JP3735297B2 - 遊星ローラ式トラクションドライブ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動力伝達装置、例えばマイクロガスタービン等を減速させて発電機と結合させるための減速機として使用される遊星ローラ式トラクションドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にマイクロガスタービンは高速で回転しており、この動力を発電機に伝える際にはマイクロガスタービンと発電機との間に減速機を配置する必要がある。減速機として歯車式減速機を使用する場合には騒音および振動が生じることが問題となるので、低騒音および低振動での動力伝達を可能とするためにトラクションドライブ装置を動力伝達装置として採用することが一般的に知られている。
【0003】
図11はトラクションドライブ装置の原理を説明するための説明図である。図11に示すように、二つのローラ101、102の周面を互いに隣接させて配置する。これらローラの間にはトラクションドライブ油103を供給する。次いで、これらローラ101、102に荷重、すなわち法線力Pを掛けつつ一方のローラ101を回転させる。これによってローラ101、102間の圧力が高くなることにより油膜103の粘度も高くなり、剪断作用によってローラ101の回転トルクを伝達力f×P(fはトラクション係数)として他方のローラ102に伝えることができる。従って、ローラ102はf×Pの力を受けて回転する。このようなトラクションドライブ装置を採用することにより騒音および振動を少なくすることができる。
【0004】
図12は従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の軸線方向断面図である。図12に示される遊星ローラ式トラクションドライブ装置100は高速段200と低速段600とが連続している複数段構造となっている。
【0005】
高速段入力軸120が軸受150を介して遊星ローラ式トラクションドライブ装置100のケーシング110に固定されている。ケーシング110内においては、高速段入力軸120の外周面周りに複数、例えば三つの遊星ローラ210がこれら遊星ローラの各軸220回りに回転可能であってこれら軸220はケーシング110に固定されている。また高速段入力軸120の端部が太陽ローラとしての役目を果たしている。これら遊星ローラ210の軸220はケーシング110に固定されている。さらに遊星ローラ210周りにはリングローラ300が配置されている。前述した法線力を形成するためにリングローラ300は焼嵌めされている。図12に示すように、リングローラ300は円板部330とこの円板部330の外周部から延びる襟部310とを含んでおり、さらに高速段出力軸320が円板部330の中心から前記襟部とは反対方向に延びている。
【0006】
図12に示す遊星ローラ式トラクションドライブ装置100においては高速段出力軸320は低速段600の低速段入力軸と一体的になっている。前述した高速段200の場合と同様に、低速段入力軸の端部は太陽ローラとしての役目を果たし、低速段入力軸320の外周面周りに複数、例えば三つの遊星ローラ710がこれら遊星ローラの各軸720回りに回転可能である。これら遊星ローラ710の軸720は遊星ローラ式トラクションドライブ装置100のケーシング110に固定されている。さらにリングローラ800が焼嵌めにより遊星ローラ710周りに同様に配置されている。さらに、リングローラ800は円板部830とこの円板部830の外周部から延びる襟部810とを含んでおり、低速段出力軸820が円板部830の中心から前記襟部とは反対方向に延びている。
【0007】
動作時、高速段200の入力軸120から入力された動力は太陽ローラに相当する入力軸120の端部と複数、例えば三つの遊星ローラ210とを介して、後述する減速比でリングローラ300に伝達される。前述したように遊星ローラ210の軸220はケーシング110に固定されているので、遊星ローラ210は公転することなしにリングローラ300が回転することとなる。このように、遊星ローラが公転することなしにリングローラが回転することにより動力を伝える遊星ローラ式トラクションドライブ装置をスター型の遊星ローラ式トラクションドライブ装置と呼ぶ。スター型の場合の減速比はリングローラ300の内径を軸120の直径で除することにより求められる。次いで、低速段600においても、出力軸320からの動力が太陽ローラに相当する出力軸320の端部と複数、例えば三つの遊星ローラ710とを介して、減速されてリングローラ800に伝達される。従って、入力軸120の動力は高速段200および低速段600において二段階で減速されつつリングローラ800の出力軸820まで伝えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、入力軸120が極めて高速で回転する場合には、高速段200におけるリングローラ300が遠心力により変形する。図13は従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ装置のリングローラの回転時における側面図である。高速段200内のリングローラ300が回転軸320回りに高速回転すると、図13において点線で示すように遠心力により襟部310の先端部付近が外方に屈曲するようになる。円板部330は比較的厚くて剛性が大きいので、襟部310と円板部330との間の連結部分はほとんど変形せず、襟部310の先端部付近のみが外方に屈曲する。このような変形により遊星軸受の成立が困難となり、伝達力が低下すると共にリングローラ内の遊星ローラが離脱して損傷する可能性がある。従って、伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げるために、リングローラ300の襟部310の先端部付近が外方に屈曲しないようにするのが好ましい。
【0009】
また動作時には高速段200における遊星ローラ210はリングローラ300により押圧されつつ回転するので、円形の遊星ローラ210自体が楕円形に変形する。図14は従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の遊星ローラがリングローラにより押圧されて変形する状態を説明するための正面図である。理解を容易にするために高速段200における一つのみの遊星ローラ210を示している。図14において実線により示すように、高速段200における遊星ローラ210はケーシング110に固定される軸220と軸220の外周に配置される外輪240とこれら軸220と外輪240との間に配置される軸受部250とにより構成されている。しかしながら、図14において点線で示すように、動作時には、高速段200における遊星ローラ210の外輪240がリングローラ300の襟部310に押圧されて楕円状に変形する。この際、内輪に相当する軸220と軸受部250とはほとんど変形しないので、隙間290が軸220と外輪240との間に局所的に形成されることとなる。遊星ローラ式トラクションドライブ装置100が動作するときに、この隙間290が存在することにより振動および騒音が生じて伝達力が低下する。さらに外輪240および軸受部250が両方とも金属製部材であるためにフレッティングコロッションすなわち擦過腐食が発生して遊星ローラ210が損傷しうる。従って、伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げるために、動作時に遊星ローラ210の軸220と外輪240との間に隙間が生じないようにするのが好ましい。
【0010】
さらに、遊星ローラ式トラクションドライブ装置100を減速機として使用する場合には、第一の段である高速段200においては回転数が大きくてトルクが小さく、第二の段である低速段600においては回転数が小さくてトルクが大きい。従って、低速段における比較的大きなトルクに耐えるために低速段600の遊星ローラ710の外輪740と軸720との間には複数のコロまたはニードル760が配置されている。しかしながら、遊星ローラ式トラクションドライブ装置100を長時間使用する場合には、コロまたはニードル760および遊星ローラ710の外輪740がスラスト方向に移動しうる。この場合には外輪740もしくはコロまたはニードル760が脱落する可能性があり、動力を伝達するのが困難になると共に遊星ローラ710が焼付いて損傷しうる。従って、伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げるために、ニードル760および遊星ローラ710の外輪740がスラスト方向に移動しないようにするのが好ましい。
【0011】
また、遊星ローラ式トラクションドライブ装置100のケーシング110内においては単一のトラクションドライブ油、例えばナフテン系合成油を使用するのが普通である。しかしながら、ナフテン系合成油は加圧時に粘度が上昇しやすいので、ナフテン系合成油を高速回転する入力軸120の軸受150において使用する場合には損失が大きくなり伝達力が低下する。また高速回転に適した油を軸受150において使用する場合には、この油が入力軸120に沿って太陽ローラまで到達してトラクションドライブ油と混合するので伝達力が低下する。従って、伝達力の低下を妨げるために、太陽ローラを含むトラクションドライブ部と入力軸の軸受とにおいてそれぞれの性質に応じた油を使用するのが好ましい。
【0012】
それゆえ、本発明は伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げるようにした遊星ローラ式トラクションドライブ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、ケーシングと、該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第一の軸と、該第一の軸に設けられる太陽ローラと、該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽ローラに隣接する外輪部と前記外輪部の内周面に形成された周方向凸部および前記遊星ローラ用軸の外周面に形成された周方向凸部の間でかつ前記遊星ローラ用軸に形成された二つの遊星ローラ用軸フランジの間に配置される複数のコロとを含んでおり、前記遊星ローラはこれら遊星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、さらに一面において前記遊星ローラ用軸の前記周方向凸部の側面と前記外輪部の前記周方向凸部の側面とに接触すると共に他面において前記フランジの側面に接触するよう配置されていて平滑面を備えたリング部材を含んでおり、さらに、前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方向に延びる第二の軸とを含んでいる遊星ローラ式トラクションドライブ装置が提供される。
【0014】
すなわち請求項1に記載の発明によって、リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することによる摩擦を小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達力の低下を妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが破損するのを妨げることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前記リング部材が合金系材料から形成されている。
すなわち請求項2に記載の発明によって、リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することによる摩擦を小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達力の低下をさらに妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが破損するのをさらに妨げることができる。合金系材料は例えば銅合金であるのが好ましい。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記リング部材が樹脂系材料から形成されている。
すなわち請求項3に記載の発明によって、リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することによる摩擦を小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達力の低下をさらに妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが破損するのをさらに妨げることができる。樹脂系材料は例えばゴムまたはプラスチックであるのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して参考例を説明する。以下の図面において同一の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするためにこれら図面は適宜縮尺を変更すると共に部材の一部を適宜省略している。
図1は参考例の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の軸線方向断面図である。図1に示される遊星ローラ式トラクションドライブ装置10は高速段20と低速段60とが連続している二段構造となっている。
【0018】
高速段入力軸12が軸受15を介して遊星ローラ式トラクションドライブ装置10のケーシング11に固定されている。ケーシング11内においては、高速段入力軸12の外周面周りに複数、例えば三つの遊星ローラ21がこれら遊星ローラの各軸22回りに回転可能であってこれら軸22はケーシング11に固定されている。また高速段入力軸12の端部が太陽ローラとしての役目を果たしている。これら遊星ローラ21の軸22はケーシング11に固定されている。さらに遊星ローラ21周りにはリングローラ30が配置されている。前述した法線力を形成するためにリングローラ30は焼嵌めされている。図1に示すように、リングローラ30は円板部33とこの円板部33の外周部から延びる襟部31とを含んでおり、高速段出力軸32が円板部33の中心から襟部とは反対方向に延びている。図2は参考例の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の遊星ローラの係合状態を示すための正面図である。高速段入力軸12周りに、複数、例えば三つの遊星ローラ21が配置されており、これら遊星ローラ21周りにリングローラ30が配置されている。動力を伝えるために、高速段入力軸12、遊星ローラ21およびリングローラ30は互いに押圧されつつ配置されている。また高速段20における遊星ローラ21はケーシング11に固定される軸22と軸22の外周に配置される外輪24とこれら軸22と外輪24との間に配置される軸受部25、例えば玉軸受とにより構成されている。
【0019】
高速段出力軸32は低速段60の低速段入力軸と一体的になっている。前述した高速段20の場合と同様に、低速段入力軸の端部は太陽ローラとしての役目を果たし、低速段入力軸32の外周面周りに複数、例えば三つの遊星ローラ71がこれら遊星ローラの各軸72回りに回転可能に配置されている。これら遊星ローラ71の軸72は遊星ローラ式トラクションドライブ装置10のケーシング11に固定されている。さらにリングローラ80が焼嵌めにより遊星ローラ71周りに同様に配置されている。さらに、リングローラ80は円板部83とこの円板部83の外周部から延びる襟部81とを含んでおり、低速段出力軸82が円板部83の中心から襟部とは反対方向に延びている。また遊星ローラ式トラクションドライブ装置10を減速機として使用する場合には、第一の段である高速段20においては回転数が大きくてトルクが小さく、第二の段である低速段60においては回転数が小さくてトルクが大きい。従って、このようなトルクに耐えるために低速段60における遊星ローラ71の外輪74と軸72との間には複数のコロまたはニードル76が配置されている。
【0020】
動作時、高速段20の入力軸12から入力された動力は太陽ローラに相当する入力軸12の端部と複数、例えば三つの遊星ローラ21とを介して減速されつつリングローラ30に伝達される。前述したように遊星ローラ21の軸22はケーシング11に固定されているので、遊星ローラ21は公転することなしにリングローラ30が回転することとなる。高速段20のリングローラ30の出力軸32は低速段60の入力軸となっている。次いで、低速段60においても、出力軸32からの動力が太陽ローラに相当する出力軸32の端部と複数、例えば三つの遊星ローラ71とを介して減速されてリングローラ80に伝達される。従って、入力軸120の動力は高速段20および低速段60において二段階で減速されつつリングローラ80の出力軸82まで伝えられる。
【0021】
図3は参考例のうちの第一の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの斜視図である。理解を容易にするために図3においては遊星ローラおよび入力軸を省略している。本参考例においては少なくとも一つ、例えば五つの凹部36が高速段側リングローラ30の円板部33に形成されている。図3に示すようにこれら凹部36はリングローラ30の回転軸32周りに対称でかつ襟部31と同一の面に形成されている。
【0022】
図4は図3に示す高速段側リングローラの部分斜視図である。図4に示す凹部36の深さDは円板部33の厚さSの約50%であり、或る参考例においては凹部36の深さDは円板部33の厚さSの約30%よりも大きくなっている。さらに、図5は参考例のうちの第一の遊星ローラ式トラクションドライブ装置のリングローラの回転時における側面図である。リングローラ30の円板部33内に前述した凹部36を回転軸32に対して対称に形成することにより、円板部33の重量が減少すると共に円板部33全体の剛性が低下する。従って、高速回転時には図5における点線で示すように襟部31と円板部33とを含むリングローラ30全体が遠心力により半径方向に均等に延びるようになる。すなわち本参考例においては、従来技術のリングローラのように襟部31の先端部のみが外方に屈曲することなしに、リングローラ30全体が半径方向に延びる。従って、本参考例により高速回転時においてリングローラ30が部分的に変形するのを避けることができる。本参考例により円板部の剛性が低下して遠心力による変形が半径方向に均等となるので伝達力が低下するのを妨げられると共に、リングローラ内の遊星ローラが離脱する可能性がなくなるので遊星ローラおよびリングローラの損傷を妨げることができる。当然のことながら、リングローラ30の円板部33に形成される凹部36が円板部33を貫通する開口部であってもよく、この場合には伝達力の低下と遊星ローラの損傷とをさらに妨げることができる。
【0023】
図6(a)は別の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの正面図である。図6(b)はさらに別の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの正面図である。理解を容易にするために、これら参考例においては凹部36の代わりに開口部37が示されている。開口部37または凹部36の形状は、図6(a)に示すように円形であってもよく、また図6(b)に示すように扇形であってもよい。さらに凹部36の形状は単一の環状型であってもよく、このような場合にも、前述した同様の効果を得ることができる。
【0024】
当然のことながら、凹部36または開口部37は円板部33の少なくとも一方の面に形成されていればよく、また円板部33自体を薄肉化することにより前述した効果を高めることができる。
【0025】
図7は参考例のうちの第二の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側遊星ローラの拡大図である。図7においては高速段側遊星ローラ21の一部のみが示されている。前述したように高速段側遊星ローラ21の軸22と外輪24との間には軸受部25、例えば玉軸受が配置されている。図7に示すように本参考例においては軸受部25に接触する外輪24の内周面に周方向溝28が形成されており、さらにOリング41がこの周方向溝28内に配置されている。本参考例においては一つの遊星ローラ21は二つの軸受部25を含んでおり、さらに一つの軸受部25に対して、一つのOリングを含む一つの周方向溝28が外輪24に形成されている。前述したように従来技術においては高速回転時に軸受部250と外輪240との間に隙間290が生じる。これに対し、本参考例においてはOリング41を外輪24と軸受部25との間に設けることにより、高速回転時の隙間が生じなくなる。従って、隙間により発生していた騒音および振動も少なくでき、結果的に伝達力の低下を妨げることができる。さらに金属製部材である外輪24と軸受部25との間に生じうるフレッティングコロッションすなわち擦過腐食をOリングにより防ぐことができるので、遊星ローラ21の損傷を妨げることができる。すなわち本参考例によって遊星ローラ式トラクションドライブ装置の伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げることができる。
【0026】
図8は別の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側遊星ローラの拡大図である。本参考例においては軸受部25に接触する外輪24の内周面に少なくとも二つの周方向溝28が形成されている。さらにこれら周方向溝28内には一つのOリング42、43がそれぞれ配置されている。すなわち本参考例においては一つの遊星ローラ21は二つの軸受部25を含んでおり、さらに一つの軸受部25に対して、一つのOリング42または43を含む二つの周方向溝28が外輪24に形成されている。二つのOリング42または43の間に位置する凸部39と軸受部25との間には潤滑油が供給されているので、高速回転時には凸部39と軸受部25との間の潤滑油が軸受部25の背面に位置する背面ダンパとしての役目を果たしうる。従って、Oリングのみによる前述した効果に加えてこのような背面ダンパとしての効果が加わることにより、高速回転時に生じる隙間をさらに少なくできると共に擦過腐食をさらに少なくできる。それゆえ、本参考例によって遊星ローラ式トラクションドライブ装置の伝達力の低下をさらに妨げると共に遊星ローラ21の損傷をさらに妨げることができる。
【0027】
図9は本発明の実施形態における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の低速段側遊星ローラの拡大図である。前述したように低速段60における遊星ローラ71においては、複数のニードルまたはコロ76が外輪74と軸72との間に配置されている。図9に示すように、これらニードルまたはコロ76は外輪74の内周面に形成された周方向凸部75と軸72の外周面に形成された周方向凸部79との間に配置されている。コロ76の軸線方向長さは周方向凸部75、79の軸線方向長さよりも小さい。さらに、図9に示すように遊星ローラ71の軸72には二つのフランジ77、78が設けられている。本実施形態においては、平滑な表面を備えた二つのリング部材90がフランジ77、78の側面と周方向凸部75、79の側面とにそれぞれ接触するよう配置されている。さらに図9から分かるようにコロ76は二つのリング部材90の間に配置されている。
【0028】
このように、低速段60の周方向凸部79とフランジ77、78とを遊星ローラ71の軸72に設けて周方向凸部75を外輪74に設けると共に二つのリング部材90をフランジ間に配置することによって、リング部材の平滑面によりリング部材が外輪およびフランジと接触することによる摩擦を小さくしつつコロ76が長期間の使用により外輪74を越えて軸線方向に移動して伝達力が低下するのを妨げることができる。また、リング部材90は外輪74の周方向凸部75にも接触して外輪自体を把持しているので、コロ76と外輪74とが軸線方向に移動して遊星ローラ71が焼付いて破損するのを妨げることができる。すなわち本実施形態によって遊星ローラ式トラクションドライブ装置の伝達力の低下と遊星ローラの損傷とを妨げることができる。
【0029】
また、平滑な表面を備えたリング部材90は合金系材料、例えば銅合金、もしくは樹脂系材料、例えばゴムまたはプラスチックから形成されるのが好ましく、これによりリング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することによる摩擦をさらに小さくでき、結果的に伝達力の低下と遊星ローラの焼付きによる損傷とをさらに妨げることができる。
【0030】
他の参考例においては図1に示されるようにシール部材50が入力軸12を保持するための軸受15と入力軸12に設けられた太陽ローラ(入力軸12の内方側端部に相当する)との間に設けられている。図10(a)は他の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の入力軸の断面図であり、さらに図10(b)は他の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の入力軸の軸線方向断面図である。図10(a)および図10(b)に示されるシール部材50はスロットルブッシュシールである。
【0031】
シール部材としてメカニカルシールを採用することも想定されるが、構造が複雑になると共に損失もより大きいので、構造が単純で損失のより少ないスロットルブッシュシールを採用するのが好ましい。従って、遊星ローラ式トラクションドライブ装置全体における損失の低下をメカニカルシール使用時の損失の低下よりも少なくすることができる。
【0032】
【発明の効果】
さらに、請求項1に記載の発明によれば、リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することによる摩擦を小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達力の低下を妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが焼付いて破損するのを妨げることができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することによる摩擦をさらに小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達力の低下をさらに妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが焼付いて破損するのをさらに妨げることができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、リング部材の平滑面が外輪およびフランジと接触することによる摩擦をさらに小さくしつつコロおよび外輪が軸線方向に移動することによる伝達力の低下をさらに妨げると共に、コロおよび外輪が遊星ローラから脱落して遊星ローラが焼付いて破損するのをさらに妨げることができるという効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の軸線方向断面図である。
【図2】 参考例の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の遊星ローラの係合状態を示すための正面図である。
【図3】 参考例のうちの第一の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの斜視図である。
【図4】 図3に示す高速段側リングローラの部分斜視図である。
【図5】 参考例のうちの第二の遊星ローラ式トラクションドライブ装置のリングローラの回転時における側面図である。
【図6】 (a)別の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの正面図である。
(b)さらに別の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側リングローラの正面図である。
【図7】 参考例のうちの第二の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側遊星ローラの拡大図である。
【図8】 別の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の高速段側遊星ローラの拡大図である。
【図9】 本発明の実施形態における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の低速段側遊星ローラの拡大図である。
【図10】 (a)他の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の入力軸の断面図である。
(b)他の参考例における遊星ローラ式トラクションドライブ装置の入力軸の軸線方向断面図である。
【図11】 トラクションドライブ装置の原理を説明するための説明図である。
【図12】 従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の軸線方向断面図である。
【図13】 従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ装置のリングローラの回転時における側面図である。
【図14】 従来技術の遊星ローラ式トラクションドライブ装置の遊星ローラがリングローラにより押圧されて変形する状態を説明するための正面図である。
【符号の説明】
10…遊星ローラ式トラクションドライブ装置
11…ケーシング
12…入力軸
15…軸受
20…高速段
21…高速段側遊星ローラ
24…外輪
25…軸受部
28…周方向溝
30…高速段側リングローラ
31…襟部
32…出力軸
33…円板部
36…凹部
37…開口部
39…凸部
50…シール部材
60…低速段
71…低速段側遊星ローラ
74…外輪
75…周方向凸部
76…コロ
77…フランジ
79…周方向凸部
80…低速段側リングローラ
81…襟部
82…低速段出力軸
83…円板部
90…リング部材

Claims (3)

  1. ケーシングと、
    該ケーシング内に軸受を介して回転可能に保持される第一の軸と、
    該第一の軸に設けられる太陽ローラと、
    該太陽ローラの外周面周りに隣接して配置される複数の遊星ローラとを具備し、前記遊星ローラは前記太陽ローラに隣接する外輪部と前記外輪部の内周面に形成された周方向凸部および前記遊星ローラ用軸の外周面に形成された周方向凸部の間でかつ前記遊星ローラ用軸に形成された二つの遊星ローラ用軸フランジの間に配置される複数のコロとを含んでおり、前記遊星ローラはこれら遊星ローラの各遊星ローラ用軸回りに回転可能であって前記遊星ローラ用軸は前記ケーシングに固定されており、さらに一面において前記遊星ローラ用軸の前記周方向凸部の側面と前記外輪部の前記周方向凸部の側面とに接触すると共に他面において前記フランジの側面に接触するよう配置されていて平滑面を備えたリング部材を含んでおり、
    さらに、
    前記複数の遊星ローラに隣接しかつこれら遊星ローラを押圧しつつ内包する襟部を含むリングローラを具備し、前記リングローラは該リングローラの襟部が外周部から延びる円板部と該円板部の中心から前記襟部とは反対方向に延びる第二の軸とを含んでいる遊星ローラ式トラクションドライブ装置。
  2. 前記リング部材が合金系材料から形成されている請求項に記載の遊星ローラ式トラクションドライブ装置。
  3. 前記リング部材が樹脂系材料から形成されている請求項に記載の遊星ローラ式トラクションドライブ装置。
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