JP2003191480A - インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録装置

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JP2003191480A
JP2003191480A JP2001395388A JP2001395388A JP2003191480A JP 2003191480 A JP2003191480 A JP 2003191480A JP 2001395388 A JP2001395388 A JP 2001395388A JP 2001395388 A JP2001395388 A JP 2001395388A JP 2003191480 A JP2003191480 A JP 2003191480A
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ink
cleaning
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jet recording
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JP2001395388A
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English (en)
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照三 ▲桑▼田
Teruzo Kuwata
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期保存状態において、特に、顔料濃度が高め
られた顔料系インクは、ノズル開口内等における目詰ま
りが短時間で発生するので、このような現象を防止しう
るインクジェット式記録装置を提供する。 【解決手段】洗浄液貯留部41から延びた洗浄液送給流
路42が供給口43,43A,43Bを介して上記吸引
室44に開口している。そして、上記洗浄液はノズルプ
レート19に設けた供給口43,43A、あるいはクリ
ーニングユニット4に設けた供給口43Bから吸引室4
4内に供給される。洗浄液45の洗浄機能や希釈作用に
より、ノズル開口14内やその近傍の高粘度インクを吸
引し易くして、上記目詰まり等を解消する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電振動子の伸縮
等によりノズル開口からインク滴を吐出させて画像や文
字を記録用紙に記録するインクジェット式記録装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図9は、従来から一般的に採用されてい
るインクジェット式記録装置の周辺構造の一例を示す図
である。この装置は、上部にインクカートリッジ1が搭
載され、下面に記録ヘッド2が取り付けられたキャリッ
ジ3と、記録ヘッド2を封止等するクリーニングユニッ
ト4とを備えている。
【0003】上記キャリッジ3は、タイミングベルト5
を介してステッピングモータ6に接続され、ガイドバー
7に案内されて記録用紙8の紙幅方向に往復移動するよ
うになっている。そして、記録ヘッド2からのインク吐
出状態を制御するために、駆動回路9が設けられてい
る。この駆動回路9は収容ケース10内に配置され、こ
の収容ケース10が壁枠部材11に固定されている。駆
動回路9からの駆動信号や各種の制御信号はフレキシブ
ルフラットケーブル12を経て記録ヘッド2に入力され
ている。
【0004】上記キャリッジ3には、記録用紙8と対向
する面(この例では下面)に、記録ヘッド2が取り付け
られている。そして、この記録ヘッド2にインクカート
リッジ1からインクが供給され、キャリッジ3を移動さ
せながら記録用紙8上面にインク滴を吐出させて画像や
文字をドットマトリックスにより印刷するようになって
いる。
【0005】上記クリーニングユニット4は、キャリッ
ジ3の移動範囲内の非印刷領域に設けられ、印刷休止中
に記録ヘッド2のノズル面を封止することによりノズル
開口の乾燥をできるだけ防ぐようになっている。また、
クリーニングユニット4は、吸引ポンプ13に接続さ
れ、クリーニング動作時には記録ヘッド2のノズル開口
に負圧を与えてノズル開口からインクを吸引するように
なっている。さらに、このクリーニングユニット4は、
フラッシング動作によって記録ヘッド2から吐出された
インク滴を受ける容器として機能することもある。
【0006】上記キャリッジ3に往復移動をさせながら
印刷をするときに、フレキシブルフラットケーブル12
に連続的な湾曲変形をさせながら駆動回路9から記録ヘ
ッド2に駆動信号等が入力されている。
【0007】縦振動の圧電振動子を用いたインクジェッ
ト式記録ヘッド(以下「記録ヘッド」という)は、一般
に、図10および図11に示すように、多数のノズル開
口14と圧力発生室15が形成された流路ユニット16
と、この流路ユニット16が貼着されるとともに、圧電
振動子17が収容されるヘッドケース18とを備えてい
る。
【0008】上記流路ユニット16は、ノズル開口14
が図11の紙面と垂直方向に列設されたノズルプレート
19と、上記各ノズル開口14に連通する圧力発生室1
5が列設された流路基板20と、上記各圧力発生室15
の下部開口を塞ぐ封止板21とが積層されて構成されて
いる。上記流路基板20には、各圧力発生室15とイン
ク供給路22を介して連通し、各圧力発生室15に供給
されるインクを貯留するインク貯留室23が形成されて
いる。この例では、ノズル開口14および圧力発生室1
5の列は2列設けられている。
【0009】上記ヘッドケース18は、合成樹脂製で、
上下に貫通する空間24に圧電振動子17が収容される
ようになっている。上記空間24は、ノズル開口14が
列設される方向に延び、ノズル開口14の列に対応して
2つ設けられている。上記圧電振動子17は、後端側が
ヘッドケース18に取り付けられた固定基板25に固着
されるとともに、先端面が封止板21下面の島部26に
固着されている。
【0010】そして、駆動回路9で発生させた駆動信号
をフレキシブルフラットケーブル12から導通線27を
介して圧電振動子17に入力することにより、圧電振動
子17を長手方向に伸縮させる。この圧電振動子17の
伸縮により、封止板21の島部26を振動させて圧力発
生室15内の圧力を変化させ、圧力発生室15内のイン
クをノズル開口14からインク滴として吐出させるよう
になっている。図において、28はインクカートリッジ
1からインク貯留室23にインクを補給するインク補給
管である。
【0011】上記封止板21は樹脂製薄膜21Aと金属
製薄膜21Bが積層された構造とされている。上記ヘッ
ドケース18のインク貯留室23に対応する部分には、
上記樹脂製薄膜21Aが配置されている。樹脂製薄膜2
1Aは、ポリフェニレンサルファイドフィルム(以下
「PPSフィルム」という)製とされ、このPPSフィ
ルム21Aを介して吐出時のインク貯留室23内の圧力
変動を逃がすダンパ用凹部29が形成されている。この
ダンパ用凹部29は、外部と連通しない独立空間として
存在させると、ダンパ用凹部29内の空気がPPSフィ
ルム21Aを透過してインク内に溶出し、ダンパ用凹部
29内の気圧が下がってPPSフィルム21Aの張力が
高くなって十分なダンパ効果を得られなくなり易い。そ
こで、上記ダンパ用凹部29の奥面からヘッドケース1
8の反対側面に向かって貫通してダンパ用凹部29を外
部に連通させる外部連通孔30を穿設することにより、
上述したようなダンパ用凹部29内の圧力低下を防止し
ている。
【0012】上記記録ヘッドでは前述のように、不使用
状態での放置等により、流路内のインクの水分が蒸発し
て粘度が上昇したときに、高粘度インクを強制的に吸引
するクリーニングユニット4を備えている。上記クリー
ニングユニット4は、上記記録ヘッドが非印刷領域のク
リーニングポジションに移動したときに、図11のよう
に記録ヘッドのノズル面31を封止し、ノズル開口14
からインクを吸引して目詰まり等を回復させる。
【0013】上記クリーニングユニット4は、深さの浅
い箱型のキャップ本体32が半硬質性のゴム材料で成形
され、上方に開放した状態とされている。上記キャップ
本体32はキャップケース33内にはめ込まれ、キャッ
プ本体の開口縁34が、上記ノズルプレート19の表
面、すなわちノズル面31にぴったりと密着できるよう
に構成されている。キャップ本体32の底面32Aに
は、吸引口35があけられ、そこに吸引管36が接続さ
れており、この吸引管36の途中に吸引ポンプ13が配
置されている。上記吸引管36の端部にスポンジ等の廃
液吸収材が収容された廃液貯留部37が接続されてい
る。
【0014】また、キャップ本体32の底面32Aに
は、大気導入口38があけられ、そこに大気導入管39
が接続されており、その途中にこの管路の流通を断続す
る開閉弁40が配置されている。
【0015】図11に示されているインクカートリッジ
1は、簡略的に小さく図示されており、各インクカート
リッジ1から延びているインク補給管28が、上記イン
ク貯留室23に連通されている。
【0016】図11は、記録ヘッド2がクリーニングポ
ジションに停止し、ノズル面31が開口縁34で封止さ
れている状態を示している。ここで開閉弁40を閉じて
おいて吸引ポンプ13を作動させると、ノズル開口14
やその近傍に停滞している高粘度のインクが吸い出され
て、キャップ本体32の底部に溜められる。その後、開
閉弁40を開けて吸引ポンプ13を作動させ続けると、
キャップ本体32内の高粘度インクが廃液貯留部37へ
送り込まれる。以上のようなクリーニング動作が完了し
てから、記録ヘッド2は印字動作に移行する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ノズル開口内やその近
傍の高粘度インクを強制的に吸引することは、上述のよ
うな手法で行なわれている。ところで、キャップ本体の
底部に強制的に吸引された高粘度インクが残留して乾燥
すると、それ自体が吸湿剤として作用してキャップ本体
内は水蒸気が不足した状態となる。このような傾向は濃
度の高い顔料系インクにおいて顕著であり、キャップ本
体でノズル面を封止している間に、極めて短時間の内に
ノズル開口内のインクが高粘度化してしまう。
【0018】顔料濃度の高いインクがノズル開口内やそ
の近傍で高粘度になると、その目詰まり状態は通常の負
圧を与える程度では、短時間で簡単に目詰まり回復をす
ることが難しくなる。さらに、顔料濃度の高いインクを
廃液貯留部に送り込んでも、高粘度インクであるため
に、廃液貯留部内の廃液吸収材に十分吸収されず、結局
は廃液貯留部の貯留機能が低下することとなる。
【0019】また、クリーニング動作時にキャップ本体
内に発生した気泡がノズル開口の近くに付着すると、気
泡がそのまま残留して混色等を生じ、正常なクリーニン
グが達成されないこととなる。また、気泡の付着によ
り、ノズル開口のインク液面(メニスカス)が破壊さ
れ、インク吐出の方向が狂ったり吐出滴の大きさが異常
なものとなり、適正な印字品質が得られなくなる。
【0020】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、流路内のインク粘度が著しく高くなっても、積
極的にクリーニング動作を行なうインクジェット式記録
装置の提供をその主たる目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ノズルプレートに設けられたノズル開口
と上記ノズル開口に連通する圧力発生室と上記圧力発生
室に圧力変動を与える圧力発生素子とを含んで構成され
たインクジェット式記録ヘッドと、上記ノズルプレート
を吸引ポンプに接続された吸引室を介して封止した状態
で吸引室に負圧を与えてクリーニング動作を行なうクリ
ーニングユニットとを備えたインクジェット式記録装置
であって、洗浄液を貯留した洗浄液貯留部から延びた洗
浄液送給流路がノズルプレートに設けた供給口を介して
上記吸引室に開口していることを第1の要旨とする。
【0022】すなわち、本発明のインクジェット式記録
装置は、洗浄液を貯留した洗浄液貯留部から延びた洗浄
液送給流路がノズルプレートに設けた供給口を介して吸
引室に開口している。
【0023】したがって、クリーニング動作時に吸引室
が負圧状態におかれると、ノズル開口内およびその近傍
に停滞している高粘度のインクと上記洗浄液が吸引室内
に吸引される。この吸引のときに、洗浄液はそれ自体の
粘性が低いのでノズルプレートの供給口から勢いよく吸
引室内に流入してきて、吸引室の内壁部に衝突して放射
的に飛散し、洗浄液の大部分は小さな粒子状となる。
【0024】一方、粘性が高いために、洗浄液よりも遅
れ気味で吸い出された高粘度インクは、それに対して上
記の飛散した洗浄液が干渉して両液体は混合状態にな
り、高粘度インクが希釈された状態になる。さらに、吸
引室内に負圧が付与されるときには、吸引室内の圧力が
低下する過渡期に吸引室内の気体が流動するので、この
流動現象と上記の洗浄液や高粘度インクの挙動が複合し
て、吸引室内は洗浄液と高粘度インクと流動気体の3者
による攪拌と乱流を呈することとなる。
【0025】以上のような各流体の挙動によって、飛散
した洗浄液自体あるいは洗浄液で希釈された高粘度イン
クが、ノズル開口およびその近辺に撥ね掛けられたよう
な状態で衝突するので、ノズル開口内やその近傍に停滞
している高粘度インクは、積極的な洗浄作用を受けるこ
ととなり、目詰まり回復が迅速化される。
【0026】上記の各流体の攪拌や乱流現象の際には気
泡が発生するが、この気泡を形成するインクは洗浄液で
希釈されているので、気泡がノズル開口の近くに付着し
ても、直ちに消えてしまう。したがって、気泡付着に起
因する上記のような異常なインク吐出が回避される。
【0027】さらに、クリーニングユニット内に溜まっ
た廃液としてのインクは、粘性が低下されているので、
廃液貯留部の廃液吸収材に十分に吸収され、廃液貯留部
の吸収能力を期待通りに活用できる。
【0028】上記記録ヘッドが長時間不使用状態である
ときには、ノズルプレートがクリーニングユニットで封
止されているが、この状態のときに洗浄液をクリーニン
グユニット内に供給しておいたり、洗浄液で希釈された
廃液としてのインクをクリーニングユニット内に残留さ
せておくことによって、ノズルプレートは水蒸気雰囲気
の中におかれるので、ノズル開口内やその近傍に停滞し
ているインクの高粘度化を著しく低減させることができ
る。また、そのようなことをしなくても、供給口から洗
浄液が蒸発することによっても、同様の効果が生じる。
【0029】印字品質の向上を目的にして顔料濃度を高
めることとクリーニング成功率とは、相反する関係にお
かれているが、本発明のインクジェット式記録装置にあ
っては、洗浄液の積極的活用により、顔料の高濃度化に
おけるクリーニング動作の問題を解消して、すぐれた印
字品質が確保される。特に、使用頻度の高いブラックの
インクは、元来、高粘度化し易い顔料系インクとされて
いるが、本発明により高粘度化の問題が解消される。
【0030】さらに、上記の目的を達成するため、本発
明は、ノズルプレートに設けられたノズル開口と上記ノ
ズル開口に連通する圧力発生室と上記圧力発生室に圧力
変動を与える圧力発生素子とを含んで構成されたインク
ジェット式記録ヘッドと、上記ノズルプレートを吸引ポ
ンプに接続された吸引室を介して封止した状態で吸引室
に負圧を与えてクリーニング動作を行なうクリーニング
ユニットとを備えたインクジェット式記録装置であっ
て、洗浄液を貯留した洗浄液貯留部から延びた洗浄液送
給流路がクリーニングユニットに設けた供給口を介して
上記吸引室に開口していることを第2の要旨とする。
【0031】すなわち、本発明のインクジェット式記録
装置は、洗浄液を貯留した洗浄液貯留部から延びた洗浄
液送給流路がクリーニングユニットに設けた供給口を介
して吸引室に開口している。
【0032】したがって、クリーニング動作時に吸引室
が負圧状態におかれると、ノズル開口内およびその近傍
に停滞している高粘度のインクと上記洗浄液が吸引室内
に吸引される。この吸引のときに、洗浄液はそれ自体の
粘性が低いのでクリーニングユニットの供給口から勢い
よく吸引室内に流入してきて、吸引室のノズルプレート
面や内壁部に衝突して放射的に飛散し、洗浄液の大部分
は小さな粒子状となる。
【0033】一方、粘性が高いために、洗浄液よりも遅
れ気味で吸い出された高粘度インクは、それに対して上
記の飛散した洗浄液が干渉して両液体は混合状態にな
り、高粘度インクが希釈された状態になる。さらに、吸
引室内に負圧が付与されるときには、吸引室内の圧力が
低下する過渡期に吸引室内の気体が流動するので、この
流動現象と上記の洗浄液や高粘度インクの挙動が複合し
て、吸引室内は洗浄液と高粘度インクと流動気体の3者
による攪拌と乱流を呈することとなる。
【0034】以上のような各流体の挙動によって、飛散
した洗浄液自体あるいは洗浄液で希釈された高粘度イン
クが、ノズル開口およびその近辺に撥ね掛けられたよう
な状態で衝突するので、ノズル開口内やその近傍に停滞
している高粘度インクは、積極的な洗浄作用を受けるこ
ととなり、目詰まり回復が迅速化される。
【0035】上記の各流体の攪拌や乱流現象の際には気
泡が発生するが、この気泡を形成するインクは洗浄液で
希釈されているので、気泡がノズル開口の近くに付着し
ても、直ちに消えてしまう。したがって、気泡付着に起
因する上記のような異常なインク吐出が回避される。
【0036】さらに、クリーニングユニット内に溜まっ
た廃液としてのインクは、粘性が低下されているので、
廃液貯留部の廃液吸収材に十分に吸収され、廃液貯留部
の吸収能力を期待通りに活用できる。
【0037】上記供給口がクリーニングユニットに開口
させてあるので、洗浄液がクリーニングユニット側の部
材、たとえばキャップ本体から供給されることから、供
給口をクリーニング動作にとって最も適した箇所に配置
できて、よりすぐれたクリーニング機能が実行される。
例えば、吸引室内の気流を考慮に入れて供給口とノズル
開口との相対位置を設定し、より多くの洗浄液がノズル
開口に干渉するようにすれば、一層効果的な洗浄機能が
実現する。
【0038】上記記録ヘッドが長時間不使用状態である
ときには、ノズルプレートがクリーニングユニットで封
止されているが、この状態のときに洗浄液をクリーニン
グユニット内に供給しておいたり、洗浄液で希釈された
廃液としてのインクをクリーニングユニット内に残留さ
せておくことによって、ノズルプレートは水蒸気雰囲気
の中におかれるので、ノズル開口内やその近傍に停滞し
ているインクの高粘度化を著しく低減させることができ
る。また、そのようなことをしなくても、供給口から洗
浄液が蒸発することによっても、同様の効果が生じる。
【0039】印字品質の向上を目的にして顔料濃度を高
めることとクリーニング成功率とは、相反する関係にお
かれているが、本発明のインクジェット式記録装置にあ
っては、洗浄液の積極的活用により、顔料の高濃度化に
おけるクリーニング成功率の問題を解消して、すぐれた
印字品質が確保される。特に、使用頻度の高いブラック
のインクは、元来、高粘度化し易い顔料系インクとされ
ているが、本発明により高粘度化の問題が解消される。
なお、クリーニング成功率とは、全ノズル開口の内、正
常なインク滴吐出が可能となる確率のことを意味してい
る。
【0040】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記供給口が上記ノズル開口の内、印字には使用し
ないノズル開口である場合には、当初からノズルプレー
トに準備されているノズル開口を利用することから、洗
浄液専用の開口構造を特設する必要がなく、構造の簡素
化にとって有効である。また、インク吐出用のノズル開
口は多数の開口が1列に並んだ形態になっているのが一
般的であるため、洗浄液は多数の開口から一斉に供給さ
れることとなり、前述の攪拌や乱流現象において、ノズ
ル開口部の洗浄や高粘度インクの希釈作用等にとって有
効である。
【0041】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記加圧送給手段が上記圧力発生素子である場合に
は、圧力発生素子本来の作動特性を洗浄液の供給制御に
適用できることから、洗浄液の供給に適した駆動信号を
圧力発生素子へ入力することにより、微妙な洗浄液の供
給制御が簡単に実現できる。同時に、記録ヘッドにはイ
ンク加圧用の圧力発生素子が配置されているので、1つ
の記録ヘッド内で同様に配列された圧力発生素子の一部
を洗浄液の加圧供給に流用できて、構造の合理化にとっ
て有利である。
【0042】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記加圧送給手段が上記洗浄液送給流路に配置され
たポンプである場合には、ポンプの配置箇所が自由に選
べることから、洗浄液送給流路の配置形態の自由度がよ
り一層高くなり、記録装置としての構造的なまとまりが
良好になる。また、ポンプ自体の供給特性は多種多様に
設定できるので、クリーニング作動の条件に応じた洗浄
液の供給が行ない易くなる。
【0043】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記供給口が複数個設けられている場合には、吸引
室内に種々な箇所や方向から洗浄液が供給されることか
ら、洗浄液が吸引室内全域にわたって分布させられて、
上記の洗浄作用が一層効果的に行なわれる。
【0044】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記複数個の供給口が上記吸引室内に均一に洗浄液
を供給できる箇所に配置されている場合には、複数個の
供給口が最適箇所に配置されていることから、ノズル開
口全体に対するクリーニング作用が可及的均一に実行さ
れる。また、インク吐出用のノズル開口は多数の開口が
1列に並んだ形態になっているとともに、それらが複数
列とされているのが一般的であるため、複数個の供給口
を適正な箇所に配置することにより、ノズル開口全体に
対する洗浄作用として最適である。
【0045】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記洗浄液送給流路に洗浄液の加圧送給手段が設け
られている場合には、洗浄液を加圧供給手段で圧送でき
ることから、洗浄液を確実に吸引室へ供給することが可
能となる。さらに、加圧の程度や加圧期間を選定するこ
とにより、より適正な洗浄液の供給が果たせる。
【0046】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記加圧送給手段の作動が上記クリーニング動作に
略同期させてある場合には、洗浄液の供給時期がクリー
ニング動作と略合致していることから、洗浄液をクリー
ニング動作に確実に作用させることができる。
【0047】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記加圧送給手段の作動が上記クリーニング動作よ
りも早い時期に開始される場合には、洗浄液がクリーニ
ング吸引に先行して吸引室内へ供給されることから、吸
引室内は予め洗浄液の粒子等が充満した状態とされ、こ
れによって、ノズル開口内の高粘度インクに洗浄液が先
行的に付着した状態となり、その後から吸引負圧が付与
される。したがって、先行的に洗浄液で粘度が低下させ
られたノズル開口内のインクに吸引力が作用することと
なり、インクは短時間で確実に吸い出される。
【0048】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記加圧送給手段の作動が上記クリーニング動作開
始後に開始される場合には、洗浄液がクリーニング吸引
よりも遅れて吸引室内へ供給されることから、ノズル開
口内の高粘度インクが先行的に吸い出されつつある過渡
期に、洗浄液を干渉させることができるので、その干渉
を受けた高粘度インクはその時点から急速に粘度が低下
させられて、その後は、一気に吸い出されることとな
り、やはり短時間で確実にインク吸い出しがなされる。
【0049】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記インクが顔料系のインクである場合には、顔料
系インクに対して上述の洗浄液機能を作用させることか
ら、顔料濃度を高めて鮮明な印字を行なっても、顔料系
特有の早期高粘度化によるノズル開口の目詰まり問題を
確実に解決することができる。
【0050】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記洗浄液に消泡剤が含まれている場合には、クリ
ーニング動作中の泡立ちが抑制されることから、気泡が
ノズル開口の近くのノズルプレート表面に付着すること
がない。また、洗浄液自体は本来インクよりもはるかに
粘性の低い性質のものであり、それに対して消泡剤を含
有させれば、より確実な消泡作用が得られる。
【0051】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記吸引室は上記ノズルプレートの表面と上記吸引
室の底面の間隔が可及的に狭く設定されている場合に
は、ノズルプレートの表面と吸引室の底面との狭い空間
で洗浄液,インク,空気等の挙動がなされることから、
第1には、洗浄液はノズルプレート表面や吸引室底面に
高い運動エネルギーをもって衝突するので、それによる
液体散乱がより広い領域におよぶこととなる。したがっ
て、洗浄液がノズル開口全体に対して到達し、より一層
効果的なクリーニング作動が得られる。
【0052】また、第2には、狭い空間内での各流体の
挙動であるから、散乱した洗浄液や希釈されたインク等
は、それらの移動距離が短距離でかつ短時間の内にノズ
ルプレート表面に到達する。したがって、洗浄液や希釈
インク等はそれら自体の運動エネルギーが低下しない内
にノズルプレート表面に到達するので、強い直撃性をも
ってノズル開口内の高粘度インクが洗浄される。
【0053】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記供給口と、上記吸引室に開口しているとともに
上記吸引ポンプに連通している吸引口とが、上記ノズル
開口からのインク吐出の方向に略直交する方向において
離隔した相対位置関係とされている場合には、供給口か
ら出た洗浄液が吸引室内を種々な方向に移動しながら上
記吸引口に到達することから、洗浄液は広い範囲のノズ
ル開口に到達し、各ノズル開口内の高粘度インクを低粘
度化させる。したがって、上記の離隔した相対位置関係
を付与することによって、広域的なクリーニング作動が
得られる。
【0054】特に、上記の離隔した相対位置関係が、上
記の狭い吸引室空間の条件下で採用されるときには、洗
浄液がノズルプレート表面に強い直撃性をもって干渉し
ながら上記吸引口に到達するので、ノズル開口内の高粘
度インクの低粘度化あるいは溶解を、より積極的に行な
う。
【0055】本発明のインクジェット式記録装置におい
て、上記吸引室が上記吸引ポンプを介して廃液吸収材を
収容した廃液貯留部に接続されている場合には、吸引室
底部から吸引される廃液インクの粘性が低下させられて
いることから、廃液貯留部の廃液吸収材に吸収され易く
なり、廃液貯留部の吸収機能を期待通りに発揮させるこ
とができる。
【0056】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0057】図1から図8は、本発明のインクジェット
式記録装置の各実施の形態を示す図である。この記録装
置は、基本的には図9から図11に示すものと同様であ
り、以下、同様の部分は同じ符号を用いて説明する。
【0058】縦振動の圧電振動子を用いたインクジェッ
ト式記録ヘッド(以下「記録ヘッド」という)の内部構
造は、図3,図4に示すようなものとされている。これ
らの構造は、多数のノズル開口14と圧力発生室15が
形成された流路ユニット16と、この流路ユニット16
が貼着されるとともに、圧電振動子17が収容されるヘ
ッドケース18とを備えている。
【0059】上記流路ユニット16は、ノズル開口14
が図3および図4の紙面と垂直方向に列設されたノズル
プレート19と、上記各ノズル開口14に連通する圧力
発生室15が列設された流路基板20と、上記各圧力発
生室15の下部開口を塞ぐ封止板21とが積層されて構
成されている。上記流路基板20には、各圧力発生室1
5とインク供給路22を介して連通し、各圧力発生室1
5に供給されるインクを貯留するインク貯留室23が形
成されている。この例では、ノズル開口14および圧力
発生室15の列は2列設けられている。
【0060】上記ヘッドケース18は、熱硬化性樹脂や
熱可塑性樹脂が射出成形されてなり、上下に貫通する空
間24に圧力発生素子としての圧電振動子17が収容さ
れるようになっている。上記空間24は、ノズル開口1
4が列設される方向に延び、ノズル開口14の列に対応
して2つ設けられている。上記圧電振動子17は、後端
側がヘッドケース18に取り付けられた固定基板25に
固着されるとともに、先端面が封止板21下面の島部2
6に固着されている。
【0061】そして、図9で説明した駆動回路で発生さ
せた駆動信号をフレキシブルフラットケーブルから導通
線27を介して圧電振動子17に入力することにより、
圧電振動子17を長手方向に伸縮させる。この圧電振動
子17の伸縮により、封止板21の島部26を振動させ
て圧力発生室15内の圧力を変化させ、圧力発生室15
内のインクをノズル開口14からインク滴として吐出さ
せるようになっている。図において、28はインクカー
トリッジ1からインク貯留室23にインクを補給するイ
ンク補給管である。
【0062】上記封止板21は樹脂製薄膜21Aと金属
製薄膜21Bが積層された構造とされている。上記ヘッ
ドケース18のインク貯留室23に対応する部分には、
上記樹脂製薄膜21Aが配置されている。樹脂製薄膜2
1Aは、ポリフェニレンサルファイドフィルム(以下
「PPSフィルム」という)製とされ、このPPSフィ
ルム21Aを介して吐出時のインク貯留室23内の圧力
変動を逃がすダンパ用凹部29が形成されている。この
ダンパ用凹部29は、外部と連通しない独立空間として
存在させると、ダンパ用凹部29内の空気がPPSフィ
ルム21Aを透過してインク内に溶出し、ダンパ用凹部
29内の気圧が下がってPPSフィルム21Aの張力が
高くなって十分なダンパ効果を得られなくなり易い。そ
こで、上記ダンパ用凹部29の奥面からヘッドケース1
8の反対側面に向かって貫通してダンパ用凹部29を外
部に連通させる外部連通孔30を穿設することにより、
上述したようなダンパ用凹部29内の圧力低下を防止し
ている。
【0063】上記記録ヘッドでは、不使用状態での放置
等により、流路内のインクの水分が蒸発して粘度が上昇
したときに、高粘度インクを強制的に吸引するクリーニ
ングユニット4を備えている。上記クリーニングユニッ
ト4は、上記記録ヘッドが非印刷領域のクリーニングポ
ジションに移動したときに、図1,図3,図4のように
記録ヘッドのノズル面31を封止し、ノズル開口14か
らインクを吸引して目詰まり等を回復させる。
【0064】上記クリーニングユニット4は、図2に示
すような深さの浅い箱型のキャップ本体32が半硬質性
のゴム材料で成形され、上方に開放した状態とされてい
る。上記キャップ本体32はキャップケース33内には
め込まれ、キャップ本体の開口縁34が、上記ノズルプ
レート19の表面、すなわちノズル面31にぴったりと
密着できるように構成されている。キャップ本体32の
底面32Aには、吸引口35があけられ、そこに吸引管
36が接続されており、この吸引管36の途中に吸引ポ
ンプ13が配置されている。上記吸引管36の端部にス
ポンジ等の廃液吸収材が収容された廃液貯留部37が接
続されている。
【0065】また、キャップ本体32の底面32Aに
は、大気導入口38があけられ、そこに大気導入管39
が接続されており、その途中にこの管路の流通を断続す
る開閉弁40が配置されている。
【0066】図3および図4に示された各インクカート
リッジ1からインク補給管28が延びていて、その端部
は上記インク貯留室23に連通されている。
【0067】図1,図3,図4,図7は、記録ヘッド2
がクリーニングポジションに停止し、ノズル面31が開
口縁34で封止されている状態を示している。ここで開
閉弁40を閉じておいて吸引ポンプ13を作動させる
と、ノズル開口14やその近傍に停滞している高粘度の
インクが吸い出されて、キャップ本体32の底部に溜め
られる。その後、開閉弁40を開けて吸引ポンプ13を
作動させ続けると、キャップ本体32内の高粘度インク
が廃液貯留部37へ送り込まれる。以上のようなクリー
ニング動作が完了してから、記録ヘッド2は印字動作に
移行する。
【0068】図1は、記録ヘッド2に対してクリーニン
グユニット4が封止をしている状態を示す断面図であ
る。各種のインクが収容されたインクカートリッジ1,
1,1・・・に洗浄液貯留部である洗浄液容器41を合
体させたタイプであり、そこから延びた洗浄液送給流路
である供給路42が、ノズルプレート19にあけた供給
口43を介して吸引室44に開口している。この吸引室
44は、キャップ本体32の内部空間により形成されて
いる。ここでの洗浄液容器41は、いわゆるカートリッ
ジタイプのものであり、この例ではインクカートリッジ
1と一体的に形成されている。なお、符号45は洗浄液
を示している。
【0069】上記供給路42の途中に開閉弁42Aが配
置され、上記駆動回路からの開閉信号で開閉弁42Aの
開閉制御が行なわれる。上記吸引ポンプ13が作動して
いるときに、開閉弁42Aを開くと、吸引室44内の負
圧で洗浄液45が吸引室44内へ吸い出される。
【0070】上記洗浄液45は、水を主体にしたもので
あり、高粘度インクとの親和性が高められた液体であ
る。洗浄液45の機能において必要とされる要件には種
々な項目が挙げられるが、少なくとも水蒸気雰囲気を形
成し易いこと、粘性が著しく低いこと、高粘度インクを
溶解し易いこと等があり、これらに対応するためには水
を主体にした洗浄液とされる。さらに、水だけである
と、インクに対して蒸発が早すぎるのでその場合は、イ
ンクカートリッジよりも大容量の洗浄液カートリッジと
して使用する。反面、洗浄液カートリッジを小型化する
には、エチレングリコール等の保湿剤を、粘性に支障が
ない程度に添加する。
【0071】図2は、キャップ本体32を単体で示す斜
視図であり、長方形のノズルプレート19に合わせた深
さの浅い箱状とされている。
【0072】図3は、ヘッドケースに供給路を設けた状
態を示す断面図である。すなわち、図1の形式のものが
実際に記録ヘッド2に装備された状態を示している。ヘ
ッドケース18に肉厚部18Aを設け、ここに供給路4
2と開閉弁42Aを配置したもので、供給路42は供給
口43を介して吸引室44に開口されている。なお、図
9に示したような駆動回路からの制御信号が導通線46
を経て開閉弁42Aを作動させるように構成されてい
る。
【0073】図4は、洗浄液を加圧する手段が圧電振動
子とされた場合の断面図である。すなわち、上記洗浄液
送給流路の途中に加圧送給手段である圧力発生素子が配
置されたもので、ここでの洗浄液送給流路は供給路4
2,洗浄液貯留室47,洗浄液供給路48,洗浄液加圧
室49等が一連に連なったものとして構成され、供給口
43を介して吸引室44に開口している。ここでの供給
口43は、多数の開口が1列に配置された上記のノズル
開口14と同様である。圧力発生素子は圧電振動子17
の形式とされ、その出力振動はインクを加圧する場合と
同様である。すなわち、圧電振動子17の先端面が島部
26に固着されている。なお、洗浄液45のための圧電
振動子17は、印字作動中には作動しないで、クリーニ
ング動作中に所定の洗浄液圧送作用を行なう。
【0074】図5は、図4に示した実施の形態における
供給口43が複数箇所に配置されている場合を示す断面
図である。また、図5は、図4の〔5〕−〔5〕断面に
相当するが、ここでは洗浄液の流路系統を中心にして図
示してある。供給路42から分かれた分岐路50を経て
反対側に配置した供給口43に連なっている。
【0075】図6は、ノズル開口とは別個の供給口がノ
ズルプレートに設けられた状態を示す平面図である。上
記ノズル開口14とは別に設けられた供給口43Aをノ
ズルプレート19に開口させたものである。ここでは、
4箇所に供給口43Aがノズルプレート19に設けら
れ、その各々から洗浄液45が供給される。各供給口4
3Aには供給路42が接続してあり、分岐室51で1本
化されてから洗浄液容器41に加圧供給手段であるポン
プ52を経て接続されている。上記分岐室51の容積部
分を経てから各供給口43Aに均一の圧力で洗浄液45
を供給していることにより、各供給口43Aからの流出
量が同等になり、洗浄液を吸引室44内全体に分布させ
ている。
【0076】図6において、ノズル面31を封止してい
るキャップ本体32が2点鎖線で図示してある。ここで
は、キャップ本体32にあけられた吸引口35は、キャ
ップ本体の中央部の1箇所だけとされ、丁度、4個の供
給口43Aで包囲された領域の中央部に配置されてい
る。各供給口43Aと吸引口35とは、ノズル開口14
からのインク吐出の方向に略直交する方向において離隔
した相対位置関係とされている。すなわち、図6におい
て、供給口43Aと吸引口35とが左右上下方向にずら
された相対位置関係とされている。
【0077】図7は、洗浄液貯留部41からの洗浄液4
5をクリーニングユニット4に供給する場合の断面図で
ある。洗浄液45の供給口43Bがキャップ本体32の
底面32Aに開口している。この供給口43Bに供給路
42が接続されポンプ52を経て洗浄液貯留部41に接
続されている。供給口43Bと吸引口35とは、ノズル
開口14からのインク吐出の方向に略直交する方向にお
いて離隔した相対位置関係とされている。すなわち、図
7において、供給口43Bと吸引口35とが左右方向に
ずらされた相対位置関係とされている。また、2点鎖線
で図示したように、供給口43Bをもう1箇所に配置し
て複数個とすることができる。
【0078】図8は、大形のインクジェット式記録装置
の場合を示す側面図である。この場合には、インクカー
トリッジ1がキャリッジ3に搭載されているのではな
く、記録ヘッド2とは離れた場所に設けられている。す
なわち、記録ヘッド2が単体で図9に示したようなガイ
ドバー7に沿った印字動作を行ない、インクカートリッ
ジ1や洗浄液容器41は壁枠部材等の静止部材に支持さ
れ、そこから延びてきている可撓性のあるホースが、イ
ンク補給管28や供給路42を形成している。
【0079】上述の各実施の形態においては、ノズルプ
レート19の表面とキャップ本体32の底面32Aとの
間隔が可及的に狭く設定されている。
【0080】第1の実施の形態は、洗浄液45を貯留し
た洗浄液容器41から延びた供給路42がノズルプレー
ト19に設けた供給口43,43Aを介して吸引室44
に開口しているものである。
【0081】したがって、クリーニング動作時に吸引室
44が負圧状態におかれると、ノズル開口14内および
その近傍に停滞している高粘度のインクと上記洗浄液4
5が吸引室44内に吸引される。この吸引のときに、洗
浄液45はそれ自体の粘性が低いので勢いよく吸引室4
4内に流入してきて、吸引室44の内壁部、すなわちノ
ズルプレート19の表面やキャップ本体32の底面32
A等に衝突して放射的に飛散し、洗浄液45の大部分は
小さな粒子状となる。
【0082】一方、粘性が高いために、洗浄液45より
も遅れ気味で吸い出された高粘度インクは、それに対し
て上記の飛散した洗浄液45が干渉して両液体は混合状
態になり、高粘度インクが希釈された状態になる。さら
に、吸引室44内に負圧が付与されるときには、吸引室
44内の圧力が低下する過渡期に吸引室44内の空気が
流動するので、この流動現象と上記の洗浄液45や高粘
度インクの挙動が複合して、吸引室44内は洗浄液45
と高粘度インクと流動空気の3者による攪拌と乱流を呈
することとなる。
【0083】以上のような各流体の挙動によって、飛散
した洗浄液45自体あるいは洗浄液で希釈された高粘度
インクが、ノズル開口14およびその近辺に撥ね掛けら
れたような状態で衝突するので、ノズル開口14内やそ
の近傍に停滞している高粘度インクは、積極的な洗浄作
用を受けることとなり、目詰まり回復が迅速化される。
【0084】上記の各流体の攪拌や乱流現象の際には気
泡が発生するが、この気泡を形成するインクは洗浄液で
希釈されているので、気泡がノズル開口14の近くに付
着しても、直ちに消えてしまう。したがって、気泡付着
に起因する上記のような異常なインク吐出が回避され
る。
【0085】さらに、クリーニングユニット4のキャッ
プ本体32内に溜まった廃液としてのインクは、粘性が
低下されているので、廃液貯留部37の廃液吸収材に十
分に吸収され、廃液貯留部の吸収能力を期待通りに活用
できる。
【0086】上記記録ヘッド2が長時間不使用状態であ
るときには、ノズルプレート19がクリーニングユニッ
ト4で封止されているが、この状態のときに洗浄液45
をクリーニングユニット4内に供給しておいたり、洗浄
液45で希釈された廃液としてのインクをクリーニング
ユニット4内に残留させておくことによって、ノズルプ
レート19は水蒸気雰囲気の中におかれるので、ノズル
開口14内やその近傍に停滞しているインクの高粘度化
を著しく低減させることができる。また、そのようなこ
とをしなくても、供給口43,43Aから洗浄液45が
蒸発することによっても、同様の効果が生じる。
【0087】印字品質の向上を目的にして顔料濃度を高
めることとクリーニング成功率とは、相反する関係にお
かれているが、本発明のインクジェット式記録装置にあ
っては、洗浄液45の積極的活用により、顔料の高濃度
化におけるクリーニング成功率の問題を解消して、すぐ
れた印字品質が確保される。特に、使用頻度の高いブラ
ックのインクは、元来、高粘度化しやすい顔料系インク
とされているが、本発明により高粘度化の問題が解消さ
れる。
【0088】第2の実施の形態は、洗浄液45を貯留し
た洗浄液容器41から延びた供給路42がクリーニング
ユニット4のキャップ本体32に設けた供給口43Bを
介して吸引室44に開口しているものである。
【0089】したがって、クリーニング動作時に吸引室
44が負圧状態におかれると、ノズル開口14内および
その近傍に停滞している高粘度のインクと上記洗浄液4
5が吸引室44内に吸引される。この吸引のときに、洗
浄液45はそれ自体の粘性が低いので勢いよく吸引室4
4内に流入してきて、吸引室44の内壁部、すなわちノ
ズルプレート19の表面やキャップ本体32の底面32
A等に衝突して放射的に飛散し、洗浄液45の大部分は
小さな粒子状となる。
【0090】一方、粘性が高いために、洗浄液45より
も遅れ気味で吸い出された高粘度インクは、それに対し
て上記の飛散した洗浄液45が干渉して両液体は混合状
態になり、高粘度インクが希釈された状態になる。さら
に、吸引室44内に負圧が付与されるときには、吸引室
44内の圧力が低下する過渡期に吸引室44内の空気が
流動するので、この流動現象と上記の洗浄液45や高粘
度インクの挙動が複合して、吸引室44内は洗浄液45
と高粘度インクと流動空気の3者による攪拌と乱流を呈
することとなる。
【0091】以上のような各流体の挙動によって、飛散
した洗浄液45自体あるいは洗浄液で希釈された高粘度
インクが、ノズル開口14およびその近辺に撥ね掛けら
れたような状態で衝突するので、ノズル開口14内やそ
の近傍に停滞している高粘度インクは、積極的な洗浄作
用を受けることとなり、目詰まり回復が迅速化される。
【0092】上記の各流体の攪拌や乱流現象の際には気
泡が発生するが、この気泡を形成するインクは洗浄液で
希釈されているので、気泡がノズル開口14の近くに付
着しても、直ちに消えてしまう。したがって、気泡付着
に起因する上記のような異常なインク吐出が回避され
る。
【0093】上記洗浄液45がクリーニングユニット4
側の部材、たとえばキャップ本体32から供給されるこ
とにより、供給口43Bをクリーニング動作にとって最
も適した箇所に配置できて、よりすぐれたクリーニング
機能が実行される。例えば、吸引室44内の気流を考慮
に入れて供給口43Bとノズル開口14との相対位置を
設定し、より多くの洗浄液45がノズル開口14に干渉
するようにすれば、一層効果的な洗浄機能が実現する。
【0094】さらに、クリーニングユニット4のキャッ
プ本体32内に溜まった廃液としてのインクは、粘性が
低下されているので、廃液貯留部37の廃液吸収材に十
分に吸収され、廃液貯留部の吸収能力を期待通りに活用
できる。
【0095】上記記録ヘッド2が長時間不使用状態であ
るときには、ノズルプレート19がクリーニングユニッ
ト4で封止されているが、この状態のときに洗浄液45
をクリーニングユニット4内に供給しておいたり、洗浄
液45で希釈された廃液としてのインクをクリーニング
ユニット4内に残留させておくことによって、ノズルプ
レート19は水蒸気雰囲気の中におかれるので、ノズル
開口14内やその近傍に停滞しているインクの高粘度化
を著しく低減させることができる。また、そのようなこ
とをしなくても、供給口43Bから洗浄液45が蒸発す
ることによっても、同様の効果が生じる。
【0096】印字品質の向上を目的にして顔料濃度を高
めることとクリーニング成功率とは、相反する関係にお
かれているが、本発明のインクジェット式記録装置にあ
っては、洗浄液45の積極的活用により、顔料の高濃度
化におけるクリーニング成功率の問題を解消して、すぐ
れた印字品質が確保される。特に、使用頻度の高いブラ
ックのインクは、元来、高粘度化しやすい顔料系インク
とされているが、本発明により高粘度化の問題が解消さ
れる。
【0097】第3の実施の形態は、供給口43がノズル
開口14の内、印字には使用しないノズル開口14の場
合である。それ以外は、上記の各実施の形態と同様であ
り、同様の部分には同じ符号を付している。
【0098】当初からノズルプレート19に準備されて
いるノズル開口14を利用することにより、洗浄液専用
の開口構造を特設する必要がなく、構造の簡素化にとっ
て有効である。また、インク吐出用のノズル開口14は
多数の開口が1列に並んだ形態になっているのが一般的
であるため、洗浄液45は多数の開口から一斉に供給さ
れることとなり、前述の攪拌や乱流現象において、ノズ
ル開口部の洗浄や高粘度インクの希釈作用等にとって有
効である。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用
効果を奏する。
【0099】第4の実施の形態は、図4に示したよう
に、加圧送給手段が圧力発生素子の1つである圧電振動
子17で構成されている場合である。それ以外は、上記
の各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号
を付している。
【0100】上記圧電振動子17本来の作動特性を洗浄
液45の供給制御に適用できることから、洗浄液45の
供給に適した駆動信号を圧電振動子17へ入力すること
により、圧送時期,圧送期間,圧送圧力等の微妙な洗浄
液の供給制御が簡単に、かつ正確に実現できる。同時
に、記録ヘッド2にはインク加圧用の圧電振動子17が
配置されているので、1つの記録ヘッド内で同様に配列
された圧電振動子17の一部を洗浄液45の加圧供給に
流用できて、構造の合理化にとって有利である。それ以
外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0101】第5の実施の形態は、図6,図7に示した
ように、ポンプ52が供給路42の途中に配置された場
合である。これらポンプ52は上記駆動回路からの駆動
信号を入力させて行なうのが適当であり、この駆動信号
により、洗浄液45の加圧供給時期や期間が設定され
る。それ以外は、上記の各実施の形態と同様であり、同
様の部分には同じ符号を付している。
【0102】このような独立したユニットであるポンプ
52を用いることにより、ポンプ自体の配置箇所が自由
に選べることとなり、供給路42の配置形態の自由度が
より一層高くなり、記録装置としての構造的なまとまり
が良好になる。また、ポンプ52自体の供給特性は多種
多様に設定できるので、クリーニング作動の条件に応じ
た洗浄液45の供給が行ない易くなる。それ以外は、上
記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0103】第6の実施の形態は、図5,図6,図7に
示したように、供給口43,43A,43Bが複数個設
けられている場合である。それ以外は、上記の各実施の
形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付してい
る。
【0104】上記吸引室44内に種々な箇所や方向から
洗浄液45が供給されることにより、洗浄液45が吸引
室44内全域にわたって分布させられて、上記の洗浄作
用が一層効果的に行なわれる。それ以外は、上記各実施
の形態と同様の作用効果を奏する。
【0105】第7の実施の形態は、図6や図7に示した
ように、複数個の供給口43A,43Bがノズルプレー
ト19やキャップ本体32にあけられていることによ
り、上記吸引室44内に均一に洗浄液45を供給できる
箇所に配置されている場合である。それ以外は、上記の
各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を
付している。
【0106】上記複数個の供給口43A,43Bが最適
箇所に配置されていることから、ノズル開口14全体に
対するクリーニング作用が可及的均一に実行される。ま
た、インク吐出用のノズル開口14は多数の開口が1列
に並んだ形態になっているとともに、それらが複数列と
されているのが一般的であるため、複数個の供給口43
Aを適正な箇所に配置することにより、ノズル開口14
全体に対する洗浄作用として最適である。それ以外は、
上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0107】第8の実施の形態は、供給路42等に洗浄
液45の加圧送給手段が設けられている場合である。す
なわち、図4においては、圧電振動子17が洗浄液45
の流路系である供給路42,洗浄液貯留室47,洗浄液
供給路48,洗浄液加圧室49の途中に配置されてい
る。図6においては、ポンプ52で洗浄液45を圧送し
ている。図7も図6の場合と同じである。それ以外は、
上記の各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ
符号を付している。
【0108】上記洗浄液45をポンプ52や圧電振動子
17で圧送することにより、洗浄液45を確実に吸引室
44へ供給することが可能となる。さらに、加圧の程度
や加圧期間を選定することにより、より適正な洗浄液4
5の供給が果たせる。それ以外は、上記各実施の形態と
同様の作用効果を奏する。
【0109】第9の実施の形態は、図1の開閉弁42A
の開閉時期,図4の洗浄液45に対する圧電振動子17
の駆動期間,図6や図7のポンプ52の作動期間等を設
定することにより、加圧送給手段の作動がクリーニング
動作に略同期させてある場合である。それ以外は、上記
の各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号
を付している。
【0110】上記洗浄液45の供給時期がクリーニング
動作と略合致していることにより、洗浄液をクリーニン
グ動作に確実に作用させることができる。それ以外は、
上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0111】第10の実施の形態は、図1の開閉弁42
Aの開弁開始時期,図4の洗浄液45に対する圧電振動
子17の駆動開始期間,図6や図7のポンプ52の作動
開始時期等を上記クリーニング動作よりも早い時期に開
始する場合である。それ以外は、上記の各実施の形態と
同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0112】上記洗浄液45がクリーニング吸引に先行
して吸引室44内へ供給されることにより、吸引室44
内は予め洗浄液45の粒子等が充満した状態とされ、こ
れによって、ノズル開口14内の高粘度インクに洗浄液
45が先行的に付着した状態となり、その後から吸引負
圧が付与される。したがって、先行的に洗浄液で粘度が
低下させられたノズル開口14内のインクに吸引力が作
用することとなり、インクは短時間で確実に吸い出され
る。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を
奏する。
【0113】第11の実施の形態は、図1の開閉弁42
Aの開弁開始時期,図4の洗浄液45に対する圧電振動
子17の駆動開始期間,図6や図7のポンプ52の作動
開始時期等を上記クリーニング動作開始後に設定した場
合である。それ以外は、上記の各実施の形態と同様であ
り、同様の部分には同じ符号を付している。
【0114】上記洗浄液45がクリーニング吸引よりも
遅れて吸引室44内へ供給されることにより、ノズル開
口14内の高粘度インクが先行的に吸い出されつつある
過渡期に、洗浄液45を干渉させることができるので、
その干渉を受けた高粘度インクはその時点から急速に粘
度が低下させられて、その後は、一気に吸い出されるこ
ととなり、やはり短時間で確実にインク吸い出しがなさ
れる。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果
を奏する。
【0115】第12の実施の形態は、インクが顔料系の
インクの場合である。それ以外は、上記の各実施の形態
と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0116】上記顔料系インクに対して上述の洗浄液機
能を作用させることにより、顔料濃度を高めて鮮明な印
字を行なっても、顔料系特有の早期高粘度化によるノズ
ル開口14の目詰まり問題を確実に解決することができ
る。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を
奏する。
【0117】第13の実施の形態は、洗浄液45に消泡
剤が含まれている場合である。消泡剤としては、一般的
に採用されているものでよいが、1例として金属イオン
を添加することがあげられる。それ以外は、上記の各実
施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付し
ている。
【0118】クリーニング動作中の泡立ちが抑制される
ことから、気泡がノズル開口14の近くのノズルプレー
ト19の表面に付着することがない。また、洗浄液45
自体は本来インクよりもはるかに粘性の低い性質のもの
であり、それに対して消泡剤を含有させれば、より確実
な消泡作用が得られる。
【0119】第14の実施の形態は、吸引室44は上記
ノズルプレート19の表面と上記吸引室44の底面32
Aの間隔が可及的に狭く設定されている場合である。そ
れ以外は、上記の各実施の形態と同様であり、同様の部
分には同じ符号を付している。
【0120】上記ノズルプレート19の表面と吸引室4
4の底面32Aとの狭い空間で洗浄液,インク,空気等
の挙動がなされることにより、第1には、洗浄液45は
ノズルプレート表面や吸引室底面に高い運動エネルギー
をもって衝突するので、それによる液体散乱がより広い
領域におよぶこととなる。したがって、洗浄液45がノ
ズル開口14全体に対して到達し、より一層効果的なク
リーニング作動が得られる。
【0121】また、第2には、狭い空間内での各流体の
挙動であるから、散乱した洗浄液45や希釈されたイン
ク等は、それらの移動距離が短距離でかつ短時間の内に
ノズルプレート19の表面に到達する。したがって、洗
浄液45や希釈インク等はそれら自体の運動エネルギー
が低下しない内にノズルプレート19の表面に到達する
ので、強い直撃性をもってノズル開口14内の高粘度イ
ンクが洗浄される。このような物理的現象により、ノズ
ル開口の目詰まり解消が一層促進される。それ以外は、
上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0122】第15の実施の形態は、図1,図3,図4
においては供給口43と吸引口35の相対位置関係、図
6においては供給口43Aと吸引口35の相対位置関係
が、ノズル開口14からのインク吐出の方向に略直交す
る方向において離隔した関係とされている場合である。
それ以外は、上記の各実施の形態と同様であり、同様の
部分には同じ符号を付している。
【0123】上記供給口43や43Aから出た洗浄液4
5が吸引室44内を上記攪拌や乱流により種々な方向に
移動しながら吸引口35に到達するので、洗浄液45は
広い範囲のノズル開口14に到達し、各ノズル開口14
内の高粘度インクを低粘度化させる。したがって、上記
の離隔した相対位置関係を付与することによって、広域
的なクリーニング作動が得られる。
【0124】特に、上記の離隔した相対位置関係が、上
記の狭い吸引室44空間の条件下で採用されるときに
は、ノズルプレート19表面に強い直撃性をもって干渉
しながら上記吸引口35に到達するので、ノズル開口1
4内の高粘度インクの低粘度化あるいは溶解を、より積
極的に行なうことができる。それ以外は、上記各実施の
形態と同様の作用効果を奏する。
【0125】第16の実施の形態は、図1,図3,図
6,図7に示したように、吸引室44が吸引ポンプ13
を介して廃液吸収材を収容した廃液貯留部37に接続さ
れている場合である。それ以外は、上記の各実施の形態
と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0126】上記吸引室44の底部32Aから吸引され
る廃液インクは、その粘性が低下させられていることに
より、廃液貯留部37の廃液吸収材に吸収され易くな
り、廃液貯留部の吸収機能を期待通りに発揮させること
ができる。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用
効果を奏する。
【0127】
【発明の効果】以上のように、本発明のインクジェット
式記録装置によれば、クリーニング動作時に吸引室が負
圧状態におかれると、ノズル開口内およびその近傍に停
滞している高粘度のインクと上記洗浄液が吸引室内に吸
引される。上記洗浄液はノズルプレートに設けた供給
口、あるいはクリーニングユニットに設けた供給口から
吸引室内に供給される。上記吸引のときに、洗浄液はそ
れ自体の粘性が低いので勢いよく吸引室内に流入してき
て、吸引室の内壁部に衝突して放射的に飛散し、洗浄液
の大部分は小さな粒子状となる。
【0128】一方、粘性が高いために、洗浄液よりも遅
れ気味で吸い出された高粘度インクは、それに対して上
記の飛散した洗浄液が干渉して両液体は混合状態にな
り、高粘度インクが希釈された状態になる。さらに、吸
引室内に負圧が付与されるときには、吸引室内の圧力が
低下する過渡期に吸引室内の気体が流動するので、この
流動現象と上記の洗浄液や高粘度インクの挙動が複合し
て、吸引室内は洗浄液と高粘度インクと流動気体の3者
による攪拌と乱流を呈することとなる。
【0129】以上のような各流体の挙動によって、飛散
した洗浄液自体あるいは洗浄液で希釈された高粘度イン
クが、ノズル開口およびその近辺に撥ね掛けられたよう
な状態で衝突するので、ノズル開口内やその近傍に停滞
している高粘度インクは、積極的な洗浄作用を受けるこ
ととなり、目詰まり回復が迅速化される。
【0130】上記の各流体の攪拌や乱流現象の際には気
泡が発生するが、この気泡を形成するインクは洗浄液で
希釈されているので、気泡がノズル開口の近くに付着し
ても、直ちに消えてしまう。したがって、気泡付着に起
因する上記のような異常なインク吐出が回避される。
【0131】さらに、クリーニングユニット内に溜まっ
た廃液としてのインクは、粘性が低下されているので、
廃液貯留部の廃液吸収材に十分に吸収され、廃液貯留部
の吸収能力を期待通りに活用できる。
【0132】上記記録ヘッドが長時間不使用状態である
ときには、ノズルプレートがクリーニングユニットで封
止されているが、この状態のときに洗浄液をクリーニン
グユニット内に供給しておいたり、洗浄液で希釈された
廃液としてのインクをクリーニングユニット内に残留さ
せておくことによって、ノズルプレートは水蒸気雰囲気
の中におかれるので、ノズル開口内やその近傍に停滞し
ているインクの高粘度化を著しく低減させることができ
る。また、そのようなことをしなくても、供給口から洗
浄液が蒸発することによっても、同様の効果が生じる。
【0133】印字品質の向上を目的にして顔料濃度を高
めることとクリーニング成功率とは、相反する関係にお
かれているが、本発明のインクジェット式記録装置にあ
っては、洗浄液の積極的活用により、顔料の高濃度化に
おけるクリーニング成功率の問題を解消して、すぐれた
印字品質が確保される。特に、使用頻度の高いブラック
のインクは、元来、高粘度化し易い顔料系インクとされ
ているが、本発明により高粘度化の問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録装置の実施の形
態を示す側面図である。
【図2】キャップ本体の斜視図である。
【図3】本発明のインクジェット式記録装置の他の実施
の形態を示す断面図である。
【図4】本発明のインクジェット式記録装置のさらに他
の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明のインクジェット式記録装置のさらに他
の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明のインクジェット式記録装置のさらに他
の実施の形態を示す平面図である。
【図7】本発明のインクジェット式記録装置のさらに他
の実施の形態を示す側面図である。
【図8】本発明のインクジェット式記録装置のさらに他
の実施の形態を示す側面図である。
【図9】従来のインクジェット式記録装置全体を示す斜
視図である。
【図10】上記従来のインクジェット式記録装置に採用
されている記録ヘッドの分解斜視図である。
【図11】上記従来のインクジェット式記録装置に採用
されている記録ヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1 インクカートリッジ 2 記録ヘッド 3 キャリッジ 4 クリーニングユニット 5 タイミングベルト 6 ステッピングモータ 7 ガイドバー 8 記録用紙 9 駆動回路 10 収容ケース 11 壁枠部材 12 フレキシブルフラットケーブル 13 吸引ポンプ 14 ノズル開口 15 圧力発生室 16 流路ユニット 17 圧電振動子 18 ヘッドケース 18A 肉厚部 19 ノズルプレート 20 流路基板 21 封止板 21A 樹脂製薄膜 21B 金属製薄膜 22 インク供給路 23 インク貯留室 24 空間 25 固定基板 26 島部 27 導通線 28 インク補給管 29 ダンパ用凹部 30 外部連通孔 31 ノズル面 32 キャップ本体 32A 底面 33 キャップケース 34 開口縁 35 吸引口 36 吸引管 37 廃液貯留部 38 大気導入口 39 大気導入管 40 開閉弁 41 洗浄液容器 42 供給路 42A 開閉弁 43 供給口 43A 供給口 43B 供給口 44 吸引室 45 洗浄液 46 導通線 47 洗浄液貯留室 48 洗浄液供給路 49 洗浄液加圧室 50 分岐路 51 分岐室 52 ポンプ 53 ホース

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルプレートに設けられたノズル開口
    と上記ノズル開口に連通する圧力発生室と上記圧力発生
    室に圧力変動を与える圧力発生素子とを含んで構成され
    たインクジェット式記録ヘッドと、上記ノズルプレート
    を吸引ポンプに接続された吸引室を介して封止した状態
    で吸引室に負圧を与えてクリーニング動作を行なうクリ
    ーニングユニットとを備えたインクジェット式記録装置
    であって、洗浄液を貯留した洗浄液貯留部から延びた洗
    浄液送給流路がノズルプレートに設けた供給口を介して
    上記吸引室に開口していることを特徴とするインクジェ
    ット式記録装置。
  2. 【請求項2】 ノズルプレートに設けられたノズル開口
    と上記ノズル開口に連通する圧力発生室と上記圧力発生
    室に圧力変動を与える圧力発生素子とを含んで構成され
    たインクジェット式記録ヘッドと、上記ノズルプレート
    を吸引ポンプに接続された吸引室を介して封止した状態
    で吸引室に負圧を与えてクリーニング動作を行なうクリ
    ーニングユニットとを備えたインクジェット式記録装置
    であって、洗浄液を貯留した洗浄液貯留部から延びた洗
    浄液送給流路がクリーニングユニットに設けた供給口を
    介して上記吸引室に開口していることを特徴とするイン
    クジェット式記録装置。
  3. 【請求項3】 上記供給口が上記ノズル開口の内、印字
    には使用しないノズル開口である請求項1記載のインク
    ジェット式記録装置。
  4. 【請求項4】 上記加圧送給手段が上記圧力発生素子で
    ある請求項1記載のインクジェット式記録装置。
  5. 【請求項5】 上記加圧送給手段が上記洗浄液送給流路
    に配置されたポンプである請求項2記載のインクジェッ
    ト式記録装置。
  6. 【請求項6】 上記供給口が複数個設けられている請求
    項1または2記載のインクジェット式記録装置。
  7. 【請求項7】 上記複数個の供給口が上記吸引室内に均
    一に洗浄液を供給できる箇所に配置されている請求項1
    または2記載のインクジェット式記録装置。
  8. 【請求項8】 上記洗浄液送給流路に洗浄液の加圧送給
    手段が設けられている請求項1または2記載のインクジ
    ェット式記録装置。
  9. 【請求項9】 上記加圧送給手段の作動が上記クリーニ
    ング動作に略同期させてある請求項1または2記載のイ
    ンクジェット式記録装置。
  10. 【請求項10】 上記加圧送給手段の作動が上記クリー
    ニング動作よりも早い時期に開始される請求項1または
    2記載のインクジェット式記録装置。
  11. 【請求項11】 上記加圧送給手段の作動が上記クリー
    ニング動作開始後に開始される請求項1または2記載の
    インクジェット式記録装置。
  12. 【請求項12】 上記インクが顔料系のインクである請
    求項1または2記載のインクジェット式記録装置。
  13. 【請求項13】 上記洗浄液に消泡剤が含まれている請
    求項1または2記載のインクジェット式記録装置。
  14. 【請求項14】 上記吸引室は上記ノズルプレートの表
    面と上記吸引室の底面の間隔が可及的に狭く設定されて
    いる請求項1または2記載のインクジェット式記録装
    置。
  15. 【請求項15】 上記供給口と、上記吸引室に開口して
    いるとともに上記吸引ポンプに連通している吸引口と
    は、上記ノズル開口からのインク吐出の方向に略直交す
    る方向において離隔した相対位置関係とされている請求
    項1または2記載のインクジェット式記録装置。
  16. 【請求項16】 上記吸引室は上記吸引ポンプを介して
    廃液吸収材を収容した廃液貯留部に接続されている請求
    項1または2記載のインクジェット式記録装置。
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