JP2003184977A - 遊星ローラ式トラクションドライブ装置 - Google Patents

遊星ローラ式トラクションドライブ装置

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JP2003184977A
JP2003184977A JP2001384748A JP2001384748A JP2003184977A JP 2003184977 A JP2003184977 A JP 2003184977A JP 2001384748 A JP2001384748 A JP 2001384748A JP 2001384748 A JP2001384748 A JP 2001384748A JP 2003184977 A JP2003184977 A JP 2003184977A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力を伝達する伝達力の低下と遊星ローラの
損傷とを妨げる。 【解決手段】 ケーシングと、太陽ローラと、太陽ロー
ラの外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラ
とを具備し、遊星ローラはこれら遊星ローラの各遊星ロ
ーラ用軸回りに回転可能であって遊星ローラ用軸はケー
シングに固定されており、さらに、複数の遊星ローラに
隣接しかつこれら遊星ローラを押圧しつつ内包する襟部
を含むリングローラを具備し、リングローラはリングロ
ーラの襟部が外周部から延びる円板部と円板部の中心か
ら延びる第二の軸とを含んでおり、さらに、リングロー
ラの円板部の中心周りに対称に形成された少なくとも一
つの凹部を具備する遊星ローラ式トラクションドライブ
装置が提供される。一つのOリングが遊星ローラの軸受
に接触する前記外輪部の内周面に形成された凹部に配置
されてもよい。入力軸とトラクション部との間にシール
部材を設けても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力伝達装置、例え
ばマイクロガスタービン等を減速させて発電機と結合さ
せるための減速機として使用される遊星ローラ式トラク
ションドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にマイクロガスタービンは高速で回
転しており、この動力を発電機に伝える際にはマイクロ
ガスタービンと発電機との間に減速機を配置する必要が
ある。減速機として歯車式減速機を使用する場合には騒
音および振動が生じることが問題となるので、低騒音お
よび低振動での動力伝達を可能とするためにトラクショ
ンドライブ装置を動力伝達装置として採用することが一
般的に知られている。
【0003】図11はトラクションドライブ装置の原理
を説明するための説明図である。図11に示すように、
二つのローラ101、102の周面を互いに隣接させて
配置する。これらローラの間にはトラクションドライブ
油103を供給する。次いで、これらローラ101、1
02に荷重、すなわち法線力Pを掛けつつ一方のローラ
101を回転させる。これによってローラ101、10
2間の圧力が高くなることにより油膜103の粘度も高
くなり、剪断作用によってローラ101の回転トルクを
伝達力f×P(fはトラクション係数)として他方のロ
ーラ102に伝えることができる。従って、ローラ10
2はf×Pの力を受けて回転する。このようなトラクシ
ョンドライブ装置を採用することにより騒音および振動
を少なくすることができる。
【0004】このようなトラクションドライブ装置の原
理を用いた遊星ローラ式トラクションドライブ装置が例
えば特開平第177711号公報に開示されている。図
12は従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ装
置の軸線方向断面図である。図12に示される遊星ロー
ラ式トラクションドライブ装置100は高速段200と
低速段600とが連続している複数段構造となってい
る。
【0005】高速段入力軸120が軸受150を介して
遊星ローラ式トラクションドライブ装置100のケーシ
ング110に固定されている。ケーシング110内にお
いては、高速段入力軸120の外周面周りに複数、例え
ば三つの遊星ローラ210がこれら遊星ローラの各軸2
20回りに回転可能であってこれら軸220はケーシン
グ110に固定されている。また高速段入力軸120の
端部が太陽ローラとしての役目を果たしている。これら
遊星ローラ210の軸220はケーシング110に固定
されている。さらに遊星ローラ210周りにはリングロ
ーラ300が配置されている。前述した法線力を形成す
るためにリングローラ300は焼嵌めされている。図1
2に示すように、リングローラ300は円板部330と
この円板部330の外周部から延びる襟部310とを含
んでおり、さらに高速段出力軸320が円板部330の
中心から前記襟部とは反対方向に延びている。
【0006】図12に示す遊星ローラ式トラクションド
ライブ装置100においては高速段出力軸320は低速
段600の低速段入力軸と一体的になっている。前述し
た高速段200の場合と同様に、低速段入力軸の端部は
太陽ローラとしての役目を果たし、低速段入力軸320
の外周面周りに複数、例えば三つの遊星ローラ710が
これら遊星ローラの各軸720回りに回転可能である。
これら遊星ローラ710の軸720は遊星ローラ式トラ
クションドライブ装置100のケーシング110に固定
されている。さらにリングローラ800が焼嵌めにより
遊星ローラ710周りに同様に配置されている。さら
に、リングローラ800は円板部830とこの円板部8
30の外周部から延びる襟部810とを含んでおり、低
速段出力軸820が円板部830の中心から前記襟部と
は反対方向に延びている。
【0007】動作時、高速段200の入力軸120から
入力された動力は太陽ローラに相当する入力軸120の
端部と複数、例えば三つの遊星ローラ210とを介し
て、後述する減速比でリングローラ300に伝達され
る。前述したように遊星ローラ210の軸220はケー
シング110に固定されているので、遊星ローラ210
は公転することなしにリングローラ300が回転するこ
ととなる。このように、遊星ローラが公転することなし
にリングローラが回転することにより動力を伝える遊星
ローラ式トラクションドライブ装置をスター型の遊星ロ
ーラ式トラクションドライブ装置と呼ぶ。スター型の場
合の減速比はリングローラ300の内径を軸120の直
径で除することにより求められる。次いで、低速段60
0においても、出力軸320からの動力が太陽ローラに
相当する出力軸320の端部と複数、例えば三つの遊星
ローラ710とを介して、減速されてリングローラ80
0に伝達される。従って、入力軸120の動力は高速段
200および低速段600において二段階で減速されつ
つリングローラ800の出力軸820まで伝えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、入力軸
120が極めて高速で回転する場合には、高速段200
におけるリングローラ300が遠心力により変形する。
図13は従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ
装置のリングローラの回転時における側面図である。高
速段200内のリングローラ300が回転軸320回り
に高速回転すると、図13において点線で示すように遠
心力により襟部310の先端部付近が外方に屈曲するよ
うになる。円板部330は比較的厚くて剛性が大きいの
で、襟部310と円板部330との間の連結部分はほと
んど変形せず、襟部310の先端部付近のみが外方に屈
曲する。このような変形により遊星軸受の成立が困難と
なり、伝達力が低下すると共にリングローラ内の遊星ロ
ーラが離脱して損傷する可能性がある。従って、伝達力
の低下と遊星ローラの損傷とを妨げるために、リングロ
ーラ300の襟部310の先端部付近が外方に屈曲しな
いようにするのが好ましい。
【0009】また動作時には高速段200における遊星
ローラ210はリングローラ300により押圧されつつ
回転するので、円形の遊星ローラ210自体が楕円形に
変形する。図14は従来技術の遊星ローラ式トラクショ
ンドライブ装置の遊星ローラがリングローラにより押圧
されて変形する状態を説明するための正面図である。理
解を容易にするために高速段200における一つのみの
遊星ローラ210を示している。図14において実線に
より示すように、高速段200における遊星ローラ21
0はケーシング110に固定される軸220と軸220
の外周に配置される外輪240とこれら軸220と外輪
240との間に配置される軸受部250とにより構成さ
れている。しかしながら、図14において点線で示すよ
うに、動作時には、高速段200における遊星ローラ2
10の外輪240がリングローラ300の襟部310に
押圧されて楕円状に変形する。この際、内輪に相当する
軸220と軸受部250とはほとんど変形しないので、
隙間290が軸220と外輪240との間に局所的に形
成されることとなる。遊星ローラ式トラクションドライ
ブ装置100が動作するときに、この隙間290が存在
することにより振動および騒音が生じて伝達力が低下す
る。さらに外輪240および軸受部250が両方とも金
属製部材であるためにフレッティングコロッションすな
わち擦過腐食が発生して遊星ローラ210が損傷しう
る。従って、伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げ
るために、動作時に遊星ローラ210の軸220と外輪
240との間に隙間が生じないようにするのが好まし
い。
【0010】さらに、遊星ローラ式トラクションドライ
ブ装置100を減速機として使用する場合には、第一の
段である高速段200においては回転数が大きくてトル
クが小さく、第二の段である低速段600においては回
転数が小さくてトルクが大きい。従って、低速段におけ
る比較的大きなトルクに耐えるために低速段600の遊
星ローラ710の外輪740と軸720との間には複数
のコロまたはニードル760が配置されている。しかし
ながら、遊星ローラ式トラクションドライブ装置100
を長時間使用する場合には、コロまたはニードル760
および遊星ローラ710の外輪740がスラスト方向に
移動しうる。この場合には外輪740もしくはコロまた
はニードル760が脱落する可能性があり、動力を伝達
するのが困難になると共に遊星ローラ710が焼付いて
損傷しうる。従って、伝達力の低下と遊星ローラの損傷
とを妨げるために、ニードル760および遊星ローラ7
10の外輪740がスラスト方向に移動しないようにす
るのが好ましい。
【0011】また、遊星ローラ式トラクションドライブ
装置100のケーシング110内においては単一のトラ
クションドライブ油、例えばナフテン系合成油を使用す
るのが普通である。しかしながら、ナフテン系合成油は
加圧時に粘度が上昇しやすいので、ナフテン系合成油を
高速回転する入力軸120の軸受150において使用す
る場合には損失が大きくなり伝達力が低下する。また高
速回転に適した油を軸受150において使用する場合に
は、この油が入力軸120に沿って太陽ローラまで到達
してトラクションドライブ油と混合するので伝達力が低
下する。従って、伝達力の低下を妨げるために、太陽ロ
ーラを含むトラクションドライブ部と入力軸の軸受とに
おいてそれぞれの性質に応じた油を使用するのが好まし
い。
【0012】それゆえ、本発明は伝達力の低下と遊星ロ
ーラの損傷とを妨げるようにした遊星ローラ式トラクシ
ョンドライブ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために請求項1に記載の発明によれば、ケーシングと、
該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第
一の軸と、該第一の軸に設けられる太陽ローラと、該太
陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の遊星
ローラとを具備し、前記遊星ローラはこれら遊星ローラ
の各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前記遊星ロ
ーラ用軸は前記ケーシングに固定されており、さらに、
前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを
押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、
前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から
延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方
向に延びる第二の軸とを含んでおり、さらに、前記リン
グローラの前記円板部の少なくとも一方の面の中心周り
に対称に形成された少なくとも一つの凹部を具備する遊
星ローラ式トラクションドライブ装置が提供される。
【0014】すなわち請求項1に記載の発明によって、
円板部の剛性が低下して遠心力による変形が半径方向に
均等となるので伝達力が低下するのを妨げられると共
に、リングローラ内の遊星ローラが離脱する可能性がな
くなるので遊星ローラおよびリングローラの損傷を妨げ
ることができる。凹部の形状は出力軸周りに周方向にほ
ぼ等間隔に配置された円形または扇形であってもよい。
また、円板部自体を薄肉化することにより伝達力の低下
と遊星ローラの損傷とをさらに妨げることができる。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、前記凹部
が前記円板部の厚さの30%よりも深いようにした。す
なわち請求項2に記載の発明によって、比較的深い凹部
を形成することにより、伝達力の低下と遊星ローラの損
傷とをさらに妨げることができる。
【0016】請求項3に記載の発明によれば、ケーシン
グと、該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持さ
れる第一の軸と、該第一の軸に設けられる太陽ローラ
と、該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複
数の遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラはこれら遊
星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前
記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、
さらに、前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星
ローラを押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを
具備し、前記リングローラは該リングローラの襟部が外
周部から延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部と
は反対方向に延びる第二の軸とを含んでおり、さらに、
前記リングローラの前記円板部の少なくとも一方の面の
中心周りに対称に形成された少なくとも一つの開口部を
具備する遊星ローラ式トラクションドライブ装置が提供
される。
【0017】すなわち請求項3に記載の発明によって、
円板部の剛性が低下して遠心力による変形が半径方向に
均等となるので伝達力が低下するのを妨げられると共
に、リングローラ内の遊星ローラが離脱する可能性がな
くなるので遊星ローラおよびリングローラの損傷を妨げ
ることができる。開口部の形状は出力軸周りに周方向に
ほぼ等間隔に配置された円形または扇形であってもよ
い。また、円板部自体を薄肉化することにより伝達力の
低下と遊星ローラの損傷とをさらに妨げることができ
る。
【0018】請求項4に記載の発明によれば、ケーシン
グと、該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持さ
れる第一の軸と、該第一の軸に設けられる太陽ローラ
と、該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複
数の遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽
ローラに隣接する外輪部と遊星ローラ用軸と前記外輪部
および前記遊星ローラ用軸の間に配置される少なくとも
一つの遊星ローラ用軸受とを含んでおり、前記遊星ロー
ラはこれら遊星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可
能であって前記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定
されており、一つのOリングが前記各遊星ローラ用軸受
に接触する前記外輪部の内周面に形成された凹部に配置
されており、さらに、前記複数の遊星ローラに隣接しか
つこれら遊星ローラを押圧しつつ内包する襟部を含むリ
ングローラを具備し、前記リングローラは該リングロー
ラの襟部が外周部から延びる円板部と該円板部の中心か
ら前記襟部とは反対方向に延びる第二の軸とを含んでい
る遊星ローラ式トラクションドライブ装置が提供され
る。
【0019】すなわち請求項4に記載の発明によって、
Oリングのために隙間が生じなくなるので動作時に生ず
る騒音および振動を少なくするができる。また金属製部
材である外輪と軸受との間に生ずるフレッティングコロ
ッションすなわち擦過腐食の発生による遊星ローラの損
傷を妨げることもできる。
【0020】請求項5に記載の発明によれば、ケーシン
グと、該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持さ
れる第一の軸と、該第一の軸に設けられる太陽ローラ
と、該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複
数の遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽
ローラに隣接する外輪部と遊星ローラ用軸と前記外輪部
および前記遊星ローラ用軸の間に配置される少なくとも
一つの遊星ローラ用軸受とを含んでおり、前記遊星ロー
ラはこれら遊星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可
能であって前記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定
されており、二つのOリングのそれぞれが前記各遊星ロ
ーラ用軸受に接触する前記外輪部の内周面に形成された
二つの凹部に配置されており、さらに、前記複数の遊星
ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを押圧しつつ内包
する襟部を含むリングローラを具備し、前記リングロー
ラは該リングローラの襟部が外周部から延びる円板部と
該円板部の中心から前記襟部とは反対方向に延びる第二
の軸とを含んでいる遊星ローラ式トラクションドライブ
装置が提供される。
【0021】すなわち請求項5に記載の発明によって、
Oリングが配置される二つの周方向凹部の間の油膜が軸
受の背面において背面ダンパとしての役割を果たすの
で、動作時に生ずる騒音および振動をさらに少なくする
ことができる。また金属製部材である外輪と軸受との間
に生ずるフレッティングコロッションすなわち擦過腐食
の発生による遊星ローラの損傷をさらに妨げることもで
きる。
【0022】請求項6に記載の発明によれば、ケーシン
グと、該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持さ
れる第一の軸と、該第一の軸に設けられる太陽ローラ
と、該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複
数の遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽
ローラに隣接する外輪部と前記外輪部の内周面に形成さ
れた周方向凸部および前記遊星ローラ用軸の外周面に形
成された周方向凸部の間でかつ前記遊星ローラ用軸に形
成された二つの遊星ローラ用軸フランジの間に配置され
る複数のコロとを含んでおり、前記遊星ローラはこれら
遊星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって
前記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されてお
り、さらに一面において前記遊星ローラ用軸の前記周方
向凸部の側面と前記外輪部の前記周方向凸部の側面とに
接触すると共に他面において前記フランジの側面に接触
するよう配置されていて平滑面を備えたリング部材を含
んでおり、さらに、前記複数の遊星ローラに隣接しかつ
これら遊星ローラを押圧しつつ内包する襟部を含むリン
グローラを具備し、前記リングローラは該リングローラ
の襟部が外周部から延びる円板部と該円板部の中心から
前記襟部とは反対方向に延びる第二の軸とを含んでいる
遊星ローラ式トラクションドライブ装置が提供される。
【0023】すなわち請求項6に記載の発明によって、
リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触するこ
とによる摩擦を小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向
に移動することによる伝達力の低下を妨げると共に、コ
ロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが破
損するのを妨げることができる。
【0024】請求項7に記載の発明によれば、前記リン
グ部材が合金系材料から形成されている。すなわち請求
項7に記載の発明によって、リング部材の平滑面が外輪
およびフランジと接触することによる摩擦を小さくしつ
つコロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達
力の低下をさらに妨げると共に、コロおよび外輪が遊星
ローラから脱落して遊星ローラが破損するのをさらに妨
げることができる。合金系材料は例えば銅合金であるの
が好ましい。
【0025】請求項8に記載の発明によれば、前記リン
グ部材が樹脂系材料から形成されているすなわち請求項
8に記載の発明によって、リング部材の平滑面が外輪お
よびフランジと接触することによる摩擦を小さくしつつ
コロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達力
の低下をさらに妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ロ
ーラから脱落して遊星ローラが破損するのをさらに妨げ
ることができる。樹脂系材料は例えばゴムまたはプラス
チックであるのが好ましい。
【0026】請求項9に記載の発明によれば、ケーシン
グと、該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持さ
れる第一の軸と、該第一の軸に設けられる太陽ローラ
と、該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複
数の遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラはこれら遊
星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前
記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、
さらに、前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星
ローラを押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを
具備し、前記リングローラは該リングローラの襟部が外
周部から延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部と
は反対方向に延びる第二の軸とを含んでおり、さらに、
前記第一の軸を保持する前記軸受と前記太陽ローラとの
間に配置されるシール部材とをさらに含む遊星ローラ式
トラクションドライブ装置が提供される。
【0027】すなわち請求項9に記載の発明によって、
入力軸である第一の軸を保持するための軸受と、太陽ロ
ーラと遊星ローラとリングローラとを含むトラクション
ドライブ部とにおいて別個の油を使用することができ
る。遊星ローラ式トラクションドライブ装置を減速機と
して使用する場合には、高圧時に粘度上昇が顕著なナフ
テン系合成油を第一の軸の軸受において使用するのを避
けることができる。この場合には第一の軸の軸受におい
て高速回転に適したエステル系合成油を使用できると共
に、トラクション部においてナフテン系合成油を使用す
ることができるので、遊星ローラ式トラクションドライ
ブ装置の伝達力の低下を妨げることができる。
【0028】請求項10に記載の発明によれば、前記シ
ール部材がスロットルブッシュシールである。請求項1
0に記載の発明によって、遊星ローラ式トラクションド
ライブ装置全体における損失の低下をメカニカルシール
使用時の損失の低下よりも少なくすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態を説明する。以下の図面において同一の部材
には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にす
るためにこれら図面は適宜縮尺を変更すると共に部材の
一部を適宜省略している。図1は本発明の遊星ローラ式
トラクションドライブ装置の軸線方向断面図である。図
1に示される遊星ローラ式トラクションドライブ装置1
0は高速段20と低速段60とが連続している二段構造
となっている。
【0030】高速段入力軸12が軸受15を介して遊星
ローラ式トラクションドライブ装置10のケーシング1
1に固定されている。ケーシング11内においては、高
速段入力軸12の外周面周りに複数、例えば三つの遊星
ローラ21がこれら遊星ローラの各軸22回りに回転可
能であってこれら軸22はケーシング11に固定されて
いる。また高速段入力軸12の端部が太陽ローラとして
の役目を果たしている。これら遊星ローラ21の軸22
はケーシング11に固定されている。さらに遊星ローラ
21周りにはリングローラ30が配置されている。前述
した法線力を形成するためにリングローラ30は焼嵌め
されている。図1に示すように、リングローラ30は円
板部33とこの円板部33の外周部から延びる襟部31
とを含んでおり、高速段出力軸32が円板部33の中心
から襟部とは反対方向に延びている。図2は本発明の遊
星ローラ式トラクションドライブ装置の遊星ローラの係
合状態を示すための正面図である。高速段入力軸12周
りに、複数、例えば三つの遊星ローラ21が配置されて
おり、これら遊星ローラ21周りにリングローラ30が
配置されている。動力を伝えるために、高速段入力軸1
2、遊星ローラ21およびリングローラ30は互いに押
圧されつつ配置されている。また高速段20における遊
星ローラ21はケーシング11に固定される軸22と軸
22の外周に配置される外輪24とこれら軸22と外輪
24との間に配置される軸受部25、例えば玉軸受とに
より構成されている。
【0031】高速段出力軸32は低速段60の低速段入
力軸と一体的になっている。前述した高速段20の場合
と同様に、低速段入力軸の端部は太陽ローラとしての役
目を果たし、低速段入力軸32の外周面周りに複数、例
えば三つの遊星ローラ71がこれら遊星ローラの各軸7
2回りに回転可能に配置されている。これら遊星ローラ
71の軸72は遊星ローラ式トラクションドライブ装置
10のケーシング11に固定されている。さらにリング
ローラ80が焼嵌めにより遊星ローラ71周りに同様に
配置されている。さらに、リングローラ80は円板部8
3とこの円板部83の外周部から延びる襟部81とを含
んでおり、低速段出力軸82が円板部83の中心から襟
部とは反対方向に延びている。また遊星ローラ式トラク
ションドライブ装置10を減速機として使用する場合に
は、第一の段である高速段20においては回転数が大き
くてトルクが小さく、第二の段である低速段60におい
ては回転数が小さくてトルクが大きい。従って、このよ
うなトルクに耐えるために低速段60における遊星ロー
ラ71の外輪74と軸72との間には複数のコロまたは
ニードル76が配置されている。
【0032】動作時、高速段20の入力軸12から入力
された動力は太陽ローラに相当する入力軸12の端部と
複数、例えば三つの遊星ローラ21とを介して減速され
つつリングローラ30に伝達される。前述したように遊
星ローラ21の軸22はケーシング11に固定されてい
るので、遊星ローラ21は公転することなしにリングロ
ーラ30が回転することとなる。高速段20のリングロ
ーラ30の出力軸32は低速段60の入力軸となってい
る。次いで、低速段60においても、出力軸32からの
動力が太陽ローラに相当する出力軸32の端部と複数、
例えば三つの遊星ローラ71とを介して減速されてリン
グローラ80に伝達される。従って、入力軸120の動
力は高速段20および低速段60において二段階で減速
されつつリングローラ80の出力軸82まで伝えられ
る。
【0033】図3は本発明の第一の実施形態における遊
星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側リング
ローラの斜視図である。理解を容易にするために図3に
おいては遊星ローラおよび入力軸を省略している。本実
施形態においては少なくとも一つ、例えば五つの凹部3
6が高速段側リングローラ30の円板部33に形成され
ている。図3に示すようにこれら凹部36はリングロー
ラ30の回転軸32周りに対称でかつ襟部31と同一の
面に形成されている。
【0034】図4は図3に示す高速段側リングローラの
部分斜視図である。図4に示す実施形態における凹部3
6の深さDは円板部33の厚さSの約50%であり、好
ましい実施形態においては凹部36の深さDは円板部3
3の厚さSの約30%よりも大きくなっている。さら
に、図5は本発明の第一の実施形態における遊星ローラ
式トラクションドライブ装置のリングローラの回転時に
おける側面図である。リングローラ30の円板部33内
に前述した凹部36を回転軸32に対して対称に形成す
ることにより、円板部33の重量が減少すると共に円板
部33全体の剛性が低下する。従って、高速回転時には
図5における点線で示すように襟部31と円板部33と
を含むリングローラ30全体が遠心力により半径方向に
均等に延びるようになる。すなわち本実施形態において
は、従来技術のリングローラのように襟部31の先端部
のみが外方に屈曲することなしに、リングローラ30全
体が半径方向に延びる。従って、本実施形態により高速
回転時においてリングローラ30が部分的に変形するの
を避けることができる。本実施形態により円板部の剛性
が低下して遠心力による変形が半径方向に均等となるの
で伝達力が低下するのを妨げられると共に、リングロー
ラ内の遊星ローラが離脱する可能性がなくなるので遊星
ローラおよびリングローラの損傷を妨げることができ
る。当然のことながら、リングローラ30の円板部33
に形成される凹部36が円板部33を貫通する開口部で
あってもよく、この場合には伝達力の低下と遊星ローラ
の損傷とをさらに妨げることができる。
【0035】図6(a)は別の実施形態における遊星ロ
ーラ式トラクションドライブ装置の高速段側リングロー
ラの正面図である。図6(b)はさらに別の実施形態に
おける遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段
側リングローラの正面図である。理解を容易にするため
に、これら実施形態においては凹部36の代わりに開口
部37が示されている。開口部37または凹部36の形
状は、図6(a)に示すように円形であってもよく、ま
た図6(b)に示すように扇形であってもよい。さらに
凹部36の形状は単一の環状型であってもよく、このよ
うな場合にも、前述した同様の効果を得ることができ
る。
【0036】当然のことながら、凹部36または開口部
37は円板部33の少なくとも一方の面に形成されてい
ればよく、また円板部33自体を薄肉化することにより
前述した効果を高めることができる。
【0037】図7は本発明の第二の実施形態における遊
星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側遊星ロ
ーラの拡大図である。図7においては高速段側遊星ロー
ラ21の一部のみが示されている。前述したように高速
段側遊星ローラ21の軸22と外輪24との間には軸受
部25、例えば玉軸受が配置されている。図7に示すよ
うに本発明の第二の実施形態においては軸受部25に接
触する外輪24の内周面に周方向溝28が形成されてお
り、さらにOリング41がこの周方向溝28内に配置さ
れている。本実施形態においては一つの遊星ローラ21
は二つの軸受部25を含んでおり、さらに一つの軸受部
25に対して、一つのOリングを含む一つの周方向溝2
8が外輪24に形成されている。前述したように従来技
術においては高速回転時に軸受部250と外輪240と
の間に隙間290が生じる。これに対し、本実施形態に
おいてはOリング41を外輪24と軸受部25との間に
設けることにより、高速回転時の隙間が生じなくなる。
従って、隙間により発生していた騒音および振動も少な
くでき、結果的に伝達力の低下を妨げることができる。
さらに金属製部材である外輪24と軸受部25との間に
生じうるフレッティングコロッションすなわち擦過腐食
をOリングにより防ぐことができるので、遊星ローラ2
1の損傷を妨げることができる。すなわち本実施形態に
よって遊星ローラ式トラクションドライブ装置の伝達力
の低下と遊星ローラの損傷とを妨げることができる。
【0038】図8は本発明の別の実施形態における遊星
ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側遊星ロー
ラの拡大図である。本実施形態においては軸受部25に
接触する外輪24の内周面に少なくとも二つの周方向溝
28が形成されている。さらにこれら周方向溝28内に
は一つのOリング42、43がそれぞれ配置されてい
る。すなわち本実施形態においては一つの遊星ローラ2
1は二つの軸受部25を含んでおり、さらに一つの軸受
部25に対して、一つのOリング42または43を含む
二つの周方向溝28が外輪24に形成されている。二つ
のOリング42または43の間に位置する凸部39と軸
受部25との間には潤滑油が供給されているので、高速
回転時には凸部39と軸受部25との間の潤滑油が軸受
部25の背面に位置する背面ダンパとしての役目を果た
しうる。従って、Oリングのみによる前述した効果に加
えてこのような背面ダンパとしての効果が加わることに
より、高速回転時に生じる隙間をさらに少なくできると
共に擦過腐食をさらに少なくできる。それゆえ、本実施
形態によって遊星ローラ式トラクションドライブ装置の
伝達力の低下をさらに妨げると共に遊星ローラ21の損
傷をさらに妨げることができる。
【0039】図9は本発明の第三の実施形態における遊
星ローラ式トラクションドライブ装置の低速段側遊星ロ
ーラの拡大図である。前述したように低速段60におけ
る遊星ローラ71においては、複数のニードルまたはコ
ロ76が外輪74と軸72との間に配置されている。図
9に示すように、これらニードルまたはコロ76は外輪
74の内周面に形成された周方向凸部75と軸72の外
周面に形成された周方向凸部79との間に配置されてい
る。コロ76の軸線方向長さは周方向凸部75、79の
軸線方向長さよりも小さい。さらに、図9に示すように
遊星ローラ71の軸72には二つのフランジ77、78
が設けられている。本実施形態においては、平滑な表面
を備えた二つのリング部材90がフランジ77、78の
側面と周方向凸部75、79の側面とにそれぞれ接触す
るよう配置されている。さらに図9から分かるようにコ
ロ76は二つのリング部材90の間に配置されている。
【0040】このように、低速段60の周方向凸部79
とフランジ77、78とを遊星ローラ71の軸72に設
けて周方向凸部75を外輪74に設けると共に二つのリ
ング部材90をフランジ間に配置することによって、リ
ング部材の平滑面によりリング部材が外輪およびフラン
ジと接触することによる摩擦を小さくしつつコロ76が
長期間の使用により外輪74を越えて軸線方向に移動し
て伝達力が低下するのを妨げることができる。また、リ
ング部材90は外輪74の周方向凸部75にも接触して
外輪自体を把持しているので、コロ76と外輪74とが
軸線方向に移動して遊星ローラ71が焼付いて破損する
のを妨げることができる。すなわち本実施形態によって
遊星ローラ式トラクションドライブ装置の伝達力の低下
と遊星ローラの損傷とを妨げることができる。
【0041】また、平滑な表面を備えたリング部材90
は合金系材料、例えば銅合金、もしくは樹脂系材料、例
えばゴムまたはプラスチックから形成されるのが好まし
く、これによりリング部材の平滑面が外輪およびフラン
ジと接触することによる摩擦をさらに小さくでき、結果
的に伝達力の低下と遊星ローラの焼付きによる損傷とを
さらに妨げることができる。
【0042】本発明の第四の実施形態においては図1に
示されるようにシール部材50が入力軸12を保持する
ための軸受15と入力軸12に設けられた太陽ローラ
(入力軸12の内方側端部に相当する)との間に設けら
れている。図10(a)は本発明の第三の実施形態にお
ける遊星ローラ式トラクションドライブ装置の入力軸の
断面図であり、さらに図10(b)は本発明の第三の実
施形態における遊星ローラ式トラクションドライブ装置
の入力軸の軸線方向断面図である。図10(a)および
図10(b)に示されるシール部材50はスロットルブ
ッシュシールである。
【0043】本実施形態によれば高速回転する入力軸1
2を保持する軸受15において、加圧時に粘度が上昇し
やすいナフテン系合成油を使用するのを避けることがで
きる。従って、入力軸12を保持する軸受15において
は高速回転に適した別の油、例えばエステル系合成油を
使用することができる。これにより、軸受15において
るナフテン系合成油を使用することによる動力伝達の損
失を少なくすることができ、遊星ローラ式トラクション
ドライブ装置の伝達力の低下を少なくすることができ
る。
【0044】また、シール部材としてメカニカルシール
を採用することも想定されるが、構造が複雑になると共
に損失もより大きいので、構造が単純で損失のより少な
いスロットルブッシュシールを採用するのが好ましい。
従って、遊星ローラ式トラクションドライブ装置全体に
おける損失の低下をメカニカルシール使用時の損失の低
下よりも少なくすることができる。
【0045】当然のことながら、前述した実施形態のう
ちのいずれかを組み合わせた二段式の遊星ローラ式トラ
クションドライブ装置も本発明の範囲に含まれる。
【0046】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、遊星ロ
ーラ用軸の伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げる
ことができるという共通の効果を奏しうる。さらに、請
求項2に記載の発明によれば、遊星ローラ式トラクショ
ンドライブ装置の伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを
適切に妨げることができるという効果を奏しうる。さら
に、請求項3に記載の発明によれば、遊星ローラ式トラ
クションドライブ装置の伝達力の低下と遊星ローラの損
傷とをさらに妨げることができるという効果を奏しう
る。
【0047】さらに、請求項4に記載の発明によれば、
動作時に生ずる騒音および振動ならびにフレッティング
コロッションすなわち擦過腐食の発生を妨げることがで
きるという効果を奏しうる。さらに、請求項5に記載の
発明によれば、背面ダンパとしての効果が得られるので
動作時に生ずる騒音および振動ならびにフレッティング
コロッションすなわち擦過腐食の発生をさらに妨げるこ
とができるという効果を奏しうる。
【0048】さらに、請求項6に記載の発明によれば、
リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触するこ
とによる摩擦を小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向
に移動することによる伝達力の低下を妨げると共に、コ
ロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが焼
付いて破損するのを妨げることができるという効果を奏
しうる。さらに、請求項7に記載の発明によれば、リン
グ部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することに
よる摩擦をさらに小さくしつつコロおよび外輪が軸線方
向に移動することによる伝達力の低下をさらに妨げると
共に、コロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ロ
ーラが焼付いて破損するのをさらに妨げることができる
という効果を奏しうる。さらに、請求項8に記載の発明
によれば、リング部材の平滑面が外輪およびフランジと
接触することによる摩擦をさらに小さくしつつコロおよ
び外輪が軸線方向に移動することによる伝達力の低下を
さらに妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ローラから
脱落して遊星ローラが焼付いて破損するのをさらに妨げ
ることができるという効果を奏しうる。
【0049】さらに、請求項9に記載の発明によれば、
入力軸である第一の軸を保持するための軸受と太陽ロー
ラと遊星ローラとリングローラとを含むトラクションド
ライブ部とにおいて別個の潤滑剤を使用することができ
るという効果を奏しうる。さらに、請求項10に記載の
発明によれば、遊星ローラ式トラクションドライブ装置
全体における損失の低下をメカニカルシール使用時の損
失の低下よりも少なくすることができるという効果を奏
しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遊星ローラ式トラクションドライブ装
置の軸線方向断面図である。
【図2】本発明の遊星ローラ式トラクションドライブ装
置の遊星ローラの係合状態を示すための正面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における遊星ローラ式
トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの斜
視図である。
【図4】図3に示す高速段側リングローラの部分斜視図
である。
【図5】本発明の第一の実施形態における遊星ローラ式
トラクションドライブ装置のリングローラの回転時にお
ける側面図である。
【図6】(a)別の実施形態における遊星ローラ式トラ
クションドライブ装置の高速段側リングローラの正面図
である。(b)さらに別の実施形態における遊星ローラ
式トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの
正面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態における遊星ローラ式
トラクションドライブ装置の高速段側遊星ローラの拡大
図である。
【図8】本発明の別の実施形態における遊星ローラ式ト
ラクションドライブ装置の高速段側遊星ローラの拡大図
である。
【図9】本発明の第四の実施形態における遊星ローラ式
トラクションドライブ装置の低速段側遊星ローラの拡大
図である。
【図10】(a)本発明の第三の実施形態における遊星
ローラ式トラクションドライブ装置の入力軸の断面図で
ある。 (b)本発明の第三の実施形態における遊星ローラ式ト
ラクションドライブ装置の入力軸の軸線方向断面図であ
る。
【図11】トラクションドライブ装置の原理を説明する
ための説明図である。
【図12】従来技術の遊星ローラ式トラクションドライ
ブ装置の軸線方向断面図である。
【図13】従来技術の遊星ローラ式トラクションドライ
ブ装置のリングローラの回転時における側面図である。
【図14】従来技術の遊星ローラ式トラクションドライ
ブ装置の遊星ローラがリングローラにより押圧されて変
形する状態を説明するための正面図である。
【符号の説明】
10…遊星ローラ式トラクションドライブ装置 11…ケーシング 12…入力軸 15…軸受 20…高速段 21…高速段側遊星ローラ 24…外輪 25…軸受部 28…周方向溝 30…高速段側リングローラ 31…襟部 32…出力軸 33…円板部 36…凹部 37…開口部 39…凸部 50…シール部材 60…低速段 71…低速段側遊星ローラ 74…外輪 75…周方向凸部 76…コロ 77…フランジ 79…周方向凸部 80…低速段側リングローラ 81…襟部 82…低速段出力軸 83…円板部 90…リング部材

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングと、 該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第
    一の軸と、 該第一の軸に設けられる太陽ローラと、 該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の
    遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラはこれら遊星ロ
    ーラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前記遊
    星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、 さらに、 前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを
    押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、
    前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から
    延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方
    向に延びる第二の軸とを含んでおり、 さらに、 前記リングローラの前記円板部の少なくとも一方の面の
    中心周りに対称に形成された少なくとも一つの凹部を具
    備する遊星ローラ式トラクションドライブ装置。
  2. 【請求項2】 前記凹部が前記円板部の厚さの30%よ
    りも深いようにした請求項1に記載の遊星ローラ式トラ
    クションドライブ装置。
  3. 【請求項3】 ケーシングと、 該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第
    一の軸と、 該第一の軸に設けられる太陽ローラと、 該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の
    遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラはこれら遊星ロ
    ーラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前記遊
    星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、 さらに、 前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを
    押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、
    前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から
    延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方
    向に延びる第二の軸とを含んでおり、 さらに、 前記リングローラの前記円板部の少なくとも一方の面の
    中心周りに対称に形成された少なくとも一つの開口部を
    具備する遊星ローラ式トラクションドライブ装置。
  4. 【請求項4】 ケーシングと、 該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第
    一の軸と、 該第一の軸に設けられる太陽ローラと、 該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の
    遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽ロー
    ラに隣接する外輪部と遊星ローラ用軸と前記外輪部およ
    び前記遊星ローラ用軸の間に配置される少なくとも一つ
    の遊星ローラ用軸受とを含んでおり、前記遊星ローラは
    これら遊星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能で
    あって前記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定され
    ており、一つのOリングが前記各遊星ローラ用軸受に接
    触する前記外輪部の内周面に形成された凹部に配置され
    ており、 さらに、 前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを
    押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、
    前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から
    延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方
    向に延びる第二の軸とを含んでいる遊星ローラ式トラク
    ションドライブ装置。
  5. 【請求項5】 ケーシングと、 該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第
    一の軸と、 該第一の軸に設けられる太陽ローラと、 該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の
    遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽ロー
    ラに隣接する外輪部と遊星ローラ用軸と前記外輪部およ
    び前記遊星ローラ用軸の間に配置される少なくとも一つ
    の遊星ローラ用軸受とを含んでおり、前記遊星ローラは
    これら遊星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能で
    あって前記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定され
    ており、二つのOリングのそれぞれが前記各遊星ローラ
    用軸受に接触する前記外輪部の内周面に形成された二つ
    の凹部に配置されており、 さらに、 前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを
    押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、
    前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から
    延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方
    向に延びる第二の軸とを含んでいる遊星ローラ式トラク
    ションドライブ装置。
  6. 【請求項6】 ケーシングと、 該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第
    一の軸と、 該第一の軸に設けられる太陽ローラと、 該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の
    遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽ロー
    ラに隣接する外輪部と前記外輪部の内周面に形成された
    周方向凸部および前記遊星ローラ用軸の外周面に形成さ
    れた周方向凸部の間でかつ前記遊星ローラ用軸に形成さ
    れた二つの遊星ローラ用軸フランジの間に配置される複
    数のコロとを含んでおり、前記遊星ローラはこれら遊星
    ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前記
    遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、さ
    らに一面において前記遊星ローラ用軸の前記周方向凸部
    の側面と前記外輪部の前記周方向凸部の側面とに接触す
    ると共に他面において前記フランジの側面に接触するよ
    う配置されていて平滑面を備えたリング部材を含んでお
    り、 さらに、 前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを
    押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、
    前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から
    延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方
    向に延びる第二の軸とを含んでいる遊星ローラ式トラク
    ションドライブ装置。
  7. 【請求項7】 前記リング部材が合金系材料から形成さ
    れている請求項6に記載の遊星ローラ式トラクションド
    ライブ装置。
  8. 【請求項8】 前記リング部材が樹脂系材料から形成さ
    れている請求項6に記載の遊星ローラ式トラクションド
    ライブ装置。
  9. 【請求項9】 ケーシングと、 該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第
    一の軸と、 該第一の軸に設けられる太陽ローラと、 該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の
    遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラはこれら遊星ロ
    ーラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前記遊
    星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、 さらに、 前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを
    押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、
    前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から
    延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方
    向に延びる第二の軸とを含んでおり、 さらに、 前記第一の軸を保持する前記軸受と前記太陽ローラとの
    間に配置されるシール部材とをさらに含む遊星ローラ式
    トラクションドライブ装置。
  10. 【請求項10】 前記シール部材がスロットルブッシュ
    シールである請求項9に記載の遊星ローラ式トラクショ
    ンドライブ装置。
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