JP2004012169A - 超音波流量計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】管内に結露水が存在している場合に、気水分離器や水位計を用いなくともガス流体の流量を精度良く計測する。
【解決手段】超音波伝播時間測定方式で反射型の流量計測装置を用い、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達しているか否かを判定する水蒸気飽和判定手段(S5)を設ける。水蒸気飽和判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時は、管内平均音速を飽和水蒸気状態における音速とみなして(S9)、流れの順方向と逆方向とでそれぞれ求めた超音波伝播時間t1、t2から超音波伝播経路長Lまたはその変化量δLを演算する(S10)。これらから管断面積Aまたはその変化量Agを演算する管断面積演算手段(S7)を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】超音波伝播時間測定方式で反射型の流量計測装置を用い、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達しているか否かを判定する水蒸気飽和判定手段(S5)を設ける。水蒸気飽和判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時は、管内平均音速を飽和水蒸気状態における音速とみなして(S9)、流れの順方向と逆方向とでそれぞれ求めた超音波伝播時間t1、t2から超音波伝播経路長Lまたはその変化量δLを演算する(S10)。これらから管断面積Aまたはその変化量Agを演算する管断面積演算手段(S7)を備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波流量計測装置に関する。さらに詳細に言えば、例えば燃料電池システムにおけるガスの流量計測など、測定対象流体が水素ガス等の低密度あるいは音速が速いガスを主成分とする場合、あるいは混合比が動的に変化する密度変化の大きい加湿ガスの場合における流量計測に好適な超音波流量計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、超音波流量計測装置は可動部を持たず、流れを遮る要素が無いために圧力損失が小さく、そして比較的レンジアビリティが広く低流量から高流量まで対応できるため、例えば燃料電池システムにおけるガス流体の流量計測にとって好都合であることが知られている。
【0003】
一般に、超音波流量計測装置は、超音波伝播時間に基づいてガス流体の流速を求める伝播時間方式と、発射した超音波がガス流体中の微粒子によって反射される反射波の周波数変化を利用するドップラー方式があり、燃料電池システムにおいては、ガス流体中に微粒子が含まれていないため伝播時間方式が用いられている。
【0004】
そして、伝播時間方式は超音波の伝播方法により次の2つに大別されている。
1つは、管を挟んで向かい合う一対の超音波送受波器を配設して、超音波が管を斜めに横切るように伝播させる透過型である。透過型では、超音波が管壁に反射することがないため素直な送受波の関係を得ることができるという利点がある。しかし、管の流れ方向軸に対して直角の流れ速度成分がある場合には測定誤差が生じやすい。そして、超音波伝播時間がガス流体の流速からの影響を受ける区間は、超音波がガス流体の流れを透過する短い区間のみであるという問題があった。
【0005】
もう1つは、管壁に流れ方向に所定の間隔で一対の超音波送受波器を配設して、一方の超音波送受波器から発射された超音波が管内壁の底部で反射して他方の超音波送受波器に達するように伝播させる反射型である。反射型は管内壁の底部において斜めに反射するため、底部での反射に伴う乱れを生じる場合があり、そして管の流れ方向軸に対して直角の流れ速度成分がある場合がある。しかし、その場合であっても超音波の伝播経路が管を往復するために、その影響は相殺されて計測誤差を生じにくい。そして、超音波伝播時間がガス流体の流速からの影響を受ける区間は、透過型の場合と比較して2倍になっている。このためガス流体の流速の測定精度が高いという利点がある。
【0006】
上述の透過型、反射型のいずれであっても、流れに順方向と逆方向との場合でそれぞれ超音波伝播時間を検出することによってガス流体の流速を求め、これに管断面積を乗じて、流量を求めている。
ここで、管内を流れるガス流体が乾燥ガスである場合には管断面積の補正の必要は無く、管断面積を一定値として扱うことができる。しかし、ガス流体が加湿ガスである場合には、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達して結露水になってしまうことがある。結露水が生じている場合には、管内を流れるガス流体の流路断面積が縮小してしまう。このような場合に、流路断面積の値を補正しないで、管断面積を一定値として流量を演算すると、その演算値は結露水の量が増えるほど誤差を生じてしまうという問題があった。
【0007】
このような気液二相流の流量を測定する場合、従来は、気水分離器を用いて乾燥ガス流体と結露水とに分離してから測定を行うのが一般的であった。しかしながら、この方法では気水分離器が必要となるだけでなく、分離した水を元に戻すなどの処理方法も考慮しなくてはならず、結果として装置が大型化し、高価になるという欠点があった。
【0008】
また、別に設定した水位計などを用いて結露水の水位量を測るという方法も考えられる。しかし、この方法では新たに水位計が必要になるだけでなく、水位計と流量計との測定位置が異なることによる動的な測定タイミングのずれを流量の状況に合わせて補償するための正確な調整が必要であり、結果として装置が大型化かつ複雑化し、高価になるという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、管内に結露水が存在している場合に、気水分離器や水位計を用いなくともガス流体の流量を精度良く計測できる超音波流量計測装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては超音波伝播時間測定方式で反射型の流量計測装置を用い、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達しているか否かを判定する水蒸気飽和判定手段を設け、この判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時は、管内平均音速を飽和水蒸気状態における音速とみなして、流れの順方向と逆方向とでそれぞれ求めた超音波伝播時間から超音波伝播経路長またはその変化量を演算し、この超音波伝播経路長またはその変化量から管断面積またはその変化量を演算する管断面積演算手段を備えることとした。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波流量計測装置の出力値を利用して気液二相流の状態を判定し、その時のガス流体の流路断面積を求めるようにしているため、気水分離器や水位計などを用いなくともガス流体の流量を精度良く計測することができるという効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。図1は、反射型の超音波流量計測装置を模式的に示す図である。
超音波流量計測装置1は、管2と、管2壁に流れ方向に所定の間隔Dで配設された一対の超音波送受波器3、4とから大別構成されている。本実施形態において、管2は長方形の流路断面を有しており、その高さをHとし、幅をBとし、管断面積をAとしている。そして、管2内を流れるガス流体の平均流速をVとしている。
【0013】
先ず、管2内を流れる流体が乾燥ガス流体である場合について説明する。この場合、ガス流体の流量Qを求めるには公知の方法で測定する。すなわち、流れの上流側に配設された超音波送受波器3から発射される超音波を、流れ方向軸に対して成す角度θで発射し、管2内壁の底部5で反射させて他方の超音波送受波器4に到達させる。この時の超音波伝播経路の長さをLとして、超音波伝播時間をt1とし、ガス流体の音速をCとすると式(1)で表せる。
t1=L/(C+V*cosθ) [sec]・・・(1)
また逆に、下流側の超音波送受波器4から発射された超音波が管2内壁の底部5で反射して、上流側の超音波送受波器3に到達するまでの超音波伝播時間t2は、次の式で表される。
t2=L/(C−V*cosθ) [sec]・・・(2)
これらの式からガス流体の平均流速Vを式(3)により演算で求めることができる。
V=L/(2cosθ)*(1/t1−1/t2) [m/s]・・・(3)
そして、式4に示すように、この流速Vに管断面積A(一定値)を乗じることで乾燥ガス流体の流量Qを算出する。
Q=K*A*V [m3/s]・・・(4)
ここで、Kはガス流速分布等を加味した所定の値の補正係数を示している。
【0014】
次に、図1に示すように、管2内の下部6に結露水Wが存在している時にガス流体が流れる場合について説明する。この場合、管2内の上部7にのみガス流体が流れ、水位高さδHに管2の幅Bを乗じた分の面積δAだけガス流体の流路断面積Agが減っている。そして超音波送受波器3から発射された超音波は、管2内壁の底部5ではなく、結露水Wの上面で反射するため、図1に一点鎖線で示す経路で超音波送受波器4に達する。そのために、結露水Wが存在しない場合と比べて超音波伝播経路長Lが変化している。
【0015】
結露水Wが存在している状態で前述の式1〜式4によってガス流体の流量Qを演算すれば、流路断面積Agと伝播経路長Lが異なることから誤差を生じ、結露水Wの水位δHが高いほど流量Qの誤差が大きくなる。
この誤差を補正する超音波流量計測装置1について、以下に説明をする。図2は、第1の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャートである。図3は、ガス流体の音速から水蒸気濃度を求める特性線図である。図4は、水蒸気濃度からガス流体の音速を求める特性線図である。
【0016】
図2に示すように超音波流量計測装置1は、先ず、流量演算開始の行程(S1)を経て、管2内に結露水Wが無いものと見なし、この時の仮音速をC=Ctとして演算する(S2)。これは前述の式(1)及び式(2)から、流速Vを消去することによって求めることができ、次の式によって表すことができる。
Ct=(L/2)*(1/t1+1/t2) [m/s]・・・(5)
この仮音速Ctは、図3の上側の図に示すように水素と水蒸気の混合状態における平均ガス密度ρmの関数になっているため、仮音速Ctから管内の平均ガス密度ρmが求められる。平均ガス密度ρmが求まると、図3の下側に示す関係から、ガス流体が例えば加湿水素である場合は、水素ガス濃度を示す実線との交点から水素ガス濃度Dhが求まり、水蒸気濃度を示す破線との交点から水蒸気濃度Dwを求めることができる(S3)。
【0017】
ここで、理想気体の場合の断熱変化の状態方程式を用いた気体の音速は、次のように表せる。
[音速]=√(γ*P/ρ) [m/s]・・・(6)
これを標準状態での平均ガス密度ρmを用いて変形すると、次の通りに表せる。
ρm=γ*Po*Tg/(Ct2*To) [g/L]・・・(7)
ただし、
γ :比熱比
Tg:ガス温度[K]
Po:101325[Pa]
To:273.15[K]
そして、標準状態での混合気体の密度ρmは、水素と水蒸気との標準状態での密度をρh、ρwとし、水素濃度と水蒸気濃度とを無次元の比率を用いてDh、Dwとすると、次の式で表せる。
ρm=Dh*ρh+Dw*ρw ・・・(8)
ここで、水素濃度Dhと水蒸気濃度Dwとには次の関係がある。
Dw=1−Dh ・・・(9)
したがって、これを式8に代入して水素濃度Dhと水蒸気濃度Dwとを求めると、次の関係が得られる。
Dh=(ρm−ρw)/(ρh−ρw) [無次元]・・・(10)
Dw=(ρm−ρh)/(ρw−ρh) [無次元]・・・(11)
ところで、ガス流体のガス温度Tgとガス圧力Pgとは公知のセンサを用いて求めることができる。そして、飽和水蒸気圧Psはガス温度Tgの関数として求めることができ(S4)、ガス圧力Pgとから、飽和水蒸気分圧比即ち飽和水蒸気濃度(Ps/Pg)を求めることができる。これを前述の行程(S3)で得た水蒸気濃度Dw(式11参照)と比較することで、管内のガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態か否かを判定する(S5)。この処理が水蒸気飽和判定手段に相当する。
【0018】
判定の仕方は、例えば次の式で表されるXの正負で判定する。
X=a(Ps/Pg)−Dw [無次元]・・・(12)
ここで、aは定数であり、例えばa=0.9のように設定することができ、式12で表されるXの値が負になると、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達していると判定する。
【0019】
飽和水蒸気状態にあると判定された場合は、その時の管内音速を改めて求める(S9)。これは、図4に示すように、飽和水蒸気濃度Ps/Pgが確定するため、平均ガス密度を逆算(破線との交点)することができ、図4の下側に示す平均ガス密度と音速との関係図から音速Cの値を出して、これを飽和水蒸気状態における音速Cと見なす。
【0020】
このようにして飽和水蒸気下での音速Cに修正し、再び式1及び式2を用いて流速Vと伝播経路長Lとを未知数にして解くと次の式で表せる。
V*cosθ=C(t2−t1)/(t2+t1) [m/s]・・・(13)
L=2C(t1*t2)/(t1+t2) [m]・・・(14)
ここで、乾燥ガス流体の場合の伝播経路長をL0(一定値)とし、伝播経路長の変化分をδLとすると、式14は次のようになる。
δL=L0−2C(t1*t2)/(t1+t2) [m]・・・(15)
これを用いて得た超音波伝播経路長の補正量δLから幾何学的な演算を行って、水位量δHと超音波の流れに対する伝播角度の変化量δθとを求める(S10)。
【0021】
なお、飽和状態の判定(S5)で飽和状態に無いと判定されたときは超音波伝播経路長Lの補正量δLは不要となるため、δH、δθはゼロとなる(S6)。
次に、水位量δHが求まれば、ガス流体の流路断面積Agは次の式で求めることができる。
Ag=(H−δH)*B [m2]・・・(16)
そして、式13からガス流体の流速Vは、超音波伝播経路長Lの補正量δHの算出(S10)で求めた超音波の流れに対する伝播角度の変化量δθを反映させて、次の式で表される(S7)。
V=[C(t2−t1)/(t2+t1)]/cos(θ−δθ) [m/s]
・・・(17)
したがって、加湿水素ガスの体積流量Qvは、式16及び式17を用いて、次の通りに表せる。
Qv=K*Ag*V [m3/s]・・・(18)
また式18の体積流量Qvに、式10で得た水素濃度Dhと、水素の標準状態における密度ρh(一定値)とを用いると、水素質量流量Qmhは次の式により得ることができる(S8)。
Qmh=1000*ρh*Dh*Qv [g/s]・・・(19a)
Qmh=ρh*Dh*Qv [kg/s]・・・(19b)
以上の説明で一回分の測定を終え、繰り返して次回の測定を行うために先頭の処理に戻る(S11)。
【0022】
本実施形態によれば、超音波伝播経路長Lまたはその変化量δLを用いて、管2の流れ方向軸に対する超音波伝播角度θを求め、この伝播角度θに基づいてガス流体の流速Vを求めるようにしている。このように超音波伝播経路が結露水Wの水位δHにより変わり、流れに対して成す角度θを一定値とせずに水位δHを勘案して求め直した流速Vを用いることにより、より精度の高いガス流体の流量計測を実現することができる。
【0023】
また本実施形態によれば、水蒸気飽和状態判定手段は、流れの順方向と逆方向との超音波伝播時間t1、t2から超音波伝播経路長Lを一定値とみなして管2内平均音速Ctを仮に求め、この管2内平均音速Ctを予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、これとは別にガス温度とガス圧力とから算出した飽和水蒸気濃度とを比較して飽和水蒸気状態にあるか否かを判定する。このように超音波伝播時間t1、t2から導かれる音速Ctを用いてガス流体に含まれる水蒸気濃度を求め、飽和水蒸気濃度と比較することで飽和状態に達しているか否かを判定することにより、湿度計などを新たに設けなくてもガス流体の状態を判定することができる。
【0024】
本発明の第2の実施形態として、水蒸気の飽和状態、即ち結露状態にあるか否かの判定について図5を用いて説明する。図5は、第2の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャートである。なお、第1の実施形態で説明した事項についての詳細な説明は省略する。
先ず、第1の実施形態と同じく、超音波伝播時間t1、t2から仮音速Ctを算出し、これに基づいて水蒸気濃度Dwを求める(S1〜S3)。そして、公知のセンサを用いて検出されたガス圧Pgの値を用いて、水蒸気圧Pwを次の式20により算出する(S41)。
Pw=Dw*Pg [Pa]・・・(20)
この水蒸気圧Pwを用いて、式21により露点Tdを求める(S41)。
Td=a/{[b/Log(Pw/c)]−1} [℃]・・・(21)
a、b、c:定数
次に、公知のセンサを用いて管2内壁の底部5の管壁温度Tpを測定し、この温度Tpと式21により算出された露点Tgとを比較することで、管2内のガス流体に含まれる水蒸気が飽和水蒸気状態に達しているか否かを判定する(S51)。
【0025】
その判定の仕方は、例えば次の式で表されるYの値の正負で判定する。
Y=α*Td−Tp [℃]・・・(22)
ここで、αは定数であり、例えばα=0.9のように設定される。
式22で表されるYの値が負になった場合、その時の管2内のガス流体に含まれる水蒸気が飽和水蒸気状態に達していると判定する。
【0026】
そして、飽和水蒸気状態にあると判定された場合は、その状態で改めて音速Cを求める。この時、管壁温度Tpと露点Tdとの加重平均値からガス温度Tgを式23により求める。
Tg=(W1*Tp+W2*Td)/2 ・・・(23)
ここで、W1、W2は重み係数であり、温度の分布形態に応じて設定される。
【0027】
そして、ガス温度Tgにおける飽和水蒸気圧Psを求め、飽和水蒸気濃度Ps/Pgから平均ガス密度を逆算し、音速Cを求める(S91、図4参照)。以降、第1の実施形態で説明したのと同じくガス流体の流量Qvを求める。
本実施形態によれば、水蒸気飽和状態判定手段として、流れの順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2から超音波伝播経路長Lを一定とみなして管内平均音速Ctを仮に求め、この管内平均音速Ctを予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、ガス温度Tgとガス圧力Pgから露点Tdを算出する露点算出手段と、管2内壁の底部5近傍の温度Tpを検出する管壁温度検出手段とを備え、これらの検出手段により得た露点Tdと管壁温度Tpとを比較して飽和水蒸気状態を判定する。このように結露水Wが発生しやすい管壁温度Tpを測定することによって、より正確に結露水Wの有無を判定することができる。
【0028】
また本実施形態によれば、飽和水蒸気状態判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時に、飽和水蒸気状態における音速Cは、管壁温度Tpと露点Tdとの加重平均から求めた音速値Cを用いるようにした。このように管壁温度Tpと露点Tdのように複数の温度を勘案して音速値Cを決めるようにしたことで、より正確な音速が求められ、さらに音速Cを基により正確な水蒸気濃度を求めることができる。
【0029】
本発明の第3の実施形態として、水蒸気の飽和状態、即ち結露状態にあるか否かの判定について、図6を用いて説明する。図6は、第3の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャートである。なお前述の実施形態と同じ処理については同じ記号を付しており、その詳細な説明については省略する。
本実施形態では、第1の実施形態の水蒸気濃度Dwと飽和水蒸気濃度Ps/Pgとの比較によって飽和水蒸気状態にあるか否の判定(S5)と、第2の実施形態による露点Tdと管壁温度Tpとの比較によって飽和水蒸気状態にあるか否かの判定(S51)とを続けて行う。そして、いずれか一方の判定で条件を満たせば飽和水蒸気状態であると判断し、その時の音速Cを求めて(S9、S91)、超音波伝播経路長Lの補正量δLを求める(S10)。
【0030】
本実施形態によれば、前述の2つの判定のうち、いずれか一方の判定で条件を満足すれば飽和水蒸気状態であると判定するため、論理和条件で判定することができ、確実に飽和水蒸気状態を判定することができる。
なお、これまで説明してきた実施形態では、いずれも超音波伝播経路長Lの補正量δLを求める過程で水位量δHが求まるが、本来水位量δHはゼロ、即ち結露水Wが存在していない状態が流量Qvの測定には望ましい。また、この超音波流量計測装置の好適な適用例の一つである燃料電池システムにおいても過剰の結露水Wが管2内に存在する場合は、燃料ガス供給の妨げになるため、これを必要最小限にすることが理想的である。
【0031】
そこで、図示はしないがガス流体の流量情報と共に水位情報を出力するようにしても良い。ここで、例えば管2にドレイン栓がある場合には、水位情報に基づいてドレイン栓の開閉制御が行える。また加湿装置がある場合には、加湿量の加減制御情報として活用することができる。
本発明の第4の実施形態として、水蒸気の飽和状態、即ち結露状態にあるか否かの判定について、図7〜図9を用いて説明する。図7は、結露水Wの水位量がδHである時の反射超音波の音圧強度を模式的に示す図である。図8は、音圧強度と水位量との関係を示す図である。図9は、音圧強度から補正量を求めるフローチャートである。
【0032】
図7において、上流側に配設された超音波送受波器3から発射された超音波B1は、水位量δHがゼロの時の反射経路B2から平行移動した反射経路B3へ反射する。しかし、反射経路B3と下流側の超音波送受波器4の感度軸B2とは一致しないため、感度が低下した経路B4からの超音波が受信される。そして、下流側の超音波送受波器4から上流側の超音波送受波器3に超音波を発射した場合も同様となる。
【0033】
ここで、超音波送受波器3、4のいずれの超音波受信信号SG1、SG2も例えば図8に示すような音圧強度SPLと水位量δHとの関係となり、この関係を予め測定しておくことで音圧強度SPLから水位量δHを求めることができる。
なお、受信信号SG1、SG2の音圧強度SPLにはガス流体の流れ方向の影響が加わるため、反射経路B4が若干異なる。そこで次の式に示すとおり双方の平均値を取ることで流れ方向の影響を低減し水位量δHの検出のSN比を改善している(S42、S101)。
SPL=(SG1+SG2)/2 ・・・(24)
このようにして求めた水位量δHから超音波伝播経路長Lおよび伝播角度の補正量δLを求めて、前述の実施形態と同じく流路断面積Agを補正して流量Qvを求めている。
【0034】
図9にはその処理の流れが示されており、音圧強度SPLから水位量δHを求める処理(S101)以外は、前述の実施形態で説明した処理と同じである。
図7を再度参照して説明する。本実施形態に係る超音波流量計測装置1には、管2内壁の底部5に管2内に連通するポ−ト11を設けている。さらにポ−ト11から管2の上方に延びるように折り返したU字型の透明のチュ−ブ12を設け、これを鉛直に立つように維持する。ポート11は、管2壁内に超音波流量計測装置の機能検査用及び調整用流体の出し入れをする。
【0035】
この場合に音速Cから平均ガス密度ρmを検出する機能の検査及び調整の手順について図10を用いて説明する。図10は、平均ガス密度検出機能の検査及び調査を行う手順を示すフローチャートである。
先ず、超音波流量計測装置1の計測モ−ドを切り替えて平均ガス密度検出検査モ−ドに処理を移す(S110)。続いて試験ガス、ここでは一例としてヘリウムガスをチュ−ブ12を介してポ−ト11から管2内へ入れる(S111)。この時の超音波流量計測装置1の出力から、平均ガス密度の検出結果を出力させ(S112)、その出力値がヘリウムガスの標準状態での密度相当であるか否かを確認する(S113)。
【0036】
この時の出力値が平均ガス密度検出誤差の許容を外れていた場合は、超音波伝播時間t1、t2から求めた仮音速Ctに補正量(オフセット)を与え、検出許容誤差以内に入るよう調整する(S114)。一方、始めから検出許容誤差以内に入っていた場合には、検査は合格(S115)として処理を終える(S116)。
【0037】
次に水位検出機能の検査及び調整の手順について図11を用いて説明する。図11は、水位検出機能の検査及び調整の手順を示すフローチャートである。
先ず、超音波流量計測装置1の計測モ−ドを切り替えて、水位検出機能検査・調整へ処理を移す(S120)。続いて試験のための液体、ここでは一例として温水をチュ−ブ12を介してポ−ト11から管内へ入れる(S121)。この時のU字型の透明のチューブ12の水位を、あらかじめマ−キングされた管内底指示線14からの高さを測る(S122)。そして、超音波流量計測装置1の出力から、水位δHの検出結果を出力させ、その出力値がS122で測定した水位とを比較する(S123)。この時の出力値が水位検出誤差の許容を外れていた場合には、検出した超音波伝播経路長Lに補正量(オフセット)を与え、検出許容誤差以内に入るよう調整する(S124)。一方、始めから検出許容誤差以内に入っていた場合には、検査は合格(S125)として処理を終える(S126)。
【0038】
本実施形態によれば、超音波受信波の音響強度を検出する超音波音響強度検出手段と、予め求めておいた超音波受信波の音響強度と水位量との関係に照らし合わせて音響強度を水位量に変換する水位変換手段とを備え、この水位変換手段により求めた水位量に基づいて管断面積に対する補正量を演算するようにした。このように水位変化に伴って伝播ジオメトリが変化して、その結果として音響強度が変化することを利用して流路断面積の補正を行うことが可能であり、この場合にも気水分離器や新たな水位計などを追加しなくてもガス流体の流量を精度良く計測することができる。
【0039】
また本実施形態によれば、管2壁に超音波流量計測装置1の機能検査及び調整用流体を出し入れするポートを設けた。このため、機器に組み込んだ状態であっても超音波流量計測装置1の機能試験等を簡便に実施できるため、計測精度および信頼性の維持を図ることができる。
本発明の第5の実施形態として、図12を用いて説明する。図12は、超音波が仮想反射面で反射した状態を示す模式図である。
【0040】
本実施形態によれば、管内壁の底部に向けて発射する超音波送受波器3、4の幾何学的配置が、管2内壁の底部5から所定の高さH1に設定した仮想面15で反射(実線)する配置としている。このように超音波送受波器3、4のジオメトリを水位量が所定の量だけ存在している時に音波強度が強くなるように配置したことにより、水位量によって伝播経路が変化し、ついには受波できなくなる水位レベルをより高い位置にまでもって行くことができ、水位量の測定レンジを広げることができる。
【0041】
なお、本発明では結露水が発生した場合の管断面積の補正方法について述べてきたが、なるべく結露水が溜まらない状態で流量を検出することが望ましい。その工夫として管内壁には親水性の材料を張るなどして、水膜がなるべく薄く均一に形成されるよう、また超音波反射面以外に速やかに排水されるよう、細い溝を設ける等の工夫を付加すると更に良好な流量の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型の超音波流量計測装置の模式図
【図2】第1の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図3】ガス流体の音速から水蒸気濃度を求める特性線図
【図4】水蒸気濃度からガス流体の音速を求める特性線図
【図5】第2の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図6】第3の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図7】結露水の水位量がδHである時の超音波伝播経路と音圧強度との関係を示す図
【図8】音圧強度と水位との関係を示す図
【図9】第4の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図10】平均ガス密度検出機能の検査及び調査を行う手順を示すフローチャート
【図11】水位検出機能の検査及び調整の手順を示すフローチャート
【図12】超音波が仮想反射面で反射した状態を示す模式図
【符号の説明】
1 超音波流量計測装置
2 管
3、4 超音波送受波器
5 底部
L 超音波伝播経路長
W 結露水
t1、t2 超音波伝播時間
C 音速
θ 超音波伝播角度
V ガス流体の流速
Q ガス流体の流量
A 管断面積
Ag 流路断面積
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波流量計測装置に関する。さらに詳細に言えば、例えば燃料電池システムにおけるガスの流量計測など、測定対象流体が水素ガス等の低密度あるいは音速が速いガスを主成分とする場合、あるいは混合比が動的に変化する密度変化の大きい加湿ガスの場合における流量計測に好適な超音波流量計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、超音波流量計測装置は可動部を持たず、流れを遮る要素が無いために圧力損失が小さく、そして比較的レンジアビリティが広く低流量から高流量まで対応できるため、例えば燃料電池システムにおけるガス流体の流量計測にとって好都合であることが知られている。
【0003】
一般に、超音波流量計測装置は、超音波伝播時間に基づいてガス流体の流速を求める伝播時間方式と、発射した超音波がガス流体中の微粒子によって反射される反射波の周波数変化を利用するドップラー方式があり、燃料電池システムにおいては、ガス流体中に微粒子が含まれていないため伝播時間方式が用いられている。
【0004】
そして、伝播時間方式は超音波の伝播方法により次の2つに大別されている。
1つは、管を挟んで向かい合う一対の超音波送受波器を配設して、超音波が管を斜めに横切るように伝播させる透過型である。透過型では、超音波が管壁に反射することがないため素直な送受波の関係を得ることができるという利点がある。しかし、管の流れ方向軸に対して直角の流れ速度成分がある場合には測定誤差が生じやすい。そして、超音波伝播時間がガス流体の流速からの影響を受ける区間は、超音波がガス流体の流れを透過する短い区間のみであるという問題があった。
【0005】
もう1つは、管壁に流れ方向に所定の間隔で一対の超音波送受波器を配設して、一方の超音波送受波器から発射された超音波が管内壁の底部で反射して他方の超音波送受波器に達するように伝播させる反射型である。反射型は管内壁の底部において斜めに反射するため、底部での反射に伴う乱れを生じる場合があり、そして管の流れ方向軸に対して直角の流れ速度成分がある場合がある。しかし、その場合であっても超音波の伝播経路が管を往復するために、その影響は相殺されて計測誤差を生じにくい。そして、超音波伝播時間がガス流体の流速からの影響を受ける区間は、透過型の場合と比較して2倍になっている。このためガス流体の流速の測定精度が高いという利点がある。
【0006】
上述の透過型、反射型のいずれであっても、流れに順方向と逆方向との場合でそれぞれ超音波伝播時間を検出することによってガス流体の流速を求め、これに管断面積を乗じて、流量を求めている。
ここで、管内を流れるガス流体が乾燥ガスである場合には管断面積の補正の必要は無く、管断面積を一定値として扱うことができる。しかし、ガス流体が加湿ガスである場合には、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達して結露水になってしまうことがある。結露水が生じている場合には、管内を流れるガス流体の流路断面積が縮小してしまう。このような場合に、流路断面積の値を補正しないで、管断面積を一定値として流量を演算すると、その演算値は結露水の量が増えるほど誤差を生じてしまうという問題があった。
【0007】
このような気液二相流の流量を測定する場合、従来は、気水分離器を用いて乾燥ガス流体と結露水とに分離してから測定を行うのが一般的であった。しかしながら、この方法では気水分離器が必要となるだけでなく、分離した水を元に戻すなどの処理方法も考慮しなくてはならず、結果として装置が大型化し、高価になるという欠点があった。
【0008】
また、別に設定した水位計などを用いて結露水の水位量を測るという方法も考えられる。しかし、この方法では新たに水位計が必要になるだけでなく、水位計と流量計との測定位置が異なることによる動的な測定タイミングのずれを流量の状況に合わせて補償するための正確な調整が必要であり、結果として装置が大型化かつ複雑化し、高価になるという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、管内に結露水が存在している場合に、気水分離器や水位計を用いなくともガス流体の流量を精度良く計測できる超音波流量計測装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては超音波伝播時間測定方式で反射型の流量計測装置を用い、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達しているか否かを判定する水蒸気飽和判定手段を設け、この判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時は、管内平均音速を飽和水蒸気状態における音速とみなして、流れの順方向と逆方向とでそれぞれ求めた超音波伝播時間から超音波伝播経路長またはその変化量を演算し、この超音波伝播経路長またはその変化量から管断面積またはその変化量を演算する管断面積演算手段を備えることとした。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波流量計測装置の出力値を利用して気液二相流の状態を判定し、その時のガス流体の流路断面積を求めるようにしているため、気水分離器や水位計などを用いなくともガス流体の流量を精度良く計測することができるという効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。図1は、反射型の超音波流量計測装置を模式的に示す図である。
超音波流量計測装置1は、管2と、管2壁に流れ方向に所定の間隔Dで配設された一対の超音波送受波器3、4とから大別構成されている。本実施形態において、管2は長方形の流路断面を有しており、その高さをHとし、幅をBとし、管断面積をAとしている。そして、管2内を流れるガス流体の平均流速をVとしている。
【0013】
先ず、管2内を流れる流体が乾燥ガス流体である場合について説明する。この場合、ガス流体の流量Qを求めるには公知の方法で測定する。すなわち、流れの上流側に配設された超音波送受波器3から発射される超音波を、流れ方向軸に対して成す角度θで発射し、管2内壁の底部5で反射させて他方の超音波送受波器4に到達させる。この時の超音波伝播経路の長さをLとして、超音波伝播時間をt1とし、ガス流体の音速をCとすると式(1)で表せる。
t1=L/(C+V*cosθ) [sec]・・・(1)
また逆に、下流側の超音波送受波器4から発射された超音波が管2内壁の底部5で反射して、上流側の超音波送受波器3に到達するまでの超音波伝播時間t2は、次の式で表される。
t2=L/(C−V*cosθ) [sec]・・・(2)
これらの式からガス流体の平均流速Vを式(3)により演算で求めることができる。
V=L/(2cosθ)*(1/t1−1/t2) [m/s]・・・(3)
そして、式4に示すように、この流速Vに管断面積A(一定値)を乗じることで乾燥ガス流体の流量Qを算出する。
Q=K*A*V [m3/s]・・・(4)
ここで、Kはガス流速分布等を加味した所定の値の補正係数を示している。
【0014】
次に、図1に示すように、管2内の下部6に結露水Wが存在している時にガス流体が流れる場合について説明する。この場合、管2内の上部7にのみガス流体が流れ、水位高さδHに管2の幅Bを乗じた分の面積δAだけガス流体の流路断面積Agが減っている。そして超音波送受波器3から発射された超音波は、管2内壁の底部5ではなく、結露水Wの上面で反射するため、図1に一点鎖線で示す経路で超音波送受波器4に達する。そのために、結露水Wが存在しない場合と比べて超音波伝播経路長Lが変化している。
【0015】
結露水Wが存在している状態で前述の式1〜式4によってガス流体の流量Qを演算すれば、流路断面積Agと伝播経路長Lが異なることから誤差を生じ、結露水Wの水位δHが高いほど流量Qの誤差が大きくなる。
この誤差を補正する超音波流量計測装置1について、以下に説明をする。図2は、第1の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャートである。図3は、ガス流体の音速から水蒸気濃度を求める特性線図である。図4は、水蒸気濃度からガス流体の音速を求める特性線図である。
【0016】
図2に示すように超音波流量計測装置1は、先ず、流量演算開始の行程(S1)を経て、管2内に結露水Wが無いものと見なし、この時の仮音速をC=Ctとして演算する(S2)。これは前述の式(1)及び式(2)から、流速Vを消去することによって求めることができ、次の式によって表すことができる。
Ct=(L/2)*(1/t1+1/t2) [m/s]・・・(5)
この仮音速Ctは、図3の上側の図に示すように水素と水蒸気の混合状態における平均ガス密度ρmの関数になっているため、仮音速Ctから管内の平均ガス密度ρmが求められる。平均ガス密度ρmが求まると、図3の下側に示す関係から、ガス流体が例えば加湿水素である場合は、水素ガス濃度を示す実線との交点から水素ガス濃度Dhが求まり、水蒸気濃度を示す破線との交点から水蒸気濃度Dwを求めることができる(S3)。
【0017】
ここで、理想気体の場合の断熱変化の状態方程式を用いた気体の音速は、次のように表せる。
[音速]=√(γ*P/ρ) [m/s]・・・(6)
これを標準状態での平均ガス密度ρmを用いて変形すると、次の通りに表せる。
ρm=γ*Po*Tg/(Ct2*To) [g/L]・・・(7)
ただし、
γ :比熱比
Tg:ガス温度[K]
Po:101325[Pa]
To:273.15[K]
そして、標準状態での混合気体の密度ρmは、水素と水蒸気との標準状態での密度をρh、ρwとし、水素濃度と水蒸気濃度とを無次元の比率を用いてDh、Dwとすると、次の式で表せる。
ρm=Dh*ρh+Dw*ρw ・・・(8)
ここで、水素濃度Dhと水蒸気濃度Dwとには次の関係がある。
Dw=1−Dh ・・・(9)
したがって、これを式8に代入して水素濃度Dhと水蒸気濃度Dwとを求めると、次の関係が得られる。
Dh=(ρm−ρw)/(ρh−ρw) [無次元]・・・(10)
Dw=(ρm−ρh)/(ρw−ρh) [無次元]・・・(11)
ところで、ガス流体のガス温度Tgとガス圧力Pgとは公知のセンサを用いて求めることができる。そして、飽和水蒸気圧Psはガス温度Tgの関数として求めることができ(S4)、ガス圧力Pgとから、飽和水蒸気分圧比即ち飽和水蒸気濃度(Ps/Pg)を求めることができる。これを前述の行程(S3)で得た水蒸気濃度Dw(式11参照)と比較することで、管内のガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態か否かを判定する(S5)。この処理が水蒸気飽和判定手段に相当する。
【0018】
判定の仕方は、例えば次の式で表されるXの正負で判定する。
X=a(Ps/Pg)−Dw [無次元]・・・(12)
ここで、aは定数であり、例えばa=0.9のように設定することができ、式12で表されるXの値が負になると、ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達していると判定する。
【0019】
飽和水蒸気状態にあると判定された場合は、その時の管内音速を改めて求める(S9)。これは、図4に示すように、飽和水蒸気濃度Ps/Pgが確定するため、平均ガス密度を逆算(破線との交点)することができ、図4の下側に示す平均ガス密度と音速との関係図から音速Cの値を出して、これを飽和水蒸気状態における音速Cと見なす。
【0020】
このようにして飽和水蒸気下での音速Cに修正し、再び式1及び式2を用いて流速Vと伝播経路長Lとを未知数にして解くと次の式で表せる。
V*cosθ=C(t2−t1)/(t2+t1) [m/s]・・・(13)
L=2C(t1*t2)/(t1+t2) [m]・・・(14)
ここで、乾燥ガス流体の場合の伝播経路長をL0(一定値)とし、伝播経路長の変化分をδLとすると、式14は次のようになる。
δL=L0−2C(t1*t2)/(t1+t2) [m]・・・(15)
これを用いて得た超音波伝播経路長の補正量δLから幾何学的な演算を行って、水位量δHと超音波の流れに対する伝播角度の変化量δθとを求める(S10)。
【0021】
なお、飽和状態の判定(S5)で飽和状態に無いと判定されたときは超音波伝播経路長Lの補正量δLは不要となるため、δH、δθはゼロとなる(S6)。
次に、水位量δHが求まれば、ガス流体の流路断面積Agは次の式で求めることができる。
Ag=(H−δH)*B [m2]・・・(16)
そして、式13からガス流体の流速Vは、超音波伝播経路長Lの補正量δHの算出(S10)で求めた超音波の流れに対する伝播角度の変化量δθを反映させて、次の式で表される(S7)。
V=[C(t2−t1)/(t2+t1)]/cos(θ−δθ) [m/s]
・・・(17)
したがって、加湿水素ガスの体積流量Qvは、式16及び式17を用いて、次の通りに表せる。
Qv=K*Ag*V [m3/s]・・・(18)
また式18の体積流量Qvに、式10で得た水素濃度Dhと、水素の標準状態における密度ρh(一定値)とを用いると、水素質量流量Qmhは次の式により得ることができる(S8)。
Qmh=1000*ρh*Dh*Qv [g/s]・・・(19a)
Qmh=ρh*Dh*Qv [kg/s]・・・(19b)
以上の説明で一回分の測定を終え、繰り返して次回の測定を行うために先頭の処理に戻る(S11)。
【0022】
本実施形態によれば、超音波伝播経路長Lまたはその変化量δLを用いて、管2の流れ方向軸に対する超音波伝播角度θを求め、この伝播角度θに基づいてガス流体の流速Vを求めるようにしている。このように超音波伝播経路が結露水Wの水位δHにより変わり、流れに対して成す角度θを一定値とせずに水位δHを勘案して求め直した流速Vを用いることにより、より精度の高いガス流体の流量計測を実現することができる。
【0023】
また本実施形態によれば、水蒸気飽和状態判定手段は、流れの順方向と逆方向との超音波伝播時間t1、t2から超音波伝播経路長Lを一定値とみなして管2内平均音速Ctを仮に求め、この管2内平均音速Ctを予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、これとは別にガス温度とガス圧力とから算出した飽和水蒸気濃度とを比較して飽和水蒸気状態にあるか否かを判定する。このように超音波伝播時間t1、t2から導かれる音速Ctを用いてガス流体に含まれる水蒸気濃度を求め、飽和水蒸気濃度と比較することで飽和状態に達しているか否かを判定することにより、湿度計などを新たに設けなくてもガス流体の状態を判定することができる。
【0024】
本発明の第2の実施形態として、水蒸気の飽和状態、即ち結露状態にあるか否かの判定について図5を用いて説明する。図5は、第2の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャートである。なお、第1の実施形態で説明した事項についての詳細な説明は省略する。
先ず、第1の実施形態と同じく、超音波伝播時間t1、t2から仮音速Ctを算出し、これに基づいて水蒸気濃度Dwを求める(S1〜S3)。そして、公知のセンサを用いて検出されたガス圧Pgの値を用いて、水蒸気圧Pwを次の式20により算出する(S41)。
Pw=Dw*Pg [Pa]・・・(20)
この水蒸気圧Pwを用いて、式21により露点Tdを求める(S41)。
Td=a/{[b/Log(Pw/c)]−1} [℃]・・・(21)
a、b、c:定数
次に、公知のセンサを用いて管2内壁の底部5の管壁温度Tpを測定し、この温度Tpと式21により算出された露点Tgとを比較することで、管2内のガス流体に含まれる水蒸気が飽和水蒸気状態に達しているか否かを判定する(S51)。
【0025】
その判定の仕方は、例えば次の式で表されるYの値の正負で判定する。
Y=α*Td−Tp [℃]・・・(22)
ここで、αは定数であり、例えばα=0.9のように設定される。
式22で表されるYの値が負になった場合、その時の管2内のガス流体に含まれる水蒸気が飽和水蒸気状態に達していると判定する。
【0026】
そして、飽和水蒸気状態にあると判定された場合は、その状態で改めて音速Cを求める。この時、管壁温度Tpと露点Tdとの加重平均値からガス温度Tgを式23により求める。
Tg=(W1*Tp+W2*Td)/2 ・・・(23)
ここで、W1、W2は重み係数であり、温度の分布形態に応じて設定される。
【0027】
そして、ガス温度Tgにおける飽和水蒸気圧Psを求め、飽和水蒸気濃度Ps/Pgから平均ガス密度を逆算し、音速Cを求める(S91、図4参照)。以降、第1の実施形態で説明したのと同じくガス流体の流量Qvを求める。
本実施形態によれば、水蒸気飽和状態判定手段として、流れの順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2から超音波伝播経路長Lを一定とみなして管内平均音速Ctを仮に求め、この管内平均音速Ctを予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、ガス温度Tgとガス圧力Pgから露点Tdを算出する露点算出手段と、管2内壁の底部5近傍の温度Tpを検出する管壁温度検出手段とを備え、これらの検出手段により得た露点Tdと管壁温度Tpとを比較して飽和水蒸気状態を判定する。このように結露水Wが発生しやすい管壁温度Tpを測定することによって、より正確に結露水Wの有無を判定することができる。
【0028】
また本実施形態によれば、飽和水蒸気状態判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時に、飽和水蒸気状態における音速Cは、管壁温度Tpと露点Tdとの加重平均から求めた音速値Cを用いるようにした。このように管壁温度Tpと露点Tdのように複数の温度を勘案して音速値Cを決めるようにしたことで、より正確な音速が求められ、さらに音速Cを基により正確な水蒸気濃度を求めることができる。
【0029】
本発明の第3の実施形態として、水蒸気の飽和状態、即ち結露状態にあるか否かの判定について、図6を用いて説明する。図6は、第3の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャートである。なお前述の実施形態と同じ処理については同じ記号を付しており、その詳細な説明については省略する。
本実施形態では、第1の実施形態の水蒸気濃度Dwと飽和水蒸気濃度Ps/Pgとの比較によって飽和水蒸気状態にあるか否の判定(S5)と、第2の実施形態による露点Tdと管壁温度Tpとの比較によって飽和水蒸気状態にあるか否かの判定(S51)とを続けて行う。そして、いずれか一方の判定で条件を満たせば飽和水蒸気状態であると判断し、その時の音速Cを求めて(S9、S91)、超音波伝播経路長Lの補正量δLを求める(S10)。
【0030】
本実施形態によれば、前述の2つの判定のうち、いずれか一方の判定で条件を満足すれば飽和水蒸気状態であると判定するため、論理和条件で判定することができ、確実に飽和水蒸気状態を判定することができる。
なお、これまで説明してきた実施形態では、いずれも超音波伝播経路長Lの補正量δLを求める過程で水位量δHが求まるが、本来水位量δHはゼロ、即ち結露水Wが存在していない状態が流量Qvの測定には望ましい。また、この超音波流量計測装置の好適な適用例の一つである燃料電池システムにおいても過剰の結露水Wが管2内に存在する場合は、燃料ガス供給の妨げになるため、これを必要最小限にすることが理想的である。
【0031】
そこで、図示はしないがガス流体の流量情報と共に水位情報を出力するようにしても良い。ここで、例えば管2にドレイン栓がある場合には、水位情報に基づいてドレイン栓の開閉制御が行える。また加湿装置がある場合には、加湿量の加減制御情報として活用することができる。
本発明の第4の実施形態として、水蒸気の飽和状態、即ち結露状態にあるか否かの判定について、図7〜図9を用いて説明する。図7は、結露水Wの水位量がδHである時の反射超音波の音圧強度を模式的に示す図である。図8は、音圧強度と水位量との関係を示す図である。図9は、音圧強度から補正量を求めるフローチャートである。
【0032】
図7において、上流側に配設された超音波送受波器3から発射された超音波B1は、水位量δHがゼロの時の反射経路B2から平行移動した反射経路B3へ反射する。しかし、反射経路B3と下流側の超音波送受波器4の感度軸B2とは一致しないため、感度が低下した経路B4からの超音波が受信される。そして、下流側の超音波送受波器4から上流側の超音波送受波器3に超音波を発射した場合も同様となる。
【0033】
ここで、超音波送受波器3、4のいずれの超音波受信信号SG1、SG2も例えば図8に示すような音圧強度SPLと水位量δHとの関係となり、この関係を予め測定しておくことで音圧強度SPLから水位量δHを求めることができる。
なお、受信信号SG1、SG2の音圧強度SPLにはガス流体の流れ方向の影響が加わるため、反射経路B4が若干異なる。そこで次の式に示すとおり双方の平均値を取ることで流れ方向の影響を低減し水位量δHの検出のSN比を改善している(S42、S101)。
SPL=(SG1+SG2)/2 ・・・(24)
このようにして求めた水位量δHから超音波伝播経路長Lおよび伝播角度の補正量δLを求めて、前述の実施形態と同じく流路断面積Agを補正して流量Qvを求めている。
【0034】
図9にはその処理の流れが示されており、音圧強度SPLから水位量δHを求める処理(S101)以外は、前述の実施形態で説明した処理と同じである。
図7を再度参照して説明する。本実施形態に係る超音波流量計測装置1には、管2内壁の底部5に管2内に連通するポ−ト11を設けている。さらにポ−ト11から管2の上方に延びるように折り返したU字型の透明のチュ−ブ12を設け、これを鉛直に立つように維持する。ポート11は、管2壁内に超音波流量計測装置の機能検査用及び調整用流体の出し入れをする。
【0035】
この場合に音速Cから平均ガス密度ρmを検出する機能の検査及び調整の手順について図10を用いて説明する。図10は、平均ガス密度検出機能の検査及び調査を行う手順を示すフローチャートである。
先ず、超音波流量計測装置1の計測モ−ドを切り替えて平均ガス密度検出検査モ−ドに処理を移す(S110)。続いて試験ガス、ここでは一例としてヘリウムガスをチュ−ブ12を介してポ−ト11から管2内へ入れる(S111)。この時の超音波流量計測装置1の出力から、平均ガス密度の検出結果を出力させ(S112)、その出力値がヘリウムガスの標準状態での密度相当であるか否かを確認する(S113)。
【0036】
この時の出力値が平均ガス密度検出誤差の許容を外れていた場合は、超音波伝播時間t1、t2から求めた仮音速Ctに補正量(オフセット)を与え、検出許容誤差以内に入るよう調整する(S114)。一方、始めから検出許容誤差以内に入っていた場合には、検査は合格(S115)として処理を終える(S116)。
【0037】
次に水位検出機能の検査及び調整の手順について図11を用いて説明する。図11は、水位検出機能の検査及び調整の手順を示すフローチャートである。
先ず、超音波流量計測装置1の計測モ−ドを切り替えて、水位検出機能検査・調整へ処理を移す(S120)。続いて試験のための液体、ここでは一例として温水をチュ−ブ12を介してポ−ト11から管内へ入れる(S121)。この時のU字型の透明のチューブ12の水位を、あらかじめマ−キングされた管内底指示線14からの高さを測る(S122)。そして、超音波流量計測装置1の出力から、水位δHの検出結果を出力させ、その出力値がS122で測定した水位とを比較する(S123)。この時の出力値が水位検出誤差の許容を外れていた場合には、検出した超音波伝播経路長Lに補正量(オフセット)を与え、検出許容誤差以内に入るよう調整する(S124)。一方、始めから検出許容誤差以内に入っていた場合には、検査は合格(S125)として処理を終える(S126)。
【0038】
本実施形態によれば、超音波受信波の音響強度を検出する超音波音響強度検出手段と、予め求めておいた超音波受信波の音響強度と水位量との関係に照らし合わせて音響強度を水位量に変換する水位変換手段とを備え、この水位変換手段により求めた水位量に基づいて管断面積に対する補正量を演算するようにした。このように水位変化に伴って伝播ジオメトリが変化して、その結果として音響強度が変化することを利用して流路断面積の補正を行うことが可能であり、この場合にも気水分離器や新たな水位計などを追加しなくてもガス流体の流量を精度良く計測することができる。
【0039】
また本実施形態によれば、管2壁に超音波流量計測装置1の機能検査及び調整用流体を出し入れするポートを設けた。このため、機器に組み込んだ状態であっても超音波流量計測装置1の機能試験等を簡便に実施できるため、計測精度および信頼性の維持を図ることができる。
本発明の第5の実施形態として、図12を用いて説明する。図12は、超音波が仮想反射面で反射した状態を示す模式図である。
【0040】
本実施形態によれば、管内壁の底部に向けて発射する超音波送受波器3、4の幾何学的配置が、管2内壁の底部5から所定の高さH1に設定した仮想面15で反射(実線)する配置としている。このように超音波送受波器3、4のジオメトリを水位量が所定の量だけ存在している時に音波強度が強くなるように配置したことにより、水位量によって伝播経路が変化し、ついには受波できなくなる水位レベルをより高い位置にまでもって行くことができ、水位量の測定レンジを広げることができる。
【0041】
なお、本発明では結露水が発生した場合の管断面積の補正方法について述べてきたが、なるべく結露水が溜まらない状態で流量を検出することが望ましい。その工夫として管内壁には親水性の材料を張るなどして、水膜がなるべく薄く均一に形成されるよう、また超音波反射面以外に速やかに排水されるよう、細い溝を設ける等の工夫を付加すると更に良好な流量の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型の超音波流量計測装置の模式図
【図2】第1の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図3】ガス流体の音速から水蒸気濃度を求める特性線図
【図4】水蒸気濃度からガス流体の音速を求める特性線図
【図5】第2の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図6】第3の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図7】結露水の水位量がδHである時の超音波伝播経路と音圧強度との関係を示す図
【図8】音圧強度と水位との関係を示す図
【図9】第4の実施形態に係る超音波流量計測装置のフローチャート
【図10】平均ガス密度検出機能の検査及び調査を行う手順を示すフローチャート
【図11】水位検出機能の検査及び調整の手順を示すフローチャート
【図12】超音波が仮想反射面で反射した状態を示す模式図
【符号の説明】
1 超音波流量計測装置
2 管
3、4 超音波送受波器
5 底部
L 超音波伝播経路長
W 結露水
t1、t2 超音波伝播時間
C 音速
θ 超音波伝播角度
V ガス流体の流速
Q ガス流体の流量
A 管断面積
Ag 流路断面積
Claims (10)
- 管壁に流れ方向に所定の間隔で配設された一対の超音波送受波器と、この超音波送受波器の一方から発射された超音波が管内壁の底部で反射して他方の超音波送受波器に達するまでの伝播時間を流れの順方向と逆方向とでそれぞれ求めて、前記順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2に基づいてガス流体の流速を求め、前記流速と管断面積とから前記ガス流体の流量を求める超音波流量計測装置において、
前記ガス流体に含まれる水蒸気が飽和状態に達しているか否かを判定する水蒸気飽和状態判定手段と、
前記水蒸気飽和状態判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時は、管内平均音速を飽和水蒸気状態における音速とみなして、前記順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2から超音波伝播経路長またはその変化量を演算し、前記超音波伝播経路長またはその変化量から前記管断面積またはその変化量を演算する管断面積演算手段とを備えること特徴とする超音波流量計測装置。 - 前記超音波伝播経路長またはその変化量を用いて、管の流れ方向軸に対する超音波伝播角度を求め、この超音波伝播角度に基づいて前記ガス流体の流速を求めることを特徴とする請求項1記載の超音波流量計測装置。
- 前記水蒸気飽和状態判定手段は、前記順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2から前記超音波伝播経路長を一定とみなして管内平均音速を仮に求め、この管内平均音速を予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、別にガス温度とガス圧力とから算出した飽和水蒸気濃度と前記水蒸気濃度とを比較して飽和水蒸気状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波流量計測装置。
- 前記水蒸気飽和状態判定手段は、前記順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2から前記超音波伝播経路長を一定とみなして管内平均音速を仮に求め、この管内平均音速を予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、ガス温度とガス圧力とから露点を算出する露点算出手段と、管内壁の底部近傍の温度を検出する管壁温度検出手段とを備え、これらの検出手段により得た前記露点と前記管壁温度とを比較して水蒸気飽和状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波流量計測装置。
- 前記水蒸気飽和状態判定手段は、前記順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2から前記超音波伝播経路長を一定とみなして管内平均音速を仮に求め、この管内平均音速を予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、別にガス温度とガス圧力とから算出した飽和水蒸気濃度と前記水蒸気濃度とを比較して飽和水蒸気状態にあるか否かを判定する第1の判定と、
前記順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2から前記超音波伝播経路長を一定とみなして管内平均音速を仮に求め、この管内平均音速を予め求めておいた音速とガス温度と水蒸気濃度との関係に照らし合わせて水蒸気濃度に変換し、ガス温度とガス圧力とから露点を算出する露点算出手段と、管内壁の底部近傍の温度を検出する管壁温度検出手段とを備え、これらの検出手段により得た前記露点と前記管壁温度とを比較して飽和水蒸気状態にあるか否かを判定する第2の判定とのうち、
いずれか一方の判定で条件を満足すれば飽和水蒸気状態であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波流量計測装置。 - 前記水蒸気飽和状態判定手段が飽和水蒸気状態であると判定した時に、前記飽和水蒸気状態における音速は、前記管壁温度と前記露点との加重平均から求めた音速値を用いることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の超音波流量計測装置。
- 管壁に流れ方向に所定の間隔で配設された一対の超音波送受波器と、この超音波送受波器の一方から発射された超音波が管内壁の底部で反射して他方の超音波送受波器に達するまでの伝播時間を流れの順方向と逆方向とでそれぞれ求めて、前記順方向及び逆方向の超音波伝播時間t1、t2に基づいてガス流体の流速を求め、前記流速と管断面積とから前記ガス流体の流量を求める超音波流量計測装置において、
超音波受信波の音響強度を検出する超音波音響強度検出手段と、
予め求めておいた超音波受信波の音響強度と水位量との関係に照らし合わせて前記音響強度を水位量に変換する水位変換手段とを備え、
この水位変換手段により求めた水位量に基づいて前記管断面積に対する補正量を演算することを特徴とする超音波流量計測装置。 - 前記伝播経路長またはその変化量の演算情報から管内の水位情報を求める水位情報手段を備え、
前記ガス流体の流量情報と共に前記水位情報を出力するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の超音波流量計測装置。 - 管内壁の底部に向けて発射する前記超音波送受波器の幾何学的な配置が、管内壁の底部から所定の高さに設定した仮想面で反射する配置としていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の超音波流量計測装置。
- 前記管壁に超音波流量計測装置の機能検査及び調整用流体を出し入れするポ−トを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の超音波流量計測装置。
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- 2002-06-04 JP JP2002162534A patent/JP2004012169A/ja active Pending
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