JP3052432B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、タンクからインク
の供給を受ける記録ヘッドからインク滴を吐出させて記
録を行うインクジェットプリンタ、より詳細にはインク
流路から気泡を排出するためのクリーニング技術に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットプリンタは、記録ヘッド
のノズル開口からインク滴を吐出して記録を行うため、
印刷時には消費された分のインクを連続的に供給を受け
る。このため、印刷期間中には記録ヘッドに気泡が停滞
することは少ないが、長時間の間印字を停止した場合
や、インクタンクの交換により記録ヘッドにインクを再
充填した場合には、記録ヘッド内に気泡が侵入、付着し
て、インク滴の吐出動作が不安定になったり、インク滴
の吐出が不可能となる。

【０００３】このため、図６に示したようにキャップに
設けられた大気開放弁を閉弁させた状態で、インク吸引
ポンプによりキャップに負圧を供給して、記録ヘッドの
気泡をインクと共に排出するという動作を、記録ヘッド
とインクタンクとを接続するインク供給チューブの気泡
が排出されるに要する時間Ｔ１’だけ継続して実行す
る。

【０００４】そして、インク供給チューブのインクを排
出が完了した時点で、吸引ポンプを作動させた状態で大
気開放弁を所定時間Ｔ２’だけ開放して、キャップ内の
インクを吸引することが行われる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】これによれば、記録ヘ
ッドやインク供給チューブに侵入した気泡をインクとと
もに排出できるものの、気泡の完全な排出を求める場合
には、吸引圧力を高めたり、また閉弁状態での吸引時間
Ｔ1’を長くするなどの措置が必要となり、インクを印
刷以外の目的で大量に消費してしまうという問題があ
る。このような問題を解消するために、特開昭62-27995
5号公報に見られるように、大気開放弁を介して大気に
連通するキャップにより記録ヘッドを封止して、大気開
放弁を閉じた状態で吸引ポンプを作動させ、予定時間後
に大気開放弁を開放して吸引を停止させて、インク流路
の残留気泡を壁から剥離されて浮遊させ、その後に大気
開放弁を閉じて記録ヘッドのインクを吸引することが提
案されている。これによれば、少量のインク吸引により
記録ヘッドの気泡を確実に排出できるものの、記録ヘッ
ドからインクを吸引した後、大気開放弁を開放した場合
に、キャップの底面側から流入してキャップ内のインク
を泡立たせ、インクの泡が記録ヘッドのノズルに付着し
てインク吐出能力を低下させるという問題がある。本発
明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、そ
の目的とするところは、キャップにたとえスポンジ等の
多孔質材からなるインク吸収材が収容されていても、イ
ンクの泡立ちを防止して印字品質の低下を招くことなく
インクを吸引することができるインクジェットプリンタ
を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
プリンタは、インク供給タンクからインクの供給を受け
てノズルからインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド
と、前記ノズルを封止するとともにインク吸引ポンプか
ら負圧の供給を受けるインク吸収材を収容したキャップ
とを備え、前記キャップにより前記記録ヘッドを封止し
て前記吸引ポンプを作動させて前記記録ヘッドからイン
クを吸引するインクジェットプリンタにおいて、前記記
録ヘッドに大気開放弁が接続された大気連通口が形成さ
れ、前記キャップの大気開放時には前記記録ヘッドの大
気連通孔を介して大気が閉鎖空間に流れ込むように構成
されている。

【０００７】

【作用】大気開放弁が開放されると、キャップの開口側
から空気が流入するため、キャップにインク吸収材が収
容されていても、インクが泡立つことがなく、インクの
泡が記録ヘッドに付着して印字品質が低下することがな
い。

【０００８】

【発明の実施の形態】そこで以下に本発明の詳細を図示
した実施例に基づいて説明する。図１は、本発明のイン
クジェットプリンタの一実施例を示すものであって、記
録ヘッド１は、ガイド軸３、３に案内されたキャリッジ
２に搭載されていて、印字用紙６の巾高方向に往復動し
てプラテン４とプラテン軸５により送られる印字用紙６
にインク滴を吐出する。インク滴の吐出により消費され
た分のインクは、インク供給チューブ８により接続され
たインク供給タンク７から記録ヘッド１に供給される。

【０００９】図２は、記録ヘッドの一実施例を流路構造
でもって示すものであって、インク供給チューブ８を経
由してインク供給タンク７からインクの供給を受ける共
通インク室２０と、共通のインク室２０と圧力室２２と
を接続する供給溝２１と、図示しない加圧手段で加圧さ
れてノズル２３からインク滴を吐出させる圧力室２２と
が形成されている。供給溝２１は、この近傍に圧力室側
に垂直壁を備えた段差２４を有し、インク滴の吐出時に
おける共通のインク室２０側への逆流を可及的に防止す
るように構成されている。

【００１０】再び図１に戻って、非印字領域には、記録
ヘッド１のノズル面を封止するキャップ９が配置されて
いる。キャップ９は、図３に示したように吸水性を有す
るスポンジ等からなるインク吸収材２６を収容し、記録
ヘッド１のノズル開口２３を封止できるように構成され
ている。キャップ９は、大気開放弁１０を介して大気開
放されており、またインク吸引ポンプ１１からの負圧を
受けている。インク吸引ポンプ１１の吐出口は、チュー
ブ１２によりインク排出タンク１３に連通されている。

【００１１】なお、上述の実施例ではキャップ９に大気
開放弁１０を接続しているが、図４に示したようにヘッ
ド１を貫通するように通孔２７を形成し、これに大気開
放弁１０’を接続しても、大気開放弁１０’を開放する
ことによりキャップ９を大気に連通させることができ
る。

【００１２】このように構成された装置のクリーニング
動作を図５に示したタイミング図に基づいて説明する。
インクタンク７が消費し尽くされてインク供給タンク７
が交換されたり、長時間の印字動作の休止後に印刷を再
開する場合には、キャップ９をヘッド１に密着させ、大
気開放弁１０、１０’を閉弁した状態で、インク吸引ポ
ンプ１１を駆動する。

【００１３】キャップ９には吸引ポンプ１１の負圧が作
用するため、記録ヘッド１内でインクに浮遊している気
泡や、ゴミがインクとともにキャップ９に排出され、ま
た同時にインク供給タンク７の圧力が低下する。

【００１４】所定時間Ｔ1が経過した段階で、大気開放
弁１０、１０’を時間Ｔ2の間、開放すると、記録ヘッ
ド１の側の圧力が、インクタンク７よりも瞬間的に上昇
するため、常とは異なる、ノズル側からインク供給タン
ク７の側へのインクの流れが生じる。このとき、図４に
示した実施例のごとく、記録ヘッド１を貫通する通孔２
７を介して大気に連通させると、キャップ９の開口側か
ら空気が流入するため、たとえスポンジ等の多孔質材か
らなるインク吸収材６がキャップ９に収容されていて
も、インクの泡立ちを抑えて印字品質の低下を防止する
ことができる。

【００１５】この逆方向へのインクの流れは、大気開放
弁１０の閉弁状態での吸引では圧力室２２の壁等に付着
していた気泡Ｂ（図２）を壁から浮遊させることにな
る。

【００１６】再び大気開放弁１０、１０’を所定時間Ｔ
４の間、閉弁して吸引ポンプ１１からの負圧を記録ヘッ
ド１に作用させ、記録ヘッド１からインクをキャップ９
に排出させる。これにより、前述の工程で浮遊した気泡
Ｂがインクの流れ乗ってキャップ９に排出される。そし
て、大気開放弁１０を開放して、時間Ｔ３の間、インク
吸引ポンプ１１を作動させてキャップ９に排出されて残
留しているインクをインク排出タンク１３に排出して、
吸引ポンプ１１を停止させる。

【００１７】ところで、大気開放弁１０、１０’を閉弁
した状態での吸引時間Ｔ１は、流路内に浮遊している気
泡がインクとともにノズル２３から排出される程度の時
間であり、吸引ポンプ１１の作動中に大気開放弁１０、
１０’を開放する時間Ｔ２は、記録ヘッド１からインク
供給タンク７に向かうインクの逆流を発生させることが
できる時間であり、また大気開放弁１０、１０’を閉弁
して記録ヘッド１に負圧を作用させる時間Ｔ３は、ヘッ
ド１内に浮遊させられた気泡Ｂを排出できる程度の時間
である。

【００１８】そして、大気開放弁１０、１０’が開放さ
れている時間Ｔ２のインクの逆流により付着していた気
泡が浮遊するため、以後の吸引により容易に排出され、
かつ時間Ｔ２の間は、記録ヘッド１からはインクが吸引
されないため、この時間分だけインクの消費が少くなる
から、インクの消費を抑えつつ記録ヘッド１から気泡を
確実に排出することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
記録ヘッドに大気開放弁が接続された大気連通口が形成
され、キャップの大気開放時には記録ヘッドの大気連通
孔を介して大気が閉鎖空間に流れ込むので、たとえスポ
ンジ等の多孔質材からなるインク吸収材がキャップに収
容されていても、インクの泡立ちを防止して印字品質の
低下を招くことなくインクを吸引することができる。

【００２０】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェットプリンタの一実施例を
示す図である。

【図２】同上装置の記録ヘッドの一実施例を、圧力発生
室近傍の流路構造でもって示す図で

【図３】本発明のインクジェットプリンタのクリーニン
グ機構の一実施例を示す図である。

【図４】本発明のインクジェットプリンタのクリーニン
グ機構の他の実施例を示す図である。

【図５】本発明のインクジェットプリンタにおけるクリ
ーニング動作を示すタイミングチャートである。

【図６】従来のインクジェットプリンタにおけるクリー
ニング動作を示すタイミングチャートである。

【符号の説明】

１ 記録ヘッド ２ キャリッジ ７ インク供給タンク ８ インク供給チューブ ９ キャップ １０ 大気開放弁 １１ インク吸引ポンプ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インク供給タンクからインクの供給を受
   けてノズルからインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッ
   ドと、前記ノズルを封止するとともにインク吸引ポンプ
   から負圧の供給を受けるインク吸収材を収容したキャッ
   プとを備え、前記キャップにより前記記録ヘッドを封止
   して前記吸引ポンプを作動させて前記記録ヘッドからイ
   ンクを吸引するインクジェットプリンタにおいて、 前記記録ヘッドに大気開放弁が接続された大気連通口が
   形成され、前記キャップの大気開放時には前記記録ヘッ
   ドの大気連通孔を介して大気が閉鎖空間に流れ込むイン
   クジェットプリンタ。