JP2009014611A - 超音波流量計 - Google Patents

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Abstract

【課題】流路上での超音波ビームの伝搬パスをより効率的に増加させることができ、ひいては流量測定精度の更なる向上あるいは装置小形化に有効に寄与するとともに、超音波送受信部の経時劣化による影響も効果的に回避することができる超音波流量計を提供する。
【解決手段】 流路内における被測定流体の流量がゼロの状態にて該被測定流体へ超音波ビームを送出し、2以上の予め定められた反射次数を有する第一波束成分SW2の伝播時間である第一伝播時間と、第一波束成分SW2よりも高次の第二波束成分SW4の伝播時間である第二伝播時間とを各々計測し、それら第一伝播時間と第二伝播時間との比であるゼロ流量伝播時間比に基づいて、流量算出に使用する伝播時間の計測値を補正する。
【選択図】 図3

Description

本発明は超音波流量計に関する。
特開2004−251653号公報
従来、都市ガスや水などの流量を計測するための超音波流量計が知られている。その際の測定原理として、一般には「伝搬時間差法」が用いられる。これは、流路の流体流れ方向上流側及び下流側に一対の超音波送受信部を設け、それら超音波送受信部間の超音波送受信方向を交互に切り替えるとともに、上流側超音波送受信部から発信された超音波ビームが下流側超音波送受信部に到達するまでの時間(順方向伝播時間)と、下流側超音波送受信部から発信された超音波ビームが上流側超音波送受信部に到達するまでの時間(逆方向伝播時間)とを計測して、両者の時間差から流路を流れる流体の平均流速度及び流量を求めるものである。
特許文献1には、そのような超音波流速計として、対をなす超音波送受信部の間で、一方の超音波送受信部から送出された超音波ビームを管路壁部で1回反射させてから他方の超音波送受信部へ導くようにした超音波流量計が開示されている。この構成によると、受信側となる超音波送受信部が1回反射後の超音波を検出するので、一対の超音波送受信部の設置間隔を縮小しても超音波ビームの伝搬パスが相対的に長くなるので、測定精度を向上するできることが謳われている。また、特許文献1においては、超音波ビームの伝播経路に対応する位置に絞り孔を形成したビーム絞り板が設けられており、超音波ビームの拡散に起因した、不要な反射波束成分をカットできるので、同様に測定精度を向上できる旨謳われている。
しかしながら、特許文献1においては、超音波ビームの反射回数は1回止まりであり、伝搬パスの増加効果は必ずしも十分とはいえない。また、流路内部に設けられたビーム絞り板は、不要な反射波束成分を除去する以上の機能を与えられておらず、伝搬パスの増加には何ら寄与していない。
さらに、上記のような流量計では、超音波送受信部が長期に渡って使用され、最近では使用年数が10年を超える要求も想定されている。このような長期使用中においては、振動駆動部の経時劣化により超音波送受信部の出力特性がドリフトすることがある。近年、流量計に要求されるスペックがますます厳しくなる中、上記の劣化により超音波送受信部が要求される耐用年数を充足できなくなることが懸念される。流量出力のゼロ点がドリフトすると流量の測定精度が悪化し、正確な計測ができなくなることにつながる。
具体的には、送信側の超音波送受信部においては、振動駆動部を駆動してから超音波が被測定流体(媒質:例えば都市ガス)中へ放射されるまでに一定の時間遅れが存在する。すなわち、外部からの駆動信号を受けることで、その信号が圧電セラミック振動板にて機械振動に変換され、さらに音響インピーダンス整合層を伝播して被測定流体へ放射されるので、上記の駆動信号の入力タイミングから超音波が被測定流体に放出されるまでに一定の遅延時間が存在する。また、被測定流体から受信側の超音波送受信部に入射する際にも同様の遅延時間が存在する。
そして、流量計測では、超音波の被測定流体への放出タイミングを、駆動信号の入力タイミングに置き換えて超音波伝播時間の計測起点として用いている。この場合、駆動信号の入力タイミングから超音波の被測定流体への放出タイミングに至る遅延時間が一定であれば、該遅延時間の計測誤差への寄与も一定であり容易に補正可能であるが、該遅延時間が振動駆動部の経時劣化に伴い変動すると該寄与は一定でなくなり、補正はもはや不能となる。例えば、工場出荷時に記憶された超音波送受信部の初期ゼロ点流量が経時ドリフトすると、流れがないにも拘わらず流れがあると誤計測したり、逆に流れがあるにも関わらず流れがないと認識してしまったりする問題を引き起こすことになる。
従来、超音波送受信部のゼロ点のドリフトを抑える構成として、ドリフト量を極力抑えるために送信系インピーダンスを低減する方式が採用されていた。しかしながら、このような構成では、送信系インピーダンスの低減には限界がある上、超音波送受信部の個体毎の特性バラツキ管理も面倒である。さらに、素子の低インピーダンス化に伴い消費電流が増加しやすい問題がある。
本発明の課題は、流路上での超音波ビームの伝搬パスをより効率的に増加させることができ、ひいては流量測定精度の更なる向上あるいは装置小形化に有効に寄与するとともに、超音波送受信部の経時劣化による影響も効果的に回避することができる超音波流量計を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、
被測定流体の流路を形成する流路形成部と、
流路形成部に対し被測定流体の流通方向において互いに異なる位置に設けられ、一方が被測定流体への測定用超音波の送出側となり、他方が該測定用超音波の受信側となるように機能するとともに、各々測定用超音波として、予め定められた向きへの指向性を有する超音波ビームを送出可能な対をなす超音波送受信部と、
流路形成部の内部にて流路に沿って配置される板状に形成された、1つ又は板面法線方向に所定の間隔で複数設けられた反射部材と、
送信側となる超音波送受信部から送出され、反射部材により流路内で多重反射させつつ受信側となる超音波送受信部へ到達する超音波ビームの流路内の伝播時間を計測する伝播時間計測手段と、
計測された伝播時間に基づいて被測定流体の流量を算出する流量算出手段と、
流路内における被測定流体の流量がゼロの状態にて該被測定流体へ超音波ビームを送出したときの、2以上の予め定められた反射次数を有する第一波束成分の伝播時間である第一伝播時間と、第一波束成分よりも高次の第二波束成分の伝播時間である第二伝播時間とを伝播時間計測手段により各々計測するとともに、それら第一伝播時間と第二伝播時間との比であるゼロ流量伝播時間比を演算するゼロ流量伝播時間比演算手段と、
該ゼロ流量伝播時間比に基づいて、流量算出に使用する伝播時間の計測値を補正する伝播時間補正手段と、を有してなることを特徴とする。
上記本発明においては、特許文献1ではビーム絞り板としてのみ用いられていた、流路内に設けられる板部材を、超音波ビームに対する反射部材として活用する。そして、送信側となる超音波送受信部から送出される超音波ビームを、この反射部材を用いて流路内で多重反射(反射回数2回以上)させつつ受信側となる超音波送受信部へ導くようにした。その結果、超音波送受信部間を超音波ビームが直進により伝播する場合と比較して、反射回数が2回以上に増加する分だけ伝播パス長が折れ線状に大幅に増加し、流量測定精度の向上あるいは流量測定のレンジアビリティ拡大に寄与できる。また、一定の精度を達成するために、同じ流れに対して流量測定を複数回繰り返して実施する場合においても、伝播パス長延長に伴う精度向上への寄与により必要な繰り返し計測回数を低減できる(あるいは1回の計測で済ませることも可能となる)。他方、同じ伝播パス長であっても、パス形状が折れ線状となることで、対を成す超音波送受信部の距離を近づけることができ、装置の小形化にも貢献する。
また、反射部材によって流路がその軸断面内にて複数に分割されるが、反射部材は被測定流体に対する整流素子としても機能するので、流れの安定化と均一化とを図ることができ、この観点からも流量測定精度の向上に寄与する。特に、反射部材による流路の分割方向に流れを十分均一化することができれば、測定対象となる流れを近似的に二次元流として取り扱うことが可能となり、測定精度向上の観点においてさらに有利となる。流路内に整流板を設ける思想は従来から存在しているが、限られた流路内部に整流素子を配置することによる寸法制約の結果、超音波送受信部間に確保できる距離にも限界が生ずる。しかし、本発明の採用により、そのような寸法制約があっても多重反射効果により伝播パス長を十分に拡大することができる。
そして、反射部材を用いた多重反射経路により超音波ビームを伝播させる場合、超音波ビームが中心線に対して一定の広がりを不可避的に有していることから、反射次数の異なる波束成分が同時に複数発生し、それぞれ異なる伝播長にて受信側の超音波送受信部に到達することとなる。本発明者は、流路内における被測定流体の流量がゼロの状態にて該被測定流体へ超音波ビームを送出し、2以上の予め定められた反射次数を有する第一波束成分の伝播時間である第一伝播時間と、第一波束成分よりも高次の第二波束成分の伝播時間である第二伝播時間とを各々計測したとき、それら第一伝播時間と第二伝播時間との比であるゼロ流量伝播時間比が、超音波送受信部による超音波ビームの送信ないし受信の遅延時間を反映したパラメータであることを見出し、本発明を完成させるに至った。該ゼロ流量伝播時間比に基づいて、流量算出に使用する伝播時間の計測値を補正することにより、超音波送受信部の経時劣化による遅延時間変動の影響を効果的に回避することができる。また、1回の計測で、2つの波束成分の情報を一挙に取得できるので、計測間誤差の影響も軽減できる利点がある。
流量の算出に使用する伝播時間は、伝播長のより長い第二波束成分を用いて計測することが、伝播時間の計測制度を向上する観点において望ましい。そして、指向性を有する超音波ビームを採用する関係上、ビーム中心線に対して低角度となる波束成分ほどビーム強度分布も大きく、高精度の測定が可能となる。従って、第一波束成分として(最も低角となる)2次反射波束成分を使用し、第二波束成分として(2番目に低角となる)4次反射波束成分を使用することが望ましいといえる。
次に、本発明の超音波流量計には、その実使用に先立ってゼロ流量伝播時間比演算手段が算出したゼロ流量伝播時間比の初期値を記憶するゼロ流量伝播時間比初期値記憶手段を設けることができる。伝播時間補正手段は、超音波流量計の実使用中にゼロ流量伝播時間比演算手段が算出したゼロ流量伝播時間比現在値と、ゼロ流量伝播時間比初期値との比較に基づいて、流量算出に使用する伝播時間の計測値を補正するものとすることができる。上記の初期値は、例えば超音波流量計の工場出荷に際して予め計測・算出したものを記憶しておくことができる。ゼロ流量伝播時間比の現在値を、記憶されたゼロ流量伝播時間比の初期値と比較することで、遅延時間の経時変化の程度を見積もることができ、伝播時間を的確に補正することができる。
この場合、伝播時間補正手段は、予め定められた関係式に基づいてゼロ流量伝播時間比を、超音波送受信部による超音波ビームの送信ないし受信の遅延時間に変換演算し、当該遅延時間を伝播時間から減ずるようにすれば、伝播時間のより直接的な補正を行なうことができる。また、ゼロ流量伝播時間比を取得するたびに、そのゼロ流量伝播時間比から遅延時間の絶対値を定めることができるので、ゼロ流量伝播時間比の初期値を必ずしも参照せずとも伝播時間を補正することが可能である。
伝播時間補正手段は、例えば、送信側となる超音波送受信部から送受信側となる超音波送受信へ至る第一波束成分の伝播長をL1、該第一波束成分により計測される伝播時間をT1、同じく第二波束成分の伝播長をL2、該第一波束成分により計測される伝播時間をT2、音速をC、遅延時間をτとして、
η≡T2/T1=γ+(1−γ)・τ・C/L1 ‥(1)
γ≡L2/L1
の関係式に従い、遅延時間τを演算することができる。(1)をτについて解くと、
τ=L1×(η−γ)/{(1−γ)・C} ‥(1)’
となる。伝播長L1、L2(及びγ)は測定系に固有の定数であり、音速Cも流体の密度と測定温度が知れていれば定数として扱うことができるから、ゼロ流量伝播時間比η≡T2/T1を実測することで、上記(1)’より遅延時間τを一義的に演算することができる。
上記(1)式の導出過程は以下の通りである。図3において第一波束成分SW2の伝播時間をT1、第二波束成分SW4の伝播時間をT2とし、各波束成分の流れ方向に対する入射角度をφ1及びφ2とし、さらに流速をVとすれば、
T1=L1/(C+V・COSφ1)+τ ‥(2)
T2=L2/(C+V・COSφ2)+τ ‥(3)
である。(2)、(3)式の辺々比を取ると、
η≡T2/T1={L2/(C+V・COSφ2)+τ}
/{L1/(C+V・COSφ1)+τ}
=[(L2/C)/{1+V・COSφ2/C}+τ]
/[(L1/C)/{1+V・COSφ1/C}+τ] ‥(4)
ゼロ流量条件(すなわち、1≫V;また、C≫1)では、V・COSφ1/C及びV・COSφ2はいずれも二次の微小量とみなすことができ、無視できるので、(4)式は、
η=(L2/C+τ)/(L1/C+τ) ‥(5)
と近似できる。(5)式の分母分子をL1/Cで割り、τ・C/L1≡Xとおけば、
η=(L2/L1+X)/(1+X)
=1/(X+1)+(L2/L1−1) ‥(6)
(6)式をX=0の周りで級数展開し、二次の項まで示すと、
η=L2/L1+(1−L2/L1)・X−X ‥(7)
となる。C・τは超音波送受信素子の伝播遅延距離であり、伝播長L1に比べて十分小さい。従って、X≡τ・C/L1は微少量なので二次の項を無視し、Xをτ・C/L1に戻し、さらに、L2/L1≡γとおけば、(7)式は、
η=γ+(1−γ)・τ・C/L1 ‥(1)
となる(導出終わり)。
なお、遅延時間τを求めるための近似式として(1)’式に代え(5)式を用いることも可能である。この場合は、γ≡L2/L1を考慮して、τは、次式(5)’にて表わすことができる。
τ=L1(η−γ)/{C・(1−η)} ‥(5)’
遅延時間を補正する場合においても、超音波流量計の実使用に先立って、ゼロ流量伝播時間比演算手段が算出したゼロ流量伝播時間比の初期値又は該初期値に基づいて算出される遅延時間の初期値τ0を記憶する初期値記憶手段を設けることができる。この場合、伝播時間補正手段は、超音波流量計の実使用中にゼロ流量伝播時間比演算手段が算出したゼロ流量伝播時間比現在値に基づいて算出される遅延時間をτとして、流量算出に使用する伝播時間の計測値をτ−τ0だけ減ずる形で補正することができる。これにより、遅延時間τが経時変化しても、これを常に初期値に合わせ込む形で流量のゼロ点を補正することができ、長期に渡って正確な流量測定が可能となる。
本発明の超音波流量計には、対をなす超音波送受信部に対し、流路上流側に位置する上流側超音波送受信部側が送信側となり、流路下流側に位置する下流側超音波送受信部側が受信側となる順方向駆動モードと、その逆となる逆方向駆動モードとの間で切り替え可能に駆動する超音波駆動機構を設けることができる。これにより、1対の超音波送受信部を2つの駆動モードに共用化でき、超音波送受信部の総数を減ずることができる(上流側超音波送受信部と下流側超音波送受信部とがそれぞれ1つずつ設けられればよい)。この場合、流量算出手段は、順方向駆動モードにて計測された順方向伝播時間と、逆方向駆動モードにて計測された逆方向伝播時間とに基づいて被測定流体の流量を算出するものとでき、流量測定精度の更なる向上を図ることができる。超音波送受信部は、順方向駆動モードと逆方向駆動モードとで送受信が入れ替わり、送信時の遅延時間と受信時の遅延時間も固有のものとなる。そこで、伝播時間補正手段を、順方向駆動モードで測定された順方向ゼロ流量伝播時間比と、逆方向駆動モードで測定された逆方向ゼロ流量伝播時間比とに基づいて、流量算出に使用する順方向伝播時間及び逆方向伝播時間の各計測値を補正するものとして構成することで、流量の計測精度を長期に渡って良好に維持することができる。
超音波送受信部の遅延時間ひいてはこれを反映したゼロ流量伝播時間比は温度に依存して変化するため、遅延時間の補正に関しても、その温度依存項の影響を考慮することは、補正精度を十分に高める観点にて重要である。これを解決するための簡便な構成として、予め定められた基準温度にて測定されたゼロ流量伝播時間比又は該ゼロ流量伝播時間比に基づいて算出される遅延時間を遅延時間参照パラメータとして記憶する遅延時間参照パラメータ記憶手段と、被測定流体の温度を測定する流体温度測定手段とを設けることができる。ゼロ流量伝播時間比演算手段は、温度測定手段による測定温度が基準温度に到達する予め定められたキャリブレーションタイミングが到来するに伴い、第一伝播時間と第二伝播時間とを計測し、ゼロ流量伝播時間比を測定するものとして構成できる。該構成によると、遅延時間参照パラメータ(ゼロ流量伝播時間比又はそれに基づく遅延時間)の初期値をある基準温度で計測し、その経時変化補正のために遅延時間参照パラメータを再度測定する際にも、これを同じ基準温度で実施でき、ゼロ流量伝播時間比の温度特性の影響を軽減することができる。なお、キャリブレーションタイミングは、伝播時間計測手段による流量計測タイミングよりも低頻度(例えば、0.5年〜1年に1回など)に設定することが望ましい。これにより、頻繁に遅延時間t0を計測する必要がなくなり、にて到来するように定めておくことにより、経時変化補正による流量計測への影響を減ずることができ、また、超音波流量計の省電力化にも寄与する。
また、基準温度を1点のみ定め遅延時間参照パラメータ記憶手段は、当該基準温度にて取得された遅延時間参照パラメータを記憶するものとして構成するとともに、遅延時間参照パラメータと、予め記憶された温度係数とに基づいて遅延時間参照パラメータ較正直線を決定する遅延時間参照パラメータ較正直線決定手段を設けることができる。ゼロ流量伝播時間比演算手段は、伝播時間計測を任意の温度にて行なってゼロ流量伝播時間比を測定し、該ゼロ流量伝播時間比に基づく遅延時間参照パラメータを、遅延時間参照パラメータ較正直線に基づいて伝播時間計測がなされた測定温度に対応する値に変換する変換手段を有するものとして構成できる。遅延時間参照パラメータの温度係数が予め知れていれば、基準温度と対応する遅延時間参照パラメータの組を1つ定めるだけで遅延時間参照パラメータ較正直線を定めることができ、ゼロ流量伝播時間比を任意の温度で測定してもその温度補正が可能となるので、上記のような特定の基準温度に対応したキャリブレーションタイミングを待機する必要がなくなる。
また、さらに進んでは、基準温度が互いに異なる複数点に定め、遅延時間参照パラメータ記憶手段を、複数の基準温度にて各々取得された遅延時間参照パラメータを記憶するものとして構成することも可能である。この場合、遅延時間参照パラメータ記憶手段に記憶されている複数の基準温度に基づいて遅延時間参照パラメータ較正直線を決定する遅延時間参照パラメータ較正直線決定手段が設けられる。このようにすると、遅延時間参照パラメータの温度係数が固定定数として定められるのではなく、基準温度と対応する遅延時間参照パラメータの組を複数組測定して、遅延時間参照パラメータ較正直線をその都度決定するので、温度係数の経時変化等にも対応でき、より正確な温度補正が可能となる。
以下、本発明にさらに付加可能な要件について説明する。反射部材は、超音波ビームの反射面が流路の中心軸線と平行となるように配置することが、反射部材を整流素子としても機能させる観点において望ましい。
また、上記の対をなす上流側超音波送受信部のうち、流路の上流側に配置される上流側超音波送受信部は、ビーム中心軸線が反射部材の反射面の法線方向に対し上流側に一定角度傾斜して定められる第一基準方向と一致するよう流路形成部の壁部に傾けて取り付けられるのが通常である。同様に、流路の下流側に配置される下流側超音波送受信部は、ビーム中心軸線が反射部材の反射面の法線方向に対し第一基準方向と同一角度にて下流側に傾斜して定められる第二基準方向と一致するよう流路形成部の壁部に傾けて取り付けられる。この場合、各超音波送受信部に組み込まれた超音波送振動子は、流路形成部の壁部とその外面に一体化された振動子取付部とを斜めに貫通する形で流路と連通するように形成された振動子配置孔内に、自身の超音波ビーム放出面が、振動子配置孔の内周面と、流路形成部の壁部内面の該振動子配置孔側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間を生ずる形で配置される。この流体淀み空間は、流速の小さい空間領域であり、流路本体を流れる被測定流体の流速が大きい場合には、この流体淀み空間に流体が流れ込み、その流速分布へ悪影響により測定精度の低下につながる問題がある。
この問題を解決するには、超音波送受信部の流路形成部に対する取付角度を大きくすることが有効である。すなわち、超音波送受信部のビーム中心軸線が流路形成部に流路中心軸線に対して直角に近づく向きに立てて取り付けることにより、流体淀み空間を縮小することができる。しかし、従来のごとく超音波送受信部間で直線的なパスに沿って超音波ビームを伝播させる構成では、上記取付角度が大きくなるほど伝播パス長が短くなり、流量測定精度あるいはレンジアビリティが低下することにつながる。しかし、本発明の採用により、対をなす超音波送受信部は、一方の超音波送受信部に対し他方の超音波送受信部が、該一方の超音波送受信部からの超音波ビームの送出方向を、反射部材への入射位置から流路形成部の反対側の壁部まで延長したときの当該壁部との交差位置よりも遠くなるように配置されることになる。つまり、超音波送受信部の流路形成部に対する取付角度が大きく立っていても、伝播パスは多重反射による折れ線状の形態となって延長され、また、取付角度が立っている分だけ三角形状の淀み空間も縮小するので、流量測定精度ないしレンジアビリティを十分確保することができる。
なお、反射部材と流路形成部の壁部との間に不要な隙間や空隙が形成されていることは、流速分布の不均一化を招くことにつながるので、反射面の法線方向と流路の断面中心軸線方向との双方と直交する向きを流路幅方向としたとき、反射部材の該流路幅方向の両縁は、流路形成部の該流路幅方向における両側の壁部内面に結合されていることが望ましい(ただし、後述のビーム通過孔やビーム導入孔など、超音波ビームの伝播パスの形成に寄与する空隙は除く)。
次に、反射部材は、超音波送受信部からの超音波ビームの送出方向に所定の間隔をおいて複数配置することができる。この場合、送信側となる超音波送受信部から送出される超音波ビームを、それら複数の反射部材の間に形成される導波空間内にて多重反射させつつ受信側となる超音波送受信部に導く構成とすることができる。複数の反射部材により、流路は3つないしそれ以上に仕切られることになり、整流効果の向上、すなわち流路断面内の流速分布の更なる均一化を図ることができる。
この場合、反射部材は、流路の断面中心軸線に関して両側に対をなして配置することができる、それら対をなす反射部材の対向面間に導波空間を形成することができる。これにより、流路の断面中心軸線を含む領域、すなわち流れ全体を代表する領域に導波空間が設定され、ここに超音波ビームの伝播パスを多重反射により長く設定できるので、流速を一層高精度に計測することが可能となる。また、導波空間の断面内にて流速が有る程度変動している場合においても、導波空間内を多重反射する超音波ビームによりその影響を平均化でき、計測安定と精度を高めることができる。特に、流路の断面中心軸線を含む領域は壁部近傍と比較して流速が大きく、断面内の流速分布の影響を特に受けやすいので多重反射を採用することの利点が大きく反映される。
また、一定の精度を達成するために同じ流れに対して流量測定を複数回繰り返して実施する場合は、一回の計測で流れの分布の代表となる領域を導波空間として超音波ビームを複数回反射させつつ伝播させることができるので、必要な繰り返し計測回数を低減できる利点もある。この場合、対をなす反射部材は、より望ましくは、流路の断面中心軸線に関して対称となる位置関係で配置されているのがよい。
反射部材には、該反射部材と対向する超音波送受信部からの超音波ビームを導波空間に導入するビーム導入孔を貫通形成することができる。超音波送受信部から拡がりつつ送出される超音波ビームに含まれる不要波束成分を、ビーム導入孔を通過させることでカットすることができ、測定に必要な波束成分を受信側超音波送受信部に選択的に導くことができるので、測定精度の向上に寄与するほか、不要波形成分のフィルタリングなどに係る波形処理の負荷軽減にも効果が期待できる。
ビーム導入孔は、対応する超音波送受信部からの超音波ビームにおいて、ビーム中心軸線からその半径方向に拡散する波束成分のうち、導波空間内で予め定められた反射次数以外の多重反射を生じた後、受信側の超音波送受信部に至る波束成分が遮断されるように、反射部材への形成位置及び開口寸法を定めることができる。この構成では、ビーム中心軸線からの出射角度の逸脱が一定以上に大きい波束成分、つまり、上記2つの波束成分以外の次数の反射を生ずる波束成分を、ビーム導入孔による絞り込みにより効率的に除去できる。
本発明に係る超音波流量計の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、一般住宅用ガスメータ等として用いられる超音波流量計の一実施例の基本構成である。この超音波流量計1には、被測定流体GFの流路を形成する流路形成部3と流路形成部3に対し被測定流体GFの流通方向において互いに異なる位置に設けられ、一方が被測定流体GFへの測定用超音波の送出側となり、他方が該測定用超音波の受信側となるように機能するとともに、各々測定用超音波として、予め定められた向きへの指向性を有する超音波ビームSWを送出可能な対をなす超音波送受信部2a,2bと、流路形成部3の内部にて流路に沿って配置される各々板状に形成され、かつ板面法線方向に所定の間隔で複数設けられた反射部材31,32とを備えている。そして、送信側となる超音波送受信部2a,2bから送出される超音波ビームSWを、反射部材31,32を利用して流路内で多重反射させつつ受信側となる超音波送受信部2a,2bへ導くようにしてある。流路形成部3は例えば金属製である。
反射部材31,32を含む流路形成部3と超音波送受信部2a,2bとが流量計本体1Mを構成し、該流量計本体1Mと制御回路部1Eとにより超音波流量計1の全体が構成されている。図2は、流量計本体1Mの断面構造を示す斜視図である。また、図1において、制御回路部1Eは、対をなす超音波送受信部2a,2bを、流路上流側に位置する上流側超音波送受信部2a側が送信側となり、流路下流側に位置する下流側超音波送受信部2b側が受信側となる順方向駆動モードと、その逆となる逆方向駆動モードとの間で切り替え可能に駆動する超音波駆動機構4を有する。
超音波流量計1の流量測定用の流路3Pには、流量測定用ガス(流体)が図示の流れ方向に流通している。流路3Pには、流れ方向下流側に下流側超音波送受信部2bが設けられ、流れ方向上流側に上流側超音波送受信部2aが設けられている。これらの超音波送受信部2a,2bは圧電振動子などからなる超音波振動子を有した超音波トランスデューサであり、駆動電圧の印加により超音波ビームを送出する超音波送出機能と、超音波ビームの受信により電気信号(受信信号)を出力する超音波受信機能とを複合して備えるものである。測定用の超音波ビームは、流路内にて超音波送受信部2a,2b間に定在波を生じないよう、所定波数以下のパルス状に送出される。
測定対象がガスの場合、流路3Pを形成する流路形成部3の軸断面形状は壁部3Jにより閉鎖された空間を形成するものであればよく、例えば、円形状、楕円形状、正方形状、矩形状等のいずれを採用してもよい。本実施形態では、図1に示すごとく流路形成部3は矩形状に形成され、上壁部3Jaに上流側超音波送受信部2aが、また下壁部3jbに下流側超音波送受信部2bが取り付けられている。つまり、対をなす超音波送受信部2a,2bが、流路形成部3に対し、複数の反射部材31,32群を配列方向に挟む形で振り分けて配置されている。この場合、超音波ビームSWは、導波空間3W内で偶数次にて多重反射することとなる。
図3は、流量計本体1Mの内部構造の詳細を示すものである。反射部材31,32は、流路の断面中心軸線Oに関して両側に対をなして、具体的には、流路の断面中心軸線Oに関して対称となる位置関係で配置されている。いずれも、超音波ビームSWの反射面が流路の中心軸線と平行となるように配置されている。また、図1及び図2に示すように、反射面の法線方向と流路の断面中心軸線O方向との双方と直交する向きを流路幅方向としたとき、反射部材31,32の該流路幅方向の両縁は、流路形成部3の該流路幅方向における両側の壁部3J内面に結合されている。
反射部材31,32は、被測定流体(媒質)の音響インピーダンスをZ1とした場合、反射部材の音響インピーダンスをZ2とすれば、境界(反射面)が反射部材31,32であるので、Z1/Z2≪1となるような音響インピーダンスZ2を有した材質を選定すればよい。このようにすれば、反射部材31,32の音響インピーダンスZ2媒質の音響インピーダンスZ1に比べて充分に大きいので、境界(反射面)をなす反射部材31,32を超音波ビームSWが透過することを阻止でき、ほぼ全反射となるため、超音波ビームSWの伝播ロスが少なくなり、高感度な送受信が達成できる。具体的には、音響インピーダンス比Z1/Z2の値は1/10以下であればよく、反射部材31,32の具体的な材質としては、金属、セラミックス、プラスチックスを例示できる。
また、反射部材31,32の厚みは、材料の機械的物性や加工性等を考慮して、0.4mm以上確保されていることが望ましい。また、反射部材31,32の厚みが超音波波長λの1/2に一致していると、図14に示すごとく、共振により反射部材の音波透過率が非常に急峻に増大し、反射がほとんど生じなくなるので、該厚さはλ/2よりも小さいことが望ましい(図14に示す事例ではλ/2=約1.25mmであり、反射部材31,32の厚みは1mm以下に設定されていることが望ましいといえるが、λは反射部材31,32の材質により変化するので、適正な厚みの上限は材質に応じて適宜設定されることとなる)。
さらに、反射部材31,32の反射面の表面粗さ(JIS:B0601(2001)に規定された算術平均高さRaを採用する)は、超音波波長λの1/10以下に仕上げられていることが望ましい。これにより、反射面での乱反射による超音波エネルギーのロスが少なくなり、ほぼ全反射するため、超音波ビームの伝播ロスが抑制され、高感度な送受信を実現できる。
図3に示すように、配置送信側となる超音波送受信部(順方向駆動モードでは上流側超音波送受信部2a、逆方向駆動モードでは下流側超音波送受信部2b)から送出される超音波ビームSWは、それら1対の反射部材31,32間に形成される導波空間3W内にて多重反射されつつ受信側となる超音波送受信部(順方向駆動モードでは下流側超音波送受信部2b、逆方向駆動モードでは上流側超音波送受信部2a)に導かれる。
反射部材31,32には、該反射部材31,32と対向する超音波送受信部2a,2bからの超音波ビームSWを導波空間3Wに導入するビーム導入孔31h,32hが貫通形成されている。これらビーム導入孔31h,32hの反射部材31,32への形成位置は、超音波ビームSWのビーム中心軸線を包含するように、ここではビーム中心軸線と一致するように定められている。超音波送受信部2a,2bから拡がりつつ送出される超音波ビームSWに含まれる不要反射成分が、ビーム導入孔31h,32hを通過させることでカットされる。
具体的には、ビーム導入孔31h,32hは、対応する超音波送受信部2a,2bからの超音波ビームSWにおいて、ビーム中心軸線からその半径方向に拡散する波束成分のうち、導波空間3W内で6次以上の多重反射を生じた後、受信側の超音波送受信部2a,2bに至る波束成分が遮断されるように、反射部材31,32への形成位置及び開口寸法を定められている。換言すれば、2次反射(第一波束成分)及び4次反射(第二一波束成分)の波束成分のみがビーム導入孔31h,32hを選択的に通過可能である。
ここでは、流量測定に採用されるのは、4次の反射波からなる第二波束成分SW4である。また、後述のゼロ流量伝播時間比の計測では、第二波束成分SW4に加え、2次の反射波からなる第一波束成分SW2も使用される。そして、これよりも高次の、具体的には反射部材31,32への入射角度の大きい6次以上の反射波がカットされるように、受信側の超音波送受信部2a,2bに遠い側の内縁位置(順方向駆動モードではビーム導入孔31hの下流側内縁位置、逆方向駆動モードではビーム導入孔32hの上流側内縁位置)が定められている。
次に、上流路の上流側に配置される上流側超音波送受信部2aは、ビーム中心軸線が反射部材31,32の反射面の法線方向に対し上流側に一定角度傾斜して定められる第一基準方向RD1と一致するよう流路形成部3の壁部3Jに傾けて取り付けられている。また、流路の下流側に配置される下流側超音波送受信部2bは、ビーム中心軸線が反射部材31,32の反射面の法線方向に対し第一基準方向RD1と同一角度にて下流側に傾斜して定められる第二基準方向RD2と一致するよう流路形成部3の壁部3Jに傾けて取り付けられている。各超音波送受信部2a,2bに組み込まれた超音波送振動子は、流路形成部3の壁部3Jとその外面に一体化された振動子取付部2gとを斜めに貫通する形で流路と連通するように形成された振動子配置孔2h内に配置される。そして、振動子取付部2gの超音波ビーム放出面は、振動子配置孔2hの内周面と、流路形成部3の壁部3J内面の該振動子配置孔2h側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間2dを形成している。
また、上流側超音波送受信部2aに対し下流側超音波送受信部2bが、該上流側超音波送受信部2aからの超音波ビームSWの送出方向を、反射部材31,32への入射位置から流路形成部3の反対側の壁部3Jまで延長したときの当該壁部3Jとの交差位置PEよりも遠くなるように配置されている。
次に、図1に戻り、制御回路部1Eには、前述の超音波駆動機構4と周辺回路ブロック7〜11が設けられている。超音波駆動機構4は、送信部5、受信部6及び切替部4sを有する。送信部5は、超音波送受信部2a,2bに対して駆動信号を入力するための回路である。受信部6はスイッチ等から構成され、このスイッチを切り替えることにより、前述の駆動モードの切り替えがなされる。この受信部6の切替制御は切替部4sにより行われる。増幅部7は、受信部6により受信された超音波を所定の増幅率で増幅し、増幅された超音波変換信号をマスク時間設定部8に入力する。マスク時間設定部8は、ノイズ対策のため、超音波素子2aまたは2bより超音波を送出してから、流路3を伝搬される超音波が到達しない最低の時間を設けるものである。図3に示すように、流量測定時においては4次の反射波である第二波束成分SW4のみを使用するので、これよりも早く到達する2次の反射波である第一波束成分SW2を非検知とできるようにマスク時間が定められている。
なお、図10に示すように、ある閾流量を超える高流量測定時には第二波束成分SW4を使用し、閾流量未満の低流量測定時には第一波束成分SW2を使用するなど、流量に応じて採用する波束成分の次数を異ならせるようにしてもよい。この場合、第二波束成分SW4と第一波束成分SW2との双方でゼロクロスポイントを計測し、各々伝播時間及び流量を計算した後、その流量が閾値未満だった場合は第一波束成分SWによる流量計算値を採用し、閾値を超えていた場合は第二波束成分SW4による流量計算値を採用する。
また、ゼロクロスポイント検出部9は、受信した超音波波形に含まれる特定順位波(例えば、第3波)のゼロクロスポイントを検出するものである。図4は、ゼロクロスポイント検出部9の回路構成例を示すものであり、増幅部7の波形出力の入力信号は、該入力信号をGND基準で方形波化する第一コンパレータ91と、同じく下限振幅(振幅下限値Vs)を規制しつつ方形波化する第二コンパレータ92とに分配入力される。第一コンパレータ91の出力は、セットリセットフリップフロップ(RSFF)回路93のセット端子に、第二コンパレータ92の出力は同じくリセット端子に入力され、該セットリセットフリップフロップ(RSFF)回路93の出力変化エッジをトリガとする形で、単安定回路にて構成されたゼロクロスポイントパルス発生回路94が、増幅部7からの入力波形のうち振幅Vsを超える半波によるゼロクロスポイントに対応したパルス波形を出力する。このパルス波形は、クロックパルス発生回路96からのクロック入力と同期して動作するパルスカウンタ回路95にて計測され、規定数のパルス入力を計数することにより伝播時間の検出信号を出力する。
図5は、各部の動作シーケンスを示すタイミング図である。駆動パルス入力により励起された振動波形の増幅出力(Va)は、第一コンパレータ91により方形波化される一方(Vb1)第二コンパレータ92は、振幅Vsを閾値とした反転波形にて上記振動波形を方形化する。これにより、第一コンパレータ91の方形波出力は、振幅Vsを超える半波が入力された場合にのみRSFF回路93によりラッチされ、ゼロクロスポイントパルス発生回路94へのパルス出力トリガとなる入力エッジを生ずる。本実施形態では、振幅が漸増する初期振動波形の所定順位波のゼロクロスポイント(ここでは、第二正半波のゼロクロスポイント(つまり、波形開始点から3番目のゼロクロスポイント))から認識されるように、第二コンパレータ92の振幅閾値が定められている。
時間計測部10は、順方向駆動モードでの、上流側超音波送受信部2aから発信された超音波ビームSWが下流側超音波送受信部2bに到達するまでの順方向伝播時間と、逆方向駆動モードにおける下流側超音波送受信部2bから発信された超音波ビームSWが上流側超音波送受信部2aに到達するまでの逆方向伝播時間とを計測するものである。また、マイコン11は、上記の順方向伝播時間と逆方向伝播時間との時間差から、流路3Pを流れる流体の平均流速度及び流量を計算する。
本発明では、伝播パスが4次反射による折れ線状となるので、図3の構成の場合、流量Qの計算を以下のようにして行なうことができる(各部の寸法は図4に示す記号にて説明する)。まず、反射部材31,32により仕切られる各空間のうち、上壁部側空間3C、導波空間3W及び下壁部側空間3C’の各高さをh1、h2、h3、断面積をS1、S2、S3とする。また、反射部材31,32の厚みをt、淀み空間2dのオフセット長をL0、超音波送受信部2a,2bの取付角度をφとすると、伝播パス長Lは下式により計算される。
L={(h1−t/2)/SINφ
+5・(h2−t)/SINφ+(h3−t/2)/SINφ}+2L0 ‥(21)
また、反射部材31,32は流路中心軸線Oに関して上下対象に設けられているので、
h1=h3=h’ ‥(22)
S1=S3=S’ ‥(23)
次に、導波空間3W以外の三角部を含む流路断面、つまり、上壁部側空間3C及び下壁部側空間3C’における流速V’と瞬時流量Q’とを算出する。まず、伝播パスのうち、上壁部側空間3C及び下壁部側空間3C’に属する部分の長さL’は、
L’=2・{h’−t/2)/SINφ+L0} ‥(24)
である。すると、順方向伝播時間T1’は、
T1’=L’/(K+V’COSφ)‥(25)
(ただし、Kは被測定ガス中の音速である)
同様に、逆方向伝播時間T2’は、
T2’=L’/(K−V’COSφ)‥(26)
従って、上壁部側空間3C及び下壁部側空間3C’における流速V’は、
V’=(L’/COSφ)(1/T1’−1/T2’) ‥(27)
同じく瞬時流量Q’は、
Q’=V’・2S’‥(28)
次に、導波空間3Wでの流速:V”と瞬時流量Q”とを同様に算出すると、
伝播パスのうち、導波空間3Wに属する部分の長さL”は、
L”=N・{(h2−t)/SINφ}‥(29)
(ただし、Nは反射次数(反射回数))
である。すると、順方向伝播時間T1”は、
T1”=L”/(K+V”COSφ)‥(30)
同様に、逆方向伝播時間T2”は、
T2”=L”/(K−V”COSφ)‥(31)
従って、導波空間3Wにおける流速V”は、
V”=(L”/COSφ)(1/T1”−1/T2”) ‥(32)
同じく瞬時流量Q”は、
Q”=V”・S2 ‥(33)
以上から、全流量値Qは、導波空間3W(S2)と上壁部側空間3C及び下壁部側空間3C’(S’+S’=2S’)の各流量の和となるから、
Q=Q’+Q”(V’・2S’+V”・S2) ‥(34)
として算出することができる。測定される順方向伝播時間T1(T12)と逆方向伝播時間T2(T22)とは、いずれも、上記2つの空間の伝播時間の和(T1’+T1”及びT2’+T2”)であり、それぞれ後述するゼロ流量伝播時間比η1及びη2から得られる遅延時間τ1及びτ2により補正された形で流量算出に供される。
上記構成によると、超音波送受信部2a,2b間を超音波ビームSWが直進により伝播する場合と比較して、図3に示すように、反射回数が2回以上に増加する分だけ伝播パス長が折れ線状に増加し、流量測定精度の向上あるいは流量測定のレンジアビリティ拡大に寄与できる。また、同じ伝播パス長であっても、パス形状が折れ線状となることで、対を成す超音波送受信部2a,2bの距離を近づけることができ、装置の小形化にも貢献する。また、反射部材31,32によって流路3Pがその軸断面内にて複数に分割されるが、反射部材31,32は被測定流体GFに対する整流素子としても機能するので、流れの安定化と均一化とを図ることができ、この観点からも流量測定精度の向上に寄与する。特に、反射部材31,32による流路の分割方向に流れを十分均一化することができれば、測定対象となる流れを近似的に二次元流として取り扱うことが可能となり、測定精度向上の観点においてさらに有利となる。
また、図3に示すごとく、超音波送受信部2a,2bは、多重反射を生じさせるために、超音波送受信部2a,2bの流路形成部3に対する取付角度が大きく設定される。その結果、前述のごとく、各超音波送受信部2a,2bの直近に形成される淀み空間2dが縮小するので、流量測定精度の向上に著しく寄与する。
さらに、第二波束成分SW4より次数の大きい反射波(6次以上:第二波束成分に対してタイミングがずれた形で受信側の超音波送受信部に到達する)を、ビーム導入孔31h,32hによる絞り込みにより効率的に除去できるので、測定精度の更なる向上が図られている。
次に、本発明の超音波流量計においては、流量算出に使用する伝播時間の計測値、特にその遅延時間(ひいては流量のゼロ点)を補正するために、前述のゼロ流量伝播時間比の計測を、流量計測とは別に随時実施できるようになっている。伝播時間の計測自体は流量算出時とほぼ同じであるが、計測は流量Vがゼロの時に行なわれる。また、2次及び4次の反射波、すなわち第一波束成分SW2と第二波束成分SW4との双方の伝播時間T1,T2を測定し、ゼロ流量伝播時間比ηをT2/T1として算出する必要があるので、第一波束成分SW2のマスクは行なわず、1回の駆動により両波束成分のゼロクロスポイントを順次測定する形となる。
伝播時間の補正は、順方向駆動モードと逆方向駆動モードとの双方で行なわれる。両モードで、音速C、第一波束成分の伝播長L1及びと第二波束成分の伝播長L2は同じであり、順方向駆動モードで第一波束成分により計測される伝播時間をT11、同じく、該第二波束成分により計測される伝播時間をT12、遅延時間をτ1とし、逆方向駆動モードで第一波束成分により計測される伝播時間をT21、同じく、該第二波束成分により計測される伝播時間をT22、遅延時間をτ2とすれば、前述の(1)式から、各モードでのゼロ流量伝播時間比η1及びη2はそれぞれ、
η1≡T12/T11=γ+(1−γ)・τ1・C/L1 ‥(11)
η1≡T22/T21=γ+(1−γ)・τ2・C/L1 ‥(12)
となる。(11)及び(12)を遅延時間τ1ないし遅延時間τ2について解くと、
τ1=L1×(η1−γ)/{(1−γ)・C} ‥(11)’
τ2=L1×(η2−γ)/{(1−γ)・C} ‥(12)’
となり、流量側定時の伝播時間T12,T22の補正を行なうことができる。この補正は、流量測定時に計測された順方向伝播時間T12ないし逆方向伝播時間T22から遅延時間τ1ないし遅延時間τ2を減じ、T12−τ1ないしT22−τ2を順方向伝播時間ないし逆方向伝播時間として流量算出に用いる方式と、ゼロ流量伝播時間比の初期値η10及びη20を流量計の工場出荷前に計測し、その遅延時間τ10及びτ20に合わせ込むよう、T12−(τ1−τ10)ないしT22−(τ2−τ20)を順方向伝播時間ないし逆方向伝播時間として流量算出に用いる方式との2通りが可能であるが、この実施形態では後者の方式を採用する。
図6に、マイコン11のブロック図を示す。マイコン11は、CPU111、ROM112(不揮発性メモリ:EEPROMやフラッシュメモリなどにより記憶内容は電気的に書換え可能)、RAM113、入出力部114及び内部バス115を備える。ROM112には制御プログラム112aが記憶されており、CPU111がこの制御プログラム112aを読み出して実行することにより、本発明の流量算出手段、伝播時間補正手段、ゼロ流量伝播時間比演算手段、変換手段、遅延時間参照パラメータ較正直線決定手段がそれぞれ実現される。
遅延時間τひいてはゼロ流量伝播時間比ηは経年ドリフトするため、工場出荷して所定の日数が経過した後、所定の日数が経過した後に、ゼロ流量伝播時間比ηを測定し、記憶値を更新することができる。具体的には、マイコン11のROM112内には、流量計の工場出荷前に測定されたゼロ流量伝播時間比(前述のごとく、(1)'ないし(5)’により、このηの実測値を用いて計算した遅延時間τでもよい)の初期値η10,η20、及び流量計の実使用への供用開始後に、基準温度θaにて温度測定ユニット116(周知のサーミスタや熱電対などの温度センサを主体に構成される)により測定したゼロ流量伝播時間比ηの最新の測定値η1,η2が測定データ112d(1点ないし複数基準温度に対応した複数点)として記憶されている。なお、ゼロ流量伝播時間比ηに代え、該ゼロ流量伝播時間比ηに基づいて算出される遅延時間を反映したパラメータ、例えば、式(1)’ないし(5)’により算出される遅延時間τそのものを記憶するようにしてもよい。
ゼロ流量伝播時間比ηは温度によっても測定値が変わるので、例えば、超音波送受信部2が予め定められた基準温度θaに到達したキャリブレーションタイミングにて測定を行なうようにする。キャリブレーションタイミングは、伝播時間計測手段1Eによる流量計測タイミングよりも低頻度にて到来するように定める。すなわち、流量計測の頻度(超音波伝播時間を計測する頻度)よりも、ゼロ流量伝播時間比ηを測定する頻度を少なくする。例えば、ゼロ流量伝播時間比ηの測定は半年に1回とか、1年に1回とする。図7は、その場合の処理の流れを示すものであり、S1で前回の測定から所定日数経過しているか否かが判定され、経過していればS2にて温度測定ユニット116が測定する現在温度θが基準温度θaに対し規定の温度範囲(±Δθ)に入っているか否かを判定する。そして、入っていればS3に進み、順方向及び逆方向の各ゼロ流量伝播時間比η1a及びη2aを測定し、記憶値を更新する。以降は、この更新された各ゼロ流量伝播時間比η1a及びη2aを用いて遅延時間τ1及びτ2が計算され、流量計測時の伝播時間が補正される。
次に、任意温度でゼロ流量伝播時間比ηによる流量測定値の補正を可能としたい場合には、ゼロ流量伝播時間比η(あるいは、該ηに基づいて算出される遅延時間τ)の温度依存性を表す遅延時間参照パラメータ較正直線(以下、ゼロ流量伝播時間比で代表させ、ゼロ流量伝播時間比較正直線と称する)を求めておく必要がある。前述の基準温度θaを1点のみ定める場合は、超音波送受信部2の標準的な温度特性から見積もられる、ゼロ流量伝播時間比ηの温度係数ε(すなわち、較正直線の勾配)112cもROM112に記憶しておく。また、RAM113には、決定された遅延時間参照パラメータ較正直線の温度係数εを記憶するための温度係数記憶領域113aと、同じく切片ζを記憶するための切片記憶領域113bと、ゼロ流量伝播時間比ηの基準温度での測定データを記憶するための測定データ記憶領域113cとを設けておく。
図8は、基準温度を1点のみ定める場合の実施例を示すものである。すなわち、決定すべき較正直線上の一点を定める基準温度θaと、対応するゼロ流量伝播時間比η1a(順方向),η2a(逆方向)を記憶するものとされ、さらに、ゼロ流量伝播時間比η1a,η2aと、予め記憶された温度係数ε1,ε2とに基づいてゼロ流量伝播時間比較正直線(遅延時間参照パラメータ較正直線)η1(θ),η2(θ)が決定される。
温度係数ε1,ε2は、例えば、工場出荷時に個々の超音波流量計について測定されたものが記憶される。このようにすると、温度係数ε1,ε2に個体差があっても、ゼロ流量伝播時間比η1,η2を正確に温度補正することが可能となる。ただし、工場出荷時に個々の超音波流量計について、温度係数ε1,ε2の個体差があまりない場合(例えば個々の超音波流量計に使用する圧電セラミック振動板が同一製造ロットに属するものである場合など)、代表平均値ε1m,ε2mを記憶するようにしてもよい。いずれの場合も、各較正直線上の1点(θa,η1a)及び(θa,η2a)と、温度係数(勾配)ε1,ε2が既知だから、較正直線の切片ζ1及びζ2は一義的に決定される。
また、図9は、基準温度を複数点(ここでは3点)定める場合の実施例を示すものである。すなわち、決定すべき較正直線上の3点を定める基準温度θa,θb,θcにて、対応するゼロ流量伝播時間比η1a(順方向),η2a(逆方向),η1b(順方向),η2b(逆方向),η1c(順方向),η2c(逆方向)を測定・記憶し、これら複数のデータ点を直線回帰することでゼロ流量伝播時間比較正直線(遅延時間参照パラメータ較正直線)η1(θ),η2(θ)を決定できる。
本発明の超音波流量計の一例に係る全体構成を示す模式図。 図1の超音波流量計の、流量計本体の内部構造を示す断面斜視図。 図1の超音波流量計の流量計本体を作用とともに示す模式図。 ゼロクロスポイント検出部の構成例を示す回路図。 図4の回路の動作を示すタイミングチャート。 マイコンの内部ブロック図。 ゼロ流量伝播時間比の測定フローを示す図。 ゼロ流量伝播時間比の温度較正に係る第一例を示す図。 ゼロ流量伝播時間比の温度較正に係る第二例を示す図。 流量に応じて次数の異なる反射を使い分ける概念を示す図。
符号の説明
1 超音波流量計
GF 被測定流体
2a,2b 超音波送受信部
3 流路形成部
3P 流路
3W 導波空間
4 超音波駆動機構
11 マイコン(流量算出手段、伝播時間補正手段、ゼロ流量伝播時間比演算手段、変換手段、遅延時間参照パラメータ較正直線決定手段)
31,32 反射部材
31h,32h ビーム導入孔
31f,32f 不要反射波脱出孔
33 中間反射部材
33h ビーム通過孔

Claims (18)

  1. 被測定流体の流路を形成する流路形成部と、
    前記流路形成部に対し前記被測定流体の流通方向において互いに異なる位置に設けられ、一方が前記被測定流体への測定用超音波の送出側となり、他方が該測定用超音波の受信側となるように機能するとともに、各々前記測定用超音波として、予め定められた向きへの指向性を有する超音波ビームを送出可能な対をなす超音波送受信部と、
    前記流路形成部の内部にて前記流路に沿って配置される板状に形成された、1つ又は板面法線方向に所定の間隔で複数設けられた反射部材と、
    送信側となる超音波送受信部から送出され、前記反射部材により前記流路内で多重反射させつつ受信側となる超音波送受信部へ到達する超音波ビームの前記流路内の伝播時間を計測する伝播時間計測手段と、
    計測された前記伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段と、
    前記流路内における前記被測定流体の流量がゼロの状態にて該被測定流体へ前記超音波ビームを送出したときの、2以上の予め定められた反射次数を有する第一波束成分の伝播時間である第一伝播時間と、前記第一波束成分よりも高次の第二波束成分の伝播時間である第二伝播時間とを前記伝播時間計測手段により各々計測するとともに、それら第一伝播時間と第二伝播時間との比であるゼロ流量伝播時間比を演算するゼロ流量伝播時間比演算手段と、
    該ゼロ流量伝播時間比に基づいて、流量算出に使用する前記伝播時間の計測値を補正する伝播時間補正手段と、
    を有してなることを特徴とする超音波流量計。
  2. 前記流量の算出に使用する前記伝播時間を、前記第二波束成分を用いて計測する請求項1記載の超音波流量計。
  3. 前記第一波束成分として2次反射波束成分を使用し、前記第二波束成分として4次反射波束成分を使用する請求項1又は請求項2に記載の超音波流量計。
  4. 前記超音波流量計の実使用に先立って前記ゼロ流量伝播時間比演算手段が算出した前記ゼロ流量伝播時間比の初期値を記憶するゼロ流量伝播時間比初期値記憶手段を有し、
    前記伝播時間補正手段は、前記超音波流量計の実使用中に前記ゼロ流量伝播時間比演算手段が算出したゼロ流量伝播時間比現在値と、前記ゼロ流量伝播時間比初期値との比較に基づいて、流量算出に使用する前記伝播時間の計測値を補正する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  5. 前記伝播時間補正手段は、予め定められた関係式に基づいて前記ゼロ流量伝播時間比を、前記超音波送受信部による前記超音波ビームの送信ないし受信の遅延時間に変換演算し、当該遅延時間を前記伝播時間から減ずる形で前記補正を行なう請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  6. 前記伝播時間補正手段は、送信側となる超音波送受信部から送受信側となる超音波送受信へ至る前記第一波束成分の伝播長をL1、該第一波束成分により計測される伝播時間をT1、同じく前記第二波束成分の伝播長をL2、該第一波束成分により計測される伝播時間をT2、音速をC、前記遅延時間をτとして、
    T2/T1=γ+(1−γ)・τ・C/L1
    γ≡L2/L1
    の関係式に従い、前記遅延時間τを演算するものである請求項5記載の超音波流量計。
  7. 前記超音波流量計の実使用に先立って、前記ゼロ流量伝播時間比演算手段が算出した前記ゼロ流量伝播時間比の初期値又は該初期値に基づいて算出される前記遅延時間の初期値τ0を記憶する初期値記憶手段を有し、
    前記伝播時間補正手段は、前記超音波流量計の実使用中に前記ゼロ流量伝播時間比演算手段が算出したゼロ流量伝播時間比現在値に基づいて算出される前記遅延時間をτとして、流量算出に使用する前記伝播時間の計測値をτ−τ0だけ減ずる形で補正する請求項5又は請求項6に記載の超音波流量計。
  8. 前記対をなす超音波送受信部を、流路上流側に位置する上流側超音波送受信部側が受信側となり、流路下流側に位置する下流側超音波送受信部側が送信側となる順方向駆動モードと、その逆となる逆方向駆動モードとの間で切りえ可能に駆動する超音波駆動機構を備え、
    前記流量算出手段は、前記順方向駆動モードにて計測された順方向伝播時間と、前記逆方向駆動モードにて計測された逆方向伝播時間とに基づいて前記被測定流体の流量を算出するものであり、
    前記伝播時間補正手段は、前記順方向駆動モードで測定された順方向ゼロ流量伝播時間比と、前記逆方向駆動モードで測定された逆方向ゼロ流量伝播時間比とに基づいて、前記流量算出に使用する前記順方向伝播時間及び前記逆方向伝播時間の各計測値を補正するものである請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  9. 予め定められた基準温度にて測定された前記ゼロ流量伝播時間比及び該ゼロ流量伝播時間比に基づいて算出される前記遅延時間を反映したパラメータのいずれかを遅延時間参照パラメータとして記憶する遅延時間参照パラメータ記憶手段と、
    前記被測定流体の温度を測定する流体温度測定手段とを備え、
    前記ゼロ流量伝播時間比演算手段は、前記温度測定手段による測定温度が前記基準温度に到達する予め定められたキャリブレーションタイミングが到来するに伴い、前記第一伝播時間と第二伝播時間とを計測し、前記ゼロ流量伝播時間比を測定する請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  10. 前記キャリブレーションタイミングは、前記伝播時間計測手段による流量計測タイミングよりも低頻度にて到来するように定められてなる請求項9記載の超音波流量計。
  11. 前記基準温度が1点のみ定められ、
    前記遅延時間参照パラメータ記憶手段は、当該基準温度にて取得された前記遅延時間参照パラメータを記憶するものとされ、
    前記遅延時間参照パラメータと、予め記憶された温度係数とに基づいて遅延時間参照パラメータ較正直線を決定する遅延時間参照パラメータ較正直線決定手段を有するとともに、
    前記ゼロ流量伝播時間比演算手段は、前記伝播時間計測を任意の温度にて行なって前記ゼロ流量伝播時間比を測定し、該ゼロ流量伝播時間比に基づく遅延時間参照パラメータを、前記遅延時間参照パラメータ較正直線に基づいて前記伝播時間計測がなされた測定温度に対応する値に変換する変換手段を有する請求項9又は請求項10に記載の超音波流量計。
  12. 前記基準温度が互いに異なる複数点に定められ、
    前記遅延時間参照パラメータ記憶手段は、前記複数の基準温度にて各々取得された前記遅延時間参照パラメータを記憶するものとされ、
    前記遅延時間参照パラメータ記憶手段に記憶されている前記複数の基準温度に基づいて遅延時間参照パラメータ較正直線を決定する遅延時間参照パラメータ較正直線決定手段を有するとともに、
    前記ゼロ流量伝播時間比演算手段は、前記伝播時間計測を任意の温度にて行なって前記ゼロ流量伝播時間比を測定し、該ゼロ流量伝播時間比に基づく遅延時間参照パラメータを、前記遅延時間参照パラメータ較正直線に基づいて前記伝播時間計測がなされた測定温度に対応する値に変換する変換手段を有する請求項9又は請求項10に記載の超音波流量計。
  13. 前記反射部材は、前記超音波ビームの反射面が前記流路の中心軸線と平行となるように配置されてなる請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  14. 前記流路の上流側に配置される上流側超音波送受信部は、ビーム中心軸線が前記反射部材の反射面の法線方向に対し上流側に一定角度傾斜して定められる第一基準方向と一致するよう前記流路形成部の壁部に傾けて取り付けられ、前記流路の下流側に配置される下流側超音波送受信部は、ビーム中心軸線が前記反射部材の反射面の法線方向に対し前記第一基準方向と同一角度にて下流側に傾斜して定められる第二基準方向と一致するよう前記流路形成部の壁部に傾けて取り付けられ、
    各前記超音波送受信部に組み込まれた超音波送振動子は、前記流路形成部の壁部とその外面に一体化された振動子取付部とを斜めに貫通する形で前記流路と連通するように形成された振動子配置孔内に、自身の超音波ビーム放出面が、前記振動子配置孔の内周面と、前記流路形成部の壁部内面の該振動子配置孔側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間を生ずる形で配置されてなり、
    かつ、前記対をなす超音波送受信部は、一方の超音波送受信部に対し他方の超音波送受信部が、該一方の超音波送受信部からの前記超音波ビームの送出方向を、前記反射部材への入射位置から前記流路形成部の反対側の壁部まで延長したときの当該壁部との交差位置よりも遠くなるように配置されてなる請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  15. 前記反射面の法線方向と前記流路の断面中心軸線方向との双方と直交する向きを流路幅方向としたとき、前記反射部材の該流路幅方向の両縁が、前記流路形成部の該流路幅方向における両側の壁部内面に結合されてなる請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  16. 前記反射部材は、前記超音波送受信部からの前記超音波ビームの送出方向に所定の間隔をおいて複数配置され、送信側となる前記超音波送受信部から送出される前記超音波ビームを、それら複数の反射部材の間に形成される導波空間内にて多重反射させつつ前記受信側となる前記超音波送受信部に導くものとされてなる請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の超音波流量計。
  17. 前記反射部材は、前記流路の断面中心軸線に関して両側に対をなして配置され、それら対をなす反射部材の対向面間に前記導波空間が形成される請求項16記載の超音波流量計。
  18. 前記対をなす反射部材は、前記流路の断面中心軸線に関して対称となる位置関係で配置されてなる請求項17記載の超音波流量計。
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