JP2003197644A - 通信機器用半導体装置 - Google Patents

通信機器用半導体装置

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JP2003197644A
JP2003197644A JP2001394312A JP2001394312A JP2003197644A JP 2003197644 A JP2003197644 A JP 2003197644A JP 2001394312 A JP2001394312 A JP 2001394312A JP 2001394312 A JP2001394312 A JP 2001394312A JP 2003197644 A JP2003197644 A JP 2003197644A
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semiconductor layer
semiconductor
channel layer
hfet
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JP2001394312A
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English (en)
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Chiyoujitsuriyo Suzuki
朝実良 鈴木
Toshiya Yokogawa
俊哉 横川
Masahiro Deguchi
正洋 出口
Shigeo Yoshii
重雄 吉井
Hiroyuki Furuya
博之 古屋
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 HFETのチャネル層内でのホールの蓄積を
抑制することで、特性が安定な、高耐圧で高速動作が可
能な通信機器用半導体装置を提供する。 【解決手段】 通信機器用半導体装置は,HFETの構
造を有し、InP基板と、InAlAsからなるバッフ
ァ層及びスペーサ層と、バッファ層とスペーサ層に挟ま
れたInGaAsPNからなるチャネル層とを備えてい
る。チャネル層に導入するPとNの濃度を調節してバン
ド構造を最適化することにより、駆動時には従来よりも
高い移動度が高く、キャリア濃度が高い二次元電子ガス
を生じるとともに、電離衝突によるイオン化が抑制され
る。また、ヘテロ接合界面において価電子帯端のバンド
不連続量βが小さくなっているので、発生したホールが
チャネル層から速やかに除去でき、耐圧の向上と、高速
動作化とを図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信機器用半導体
装置に関し、特にヘテロ接合電界効果型トランジスタに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高周波特性,発光特性,耐圧特性
など特定の特性が優れた特殊な機能を有する半導体デバ
イスを実現するために、新しい半導体材料や半絶縁材料
の開発が活発に行われている。半導体材料の中でもイン
ジウム燐(InP)系半導体は、代表的な半導体材料で
ある珪素(Si)に比べて電子移動度や飽和電子速度が
大きい半導体であることから、次世代の高周波デバイ
ス、高温デバイスなどへの応用が期待される材料であ
る。そして、携帯電話や携帯情報端末(PDA)の他、
家庭やオフィスの機器などをネットワーク化する、高周
波を用いた通信用システムへの応用は、InP材料の用
途として非常に有望である。
【0003】InPを用いたデバイスの1つとして、I
nP基板に格子整合するInAlAs/InGaAsへ
テロ接合を用いたヘテロ接合電界効果型トランジスタ
(以下、HFETと称す)がある。このHFETの高性
能化は従来より進められており、集積回路に応用するた
めの研究も盛んに行われている。
【0004】図6は、従来の代表的なHFET(以下、
「従来のHFET」と称す)の構造を示す断面図であ
る。同図に示すように、従来のHFETは、半絶縁性の
InP基板601と、InP基板601上に設けられた
アンドープのInAlAsからなる厚さ200nmのバ
ッファ層602と、バッファ層602上に設けられたア
ンドープのInGaAsからなる厚さ15nmのチャネ
ル層603と、チャネル層603の上に設けられたアン
ドープのInAlAsからなる厚さ2nmのスペーサ層
604と、スペーサ層604の上に例えば共蒸着により
設けられた面密度5×1012cm-2のSiを含む原子層
ドーピング面からなる不純物添加層605と、不純物添
加層605の上に設けられたアンドープのInAlAs
からなる厚さ15nmのバリア層606と、バリア層6
06の上に設けられたゲート電極611と、バリア層6
06の上のゲート電極611の両側方に設けられた1×
10 19cm-3のSiを含むn型InGaAsからなるキ
ャップ層607と、チャネル層603,スペーサ層60
4,不純物添加層605,バリア層606及びキャップ
層607の一部にSiをイオン注入することにより設け
られたソース領域612及びドレイン領域613と、ソ
ース領域612上に設けられたソース電極610と、ド
レイン領域613の上に設けられたドレイン電極609
を備えている。また、バッファ層602,チャネル層6
03,スペーサ層604,バリア層606及びキャップ
層607はそれぞれ分子線エピタキシー(MBE)法や
化学気相成長(CVD)法などにより堆積された層であ
り、InP基板601に格子整合している。なお、ドレ
イン電極609及びソース電極610は共にAuGe/
Ni等からなっており、ドレイン領域613とソース領
域612とそれぞれオーミック接触している。
【0005】次に、図7は、図6に示すVII−VII線にお
ける従来のHFETのエネルギーバンド図である。同図
は、HFETの駆動時におけるエネルギーバンド図であ
り、ゲート電極611に電圧が印加された状態を示して
いる。
【0006】図6及び図7から分かるように、従来のH
FETは、共にバンドギャップの大きいInAlAsか
らなるバッファ層602とスペーサ層604との間にバ
ンドギャップの小さいInGaAsからなるチャネル層
603が挟まれた、いわゆるダブルヘテロ構造をとって
いる。このため、伝導帯側においては、スペーサ層60
4とチャネル層603との間、及びバッファ層602と
チャネル層603との間には、それぞれ0.55eVの
エネルギー障壁(バンド不連続量α)が形成され、キャ
リアとなる電子をチャネル領域中の狭い領域に閉じこめ
ることができる。その結果、キャリアがチャネル層60
3とスペーサ層604との界面に蓄積し、散乱が抑制さ
れた状態でチャネル層603中を図7の紙面に対して垂
直方向に移動する。こうして、バルク中を走行する電子
よりも移動度の大きい二次元電子ガス608が生じるた
め、従来のHFETは、高速動作が可能になっている。
【0007】なお、従来のHFETにおいては、ゲート
電極611に印加する電圧を調節することで二次元電子
ガス608の濃度を変化させ、ソース電極−ドレイン電
極間を流れる電流を制御することを可能にしている。
【0008】このように、従来のHFETは、キャリア
電子の移動度が大きく、高周波を利用した通信機器に要
求される優れた高周波特性を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に
示すように、従来のHFETのスペーサ層604とチャ
ネル層603との間、及びバッファ層602とチャネル
層603との間には伝導帯側だけでなく価電子帯側にも
約0.2eVのエネルギー障壁(バンド不連続量β)が
生じるため、動作中に発生したホール(正孔)がチャネ
ル層603内のスペーサ層604との界面付近に閉じこ
められて蓄積するという不具合があった。ホールがチャ
ネル層603内に蓄積することの影響を以下に説明す
る。
【0010】InP基板に格子整合したInGaAs
は、バンドギャップが0.77eVと小さいため衝突イ
オン化が起こりやすく、走行中のキャリアが大きな運動
エネルギーを持ったときに、より上の準位へ遷移しやす
い。衝突イオン化が起こると電子・ホール対が生成さ
れ、このうち電子は他のキャリア電子と同様にドレイン
電極へと流れる。これに対し、生成したホールは、電子
に比べて非常に速度が遅く、電子の動作には追随できな
い。このため、HFETの動作中にホールが滞留しやす
く、雑音の発生要因となり易い。また、チャネル層60
3とバッファ層602との間にはエネルギー障壁が存在
するためにバッファ層602の方向に流れることができ
ないので、衝突イオン化によって生成されたホールは、
チャネル層603内に蓄積したままとなる。
【0011】衝突イオン化の頻度がさらに高くなるとチ
ャネル層603内のホール濃度が増大し、一部のホール
がゲート電極に流れ込んでゲートリーク電流を生じさせ
る。また、チャネル層603内に蓄積したホールはトラ
ンジスタ内のポテンシャル分布を変化させ、トランジス
タのソース抵抗やしきい値電圧を変化させる。その結
果、トランジスタの出力特性が不安定となる。さらに、
このようなトランジスタ特性の変化がドレイン電流の増
加を誘起し、電流の増加が衝突イオン化をさらに増加さ
せることによってトランジスタの破壊に至ることもあ
る。すなわち、ホールの蓄積によってトランジスタの耐
圧は著しく低下する。
【0012】蓄積したホールを除去する方法として、例
えばInP基板601の裏面上に基板電極を設け、そこ
に正電圧を印加してエネルギー障壁を越えやすくするこ
とが考えられるが、動作電圧以上となる5Vを越える電
圧を印加する必要があるので、通信機器への利用を考え
た場合、現実的ではない。参考までに、主要な通信機器
の1つである携帯電話では、機器内の回路で用いられる
電圧は最大でも5V程度で、多くの回路は1〜3Vの電
圧で駆動されている。
【0013】本発明の目的は、化合物半導体からなるチ
ャネル層でのホールの蓄積を抑制することで、ゲートリ
ーク電流が低減され、且つ特性の安定した高耐圧で高速
動作が可能な通信機器用半導体装置を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の通信機器用半導
体装置は、第1の半導体層と、上記第1の半導体層の上
に設けられ、上記第1の半導体層よりもバンドギャップ
が小さい第2の半導体層と、上記第2の半導体層の上に
設けられ、上記第2の半導体層との間でヘテロ障壁を生
ぜしめる材料からなる第3の半導体層とを備え、上記第
2の半導体層と上記第3の半導体層との界面において、
上記第2の半導体層の伝導帯端のポテンシャルが上記第
3の半導体層の伝導帯端のポテンシャルよりも低く、上
記第1の半導体層と上記第2の半導体層との界面におい
て、上記第2の半導体層の価電子帯端のポテンシャルが
上記第1の価電子帯端のポテンシャルよりも高いときの
ポテンシャル差を正の値とすると、上記第1の半導体層
の価電子帯端のポテンシャルと上記第2の半導体層の価
電子帯端のポテンシャルとの差が−0.4eV以上0.
18eV以下である。
【0015】これにより、第2の半導体層の伝導帯端の
ポテンシャルが第3の半導体層の伝導帯端のポテンシャ
ルよりも低いので、本発明の通信機器用半導体装置がH
FETである場合に、第2の半導体層をトランジスタの
チャネルとして機能させることができる。また、第1の
半導体層と第2の半導体層との界面において、第1の半
導体層の価電子帯端のポテンシャルと第2の半導体層の
価電子帯端のポテンシャルとの差が−0.4eV以上
0.18eV以下であるので、駆動時に第2の半導体層
内にホールが蓄積しにくくなっている。また、ホールが
蓄積した場合でも、第1の半導体側から5V以下の電圧
を印加することで容易にホールを除去することが可能と
なり、高耐圧で特性が安定したトランジスタを実現する
ことができる。携帯電話などの通信機器の駆動電圧は通
常5V以下であるので、本発明の通信機器用半導体装置
はこれらの機器に好ましく用いられる。
【0016】なお、本発明の通信機器用半導体装置は、
上記第1の半導体層の下にInP基板を備えていてもよ
い。
【0017】上記第1の半導体層と上記第2の半導体層
との界面において、上記第1の半導体層の価電子帯端の
ポテンシャルと上記第2の半導体層の価電子帯端のポテ
ンシャルとの差が0.1eV以下であることにより、チ
ャネル層内で生じたホールを除去するために印加する電
圧を3V以下に抑えられるので、通信機器に用いる際に
昇圧回路等が不要になり、回路のサイズを小さくするこ
とができる。
【0018】上記第2の半導体層のバンドギャップエネ
ルギーが0.77eV以上であることにより、駆動時に
チャネル内で衝突イオン化が起こる頻度を従来のHFE
Tと同等以下に抑えることができるので、ホールの発生
が抑えられる。その結果、第2の半導体層内でのホール
の蓄積が抑えられるので、本発明の通信機器用半導体装
置は、高耐圧で信頼性の高いHFETとして機能させる
ことができる。
【0019】また、上記第2の半導体層は、少なくとも
Inを含むIII−V族半導体であることにより、優れた高
周波特性を有し、Siからなるトランジスタに比べて移
動度の大きいHFETを実現することができる。
【0020】特に、上記第2の半導体層は、(InX
1-X)AsY1-Yからなることにより、Pの濃度を変
化させることでバンド構造を変えることが可能になるの
で、バンドギャップの大きさ,ヘテロ障壁の大きさ,第
1の半導体層−第2の半導体層間の価電子帯のポテンシ
ャル差などを最適に調節することができる。
【0021】上記第2の半導体層は、(InXGa1-X
AsY(PZ1-Z1-Yからなることにより、P及びNの
濃度を変化させてバンド構造を変えることが可能になる
ので、第2の半導体層が(InXGa1-X)AsY1-Y
らなる場合と比べてバンド構造を調節するための自由度
がさらに増す。例えば、第1及び第3の半導体層が共に
InAlAsからなるときには、第2の半導体層のバン
ドギャップを従来のHFETと同じ大きさにしたまま第
2の半導体層と第3の半導体層の界面における伝導帯端
のポテンシャル差を大きくし、且つ第1の半導体層−第
2の半導体層間の価電子帯のポテンシャル差を小さくす
ることができる。この結果、ホールの蓄積が起こりにく
く、高速動作が可能なHFETを実現することができ
る。
【0022】上記第1〜第3の半導体層は、上記InP
基板とほぼ格子整合していることが好ましい。
【0023】上記第1の半導体層及び上記第3の半導体
層がInAlAsからなっていることにより、例えば第
2の半導体層がInGaAsPまたはInGaAsNか
らなっているときには、バンドギャップがInAlAs
よりも小さくなるので、第2の半導体層内に効果的にキ
ャリア電子を閉じこめることが可能になる。したがっ
て、本発明の通信機器用半導体装置の動作を高速化する
ことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】−改良点についての検討− HFETにおいて、ホールのチャネル層内への蓄積を防
ぐためには、衝突イオン化の発生を抑えることと、生成
したホールをすみやかにチャネル層から掃き出せるよう
にすることの2つの解決方法が考えられる。
【0025】衝突イオン化を防ぐためにはチャネル層の
バンドギャップを大きくする必要があるが、バンドギャ
ップを大きくすると、電子の有効質量は重くなり、HF
ETの最大の長所である高速動作性が失われる。また、
バンドギャップを大きくすることで伝導帯側のエネルギ
ー障壁が小さくなる場合には、電子の閉じこめが不十分
になり、高移動度の二次元電子ガスを発生させることが
困難になる。
【0026】以上のことから、本願発明者らは生成した
ホールをすみやかにチャネル層から掃き出す方法を検討
した。さらに、上述したように、チャネル層のバンドギ
ャップは大きすぎても小さすぎても不具合があるため、
該バンドギャップを大きく変えないか、バンドギャップ
を広くするとしてもキャリアの移動度に影響しない程度
にするように留意した。加えて、チャネル層内への電子
の閉じこめを維持することにも留意した。
【0027】(第1の実施形態)本発明の第1の実施形
態に係る通信機器用のHFETについて、以下説明す
る。
【0028】図1は、本実施形態に係るHFETの構造
を示す断面図である。同図に示すように、本実施形態の
HFETは、半絶縁性のInP基板101と、InP基
板101上に設けられたアンドープのInAlAsから
なる厚さ200nmのバッファ層102と、バッファ層
102上に設けられたアンドープのInGaAsからな
る厚さ15nmのチャネル層103と、チャネル層10
3の上に設けられたアンドープのInAlAsPからな
る厚さ2nmのスペーサ層104と、スペーサ層104
の上に共蒸着等により設けられた面密度5×1012cm
-2のSiを含む原子層ドーピング面からなる不純物添加
層105と、不純物添加層105の上に設けられたアン
ドープのInAlAsからなる厚さ15nmのバリア層
106と、バリア層106の上に設けられたゲート電極
111と、バリア層106の上のゲート電極111の両
側方に設けられた1×1019cm-3のSiを含むn型I
nGaAsからなるキャップ層107と、チャネル層1
03,スペーサ層104,不純物添加層105,バリア
層106及びキャップ層107の一部にSiをイオン注
入することにより設けられたソース領域112及びドレ
イン領域113と、ソース領域112上に設けられたソ
ース電極110と、ドレイン領域113の上に設けられ
たドレイン電極109を備えている。また、バッファ層
102,チャネル層103,スペーサ層104,バリア
層106及びキャップ層107はそれぞれMBE法やC
VD法などによりエピタキシャル成長された層であり、
各層はInP基板101に格子整合されている。なお、
ドレイン電極109及びソース電極110は共にAuG
e/Ni等からなっており、ドレイン領域113とソー
ス領域112とそれぞれオーミック接触している。
【0029】また、本実施形態のHFETにおいては、
駆動時にチャネル層103のうちスペーサ層104との
界面付近にキャリアが蓄積し、二次元電子ガス108を
生じる。このとき、電流はドレイン電極109から順に
ドレイン領域113,二次元電子ガス108,ソース領
域112,ソース電極110の経路を流れる。
【0030】本実施形態のHFETが従来のHFETと
異なっている点は、チャネル層103の組成にPが加わ
り、InGaAsPとなっている点である。以下に、チ
ャネル層103の組成にPを加えたことの効果について
説明する。
【0031】図2は、図1に示す本実施形態に係るHF
ETのII−II線におけるエネルギーバンド図である。同
図は、HFETの駆動時におけるエネルギーバンド図で
あり、ゲート電極111に電圧が印加された状態を示し
ている。なお、比較しやすいように、従来のHFETの
エネルギーバンドを点線で示している。
【0032】図2に示すように、本実施形態のHFET
は、共にバンドギャップの大きいInAlAsからなる
バッファ層102とスペーサ層104との間にバンドギ
ャップの小さいInGaAsPからなるチャネル層10
3が挟まれた構造をとっている。
【0033】また、本実施形態のHFETにおいては、
チャネル層103にPを導入することで従来のHFET
と比べてバンドギャップが約1.0eVに広がってお
り、特にチャネル層103とバッファ層102との界面
における両層の価電子帯端のバンド不連続量βがほぼ0
eVになっている。このため、チャネル層103内で衝
突イオン化によって生じるホールを、速やかにバッファ
層102方向へと掃き出させることができ、ホールの蓄
積によるHFETの動作への影響を排除することができ
る。
【0034】また、チャネル層103とスペーサ層10
4との界面における両層の伝導帯端間のバンド不連続量
αは0.45eVを維持しており、従来のHFETにお
けるバンド不連続量0.55eVとあまり変わらない。
このため、バイアス印加時にはチャネル層103のうち
スペーサ層104との界面付近に電子が閉じこめられ、
従来のHFETと同様、移動度の大きい二次元電子ガス
108が生じ、HFETの高速動作が可能になる。
【0035】さらに、本実施形態のHFETにおいて
は、チャネル層103のバンドギャップエネルギーが従
来の0.77eVに比べ大きくなっている。このため、
本実施形態のHFETにおいては、従来のHFETに比
べてチャネル層103内での電離衝突によるイオン化が
起こりにくくなっている。つまり、本実施形態のHFE
Tにおいては、チャネル層103内でのホール生成が抑
制されている。
【0036】このように、本実施形態のHFETでは、
チャネル層103のバンドギャップが従来より大きいこ
とによりホールの生成が抑えられている。さらに、ヘテ
ロ接合における伝導帯端のバンド不連続量は大きく変化
せず、価電子帯端のバンド不連続量が小さくなっている
ので、キャリアの大きい移動度を維持したままチャネル
層103内へのホールの蓄積が抑制される。これによ
り、ゲートリーク電流などの不具合の発生が抑えられ、
安定した高速動作が実現できる。加えて、本実施形態の
HFETは、化合物本来の優れた高周波特性を有してい
るので、高周波を利用した通信機器に好ましく用いられ
る。
【0037】次に、チャネル層103に導入されるPの
効果についてもう少し説明する。
【0038】図7に示すように、従来のHFETのチャ
ネル層はInGaAsからなるので、InPに格子整合
をとる条件下ではInAlAsからなるバッファ層10
2及びスペーサ層104との界面で伝導帯側のみならず
価電子帯側にもバンド不連続が生じる。一方、図7の点
線に示すように、InPの伝導帯端及び価電子帯端のポ
テンシャルは共にInAlAsのポテンシャルよりも低
いので、InPとInAlAsとのヘテロ界面はInG
aAsの時とは逆の方向にバンド不連続が生じることが
知られている。このヘテロ接合は一般にType−IIと
呼ばれる。
【0039】このため、InGaAsからなるチャネル
層へPを導入することで、InAlAsとの界面で価電
子帯側に生じるバンド不連続をうち消すことができる。
なお、伝導帯側のバンド不連続は価電子帯側ほど大きく
は変動しない。
【0040】チャネル層の組成の一例として、原子数の
比でIn:Ga=4:1、As:P=3:2であれば、
InP基板と格子整合させた条件においてInAlAs
との界面で価電子帯側に生じるバンド不連続量、つまり
バッファ層102とチャネル層103の価電子帯端のポ
テンシャル差は0eVとなる。このとき、伝導帯側のバ
ンド不連続量は0.45eVを維持しており、チャネル
層がInGaAsである場合の0.55eVとあまり変
わらないので、二次元電子ガスの量と移動度に与える影
響は少なくなっている。加えて、バンドギャップはIn
GaAsを用いる場合よりも大きくなっているので、電
離衝突によるイオン化は発生しにくくなっている。ま
た、発生したとしてもホールはチャネル層−バッファ層
間のエネルギー障壁を越える必要がなくなり、速やかに
チャネル層103内から掃き出される。
【0041】次に、チャネル層103内からホールを掃
き出す方法について簡単に説明する。先に示したよう
に、バッファ層102とチャネル層103の価電子帯端
のポテンシャル差が0eVのときには動作中にホールが
蓄積することはないが、チャネル層103の価電子帯端
のポテンシャルがバッファ層102のそれよりも高い場
合には、ホールの除去が必要になることがある。その際
には、例えばInP基板101の裏面上に基板電極を設
け、動作を止めた後にゲート電圧を印加した状態で該基
板電極に負電圧を印加すれば、印加した電圧に伴った電
界に引っ張られ、容易にホールを除去することができ
る。
【0042】なお、チャネル層103の価電子帯端のポ
テンシャルがバッファ層102のそれよりも低い場合に
は、特に基板電極に電圧を印加しなくてもスペーサ層1
04内のチャネル層103との界面付近にホールが蓄積
しにくくなっている。これは、ゲート電極111に電圧
が印加されているため、価電子帯のバンドが図2に示す
バンドと同様に右上がりとなり、ホールがInP基板方
向に抜けやすくなっているからである。
【0043】なお、携帯電話を例にとると、駆動電圧は
最大で5V程度であるので、本実施形態のHFETをこ
れらの通信機器に利用するためには、ホール除去のため
に印加する電圧も5V以下であることが要求される。そ
のため、バッファ層102とチャネル層103の価電子
帯端のポテンシャルの差は少なくとも0.18eV以下
になるように設計されている。また、携帯電話の駆動電
圧を5Vにすると昇圧回路等が必要になるため、駆動電
圧は3V以下であることがより好ましい。このため、本
実施形態のHFETにおいて、チャネル層103の価電
子帯端のポテンシャルがバッファ層102のポテンシャ
ルよりも高いときのポテンシャル差を正の値とすると、
バッファ層102とチャネル層103の価電子帯端のポ
テンシャルの差は0.1eV以下であることが好まし
い。ここで、ポテンシャルの差が負の値であってもよ
い。
【0044】また、本実施形態のHFETにおいて、チ
ャネル層103の組成は上述したものに限らず、P濃度
を調節することでヘテロ接合におけるバンド不連続量及
びチャネル層のバンドギャップを変えることができる。
すなわち、チャネル層103の材料を(InXGa1-X
AsY1-Yとすると、Yの値を調節することで、チャネ
ル層103とバッファ層102の価電子帯端のポテンシ
ャル差を−0.4eV以上0.18eV以下の範囲内に
するとともに、バンドギャップの大きさを調節すること
ができる。また、同時にXの値を調節することでInP
基板101に対する格子整合をとることができる。ただ
し、エネルギーギャップを大きくしすぎると移動度が下
がってしまううえに伝導帯側のバンド不連続量も小さく
なってしまい、二次元電子ガスの閉じこめにも影響を与
え素子特性の劣化を招くので、必要以上にPを入れるこ
とは逆効果となる。
【0045】このように、チャネル層内のP濃度を調節
することで、衝突イオン化の頻度を下げてホールの生成
を抑えることができ、仮にホールが生成したときにもホ
ールがチャネル層から容易に除去することが可能にな
る。つまり、本実施形態のHFETは高周波特性に優
れ、移動度が大きく、且つ性能が安定しているHFET
を実現できるので、特に通信機器に好ましく用いられ
る。もちろん、従来のHFETよりも耐圧が大きく、且
つ特性が安定しているので、本実施形態のHFETは、
通信機器以外の半導体装置としても用いることができ
る。
【0046】また、本実施形態のHFETにおいて、I
nP基板101上の各層はCVD法やMBE法により形
成されるなど、従来のHFETとほぼ同様の公知技術に
より容易に製造できることも利点の1つである。
【0047】なお、本実施形態のHFETにおいては、
バッファ層102及びスペーサ層104の材料が共にア
ンドープのInAlAsで、チャネル層103の材料は
InGaAsPであったが、これに限らず、バッファ層
102及びスペーサ層104の材料はチャネル層103
の材料よりもバンドギャップが大きいものであればよ
い。特に、チャネル層103の材料としては、InP基
板と格子間隔が大きく異ならないInを含むIII−V族半
導体であってもよい。これらの素材の組成比を最適化す
ることで、キャリア電子の閉じこめが可能で衝突イオン
化が起こりにくく、且つホールがチャネル層に蓄積しに
くくすることができる。
【0048】なお、本実施形態のHFETのチャネル層
103の組成は一定であったが、例えばPの濃度を段階
的に変えてもよい。この際には、スペーサ層104とチ
ャネル層103との界面において、チャネル層103内
にキャリア電子を閉じこめるためのバンド不連続量αが
確保され、且つチャネル層103とバッファ層102及
びスペーサ層104との界面における両層の価電子帯端
のポテンシャル差が0.1eV以内であればよい。
【0049】なお、本実施形態のHFETにおいては、
バッファ層102とチャネル層103との界面におい
て、バッファ層102の伝導帯端のポテンシャルがチャ
ネル層103のポテンシャルより高くなっていたが、逆
に、チャネル層103の伝導帯端のポテンシャルの方を
高くしてもよい。駆動時にはゲート電極に電圧を印加す
るため、この場合でもキャリア電子をチャネル層103
内に閉じこめることは可能である。
【0050】なお、本実施形態のHFETにおいて、バ
ッファ層102を設けず、InP基板101上に直接チ
ャネル層103が設けられた構造をとることもできる。
この場合にはバンド不連続量βの値は0にはならない
が、チャネル層103のP濃度を調節してバンド不連続
量βの値を0.18eV以下にすることは可能である。
【0051】−第1の実施形態の変形例− 図3は、第1の実施形態に係るHFETの変形例を示す
断面図である。本実施形態の変形例では、不純物添加層
105の代わりに、厚さ2nm程度のアンドープInA
lAs層314と高濃度でSiなどのn型不純物を含む
厚さ2nm程度のn型InAlAs層315とを交互に
繰り返し積層することにより形成されたInAlAs積
層部317が設けられている。これは一般に多重δドー
プ構造と呼ばれる構造である。HFETの駆動時には、
上述したように、キャリア電子がチャネル層103内に
蓄積して二次元電子ガスを生じる。
【0052】このように、キャリアの供給層がδドープ
の積層構造をとっていても、チャネル層103にPを導
入することで、第1の実施形態と同様にバンドギャップ
を大きくして衝突イオン化によるホール生成を抑制し、
バッファ層102とチャネル層103の価電子帯端のポ
テンシャルの差を−0.4eV以上0.18eV以下に
してホールの蓄積を抑えることができる。
【0053】なお、InAlAs積層部317に含まれ
るSiはin−situドーピングによって導入しても
よいし、Siイオンの多段階注入により導入してもよ
い。
【0054】(第2の実施形態)本発明の第2の実施形
態として、チャネル層の材料にN(窒素)を加えてヘテ
ロ接合におけるバンド不連続量やチャネル層のバンドギ
ャップを調節する通信機器用のHFETを説明する。
【0055】図4は、本発明の第2の実施形態に係るH
FETを示す断面図である。同図に示すように、本実施
形態のHFETは、半絶縁性のInP基板401と、I
nP基板401上に設けられたアンドープのInAlA
sからなる厚さ200nmのバッファ層402と、バッ
ファ層402上に設けられたアンドープのInGaAs
PNからなる厚さ15nmのチャネル層403と、チャ
ネル層403の上に設けられたアンドープのInAlA
sからなる厚さ2nmのスペーサ層404と、スペーサ
層404の上に設けられた面密度5×1012cm-2のS
iを含む原子層ドーピング面からなる不純物添加層40
5と、不純物添加層405の上に設けられたアンドープ
のInAlAsからなる厚さ15nmのバリア層406
と、バリア層406の上に設けられたゲート電極411
と、バリア層406の上のゲート電極411の両側方に
設けられた1×1019cm-3のSiを含むn型InGa
Asからなるキャップ層407と、チャネル層403,
スペーサ層404,不純物添加層405,バリア層40
6及びキャップ層407の一部にSiをイオン注入する
ことにより設けられたソース領域412及びドレイン領
域413と、ソース領域412上に設けられたソース電
極410と、ドレイン領域413の上に設けられたドレ
イン電極409を備えている。また、バッファ層40
2,チャネル層403,スペーサ層404,バリア層4
06及びキャップ層407はそれぞれMBE法やCVD
法などによりエピタキシャル成長された層であり、各層
はInP基板401に格子整合されている。なお、ドレ
イン電極409及びソース電極410は共にAuGe/
Ni等からなっており、ドレイン領域413とソース領
域412とそれぞれオーミック接触している。HFET
の駆動時には、キャリアがチャネル層403のうちスペ
ーサ層404との界面付近に蓄積し、二次元電子ガス4
08を生じる。このとき、電流はドレイン電極409か
ら順にドレイン領域413,二次元電子ガス408,ソ
ース領域412,ソース電極410の経路を流れる。
【0056】本実施形態のHFETが第1の実施形態の
HFETと異なっている点は、チャネル層403の組成
にさらにNが加わり、InGaAsPNとなっている点
である。以下に、チャネル層403の組成にNを加えた
ことの効果について説明する。
【0057】図5は、図4に示す本実施形態に係るHF
ETのV−V線におけるエネルギーバンド図である。同図
は、ゲート電極411に電圧が印加された状態を示して
いる。なお、比較のため従来のHFETのエネルギーバ
ンドを点線で示している。
【0058】まず、本実施形態のHFETが従来のHF
ETと異なっているのは、PとNとを導入することで、
チャネル層403とバッファ層402との界面における
両層の価電子帯端のバンド不連続量βがほぼ0eVにな
っていることである。このため、チャネル層403内で
衝突イオン化によって生じるホールは、速やかにバッフ
ァ層402方向へと掃き出され、第1の実施形態と同様
に、安定したHFETの動作が得られる。
【0059】また、第1の実施形態においては、Pの濃
度を上げる程チャネル層103とスペーサ層104との
界面における両層の伝導帯端間のバンド不連続量αの値
が小さくなっていたが、本実施形態のHFETにおいて
は、チャネル層403にさらにNが導入されているた
め、バンド不連続量αの値を例えば従来と同じ0.55
eVとしたまま、あるいはそれ以上とした上でバンド不
連続量βの値を約0eVとすることができる。このた
め、本実施形態のHFETにおいては、電子のチャネル
層403への閉じこめがさらに良好となり、二次元電子
ガス408の移動度をさらに向上させることが可能とな
る。また、チャネル層403のバンドギャップエネルギ
ーは、導入するPとNの濃度を調節することにより、従
来と同じ0.77eV以上とすることができる。これに
より、高い移動度を保ちながら、衝突イオン化によるホ
ールの発生を抑えたHFETが実現できる。さらに、本
実施形態のHFETは、ホールが発生した場合にも、チ
ャネル層403内に蓄積しにくくなっているので、耐圧
が高く、且つ性能が安定している。
【0060】このように、チャネル層403のInGa
AsPにNを加えることにより、第1の実施形態のHF
ETに比べバンドギャップが小さくなり、伝導帯端のポ
テンシャルと価電子帯端のポテンシャル位置は共に従来
のInGaAsを使用した場合に比べて低くなる。この
ため、PとNの濃度を調節することにより、バンドギャ
ップの大きさを従来のInGaAsを使用した場合より
大きくし、バンド不連続量αの値を大きくするとともに
バンド不連続量βの値を小さくするなど、バンド構造が
最適になるように調節することが可能となる。ここで、
バンドギャップエネルギーは、衝突イオン化を防ぐため
に0.77eV以上が好ましく、バンド不連続量αの値
はキャリアを閉じこめるために0.55eV以上が好ま
しく、バンド不連続量βの値はホールを容易に除去でき
るように0.18eV以下であることが好ましい。
【0061】なお、チャネル層403の価電子帯端のポ
テンシャルの位置がバッファ層402のそれよりも上へ
来る場合、つまりTypeIのヘテロ接合の場合には、
第1の実施形態と同様にホールの除去が必要になること
がある。その際には、例えばInP基板401の裏面上
に基板電極を設け、動作を止めた後にゲート電圧を印加
した状態で該基板電極に正電圧を印加すれば、印加した
電圧に伴う電界に引っ張られ、チャネル層403とバッ
ファ層402との間にあるエネルギー障壁(バンド不連
続量)βを乗り越えて容易にホールを除去することがで
きる。また、ヘテロ接合がTypeIIの場合には、ゲー
ト電極411に電圧を印加するためホールの蓄積は起こ
りにくくなっている。
【0062】また、本実施形態のHFETは、化合物半
導体本来の優れた高周波特性を有しているので、高周波
を利用した通信機器に好ましく用いられる。特に、チャ
ネル層403とバッファ層402との界面における価電
子帯端のポテンシャル差を0.18eV以下になるよう
にPとNの濃度を調節することにより、ホールを除去す
るための電圧を5V以下にすることができるので、携帯
電話をはじめとする携帯機器に用いることができる。さ
らに、上記のポテンシャル差が0.1eV以下であれば
携帯電話用の半導体装置としてさらに好ましく用いられ
る。なお、このポテンシャル差は負の値であってもよい
が、本実施形態のHFETではチャネル層403中のP
とNの濃度を調節して形成できるポテンシャル差は−
0.4eV以上である。
【0063】以上に説明したように、本実施形態のHF
ETにおいては、InGaAsPNをチャネル層とする
ことによって第1の実施形態に比べチャネル層の性質を
最適化するための自由度がさらに増す。すなわち、チャ
ネル層にPとNとを導入することで、二次元電子ガスの
キャリア濃度が増加するとともに移動度が向上し、電離
衝突によるイオン化が生じにくく、且つチャネル層内で
生じたホールを逃がしやすい構造にすることができる。
その結果、高い移動度と耐圧性を有し、動作の安定性に
優れたHFETが実現される。
【0064】なお、本実施形態においては、チャネル層
403の組成をInGaAsPNの五元結晶としたが、
チャネル層403の材料はInを含むIII−V族化合物で
あればよく、例えばGaを使用せずにInAsPNとし
たり、Sbを加えてInPSbNとしてもよい。あるい
はPに代えてSbを用いてInGaAsSbNとした
り、Alを用いてInAlAsNとしても以上の本実施
形態と同様の効果が得られる。また、第1の実施形態と
同様に、バッファ層402及びスペーサ層404の材料
は、チャネル層403の材料よりもバンドギャップが大
きいものであれば同じ効果が得られる。このとき、バッ
ファ層402及びスペーサ層404の材料は互いに異な
る材料であってもよい。
【0065】また、スペーサ層404,不純物添加層4
05及びバリア層406の代わりにチャネル層403の
上にδドープの積層構造を設けてもよい。
【0066】
【発明の効果】本発明の通信機器用半導体装置によれ
ば、HFETの構造を有し、チャネル層に使用する材料
にInやAsを含むIII族−V族化合物半導体の他、Pあ
るいはP及びNなどのV族元素を導入してバンドギャッ
プの大きさやヘテロ接合界面における伝導帯端のポテン
シャルの差を最適化しているので、駆動時に高い移動度
と高いキャリア濃度の二次元電子ガスを生じ、且つ電離
衝突によるイオン化が抑制抑制されたHFET素子を実
現することができる。また、チャネル層とこれを挟む層
との界面における価電子帯端のポテンシャルの差を例え
ば−0.4eV以上0.18eV以下にすることができ
るので、電離衝突によるイオン化が起こったとしても発
生したホールを速やかチャネル層から掃き出すことがで
き、性能の安定した半導体装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るHFETを示す
断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るHFETの図1に示すII
−II線におけるエネルギーバンド図である。
【図3】第1の実施形態に係るHFETの変形例を示す
断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るHFETを示す
断面図である。
【図5】第2の実施形態に係るHFETのV−V線におけ
るエネルギーバンド図である。
【図6】従来のHFETを示す断面図である。
【図7】従来のHFETの図6に示すVII−VII線におけ
るエネルギーバンド図である。
【符号の説明】
101,401 InP基板 102,402 バッファ層 103,403 チャネル層 104,404 スペーサ層 105,405 不純物添加層 106,406 バリア層 107,407 キャップ層 108,408 二次元電子ガス 109,409 ドレイン電極 110,410 ソース電極 111,411 ゲート電極 314 アンドープInAlAs
層 315 n型InAlAs層 317 InAlAs積層部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出口 正洋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 吉井 重雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 古屋 博之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5F102 FA00 GB01 GC01 GJ04 GK04 GL04 GM04 GM08 GN04 GQ01 GQ03 HC01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の半導体層と、 上記第1の半導体層の上に設けられ、上記第1の半導体
    層よりもバンドギャップが小さい第2の半導体層と、 上記第2の半導体層の上に設けられ、上記第2の半導体
    層との間でヘテロ障壁を生ぜしめる材料からなる第3の
    半導体層とを備え、 上記第2の半導体層と上記第3の半導体層との界面にお
    いて、上記第2の半導体層の伝導帯端のポテンシャルが
    上記第3の半導体層の伝導帯端のポテンシャルよりも低
    く、 上記第1の半導体層と上記第2の半導体層との界面にお
    いて、上記第2の半導体層の価電子帯端のポテンシャル
    が上記第1の価電子帯端のポテンシャルよりも高いとき
    のポテンシャル差を正の値とすると、上記第1の半導体
    層の価電子帯端のポテンシャルと上記第2の半導体層の
    価電子帯端のポテンシャルとの差が−0.4eV以上
    0.18eV以下である通信機器用半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の通信機器用半導体装置
    において、 上記第1の半導体層の下にInP基板をさらに備えてい
    ることを特徴とする通信機器用半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の通信機器用半
    導体装置において、 上記第1の半導体層と上記第2の半導体層との界面にお
    いて、上記第1の半導体層の価電子帯端のポテンシャル
    と上記第2の半導体層の価電子帯端のポテンシャルとの
    差が0.1eV以下であることを特徴とする通信機器用
    半導体装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載
    の通信機器用半導体装置において、 上記第2の半導体層のバンドギャップエネルギーが0.
    77eV以上であることを特徴とする通信機器用半導体
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載
    の通信機器用半導体装置において、 上記第2の半導体層は、少なくともInを含むIII−V族
    半導体であることを特徴とする通信機器用半導体装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の通信機器用半導体装置
    において、 上記第2の半導体層は、(InXGa1-X)AsY1-Y
    らなることを特徴とする通信機器用半導体装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の通信機器用半
    導体装置において、上記第2の半導体層は、(InX
    1-X)AsY(PZ1-Z1-Yからなることを特徴とす
    る通信機器用半導体装置。
  8. 【請求項8】 請求項2〜7のうちいずれか1つに記載
    の通信機器用半導体装置において、 上記第1〜第3の半導体層は、上記InP基板とほぼ格
    子整合していることを特徴とする通信機器用半導体装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項2〜8のうちいずれか1つに記載
    の通信機器用半導体装置において、 上記第1の半導体層及び上記第3の半導体層がInAl
    Asからなっていることを特徴とする通信機器用半導体
    装置。
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WO2022049983A1 (ja) * 2020-09-01 2022-03-10 ソニーグループ株式会社 半導体装置、半導体モジュール、及び無線通信装置

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