JP2003192686A - 9,9−二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物の製造方法 - Google Patents

9,9−二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物の製造方法

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JP2003192686A JP2001396571A JP2001396571A JP2003192686A JP 2003192686 A JP2003192686 A JP 2003192686A JP 2001396571 A JP2001396571 A JP 2001396571A JP 2001396571 A JP2001396571 A JP 2001396571A JP 2003192686 A JP2003192686 A JP 2003192686A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】過マンガン酸カリウムを使用しない二置換キサ
ンテンテトラカルボン酸二無水物の製造方法の提供。 【解決手段】9,9−二置換−2,3,6,7−テトラ
メチルキサンテンを、低級脂肪族カルボン酸溶媒中、ま
たは、低級脂肪族カルボン酸と、水、低級脂肪族カルボ
ン酸無水物および有機溶剤からなる群から選ばれる少な
くとも一つとの混合溶媒中で、コバルト化合物およびマ
ンガン化合物から選ばれる1以上の重金属化合物と臭素
化合物とを含む触媒の存在下、酸素含有ガスにより酸化
させ、9,9−二置換−2,3,6,7−キサンテンテ
トラカルボン酸とし、更に、反応相に低級脂肪族カルボ
ン酸無水物を添加し、無水物化を行って9,9−二置換
−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水
物を得る、9,9−二置換−2,3,6,7−キサンテ
ンテトラカルボン酸二無水物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、9,9−二置換−
2,3,6,7−テトラメチルキサンテンの酸素酸化お
よび無水物化を経て9,9−二置換−2,3,6,7−
キサンテンテトラカルボン酸二無水物を製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】9,9−二置換−2,3,6,7−キサ
ンテンテトラカルボン酸二無水物(以下、単に「二置換
キサンテンテトラカルボン酸二無水物」ともいう。)
は、半導体関連分野においてポリイミドの合成原料とし
て非常に有用な化合物として知られており、液晶関連分
野等でも使用されている。従来、二置換キサンテンテト
ラカルボン酸二無水物の製造方法として、9,9−二置
換−2,3,6,7−テトラメチルキサンテン(以下、
単に「二置換キサンテンテトラメチルキサンテン」とも
いう。)を、過マンガン酸カリウムを用いて酸化し、
9,9−二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカ
ルボン酸(以下、単に「二置換キサンテンテトラカルボ
ン酸」ともいう。)を単離した後に、酸無水物溶媒中で
無水物化して二置換キサンテンテトラカルボン酸二無水
物を得る方法が知られている。例えば、Macromo
lecules 1994,27,1136−1146
および特開2001−163870号公報には、二置換
テトラメチルキサンテンを過マンガン酸カリウム酸化法
で酸化し、二置換キサンテンテトラカルボン酸を単離し
た後、無水酢酸中で無水物化を行い、二置換キサンテン
テトラカルボン酸二無水物を製造する方法が記載されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この過マンガ
ン酸カリウム酸化法には、過マンガン酸カリウムの使用
量が多く、重金属廃棄物が大量に排出されるという問題
点があり、工業的に実施するには困難である。また、過
マンガン酸カリウム酸化法以外の製造方法を用いて、二
置換キサンテンテトラカルボン酸二無水物を合成した例
は報告されておらず、過マンガン酸カリウムを使用しな
い二置換キサンテンテトラカルボン酸二無水物の製造方
法が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、二置換キ
サンテンテトラカルボン酸二無水物の製造における上記
の課題を解決すべく鋭意検討した結果、二置換テトラメ
チルキサンテンを酸化するに際し、低級脂肪族カルボン
酸溶媒中、または、低級脂肪族カルボン酸と、水、低級
脂肪族カルボン酸無水物および有機溶剤からなる群から
選ばれる少なくとも一つとの混合溶媒中で、コバルト化
合物およびマンガン化合物から選ばれる1以上の重金属
化合物と臭素化合物とを含む触媒の存在下、酸素含有ガ
スにより酸化し、二置換キサンテンテトラカルボン酸を
単離することなく、低級脂肪族カルボン酸無水物を途中
添加することで、二置換キサンテンテトラカルボン酸二
無水物を高収率で、かつ、廃棄物も少なく、工業的に実
施可能な方法で製造することができることを見出し、本
発明を完成させた。
【0005】即ち、本発明は、下記式(1)で表される
9,9−二置換−2,3,6,7−テトラメチルキサン
テンを、低級脂肪族カルボン酸溶媒中、または、低級脂
肪族カルボン酸と、水、低級脂肪族カルボン酸無水物お
よび有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つと
の混合溶媒中で、コバルト化合物およびマンガン化合物
から選ばれる1以上の重金属化合物と臭素化合物とを含
む触媒の存在下、酸素含有ガスにより酸化させ、9,9
−二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン
酸とし、更に、反応相に低級脂肪族カルボン酸無水物を
添加し、無水物化を行って下記式(2)で表される9,
9−二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボ
ン酸二無水物を得る、9,9−二置換−2,3,6,7
−キサンテンテトラカルボン酸二無水物の製造方法を提
供する。換言すると、本発明は、二置換テトラメチルキ
サンテンから酸素酸化を経由し、二置換キサンテンテト
ラカルボン酸二無水物を製造する方法である。
【0006】
【化2】
【0007】(上記式(1)および(2)中、R1 およ
びR2 は、それぞれ独立して、フェニル基、または、水
素原子の1個以上がフッ素原子で置換されていてもよい
炭素数1〜3個のアルキル基を表す。)
【0008】前記式(1)および(2)中、R1 および
2 が、いずれもメチル基であるのは、本発明の好適な
態様の一つである。
【0009】前記9,9−二置換−2,3,6,7−キ
サンテンテトラカルボン酸の生成率が0. 5〜90%と
なった時点で、前記低級脂肪族カルボン酸無水物を添加
するのが好ましい。
【0010】前記重金属化合物が酢酸塩であり、かつ、
前記臭素化合物が臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリ
ウムおよび臭化アンモニウムからなる群から選ばれる少
なくとも一つであるのが好ましい。
【0011】前記反応相より前記9,9−二置換−2,
3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物を分
離して得られる母液、または、該母液より回収した低級
脂肪族カルボン酸、低級脂肪族カルボン酸無水物および
有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つを、前
記混合溶媒の原料として再使用するのが好ましい。
【0012】更に、得られた9,9−二置換−2,3,
6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物を、水、
無機酸溶液および有機酸溶液からなる群から選ばれる少
なくとも一つを含有する洗浄液で洗浄して精製するの
は、本発明の好適な態様の一つである。
【0013】また、更に、得られた9,9−二置換−
2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物
を昇華させて精製するのも、本発明の好適な態様の一つ
である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、原料として使用
される化合物は、上記式(1)で表される二置換テトラ
メチルキサンテンである。上記式(1)中、R1 および
2 は、それぞれ独立して、フェニル基、または、水素
原子の1個以上がフッ素原子で置換されていてもよい炭
素数1〜3個のアルキル基を表す。上記式(1)で表さ
れる二置換テトラメチルキサンテンの具体例としては、
下記の各化合物が挙げられる。
【0015】
【化3】
【0016】中でも、前記式(1)および(2)中、R
1 およびR2 が、いずれもメチル基であるものを用いる
のは、本発明の好適な態様の一つである。
【0017】これらの各化合物は、J.Org.Che
m.1997,62,1058−1063、特開平9−
3056号公報およびMacromolecules
1994,27,1136−1146に報告されている
ように、既知の方法で容易に得ることが可能である。
【0018】本発明においては、反応溶媒として、低級
脂肪族カルボン酸、または、低級脂肪族カルボン酸と、
水、低級脂肪族カルボン酸無水物および有機溶剤からな
る群から選ばれる少なくとも一つとの混合溶媒が用いら
れる。反応溶媒に用いられる低級脂肪族カルボン酸は、
炭素数1〜5個の脂肪族カルボン酸であるのが好まし
い。好ましい低級脂肪族カルボン酸としては、例えば、
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸が挙げられる。中で
も、反応が速やかに進行することから、酢酸、プロピオ
ン酸が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を混合して用いてもよい。低級脂肪族カルボン酸の使
用量は、二置換テトラメチルキサンテンに対して、通
常、1〜50質量倍であり、好ましくは3〜25質量倍
である。使用量が少なすぎると、反応速度が低下し、副
生成物が生成し、また、使用量が多すぎると、反応速度
が低下する。
【0019】反応溶媒に用いられる低級脂肪族カルボン
酸無水物は、炭素数2〜8個の低級脂肪族カルボン酸無
水物であるのが好ましい。好ましい低級脂肪族カルボン
酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水
酪酸が挙げられる。中でも、反応が速やかに進行するこ
とから、無水酢酸、無水プロピオン酸が好ましい。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても
よい。低級脂肪族カルボン酸無水物の使用量は、反応溶
媒として用いられるものと後から反応相に添加されるも
のとの合計で、二置換テトラメチルキサンテンに対し
て、通常、1〜50mol倍であり、好ましくは3〜2
5mol倍である。使用量が少なすぎると、反応が途中
で停止し、また、使用量が多すぎると、反応速度が低下
する。
【0020】反応溶媒に用いられる有機溶剤は、特に限
定されないが、例えば、アセトン、トルエン、塩化メチ
レン、ヘキサン、炭素数1〜5個の低級脂肪族アルコー
ル、メチルエチルケトンが挙げられる。これらは単独で
用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。有機
溶剤の使用量は、二置換テトラメチルキサンテンに対し
て、通常、50質量倍以下であり、好ましくは25質量
倍以下である。使用量が多すぎると、反応速度が著しく
低下する。
【0021】反応溶媒に用いられる水の使用量は、二置
換テトラメチルキサンテンに対して、通常、50質量倍
以下であり、好ましくは25質量倍以下である。使用量
が多すぎると、反応速度が著しく低下する。
【0022】混合溶媒の組成比は、特に限定されない
が、使用する全溶媒量に対して、低級脂肪族カルボン酸
以外の溶媒が40質量%以下であるのが好ましく、30
質量%以下であるのがより好ましい。
【0023】本発明においては、触媒として、コバルト
化合物およびマンガン化合物から選ばれる1以上の重金
属化合物と臭素化合物とを含む触媒が用いられる。重金
属化合物としては、1種以上のコバルト化合物のみを用
いてもよく、1種以上のマンガン化合物のみを単独で用
いてもよく、1種以上のマンガン化合物と1種以上のコ
バルト化合物とを混合して用いてもよい。好ましい重金
属化合物としては、例えば、Co(OAc)2 、Mn
(OAc) 2 、Co(OAc)2 ・4H2 O、Mn(O
Ac)2 ・4H2 O、CoCl2 、MnCl2 、CoC
2 ・6H2 O、MnCl2 ・4H2 O、CoCO3
MnCO3 が挙げられる。中でも、反応が速やかに進行
することから、酢酸塩を用いるのが好ましい。即ち、C
o(OAc)2 およびMn(OAc)2 の一方または両
方を用いるのが好ましい。
【0024】重金属化合物の使用量は、二置換テトラメ
チルキサンテンに対して、0. 01〜10mol倍であ
るのが好ましく、0. 05〜5mol倍であるのがより
好ましい。重金属化合物の使用量が少なすぎると、反応
が進行せず、また、使用量が多すぎると副生成物が生成
する。
【0025】重金属化合物として、コバルト化合物とマ
ンガン化合物とを混合して用いる場合においては、その
混合比は、コバルト化合物およびマンガン化合物の合計
に対して、コバルト化合物が20〜90mol%である
のが好ましく、30〜70%であるのがより好ましい。
【0026】臭素化合物としては、特に限定されない
が、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウムおよび臭
化アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つ
が挙げられる。中でも、反応が速やかに進行することか
ら、特に臭化水素、臭化ナトリウムが好ましい。
【0027】臭素化合物の使用量は、二置換テトラメチ
ルキサンテンに対して、0. 01〜10mol倍である
のが好ましく、0. 05〜5mol倍であるのがより好
ましい。臭素化合物の使用量が少なすぎると、反応が進
行せず、また、使用量が多すぎると、反応容器の腐食が
激しくなる。
【0028】重金属化合物と臭素化合物との混合比は、
臭素化合物に対する重金属化合物のモル比が、0. 01
〜10であるのが好ましく、0. 05〜4であるのがよ
り好ましい。
【0029】本発明においては、二置換テトラメチルキ
サンテンの酸化を行うために、酸素含有ガスが用いられ
る。酸素含有ガスとしては、酸素ガスを単独で用いても
よく、酸素を窒素、アルゴン等の不活性ガスと混合して
用いてもよく、空気を用いてもよいが、反応の進行速度
が速いことから、酸素ガスを単独で使用するのが好まし
い。酸素ガスを単独で使用する場合、実質的に酸素ガス
のみを含有するガスであれば多少の不純物を含有しても
よく、酸素ガス濃度が100%である必要はない。
【0030】本発明において後から反応相に添加される
低級脂肪族カルボン酸無水物は、上述した反応開始時か
ら反応溶媒として用いられる低級脂肪族カルボン酸無水
物と同様である。後から反応相に添加される低級脂肪族
カルボン酸無水物の使用量(反応溶媒に低級脂肪族カル
ボン酸無水物を用いる場合、反応溶媒として用いられる
ものと後から反応相に添加されるものとの合計)は、1
〜50mol倍であるのが好ましく、5〜25mol倍
であるのがより好ましい。使用量が少なすぎると、反応
が途中で停止し、また、使用量が多すぎると、反応速度
が低下する。低級脂肪族カルボン酸無水物は、一度に添
加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。添加回
数は、1〜6回であるのが好ましく、1〜4回であるの
がより好ましい。
【0031】本発明の9,9−二置換−2,3,6,7
−キサンテンテトラカルボン酸二無水物の製造方法にお
いては、まず、上記二置換テトラメチルキサンテンを、
上記混合溶媒中で、上記触媒の存在下、上記酸素含有ガ
スにより酸化させ、二置換キサンテンテトラカルボン酸
とする。そして、更に、反応相に低級脂肪族カルボン酸
無水物を添加し、無水物化を行って二置換キサンテンテ
トラカルボン酸二無水物を得る。ここで、反応相に低級
脂肪族カルボン酸無水物を添加するタイミングは、酸化
反応が開始して二置換キサンテンテトラカルボン酸が生
成し始めた後であれば特に限定されないが、二置換キサ
ンテンテトラカルボン酸の生成率が0. 5〜90mol
%となった時点で、上記低級脂肪族カルボン酸無水物を
添加するのが好ましい。このタイミングで添加すると、
高収率で二置換キサンテンテトラカルボン酸二無水物を
得ることが可能である。
【0032】酸化反応および無水物化反応の温度は、そ
れぞれ50〜180℃であるのが好ましく、80〜15
0℃であるのがより好ましい。これらの反応温度が低す
ぎると、反応速度が著しく低下し、また、高すぎると途
中で反応が停止する。また、反応容器内の圧力は、常圧
から50kg/cm2 (約4.90×103 kPa)ま
でであるのが好ましく、常圧から10kg/cm2 (約
9.81×102 kPa)までであるのがより好まし
い。
【0033】本発明に用いられる反応容器は、特に限定
されず、従来公知のものを用いることができる。また、
反応容器へ酸素含有ガスを導入する方法は、特に限定さ
れないが、ガス導入管の先を反応液面より上に設置して
導入する方法、または、ガス導入管の先を反応液中に浸
せきさせて導入する方法を用いるのが好ましい。
【0034】上述したように、本発明により二置換キサ
ンテンテトラカルボン酸二無水物を製造した後、反応後
の混合物をかくはんしながら放置し、もしくは、冷却し
て、または、そのまま放置し、もしくは、冷却して、好
ましくは−15〜50℃、より好ましくは−5〜35℃
とし、二置換キサンテンテトラカルボン酸二無水物を結
晶化させた後、ろ過または遠心分離を行うことにより、
反応混合物から二置換キサンテンテトラカルボン酸二無
水物を分離することができる。
【0035】このようにして分離して得られた二置換キ
サンテンテトラカルボン酸二無水物は、そのまま使用す
ることも可能である。また、更に精製することにより、
より高純度化させることも可能である。二置換キサンテ
ンテトラカルボン酸二無水物の結晶の精製方法は、特に
限定されない。例えば、得られた二置換キサンテンテト
ラカルボン酸二無水物を、水、無機酸溶液および有機酸
溶液からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する
洗浄液で洗浄して精製する方法、得られた二置換キサン
テンテトラカルボン酸二無水物を昇華させて精製する方
法が好適に例示される。これらの方法によれば、二置換
キサンテンテトラカルボン酸二無水物の結晶に含有され
る有機物、金属等が除去され、より高純度の二置換キサ
ンテンテトラカルボン酸二無水物が得られる。
【0036】一方、反応後の混合物から二置換キサンテ
ンテトラカルボン酸二無水物結晶を分離して得られる母
液は、上記混合溶媒の原料として再使用することが可能
である。この場合、混合溶媒の成分を添加して用いても
よいし、母液をそのまま反応溶媒として用いもよい。ま
た、前記母液から、低級脂肪族カルボン酸、低級脂肪族
カルボン酸無水物および有機溶剤からなる群から選ばれ
る少なくとも一つを回収し、混合溶媒の原料として再使
用することも可能である。回収の方法としては、例え
ば、蒸留が挙げられる。これらの方法のように、反応後
の混合物から得られる母液を再使用すると、コストを低
く抑えることができる点で好ましい。また、母液には未
反応物も残存しているため、収率を高くすることもでき
る。
【0037】
【実施例】つぎに、実施例によって本発明を具体的に説
明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0038】(実施例1)還流冷却管、ガス吹込み管、
温度計およびかくはん機を装着した500mL容のガラ
ス製四つ口フラスコに、9,9−ジメチル−2,3,
6,7−テトラメチルキサンテン13. 3g、酢酸コバ
ルト4水塩1. 24g、酢酸マンガン4水塩1. 22
g、臭化ナトリウム1. 04gおよびプロピオン酸10
0mLを仕込み、ガス導入管の先を反応液中に浸せきさ
せて、酸素ガスを30mL/minで系内にバブリング
導入した。温度100℃で反応を行い、5時間後、無水
プロピオン酸40mLを添加し、その後反応温度を13
0℃まで昇温させた。更に、19. 5時間反応を行った
後に、再度無水プロピオン酸40mLを添加した。1.
5時間後、加熱を停止し、得られた反応生成物を0〜5
℃に冷却し、減圧ろ過分離し、プロピオン酸20mLで
結晶を洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、9,9−
ジメチル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物
結晶を15. 0g得た(収率85. 8mol%)。
【0039】(実施例2)実施例1において、結晶を分
離した母液からプロピオン酸を蒸留で回収し、回収した
プロピオン酸を使用した以外は、実施例1と同様にして
反応を行い、9,9−ジメチル−2,3,6,7−テト
ラカルボン酸二無水物結晶を13. 7g得た(収率7
8. 1mol%)。
【0040】(実施例3)実施例1において、四つ口フ
ラスコに仕込んだプロピオン酸100mLの代わりに酢
酸250mLを用い、かつ、反応開始後2回添加した無
水プロピオン酸40mLの代わりに無水酢酸60mLを
用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行い、9,
9−ジメチル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無
水物結晶を11. 5g得た(収率65. 8mol%)。
【0041】(実施例4)実施例1において、臭化ナト
リウム1.04gの代わりに濃度47質量%の臭化水素
酸(臭化水素水溶液)を1. 72g用いた以外は、実施
例1と同様にして反応を行い、9,9−ジメチル−2,
3,6,7−テトラカルボン酸二無水物結晶を15. 0
g得た(収率85. 8mol%)。
【0042】(実施例5)実施例1で合成した9,9−
ジメチル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物
の昇華精製を以下のようにして行った。ガラス製の昇華
精製装置に9,9−ジメチル−2,3,6,7−テトラ
カルボン酸二無水物結晶4. 81g(0. 014mo
l)を仕込み、0. 15〜0. 22mmHgの減圧下、
350〜400℃の温度下で昇華精製を行い、9,9−
ジメチル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物
結晶3. 40gを得た(精製の収率70. 7mol
%)。昇華前の結晶は黄色であったが、昇華後の結晶は
淡黄色となった。また、DSC(示差走査熱量測定)を
行ったところ、昇華前においては、分解開始温度37
5. 0℃、ピーク温度383. 9℃であったが、昇華後
においては、分解開始温度387. 0℃、ピーク温度3
92. 1℃となった。
【0043】(実施例6)実施例2で合成した9,9−
ジメチル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物
の洗浄による精製を以下のようにして行った。還流冷却
管、ガス吹込み管、温度計およびかくはん機を装着した
100mL容のガラス製四つ口フラスコに、9,9−ジ
メチル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物結
晶11. 25g(0. 032mol)および濃度1mo
l/Lの塩酸(塩化水素水溶液)45gを仕込み、50
℃で2時間かくはんした。得られた反応生成物を0〜5
℃に冷却し、減圧ろ過分離し、水45gで結晶を洗浄し
た。この操作を3回繰り返した。減圧ろ過で得られた結
晶とイオン交換水45gとを再度フラスコに仕込み、5
0℃で2時間かくはんした。そのまま0〜5℃に冷却
し、減圧ろ過で結晶を分離し、その結晶をイオン交換水
で洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、9,9−ジメ
チル−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物結晶
9. 98gを得た(精製の収率88. 7mol%)。洗
浄前の結晶は淡黄色であったが、洗浄後の結晶は灰白色
となった。また、DSCを行ったところ、洗浄前におい
ては、分解開始温度382.6℃、ピーク温度386.
5℃であったが、洗浄後においては、分解開始温度38
7. 6℃、ピーク温度390.7℃となった。
【0044】(比較例1)還流冷却管、ガス吹込み管、
温度計およびかくはん機を装着した500mL容のガラ
ス製四つ口フラスコに、9,9−ジメチル−2,3,
6,7−テトラメチルキサンテン5.00g、ピリジン
25gおよび水50gを仕込み、昇温した。還流が始ま
ったことを確認した後、過マンガン酸カリウム塩50.
82gを40分間かけて添加した。更に2時間反応させ
た後、熱時ろ過で二酸化マンガンの結晶を除去し、熱水
で洗浄した。得られた母液を0〜5℃に冷却し、pH1
以下になるまで濃塩酸を1時間かけて滴下した。このと
き、白い結晶が析出した。そのまま1時間かくはんした
後、結晶を減圧ろ過分離し、100gの水で結晶を洗浄
した。得られた結晶を減圧乾燥し、9,9−ジメチル−
2,3,6,7−テトラカルボン酸を6.02g得た
(収率82.9mol%)。還流冷却管、ガス吹込み
管、温度計およびかくはん機を装着した100mL容の
ガラス製四つ口フラスコに、合成した9,9−ジメチル
−2,3,6,7−テトラカルボン酸4.55gおよび
無水酢酸68mLを仕込み、還流下で1時間反応させ
た。0〜5℃の冷却下で更に1時間かくはんした後、結
晶を減圧ろ過分離し、20mLの無水酢酸で結晶を洗浄
した。得られた結晶を減圧乾燥し、9,9−ジメチル−
2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物結晶を2.
33g得た(収率56.4mol%)。
【0045】
【発明の効果】本発明の9,9−二置換−2,3,6,
7−テトラカルボン酸二無水物の製造方法は、二置換テ
トラメチルキサンテンを、酸素を酸化剤として用いて酸
化した初めての例である。また、本発明によれば、ワン
ポットで酸化反応と無水物化反応を行うことが可能であ
り、従来の過マンガン酸カリウム酸化法と比べて、格段
に簡便に行うことができる。したがって、本発明によれ
ば、工業的規模で安全かつ温和な条件下で、かつ、高収
率で、二置換キサンテンテトラカルボン酸二無水物を製
造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相原 徹人 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎三丁目2番10号 セイミケミカル株式会社内 (72)発明者 藤江 彩子 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎三丁目2番10号 セイミケミカル株式会社内 (72)発明者 岩井 純子 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎三丁目2番10号 セイミケミカル株式会社内 Fターム(参考) 4C071 AA01 AA08 BB02 CC13 EE05 FF17 GG01 GG02 HH09 JJ01 KK03 LL03 LL05 LL07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表される9,9−二置換−
    2,3,6,7−テトラメチルキサンテンを、低級脂肪
    族カルボン酸溶媒中、または、低級脂肪族カルボン酸
    と、水、低級脂肪族カルボン酸無水物および有機溶剤か
    らなる群から選ばれる少なくとも一つとの混合溶媒中
    で、コバルト化合物およびマンガン化合物から選ばれる
    1以上の重金属化合物と臭素化合物とを含む触媒の存在
    下、酸素含有ガスにより酸化させ、9,9−二置換−
    2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸とし、更
    に、反応相に低級脂肪族カルボン酸無水物を添加し、無
    水物化を行って下記式(2)で表される9,9−二置換
    −2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水
    物を得る、9,9−二置換−2,3,6,7−キサンテ
    ンテトラカルボン酸二無水物の製造方法。 【化1】 (上記式(1)および(2)中、R1 およびR2 は、そ
    れぞれ独立して、フェニル基、または、水素原子の1個
    以上がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3
    個のアルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】前記式(1)および(2)中、R1 および
    2 が、いずれもメチル基である請求項1に記載の9,
    9−二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボ
    ン酸二無水物の製造方法。
  3. 【請求項3】前記9,9−二置換−2,3,6,7−キ
    サンテンテトラカルボン酸の生成率が0. 5〜90%と
    なった時点で、前記低級脂肪族カルボン酸無水物を添加
    する請求項1または2に記載の9,9−二置換−2,
    3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物の製
    造方法。
  4. 【請求項4】前記重金属化合物が酢酸塩であり、かつ、
    前記臭素化合物が臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリ
    ウムおよび臭化アンモニウムからなる群から選ばれる少
    なくとも一つである請求項1〜3のいずれかに記載の
    9,9−二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカ
    ルボン酸二無水物の製造方法。
  5. 【請求項5】前記反応相より前記9,9−二置換−2,
    3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物を分
    離して得られる母液、または、該母液より回収した低級
    脂肪族カルボン酸、低級脂肪族カルボン酸無水物および
    有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つを、前
    記混合溶媒の原料として再使用する請求項1〜4のいず
    れかに記載の9,9−二置換−2,3,6,7−キサン
    テンテトラカルボン酸二無水物の製造方法。
  6. 【請求項6】更に、得られた9,9−二置換−2,3,
    6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物を、水、
    無機酸溶液および有機酸溶液からなる群から選ばれる少
    なくとも一つを含有する洗浄液で洗浄して精製する、請
    求項1〜5のいずれかに記載の9,9−二置換−2,
    3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物の製
    造方法。
  7. 【請求項7】更に、得られた9,9−二置換−2,3,
    6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物を昇華さ
    せて精製する、請求項1〜5のいずれかに記載の9,9
    −二置換−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン
    酸二無水物の製造方法。
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