JP2003188019A - コイル部品 - Google Patents

コイル部品

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JP2003188019A
JP2003188019A JP2001389127A JP2001389127A JP2003188019A JP 2003188019 A JP2003188019 A JP 2003188019A JP 2001389127 A JP2001389127 A JP 2001389127A JP 2001389127 A JP2001389127 A JP 2001389127A JP 2003188019 A JP2003188019 A JP 2003188019A
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coil
electrode
ceramic body
coil component
layer
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JP2001389127A
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English (en)
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Akihiko Ibata
昭彦 井端
Michihisa Oba
美智央 大庭
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は電極部を通過する磁束に起因して生
じる電気的損失を制御し、信頼性を向上したコイル部品
を提供することを目的としている。 【解決手段】 セラミック素体1上に螺旋状導体9から
なるコイル部2と電極部3を有し、セラミック素体1に
おいて表面にコイル部2を有する部分と電極部3を有す
る部分の透磁率が異なる構成のコイル部品にすることに
よって、コイル部品の損失を制御することが可能にな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種電子機器、通信
機器等に利用されるコイル部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コイル部品は各種電子機器、通信機器等
に多用されており、近年は小型あるいは薄型、さらには
多機能なコイル部品がますます要求されており、しか
も、回路の高周波化、高速信号化やデジタル化に伴って
ノイズ対策部品としてのコイル部品もますます重要にな
ってきている。
【0003】従来これらの要望を満たすコイル部品とし
ては、フェライト磁性層とコイル用導体層を交互に積層
して得るものや、あるいはフェライト磁性層にコイル用
導体層を形成しこれらを積層して得るもの等種々提案さ
れている。
【0004】特に、セラミック素体に導体層を形成し、
この導体層を螺旋状に切断してコイル部を形成し、この
コイル部と接続する電極部を形成したコイル部品等で
は、そのセラミック素体としてフェライト磁性材料から
なるフェライトコアを用いたり、フェライト磁性材料に
ガラスを添加したフェライトコアを用いたり、ガラス層
を形成したフェライトコアを用いたりしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、セラミック
素体の材質に関係なくコイル部により磁束が発生する
が、上記構成によればセラミック素体が同一の材料であ
り、コイル部により発生した磁束はそのまま電極部を通
過する。そして、磁束が電極部を通過すると、それに応
じて電気的損失が生じる。
【0006】上記構成では、電極部を通過する磁束に起
因して、電気的損失が生じ、その電気的損失は制御でき
ないので、信頼性が低下するという問題点を有してい
た。
【0007】本発明は上記問題点を解決し、電極部を通
過する磁束に起因して生じる電気的損失を制御し、信頼
性を向上したコイル部品を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するために以下の構成を有する。
【0009】本発明の請求項1に記載の発明は、特に、
セラミック素体は電極部に対向する電極対向部の透磁率
とコイル部に対向するコイル対向部の透磁率とを異なら
せた構成である。一般的に、磁束は透磁率の小さい部分
よりも透磁率の大きい部分を通過するが、上記構成によ
れば、電極部に対向する電極対向部の透磁率とコイル部
に対向するコイル対向部の透磁率とを異ならせているの
で、電極対向部およびコイル対向部の内、コイル部によ
って生じる磁束は透磁率の大きい方を通過し易く、透磁
率の小さい方にはあまり通過しない。
【0010】つまり、磁束が電極部を通過するとそれに
応じて電気的損失が生じるので、電極部での電気的損失
を小さくしたい場合は、コイル対向部の透磁率よりも電
極対向部の透磁率を小さくし、電極部での電気的損失を
大きくしたい場合は、コイル対向部の透磁率よりも電極
対向部の透磁率を大きくすればよい。
【0011】よって、必要に応じて電極対向部の透磁率
とコイル対向部の透磁率とを異ならせれば、電極部を通
過する磁束に起因した電気的損失を制御でき、信頼性を
向上できる。
【0012】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、特に、セラミック素体は電極
部に対向する電極対向部の透磁率をコイル部に対向する
コイル対向部の透磁率よりも小さくした構成である。上
記構成により、コイル部に対向するコイル対向部の透磁
率よりも電極部に対向する電極対向部の透磁率を小さく
しているので、コイル部によって生じる磁束は透磁率の
大きいコイル対向部を通過し易く、透磁率の小さい電極
対向部にはあまり通過しない。よって、磁束は電極部を
通過しにくくなり、それに応じて電気的損失も減少し、
信頼性を向上できる。
【0013】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、特に、セラミック素体は外周
面と側面とを有する柱状とし、電極部を前記外周面の端
部および前記側面に設けるとともに、コイル部を前記外
周面の前記電極部間に設けた構成である。上記構成によ
り、コイル対向部の透磁率よりも電極対向部の透磁率を
小さくした場合は、電極部に磁束が通過しにくくなり、
コイル部で生じた磁束はセラミック素体の外周面の電極
部とコイル部との境界近傍から漏洩しながらコイル部を
周回する。
【0014】また、コイル対向部の透磁率よりも電極対
向部の透磁率を大きくした場合は、電極部に磁束が通過
し易くなり、コイル部で生じた磁束はセラミック素体の
外周面の電極部とコイル部との境界近傍からあまり漏洩
せずにそのまま電極部を通過してコイル部を周回する。
よって、必要に応じて電極対向部の透磁率とコイル対向
部の透磁率とを選択すれば、電極部を通過する磁束に起
因した電気的損失を制御でき、信頼性を向上できる。
【0015】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、特に、セラミック素体は外周
面と側面とを有する柱状とし、電極部を前記側面にのみ
設けるとともに、コイル部を前記外周面の前記電極部間
に設けた構成である。上記構成により、請求項3に記載
の発明と同様の効果を生じ、必要に応じて電極対向部の
透磁率とコイル対向部の透磁率とを選択すれば、電極部
を通過する磁束に起因した電気的損失を制御でき、信頼
性を向上できる。
【0016】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、特に、セラミック素体は外周
面と側面とを有する柱状とし、電極部を前記外周面の端
部のみに設け、コイル部を前記電極部間に設けた構成で
ある。上記構成により、請求項3に記載の発明と同様の
効果を生じ、必要に応じて電極対向部の透磁率とコイル
対向部の透磁率とを選択すれば、電極部を通過する磁束
に起因した電気的損失を制御でき、信頼性を向上でき
る。また、電極対向部の中心部近傍のみの透磁率をコイ
ル対向部の透磁率と略同等にすれば、電極部はセラミッ
ク素体の側面に設けていないので、コイル部で生じる磁
束は電極対向部の中心部近傍からそのまま側面を通過し
てコイル部を周回し、電極部を通過する磁束に起因した
電気的損失を減少させることができる。
【0017】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、特に、コイル部には外装材か
らなる外装部を被覆した構成である。上記構成により、
絶縁性の優れたコイル部品を得ることができる。
【0018】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項
6に記載の発明において、特に、外装材はガラスとセラ
ミックの混合体とした構成である。上記構成により、強
度の優れたコイル部品を得ることができる。
【0019】本発明の請求項8に記載の発明は、請求項
6に記載の発明において、特に、外装材はフェライト磁
性材料からなる磁性体とした構成である。上記構成によ
り、インダクタンスの大きいコイル部品を得ることがで
きる。
【0020】本発明の請求項9に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、特に、セラミック素体はTi
2を含有した誘電体材料からなる誘電体とした構成で
ある。上記構成により、コンデンサ機能を有するコイル
部品を得ることができる。
【0021】本発明の請求項10に記載の発明は、請求
項1に記載の発明において、特に、セラミック素体はフ
ェライト磁性材料からなる磁性体とした構成である。上
記構成により、電気特性の優れたコイル部品を得ること
ができる。
【0022】本発明の請求項11に記載の発明は、請求
項1に記載の発明において、特に、セラミック素体は磁
性材料とガラスの混合体とした構成である。上記構成に
より、電気特性の優れたコイル部品を得ることができ
る。
【0023】本発明の請求項12に記載の発明におい
て、請求項1に記載の発明において、特に、セラミック
素体はAl23を含有した絶縁材料からなる絶縁体とし
た構成である。上記構成により、高周波特性の優れたコ
イル部品を得ることができる。
【0024】本発明の請求項13に記載の発明におい
て、請求項1に記載の発明において、特に、セラミック
素体上に下地層を設け、螺旋状導体とセラミック素体と
の間に前記下地層を介在させるとともに、前記下地層は
導体を絶縁化した導体絶縁化層とした構成である。上記
構成により、電気特性の優れたコイル部品を得ることが
できる。
【0025】本発明の請求項14に記載の発明は、請求
項13に記載の発明において、特に、下地層はNi系金
属を絶縁化したNi系金属絶縁化層とするとともに、螺
旋状導体はAg系金属からなるAg系金属層を螺旋状に
加工して形成した構成である。上記構成により、セラミ
ック素体と螺旋状導体からなるコイル部との付着性の優
れたコイル部品を得ることができる。
【0026】本発明の請求項15に記載の発明は、請求
項13に記載の発明において、特に、下地層は2層から
なり、セラミック素体側を第1層とするとともに螺旋状
導体側を第2層としており、前記第1層はNi系金属を
絶縁化したNi系金属絶縁化層とするとともに、前記第
2層はCu系金属を絶縁化したCu系金属絶縁化層と
し、前記螺旋状導体はAg系金属からなるAg系金属層
を螺旋状に加工して形成した構成である。上記構成によ
り、第1層と第2層との接合性が優れたコイル部品を得
ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を用い
て、本発明の全請求項に記載の発明について図面を参照
しながら説明する。
【0028】図1は本発明の一実施の形態におけるコイ
ル部品の断面図、図2は同コイル部品の一部切欠斜視
図、図3は外装部形成前の同コイル部品の正面図、図4
(a)〜(f)は同コイル部品の製造工程を示す工程図
である。
【0029】図1〜図3において、本発明のコイル部品
は、外周面と側面とを有する直方体形状であって、中央
部のコイル部を形成する部分がやや細くなったセラミッ
ク素体1と、このセラミック素体1の全面に形成した下
地層6と、この下地層6上に形成した導体層7と、セラ
ミック素体1の外周面に対向する導体層7を螺旋状に加
工して形成した螺旋状導体9からなるコイル部2と、こ
のコイル部2と電気的に接続し、側面および外周面の端
部に有した電極部3と、セラミック素体1の細くなった
部分を太らせ全体としてほぼ直方体状になるようにコイ
ル部2に被覆した外装材からなる外装部4とを備えてい
る。このとき、コイル部品の外形寸法としては、側面が
1ミリ角程度以下で幅が2ミリ程度以下の非常に小さい
寸法を想定している。
【0030】また、螺旋状導体9からなるコイル部2と
セラミック素体1との間に介在する下地層6は、導体を
絶縁化した導体絶縁化層であって、セラミック素体1側
を第1層とするとともに、コイル部2側を第2層とした
2層からなっている。
【0031】下地層6および導体層7の材質について
は、下地層6の第1層はNi系金属を絶縁化したNi系
金属絶縁化層とするとともに、下地層6の第2層はCu
系金属を絶縁化したCu系金属絶縁化層とし、導体層7
はAg系金属からなるAg系金属層としている。
【0032】さらに、セラミック素体1および外装材は
フェライト磁性材料からなる磁性体としている。
【0033】そして、セラミック素体1は、表面にコイ
ル部2が存在する部分(コイル対向部12)と電極部3
が存在する部分(電極対向部11)の透磁率が異なり、
図1に示すように、2本の破線で示した境界10におい
て、透磁率が異なるようにしている。
【0034】このとき、セラミック素体1は、電極部3
に対向する電極対向部11の透磁率をコイル部2に対向
するコイル対向部12の透磁率よりも小さくしている。
【0035】上記構成により、電極部3に対向する電極
対向部11の透磁率とコイル部2に対向するコイル対向
部12の透磁率とを異ならせているので、電極対向部1
1およびコイル対向部12の内、コイル部2によって生
じる磁束は透磁率の大きい方を通過し易く、透磁率の小
さい方にはあまり通過しない。
【0036】つまり、磁束が電極部3を通過すると、そ
れに応じて電気的損失が生じるので、電極部3での電気
的損失を小さくしたい場合は、コイル対向部12の透磁
率よりも電極対向部11の透磁率を小さくし、電極部3
での電気的損失を大きくしたい場合は、コイル対向部1
2の透磁率よりも電極対向部11の透磁率を大きくすれ
ばよい。
【0037】コイル対向部12の透磁率よりも電極対向
部11の透磁率を小さくすれば、磁束は電極部3をあま
り通過せず、それに応じて電気的損失もあまり生じず、
電極対向部11とコイル対向部12との間から漏洩しコ
イル部を周回する。
【0038】コイル対向部12の透磁率よりも電極対向
部11の透磁率を大きくすれば、磁束は電極部3を通過
してそれに応じて電気的損失も生じながらコイル部を周
回する。
【0039】よって、必要に応じて電極対向部11の透
磁率とコイル対向部12の透磁率とを異ならせれば、電
極部3を通過する磁束に起因した電気的損失を制御で
き、信頼性を向上できる。特に、上記構成ではコイル部
2に対向するコイル対向部12の透磁率よりも電極部3
に対向する電極対向部11の透磁率を小さくしているの
で、コイル部2によって生じる磁束は透磁率の大きいコ
イル対向部12を通過し易く、透磁率の小さい電極対向
部11にはあまり通過せず、電極部3を通過する磁束に
起因した電気的損失を減少させ信頼性を向上できる。
【0040】また、コイル部2を外装部4で被覆してい
るので、絶縁性を向上できる。
【0041】さらに、セラミック素体1をフェライト磁
性材料からなる磁性体としているので電気的特性を向上
できるとともに、外装材もフェライト磁性材料からなる
磁性体としているので、コイル部2で発生する磁束が漏
洩せずに外装部4を通過し易くなり、インダクタンスを
大きくでき磁気回路を調整し易くできる。
【0042】特に、セラミック素体1は適宜材料を選択
することにより、コイル部品として各種の用途に使用で
き、TiO2を含有した誘電体材料からなる誘電体とす
ればコンデンサ機能を得ることができ、Al23を含有
した絶縁材料からなる絶縁体とすれば高周波特性を向上
できる。
【0043】なお、セラミック素体1において異なる透
磁率の境界10の位置は、コイル部2に対向するコイル
対向部12と電極部3に対向する電極対向部11との間
として明確に区切る必要はない。コイル部2の中央部と
電極部3の部分およびコイル部2の両端部の透磁率が異
なる場合でもよい。必要なことは、セラミック素体1が
異なる透磁率の複数の部分で構成されていることであ
る。その位置としては、コイル部2の中心と電極部3の
部分であり、その境界はコイル部2側にずれていても、
逆に電極部3側にずれていてもよい。コイルの電気特性
に密接に関係する部分(コイル対向部12)と損失に関
わる部分(電極対向部11)との境界10の位置を適宜
変えることによって、種々の電気特性のコイル部品を得
ることができる。
【0044】また、螺旋状導体9からなるコイル部2と
電極部3の間には、これらを電気的に接続するための導
体からなる引出電極5を設けているが、これにより、コ
イル部2で発生する磁束を電極部3に鎖交する量を軽減
できる。
【0045】さらに、電極部3はセラミック素体1の側
面にのみ設けたり、外周面の端部のみに設けたりしても
よい。特に、外周面の端部のみに電極部3を設けた場
合、電極対向部11の中心部近傍のみの透磁率をコイル
対向部12の透磁率と略同等にすれば、電極部3はセラ
ミック素体1の側面に設けていないので、コイル部2で
生じる磁束は電極対向部11の中心部近傍からそのまま
側面を通過してコイル部2を周回し、電極部3を通過す
る磁束に起因した電気的損失を減少させることができ
る。
【0046】次に、図4(a)〜(f)において、本発
明のコイル部品の製造方法の一例を説明する。
【0047】第1に、図4(a)に示すように、セラミ
ック素体を作製する一例を説明する。セラミック素体1
の材質をフェライト磁性材料からなるフェライト磁性体
とした場合は、フェライト粉体、バインダー、溶剤およ
び可塑剤を混合してスラリーを形成する。シート成型機
を用いてグリーンシート(未焼成のセラミックシート)
を形成する。グリーンシートを裁断して所定の大きさの
グリーンシートを形成する。裁断したグリーンシートを
積層してグリーンシートからなる積層体(積層セラミッ
クシート)を形成する(積層シート形成工程)。
【0048】積層体をさらに成型し切断して複数の個片
に分離する。これら個片を脱脂および焼成(焼成温度範
囲は約800℃から1600℃の範囲)してセラミック
素体1を形成する(素体形成工程)。
【0049】また、セラミック素体1をセラミックで構
成する場合は、ガラス、ガラスセラミックス、CuZn
系フェライト、NiZn系フェライト、NiZnCu系
フェライト、フォルステライトあるいはアルミナに代表
されるような非磁性のセラミックスや酸化物磁性体であ
る各種フェライト材料等を含有したグリーンシートを用
いる。
【0050】セラミック素体1は、部分によって透磁率
が異なるように複数のセラミックシートの内、透磁率の
高いセラミックシートの一部からなる高透磁率と、透磁
率の低いセラミックシートの一部からなる低透磁率部と
を形成しており、セラミックシートの具体的な組み合わ
せとしては、NiZnCu系フェライトとCuZn系フ
ェライトあるいはガラスセラミックと、ガラスとフェラ
イト磁性体の混合体の組み合わせ等がある。
【0051】さらに、グリーンシートを形成するための
スラリーは、各種のフェライト粉末(場合によっては、
ガラスセラミックや各種セラミック粉末)と酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール、ブチ
ルカルビトール、テルピネオール等の溶剤、エチルセル
ロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキサイド、エチレン−酢酸ビニル等
の結合剤、各種の酸化物あるいはガラス類等の焼結助剤
を添加し、ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレ
ート、グリセリン等の可塑剤あるいはさらに分散剤等を
添加してもよい。これらを混合したスラリーを用いてセ
ラミックシートを形成する。特に、グリーンシートを作
製する場合のスラリーとしては、蒸発性の優れた各種の
溶剤、例えば酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエ
ン、アルコール等が望ましい。
【0052】第2に、図4(b)に示すように上記によ
り作製したセラミック素体1の全面に導体からなる下地
層6を形成する。さらに、図4(c)に示すように下地
層6の表面に導体層7を形成する。形成後の断面はセラ
ミック素体1の表面に下地層6があり、さらに導体層7
がそれらを覆うようになる。
【0053】下地層6や導体層7を形成する方法として
は、めっき、蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、
塗布、転写、印刷、ディピング、溶射、吹き付け等で形
成し、螺旋状へのパターンニングにはカット、マスキン
グ、エッチング等を用いて行うことができる。
【0054】下地層6を湿式めっき法で形成する場合、
セラミック素体1に無電解めっき法でまず下地層6を薄
く形成し、この下地層6を電極として機能させ他の電極
材をめっき法で形成する方法等で複数層の導体層7を容
易に形成することができる。また、無電解めっき法は様
々な溶液処理が不可欠なため、この下地層6の形成を乾
式方法で行ってもよい。
【0055】下地層6の材料としては、Ni系金属のニ
ッケルやCu系金属の銅等が一般的で望ましい。これら
は湿式めっき法で形成する方法も十分に確立されてい
る。下地層6はこれらの単層ないしは複層であってもよ
い。特に、下地層6を2層とし、第1層をNi系金属、
第2層をCu系金属としてもよい。
【0056】導体層7の材料としては、電気的に良導体
であれば何でもよいが、大気中で焼成しても金属を維持
できるAg系金属の銀、銀とパラジウムの合金や銀と白
金の合金あるいは白金等が望ましい。つまり、導体層7
は熱処理を大気中で行っても金属として維持でき、下地
層6は反対に酸化物化ないしはセラミック素体1中に拡
散することが望ましい。
【0057】第3に、図4(d)に示すように導体層7
の一部を螺旋状に切断してコイル部2を形成する(コイ
ル部形成工程)。このとき、コイル部2に対向するコイ
ル対向部12はセラミック素体1に形成した高透磁率部
と対向するようにする。
【0058】導体層7の少なくとも一部を螺旋状にする
方法としては、レーザーを用いた切断や砥石や刃物を用
いた切断、砥粒等を高速でワークにあてた加工等様々な
方法があるが、生産性を考慮するとレーザーを用いる方
法が望ましい。
【0059】他の方法としては、水、炭酸ガス、砥粒等
を吹き付けてのパターン形成あるいは刃物や砥石を用い
たパターン形成等や、金型やめっき等で所定形状に予め
形成した導体を転写する方法、マスキングとマスキング
を施していない部分の導体を除去する方法等がある。
【0060】さらに別な方法としては、電極部3および
コイル部2を形成しない部分にマスキングし、マスキン
グを施していない部分に導体層7を形成する方法や電極
部3およびコイル部2が形成される部分にのみ導体層7
を直接形成する方法等もある。
【0061】さらには、セラミック素体1の表面形状を
ねじ状にし、その表面に導体を形成し、ねじ山を排除す
る程度削り落すことによって、セラミック素体1の表面
の一部に螺旋状導体9からなるコイルを形成することも
可能である。
【0062】第4に、コイル部2を形成したこれらに熱
処理を施す。これにより、下地層6は絶縁化され、第1
層はNi系金属絶縁化層となり、第2層はCu系金属絶
縁化層となる。
【0063】第5に、熱処理を施したものは必要に応じ
て図4(e)に示すようにコイル部2の表面に外装部4
を形成する。導体層7の螺旋状に加工したコイル部2を
覆うように外装部4を設けることにより、コイル部2の
保護と絶縁が可能になる。外装部4を樹脂とした場合、
この樹脂にセラミック粉末を含有させると外装部4の強
度を向上し、セラミック粉末を磁性粉末にすれば磁気シ
ールド性や電気特性の向上が可能になる。
【0064】樹脂系の外装部4を用い、外装部4を形成
した後、熱処理を行う場合は、熱処理温度の限界温度は
その耐熱温度となる。外装部4を形成した後熱処理する
方法では、例えばセラミック素体1にフェライト磁性体
を用い、外装部4にもフェライト磁性体を用いることで
熱処理と外装部4の焼結も兼ねることができ、外装部4
形成後は磁気回路的には閉磁路構成となり、優れた電気
特性のコイル部品を得ることができる。しかも、この場
合は磁気シールド性もさらに向上する。
【0065】外装部4は非磁性体であっても磁性体であ
ってもいずれでもよい。必要なコイル部品の特性を確保
するために適宜選択すればよい。当然のことながらこれ
らには絶縁性が要求される。非磁性体としては、エポキ
シ、ポリイミド等の有機系の絶縁材料、ガラス、ガラス
セラミックス、CuZn系フェライトあるいはアルミナ
に代表されるようなセラミック等の無機系の絶縁材料等
の電気的に絶縁性があればどのようなものであってもよ
い。磁性体としては、NiZn系やNiZnCu系、M
nZn系等のスピネル系や六方晶系等のフェライト材料
等がある。
【0066】外装部4を誘電率の低いもので構成すれ
ば、コイル部2の浮遊容量を低減することができ、コイ
ル部2の自己共振周波数を高めることやコイル部2の高
周波特性を改善することが可能になる。
【0067】第6に、図4(f)に示すように導体層7
の表面で外装部4を形成していない露出している部分に
さらに電極部3を形成する(電極部形成工程)。
【0068】このとき、電極部3に対向する電極対向部
11はセラミック素体1に形成した低透磁率部と対向す
るようにする。
【0069】電極部3としては導電性材料であればよい
が、単一層でなく複数層から構成されることが望まし
い。ニッケル電極層と半田電極層ないしは錫電極層等の
複層構造が一般的であり、形成方法は湿式めっき法での
形成が通常一般的に多用されている。外装部4を形成し
た場合は、この湿式めっき法による電極部3の形成が有
利であるが、他の方法として電極ペーストの塗布や蒸
着、スパッタあるいはイオンプレーティング等の乾式電
極形成法等もある。
【0070】また、表面実装用とした場合にはプリント
配線板への実装時の実装強度あるいは実装時の半田の濡
れ性、半田くわれ等を配慮する必要があり、具体的には
最下層は導体層7と同じ導体材料を用い、中間層には半
田くわれを防止するニッケル電極を用い、最外層には半
田に対して濡れ性の良い半田電極あるいは錫電極等を用
いる。この構成以外にも金属等の導電性に優れた材料以
外に導電性樹脂材料、銀と白金の合金や銀とパラジウム
の合金等でもよい。
【0071】さらに、導体層7と電極部3の一部の層を
一体にすることによって、導体層7と電極部3との接続
信頼性を優れたものにすることができる。例えば、セラ
ミック素体1の表面全面に導体層7を例えば銀で構成
し、電極部3は銀を下地にしてさらにニッケルと錫の積
層構造とすることによって、接続信頼性を高めるととも
にチップ部品としての実装性も優れたコイル部品にな
る。
【0072】そして、セラミック素体1の表面に絶縁体
化した下地層6があり、さらに導体層7がそれらを覆
い、導体層7の螺旋状のコイル部2は外装部4で覆わ
れ、外装部4で覆われていない導体層7の部分には電極
部3が形成されたコイル部品を得ることができる。
【0073】上記方法によれば、図4を用いて示したよ
うにセラミック素体1の表面に下地層6を形成し、さら
に下地層6上に導体層7を形成し、次に少なくとも導体
層7の一部を螺旋状に切断した後熱処理を施し、特に、
螺旋状に導体層7を切断した後熱処理を施しているの
で、螺旋状に導体層7を切断する際にセラミック素体
1、下地層6や導体層7のそれぞれ単独ないしはお互い
が反応して加工変質部等が生じても、コイル部品として
重要な電気特性を確保できる。
【0074】しかも、螺旋状に切断する部分は少なくと
も導体層7とすれば、この熱処理で下地層6は絶縁体化
してコイル部品としては十分な絶縁体と変化する。
【0075】特に、前述した加工変質部は場合によって
は、絶縁抵抗が小さい物質が生成されることがあるが、
熱処理を施すことによって絶縁抵抗が加工前の問題のな
いレベルに回復可能である。例えば、セラミック素体1
としてNiZnCu系フェライトを用い、下地層6とし
てニッケル電極層を用い、さらに導体層7として銀電極
層を用いて螺旋状に切断する方法としてYAGレーザー
を用いた場合、熱処理温度としては200℃以上の温度
でコイル部品を得るのに必要な絶縁抵抗レベルに回復す
る。さらに、トランスのコイル間等のように十分な絶縁
抵抗を確保するためには、さらに高温度の熱処理を施す
ことによって例えばYAGレーザー加工前のレベルに回
復可能である。銀電極を用いた場合は、熱処理の限界温
度としては銀の融点である約960℃までの温度が限界
となる。
【0076】つまり、本発明の製造方法では、導体層7
を螺旋状に切断してコイル部2を形成した後熱処理を施
すことで、螺旋化に伴う絶縁性劣化と下地層6の絶縁化
による螺旋化の容易化や導体層7の付着性の確保等がで
きる。
【0077】なお、上記実施の形態においては、面実装
タイプとして両端等に電極部3を設けたのもについての
み説明してきたが、セラミック素体1にピン端子を埋設
したものや、電極部3の代りに端子を有するキャップ状
電極をセラミック素体1の両端に嵌合結合したリードタ
イプのコイル部品とすることも容易にできる。特に、セ
ラミック素体1の形状も単なる直方体のものでも、その
他の形状でもよい。直方体のセラミック素体1を用いた
場合は図5に示すような断面形状となる。
【0078】また、アルミナやフェライト等のセラミッ
ク基板に所定の配線パターンを形成し、セラミック基板
に窓を設けてコイル部品を挿入し、配線パターンとコイ
ル部品の電極部3を接続させ、厚膜形成プロセスを用い
て焼成して電気的に結線してもよい。
【0079】次に本発明のコイル部品を製造する方法を
より具体的に説明する。
【0080】(実施例1)NiZnCuフェライト粉末
100gに対してブチラール樹脂を8g、ブチルベンジ
ルフタレートを4g、メチルエチルケトンを24gおよ
び酢酸ブチルを24g混合し、ポットミルを用いて混練
してNiZnCuフェライトスラリーを作製する。
【0081】このスラリーを使い、コータを用いて乾燥
後厚み0.2mmのNiZnCuフェライトグリーンシ
ートを作製する。なおグリーンシートはPETフィルム
上に形成する。
【0082】同様に、ZnCuフェライト粉末100g
に対してブチラール樹脂を8g、ブチルベンジルフタレ
ートを4g、メチルエチルケトンを24gおよび酢酸ブ
チルを24g混合し、ポットミルを用いて混練してZn
Cuフェライトスラリーを作製する。
【0083】同様に、このスラリーを使い、コータを用
いて乾燥後厚み0.2mmのZnCuフェライトグリー
ンシートを作製する。なおグリーンシートはPETフィ
ルム上に形成する。
【0084】前記のZnCuフェライトグリーンシート
を2枚、NiZnCuフェライトグリーンシートを6
枚、さらにZnCuフェライトグリーンシートを2枚積
層し、加圧成型して厚みが1.8mmの積層体を作製す
る。この積層体を一辺が0.85mmになるように切断
し、直方体状のセラミックグリーン素体を作製する。こ
のセラミックグリーン素体を900℃で2時間保持する
条件で焼成する。
【0085】焼成したセラミック素体の全面に図4に示
すように湿式めっき法でニッケル電極を形成し、さらに
ニッケル電極上に銀電極を形成する。さらに螺旋状の溝
部8を銀電極に形成する。なお、溝部8の形成にはYA
Gレーザーを用い、コイル部2はセラミック素体1の中
央に位置し、その長さは0.7mmとする。さらに、コ
イル部2を形成した。試料を200℃から900℃の温
度域で100℃間隔の温度で熱処理を施したものをそれ
ぞれ1コイル、全部で8試料作製する。
【0086】以上の方法で得られたコイル部品には剥
離、割れ、反り等の欠陥は認められなく、熱処理温度に
対して個々の試料で有意差は認められない。
【0087】次に、インピーダンスアナライザを用いて
コイル特性を測定したところ、全ての試料共に優れた特
性を有するコイル部品であった。
【0088】比較のために、NiZnCuフェライトグ
リーンシートを10枚積層し、前記と同様に加圧成型し
て厚みが1.8mmの積層体を作製した。この積層体を
一辺が0.85mmになるように切断し、直方体状のセ
ラミックグリーン素体を作製した。このセラミックグリ
ーン素体を900℃で2時間保持する条件で焼成した。
【0089】この焼成したセラミック素体1を用いて前
記と同様にNi電極、銀電極を形成して、YAGレーザ
ーを用いてコイル部を形成し、同様に種々の温度で熱処
理を施した。このように作製したコイルをインピーダン
スアナライザを用いてコイル特性を測定した。
【0090】コイル部品のQを比較すると、本発明のコ
イル部品の方が大きく、約2倍の大きさであった。
【0091】(実施例2)NiZnCuフェライト粉末
とガラス粉末の混合粉100gに対してブチラール樹脂
を8g、ブチルベンジルフタレートを4g、メチルエチ
ルケトンを24gおよび酢酸ブチルを24g混合し、ポ
ットミルを用いて混練してNiZnCuガラスフェライ
トスラリーを作製する。
【0092】このスラリーを使い、実施例1と同様にコ
ータを用いて乾燥後厚み0.2mmのNiZnCuガラ
スフェライトグリーンシートを作製する。なおグリーン
シートはPETフィルム上に形成する。
【0093】同様に、ガラスセラミック粉末100gに
対してブチラール樹脂を8g、ブチルベンジルフタレー
トを4g、メチルエチルケトンを24gおよび酢酸ブチ
ルを24g混合し、ポットミルを用いて混練してガラス
セラミックスラリーを作製する。
【0094】同様に、このスラリーを使い、コータを用
いて乾燥後厚み0.2mmのガラスセラミックグリーン
シートを作製する。なおグリーンシートはPETフィル
ム上に形成する。
【0095】前記のガラスセラミックグリーンシートを
2枚、NiZnCuガラスフェライトグリーンシートを
6枚、さらにガラスセラミックグリーンシートを2枚積
層し、加圧成型して厚みが1.8mmの積層体を作製す
る。この積層体を一辺が0.85mmになるように切断
し、直方体状のセラミックグリーン素体を作製する。こ
のセラミックグリーン素体を900℃で30分間保持す
る条件で焼成する。
【0096】焼成したセラミック素体1の全面に湿式め
っき法で銀電極を形成する。さらに螺旋状の溝部8を銀
電極を形成する。なお、溝部8の形成にはYAGレーザ
ーを用い、コイル部2はセラミック素体1のほぼ中央に
位置し、その長さは0.7mmとする。
【0097】以上の方法で得られたコイル部品には剥
離、割れ、反り等の欠陥は認められない。次に、インピ
ーダンスアナライザを用いて、コイル特性を測定したと
ころ、優れた特性を有するコイル部品であった。
【0098】比較のために、NiZnCuガラスフェラ
イトグリーンシートを10枚積層し、前記と同様に加圧
成型して厚みが1.8mmの積層体を作製した。この積
層体を一辺が0.85mmになるように切断し、直方体
状のセラミックグリーン素体を作製した。
【0099】このセラミックグリーン素体を900℃で
30分保持する条件で焼成した。
【0100】この焼成したセラミック素体1を用いて前
記と同様に銀電極を形成して、YAGレーザーを用いて
コイル部を形成した。このように作製したコイルをイン
ピーダンスアナライザを用いて、コイル特性を測定し
た。
【0101】コイル部品のQを比較すると、本発明のコ
イル部品の方が大きく、約2倍の大きさであった。
【0102】(実施例3)モル比でFe23/NiO/
ZnO/CuOが48/21/21/10の組成のNi
ZnCuフェライト粉末100gに対してブチラール樹
脂を6g、ブチルベンジルフタレートを4g、メチルエ
チルケトンを24gおよび酢酸ブチルを24g混合し、
ポットミルを用いて混練して第1NiZnCuフェライ
トスラリーを作製する。
【0103】このスラリーを使い、実施例1と同様にコ
ータを用いて乾燥後厚み0.2mmの第1NiZnCu
フェライトグリーンシートを作製する。なおグリーンシ
ートはPETフィルム上に形成する。
【0104】同様に、モル比でFe23/NiO/Zn
O/CuOが48/10/32/10の組成のNiZn
Cuフェライト粉末100gに対してブチラール樹脂を
6g、ブチルベンジルフタレートを4g、メチルエチル
ケトンを24gおよび酢酸ブチルを24g混合し、ポッ
トミルを用いて混練して第2NiZnCuフェライトス
ラリーを作製する。
【0105】同様に、このスラリーを使い、コータを用
いて乾燥後厚み0.2mmの第2NiZnCuフェライ
トグリーンシートを作製する。なおグリーンシートはP
ETフィルム上に形成する。
【0106】前記の第2NiZnCuフェライトグリー
ンシートを2枚、第1NiZnCuガラスフェライトグ
リーンシートを6枚、さらに第2NiZnCuフェライ
トグリーンシートを2枚積層し、加圧成型して厚みが
1.8mmの積層体を作製する。この積層体を一辺が
0.85mmになるように切断し、直方体状のセラミッ
クグリーン素体を作製する。このセラミックグリーン素
体を900℃で2時間保持する条件で焼成する。
【0107】焼成したセラミック素体の全面に湿式めっ
き法でニッケル電極を形成し、さらに銅電極を形成した
後全面に銀電極を形成する。さらに螺旋状の溝部8を銀
電極に形成する。なお、溝部8の形成にはYAGレーザ
ーを用い、コイル部2はセラミック素体1のほぼ中央に
位置し、その長さは0.7mmとする。
【0108】以上の方法で得られたコイル部品には剥
離、割れ、反り等の欠陥は認められない。次に、インピ
ーダンスアナライザを用いて、コイル特性を測定したと
ころ、優れた特性を有するコイル部品であった。
【0109】比較のために、第1NiZnCuフェライ
トグリーンシートを10枚積層し、前記と同様に加圧成
型して厚みが1.8mmの積層体を作製した。この積層
体を一辺が0.85mmになるように切断し、直方体状
のセラミックグリーン素体を作製した。
【0110】このセラミックグリーン素体を900℃で
2時間保持する条件で焼成した。
【0111】この焼成したセラミック素体1を用いて前
記と同様にニッケル電極、銅電極さらに銀電極を形成し
て、YAGレーザーを用いてコイル部を形成した。この
ように作製したコイルをインピーダンスアナライザを用
いて、コイル特性を測定した。
【0112】コイル部品のQを比較すると、本発明のコ
イル部品の方が大きく、約20%小さかった。
【0113】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電極部に
対向する電極対向部の透磁率とコイル部に対向するコイ
ル対向部の透磁率とを異ならせているので、電極対向部
およびコイル対向部の内、コイル部によって生じる磁束
は透磁率の大きい方を通過し易く、透磁率の小さい方に
はあまり通過しない。
【0114】つまり、磁束が電極部を通過するとそれに
応じて電気的損失が生じるので、電極部での電気的損失
を小さくしたい場合はコイル対向部の透磁率よりも電極
対向部の透磁率を小さくし、電極部での電気的損失を大
きくしたい場合はコイル対向部の透磁率よりも電極対向
部の透磁率を大きくすればよい。
【0115】よって、必要に応じて電極対向部の透磁率
とコイル対向部の透磁率とを異ならせれば電極部を通過
する磁束に起因した電気的損失を制御でき、信頼性を向
上したコイル部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるコイル部品の断
面図
【図2】同コイル部品の一部切欠斜視図
【図3】外装部形成前の同コイル部品の正面図
【図4】(a)〜(f)同コイル部品の製造工程を示す
工程図
【図5】他のコイル部品の断面図
【符号の説明】
1 セラミック素体 2 コイル部 3 電極部 4 外装部 5 引出電極 6 下地層 7 導体層 8 溝部 9 螺旋状導体 10 境界 11 電極対向部 12 コイル対向部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 27/36 H01F 15/04

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック素体と、このセラミック素体
    上に形成した螺旋状導体からなるコイル部と、前記セラ
    ミック素体上に形成し、前記コイル部と電気的接続をし
    た電極部とを備え、前記セラミック素体は前記電極部に
    対向する電極対向部の透磁率と前記コイル部に対向する
    コイル対向部の透磁率とを異ならせたコイル部品。
  2. 【請求項2】 セラミック素体は電極部に対向する電極
    対向部の透磁率をコイル部に対向するコイル対向部の透
    磁率よりも小さくした請求項1に記載のコイル部品。
  3. 【請求項3】 セラミック素体は外周面と側面とを有す
    る柱状とし、電極部を前記側面および前記外周面の端部
    に設けるとともに、コイル部を前記外周面の前記電極部
    間に設けた請求項1に記載のコイル部品。
  4. 【請求項4】 セラミック素体は外周面と側面とを有す
    る柱状とし、電極部を前記側面にのみ設けるとともに、
    コイル部を前記外周面の前記電極部間に設けた請求項1
    に記載のコイル部品。
  5. 【請求項5】 セラミック素体は外周面と側面とを有す
    る柱状とし、電極部を前記外周面の端部のみに設け、コ
    イル部を前記電極部間に設けた請求項1に記載のコイル
    部品。
  6. 【請求項6】 コイル部には外装材からなる外装部を被
    覆した請求項1に記載のコイル部品。
  7. 【請求項7】 外装材はガラスとセラミックの混合体と
    したものからなる請求項6に記載のコイル部品。
  8. 【請求項8】 外装材はフェライト磁性材料からなる磁
    性体とした請求項6に記載のコイル部品。
  9. 【請求項9】 セラミック素体はTiO2を含有した誘
    電体材料からなる誘電体とした請求項1に記載のコイル
    部品。
  10. 【請求項10】 セラミック素体はフェライト磁性材料
    からなる磁性体とした請求項1に記載のコイル部品。
  11. 【請求項11】 セラミック素体は磁性材料とガラスの
    混合体とした請求項1に記載のコイル部品。
  12. 【請求項12】 セラミック素体はAl23を含有した
    絶縁材料からなる絶縁体とした請求項1に記載のコイル
    部品。
  13. 【請求項13】 セラミック素体上に下地層を設け、螺
    旋状導体とセラミック素体との間に前記下地層を介在さ
    せるとともに、前記下地層は導体を絶縁化した導体絶縁
    化層とした請求項1に記載のコイル部品。
  14. 【請求項14】 下地層はNi系金属を絶縁化したNi
    系金属絶縁化層とするとともに、螺旋状導体はAg系金
    属からなるAg系金属層を螺旋状に加工して形成した請
    求項13に記載のコイル部品。
  15. 【請求項15】 下地層は2層からなり、セラミック素
    体側を第1層とするとともに螺旋状導体側を第2層と
    し、前記第1層はNi系金属を絶縁化したNi系金属絶
    縁化層とするとともに、前記第2層はCu系金属を絶縁
    化したCu系金属絶縁化層とし、前記螺旋状導体はAg
    系金属からなるAg系金属層を螺旋状に加工して形成し
    た請求項13に記載のコイル部品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008270269A (ja) * 2007-04-16 2008-11-06 Murata Mfg Co Ltd 巻線型電子部品用コア、その製造方法及び巻線型電子部品
JP2016162892A (ja) * 2015-03-02 2016-09-05 株式会社村田製作所 電子部品およびその製造方法
WO2023213944A1 (en) * 2022-05-06 2023-11-09 Tdk Electronics Ag Inductive filter element

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