはヒンジ部37の動きによっては、扉予定部26と
パネル体21の周縁の部分とが接触し、すなわち、硬いも
の同志が接触する。このとき、常温あるいは高温の条件
でヒンジ部37が伸びるような変形挙動となるときは、扉
予定部26がパネル体21に触れていても上方にスイングア
ップして円滑に展開する。
【0048】一方、低温下においては、ヒンジ部37が主
に曲げによる変形となるが、本実施の形態では、ヒンジ
部37にポケット部40を設けたため、回動する扉予定部26
の端末部51はポケット部40すなわちヒンジ本体部38の内
部に入ることができ、ヒンジ部37に局所的に大きな力が
作用することを効果的に抑制でき、扉予定部26を円滑に
展開させてエアバッグ8の突出口を開成できる。なお、
このような効果は、扉予定部26の端末部51がポケット部
40に完全に入る場合はもとより、一部でも入って回動す
る場合にも得られる。
【0049】さらに、バッキング部材22は樹脂であるた
め、復原作用を有している。そこで、アルミニウムなど
の金属で構成した場合には扉予定部26は開裂して回動す
るとほとんど開口である突出口側には戻ってこないのに
対して、本実施の形態のヒンジ部37は突出口側に戻る傾
向を有しており、展開するエアバッグ8を押動し、エア
バッグ8の展開特性を乗員の胸部や腹部に向かう指向性
を生じるように誘導することができる。
【0050】次に、テアライン24の開裂挙動について、
図8及び図9を参照して説明する。なお、これら図8及
び図9では、テアライン24の直線部27について、前側の
長辺を27a、後側の長辺を27b、上側から見て左側の短辺
を27c、右側の短辺を27dとして説明する。また、図9に
示す矢印Tは、剪断方向に作用する力(剪断力)を示し
ている。エアバッグ8の膨張で押し上げられる扉予定部
26はテアライン24の全体に剪断力が作用するが、その開
裂は必ずしも均一に起きるものではなく、一定のあるい
は不特定の開裂開始点から伝播するように裂ける。通常
はエアバッグ8の膨張の力は瞬間的にはより中央に加わ
り、したがって、中央のラインCLと長辺27a,27bの交
点の付近が最も開裂開始点として有力である。次の瞬間
に短辺27c,27dが開裂を開始し、各コーナ部28に向かっ
て開裂が進むと考えられる。この開裂は取付片部32がテ
アライン24の外周縁に沿って起立して形成されているた
め、テアライン24の開口溝端末51a側を車体側に引き止
める作用を奏する。よって剪断力Tはきわめて良好に作
用してテアライン24の開裂を生起する。そして、開裂が
各コーナ部28にさしかかると、開裂の伝播方向が変わる
が、この変化が緩やかであると、切れ跡Zが不安定にな
る。とりわけ低温条件でそのような傾向を持つ。
【0051】これは図10に示すように、射出成形工程
における樹脂のフローとキュアに関連していると考えら
れる。すなわち、図10(a)に示すように、溶融された
樹脂が金型M内の扁平な空間(キャビティ)M1に流し
込まれる際には、樹脂の先頭(フローフロント)K1が
キャビティM1の表面に冷やされ流動性を低下させ、後
から供給されるメルト部K2が湧き出すように先頭K1に
現れ、それが樹脂の流れ方向の前側に少し進んだところ
のキャビティ表面で冷やされる、という繰返しによりキ
ャビティM1を満たして行く。したがって、表面のおよ
そ1mmの何分の一かのスキン部K3と、メルト部K2が
冷却されて形成されるコア部K4とは、成形過程におけ
る形成時期に差がある。スキン部K3は比較的早い段階
で流動性が低下してキャビティM1の表面に対して動か
ない状態になる。一方コア部K4はスキン部K3が定まっ
た後も暫くの間メルトK2の通路となって、樹脂が特定
されない。したがって、樹脂の流動方向について上流に
位置するほどすなわちゲートに近いほど、スキン部K3
に対してコア部K4を構成する樹脂が「確定」する時間
差が大きくなる。このため、インストルメントパネルで
あるパネル部21は外観上は単一の樹脂からなる単層の板
状部品であるが、インパクトにより破断するときは、フ
ロープロセスで形成される、見えない「層」が別々の動
きをする。そして、インストルメントパネルであるパネ
ル部21のような比較的サイズの大きい成形品にあって
は、ウエルドラインの発生を極力回避しつつ、可能な限
り合理的なゲートレイアウトをとるのであるが、それで
も一つのゲートから到達すべき樹脂の流動距離は長くな
る場合がある。
【0052】図10(b)は模式的に「層」K3、K4を表
わしている。これに製品表面に付されるシボパターンP
が組み合され、破断方向が緩やかなカーブで曲がると、
図10(c)に模式的に示したようにスキン部K3が不整な
破断面の原因になる。特に平坦に成形したものを切り刃
で彫刻する場合、図10(c)に模式的に示したように、
スキン部K3が不連続となり、破断に関与するスキン部
K3は切り残された表面側(シボ面)のみとなる。ま
た、上記の射出成形パネルの内部の状態を、パネル体21
の厚み方向について説明したが、パネル体21の面方向に
ついても、射出成形のプロセスによる、不均一な内部構
造があり得る。従って、スキン部K3及びコア部K4は面
方向についても完全には均質ではなく、コーナ部28にお
いて切れ跡Zを不安定にする要因に因子となりうる。
【0053】このような点で、種々の樹脂について検討
したところ、半径30mmよりも小さい範囲で不整な破断
面の形成が抑えられるとの知見を得た。好ましい範囲は
半径15mm以下で、本実施の形態では6mmを選択した
が、テアライン24をNCフライス機の連続的な送り動作
で形成するためには、曲線で連結するのがよい。しか
し、もちろん全く曲線を含まず、直線または実質的直線
である辺同志を直接連結させることもできる。
【0054】このように、本実施の形態によれば、硬質
樹脂を表面層とした継ぎ目なし内装パネルであるパネル
体21について、テアライン24を直線部27とこの直線部27
同士を連結するコーナ部28とで構成し、コーナ部28は、
半径30mmよりも小さい曲線あるいは直線部27同士を曲
線を介さずに連結する角部としたため、内装パネルによ
って覆われるエアバッグ装置の作動に際して広い範囲の
温度条件で整った破断形状により扉部を形成して、良好
なエアバッグ膨出通路を開設できる内装パネルを提供で
きる。
【0055】また、本実施の形態によれば、樹脂同士を
接合したため、線膨張係数の差異は金属と樹脂とを組み
合わせた場合よりも小さく、温度変化に対する波打ち状
の変形が生ずる問題を低減して、熱的に安定した外観品
質を得ることができるとともに、ヒンジ部37にポケット
部40を設けたため、広い温度域で扉予定部26を円滑に展
開でき好ましい膨張用通路形成性能を得ることができ
る、エアバッグ装置3を覆うのに好適な内装パネルであ
るカバー体11を提供できる。すなわち、硬質樹脂を表面
層とした継ぎ目なし内装パネルであって、広い範囲の温
度条件で熱変形を生じにくいとともに、内装パネルによ
って覆われるエアバッグ装置の作動に際してそのような
温度範囲で良好なエアバッグ膨出通路を開設できる内装
パネルを提供できる。すなわち、車体側のエアバッグ装
置を覆うように取り付けられる硬質樹脂製のパネル体
(パネル本体部)21のエアバッグ装置対向面に、軟質樹脂
製のバッキング部材22を取り付けた自動車の内装パネル
構造であって、パネル体21には、少なくとも一部に直線
部27を有する閉ループ状のテアライン(開裂予定溝)24で
区画された扉予定部26を形成し、バッキング部材22は、
扉予定部26の直線部27を横断して扉予定部26とその外周
縁部の非展開部25とを連結するヒンジ部37と、車体に連
結する連結片である取付片部32と、ヒンジ部37を介して
連結片に一体的に形成され扉予定部26に接合された扉補
強部36とを有し、ヒンジ部37は、扉予定部26の回動時
に、端末部51の余長を収容可能なポケット部40を有する
構成としたため、広い範囲の温度域で安定してエアバッ
グ膨出用通路を形成できる。また、パネル体21とバッキ
ング部材22はともに樹脂製であるので、容易に温度変化
に対する変形を生じにくいものとすることができる。簡
潔な構造でよいので、コストの増加がなく又は抑制でき
る。
【0056】また、バッキング部材22は、曲げ弾性率5
88〔MPa〕(6000〔kgf/cm〕)以下、マイナス4
0℃におけるアイゾット試験(JIS K-7110)で非破壊の軟
質樹脂とすることにより、低い温度条件においても、安
定してエアバッグ膨出用通路である突出口を形成でき
る。
【0057】なお、上記の実施の形態では、1個の扉予
定部26を一方向例えば前方向に展開させる構成を示した
が、他の構成を採ることもできる。例えば、図11及び
図12に示す実施の形態のように、パネル体21について
は、枠状のテアライン24に加え、前後方向の中央部に両
側方向に伸びるテアライン24aを形成して、一対の扉予
定部26,26を形成するとともに、バッキング部材22につ
いても、略H字状の切断部34により一対の扉補強部36,
36を形成し、これら扉補強部36,36をそれそれ前後の係
止部42,43側にヒンジ部37,37で連結して、いわゆる観
音開き様式でエアバッグ8の突出口を形成することもで
きる。
【0058】また、パネル体21とバッキング部材22との
固定方法も、上記の構成に限られず、適宜の構成を採る
ことができる。
【0059】例えば、図13に示すように、超音波ホー
ン溶着によることができる。すなわち、バッキング部材
22の取付片部32の内側に沿っては幅5mm、長さ220mm
の当て面を有する図示しないホーン(以下、ホーンC1と
いう)を用いて加振溶着し、取付片部32の外側及び扉補
強部36は幅16mm、長さ90mmの当て面を有する図示し
ないホーン(以下、ホーンC2という)により加振溶着す
る。そして、取付片部32の長辺外側は、ホーンC2を辺
に沿って3回に分けて押圧加振することにより溶着す
る。また、取付片部32の短辺外側は、ホーンC2を辺に
沿って2回に分けて押圧加振することにより溶着する。
このようにして取付片部32の外周をホーンC2による1
0回の溶着作業で完了する。次に、扉補強部36を5回ホ
ーンC2を押し当てて溶着する。最後に、ヒンジ部37と
は反対側の長辺の内側をホーンC1の1回の加振溶着を
行う。なお、図13においては、説明のため、ホーンを
押し当てた押し当て部Dを明確に区切って斜線を付して
示したが、実際には、目視で判別することができるほど
押し当て跡は明瞭でない。また、押し当て部Dは一部の
みを示し、また隣り合う2つの重なりを説明するために
互いに僅かにずらしてあるが、実施においては殆どずれ
を設定しない。なお、この場合、上記の溶着リブをバッ
キング部材22側に設けるのが効果的であるが、パネル体
21及びバッキング部材22のいずれも溶着リブを形成しな
い単純面とすることもできる。
【0060】また、以上の実施例においてはバッキング
部材22をエラストマー樹脂で構成した場合に基づいて説
明したが、加硫ゴム(SBR、IRなど)、あるいはア
ルミニウム合金などで構成することもできる。この場
合、溶着によらず、パネル体21側に一体のボスを形成
し、バッキング部材22側の通孔に挿通させて、熱かし
め、いわゆるスピードナットなどの扁平な金具で固定す
るなどの手段によることもできる。
【0061】なお、上記の実施の形態では、インストル
メントパネル部1の助手席乗員用のエアバッグ装置3の
カバー体11について説明したが、自動車の内装パネルと
して他の場所に設置されるエアバッグ装置のカバー体に
適用することもできる。
【0062】
【発明の効果】請求項1記載のエアバッグ装置のカバー
体によれば、エアバッグが膨張すると、この膨張の圧力
により、閉ループ状の破断部が破断し、扉予定部が非展
開部から切り離されて、パネル体にエアバッグの突出口
を形成できる。破断部で非展開部から切り離された扉予
定部は、バッキング部材によりパネル体に連結され、ヒ
ンジ部が支点となって回動する。パネル体及び扉予定部
はともに樹脂製であるため、温度変化による変形を抑制
して容易に強固に固定できる。破断部は、直線状に形成
された複数の直線部と、これら直線部同士を連結する半
径30mm以下の曲線状のコーナ部とを備えたため、膨張
の圧力により、破断部を円滑に破断できる。パネル体
は、柔軟に変形する特性を備える必要がなく、硬質な樹
脂で形成可能であり、エアバッグ装置以外の部材と一体
に形成して、外観を容易に向上できる。
【0063】請求項2記載のエアバッグ装置のカバー体
によれば、請求項1記載の効果に加え、膨張の圧力によ
り、破断部を円滑に破断できる。
【0064】請求項3記載のエアバッグ装置のカバー体
によれば、エアバッグが膨張すると、この膨張の圧力に
より、閉ループ状の破断部が破断し、扉予定部が非展開
部から切り離されて、パネル体にエアバッグの突出口を
形成できる。破断部で非展開部から切り離された扉予定
部は、バッキング部材によりパネル体に連結され、ヒン
ジ部が支点となって回動する。パネル体及び扉予定部は
ともに樹脂製であるため、温度変化による変形を抑制し
て容易に強固に固定できる。破断部は、直線状に形成さ
れた複数の直線部と、これら直線部同士を直接連結する
角部であるコーナ部とを備えたため、膨張の圧力によ
り、破断部を円滑に破断できる。パネル体は、柔軟に変
形する特性を備える必要がなく、硬質な樹脂で形成可能
であり、エアバッグ装置以外の部材と一体に形成して、
外観を容易に向上できる。
【0065】請求項4記載のエアバッグ装置のカバー体
によれば、請求項1ないし3いずれか記載の効果に加
え、エアバッグが膨張すると、この膨張の圧力による力
を破断部に集中させやすく、破断部を円滑に破断でき
る。
【0066】請求項5記載のエアバッグ装置のカバー体
によれば、請求項1ないし4いずれか記載の効果に加
え、パネル体の表面にはエアバッグ装置を配置した位置
が現れず、外観を容易に向上できる。
【0067】請求項6記載のエアバッグ装置のカバー体
によれば、請求項1ないし5いずれか記載の効果に加
え、低い温度域を含む広い温度条件の下で、エアバッグ
の突出口を安定して形成できる所望の特性を容易に確保
できる。また、バッキング部材を樹脂としたため、パネ
ル体及び扉予定部がともに樹脂製となり、熱的な寸法安
定性を容易に確保できる。
【0068】請求項7記載のエアバッグ装置のカバー体
によれば、請求項1ないし6いずれか記載の効果に加
え、カバー体を自動車の内装パネルに一体的に形成で
き、外観の自由度を向上できるとともに、低い温度域を
含む広い温度条件の下で、エアバッグの突出口を安定し
て形成できる所望の特性を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバー体を備えたエアバッグ装置の一
実施の形態を示す断面図である。
【図2】同上カバー体を示す一部を切り欠いた斜視図で
ある。
【図3】同上カバー体を示す図2のI−I断面図であ
る。
【図4】同上カバー体を示す図2の矢印II方向から見た
底面図である。
【図5】同上カバー体を示す一部を拡大した断面図であ
る。
【図6】同上カバー体の高温時の動作を示す説明図であ
る。
【図7】同上カバー体の低温時の動作を示す説明図であ
る。
【図8】同上カバー体のパネル体を示す底面図である。
【図9】同上カバー体の展開動作を示す一部を切り欠い
た斜視図である。
【図10】同上カバー体のパネル体の製造工程を示す説
明図である。
【図11】本発明のカバー体の他の実施の形態を示す断
面図である。
【図12】同上カバー体を示す一部の底面図である。
【図13】本発明のカバー体のさらに他の実施の形態を
示す図2の矢印II相当方向から見た底面図である。
【符号の説明】
3 エアバッグ装置 8 エアバッグ 11 カバー体 21 パネル体 22 バッキング部材 24 破断部としてのテアライン 25 非展開部 26 扉予定部 27 直線部 28 コーナ部 35 固定部 36 扉補強部 37 ヒンジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森井 恵 静岡県富士市青島町218番地 日本プラス ト株式会社内 (72)発明者 薬師寺 裕史 静岡県富士市青島町218番地 日本プラス ト株式会社内 (72)発明者 佐藤 泉 静岡県富士市青島町218番地 日本プラス ト株式会社内 (72)発明者 山田 智司 静岡県富士市青島町218番地 日本プラス ト株式会社内 Fターム(参考) 3D044 BA07 BB01 BC07 BC13 3D054 AA03 AA14 BB09 BB16 BB22 BB23 FF18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 折り畳んで収納されたエアバッグを覆う
    とともに、このエアバッグの膨張時にこのエアバッグが
    突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバー体
    であって、 樹脂製のパネル体と、このパネル体の前記エアバッグ側
    である裏面側に配置され前記パネル体より軟質で変形可
    能なバッキング部材とを具備し、 前記パネル体は、前記エアバッグに対向する扉予定部
    と、この扉予定部を囲む非展開部と、これら扉予定部と
    非展開部とを区画し前記エアバッグの膨張時の圧力で破
    断する閉ループ状の破断部とを備え、 前記バッキング部材は、前記非展開部に固着される固定
    部と、前記扉予定部に固着される扉補強部と、前記破断
    部を横断してこれら固定部と扉補強部とを一体に連結す
    る変形可能なヒンジ部とを備え、 破断部は、直線状に形成された複数の直線部と、これら
    直線部同士を連結する半径30mm以下の曲線状のコーナ
    部とを備えたことを特徴とするエアバッグ装置のカバー
    体。
  2. 【請求項2】 破断部は、直線状に形成された複数の直
    線部と、これら直線部同士を連結する半径15mm以下の
    曲線状のコーナ部とを備えたことを特徴とする請求項1
    記載のエアバッグ装置のカバー体。
  3. 【請求項3】 折り畳んで収納されたエアバッグを覆う
    とともに、このエアバッグの膨張時にこのエアバッグが
    突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバー体
    であって、 樹脂製のパネル体と、このパネル体の前記カバー体側で
    ある裏面側に配置され前記パネル体より軟質で変形可能
    なバッキング部材とを具備し、 前記パネル体は、前記エアバッグに対向する扉予定部
    と、この扉予定部を囲む非展開部と、これら扉予定部と
    非展開部とを区画し前記エアバッグの膨張時の圧力で破
    断する閉ループ状の破断部とを備え、 前記バッキング部材は、前記非展開部に固着される固定
    部と、前記扉予定部に固着される扉補強部と、前記破断
    部を横断してこれら固定部と扉補強部とを一体に連結す
    る変形可能なヒンジ部とを備え、 破断部は、直線状に形成された複数の直線部と、これら
    直線部同士を直接連結する角部であるコーナ部を備えた
    ことを特徴とするエアバッグ装置のカバー体。
  4. 【請求項4】 バッキング部材は、破断部の外周側の縁
    部に沿って非展開部に固着されるとともにエアバッグ装
    置を構成する他の部材に取り付けられる連結片を備えた
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のエア
    バッグ装置のカバー体。
  5. 【請求項5】 パネル体は、表面が略平坦な平坦部を有
    して射出形成され、扉予定部は、前記平坦部に位置し、
    破断部を切り刃で彫刻して区画形成されることを特徴と
    する請求項1ないし4いずれか記載のエアバッグ装置の
    カバー体。
  6. 【請求項6】 バッキング部材は、曲げ弾性率588
    〔MPa〕以下で、マイナス40℃におけるアイゾット試
    験(JIS K-7110)で非破壊の軟質樹脂であることを特徴と
    する請求項1ないし5いずれか記載のエアバッグ装置の
    カバー体。
  7. 【請求項7】 パネル体は、自動車の内装パネルを構成
    することを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の
    エアバッグ装置のカバー体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005112282A (ja) * 2003-10-10 2005-04-28 Sanko Gosei Ltd 自動車用エアーバッグ装置
JP2005138674A (ja) * 2003-11-05 2005-06-02 Sanko Gosei Ltd 自動車用アーバッグ装置における破断開放部の構造
JP2009179211A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Honda Motor Co Ltd エアバッグ装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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