JP2003194603A - 流量センサ - Google Patents

流量センサ

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JP2003194603A
JP2003194603A JP2001392081A JP2001392081A JP2003194603A JP 2003194603 A JP2003194603 A JP 2003194603A JP 2001392081 A JP2001392081 A JP 2001392081A JP 2001392081 A JP2001392081 A JP 2001392081A JP 2003194603 A JP2003194603 A JP 2003194603A
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ultrasonic
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Masanobu Sakai
政信 酒井
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超音波伝播時間式流量センサの検出精度向上に
関する。 【解決手段】流体流路中に配置した超音波送受波器2
1,22により超音波パルスを送受波し、流体流速に応
じて変化する超音波伝播時間を検出して流体の流量を計
測する流量センサにおいて、超音波伝播時間測定回路3
6で測定された前回の超音波伝播時間測定値に基づい
て、ゲート回路33をOFFとしてノイズの受信を防止
するノイズゲート時間を調整する。これにより、流体組
成が変化しても、常に超音波受信タイミング前近傍でゲ
ート回路33をONとして超音波の受信を可能とするこ
とができ、流量検出精度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池システム
における流量計測など、運転中の性状変化が大きい流体
の流量計測に好適な超音波伝播時間式流量センサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、開発の盛んな燃料電池の制御シス
テムでは燃料流量を制御パラメータとするアプリケーシ
ョンあるいはモニタするアプリケーションが種々提案さ
れているが、その流量測定手段を具体的に説明した事例
は少ない。それは燃料電池システムにて取り扱う流体
が、水素が主体のガスであること、加湿されたガスであ
ること、窒素あるいは酸化炭素の混合ガスであること、
ガス組成・混合比が動的に変化すること、流量範囲が広
いことなど、従来の流量センサでは適合しにくい流体条
件にあるからである。
【0003】燃料電池システムにおける流量計測例とし
て、特開平08−138710号で質量流量計が紹介さ
れている。その具体的なセンサとしてはサーマル・マス
・フローメーターがあるが、この方式は配管上下流に温
度センサを設け、温度の不平衡量から流体の質量流量を
求める形態のため、管壁が結露した場合、計測不能にな
るという致命的な問題がある。このため質量流量計の前
段にて十分に除湿するか、または質量流量計をガス温度
以上に加熱して結露を防止する手段が不可欠であり、構
造的にもコスト的にも大掛かりとなってしまうのが現状
である。
【0004】そこで本発明者は改めて既存の流量計測方
式を調査し、前記流体条件に対し最も適合性の高い方式
として、加湿ガスの適合性が高く、ガス組成・混合比変
化が計測結果に影響せず、測定範囲が1:1000と広
いなどの特長を持った超音波伝播時間方式に着目した。
超音波伝播時間方式の流量計は、超音波の送受波ができ
る流体であれば組成によらず適合でき、しかもシンプル
な回路処理のため、プラント向け流量センサとして広く
活用されており基本計測技術もかなり確立されている。
しかしながら今日まで流量計測の頻度があまり多くな
く、あるいは特殊用途向けであった水素などの低密度ガ
スヘの超音波伝播時間方式流量計の適用事例はほとんど
無く、それゆえに水素ガスに適用した場合の問題点は残
されていた。その問題点の一つに超音波の減衰が激しい
ことに由来する送受波の安定性低下がある。この送受波
の安定性向上・維持のための改良手段として、受信波の
伝播時間または振幅よりガス組成変化を感知して、送信
あるいは受信感度を増す方法が特開2000−2922
33号に開示されている。
【0005】ところが前記燃料電池システムにおける流
体(ガス)においては、流体の密度変化が大きく、それ
に伴って音速変化も大きいことにより、送受波感度の制
御だけでは送受波の安定性を確保しきれないことが実験
の結果、わかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】超音波伝播時間方式に
よる前記流体流量計測の課題は、音速が4倍程度違う
「水素ガス」と「窒素ガス」への動的かつ連続的な対応
である。具体的には、超音波伝播時間方式の従来の流量
計では、送信した超音波以外の外来ノイズを受信しない
ように、受信検出にゲート処理を導入して超音波伝播時
間を正確に検出できるよう工夫してある。このゲート処
理では可能な限り外来ノイズ受信を阻止するために、送
信した超音波が受信される直前にゲートが開いて受信有
効になることが理想的であり、多くの取扱いでは事前に
受信タイミングを測ってゲート時間を設定するようにし
てある。ところが前記流体では音速の違いから受信時間
の変動が4倍あり、しかもその変動は時々刻々と変化し
ており、したがって、ゲートが開いてから、受信するま
での時間が長くなったり、逆にゲートが開くのが遅れ受
信波を見逃す可能性がある。
【0007】また水素ガスの混合比率が高まると受信タ
イミングが早まるばかりでなく、音波の吸収減衰や歪、
および多重反射波との干渉により複雑な受信波となり、
受信タイミングの検出S/N比が悪化する。さらに、受
信タイミングが早いと、送信波の残存ノイズと受信波が
重なってしまう不具合もおきやすくなる。このため超音
波伝播距離を長く取って受信タイミングを遅らせ、送信
から受信までの時間間隔に余裕を持たせる工夫が必要で
ある。
【0008】本発明は、このような従来の課題に着目し
てなされたもので、ノイズの受信を防止するノイズゲー
ト時間を適切に設定して、安定した流量計測が行えるよ
うにした流量センサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に係
る発明は、流体中に配置した超音波送受波器により超音
波パルスを送受波し、流体流速に応じて変化する超音波
伝播時間を検出して流体の流量を計測する流量センサに
おいて、流体組成の変化に応じてノイズ受信を防止する
ノイズゲート時間を調整するノイズゲート調整手段を備
えたことを特徴とする。
【0010】請求項1に係る発明によると、流体の組成
が変化すると、流体組成の変化に応じてノイズゲート時
間を調整することにより、常に超音波の受信タイミング
前近傍で受信可能とすることができ、もって精度よく超
音波の受信タイミングを検出でき、流量検出精度を向上
することができる。
【0011】また、請求項2に係る発明は、前回の超音
波パルス送受波時に検出された超音波伝播時間に基づい
て前記ノイズゲート時間を決定することを特徴とする。
前回の超音波パルス送受波時に検出された超音波伝播時
間に基づき、所定の余裕時間を持たせて前記ノイズゲー
ト時間を決定することにより、流体組成変化に追従して
適切なノイズゲート時間を設定することができる。
【0012】また、請求項3に係る発明は、流体流れ順
方向での超音波伝播時間と逆方向での超音波伝播時間と
の平均値に基づいて前記ノイズゲート時間を決定するこ
とを特徴とする。請求項3に係る発明によると、流体流
れ順方向での超音波伝播時間と逆方向での超音波伝播時
間の、それぞれの前回検出値に基づいて順方向用と逆方
向用のノイズゲート時間を決定することもできるが、両
方向の超音波伝播時間の平均値を基準として、順方向用
と逆方向用のノイズゲート時間を決定することにより、
誤差の影響を小さくしてより正確に決定することができ
る。
【0013】また、請求項4に係る発明は、超音波の波
形減衰時間に基づいて前記ノイズゲート時間を決定する
ことを特徴とする。請求項4に係る発明によると、流体
組成に応じて、超音波の波形減衰時間が変化する。例え
ば密度の小さい水素ガスなどでは伝播抵抗が小さいため
超音波の波形減衰時間が長引く。そこで、超音波の波形
減衰時間に基づいて流体組成に応じたノイズゲート時間
を決定することができ、流量検出精度を向上できる。
【0014】また、請求項5に係る発明は、前回の超音
波パルス送受波時に検出された超音波伝播時間に基づい
てノイズゲート時間を算出すると共に、超音波の波形減
衰時間に基づいてノイズゲート時間を算出し、これら2
つの算出値を照合検証して、前記ノイズゲート時間を決
定することを特徴とする。
【0015】請求項5に係る発明によると、2つの方式
で算出したノイズゲート時間を照合検証して、調整する
ノイズゲート時間を決定するようにしたため、よりノイ
ズゲート時間の調整の信頼性をより高めることができ
る。また、請求項6に係る発明は、超音波伝播時間に基
づいて受信不良を検出し、受信不良時に前記ノイズゲー
ト時間を初期化することを特徴とする。
【0016】請求項6に係る発明によると、流体組成が
急激に変化し、ノイズゲート時間中に受信されてしまう
ような受信不良を検出したときに、ノイズゲート時間を
初期状態に戻す(最小時間とする)ことで速やかに受信不
良を解消し、流量計測データの欠落を最小限に押さえら
れる。
【0017】また、請求項7に係る発明は、超音波伝播
時間が流体組成に応じて定まる伝播時間の範囲を外れる
か、流体流れ順方向での超音波伝播時間と逆方向との超
音波伝播時間との平均値が所定の範囲外となった場合に
受信不良であると検出することを特徴とする。請求項7
に係る発明によると、変化しうる流体組成における最大
伝播時間を超えたり、流体流れ順方向と逆方向における
超音波伝播時間の平均値が取りうるべき所定の範囲から
外れたときは、正常時にはありえない事態であるので、
受信不良と検出する。なお、超音波伝播時間の平均値は
流体組成によって変化するので、正常である前回の超音
波伝播時間の平均値により推定される流体組成に応じて
所定範囲(上限値及び下限値)を設定しておき、今回の
平均値をこの範囲と比較して判定すればよい。
【0018】また、請求項8に係る発明は、流体組成に
おける最小伝播時間より短い時間をノイズゲート時間の
初期値として設定することを特徴とする。変化しうる流
体組成における最小伝播時間より短い時間をノイズゲー
ト時間の初期値として設定すれば、いかなる流体組成で
あっても確実に超音波を受信することができ、以降は流
体組成に応じたノイズゲート時間に直していけばよい。
【0019】また、請求項9に係る発明は、ノイズレベ
ル以下の受信信号をゼロにクリッピングした後に、所定
の検出レベルまで増幅してS/N比を改善することを特
徴とする。請求項9に係る発明によると、増幅されたノ
イズを超音波の受信と誤検出することを防止して、正し
い受信タイミングを検出でき、流量検出の信頼性を確保
できる。
【0020】また、請求項10に係る発明は、超音波伝
播経路に流量計測を阻害する反射波の受信を抑制する手
段を備えたことを特徴とする。また、請求項11に係る
発明は、流量計測を阻害する反射波の受信を低減する手
段が、吸音材または乱反射板であることを特徴とする。
【0021】請求項10及び請求項11に係る発明によ
ると、流量計測を阻害する反射波を、吸音材で吸収しあ
るいは乱反射板で乱反射させて減衰させるなどして、該
反射波による受信波のひずみを低減することにより、正
しい受信タイミングを検出でき、流量検出の信頼性を確
保できる。また、請求項12に係る発明は、超音波伝播
経路壁面の結露を低減する手段を備えたことを特徴とす
る。
【0022】請求項12に係る発明によると、以下の効
果が得られる。超音波伝播経路壁面が結露し、結露水が
増大すると、流体流路の断面積が変化して流量検出誤差
が増大し、さらには超音波の反射が妨げられて正常な検
出が行えなくなる。そこで、超音波伝播経路壁面の結露
を低減する手段を備えることにより、流量検出精度を確
保する。
【0023】また、請求項13に係る発明は、前記超音
波伝播経路壁面の結露を低減する手段は、超音波伝播経
路の上流で流体中の水分を凝縮する手段と、超音波伝播
経路壁面を加熱して結露を抑制する手段と、凝縮及び結
露した水を排出する手段とで構成されることを特徴とす
る。請求項13に係る発明によると、超音波伝播経路の
上流で流体中の水分を凝縮することにより、流体中の大
部分の水分を除去し、超音波伝播経路壁面を加熱するこ
とにより可能な限り結露を抑制し、前記凝縮した水およ
び結露した場合の結露水を排出することで、超音波伝播
経路壁面に結露水が溜まることを確実に防止して流量検
出精度を確保できる。
【0024】また、請求項14に係る発明は、前記超音
波伝播経路の上流で流体中の水分を凝縮する手段は、流
体の整流作用を兼ねた構造を有していることを特徴とす
る。請求項14に係る発明によると、流体を整流させて
超音波伝播経路に導くことにより、安定かつ高精度に流
量を検出できる。
【0025】また、請求項15に係る発明は、超音波反
射板を前記流体流路の断面中心部に配設し、該反射板の
表面に流体流れ方向に沿って細溝を形成すると共に、該
細溝の下流部に上下に貫通する貫通孔を形成し、かつ、
該貫通孔周囲の反射板下部を凸形状としたことを特徴と
する。請求項15に係る発明によると、流体流路とは別
体に超音波反射板を設けて反射部の熱容量を小さくする
ことにより、流体と反射板の温度差を少なくして結露を
低減できる。また超音波反射板が結露した場合でも、細
溝の毛細管効果を利用して水滴が下流側の貫通孔に導か
れ、凸形状部に作用するベンチュリ効果によって貫通孔
表裏に生じる圧力差により、水滴を反射板裏面へ吸引し
て効率良く排水させることができる。
【0026】また、請求項16に係る発明は、前記超音
波伝播経路を兼ねる流体流路部分を、略垂直面内で旋回
するループ状としたことを特徴とする。請求項16に係
る発明によると、ループ状の流体流路壁面が結露した場
合でも重力で結露水を排出でき、簡易な構成で流量検出
精度を確保できるとともに、小型で長い超音波伝播経路
を確保できセンサ全体を小型化(軸長の短縮)できる。
【0027】また、請求項17に係る発明は、前記超音
波伝播経路は、超音波が複数回反射する経路を有するこ
とを特徴とする。請求項17に係る発明によると、超音
波反射回数を増やすことにより、センササイズを余り大
きくすることなく超音波伝播距離を長くすることがで
き、送信から受信までの時間間隔に余裕をもたせること
ができる。これにより、音速の早い水素ガスの計測時等
で、受信タイミングが早まることによる送信波の減衰振
動ノイズと受信信号の干渉を避けることができ、流量検
出精度を確保できる。
【0028】また、請求項18に係る発明は、今回の超
音波伝播時間が異常であると検出したとき、前回の超音
波伝播時間を今回の超音波伝播時間として置き換えるこ
とを特徴とする。また、請求項19に係る発明は、前回
の超音波伝播時間と今回の超音波伝播時間とを比較し、
その差が所定値以上である場合、受信不良であると検出
もしくは今回の超音波伝播時間が異常であると検出する
ことを特徴とする。
【0029】請求項18及び請求項19に係る発明によ
ると、ノイズゲートでは阻止できない送信波の多重反射
等による受信不良があった場合でも、過去の計測データ
からの補完により流量計測データの欠落を最小限に押さ
えられる。また、請求項20に係る発明は、想定される
流体の最大音速時において、所定の超音波放射指向角が
得られるように超音波周波数を決定することを特徴とす
る。
【0030】請求項20に係る発明によると、音速が早
い流体組成条件において、超音波放射指向角が拡大する
ことにより発生しやすい多重反射波干渉による受信波の
ひずみを最小限に押さえることで、受信不良を防止でき
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。なお、以下の実施形態で実質的に同一の機能
を有する部分は同一符号を付して説明する。図1は、第
1の実施形態にかかる流量センサを示す。該流量センサ
は、検出機構1と該検出機構1の駆動を制御しつつ検出
機構1からの検出信号を処理して流量を計測する処理回
路3とで構成される。
【0032】検出機構1は、計測流体を流通させる流体
流路11の管壁に、中心軸相互が交差するように超音波
送受波器21,22を装着した構造を有し、前記処理回
路3によって駆動される超音波送受波器21,22の一
方から流体流れ方向に対して例えば45°の角度をなし
て超音波を送信し、管壁内面で反射した超音波を他方で
受信し、該受信信号を電気信号に変換して処理回路3に
出力するように構成されている。
【0033】処理回路3は、図示の各ブロック機能を有
している。該各ブロックの機能については、後述のフロ
ーで説明する。前記流量センサによる流量計測を以下に
説明する。なお、本センサで用いる超音波伝播時間方式
の計測原理については文献に詳しく解説されているので
省略する(参照:松山裕著、実用流量測定第5章、
(財)省エネルギーセンター)。
【0034】図2は、流量計測時の超音波受波信号Wr
の状態を示す。(a)は、計測流体として窒素ガスを用
いたときの波形、(c)は、同じく水素ガスを用いたと
きの波形である。水素ガスでの特徴は、受信タイミング
tr2が早く、受信信号の減衰時間が長い(tw2)こ
とがあり、また、水素ガスでは音波減衰が大きいため受
信回路の増幅度を上げるが、従来はそれに応じて受信前
(n2)のノイズも増幅され、受信波の先頭の判別がつ
きにくくなっていた(検出S/N比が悪い)。なお、
(c)の値は、(a)の値に比べ増幅度を大きくしてい
る。
【0035】そこで本発明にかかるノイズ受信を防止す
るノイズゲート時間の調整およびS/N比改善処理を以
下のように行う。該ノイズゲート時間調整およびS/N
比改善処理を行った流量計測シーケンスの第1の実施形
態(請求項1、2に対応)を、図1、図2を参照しつつ
図3のフローチャートに従って説明する。
【0036】該流量計測シーケンスは、超音波送受波器
の切換から開始される。電源が投入されると、前記超音
波送受波器21,22のどちらを送信に、または受信に
使うかの切換を切換回路31にて行う(S1)。具体的
には、流量計測シーケンス毎に交互に超音波送受波器2
1,22の送受信を切り換える。次に、ノイズゲートを
ONにして超音波受信信号を入力させるまでの待ち時間
つまりノイズゲート時間(tg)を、ゲート回路33に
セットする(S2)。
【0037】次に、前記ノイズゲート時間の間、送信信
号Wtの残存振動ノイズn2または図示しない外来ノイ
ズをマスクするため、ゲート回路33のノイズゲートを
OFFにする(S3)。なお、前記残存振動ノイズn2
は流体音波伝播ではなく、送受波器取り付け部材を伝播
した振動あるいは電磁結合による漏洩ノイズである。次
に、インパルス状の送信信号を送信信号発生回路32で
生成し、超音波送受波器21,22のうち送信器として
選択した方へ送って、超音波を送信する(S4)。
【0038】超音波の送信と同時に超音波伝播時間測定
回路36で時間カウンターの計数を開始する(S5)。
ゲート時間tgが経過するのを待って(S6)、ノイズ
ゲートをONにして超音波送受波器21,22のうち受
信器として選択した側の受信信号Wrを、ノイズレベル
減算回路34に導く(S7)。
【0039】ノイズレベル減算回路34は、受信信号
(例えばWr2)に対して所定のノイズレベルLn以下
をクリッピングし、これにより、受信前の振動ノイズn
2をゼロとする。その後、受信信号Wr2を受信タイミ
ング検出回路35で所定の信号レベルまで増幅する。こ
のように受信信号Wr2を増幅しても、受信前のノイズ
n2は増幅後もゼロなので、図2(a)の楕円枠n内に
示す受信信号Wrの波形のようにS/N比が改善され
る。これがS/N比改善処理である(請求項9に対
応)。なぜS/N比改善処理、つまりノイズレベル減算
回路34によるノイズレベルの減少処理が必要かについ
て補足すると、次段の受信タイミング検出回路35で
は、精密な伝播時間計測を行うために、超音波の受信有
無を受信信号Wrの振幅が所定のしきい値Lrに達した
時刻tcでまず検知し、その受信信号のゼロクロス点を
時刻tcより遡って計数し、所定のゼロクロス点tr
(図2では1.5周期目のゼロクロス点で図示)を探し
て受信タイミングとしている。従って図2(c)の楕円
枠n2内に示すように、振動ノイズにより1周期目の検
知が不明瞭な受信信号では所定のゼロクロス点を正しく
捉えられずに、前後の周期のゼロクロス点を受信タイミ
ングと誤認し、伝播時間計測の誤差を招くところを、S
/N比が改善された受信信号から所定の周期のゼロクロ
ス点trを検出して受信タイミングを得る(S8)。
【0040】次に、超音波伝播時間測定回路36で、受
信タイミングでの時間カウンターの計数値を読み取る
(S9)。この読み取り値が超音波伝播時間tdであ
る。次に、前記超音波伝播時間tdから次回の流量計測
シーケンスにおけるノイズゲート時間を演算し記憶する
(S10)。この演算は、例えば伝播時間に0.8を乗
じて求める。このとき、ノイズゲートは超音波伝播時間
tdの80%でONとなる。
【0041】この際、流体流れ順方向での超音波伝播時
間と逆方向での超音波伝播時間の、それぞれの前回検出
値に基づいて順方向用と逆方向用のノイズゲート時間を
決定することもできるが、両方向の超音波伝播時間の平
均値を基準として、流量により影響を受ける時間を加算
もしくは減算して、順方向用と逆方向用のノイズゲート
時間を決定して誤差の影響を少なくすることもできる
(請求項3に対応)。
【0042】最後に、超音波伝播時間tdに基づいて、
流量を流量演算回路37で算出する(Sll)。算出式
は、以下のように示される。 Q=S・L・(1/tdp−1/td)/(2cosθ)・・・(1) S:流体流路の断面積、L:超音波伝播経路長、θ:超
音波と流体流れの成す角、tdp:流体流れ方向の伝播
時間(前回の計測シーケンスでのtd読み取り値)、t
d:流体流れとは反対方向の伝播時間(今回の計測シー
ケンスでのtd読み取り値) 以上が一連の流量計測シーケンスであり、以降、送受波
器21,22を交互に切り換えて流量計測が継続され
る。
【0043】次に、第2実施形態(請求項4に対応)に
ついて、図4、図2を参照しつつ図5のフローチャート
にしたがって説明する。S1〜S9で前記第1実施形態
の図1及び図3と同様に超音波伝播時間測定tdまでを
処理した後、超音波減衰時間検出回路38により、予め
定めた所定の振幅減衰レベルLwに振幅低下するタイミ
ングteを検出する(S101)。
【0044】振幅減衰レベルLwの設定値としては、例
えば受信波の最大値Lpの30%が適当である。また振
幅減衰レベルの検出は受信信号を振幅検波して作成した
包絡線Weを利用するとよい。次に、受信タイミングt
rから振幅減衰レベル到達タイミングteまでの時間を
計数して振幅減衰レベル検出時間twを読み取る(S1
02)。この振幅減衰レベル検出時間twから次回の流
量計測シーケンスにおけるノイズゲート時間を求め、記
憶する(S103)。
【0045】次に、前記第1の実施形態と同様に流量演
算を行い、一連の計測シーケンスを繰り返す。なおこの
実施例での前記ノイズゲート時間の演算は、例えば図6
(a)のように減衰時間と音速および所望のノイズゲー
ト時間との関係データを予め求めておき、そのデータか
ら減衰時間twとノイズゲート時間tgの対応マップを
作成して、そのマップを用いて振幅減衰レベル検出時間
twに応じたノイズゲート時間を求める。またはマップ
の代わりに近似式を用いて算出してもよい。ここで、な
ぜ図6(a)のような関係にあるかを説明すると、まず
水素混合比をガス密度変化で表すと、音速の特性は図7
に示すようになる。水素ガス混合比率が100%に近づ
くと音速が急激に早くなり、従って伝播時間tdは短く
なる。ところが音速が早くなると図6(b)に示すよう
に、受信したい直接波Wsと反射波Wmおよびその多重
反射波が次々に受波器に到達するために、直接Wsと、
いくつもの反射波Wmが合成され、複数の反射波が見か
け上は1つの受信波Wrとして受信されるようになる。
【0046】その関係は水素ガス混合比により、以下の
関係となる。 直接波Ldの到達時間Td=Ld/V・・・・・・(2) Ld:直接波伝播距 離 反射波Lrの到達時間Tr=Lr/V・・・・・・(3) Lr:反射波伝播距 離 直接波と反射波の時間差Tr−Td=(Lr−Ld)/V・・・・・(4) (4)式の両辺の差分Tr−Td、Lr−Ldを△Tr、△Lrとすると、 △Tr=△Lr/V・・・・・・(5) よって、直接波の振動時間をTsとすると、受信波Wr
の減衰時間は、条件a △Tr<Ts=水素ガス比率が
高い条件。この条件では直接波と反射波が重なる。見か
けの減衰時間は多重反射波の重なり波数で決まる。
【0047】条件b △Tr=Ts=水素ガス比率が中
庸の条件。この条件では直接波と反射波が重なり始める
ので減衰時間が急変する。条件c △Tr>Ts=水素
ガス比率が低い条件。この条件では直接波と反射波が重
ならない。減衰時間は音波の吸収減衰特性により決ま
る。このように、減衰時間は直接波と反射波の差分距離
(=伝播経路形状および寸法)と、音速とで概略決定さ
れ、更に各条件においては、条件aでは多重反射の重な
り回数(または反射持続時間)で減衰時間が決まり、条
件b〜cの領域では音波の吸収減衰により減衰時間が決
まる。この結果、図6(a)の特性となる。
【0048】また第3実施形態(請求項5に対応)とし
て、前記第1実施形態の超音波伝播時間より次回のノイ
ズゲート時間を求め、その値を前記第2実施形態の振幅
減衰レベル検出時間twから求めたノイズゲート時間と
照合してノイズゲート時間が正常に求められたかを検証
し、次回の流量計測シーケンスにおけるゲート時間を決
定することでより確実なノイズゲート処理が行える。
【0049】図8は第4実施形態及び第5実施形態(請
求項10,11に対応)を示す図である。図8(a)に
示す第4実施形態では送受波器21,22の固定部材7
1の超音波伝播経路壁に多孔質構造やグラスウール状の
吸音材72を張ることで、エネルギー消費による減衰吸
収効果により不要反射波の発生を低減させ、また図8
(b)に示す第5実施形態では送受波器に近いほど開口
面積を狭めた反射板73を図のように取り付けて、乱反
射を積極的に起こさせることで直接波以外の多重反射波
を送受波器21,22に入れないようにする。
【0050】図9は第6実施形態(請求項12〜14に
対応)を示す図である。流体流路のセンサ本体部上流側
に、低温の冷水を配管82を介して熱交換器に循環させ
ることにより、流体(加湿ガス)中の水分を凝縮して除
湿する凝縮器81を介装すると共に、センサ本体部の流
体流路外側を取り巻く部分に温水を配管86を介して循
環する加熱器87を内蔵させている。そして、凝縮器8
1による除湿と加熱器82による加熱との相乗効果によ
り超音波伝播経路空間内の結露を低減させている。な
お、凝縮器81により流体中の大部分の水分は凝結除湿
されるが、センサ本体内の流体流路壁上での結露した水
滴も確実に除去するように、流体流路壁下部を貫通する
複数のドレイン孔88を開口する。
【0051】そして、前記凝縮器81の下方に連結した
凝結水のタンク85と、前記センサ本体のドレイン孔8
8から導出される凝結水を集結するコレクタ89とを設
け、これらタンク85内とコレクタ89内に溜まる凝結
水を、タンク85最下部に開口したドレイン管85aに
合流させて図示しない加湿器に回収させる。また、タン
ク85内に凝結水が溜まっていない状態で、流体(加湿
ガス)が加湿器やドレイン孔88へバイパスすることを
防止するため、前記ドレイン管88の上端を開閉するフ
ロート式の開閉弁84を設けている。
【0052】また、前記ドレイン孔88とコレクタ89
内の空洞からなるヘルムホルツ共鳴周波数を超音波周波
数に合うように寸法設計することで、不要反射波や多重
反射波の吸収効果が得られ、受信信号のS/N比改善効
果をより高めることができる。なお、前記凝縮器81は
側壁に取り付けたフィンが整流作用を兼ね備え、これに
より、整流した流体をセンサ本体部に流すことで安定し
た検出精度を確保できる。
【0053】図10は第7実施形態(請求項15に対
応)を示す図である。すなわち、流体流路の断面中心部
に超音波反射板92を配設し、該超音波反射板92を
(b)に示すように、表面に流体流れ方向に沿って複数
本の平行な細溝93を形成し、これら細溝93の下流部
に上下に貫通するドレイン孔94を設け、該ドレイン孔
94を含む超音波反射板92の下流端部下部を凸形状9
5に形成する。
【0054】このように、流体流路とは別体に超音波反
射板92を設けて、反射部の熱容量を小さくすることに
より、流体と反射板の温度差を少なくして結露を低減さ
せる。また超音波反射板92上に結露した場合でも、前
記細溝93の毛細管効果を利用して水滴を下流側のドレ
イン孔94へスムースに導き、更に凸形状95と流体流
速によりベンチュリ効果によって発生するドレイン穴9
4の表裏圧力差を利用して、水滴を反射板92裏面へ吸
引して効率良く排水させる。
【0055】図11は第8実施形態(請求項16に対
応)を示す図である。超音波伝播経路となる流体流路配
管100をループ形状とし、該配管100の上流端部と
下流端部に超音波送受波器21,22を配設し、かつ、
配管100の上流端部と下流端部の下部にそれぞれドレ
イン孔88を配設する。このようにすれば、ループ状の
配管100内で結露した水は、重力により落下もしくは
管内壁を伝って流下し、上流側または下流側のドレイン
孔88から排水する。また送受波器21,22はループ
の付け根より上の位置に配置することで送受波器の振動
板が水没することを防いでいる。更に、受信感度を維持
するため、送受波器21,22の取り付け角度は互いの
正反射経路が一致するように選定している。
【0056】図12は第9実施形態(請求項17に対
応)を示す図である。すなわち、センサ本体の流体流路
上壁111に、隔壁111aを介して両側に流体流れ方
向と平行に設けた2つの空室111b、111cを形成
する。一方の空室111bには、上流端部に超音波送受
波器21を配設すると共に、該送受波器21の送受波面
に対向し例えば45°の角度をなして下向きに傾斜する
反射壁面を形成し、かつ、反射壁面の下方に垂直に開口
した超音波伝播経路を形成する。
【0057】また、他方の空室111cには、下流端部
に超音波送受波器22を配設すると共に、該送受波器2
1の送受波面に対向し所定の角度)をなして下向きに傾
斜する反射壁面を形成し、かつ、反射壁面の下方に流体
流れ方向に対して45°の角度をなして開口した超音波
伝播経路を形成する。また、前記両側の空室111b、
111cの間で隔壁111aの中央部分にも流体流れ方
向と平行な空室111dを設け、該空室111dの両端
部に、それぞれ所定角度をなして傾斜する反射壁面を形
成する。
【0058】さらに、前記2つの空室111b、111
cの下方に位置する流体流路下壁の上面に、それぞれ所
定の角度をなす反射壁面を形成する。流体流路下壁に、
複数のドレイン孔88を設けることは同様である。以
下、超音波送受波器22を送信器とするときの超音波伝
播経路を説明すると、送受波器22から流体流れの上流
方向に向けて送信された超音波(経路a)は、対向する
反射壁面で反射し、下方に向けて略45°の角度をなし
て伝播する(経路b)。次いで、流体流路下部の反射壁
面で反射して上方に伝播し(経路c)、空室111d内
の下流側の反射壁面で反射し(経路d)、対向する上流
側の反射壁面で反射し、45°の角度をなして下方に向
けて伝播する(経路e)。さらに、流体流路下部のもう
1つの反射壁面で反射して垂直上方に伝播し(経路
f)、空室111d内の下流側の反射壁面で反射し、送
受波器21に受信される(経路g)。超音波送受波器2
1を送信器とするときの超音波伝播経路は、上記とは逆
の経路を辿る。
【0059】この場合、流体が流れる流体流路内を伝播
して流体流速により超音波伝播時間の変調が行われる伝
播経路は、経路b、経路d(空室111dにも流体が流
れる)、経路eの3つである。なお、経路c及び経路f
は、流体流れ方向に直交するので変調されない。このよ
うにすれば、図1の基本的構成と同様の流体流速による
超音波伝播時間の変調効果を得ながら、同時に伝播経路
長を延長でき、センササイズを短縮化できる。具体的に
は、図1の基本構成では超音波と流体流れの成す角θを
45°とした場合、配管内径をD、送受波器から配管ま
での距離をαとすると、超音波伝播経路長Lは2D√2
+2αである。また送受波器の占有長Wは2D+α√2
となる。これに対し、図12の構成では同一配管内径を
用い、送受波器の占有長Wを1.5Dに短縮しても合計
7つの伝播経路a〜gの超音波伝播経路長Lは9D以上
に延長できる。これによって音速の早い水素100%ガ
スにおいても送信から受信までの時間間隔に余裕を持た
せることができる。
【0060】次に、受信不良時にノイズゲート時間を初
期化するフェールセーフを行う第10実施形態(請求項
6に対応)について説明する。図13は、本実施形態の
構成を示し、図1に示した基本構成に処理回路3’とし
て、受信不良処置回路39、ノイズゲート制御回路4
0、ノイズゲート初期化回路41を追加している。
【0061】図14は、流体流量がゼロ時の超音波受信
のタイミングを、図15は流量があるときの超音波受信
タイミングを示す。また両図の(1)は流体流れ下流側
の送受波器で超音波を受波したとき(流量がある図15
では順方向に超音波を受波したとき)、同じく(3)は
流体流れ上流側の送受波器で超音波を受波したとき(流
量がある図15では逆方向に超音波を送受波したとき)
のそれぞれの超音波受波波形である。同じく(2)の波
形は、それぞれの(1)のノイズゲート信号、同じく
(4)はそれぞれの(3)波形のノイズゲート信号であ
る。また(5)はWt1の送信からWr1のtrタイミ
ングで受信するまでの伝播時間の計数期間を示すパルス
波形である。同様に(6)は(2)の時間計数期間パル
スを示す。また図15の(5)、(6)に示すtqは流
体流速(流量)に比例する伝播時間の加減量で、流体流
れ順方向では伝播時間td1を減少させる方向に、逆方
向では伝播時間td2を増加させる方向に増減する。最
後に(7)は(5)と(6)の時間計数期間の平均値を
示すパルス波である。
【0062】以下、本実施形態の制御を、上記図13〜
図15を参照しつつ図16のフローチャートにしたがっ
て説明する。始めに、電源の投入直後にノイズゲート初
期化回路41が作動し、ノイズゲートONになるまでの
待ち時間(順流時:tg1、逆流時:tg2)として、
次式のように流体計測時に想定されるガス組成中一番音
速の早いガス(例えば水素100%ガス)での流量ゼロ
時伝播時間td1およびtd2から所定の係数ts
(0)を差し引いた値をセットする。なお前記流量ゼロ
時伝播時間は平均伝播時間μtdと同じ値をとるので平
均伝播時間μtdからts(0)を差し引いて求めても
良い(S104)。
【0063】tg1=td1−ts(0)・・・(6) tg2=td2−ts(0)・・・(7) また流量がある場合は図15に示すように、流量比例の
伝播時間tqに応じてtd1、td2が変化するのでノ
イズゲート時間tg1、tg2も次式にようになる。
【0064】 tg1=td1−ts(0)=(μtd−tq)−ts(0)・・・(8) tg2=td2−ts(0)=(μtd+tq)−ts(0)・・・(9) なお、流量比例の伝播時間tqは以下の関係にある。 tq=L/(Cg−Vcosθ)−L/Cg・・・(10) また所定の係数ts(0)は、例えば受信波先頭から受
信タイミングtrまでの時間に、受信タイミングtrの
ゆらぎ変動幅を考慮して若干の余裕時間を加算した値を
とるとよい。以上の平均伝播時間μtdに基づいてノイ
ズゲート時間tg1、tg2を算出する構成は前述の請
求項3に対応する。
【0065】次にセットしたノイズゲート時間tg1
(tg2)により、ゲート回路33の受信ゲート処理を
ノイズゲート制御回路40にて行う(S105〜S
7)。次に検出した伝播時間td1、td2を受信不良
処置回路39で読み取り(S9)、予め求めておいた所
定の値と比較して(S106)、異常値である場合は受
信不良警報を出力し出力データの信頼性低下を計測者へ
知らせる(S108)。
【0066】この時の前記所定の範囲の例を図17に示
す。図17横軸は流体密度とし、縦軸は超音波の伝播時
間を示しており、流体密度が増大するに従って伝播に時
間を要することがわかる。td1及びtd2は計測流体
の流量の最大値が予めわかっている場合に、順方向およ
び逆方向で最大の流れに影響を受けた場合の伝播時間を
示す一方、μtdは流量の影響を受けない場合の伝播時
間を示し、これはtd1とtd2の平均に等しい。流体
の取り得る密度の範囲をel(流体密度の最小値)から
eh(流体密度の最大値)とすると、順方向の伝播時間
に着目した場合には、伝播時間の最小値は密度の一番小
さな時に流れの影響を最も受けるtd1の値すなわちt
d1(el)であり、最大値は密度の一番大きな時に流
れの影響を受けないμtdの値すなわちμtd(eh)
である。したがって、計測された伝播時間がtd1(e
l)とμtd(eh)との範囲から外れれば少なくとも
正常受信ではない、すなわち、受信不良であることが判
断できる。一方、逆方向の伝播時間に着目した場合に
は、伝播時間の最小値は密度の一番小さな時に流れの影
響を受けないμtdの値すなわちμtd(el)であ
り、最大値は密度の一番大きな時に流れの影響を最も受
けるtd2の値すなわちtd2(eh)であるので、計
測された伝播時間がμtd(el)とtd2(eh)と
の範囲から外れれば受信不良であることが判断できる。
もしも流量の最大値がわからずtd1あるいはtd2を
予め定めるのが難しい場合には、順方向と逆方向の伝播
時間の平均値を求めてμtdの取り得る範囲と比較する
ことでもよい。この場合は、伝播時間の最小値は密度の
一番小さな時のμtdすなわちμtd(el)、最大値
は密度の一番大きな時のμtdすなわちμtd(eh)
となり、この2つの値の範囲から平均値が外れた場合に
受信不良を判断できる。異常値が検出された場合、所定
の範囲外になって異常と検出された側の伝播時間(平均
値で判断する場合両方の伝播時間)を破棄し、代わりに
前回の伝播時間を今回の伝播時間に代入し(S10
9)、この伝播時間を用いて流量演算を行う(S11
0)と共に次回のゲート時間を設定することができる
(請求項18に対応)。このようにして、計測出力値を
次の有効な伝播時間が検出されるまで補完し、連続的な
流量出力が得られるようにすると共に、異常値に基づく
ゲート時間の設定を避けることが可能となる。
【0067】しかし、異常値が検出された場合には、ガ
ス組成の急変等により受信波がノイズゲートOFFの領
域に一挙に飛び移り、受信不能に陥っている場合も想定
される。したがって、この場合は、初期化処理に移行し
て(S104)、前回の伝播時間に基づくゲート時間の
設定を行うことなくゲート時間を初期化して受信復帰を
図ることが望ましい(請求項6から請求項8に対応)。
【0068】なお、今回の超音波伝播時間が異常である
かどうかの別の検出方法として、前回の伝播時間と今回
の伝播時間を比較してその差が所定以上である場合に、
今回の伝播時間が異常であると判断する制御を、受信不
良処置回路39に行わせるようにしてもよい(請求項1
9に対応)。前記異常検出時に初期化処理を行った結
果、受信が正常値に入ると受信不良警報を解除し(S1
07)、以降は、通常時同様にゲート時間を演算し(S
10)、流量を演算する(S11)。
【0069】次に、超音波の多重反射波による影響を改
善した第11実施形態(請求項20に対応)について説
明する。図18(a)の(B)は測定管(流体流路)底
部で一回反射して受信される理想的な直接波を示し、同
図(a)の(A)は前記直接波が測定管管壁で反射した
多重反射波の干渉を受けた状態を示す。このように多重
反射の影響により同一周期のゼロクロス点には時間差が
生じ計測誤差の原因となっている。
【0070】なお多重反射はどのよう発生するかを図示
すると同図(d)のようになる。多重反射を生む原因は
超音波送受波器21(22)の指向角θsが大きすぎる
ことにあり、伝播経路aのように特に送信音波の周辺波
において測定管上下に反射する空間が形成される。一
方、指向角θsが小さいときは、同図(e)のように直
接波とほぼ等しい伝播経路c,dをとるため、干渉によ
る波形歪や位相変化が小さくなる。
【0071】したがって、指向角を小さくすることで多
重反射を避け、伝播時間の計測精度を向上させることが
できる。ところで指向角は同図(b)に示すように音波
の波長λ、周波数frq、水素ガス中の音速Cg、超音
波送受波器の振動板直径Ds、円形振動板係数(=2
9)で決まる。同図(c)は振動板直径22mmで計算
した時の音速1270m/sと400m/sでの指向角
θsと、周波数10kHzを基準とする減衰係数αの関
係を示す。この図から指向角を小さくするには超音波周
波数を高めるとよいことがわかるが、同時に音波の減衰
係数が増すためにそれを補うための送信電力が余分に必
要になる。従って、周波数に対し指向角の平均変化量が
少なくなる周波数(同図(c)では100kHz〜20
0kHz)を選ぶとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す図。
【図2】音速の違うガスにおける受信波の形態を対比さ
せて説明する図。
【図3】第1実施形態の流量検出を示すフローチャー
ト。
【図4】第2実施形態の構成を示す図。
【図5】第2実施形態の流量検出を示すフローチャー
ト。
【図6】水素混合ガスにおける減衰時間とノイズゲート
時間の関係を説明する図。
【図7】3種類のガスにおける密度と音速の関係を示す
グラフ。
【図8】第4,第5実施形態の構成を示す図。
【図9】第6実施形態の構成を示す図。
【図10】第7実施形態の構成を示す図。
【図11】第8実施形態の構成を示す図。
【図12】第9実施形態の構成を示す図。
【図13】第10実施形態の構成を示す図。
【図14】第10実施形態の流量0状態での信号波形を
示す図。
【図15】第10実施形態の流量がある状態での信号波
形を示す図。
【図16】第10実施形態の流量検出を示すフローチャ
ート。
【図17】第10実施形態の受信異常検出時の判定基準
を示す図。
【図18】第11実施形態の構成及び作用を示す図。
【符号の説明】
1 検出機構 3 処理回路 21,22 超音波送受波器 33 ゲート回路 72 吸音材 73 反射板 81 凝縮器 87 加熱器 88 ドレイン孔 100 流体流路配管

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体中に配置した超音波送受波器により超
    音波パルスを送受波し、流体流速に応じて変化する超音
    波伝播時間を検出して流体の流量を計測する流量センサ
    において、 流体組成の変化に応じてノイズ受信を防止するノイズゲ
    ート時間を調整するノイズゲート調整手段を備えたこと
    を特徴とする流量センサ。
  2. 【請求項2】前回の超音波パルス送受波時に検出された
    超音波伝播時間に基づいて前記ノイズゲート時間を決定
    することを特徴とする請求項1に記載の流量センサ。
  3. 【請求項3】流体流れ順方向での超音波伝播時間と逆方
    向での超音波伝播時間との平均値に基づいて前記ノイズ
    ゲート時間を決定することを特徴とする請求項2に記載
    の流量センサ。
  4. 【請求項4】超音波の波形減衰時間に基づいて前記ノイ
    ズゲート時間を決定することを特徴とする請求項1に記
    載の流量センサ。
  5. 【請求項5】前回の超音波パルス送受波時に検出された
    超音波伝播時間に基づいてノイズゲート時間を算出する
    と共に、超音波の波形減衰時間に基づいてノイズゲート
    時間を算出し、これら2つの算出値を照合検証して、前
    記ノイズゲート時間を決定することを特徴とする請求項
    1に記載の流量センサ。
  6. 【請求項6】超音波伝播時間に基づいて受信不良を検出
    し、受信不良時に前記ノイズゲート時間を初期化するこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記
    載の流量センサ。
  7. 【請求項7】超音波伝播時間が流体組成に応じて定まる
    伝播時間の範囲を外れるか、流体流れ順方向での超音波
    伝播時間と逆方向との超音波伝播時間との平均値が所定
    の範囲外となった場合に受信不良であると検出すること
    を特徴とする請求項6に記載の流量センサ。
  8. 【請求項8】流体組成における最小伝播時間より短い時
    間をノイズゲート時間の初期値として設定することを特
    徴とする請求項6または請求項7に記載の流量センサ。
  9. 【請求項9】ノイズレベル以下の受信信号をゼロにクリ
    ッピングした後に、所定の検出レベルまで増幅してS/
    N比を改善することを特徴とする請求項1〜請求項8の
    いずれか1つに記載の流量センサ。
  10. 【請求項10】超音波伝播経路に流量計測を阻害する反
    射波の受信を抑制する手段を備えたことを特徴とする請
    求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の流量センサ。
  11. 【請求項11】流量計測を阻害する反射波の受信を低減
    する手段が、吸音材または乱反射板であることを特徴と
    する請求項10に記載の流量センサ。
  12. 【請求項12】超音波伝播経路壁面の結露を低減する手
    段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項11のい
    ずれか1つに記載の流量センサ。
  13. 【請求項13】前記超音波伝播経路壁面の結露を低減す
    る手段は、超音波伝播経路の上流で流体中の水分を凝縮
    する手段と、超音波伝播経路壁面を加熱して結露を抑制
    する手段と、凝縮及び結露した水を排出する手段とで構
    成されることを特徴とする請求項12に記載の流量セン
    サ。
  14. 【請求項14】前記超音波伝播経路の上流で流体中の水
    分を凝縮する手段は、流体の整流作用を兼ねた構造を有
    していることを特徴とする請求項13に記載の流量セン
    サ。
  15. 【請求項15】超音波反射板を前記流体流路の断面中心
    部に配設し、該反射板の表面に流体流れ方向に沿って細
    溝を形成すると共に、該細溝の下流部に上下に貫通する
    貫通孔を形成し、かつ、該貫通孔周囲の反射板下部を凸
    形状としたことを特徴とする請求項1〜請求項14のい
    ずれか1つに記載の流量センサ。
  16. 【請求項16】前記超音波伝播経路を兼ねる流体流路部
    分を、略垂直面内で旋回するループ状としたことを特徴
    とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の流
    量センサ。
  17. 【請求項17】前記超音波伝播経路は、超音波が複数回
    反射する経路を有することを特徴とする請求項1〜請求
    項16のいずれか1つに記載の流量センサ。
  18. 【請求項18】今回の超音波伝播時間が異常であると検
    出したとき、前回の超音波伝播時間を今回の超音波伝播
    時間として置き換えることを特徴とする請求項1〜請求
    項17のいずれか1つに記載の流量センサ。
  19. 【請求項19】前回の超音波伝播時間と今回の超音波伝
    播時間とを比較し、その差が所定値以上である場合、受
    信不良であると検出もしくは今回の超音波伝播時間が異
    常であると検出することを特徴とする請求項6〜請求項
    8または請求項18のいずれか1つに記載の流量セン
    サ。
  20. 【請求項20】想定される流体の最大音速時において、
    所定の超音波放射指向角が得られるように超音波周波数
    を決定することを特徴とする請求項1〜請求項19のい
    ずれか1つに記載の流量センサ。
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