JP2003187635A - プロトン導電体およびその製造方法 - Google Patents

プロトン導電体およびその製造方法

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JP2003187635A
JP2003187635A JP2001387270A JP2001387270A JP2003187635A JP 2003187635 A JP2003187635 A JP 2003187635A JP 2001387270 A JP2001387270 A JP 2001387270A JP 2001387270 A JP2001387270 A JP 2001387270A JP 2003187635 A JP2003187635 A JP 2003187635A
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proton
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proton conductivity
heat treatment
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Yuji Isotani
祐二 磯谷
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Honda Motor Co Ltd
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れたプロトン導電率を有し、特に、200〜
250℃の温度領域においてもプロトン導電率の低下が
小さく、このために自動車搭載用の燃料電池の固体電解
質等として好適なプロトン導電体およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】Siのアルコキシド化合物、第5A属元素
のアルコキシド化合物およびリン酸を混合して得られた
ゲルからガラス粉末を得る。このガラス粉末を成形して
得られた成形体(プロトン導電体)は、第5A属元素を
構成元素としない一般的なリン酸−シリカ系複合酸化物
に比して優れたプロトン導電率を有し、200℃でのプ
ロトン導電率は、10-1S/cm以上である。また、温
度領域が200〜250℃であっても、プロトン導電率
の低下が著しく小さい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Si、P、第5A
属元素およびOを構成元素とする複合酸化物からなり、
燃料電池の固体電解質等として好適なプロトン導電体お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における環境保護への関心の高まり
から、電気供給源として燃料電池が着目されている。す
なわち、燃料電池では、アノード側電極でH2ガスがプ
ロトン(H+)と電子とに電離し、一方、カソード側電
極で、電解質を介して移動したH+、外部負荷を介して
移動してきた電子、および供給されたO2ガスとが反応
してH2Oが生成される。このため、NOXやSOX等の
有害ガスを排出することなく電気エネルギを供給するこ
とができるからである。
【0003】燃料電池の内部において、アノード側電極
からカソード側電極へとプロトンを導電させる電解質と
しては、SiCからなる多孔質体にリン酸を含浸させた
ものが特によく知られている。しかしながら、この電解
質には、燃料電池の使用とともにリン酸が滲出してくる
という不具合がある。
【0004】その他の電解質としては、デュポン社から
ナフィオンの商品名で販売されているパーフルオロスル
ホン酸膜等のような、高分子固体電解質が例示される。
この場合、電解質を全て固体(高分子)から構成できる
ので、燃料電池を簡素な構造とすることができる。しか
も、液漏れすることがないので、メンテナンス作業の頻
度を著しく低減することができる。
【0005】しかしながら、高分子固体電解質の中で最
も好適な材料であると言われているナフィオンの場合、
プロトン導電率が良好となるのは、70〜90℃程度の
低温域である。このため、ナフィオンを固体電解質とす
る燃料電池を搭載した自動車を運転する際には、プロト
ン導電率を確保するために、燃料電池を冷却して該燃料
電池の温度が100℃を超えないようにしなければなら
ない。このため、自動車車体に冷却機構を搭載すること
が必要となるので、必然的に、自動車の重量化を招いて
しまう。
【0006】このような理由から、100℃を超える温
度でも良好なプロトン導電率を確保できるプロトン導電
体に関して様々な研究開発がなされている。例えば、特
開2000−272932号公報では、室温から200
℃までのプロトン導電率が比較的高いプロトン導電体と
して、五酸化リンを10モル部以上含む非晶質シリカが
提案されている。また、特開平10−69817号公報
では、酸化ケイ素とブレーンステッド酸との化合物が、
スルホン基を側鎖に有する重合体を結着材として結合さ
れてなるプロトン導電体が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】自動車搭載用の燃料電
池の電解質としては、200〜250℃であってもプロ
トン導電率がなお良好なものが望ましい。この程度の温
度であれば、自動車車体に搭載されているラジエータに
よって容易に調整することができるからである。換言す
れば、燃料電池を冷却するための冷却機構を設置する必
要が特にないからである。
【0008】しかしながら、上記の従来技術に係るプロ
トン導電体では、200℃を超えるとプロトン導電率が
急激に低下するという不具合が顕在化している。このた
め、これらのプロトン導電体を電解質とする燃料電池で
は、200℃を超えると発電特性を維持することが困難
である。
【0009】本発明は上記した問題を解決するためにな
されたもので、200℃を超える場合であっても良好な
プロトン導電率を示し、このため、例えば、発電特性を
維持するために冷却する必要のない燃料電池を構成する
ことが可能なプロトン導電体およびその製造方法を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、Si、P、少なくとも1種の第5A属
元素、およびOを構成元素とし、かつ200℃でのプロ
トン導電率が10-1S/cm以上である複合酸化物から
なることを特徴とする。
【0011】このようなプロトン導電体では、複合酸化
物の主鎖を構成するSiまたはPの一部が第5A属元素
に置換されている。このため、主鎖に歪みが生じ、その
結果、H+とOとの距離が接近する。H+はOに引き寄せ
られることによって移動するので、このように距離が接
近した場合、移動が容易となる。したがって、第5A属
元素を構成元素としていない一般的なリン酸−シリカ系
複合酸化物に比してプロトン導電率が向上する。
【0012】また、このプロトン導電体(複合酸化物)
は、200〜250℃においても優れたプロトン導電率
を示す。このため、自動車搭載用の燃料電池の固体電解
質として好適である。この場合、該燃料電池を冷却する
ための冷却機構はラジエータで充分であり、他の冷却機
構を設置する必要は特にないからである。
【0013】Siに対する第5A属元素の割合は、Si
を1としたときにモル比で0.5以下であることが好ま
しい。また、Siと第5A属元素との総量に対するPの
割合は、Siと第5A属元素との総量を1としたときに
モル比で1.3以下であることが好ましい。これらの値
よりも大きくなると、いずれの場合も、200℃を超え
るとプロトン導電率が低下する傾向にある。
【0014】また、本発明は、Siのアルコキシド化合
物と、第5A属元素のアルコキシド化合物を少なくとも
1種と、リン酸とを混合する混合工程と、得られた混合
物を乾燥する乾燥工程と、乾燥した前記混合物に対して
熱処理を施す熱処理工程と、を有することを特徴とす
る。
【0015】このように、金属アルコキシド化合物同士
とリン酸とを混合することによって上記の複合酸化物を
容易に製造することができる。
【0016】なお、前記混合工程では、Siのアルコキ
シド化合物と第5A属元素のアルコキシド化合物の少な
くとも1種とを混合した後、リン酸を混合することが好
ましい。全ての原材料を同時に混合すると、偏析を生じ
るからである。
【0017】また、前記乾燥工程の後に前記混合物を粉
砕して粉末とする粉砕工程と、前記熱処理工程の後に前
記粉末を成形する成形工程と、を行うことが好ましい。
これにより、プロトン導電体を所望の形状の成形体とし
て得ることができる。
【0018】前記熱処理工程での熱処理温度は、150
〜500℃とすることが好ましい。150℃未満では水
分が充分に除去されず、500℃を超えると縮合反応が
進行しすぎるので、成形体であるプロトン導電体とした
ときに、200℃を超える温度におけるプロトン導電率
を維持することが容易ではなくなるからである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るプロトン導電
体およびその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、
添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0020】本実施の形態に係るプロトン導電体は、S
i、P、少なくとも1種の第5A属元素、およびOを構
成元素とする複合酸化物からなる。第5A属元素とは、
すなわち、周期表の第5A属に属するV、Nb、Taの
ことであり、プロトン導電体には、構成元素としてこの
うちの1種のみが含有されていてもよく、2種以上が同
時に含有されていてもよい。
【0021】このプロトン導電体の構造式を、第5A属
元素をVとして図1に示す。この図1から諒解されるよ
うに、該プロトン導電体は、一般式がH31-XSiO
4-2Xで表される複合酸化物において、SiまたはPの一
部がVに置換されたものである。このような構造の複合
酸化物においては、−OHとして結合しているH+が隣
接する−OH中のOまたは=Oに引き寄せられ、これに
伴って複合酸化物の主鎖方向に沿って移動することによ
り、プロトン(H+)伝導が生じる。
【0022】そして、この複合酸化物におけるプロトン
導電率は、Vが含まれていない一般的なリン酸−シリカ
系複合酸化物に比して大きい。特に、200〜250℃
の温度範囲においては、リン酸−シリカ系複合酸化物で
は、プロトン導電率が急激に低下して10-1S/cm未
満となるのに対し、本実施の形態に係る複合酸化物で
は、10-1S/cm以上を維持する。
【0023】この理由は、SiまたはPのイオン半径と
Vとのイオン半径が大きく異なることから、Vに置換し
た位置に歪みが生じるためであると考えられる。すなわ
ち、歪みが生じることにより、H+と該H+を引き寄せる
Oとの距離が小さくなる。このため、H+が移動し易く
なるからである。
【0024】ここで、Siに対するVの割合は、200
℃での複合酸化物のプロトン導電率が10-1S/cm以
上となる範囲であればよいが、Siを1としたときにモ
ル比で0.5以下であることが好ましい。0.5よりも
大きいと、200℃を超える場合には、プロトン導電率
が比較的大きく低下する傾向にある。
【0025】また、SiとVとの総量に対するPの割合
も、200℃での複合酸化物のプロトン導電率が10-1
S/cm以上となる範囲であればよいが、Si+Vを1
としたときに1.3以下であることが好ましい。1.3
より大きいと、プロトン導電体の強度が充分ではなくな
ることがある。また、水分に対して不安定なものとなる
傾向を示す。
【0026】Si、V、Pのモル比は、例えば、Si:
V:P=4.5:0.5:5に設定することができる。
この場合、Siを1としたときにSiに対するVのモル
比は0.11であり、かつ、Si+Vを1としたときに
Si+Vに対するPのモル比は1.0である。
【0027】このプロトン導電体は、温度が200〜2
50℃であっても、優れたプロトン導電率を示す。具体
的には、一般的なリン酸−シリカ系複合酸化物の220
℃でのプロトン導電率がわずか0.07S/cm程度で
あるのに対し、本実施の形態に係る複合酸化物は、上記
の組成であれば、約0.14S/cmと著しく高い値を
示す。
【0028】このように、本実施の形態に係るプロトン
導電体は、V等の第5A属元素がSiまたはPと置換し
て存在しているので、第5A属元素を構成元素として含
有しない複合酸化物(プロトン導電体)に比して200
〜250℃の温度領域で優れたプロトン導電率を示す。
したがって、例えば、本実施の形態に係るプロトン導電
体を固体電解質として備える燃料電池では、従来技術に
係る燃料電池に比して比較的高温で運転することができ
る。
【0029】このため、この燃料電池を自動車に搭載し
て動力源とする場合であれば、冷却源をともに搭載する
必要は特になく、ラジエータ等の既存の機器を利用して
冷却するようにすればよい。これにより、同等の発電特
性を確保しながらも自動車の軽量化を図ることができ
る。
【0030】次に、本実施の形態に係るプロトン導電体
の製造方法につき、第5A属元素としてVを選定し、成
形体を作製する場合を例として説明する。この製造方法
は、そのフローチャートである図2に示すように、原材
料同士を混合する混合工程S1と、得られた混合物を乾
燥する乾燥工程S2と、乾燥した前記混合物を粉砕して
粉末とする粉砕工程S3と、この粉末(混合物)に対し
て熱処理を施す熱処理工程S4と、熱処理が施された粉
末を成形する成形工程S5とを有する。
【0031】まず、混合工程S1において、原材料同士
を混合する。
【0032】ここで、本実施の形態においては、Si、
Vの原材料として金属アルコキシド化合物、すなわち、
Siのアルコキシド化合物、Vのアルコキシド化合物を
使用し、Pの原材料としてリン酸を使用する。このよう
な物質を使用することにより、複合酸化物を比較的容易
に得ることができる。
【0033】この場合、Siのアルコキシド化合物とV
のアルコキシド化合物とをまず混合し、次いでリン酸を
混合することが好ましい。例えば、エタノール等のアル
コール類を溶媒としてSiのアルコキシド化合物とVの
アルコキシド化合物とを混合し、これを還流したもの
に、リン酸(H3PO4)、水およびエタノール等のアル
コール類が混合された溶媒を少量ずつ添加すればよい。
3物質を同時に混合すると、偏析が生じることがある。
【0034】勿論、原材料同士の混合割合は、最終的に
得られる複合酸化物におけるSi、VおよびPのモル比
が上記の割合となるように設定される。例えば、Si:
V:P=4.5:0.5:5とする場合、Siのアルコ
キシド化合物とVのアルコキシド化合物とを9:1のモ
ル比で混合すればよい。その後、この混合物に対し、S
i+Vと等モル量のPを含むリン酸を混合すればよい。
【0035】勿論、Vに代えてTaまたはNbのアルコ
キシド化合物を用いてもよいし、これらの中から2種以
上を選定して混合するようにしてもよい。
【0036】このようにして得られた混合物内では、加
水分解反応と縮合が生じる。このため、混合物は、最終
的にゲルとなる。
【0037】次いで、乾燥工程S2でこのゲルを乾燥す
る。乾燥しない場合、次なる粉砕工程S3で粉砕を行う
ことが困難となる。なお、乾燥時の温度・時間は、約1
00℃、5時間程度で充分である。
【0038】次いで、該ゲルを粉砕工程S3で粉砕して
粉末とする。粉砕は、例えば、ボールミル等で遂行する
ことができる。
【0039】次いで、熱処理工程S4において、粉末に
対して熱処理を施す。この熱処理に伴って粉末から水分
が除去され、かつ該粉末内で縮合反応が進行する。この
粉末は体積が小さいので、バルク体に比して水分除去お
よび縮合反応を略均一に進行させることができる。そし
て、この熱処理により、複合酸化物のガラス粉末が得ら
れる。
【0040】熱処理温度は、150〜500℃とするこ
とが好ましい。150℃未満では水分が充分に除去され
ず、500℃を超えると縮合反応が進行しすぎるので、
成形体であるプロトン導電体としたときに、200℃を
超える温度におけるプロトン導電率を維持することが容
易ではなくなる。
【0041】最後に、成形工程S5において、このガラ
ス粉末を成形する。この際の成形方法は特定の方法に限
定されるものではなく、プレス成形法や泥しょう鋳込み
法、押出成形法、静水圧成形(CIP)法等、公知の成
形方法を採用することができる。成形体の形状は、使用
形態に応じた形状とすればよい。この形状付与によっ
て、複合酸化物成形体からなるプロトン導電体が得られ
るに至る。
【0042】このように、本実施の形態に係るプロトン
導電体の製造方法によれば、金属アルコキシド化合物と
リン酸とを所定の割合で混合した後に乾燥・粉砕・熱処
理を施してガラス粉末を得、該ガラス粉末を成形して成
形体とすることによって、優れたプロトン導電率を示す
複合酸化物を容易に得ることができる。
【0043】なお、上記した実施の形態においては、第
5A属元素としてVを選定しているが、NbまたはTa
のいずれか一方を選定してもよいし、V、Nb、Taの
うちの2種以上を選定してもよいことはいうまでもな
い。
【0044】
【実施例】エタノールを溶媒として、テトラエチルオキ
シシラン(TEOS):Si(OC254と、タンタ
ルエトキシド:Ta(OC255とを、SiとTaの
モル比が9:1となるように混合した。すなわち、Si
を1とするときに、Taが0.11となるモル比で混合
した。これを1次混合物とする。
【0045】これとは別に、Si+Taを1とするとき
に、Pのモル比が1となる量のH3PO4を含有するH2
Oとエタノールとの混合溶液を用意した。
【0046】次いで、1次混合物を温度80℃でフラス
コ内で撹拌しながら、発生する蒸気を該フラスコに取り
付けられた凝縮器で凝縮させることによって還流を行っ
た。なお、この凝縮器には塩化カルシウムを充填した管
を取り付け、該管を介して凝縮器が外気と通じるように
した。また、還流の際の雰囲気は、N2とした。
【0047】この還流物に、前記混合溶液を滴下しなが
ら混合して、加水分解反応を生じさせた。その後、撹拌
混合を約15時間続行して、Si、Ta、Pが結合した
主鎖を有する複合酸化物のゲルとした。
【0048】このゲルを、約100℃で5時間程度乾燥
させた後、遊星式ボールミルでおよそ1時間かけて粉砕
することにより、混合物粉末を得た。
【0049】次いで、該混合物粉末に対し、300℃で
1時間熱処理を施し、水分を除去するとともに縮合反応
を進行させ、ガラス粉末とした。
【0050】最後に、得られたガラス粉末をプレス成形
で圧粉成形体とした後、成形圧を約40MPaとするC
IP法によって成形し、図3に示すように、4.5mm
×3mm×15mm、密度1.6g/cm3の直方体1
0としてのプロトン導電体を得た。
【0051】そして、この直方体10に4本のAuワイ
ヤ12a〜12dをペースト状のAgで固定して、4端
子法によるインピーダンス測定用の試料14とした。こ
れを実施例1とする。
【0052】また、用いた金属アルコキシド化合物をV
(OC253とした以外は実施例1に準拠して、S
i、V、Pが図1のように結合した主鎖を有するプロト
ン導電体(複合酸化物)からなる試料14とした。これ
を実施例2とする。
【0053】さらに、比較のため、金属アルコキシド化
合物として、Ge(OCH34、Al(O−i−C
373、Ti(O−i−C374を用いて、Si、G
e、Pを構成元素とする複合酸化物、Si、Al、Pを
構成元素とする複合酸化物、Si、Ti、Pを構成元素
とする複合酸化物からなる試料14を作製した。これら
の各々を比較例1〜3とする。
【0054】そして、金属アルコキシドとしてTEOS
のみを使用し、リン酸−シリカ系複合酸化物からなる試
料14を作製した。これを比較例4とする。
【0055】以上の実施例1、2および比較例1〜4の
試料14について、温度を変化させながら露点が80℃
である湿潤雰囲気中でインピーダンスを測定した結果か
ら、プロトン導電率の温度依存性を求めた。結果をグラ
フにして、ナフィオンのプロトン導電率とともに図4に
まとめて示す。
【0056】この図4から、比較例1〜3の試料14に
対し、実施例1、2の試料14が高いプロトン導電率を
示していることが分かる。特に、200〜240℃の温
度範囲では、比較例1〜4の試料14でプロトン導電率
が急激に低下しているのに対し、実施例1、2の試料1
4におけるプロトン導電率が高い値で略一定に維持され
ていることが明らかである。
【0057】このことは、Si、第5A属元素、P、O
を構成元素とするプロトン導電体を固体電解質として採
用することにより、200〜250℃の温度領域で運転
することが可能な燃料電池を構成することができること
を示唆するものである。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るプロ
トン導電体によれば、Si、P、少なくとも1種の第5
A属元素、およびOを構成元素としている。このため、
複合酸化物の主鎖に歪みが生じ、その結果、H+が移動
し易くなるので、該複合酸化物は200〜250℃の温
度領域であっても優れたプロトン導電率を示す。このよ
うな複合酸化物(プロトン導電体)を固体電解質とする
燃料電池は、冷却機構を特に必要としないので、自動車
搭載用として好適である。
【0059】また、本発明に係るプロトン導電体の製造
方法によれば、金属アルコキシドとリン酸とを所定の割
合で混合して製造するようにしているので、優れたプロ
トン導電率を示す複合酸化物を容易に得ることができる
という効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般式がH31-XSiO4-2Xで表される複合酸
化物におけるSiまたはPの一部がVに置換されてなる
複合酸化物の構造式である。
【図2】本実施の形態に係るプロトン導電体の製造方法
のフローチャートである。
【図3】4端子法によるインピーダンス測定用の試料を
示す全体概略説明図である。
【図4】実施例1、2、比較例1〜4の各試料およびナ
フィオンにおいて求められたプロトン導電率の温度依存
性を示すグラフである。
【符号の説明】
10…直方体 12a〜12d
…Auワイヤ 14…試料
フロントページの続き Fターム(参考) 4J030 CA01 CB33 CC16 CC23 CD11 CE02 CF06 CG01 CG02 5G301 CD10 5H026 AA06 BB01 BB02 BB03 BB06 BB08 EE13 EE15 EE17 HH05 HH06 HH08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si、P、少なくとも1種の第5A属元
    素、およびOを構成元素とし、かつ200℃でのプロト
    ン導電率が10-1S/cm以上である複合酸化物からな
    ることを特徴とするプロトン導電体。
  2. 【請求項2】請求項1記載のプロトン導電体において、
    Siに対する第5A属元素の割合は、Siを1としたと
    きにモル比で0.5以下であることを特徴とするプロト
    ン導電体。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のプロトン導電体に
    おいて、Siと第5A属元素との総量に対するPの割合
    は、Siと第5A属元素との総量を1としたときにモル
    比で1.3以下であることを特徴とするプロトン導電
    体。
  4. 【請求項4】Siのアルコキシド化合物と、第5A属元
    素のアルコキシド化合物を少なくとも1種と、リン酸と
    を混合する混合工程と、 得られた混合物を乾燥する乾燥工程と、 乾燥した前記混合物に対して熱処理を施す熱処理工程
    と、 を有することを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4記載の製造方法において、前記混
    合工程で、Siのアルコキシド化合物と第5A属元素の
    アルコキシド化合物の少なくとも1種とを混合した後、
    リン酸を混合することを特徴とするプロトン導電体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】請求項4または5記載の製造方法におい
    て、さらに、前記乾燥工程の後に前記混合物を粉砕して
    粉末とする粉砕工程と、 前記熱処理工程の後に前記粉末を成形する成形工程と、 を有することを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造
    方法において、前記熱処理工程での熱処理温度を150
    〜500℃とすることを特徴とするプロトン導電体の製
    造方法。
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