JP4379766B2 - エアバッグ装置のカバー体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車の助手席乗員用のエアバッグ装置のカバー体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、自動車の内装パネルであるインストルメントパネルの内側すなわち裏面側に配置される助手席乗員用のエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、箱状をなすリテーナを備え、このリテーナの内側に、折り畳まれたエアバッグと、このエアバッグを膨張させるガスを噴射するインフレータとを収納しているとともに、リテーナ上側の開口部は、インストルメントパネルに沿って取り付けられるカバー体により覆われている。さらに、このカバー体には、平面略C字状などの破断可能なテアラインが形成され、このテアラインに囲まれた部分が扉予定部として区画形成されている。そして、このエアバッグの下部は、インストルメントパネルの内側に車幅方向に沿って配置されたリインフォースに固定され、リテーナの上部は、カバー体の裏面側に一体に形成された前後一対の取付片に係止されている。そして、自動車の衝突時には、インフレータからガスを噴射してエアバッグを膨張させ、このエアバッグの膨張の圧力によりテアラインを破断し、テアラインを形成していない部分をヒンジとしてカバー体を扉状に展開させて突出口を形成し、この突出口からエアバッグを膨張させ、乗員に加わる衝撃を緩和するようになっている。
【0003】
ここで、インストルメントパネルにエアバッグ装置を備えることが極めて通常のこととなった今日では、エアバッグ装置の存在をことさらに明示しないことにより、すっきりとした意匠とし、車室の見映えを向上する構成が求められる場合がある。
【0004】
この点、例えば、特開2001−39254号公報に示されるように、カバー体をインストルメントパネルと一体に形成し、すなわち、インストルメントパネルの裏面側に前後一対の取付片を形成するとともに、これら取付片同士の間の裏面側に溝状のテアラインを形成した構成が知られている。そして、この構成では、テアラインは閉ループ状に形成されているとともに、このテアラインを越えてアルミニウム製などの金属製の裏当部材が配置され、テアラインの内側の扉予定部と、テアラインの外側の取付片とにそれぞれ固着されている。そこで、エアバッグ装置の作動時には、エアバッグの膨張の圧力により裏当部材を介して扉予定部の全面が押し上げられ、閉ループ状のテアラインの破断により、扉予定部がインストルメントパネルの他の部分から切り離されて突出口を形成する。そして、切り離された扉予定部は、裏当部材のテアラインに対応する部分をヒンジとして外側に展開するようになっている。
【0005】
また、この公報記載の構成では、インストルメントパネルが開くドア部分は、プラスチック材料を用いた一般的な射出成形法により形成され、材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、あるいはABSを使用し、好ましくはインストルメントパネルの他の部分と同じ材質とする旨が示されている。
【0006】
そして、この公報記載の構成では、裏当部材のヒンジ部分は、公報の図3あるいは図5などに示されるように、リセスと呼ばれるテアラインの周囲から離間し、カバー体のテアラインの周囲の部分がヒンジの湾曲した部分から浮いた状態になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、カバー体のテアラインの周囲の部分がヒンジのキンク部分から浮いた状態で、エアバッグが膨張すると、公報の図5に示すように、ヒンジを設けた裏当部材はエアバッグの膨出方向に移動し、展開するドアを平行移動させるようにしてテアラインを破断させ、この後、公報の図6に示すように、ドアを回動させるとされている。
【0008】
そして、この状態では、カバー体の破断されたテアラインに沿った端末部が、自由端となり、ドア側の端末部などに干渉し、エアバッグの展開特性の調整が煩雑になる問題を有している。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、外観の自由度を向上できるとともに、エアバッグが通過する突出口を容易に円滑に形成できるエアバッグ装置のカバー体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体は、折り畳んで収納されたエアバッグを覆うとともに、このエアバッグの膨張時にこのエアバッグが突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバー体であって、樹脂製のパネル体と、このパネル体の前記エアバッグ側である裏面側に配置され前記パネル体より軟質で変形可能なバッキング部材とを具備し、前記パネル体は、前記エアバッグに対向する扉予定部と、この扉予定部を囲む非展開部と、これら扉予定部と非展開部とを区画し前記エアバッグの膨張時の圧力で破断する閉ループ状の破断部とを備え、前記バッキング部材は、前記非展開部に固着される固定部と、前記扉予定部に固着される扉補強部と、前記破断部を横断してこれら固定部と扉補強部とを一体に連結する変形可能なヒンジ部とを備え、前記ヒンジ部は、前記パネル体から離間する方向に膨出する側面視の断面形状が略U字に固定部と扉補強部を連結するヒンジ本体部と、このヒンジ本体部に囲まれたポケット部とを備え、前記破断部は、前記ヒンジ本体部に対向する位置で、このヒンジ本体部の長手方向に沿った中心線に対し、前記非展開部側に偏倚して配置され、常温ないし高温の条件で、前記エアバッグが膨張すると、前記ヒンジ部が伸びるように変形して前記扉予定部を展開させ、低温において、前記エアバッグが膨張すると、ヒンジ部は主に曲げによる変形となり、このヒンジ部は前記固定部側と前記扉補強部側との中央部分を支点として前記扉予定部を回動させ、この扉予定部の末端部を前記ポケット部に入れて前記扉予定部を展開させるものである。
【0011】
そして、この構成では、エアバッグが膨張すると、この膨張の圧力により、閉ループ状の破断部が破断し、扉予定部が非展開部から切り離されて、パネル体にエアバッグの突出口が形成される。破断部で非展開部から切り離された扉予定部は、バッキング部材によりパネル体に連結され、ヒンジ部が支点となって回動する。ヒンジ部は、パネル体から離間する方向に膨出する側面視の断面形状が略U字に固定部と扉補強部を連結するヒンジ本体部を備え、破断部は、ヒンジ本体部に対向する位置で、このヒンジ本体部の長手方向に沿った中心線に対し、非展開部側に偏倚して配置したため、この破断部が破断した状態で、固定的に設けられる非展開部側から突出する自由端が短くなり、非展開部側の自由端と扉予定部側の端末部との干渉が抑制され、扉予定部が円滑に回動し、エアバッグが通過する突出口が容易に円滑に形成される。パネル体は、柔軟に変形する特性を備える必要がなく、硬質な樹脂で形成可能であり、エアバッグ装置以外の部材と一体に形成して、外観の向上が容易になる。そして、常温あるいは高温の条件でヒンジ部が伸びるような変形挙動となるときは、扉予定部がパネル体に触れていても上方にスイングアップして円滑に展開する。一方、低温下においては、ヒンジ部が主に曲げによる変形となり、このヒンジ部は固定部側と扉補強部側との中央部分を支点として扉予定部を回動させるが、ヒンジ部にポケット部を設けたため、回動する扉予定部の端末部はポケット部すなわちヒンジ本体部の内部に入ることができ、ヒンジ部に局所的に大きな力が作用することを効果的に抑制でき、扉予定部を円滑に展開させてエアバッグの突出口を開成できる。
【0012】
請求項2記載のエアバッグ装置のカバー体は、請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体において、破断部は、前記ヒンジ本体部の前記非展開部側の縁部に沿って配置されたものである。
【0013】
そして、この構成では、破断部が破断した状態で、固定的に設けられる非展開部側から突出する自由端が実質的になくなり、非展開部側の自由端と扉予定部側の端末部との干渉がなくなり、扉予定部が円滑に回動する。
【0014】
請求項3記載のエアバッグ装置のカバー体は、請求項1または2記載のエアバッグ装置のカバー体において、バッキング部材は、曲げ弾性率588〔MPa〕以下で、マイナス40℃におけるアイゾット試験(JIS K-7110)で非破壊の軟質樹脂であるものである。
【0015】
そして、この構成では、低い温度域を含む広い温度条件の下で、エアバッグの突出口が安定して形成される所望の特性が容易に確保される。また、パネル体及び扉予定部をともに樹脂製としたため、温度変化による変形を抑制して容易に強固に固定される。
【0016】
請求項4記載のエアバッグ装置のカバー体は、請求項1ないし3いずれか記載のエアバッグ装置のカバー体において、パネル体は、自動車の内装パネルを構成するものである。
【0017】
そして、この構成では、カバー体が自動車の内装パネルに一体的に形成され、外観の自由度が向上するとともに、低い温度域を含む広い温度条件の下で、エアバッグの突出口を安定して形成できる所望の特性が容易に確保される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエアバッグ装置のカバー体の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1ないし図6において、1は自動車のインストルメントパネル部で、このインストルメントパネル部1は、車室の前部に車幅方向の略全長にわたり設けられ、このインストルメントパネル部1の上方には、フロントウィンドウガラス2が位置している。
【0020】
そして、このインストルメントパネル部1の内部には、助手席の乗員に対向して、エアバッグ装置3が設置されている。そして、このエアバッグ装置3は、リテーナとも呼ばれるケース体5と、このケース体5の下部のリアクションキャニスタ6内に収納されたインフレータ7と、ケース体5の上部に折り畳んで収納されたエアバッグ8と、このケース体5の上部の開口部9を覆うカバー体11とを備えている。そして、このエアバッグ装置3は、ケース体5のリアクションキャニスタ6をブラケット14を介して車体のリインフォース15に固定して、車体に取り付けられている。また、ケース体5の上部とリアクションキャニスタ6との間は、上下に連通するガス噴出口16aを設けたミッドリテーナ16で区画されている。さらに、ケース体5の上部の前面及び後面には、断面略C字状などのフック18が取り付けられている。なお、本実施の形態では、インフレータ7は燃焼タイプ(パイロタイプ)であるが、ガスを圧縮して貯留するタイプなど、他種のインフレータを用いることもできる。
【0021】
そして、カバー体11は、いわゆるインストルメントパネルを構成するパネル体21と、このパネル体21の下面である裏面に取り付けられたバッキング部材22とを備えている。
【0022】
そして、パネル体21は、インストルメントパネル部1の表面側を一体的に覆い、すなわち、車室の前部に車幅方向の略全長にわたり設けられている。そして、このパネル体21は、曲げ弾性率2969〔MPa〕(30300〔kgf/cm2〕)の硬質ポリプロピレン樹脂による射出成形品で、表面にはフロントウィンドウガラス2への映り込みを防止するとともに、好ましい皮革などを模した外観を得るための艶消しシボ加工が施されている。なお、パネル体21を構成する樹脂は、曲げ弾性率1078〔MPa〕(11000〔kgf/cm2〕)以上、好ましくは、1862〔MPa〕(19000〔kgf/cm2〕)以上の硬質樹脂が好適である。具体的には、上記のポリプロピレンの他、例えば、塩化ビニル、ABS、変性PPO(ポリフェニレンオキサイド)、ポリカーボネート、あるいはこれらを組み合せた複合樹脂などが使用できる。この複合樹脂としては、例えば、ポリカーボネートとABSの複合樹脂などを用いることができる。また、当該分野または関連分野にて通常使用される樹脂に利用される複合化技術、例えば、タルク、ウィスカー、チタンホワイトなど物性や色調を調整するための種々の添加剤を加えることもできる。
【0023】
そして、このパネル体21の裏面側には、ケース体5の上部の開口部9に略対向して、破断部としてのテアライン24が閉ループ状である四角形枠状に形成され、非展開部25に囲まれた平面長方形状の扉予定部26が区画形成されている。そして、テアライン24は、テア溝、破断予定線、開裂予定溝などとも呼ばれる破断可能な弱部であり、パネル体21の成形後に、射出成形により平坦に形成された平坦部にフライス刃などの回転刃により彫刻して後加工した切削溝である。従って、射出成形時および溝形成過程においては、パネル体21の表面には全く艶ムラが生じない。すなわち、薄肉部と厚肉部(一般部)との板厚差に起因する成形収縮差によるシンクマーク(通称「ひけ」と呼ばれる)や、超音波加熱や熱プレスなどによる摩擦や熱履歴の影響が生ずることがなく、表面側を容易に平滑に形成でき、エアバッグ装置3の位置をことさらに目立たせることなく、意匠の自由度を向上できるものである。
【0024】
さらに、このテアライン24は、直線状に形成された2対の対向する4辺の直線部27と、これら直線部27同士を連結する連結部(コーナ部)としてのいずれも半径6mmの単純な円弧であるコーナ部28とにより長方形状に形成されている。
【0025】
なお、各直線部27は、いずれも真正な直線としたが、実質的な直線であっても良く、具体的には、本実施の形態では、半径が500mmを越える曲線は、真正な直線と同様に扱うことができる。
【0026】
また、各コーナ部28は、半径6mmの円弧としたが、半径30mm以内の曲線、好ましくは半径15mm以内の曲線、さらに好ましくは半径10mm以内の曲線とすることができ、さらには、各直線部27を直接接続した角部とすることもできる。さらに、各コーナ部28は、全て同じ形状とする他、互いに異なる形状とすることもできる。
【0027】
また、このテアライン24の断面は、図3に示すように断面略三角状とする他、図1に示すように断面略台形状とすることもできる。
【0028】
さらに、このテアライン24の位置は、図5に示すように、テアライン24の幅方向の中心位置は、ヒンジ部37のヒンジ本体部38の幅方向の中心線Cより外周側に位置しており、さらに、取付片部32の基部32aの直近に位置して形成されている。
【0029】
従って、テアライン24が破断した場合、車体に対して固定されたパネル体21の非展開部25側には、自由端は全く形成されないか、ごくわずかに形成されるのみとなり、扉予定部26側の端末部51あるいはヒンジ部37などへの干渉を抑制し、扉予定部26を円滑に展開させてエアバッグ8の突出口を開成できる。
【0030】
一方、バッキング部材22は、軟質樹脂製で、扉予定部26よりも大きい平面形状を有し、テアライン24の内側及び外側に溶着され、すなわち、パネル体21の裏面の扉予定部26及びこの扉予定部26の周囲の非展開部25に結合されている。そして、このバッキング部材22は、曲げ弾性率274〔MPa〕(2800〔kgf/cm2〕)のTPO樹脂(サーモプラスチックオレフィン)の射出成形品である。なお、バッキング部材22の材質としては、TPO樹脂の他にも、TPU(ウレタン系)、TPE(ポリエステル系)、SES、SEBS(スチレン系)等の略称で呼ばれる軟質の各種エラストマー樹脂が適用可能であり、曲げ弾性率としては588〔MPa〕(6000〔kgf/cm2〕)以下、好ましくは、441〔MPa〕(4500〔kgf/cm2〕)以下で選択できる。
【0031】
そして、このバッキング部材22は、扉予定部26よりも大きい平面形状を有する略平板状の基板部31と、この基板部31の裏面から下方に突設された筒状の取付片部32とが一体に形成されている。また、基板部31には、パネル体21のテアライン24に対向する部位に沿って、前側の辺部を除いて、小さい幅のスリット状の切断部34が平面略コ字形に形成され、非展開部25に接合される周縁補強部である枠状の固定部35と、扉予定部26に接合される扉補強部36とが区画形成されている。さらに、テアライン24の前側の辺部である直線部27に対向する部位には、このテアライン24を跨ぎ、固定部35と扉補強部36とを連結する変形可能なヒンジ部37が形成されている。そして、このヒンジ部37には、図3及び図5に示すように、下方に膨出するように湾曲した断面弧状さらには断面略U字状の湾曲部であるヒンジ本体部38が設けられ、このヒンジ本体部38に囲まれた部分が、ポケット部40となっている。
【0032】
また、このヒンジ部37のヒンジ本体部38は、テアライン24に対して相対的に内側すなわち扉予定部26の内周側に偏倚する位置関係にある。そして、ヒンジ部37のヒンジ本体部38は、バッキング部材22の固定部35及び扉補強部36と同一の厚さ寸法である3.0mmの厚さ寸法で一定に形成されている。さらに、図3に示すパネル体21及びバッキング部材22の各部の寸法については、本実施の形態では、バッキング部材22の基板部31の表面側からヒンジ部37の裏面の裏面側の端部までの深さ寸法H1は11mm、バッキング部材22の基板部31の表面からヒンジ部37の表面の裏面側の端部までの寸法すなわちポケット部40の深さ寸法H2は8mm、バッキング部材22の表面側のヒンジ部37のヒンジ本体部38の凹部の外幅寸法W1は20mm、バッキング部材22の表面側のヒンジ部37のヒンジ本体部38の内周側の縁部からテアライン24の中心部までのバッキング部材22の表面側に沿った方向の寸法W2は13mmに設定されている。
【0033】
なお、これらの寸法は、使用する樹脂の特性とエアバッグ8のサイズすなわち容量、形状や、インフレ−タ7の形式やガス噴射特性など、種々の因子を考慮して設定するが、ヒンジ部37の深さ寸法H1は上限15mm程度、ヒンジ部37の外幅寸法W1は10mmないし30mm、ヒンジ本体部38の部分の厚さ寸法は厚み1mmないし5mmとし、さらに、ヒンジ部37の断面形状は、図3に示すような側面視で対称形のほか、左右非対称とし、あるいは湾曲部であるヒンジ本体部38に沿って厚みを変化させるなど、種々の変形が可能である。
【0034】
なお、ヒンジ部37のヒンジ本体部38はエアバッグ8を収納する空間に向かって膨出するリブ状となっており、このエアバッグ8の収納空間を占有するものであるので、上記の寸法範囲を選択することは、エアバッグ8の収納空間の確保上好ましい。また、エアバッグ8の膨張に際しては、ヒンジ本体部38にエアバッグ8の膨張圧力が加わることから、ヒンジ機能を発揮しうる範囲で潰れ変形を少なくすることも考慮すべきであり、上記寸法は好ましい範囲である。しかしながら、本発明は必ずしもこれらに限定されるべきものではない。また、例えば図4に示すように、ヒンジ部37のヒンジ本体部38は、テアライン24の前側の直線部27に沿って長手方向に連続して形成したが、この構成に限られず、例えば、複数のヒンジ本体部38を間欠的に配置してヒンジ部37を構成することもできる。
【0035】
一方、バッキング部材22の取付片部32は、テアライン24の外周側に近接した位置に沿って、所定の方向に向かい四角筒状に突設されている。そして、この取付片部32の前後に対向する面部が前後一対の係止部42,43になっている。そして、これら係止部42,43には、それぞれ四角状の角孔である取付孔45が形成され、これら取付孔45に、ケース体5の各フック18が係止されている。なお、バッキング部材22は樹脂製のため、このような係止部42,43の一体形成が容易である。さらに、バッキング部材22はパネル体21とは別体に形成されているため、係止部42,43の角度は、インストルメントパネルであるパネル体21の形成時の型抜き角度と関係なく、自由に設定することができる。また、係止部42,43を取付片部32の前後の対向面部として形成したため、係止部42,43の強度を容易に向上でき、エアバッグ装置3全体の支持強度を容易に向上できるとともに、この取付片部32によりエアバッグ8の膨張方向をガイドする機能も向上できる。さらに、これら係止部42,43がバッキング部材22と一体に形成されているため、部品点数の増加を招くこともなく、製造コストを抑制できる。
【0036】
なお、バッキング部材22のパネル体21への溶着は、振動溶着によるもので、溶着前の段階で、バッキング部材22のパネル体21に対向する面には溶着リブを形成し、パネル体21のバッキング部材22に対向する部位は一切のリブを形成せず、すなわち、ほぼ平坦な面を形成する。そして、振動溶着の作業の際は、互いに接触する溶着リブと平坦な面とのうち、TPO樹脂からなる溶着リブが溶けて、パネル体21とバッキング部材22とが互いに接合される。従って、比較的小さなエネルギーを与えて強固な接合ができ、パネル体21は確実に固定されバッキング部材22が微小な振幅の振動をされるので、パネル体21の表面の艶消しシボには艶むらなどの影響を生じない。また、溶着リブは、例えば幅1.5mm、高さ1.0mmで、相隣する溶着リブ同士の間の間隔は5〜15mmの格子状である。例えば、テアライン24に最も近いところは一辺が5mmの正方形とし、テアライン24から離れるにしたがって一辺が10mmあるいは15mmの正方形や、5mm×15mmの長方形とされている。なお、溶着リブは硬質樹脂からなる部材側に設けず軟質樹脂からなる部材側に設けるのが好ましい。硬質樹脂に溶着リブを設けると、硬い溶着リブが柔らかい部材を削って深堀りが進むばかりで、境界の樹脂の溶融が進まず、高い溶着強度が出ないことがあるからである。
【0037】
次に、エアバッグ装置3が作動した際のエアバッグ8の展開挙動を説明する。
【0038】
常温ないし高温において、すなわち、例えば、パネル体21の表面温度にして20℃程度から100℃程度の高温において、本実施の形態のエアバッグ装置3を装着した自動車が衝突すると、インフレータ7からガス噴出口16aを介してエアバッグ8へガスが噴出される。すると、エアバッグ8は、ケース体5内で膨張して、その膨張力により、バッキング部材22及びパネル体21の扉予定部26が上方に押し上げられる。この時、エアバッグ8の膨張力の作用により、テアライン24を全長にわたって確実に破断し、扉予定部26をパネル体21の他の部分から切り離すことができる。
【0039】
そして、扉予定部26を切り離した状態で、図6に示すように、ヒンジ部37は柔軟に変形して、扉予定部26はいわば円滑にスイングアップし、エアバッグ8の突出口を形成することができる。そして、この突出口から突出したエアバッグ8は、図1に2点鎖線8aで示すように、フロントウィンドウガラス2に沿って膨張展開し、助手席の乗員を保護する。
【0040】
そして、上記の温度では、ヒンジ部37は外周側すなわち前側の係止部42側の端部近傍を支点Aとして回動し、すなわち、破断により形成されたパネル体21の係止部43側の端末部51は下側すなわちヒンジ部37側に大きく膨出することなく、ヒンジ部37のヒンジ本体部38は上方に伸ばされつつ扉予定部26を支えて保持する。このようにして、扉予定部26を一体に設けたパネル体21を硬質の樹脂で構成しても、エアバッグ8の膨出用の突出口を適切に開くことができる内装パネルを構成することができる。
【0041】
そして、本実施の形態でパネル体21に使用したポリプロピレン樹脂は、インストルメントパネル部1の他の部分やさらに周縁の内装部品にも一般的によく利用されており、したがって、類似のパターンのシボを選択することにより、室内をきわめて統一感のある仕立てにすることができる。すなわち、ポリプロピレンなどの樹脂とエラストマー樹脂とは光沢の現れかたが微妙に異なるので、同じシボパターンを付与した金型を用いても、同じ風合いを得ることが難しい。そこで、エラストマーよりなる部品を組み合せなくてもよければ、インストルメントパネル部1のアッパーフェイス部となるパネル体21を他の例えばインストルメントパネル部1のロアーフェイス部、グローブボックスリッド、メーターバイザーやフロントピラーガーニッシュなどと外観を容易に統一できるため、構成部品毎の異なる光沢による意匠的煩雑感を抑制でき、また例えばポリプロピレンに統一すれば色調の統一も極めて容易になる。そこで、たとえエアバッグ装置3を内蔵させたインストルメントパネル部1であっても、ことさらにエアバッグ装置3の存在を強調することがなくなり、別体リッドを使用した従来のインストルメントパネルの外観にあった煩雑な感じを一掃して、シンプルでスマートな見栄えを容易に実現できる。
【0042】
次に、低温におけるエアバッグ8の展開の挙動を説明する。
【0043】
図7は、例えば冬季の屋外において冷やされた条件下における場合を模式的に示している。高温については、太陽光による輻射加熱による場合が想定されるが、低温は雰囲気温度による冷却による場合が主であり、ヒンジ部37は他の部分とともに時間をかけて均一に冷やされる。このとき、TPO樹脂は冷えて柔軟性が低くなる。例えば、本実施例のエラストマーは住化TPE(住友化学工業製)を使用したものであるが、常温である23℃における伸びが700%であるのに対して、低温であるマイナス40℃においては、伸びが140%、すなわち五分の一になる。そして、このエラストマーは、単体でカバー体であるエアバッグリッドを構成できるもので、単層構成の扉であれば、低温において平板状のヒンジに曲げ変形をさせて、扉の円滑な回動が可能である。そのようなエラストマーよりなるバッキング部材22にインストルメントパネル1を組み合せた本実施例のものにおいては、低温では、図7に示すように、ヒンジ部37はあまり形状を変化させず、幅方向の中央部分を支点Bとして、ほぼ扉予定部26の端末部51をヒンジ部37のポケット部40内に引き込むようにして扉予定部26を立ち上げ、もってエアバッグ8の突出口を開成できる。
【0044】
もとより、インストルメントパネルを構成するパネル体21は常温にあって硬いものであるが、低温においてはヒンジ部37の動きによっては、扉予定部26とパネル体21の周縁の部分とが接触し、すなわち、硬いもの同志が接触する。このとき、常温あるいは高温の条件でヒンジ部37が伸びるような変形挙動となるときは、扉予定部26がパネル体21に触れていても上方にスイングアップして円滑に展開する。
【0045】
一方、低温下においては、ヒンジ部37が主に曲げによる変形となるが、本実施の形態では、ヒンジ部37にポケット部40を設けたため、回動する扉予定部26の端末部51はポケット部40すなわちヒンジ本体部38の内部に入ることができ、ヒンジ部37に局所的に大きな力が作用することを効果的に抑制でき、扉予定部26を円滑に展開させてエアバッグ8の突出口を開成できる。なお、このような効果は、扉予定部26の端末部51がポケット部40に完全に入る場合はもとより、一部でも入って回動する場合にも得られる。
【0046】
さらに、バッキング部材22は樹脂であるため、復原作用を有している。そこで、アルミニウムなどの金属で構成した場合には扉予定部26は開裂して回動するとほとんど開口である突出口側には戻ってこないのに対して、本実施の形態のヒンジ部37は突出口側に戻る傾向を有しており、展開するエアバッグ8を押動し、エアバッグ8の展開特性を乗員の胸部や腹部に向かう指向性を生じるように誘導することができる。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、硬質樹脂を表面層とした継ぎ目なし内装パネルであって、内装パネルによって覆われるエアバッグ装置の作動に際して広い範囲の温度条件で円滑に扉部を形成して、良好なエアバッグ膨出通路を開設できる内装パネルを提供できる。
【0048】
すなわち、テアライン24の位置をヒンジ部37のヒンジ本体部38の幅方向の中心線Cより外周側に位置させたため、テアライン24が破断した場合の、車体に対して固定されたパネル体21の非展開部25の自由端を短くして、扉予定部26を円滑に展開させてエアバッグ8の突出口を開成できる。さらに、テアライン24を取付片部32の基部32aの直近に偏倚して形成することにより、車体に対して固定されたパネル体21の非展開部25の自由端を実質的にゼロにできる。そこで、低温時においても、非展開部25側の自由端と扉予定部26側の端末部51との干渉をなくし、扉予定部26側の端末部51をヒンジ部37のヒンジ本体部38のポケット部40内に確実に落とし込み、あるいは、端末部51を非展開部25の上にのせるようにして回転させ、扉予定部26を容易に円滑に展開させることができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、硬質樹脂を表面層とした継ぎ目なし内装パネルであるパネル体21について、テアライン24を直線部27とこの直線部27同士を連結するコーナ部28とで構成し、コーナ部28は、半径30mmよりも小さい曲線あるいは直線部27同士を曲線を介さずに連結する角部としたため、内装パネルによって覆われるエアバッグ装置の作動に際して広い範囲の温度条件で整った破断形状により扉部を形成して、良好なエアバッグ膨出通路を開設できる内装パネルを提供できる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、樹脂同士を接合したため、線膨張係数の差異は金属と樹脂とを組み合わせた場合よりも小さく、温度変化に対する波打ち状の変形が生ずる問題を低減して、熱的に安定した外観品質を得ることができるとともに、ヒンジ部37にポケット部40を設けたため、広い温度域で扉予定部26を円滑に展開でき好ましい膨張用通路形成性能を得ることができる、エアバッグ装置3を覆うのに好適な内装パネルであるカバー体11を提供できる。すなわち、硬質樹脂を表面層とした継ぎ目なし内装パネルであって、広い範囲の温度条件で熱変形を生じにくいとともに、内装パネルによって覆われるエアバッグ装置の作動に際してそのような温度範囲で良好なエアバッグ膨出通路を開設できる内装パネルを提供できる。すなわち、車体側のエアバッグ装置を覆うように取り付けられる硬質樹脂製のパネル体(パネル本体部)21のエアバッグ装置対向面に、軟質樹脂製のバッキング部材22を取り付けた自動車の内装パネル構造であって、パネル体21には、少なくとも一部に直線部27を有する閉ループ状のテアライン(開裂予定溝)24で区画された扉予定部26を形成し、バッキング部材22は、扉予定部26の直線部27を横断して扉予定部26とその外周縁部の非展開部25とを連結するヒンジ部37と、車体に連結する連結片である取付片部32と、ヒンジ部37を介して連結片に一体的に形成され扉予定部26に接合された扉補強部36とを有し、ヒンジ部37は、扉予定部26の回動時に、端末部51の余長を収容可能なポケット部40を有する構成としたため、広い範囲の温度域で安定してエアバッグ膨出用通路を形成できる。また、パネル体21とバッキング部材22はともに樹脂製であるので、容易に温度変化に対する変形を生じにくいものとすることができる。簡潔な構造でよいので、コストの増加がなく又は抑制できる。
【0051】
また、バッキング部材22は、曲げ弾性率588〔MPa〕(6000〔kgf/cm2〕)以下、マイナス40℃におけるアイゾット試験(JIS K-7110)で非破壊の軟質樹脂とすることにより、低い温度条件においても、安定してエアバッグ膨出用通路である突出口を形成できる。
【0052】
さらに、硬質樹脂を表面層とした継ぎ目なし内装パネルであるパネル体21について、テアライン24を直線部27とこの直線部27同士を連結するコーナ部28とで構成し、コーナ部28は、半径30mmよりも小さい曲線あるいは直線部27同士を曲線を介さずに連結する角部としたため、内装パネルによって覆われるエアバッグ装置の作動に際して広い範囲の温度条件で整った破断形状により扉部を形成して、良好なエアバッグ膨出通路を開設できる内装パネルを提供できる。
【0053】
なお、上記の実施の形態では、1個の扉予定部26を一方向例えば前方向に展開させる構成を示したが、他の構成を採ることもできる。例えば、図10及び図11に示す実施の形態のように、パネル体21については、枠状のテアライン24に加え、前後方向の中央部に両側方向に伸びるテアライン24aを形成して、一対の扉予定部26,26を形成するとともに、バッキング部材22についても、略H字状の切断部34により一対の扉補強部36,36を形成し、これら扉補強部36,36をそれそれ前後の係止部42,43側にヒンジ部37,37で連結して、いわゆる観音開き様式でエアバッグ8の突出口を形成することもできる。
【0054】
また、パネル体21とバッキング部材22との固定方法も、上記の構成に限られず、適宜の構成を採ることができる。
【0055】
例えば、図10に示すように、超音波ホーン溶着によることができる。すなわち、バッキング部材22の取付片部32の内側に沿っては幅5mm、長さ220mmの当て面を有する図示しないホーン(以下、ホーンC1という)を用いて加振溶着し、取付片部32の外側及び扉補強部36は幅16mm、長さ90mmの当て面を有する図示しないホーン(以下、ホーンC2という)により加振溶着する。そして、取付片部32の長辺外側は、ホーンC2を辺に沿って3回に分けて押圧加振することにより溶着する。また、取付片部32の短辺外側は、ホーンC2を辺に沿って2回に分けて押圧加振することにより溶着する。このようにして取付片部32の外周をホーンC2による10回の溶着作業で完了する。次に、扉補強部36を5回ホーンC2を押し当てて溶着する。最後に、ヒンジ部37とは反対側の長辺の内側をホーンC1の1回の加振溶着を行う。なお、図10においては、説明のため、ホーンを押し当てた押し当て部Dを明確に区切って斜線を付して示したが、実際には、目視で判別することができるほど押し当て跡は明瞭でない。また、押し当て部Dは一部のみを示し、また隣り合う2つの重なりを説明するために互いに僅かにずらしてあるが、実施においては殆どずれを設定しない。なお、この場合、上記の溶着リブをバッキング部材22側に設けるのが効果的であるが、パネル体21及びバッキング部材22のいずれも溶着リブを形成しない単純面とすることもできる。
【0056】
なお、押し当て部Dは、図11に模式的に示すように、バッキング部材22の切断部34に沿った縁部からの寸法LDを5mm以内とした近接した位置を少なくとも固着するように配置するのが展開における強度を向上する上で好ましい。
【0057】
また、以上の実施例においてはバッキング部材22をエラストマー樹脂で構成した場合に基づいて説明したが、加硫ゴム(SBR、IRなど)、あるいはアルミニウム合金などで構成することもできる。この場合、溶着によらず、パネル体21側に一体のボスを形成し、バッキング部材22側の通孔に挿通させて、熱かしめ、いわゆるスピードナットなどの扁平な金具で固定するなどの手段によることもできる。
【0058】
なお、上記の実施の形態では、インストルメントパネル部1の助手席乗員用のエアバッグ装置3のカバー体11について説明したが、自動車の内装パネルとして他の場所に設置されるエアバッグ装置のカバー体に適用することもできる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体によれば、エアバッグが膨張すると、この膨張の圧力により、閉ループ状の破断部が破断し、扉予定部が非展開部から切り離されて、パネル体にエアバッグの突出口が形成される。破断部で非展開部から切り離された扉予定部は、バッキング部材によりパネル体に連結され、ヒンジ部が支点となって回動する。ヒンジ部は、パネル体から離間する方向に膨出する側面視の断面形状が略U字に固定部と扉補強部を連結するヒンジ本体部を備え、破断部は、ヒンジ本体部に対向する位置で、このヒンジ本体部の長手方向に沿った中心線に対し、非展開部側に偏倚して配置したため、この破断部が破断した状態で、固定的に設けられる非展開部側から突出する自由端が短くなり、非展開部側の自由端と扉予定部側の端末部との干渉を抑制し、扉予定部を円滑に回動でき、エアバッグが通過する突出口を容易に円滑に形成できる。パネル体は、柔軟に変形する特性を備える必要がなく、硬質な樹脂で形成可能であり、エアバッグ装置以外の部材と一体に形成して、外観の向上が容易になる。 そして、常温あるいは高温の条件でヒンジ部が伸びるような変形挙動となるときは、扉予定部がパネル体に触れていても上方にスイングアップして円滑に展開する。一方、低温下においては、ヒンジ部が主に曲げによる変形となり、このヒンジ部は固定部側と扉補強部側との中央部分を支点として扉予定部を回動させるが、ヒンジ部にポケット部を設けたため、回動する扉予定部の端末部はポケット部すなわちヒンジ本体部の内部に入ることができ、ヒンジ部に局所的に大きな力が作用することを効果的に抑制でき、扉予定部を円滑に展開させてエアバッグの突出口を開成できる。
【0060】
請求項2記載のエアバッグ装置のカバー体によれば、請求項1記載の効果に加え、破断部が破断した状態で、固定的に設けられる非展開部側から突出する自由端が実質的になくなり、非展開部側の自由端と扉予定部側の端末部との干渉をなくし、扉予定部を円滑に回動できる。
【0061】
請求項3記載のエアバッグ装置のカバー体によれば、請求項1または2記載の効果に加え、低い温度域を含む広い温度条件の下で、エアバッグの突出口を安定して形成できる所望の特性を容易に確保できる。また、パネル体及び扉予定部をともに樹脂製としたため、温度変化による変形を抑制して容易に強固に固定できる。
【0062】
請求項4記載のエアバッグ装置のカバー体によれば、請求項1ないし3いずれか記載の効果に加え、カバー体を自動車の内装パネルに一体的に形成でき、外観の自由度を向上できるとともに、低い温度域を含む広い温度条件の下で、エアバッグの突出口を安定して形成できる所望の特性を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバー体を備えたエアバッグ装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】同上カバー体を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図3】同上カバー体を示す図2のI−I断面図である。
【図4】同上カバー体を示す図2の矢印II方向から見た底面図である。
【図5】同上カバー体を示す一部を拡大した断面図である。
【図6】同上カバー体の高温時の動作を示す説明図である。
【図7】同上カバー体の低温時の動作を示す説明図である。
【図8】本発明のカバー体の他の実施の形態を示す断面図である。
【図9】同上カバー体を示す一部の底面図である。
【図10】本発明のカバー体のさらに他の実施の形態を示す図2の矢印II相当方向から見た底面図である。
【図11】同上カバー体を示す一部を拡大した断面図である。
【符号の説明】
3 エアバッグ装置
8 エアバッグ
11 カバー体
21 パネル体
22 バッキング部材
24 破断部としてのテアライン
25 非展開部
26 扉予定部
35 固定部
36 扉補強部
37 ヒンジ部
38 ヒンジ本体部
40 ポケット部
51 端末部
B 支点
Claims (4)
- 折り畳んで収納されたエアバッグを覆うとともに、このエアバッグの膨張時にこのエアバッグが突出する突出口が形成されるエアバッグ装置のカバー体であって、
樹脂製のパネル体と、このパネル体の前記エアバッグ側である裏面側に配置され前記パネル体より軟質で変形可能なバッキング部材とを具備し、
前記パネル体は、前記エアバッグに対向する扉予定部と、この扉予定部を囲む非展開部と、これら扉予定部と非展開部とを区画し前記エアバッグの膨張時の圧力で破断する閉ループ状の破断部とを備え、
前記バッキング部材は、前記非展開部に固着される固定部と、前記扉予定部に固着される扉補強部と、前記破断部を横断してこれら固定部と扉補強部とを一体に連結する変形可能なヒンジ部とを備え、
前記ヒンジ部は、前記パネル体から離間する方向に膨出する側面視の断面形状が略U字に固定部と扉補強部を連結するヒンジ本体部と、このヒンジ本体部に囲まれたポケット部とを備え、
前記破断部は、前記ヒンジ本体部に対向する位置で、このヒンジ本体部の長手方向に沿った中心線に対し、前記非展開部側に偏倚して配置され、
常温ないし高温の条件で、前記エアバッグが膨張すると、前記ヒンジ部が伸びるように変形して前記扉予定部を展開させ、
低温において、前記エアバッグが膨張すると、ヒンジ部は主に曲げによる変形となり、このヒンジ部は前記固定部側と前記扉補強部側との中央部分を支点として前記扉予定部を回動させ、この扉予定部の末端部を前記ポケット部に入れて前記扉予定部を展開させる
ことを特徴とするエアバッグ装置のカバー体。 - 破断部は、前記ヒンジ本体部の前記非展開部側の縁部に沿って配置された
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体。 - バッキング部材は、曲げ弾性率588〔MPa〕以下で、マイナス40℃におけるアイゾット試験(JIS K-7110)で非破壊の軟質樹脂である
ことを特徴とする請求項1または2記載のエアバッグ装置のカバー体。 - パネル体は、自動車の内装パネルを構成する
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のエアバッグ装置のカバー体。
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