JP2003183567A - 防汚塗料組成物、該組成物からなる塗膜、該塗膜で被覆された船舶または水中構造物、および防汚方法 - Google Patents

防汚塗料組成物、該組成物からなる塗膜、該塗膜で被覆された船舶または水中構造物、および防汚方法

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JP2003183567A
JP2003183567A JP2001387590A JP2001387590A JP2003183567A JP 2003183567 A JP2003183567 A JP 2003183567A JP 2001387590 A JP2001387590 A JP 2001387590A JP 2001387590 A JP2001387590 A JP 2001387590A JP 2003183567 A JP2003183567 A JP 2003183567A
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田 伸 原
Yasuyuki Oniishi
石 康 之 鬼
Hideyuki Tanaka
中 秀 幸 田
Nobuhisa Mimura
村 展 央 三
Masaaki Oya
家 政 明 大
Yukio Kozono
園 幸 夫 小
Takahiro Nishiguchi
口 貴 広 西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜の加水分解速度が良好に制御され、防汚
性能(防汚活性)あるいは防汚性のうち特に高汚損環境
下における防汚性や、長期防汚性に優れた防汚塗膜が得
られうるとともに、塗料組成物の貯蔵安定性に優れた防
汚塗料組成物の提供。 【解決手段】(A)重合性不飽和カルボン酸シリルエス
テルから誘導される成分単位を含有するシリルエステル
共重合体、および(B)アガテンジカルボン酸、アガテ
ンジカルボン酸誘導体、アガテンジカルボン酸の金属
塩、アガテンジカルボン酸誘導体の金属塩、またはそれ
らを主成分として含む樹脂酸成分を含有することを特徴
とする防汚塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、シリルエステル系共重合
体と、アガテンジカルボン酸、その誘導体、またはそれ
らを主成分として含む樹脂酸成分とを含有する防汚塗料
組成物、この防汚塗料組成物から形成されている防汚塗
膜、該防汚塗料組成物を用いた防汚方法および該塗膜で
被覆された船舶、水中構造物、漁具または漁網に関す
る。
【0002】さらに詳しくは、塗膜の加水分解速度が良
好に制御され、長期防汚性に優れる防汚塗膜が得られ、
また、長期貯蔵安定性にも優れる防汚塗料組成物、この
防汚塗料組成物から形成されている防汚塗膜、該防汚塗
料組成物を用いた防汚方法および該塗膜で被覆された船
舶、水中構造物、漁具または漁網に関する。
【0003】
【発明の技術的背景】船底、水中構造物、漁網などは、
水中に長期間さらされるため、その表面には、カキ、イ
ガイ、フジツボ等の動物類、ノリ(海苔)等の植物類、
あるいはバクテリア類などの各種水棲生物が付着・繁殖
しやすい。このような動植物等が付着・繁殖すると、船
底、水中構造物、漁網などは、外観が損ねられるだけで
なく、その機能も害されることになる。
【0004】特に船底にこのような水棲生物が付着・繁
殖すると、船全体の表面粗度が増加し、船速の低下、燃
費の拡大などを招くことがある。また、バクテリア類、
スライム(ヘドロ状物)、さらに大型の付着生物が、鉄
鋼構造物などのような水中構造物の表面に付着・繁殖す
ると、構造物が腐敗したり、その水中構造物を覆う腐食
防止用の塗膜が損傷したりするなど、その水中構造物の
強度や機能、寿命を著しく低下させるおそれがある。し
かし、このような水棲生物等を船底から取り除くには、
多大な労力、作業時間が必要となる。
【0005】このような被害を防止するために、従来よ
り、船舶・水中構造物等の基材に防汚塗料を塗る方法が
行われている。現在の防汚塗料の防汚機構を大別すると
塗膜から防汚剤が抽出される抽出型(拡散型)と、塗膜
の分解に伴って新たな防汚剤が海水に接する加水・水和
分解型に大別される。抽出型は、初期防汚性が高いとい
う利点があるが、経時的に表面粗度が増し、また、防汚
期間が短いなどの欠点がある。
【0006】したがって、長期にわたる防汚性が要求さ
れる船舶・水中構造物等の基材には、加水・水和分解型
の防汚塗料が用いられる。加水・水和分解型の防汚塗料
は、塗膜表面で加水分解が起きて溶解するため、塗膜表
面を平滑に保つことができ、また、塗膜の溶解速度が一
定なので、長期にわたり防汚剤の溶出速度を均一に保つ
ことができるという利点がある。
【0007】このような加水・水和分解型の防汚塗料と
して、天然の松から採取されるロジンとロジンの強度を
補強する合成樹脂を含む防汚塗料組成物が知られてい
る。ロジンは、アビエチン酸とその異性体を主成分とす
る天然オリゴマーであるが、海水に対する微溶解性が知
られており、防汚塗料用樹脂として広く使用されてい
る。
【0008】たとえば、特開平10−30071号公報
には、ロジン、ロジン誘導体またはロジン金属塩からな
るロジン系化合物の1種または2種以上と、有機シリル
エステル基含有重合体と、防汚剤とを必須成分として含
有する塗料組成物が開示されている。また、該塗料組成
物は、長期浸漬後にも塗膜表面に残渣層の形成がなく、
クラック、剥離などの欠陥を生じず、長期にわたって、
海洋生物付着防止性能を発揮でき、リコート性および艤
装期間対応海洋生物付着性能に優れることが記載されて
いる。
【0009】このような中、本発明者らは、防汚塗膜に
適度な溶解性を付与し、長期防汚性を与え得るような新
たな防汚塗料組成物を開発すべく、鋭意研究を行ってい
た。ところで、防汚塗料組成物の開発に当たっては、以
下のような問題を考慮する必要がある。まず第一には、
近年、ますます環境汚染が進み、陸地付近の海水の汚染
が激しくなっており、たとえば、荷物等の積み入れのた
めの寄港時や、艤装期間(ドック内で船舶の外板を建造
した後、洋上で船舶内装部を建造する期間)中には、こ
のような汚損の激しい海域に長期間停泊せねばならない
ので、高汚損下でも、長期にわたる高い防汚性能を発揮
し得る防汚塗料組成物が、従来にも増して求められてい
る。
【0010】また、船舶の塗装は、建造時あるいは修繕
時に、陸に引き上げられ、はん木に載せられた状態で行
われるため、はん木と接触する部分の塗膜が破損しやす
い。したがって、塗膜には、適度な強度が必要とされ
る。さらに、防汚塗料は、市販された後、長期間、貯蔵
されることもあり、このような場合にも、塗料の変質や
劣化が生じないことが要求される。
【0011】本発明者らは、このようなすべての要請を
満たす塗料組成物の開発を目指し、鋭意研究を行ってい
たところ、シリルエステル共重合体と、アガテンジカル
ボン酸、その誘導体、またはそれらを主成分として含む
樹脂酸成分とを含む防汚塗料組成物が、長期保存安定性
に優れ、しかも、加水分解速度が良好で、長期にわたる
防汚性に優れ、適度の硬度を有する塗膜を提供し得るこ
とを見出し、本願発明を完成するに至ったものである。
【0012】
【発明の目的】本発明は、上記のような要請を満たすも
のであって、塗膜の加水分解速度が良好に制御され、防
汚性能(防汚活性)あるいは防汚性のうち特に高汚損環
境下における防汚性や、長期防汚性に優れた防汚塗膜が
得られるとともに、塗料組成物の貯蔵安定性に優れた防
汚塗料組成物を提供することを目的としている。
【0013】さらに本発明は、このような防汚塗料組成
物から形成されている防汚塗膜、該防汚塗料組成物を用
いた防汚方法および該塗膜で被覆された船舶または水中
構造物を提供することを目的としている。
【0014】
【発明の概要】本発明に係る防汚塗料組成物は、(A)
重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される
成分単位を含有するシリルエステル共重合体、および
(B)アガテンジカルボン酸、アガテンジカルボン酸誘
導体、アガテンジカルボン酸の金属塩、アガテンジカル
ボン酸誘導体の金属塩、またはそれらを主成分として含
む樹脂酸成分を含有することを特徴としている。
【0015】前記アガテンジカルボン酸誘導体として
は、たとえばアガテンジカルボン酸のエステル化物、ア
ミド化物、水素化物、不均化物、熱処理物、ビニルエー
テル付加物、マイケル付加物、またはディールスアルダ
ー付加物を用いることができる。前記樹脂酸成分は、カ
ウリコーパル樹脂、マニラコーパル樹脂(フィリピン産
コーパル樹脂)、またはインドネシア産コーパル樹脂か
ら得られる成分であることが好ましい。
【0016】また、前記樹脂酸成分が、コーパルガム
(軟質コーパル)から分取されるものであることが好ま
しい。前記(B)成分(不揮発成分)の配合量が、前記
(A)成分(不揮発分)100重量部に対して、0.1
〜300重量部、好ましくは1〜200重量部であるこ
とが望ましい。
【0017】前記シリルエステル共重合体(A)が、下
記式(I)で表わされるシリル(メタ)アクリレートか
ら誘導される成分単位(a)を含有することが好まし
い。 −CH2−CR1(COOSiR234)− (I) (式(I)中、R1は、水素原子またはメチル基を示
し、R2、R3、R4は、互いに同一でも異なっていても
よく、それぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル
基、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルシ
リルオキシ基の何れかを示す。) 前記式(I)中、R2が分岐アルキル基またはシクロア
ルキル基であることが好ましい。
【0018】前記シリルエステル共重合体(A)が、重
合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成
分単位(a)とともに、極性基含有(メタ)アクリレー
トから誘導される成分単位(b)を含有することが好まし
い。極性基含有(メタ)アクリレートから誘導される成
分単位(b)が、下記式(II)で表される成分単位である
ことが好ましい。
【0019】 −CH2−CR5(COZR6)− (II) [式中、R5は、水素原子またはメチル基を示し、Z
は、酸素原子または−NR7を示し、Zが酸素原子であ
る場合には、R6は置換基を有していてもよいヒドロキ
シアルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基または式:
―(R8O)nHで表されるポリアルキレングリコール基
(ただし、R8は、アルキレン基であり、nは2〜50
の整数を示す)または式:―(RxO)nyで表されるア
ルコキシポリアルキレングリコール基(ただし、Rx
アルキレン基であり、Ryはアルキル基であり、nは1
〜100の整数を示す)を示し、Zが−NR7である場
合には、R7は、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ
基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシ基の何れかで
置換されていてもよいアルキル基を示し、R6は水素原
子を示す。]前記シリルエステル共重合体(A)が、下
記式(I-a)で表されるシリル(メタ)アクリレート成
分単位(d): −CH2−CR10(COOSiR111213)− (I-a) (式(I-a)中、R10は、水素原子またはメチル基を示
し、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜
10の直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェ
ニル基またはトリメチルシリルオキシ基を示し、R
13は、環構造または分岐を有していてもよい炭素数が1
〜18のアルキル基、炭素数が6〜10の置換されてい
てもよいフェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基
を示す。)、および下記式(I-b)で表されるシリル
(メタ)アクリレート成分単位(e): −CH2−CR10(COOSiR141516)− (I-b) (式(I-b)中、R10は、水素原子またはメチル基を示
し、R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜
10の分岐またはシクロアルキル基を示し、R16は、炭
素数が1〜10の直鎖アルキル基、炭素数が3〜10の
分岐またはシクロアルキル基、または炭素数が6〜10
の置換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシ
リルオキシ基を示す。)を含有する共重合体であること
が好ましい。
【0020】本発明に係る防汚塗料組成物は、さらに防
汚剤(C)を含有していることが好ましく、防汚剤
(C)として、銅または銅化合物(ただし、有機銅化合
物を除く)(C1)、あるいは、有機防汚剤(C2)を
含有することがさらに好ましい。本発明に係る防汚塗料
組成物は、さらに、酸化亜鉛(D)を含有していること
が好ましい。
【0021】本発明に係る防汚塗料組成物は、さらに、
無機脱水剤(E)を含有していることが好ましい。本発
明に係る防汚塗料組成物は、さらに溶出促進成分(F)
を含有していることが好ましい。本発明に係る防汚塗膜
は、前記記載の防汚塗料組成物から形成されてなること
を特徴としている。
【0022】本発明に係る船舶または水中構造物の防汚
方法は、上記記載の防汚塗料組成物を用いることを特徴
としている。本発明に係る船舶または水中構造物は、上
記記載の防汚塗料組成物からなる塗膜にて船舶または水
中構造物の表面が被覆されていることを特徴としてい
る。本発明によれば、塗料の貯蔵安定性が良好で、塗膜
の加水分解速度が良好に制御され、防汚性能(防汚活
性)あるいは防汚性のうち特に高汚損環境下における防
汚性や、長期防汚性に優れた防汚塗膜を得ることが可能
な防汚塗料組成物が提供される。
【0023】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る防汚塗料組成
物について具体的に説明する。本発明に係る防汚塗料組
成物は、(A)重合性不飽和カルボン酸シリルエステル
から誘導される成分単位を含有するシリルエステル共重
合体、および(B)アガテンジカルボン酸、アガテンジ
カルボン酸誘導体、アガテンジカルボン酸の金属塩、ア
ガテンジカルボン酸誘導体の金属塩、またはそれらを主
成分として含む樹脂酸成分を含有している。
【0024】[シリルエステル共重合体(A)]まず、
このシリルエステル共重合体(A)について説明する。
本発明で使用されるシリルエステル共重合体は、重合性
不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単
位を含有している。(a)重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導さ
れる成分単位 重合性不飽和カルボン酸シリルエステルとしては、たと
えば、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカル
ボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ
二塩基酸などα,β-不飽和ジカルボン酸などのシリルエ
ステル、または、α,β−不飽和ジカルボン酸のハーフ
エステルのシリルエステルが挙げられる。
【0025】このような重合性不飽和カルボン酸シリル
エステルから誘導される成分単位としては、下記式
(I)で表されるシリル(メタ)アクリレート成分単位
(a)が好ましい。 −CH2−CR1(COOSiR234)− (I) 式(I)中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R
2、R3、R4は、互いに同一でも異なっていてもよく、
それぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置
換基を有していてもよいフェニル基、アルキルシリルオ
キシ基の何れかを示し、上記アルキル基の炭素数は、好
ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜6であり、シ
クロアルキル基の炭素数は、好ましくは3〜10、さら
に好ましくは3〜8である。また、上記フェニル基中の
水素原子と置換可能な置換基としては、アルキル、アリ
ール、ハロゲンなどが挙げられる。
【0026】このようなシリル(メタ)アクリレート成
分単位を誘導しうるシリル(メタ)アクリレートは、下
記式(I')で表される。 式(I'): CH2=CR1(COOSiR234) (I') 式(I')中、R1は、上記式(I)中のR1と同様のもの
であって、水素原子またはメチル基を示し、R2、R3
4も上記式(I)中のR2、R3、R4と同様のものであ
って、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ上
記と同様の水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、
置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルシリル
オキシ基の何れかを示す。
【0027】このようなシリル(メタ)アクリレート
(I')としては、具体的には、たとえば、(メタ)アク
リル酸トリメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸
トリエチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリプ
ロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリイソプ
ロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリブチル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸トリsec-ブチルシ
リルエステル、(メタ)アクリル酸トリiso-ブチルシリ
ルエステル等のようにR2、R3およびR4が同一のシリ
ル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸ジsec
−ブチル−メチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸
sec-ブチル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリ
ル酸ジメチルプロピルシリルエステル、(メタ)アクリ
ル酸モノメチルジプロピルシリルエステル、(メタ)ア
クリル酸メチルエチルプロピルシリルエステル等のよう
にR2、R3およびR4のうちの1部または全部が互いに
異なったシリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。
【0028】以上のシリル(メタ)アクリレートは組み
合わせて用いることができる。このようなシリル(メ
タ)アクリレートのうちでは、R2、R3およびR4が、
それぞれ独立にメチル基、エチル基、n−、iso-プロピ
ル基、sec-,tert-,iso-ブチル基等の炭素数が1〜1
8程度のアルキル基であるものが好ましく、さらにはR
2が分岐アルキル基またはシクロアルキルであるものが
好ましい。R3およびR4は、R2と同一であっても異な
っていてもよい。さらには、R2、R3およびR4の総炭
素数が5〜21程度のものが好ましい。このようなシリ
ル(メタ)アクリレートのうちでは、特にシリル(メ
タ)アクリレート共重合体合成の容易性、あるいはこの
ようなシリル(メタ)アクリレート共重合体を用いてな
る防汚塗料組成物の造膜性、貯蔵安定性、研掃性の制御
のしやすさなどを考慮すると、(メタ)アクリル酸トリ
iso-プロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリ
iso-ブチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジsec-
ブチル−メチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸se
c-ブチル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル
酸トリsec-ブチルシリルエステルが最も好ましく用いら
れる。
【0029】(b)極性基含有(メタ)アクリレートから
誘導される成分単位 本発明では、上記(a)重合性不飽和カルボン酸シリルエ
ステルから誘導される成分単位とともに、(b)極性基含
有(メタ)アクリレートから誘導される成分単位を有し
ていることが望ましい。なお、必ずしも(b)成分単位は
シリルエステル共重合体中に含まれている必要はない。
【0030】極性基含有(メタ)アクリレートから誘導
される成分単位としては、極性基を有する(メタ)アク
リレート系単量体から誘導される成分単位であれば特に
制限されないが、下記式(II)で表される成分単位が好
ましい。 −CH2−CR5(COZR6)− (II) [式中、R5は、水素原子またはメチル基を示し、Z
は、酸素原子または−NR7を示し、Zが酸素原子であ
る場合には、R6は置換基を有していてもよいヒドロキ
シアルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基または式:
―(R8O)nHで表されるポリアルキレングリコール基
(ただし、R8は、アルキレン基であり、nは2〜50
の整数を示す)または式:−(RxO)nyで表されるア
ルコキシポリアルキレングリコール基(ただし、Rx
アルキレン基であり、Ryはアルキル基でありnは1〜
100の整数を示す)を示し、Zが−NR7である場合
には、R7は、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、
置換アミノ基、アシル基、アルコキシ基の何れかで置換
されていてもよいアルキル基を示し、R6は水素原子を
示す。] 上記式(II)中のヒドロキシアルキル基の炭素数は、好
ましくは1〜18、さらに好ましくは2〜9であり、ま
た上記ヒドロキシシクロアルキル基の炭素数は、好まし
くは3〜10、さらに好ましくは3〜8であり、上記ポ
リアルキレングリコール基中のアルキレン基の炭素数
は、好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜4であ
る。アルコキシポリアルキレングリコール基中のアルキ
レン基の炭素数は、好ましくは1〜8、さらに好ましく
は2〜4であり、アルキル基の炭素数は1〜8、さらに
好ましくは2〜4でありアルキル基は環状構造を形成し
ていてもよい。置換アミノ基としては、炭素数1〜6の
モノまたはジアルキルアミノ基が挙げられ、アシル基と
しては炭素数1〜6のアルカノイル基、炭素数1〜6の
アルコキシ基などが挙げられる。
【0031】このような不飽和単量体成分単位(b)を誘
導しうる不飽和単量体は、下記式(II')で表される。 CH2=CR5(COZR6) (II') 式(II')中、R5は、上記式(II)中のR5と同様のも
のであって、水素原子またはメチル基を示し、Zは、上
記式(II)中のZと同様のものであって、酸素原子また
は−NR7を示す。
【0032】Zが酸素原子である場合には、R6は置換
基を有していてもよいヒドロキシアルキル基、ヒドロキ
シシクロアルキル基または式:−(R8O)nHで表される
ポリアルキレングリコール基(ただし、R8は、アルキ
レン基であり、nは2〜50の整数を示す)または式:
−(RxO)nyで表されるアルコキシポリアルキレング
リコール基(ただし、Rxはアルキレン基であり、Ry
アルキル基でありnは1〜100の整数を示す)を示
し、Zが−NR7である場合には、R7は、ハロゲン、ヒ
ドロキシル基、アミノ基、置換アミノ基、アシル基、ア
ルコキシ基の何れかで置換されていてもよいアルキル基
を示し、R6は水素原子を示す。] このような不飽和単量体(II')としては、式(II')
中、Zが酸素原子であるものの場合には、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、3−フェノキシ−2
−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブ
チルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、6−ヒドロ
キシヘキシルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールモノアクリレート、ポリエチレングリコール
モノメタクリレート(n=2)、ポリエチレングリコー
ルモノメタクリレート(n=4)、ポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート(n=5)、ポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(n=8)、ポリエチレング
リコールモノメタクリレート(n=10)、ポリエチレ
ングリコールモノメタクリレート(n=15)、ポリプ
ロピレングリコールモノメタクリレート(n=5)、ポ
リプロピレングリコールモノメタクリレート(n=
9)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート
(n=12)、2−メトキシエチルアクリレート、メト
キシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=
45)等が挙げられる。
【0033】また、上記式(II')中、Zが−NR7であ
るものの場合には、具体的には、たとえば、N−メチロ
ールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミ
ド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチル
アミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリル
アミド等が挙げられる。
【0034】これらの不飽和単量体(II')は、1種ま
たは2種以上組み合わせて用いることができる。これら
の不飽和単量体(II')のうちでは、ヒドロキシル基含
有モノマーが好ましく、ヒドロキシル基含有モノマーの
うちでは2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒ
ドロキシブチルメタクリレートなどを用いると、適度の
溶出性を有する防汚塗膜が得られるため好ましい。
【0035】不飽和単量体成分単位(c) シリルエステル共重合体は、通常、上記成分単位(a)お
よび上記成分単位(b)とともに不飽和単量体成分単位(c)
を含有している。この不飽和単量体成分単位(c)は、上
記成分単位(a)、(b)の何れとも異なる成分単位である。
このような不飽和単量体成分単位(c)を誘導しうる不飽
和単量体(c-1)としては、具体的には、たとえば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸エ
ステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン等のスチレン類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;
クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、フマル
酸エステル類、マレイン酸エステル類等が挙げられ、こ
れらのうちでは、(メタ)アクリル酸エステル類、スチ
レン類、ビニルエステル類が適度の塗膜強度を有する防
汚塗膜が得られるため好ましい。
【0036】以上の不飽和単量体は、1種または2種以
上組み合わせて用いられる。本発明では、シリルエステ
ル共重合体(A)中に、上記重合性不飽和カルボン酸シリ
ルエステル成分単位(a)は、20〜80重量%、好まし
くは30〜70重量%の量で、極性基含有(メタ)アク
リレート成分単位(b)は0〜40重量%、好ましくは
0.1〜20%の量で、その他の不飽和単量体成分単位
(c)は5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%
((a)+(b)+(c)=100重量%)の量で含まれている
ことが、塗膜強度と消耗性の点で望ましい。
【0037】またこのようなシリルエステル共重合体
(A)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(G
PC)で測定した重量平均分子量は、20万以下、好ま
しくは5000〜10万であることが、該シリルエステ
ル共重合体(A)を配合した防汚塗料調製の容易性、得
られた防汚塗料の貯蔵安定性、塗装作業性、防汚塗膜の
消耗速度、耐クラック性などの点で望ましい。
【0038】シリルエステル共重合体(A)の製造 このようなシリル(メタ)アクリレート共重合体(A)
を得るには、上記式(I')で表されるシリル(メタ)ア
クリレート(a1)20〜80重量%と、上記式(II')で
表される不飽和単量体(b1)0〜40重量%と、上記単量
体(I')および(II')と共重合しうる他の不飽和単量
体(c1)5〜80重量%(ただし(a1)+(b1)+(c1)=10
0重量%)をラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重
合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の各種方法にてラ
ンダム重合させればよい。
【0039】ラジカル重合開始剤としては、従来より公
知のアゾ化合物、過酸化物などを広く用いることがで
き、アゾ化合物としては、具体的には、たとえば、2,2'
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メ
チルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル
バレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物としては、た
とえば、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシア
セテート、tert−ブチルパーオキシオクテート、クメン
ハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイ
ド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチ
ルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチル
ハイドロパーオキサイド、過硫酸塩(カリ塩、アンモニ
ウム塩)等が挙げられる。
【0040】上記重合物を防汚塗料に用いる場合には、
上記各種重合法のうちでは、有機溶剤中で重合が行われ
る溶液重合法や塊状重合法が好ましく、溶液重合の際用
いられる有機溶剤としては、キシレン、トルエン等の芳
香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプ
ロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール
類;ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
類;等が挙げられる。これらの溶剤は、1種または2種
以上組み合わせて用いられる。
【0041】シリルエステル共重合体(A−1) 本発明では、シリルエステル共重合体(A)として、下
記式(I-a)で表されるシリル(メタ)アクリレート成
分単位(d): −CH2−CR10(COOSiR111213)− (I-a) (式(I-a)中、R10は、水素原子またはメチル基を示
し、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜
10の直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェ
ニル基またはトリメチルシリルオキシ基を示し、R
13は、環構造または分岐を有していてもよい炭素数が1
〜18のアルキル基、炭素数が6〜10の置換されてい
てもよいフェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基
を示す。)、および下記式(I-b)で表されるシリル
(メタ)アクリレート成分単位(e): −CH2−CR10(COOSiR141516)− (I-b) (式(I-b)中、R10は、水素原子またはメチル基を示
し、R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜
10の分岐またはシクロアルキル基を示し、R16は、炭
素数が1〜10の直鎖アルキル基、炭素数が3〜10の
分岐またはシクロアルキル基、または炭素数が6〜10
の置換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシ
リルオキシ基を示す。)を含むシリル(メタ)アクリレ
ート共重合体を使用することもできる。
【0042】以下、このシリル(メタ)アクリレート共
重合体(A−1)を構成する各成分単位(d)、(e)、(f)
について順次説明する。 (シリル(メタ)アクリレート成分単位(d))シリル
(メタ)アクリレート成分単位(d)は、下記式(I-a)で
表される。 −CH2−CR10(COOSiR111213)− (I-a) 式(I-a)中、R10は、水素原子またはメチル基を示
し、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜
10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6の直
鎖アルキル基または置換されていてもよいフェニル基ま
たはトリメチルシリルオキシ基を示す。直鎖アルキル基
としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル
基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、
n−デシル基が挙げられる。
【0043】上記フェニル基中の水素原子と置換可能な
置換基としては、アルキル、アリール、ハロゲンなどが
挙げられる。R13は、環構造または分岐を有していても
よい炭素数が1〜18、好ましくは1〜12、さらに好
ましくは1〜9のアルキル基、炭素数が6〜10、好ま
しくは6〜8の置換されていてもよいフェニル基、また
はトリメチルシリルオキシ基:「(CH3)3SiO−」で
ある。
【0044】このようなアルキル基としては、上記例示
した直鎖状アルキル基の他;iso-プロピル基、iso-ブチ
ル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、neo-ペンチル基
等の分岐状アルキル基;シクロヘキシル基、エチリデン
ノルボニル基等の脂環構造(シクロヘキサン環、ノルボ
ルナン環)を有する脂環式アルキル基;等が挙げられ
る。
【0045】これらのうちでは、R11、R12、R13とし
ては、互いに同一でも異なっていてもよいが、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル
基、トリメチルシリルオキシ基が好ましく、特に、メチ
ル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基が好ま
しい。このようなシリル(メタ)アクリレート成分単位
(d)を誘導しうるシリル(メタ)アクリレート(d1)は、
下記式(I-a-1)で表される。
【0046】 CH2=CR10(COOSiR111213) (I-a-1) 式(I-a-1)中、R10〜R13は、上記式(I-a)中のR10
〜R13と同様のものである。このようなシリル(メタ)
アクリレート(I-a-1)としては、具体的には、たとえ
ば、(メタ)アクリル酸トリメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリエチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−プロピルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−ブチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−ペンチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−ヘキシルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−ヘプチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−オクチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−ノニルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−デシルシリルエステルのように
11、R12、R13が同一の脂肪族系シリル(メタ)アク
リレート類;(メタ)アクリル酸トリフェニルシリルエ
ステルの他、(メタ)アクリル酸トリス(トリメチルシ
リルオキシ)シリルエステル等のR11、R12、R13が同
一の芳香族系あるいはシロキサン系シリル(メタ)アク
リレート類;(メタ)アクリル酸ジメチルn−プロピル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸イソプロピルジメ
チルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジn-ブチル-i
so-ブチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸n-ヘキ
シル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸se
c-ブチル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル
酸モノメチルジn-プロピルシリルエステル、(メタ)ア
クリル酸メチルエチルn-プロピルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸エチリデンノルボルニル−ジメチルシリ
ルエステル、(メタ)アクリル酸トリメチルシリルオキ
シ−ジメチルシリルエステル(CH2=C(CH3)COO
Si(CH3)2(OSi(CH3)3)、CH2=CHCOOSi
(CH3)2(OSi(CH3)3))等のようにR11、R12およ
びR13のうちの一部または全部が互いに異なった脂肪族
系のシリル(メタ)アクリレート類;等が挙げられる。
【0047】本発明においては、シリル(メタ)アクリ
レート(I-a-1)は、1種または2種以上組み合わせて
用いることができる。 (シリル(メタ)アクリレート成分単位(e))シリル
(メタ)アクリレート成分単位(e)は、下記式(I-b)で
表される。 −CH2−CR10(COOSiR141516)− (I-b) 式(I-b)中、R10は、水素原子またはメチル基を示し、
14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜1
0、好ましくは3〜8の分岐アルキル基または炭素数が
3〜10、好ましくは3〜9のシクロアルキル基を示
す。
【0048】上記分岐アルキル基としては、上記式(II
I)中のものと同様に、iso-プロピル基、iso-ブチル
基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、neo-ペンチル基等
の分岐状アルキル基が挙げられる。上記シクロアルキル
基としては、シクロヘキシル基、エチリデンノルボルニ
ル基が挙げられる。
【0049】R16は、炭素数が1〜10、好ましくは1
〜8、さらに好ましくは1〜6の直鎖アルキル基、炭素
数が3〜10、好ましくは3〜9の分岐またはシクロア
ルキル基、または炭素数が6〜10、好ましくは6〜8
の置換されていてもよいフェニル基、またはトリメチル
シリルオキシ基を示す。このR16中の直鎖アルキル基、
分岐またはシクロアルキル基、フェニル基などとして
は、具体的には、上記と同様の基を挙げることができ
る。
【0050】これらのうちでは、R14、R15、R16とし
ては、互いに同一でも異なっていてもよいが、同一の場
合には、iso-プロピル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基
が好ましく、特に、iso-プロピル基、sec-ブチル基が好
ましい。また、R14、R15、R16の一部または全部が異
なる場合には、R14、R15は互いに同一でも異なってい
てもよいが、R14、R15としては、iso-プロピル基、is
o-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が好まし
く、R16としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、トリメチ
ルシリルオキシ基が好ましい。
【0051】このようなシリル(メタ)アクリレート成
分単位(e)を誘導しうるシリル(メタ)アクリレート(e
1)は、下記式(I-b-1)で表される。 CH2=CR10(COOSiR141516)− (I-b-1) 式(I-b-1)中、R10、R14、R15、R16は、上記式(I
-b-1)中のR10、R14、R15、R16と同様のものであ
る。
【0052】このようなシリル(メタ)アクリレート
(I-b-1)としては、具体的には、たとえば、(メタ)アク
リル酸トリiso-プロピルシリルエステル、(メタ)アク
リル酸トリiso-ブチルシリルエステル、(メタ)アクリ
ル酸トリsec-ブチルシリルエステルのようにR14、R15
およびR16が同一のシリル(メタ)アクリレート;(メ
タ)アクリル酸ジiso-プロピル−シクロヘキシルシリル
エステル、(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル−フェニ
ルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル
−トリメチルシロキシシリルエステル、(メタ)アクリ
ル酸ジsec-ブチル−メチルシリルエステル、(メタ)ア
クリル酸ジsec-ブチル−エチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸ジsec-ブチル−トリメチルシリルオキシ
シリルエステル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル−se
c-ブチル−メチルシリルエステルのようにR14、R15
よびR16のうちの1部または全部が互いに異なったシリ
ル(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
【0053】本発明においては、このようなシリル(メ
タ)アクリレート(I-b-1)は、1種または2種以上組
み合わせて用いることができる。このようなシリル(メ
タ)アクリレートのうちでは、特にシリル(メタ)アク
リレート共重合体合成の容易性、あるいはこのようなシ
リル(メタ)アクリレート共重合体を用いてなる防汚塗
料組成物の造膜性、貯蔵安定性、研掃性の制御のしやす
さなどを考慮すると、シリル(メタ)アクリレート(I-
a-1)のうちの、(メタ)アクリル酸トリメチルシリル
エステル、(メタ)アクリル酸トリエチルシリルエステ
ル、(メタ)アクリル酸トリn-プロピルシリルエステ
ル、(メタ)アクリル酸トリn-ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸n-ヘキシル−ジメチルシリルエステ
ル、(メタ)アクリル酸n-オクチル−ジメチルシリルエ
ステル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル−ジメチルシ
リルエステル、(メタ)アクリル酸エチリデンノルボル
ニル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ト
リメチルシリルオキシ−ジメチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸ビス(トリメチルシリルオキシ)−メチ
ルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリス(トリメ
チルシリルオキシ)シリルエステルから選択される何れ
か1種または2種以上と、シリル(メタ)アクリレート
(I-b-1)のうちの、(メタ)アクリル酸トリiso-プロ
ピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリiso-ブチ
ルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリsec-ブチル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−メ
チルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジiso-プロピ
ル−トリメチルシリルオキシシリルエステル、(メタ)
アクリル酸ジsec-ブチル−トリメチルシリルオキシシリ
ルエステルから選択される何れか1種または2種以上
と、を組み合わせて用いることが好ましい。
【0054】さらには、シリル(メタ)アクリレート
(I-a-1)のうちの、(メタ)アクリル酸トリn-ブチル
シリルエステルと、シリル(メタ)アクリレート(I-b-
1)のうちの、(メタ)アクリル酸トリiso-プロピルシ
リルエステルとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0055】(不飽和単量体成分単位(f))不飽和単量
体成分単位(f)は、上記成分単位(d)および上記成分単位
(e)と共に本発明のシリル(メタ)アクリレート共重合
体を構成しており、しかも上記成分単位(d)、(e)の何れ
とも異なる成分単位であって、このような不飽和単量体
成分単位(f)を誘導しうる不飽和単量体(f1)としては、
前記式(II')で表される(b)極性基含有(メタ)アクリ
レートまたは前記不飽和単量体成分単位(c)を誘導しう
る不飽和単量体(c-1)が挙げられる。
【0056】このような単量体として、具体的には、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n-,iso-,tert-ブチル、(メ
タ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル等の疎水性(メタ)アクリル酸エステル
類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−
ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエ
チル、アルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、アルコキシポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート等の親水性(メタ)アクリル酸エス
テル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン等のスチレン類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;イ
タコン酸エステル群、マレイン酸エステル群等の有機カ
ルボン酸エステル類;等が挙げられ、これらのうちで
は、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、有機
カルボン酸ビニルエステル類が適度の塗膜強度を有する
防汚塗膜が得られるため好ましい。
【0057】親水性(メタ)アクリル酸エステル類を使
用すると塗膜の消耗性を増大させることができ、この目
的ではアクリルアミド誘導体などの親水性を有するコモ
ノマーの使用も可能である。これらの不飽和単量体(f1)
は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。本発
明に係るシリル(メタ)アクリレート共重合体には、上
記シリル(メタ)アクリレート成分単位(d)は、0.5
〜50重量%、好ましくは0.5〜25重量%の量で、
シリル(メタ)アクリレート成分単位(e)は10〜70
重量%、好ましくは30〜65重量%の量で、上記(d)
及び(e)以外の不飽和単量体成分単位(f)は20〜70重
量%、好ましくは30〜60重量%((d)+(e)+(f)=
100重量%)の量で含まれていることが、塗膜へのク
ラックの発生防止、塗膜の耐剥離性、塗膜強度、消耗性
の点で望ましい。
【0058】またこのようなシリル(メタ)アクリレー
ト共重合体(A−1)のゲルパーミエイションクロマト
グラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量は、2
0万以下、好ましくは3000〜10万、特に好ましく
は5000〜5万であることが、該シリル(メタ)アク
リレート共重合体を配合した防汚塗料調製の容易性、得
られた防汚塗料の塗装作業性、防汚塗膜の消耗速度、耐
クラック性などの点で望ましい。
【0059】(シリル(メタ)アクリレート共重合体
(A−1)の製造)このようなシリル(メタ)アクリレ
ート共重合体(A−1)を得るには、上記式(I-a-1)
で表されるシリル(メタ)アクリレート(d1)0.5〜5
0重量%と、上記式(I-b-1)で表されるシリル(メ
タ)アクリレート(e1)10〜70重量%と、上記単量体
(d1)および(e1)と共重合しうる他の不飽和単量体(f
1)20〜70重量%(ただし(d1)+(e1)+(f1)=100
重量%)をラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合、
塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の各種方法にてランダ
ム重合させればよい。
【0060】ラジカル重合開始剤としては、従来より公
知のアゾ化合物、過酸化物などを広く用いることがで
き、アゾ化合物としては、具体的には、たとえば、2,2'
-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチ
ルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレ
ロニトリル)等が挙げられ、過酸化物としては、たとえ
ば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーオキシアセテ
ート、tert-ブチルパーオキシオクテート、クメンハイ
ドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、ter
t-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオ
キシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルハイドロ
パーオキサイド、過硫酸塩(カリ塩、アンモニウム塩)
等が挙げられる。
【0061】上記重合物を防汚塗料に用いる場合には、
上記各種重合法のうちでは、有機溶剤中で重合が行われ
る溶液重合法や塊状重合法が好ましく、溶液重合の際用
いられる有機溶剤としては、キシレン、トルエン等の芳
香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプ
ロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール
類;ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
類;等が挙げられる。これらの溶剤は、1種または2種
以上組み合わせて用いられる。 [(B)アガテンジカルボン酸、アガテンジカルボン酸
誘導体、アガテンジカルボン酸の金属塩、アガテンジカ
ルボン酸誘導体の金属塩、またはそれらを主成分として
含む樹脂酸成分](B)成分としては、(B)アガテン
ジカルボン酸、アガテンジカルボン酸誘導体、アガテン
ジカルボン酸の金属塩、アガテンジカルボン酸誘導体の
金属塩、またはそれらを主成分として含む樹脂酸成分を
用いることができる。このような成分は、1種単独で、
または2種以上を混合して用いてもよい。
【0062】アガテンジカルボン酸はアガト酸ともい
い、下記構造式で示される化合物である。
【0063】
【化1】
【0064】アガテンジカルボン酸誘導体としては、た
とえば、アガテンジカルボン酸のエステル化物、アミド
化物、水素化物、不均化物、熱処理物、ビニルエーテル
付加物、マイケル付加物、ディールスアルダー付加物な
どが挙げられる。アガテンジカルボン酸のエステル化物
(アガテンジカルボン酸エステル)としては、アガテン
ジカルボン酸のモノまたはジエステルがあり、なかでも
モノエステルが好ましい。具体的には、アガテンジカル
ボン酸と炭素数1〜18、好ましくは1〜8のアルコー
ルとから形成されるエステルが挙げられ、より具体的に
は、アガテンジカルボン酸のアルキルエステル、アガテ
ンジカルボン酸アリールエステル等の炭化水素エステル
が挙げられる。
【0065】アガテンジカルボン酸のアミド化物(アガ
テンジカルボン酸アミド)としては、アガテンジカルボ
ン酸のモノまたはジアミドがあり、なかでもモノアミド
が好ましい。具体的には、アガテンジカルボン酸と炭素
数1〜18、好ましくは1〜8のアミンとから形成され
るアミドが挙げられ、より具体的には、アルキルアミ
ド、アリールアミド等の炭化水素基含有アミドが挙げら
れる。
【0066】アガテンジカルボン酸の水素化物として
は、たとえば、アガテンジカルボン酸分子中の炭素炭素
二重結合への水素付加により得られる化合物、または、
アガテンジカルボン酸分子中のシクロ炭素環を水素付加
開裂して得られる化合物などを挙げることができる。ア
ガテンジカルボン酸の熱処理物としては、たとえば不活
性ガス中で、アガテンジカルボン酸を250〜350℃
に加熱処理して得られるものが挙げられる。このような
熱処理をすると、たとえば、下記式
【0067】
【化2】
【0068】で表わされるノルアガテン酸(ノルアガテ
ンモノカルボン酸ともいう)を含むものが得られる場合
もあり、また、アガテンジカルボン酸の分子間で反応が
起こり、不均化物が得られる場合もある。なお、このよ
うな不均化物も本発明のアガテンジカルボン酸の誘導体
として使用し得ることはいうまでもない。アガテンジカ
ルボン酸のビニルエーテル付加物は、アガテンジカルボ
ン酸のカルボキシル基に、炭素数1〜18、好ましくは
1〜8のアルキル基、アリール基等の炭化水素基含有ビ
ニルエーテルが1個または2個付加したものである。こ
のようなビニルエーテル付加物は、たとえば、特開20
01−262076号公報に開示された方法を利用する
ことにより製造することができる。
【0069】アガテンジカルボン酸のマイケル付加物と
しては、たとえば、マロン酸エステル、アセト酢酸エス
テル、シアノ酢酸エステルなどの炭素数1〜18、好ま
しくは1〜8の活性メチレン化合物とアガテンジカルボ
ン酸(またはそのエステル)中の分極した炭素炭素二重
結合が付加反応して形成する化合物を挙げることができ
る。
【0070】アガテンジカルボン酸のディールスアルダ
ー付加物としては、アガテンジカルボン酸の炭素炭素二
重結合に、炭素数1〜18、好ましくは1〜8のジエン
成分が付加して形成する化合物を挙げることができる。
アガテンジカルボン酸の金属塩またはアガテンジカルボ
ン酸誘導体の金属塩としては、アガテンジカルボン酸ま
たは上記アガテンジカルボン酸誘導体と、亜鉛、カルシ
ウム、銅、マグネシウム、ストロンチウム、マンガン、
ニッケル等の金属またはこれらの金属の金属化合物との
反応で形成される金属塩が挙げられる。このような中で
も、特に、亜鉛または銅の金属塩が、塗膜消耗性および
防汚性の点から好ましい。
【0071】また、アガテンジカルボン酸、アガテンジ
カルボン酸誘導体、アガテンジカルボン酸の金属塩また
はアガテンジカルボン酸誘導体の金属塩を主成分として
含む樹脂酸成分とは、アガテンジカルボン酸、アガテン
ジカルボン酸誘導体、アガテンジカルボン酸の金属塩お
よびアガテンジカルボン酸誘導体の金属塩のうちの少な
くとも一種を主成分として含む樹脂酸成分をいう。ここ
で、「主成分として」含むとは、「必須成分として」含
むことを意味する。主成分であるアガテンジカルボン
酸、アガテンジカルボン酸誘導体、アガテンジカルボン
酸金属塩またはアガテンジカルボン酸誘導体の金属塩、
あるいはこれらの化合物を少なくとも二種以上含む混合
物は、樹脂酸成分全体(不揮発分)を100重量%とし
たときに、30〜100重量%、好ましくは50〜10
0重量%の量で含まれることが望ましい。
【0072】このような樹脂酸成分としては、コーパル
樹脂(ガムコーパル、コーパルガム、コーパルゴム、コ
パル、コパールともいう)より得られる樹脂酸成分が好
ましい。コーパル樹脂としては、産地、母樹の種類、樹
木からの採取部位などにより種々に分類され、様々な種
類があるが、産地名により分類すれば、たとえば、サン
ジバルコーパル(サレムコーパル、ボンベイコーパ
ル)、マダラスカルコーパル、モザンビックコーパル等
の東アフリカ産コーパル樹脂、シエラレオヌコーパル、
アンゴラコーパル、コンゴーコーパル、ベニンコーパ
ル、アクラコーパル等の西アフリカ産コーパル樹脂、マ
ニラコーパル(フィリピン産)、マカッサコーパル、ボ
ルネオコーパル、セレベスコーパル等の東インドおよび
南洋産コーパル樹脂、カウリコーパル等のニュージーラ
ンド産コーパル樹脂、ブラジルコーパル、ベネズエラコ
ーパル等の南アメリカ産コーパル樹脂、インドネシア産
コーパル樹脂が挙げられる。
【0073】また、コーパル樹脂は、母樹による分類で
は、たとえば、Kauri Copal、Konifera Copal、Trachyl
obium Copal、Kopaipa、Hymenaa Copal等が挙げられ
る。コーパル樹脂は、生樹による軟質(Recent resin)
のものと硬質の化石樹脂(Fossil resin)のものがあ
る。このような中でも、軟質のカウリコーパル樹脂、マ
ニラコーパル樹脂(フィリピン産コーパル樹脂)、およ
びインドネシア産コーパル樹脂が、アガテンジカルボン
酸および/またはその誘導体を多く含むので好ましい。
【0074】生樹による軟質コーパル樹脂は、たとえ
ば、カウリの立木から得ることができ、カウリの立木か
ら採取する場合は、大樹の真中より上の部分より採取さ
れたものであることが好ましい。また、硬質の化石樹脂
は、通常、化石として地中から採掘されるが、樹脂酸が
高分子化しているため、本発明に用いる樹脂酸成分の含
有量が少ない。
【0075】したがって、本発明においては、生樹によ
る軟質のコーパル樹脂を用いることが好ましい。コーパ
ル樹脂より樹脂酸成分を得る方法としては、溶媒抽出
法、アルカリ抽出法、蒸留法などが挙げられるが、なか
でも溶媒抽出法が簡便な方法であるため好ましい。
【0076】溶媒抽出法に用いる溶剤としては、アルコ
ール系、芳香族系、脂肪族系、エステル系、ケトン系な
どの溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤を用いるこ
とができる。コーパル樹脂には、樹脂酸成分のほかに、
テルペン類や樹脂酸の重合した高分子物質が含まれる。
この高分子物質は、シリルエステル共重合体(A)との
相溶性や、海水への溶出性が低いので、できるだけ排除
する方が好ましい。この高分子物質は、たとえば、アル
コールに溶け、芳香族系溶剤には難溶で、脂肪族系溶剤
には不溶であるので、これらの溶剤を組み合わせて、樹
脂酸成分を純度高く抽出することができる。すなわち、
コーパル樹脂を芳香族系溶剤に、必要に応じて加温して
溶かし、不溶部分を除去した上澄みを回収することによ
って、樹脂酸成分を抽出することができる。また、この
上澄みにも、撹拌によって分散した高分子物質や不溶物
が含まれることがあり、充分な期間沈殿させて高分子物
質を除去することが望ましい。さらに、脂肪族系溶剤を
加えることによって高分子物質や不溶物の沈殿を促進す
ることができる。
【0077】このような芳香族系溶剤としては、たとえ
ばアルキルベンゼンなどが挙げられ、なかでもトルエン
およびキシレンが好ましい。また、脂肪族系溶剤として
は、たとえば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、リグロ
イン、n−ヘプタン、ターペン、ケロセン、灯油などが
挙げられる。このようにして得られた樹脂酸成分のワニ
スは、そのまま用いてもよく、また、必要に応じて濃縮
して用いることもできる。
【0078】また、このようにして得られる樹脂酸成分
は、シリルエステル共重合体(A)との相溶性に優れ、
また、該樹脂酸成分を含む防汚塗料組成物により、塗膜
を形成した際に、適度な海水への溶出性を示し、塗膜消
耗促進性、防汚性向上などの優れた特性を有する。ま
た、本発明で用いられる樹脂酸成分としては、このよう
に、アガテンジカルボン酸、アガテンジカルボン酸誘導
体、アガテンジカルボン酸の金属塩またはアガテンジカ
ルボン酸誘導体の金属塩、あるいはこれらを二種以上含
む混合物を含む天然の樹脂から抽出して得られる樹脂酸
成分のみならず、天然の樹脂酸を加工することにより、
アガテンジカルボン酸、アガテンジカルボン酸誘導体、
アガテンジカルボン酸金属塩またはアガテンジカルボン
酸誘導体の金属塩、あるいはこれらを二種以上含む混合
物を含むようになった樹脂酸成分をも使用することがで
きる。
【0079】すなわち、本発明においては、樹脂酸中に
含まれているアガテンジカルボン酸のカルボキシル基
(特に2つあるカルボキシル基のうちの1つ)を、エス
テル化、アミド化、ビニルエーテル付加させたものも使
用することができる。また、樹脂酸中に含まれるアガテ
ンジカルボン酸の有する二重結合を、水素化、マイケル
反応、ディールスアルダー反応させ、あるいは、加熱し
て脱炭酸または不均化反応させたものも用いることもで
きる。
【0080】また、たとえば、上記のようにして抽出さ
れた樹脂酸に、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム、
ストロンチウム、マンガン、ニッケル等の金属またはこ
れらの金属の金属化合物とを反応させて形成される樹脂
酸の金属塩を、樹脂酸成分として用いることもできる。
このような中でも、特に、亜鉛または銅の金属塩が塗膜
消耗性および防汚性の点から好ましい。
【0081】上記(B)成分(不揮発分)は、本発明に
係る防汚塗料組成物中に、シリルエステル系共重合体
(不揮発分)(A)100重量部に対し、0.1〜300
重量部、好ましくは1〜200重量部、さらに好ましく
は5〜100重量部、特に好ましくは5〜50重量部の
範囲で含まれていることが、塗膜の防汚性、適度の塗膜
消耗性および塗膜物性等の点から望ましい。
【0082】[防汚塗料組成物]本発明に係る防汚塗料
組成物は、上記したシリルエステル系共重合体(A)
(共重合体(A−1)を含む)と、(B)アガテンジカ
ルボン酸、アガテンジカルボン酸誘導体、アガテンジカ
ルボン酸の金属塩、アガテンジカルボン酸誘導体の金属
塩、またはそれらを主成分として含む樹脂酸成分とを塗
膜形成成分として含有している。
【0083】本発明に係る防汚塗料組成物中(後述する
各種添加剤、溶剤を含む)に、シリルエステル系共重合
体(A)(不揮発分)は、1〜40重量%、好ましくは
5〜20重量%の割合で含まれていることが望ましい。
また、(B)成分(不揮発分)は、防汚塗料組成物中
に、0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の
割合で含まれていることが、塗膜の防汚性、適度の塗膜
消耗性および塗膜物性等の点から望ましい。
【0084】この(A)シリルエステル系共重合体と
(B)アガテンジカルボン酸、アガテンジカルボン酸誘
導体、アガテンジカルボン酸の金属塩、アガテンジカル
ボン酸誘導体の金属塩、またはそれらを主成分として含
む樹脂酸成分とが含有された防汚塗料組成物によれば、
塗料の貯蔵安定性が良好で、塗膜にクラックが発生しに
くく、塗膜の加水分解速度が良好に制御され、防汚性能
あるいは防汚性のうち特に高汚損環境下における防汚性
や、長期防汚性に優れ、適度な硬度を有する防汚塗膜が
得られる。
【0085】このような本発明に係る防汚塗料組成物
は、さらに、各種添加剤を含有していてもよい。すなわ
ち、本発明に係る防汚塗料組成物は、上記シリルエステ
ル系共重合体(A)および(B)アガテンジカルボン
酸、アガテンジカルボン酸誘導体、アガテンジカルボン
酸の金属塩、アガテンジカルボン酸誘導体の金属塩、ま
たはそれらを主成分として含む樹脂酸成分を必須成分と
して含有しているが、この(A)成分および(B)成分
以外に、防汚剤(C)、酸化亜鉛(亜鉛華)(D)、無
機脱水剤(E)、タレ止め・沈降防止剤、ロジン等の溶
出促進成分(F)、塩素化パラフィン等の可塑剤、着色
顔料、体質顔料などの各種顔料、アクリル樹脂、ポリア
ルキルビニルエーテル(ビニルエーテル系(共)重合
体)などの各種樹脂、消泡剤、色別れ防止剤、レベリン
グ剤などの各種添加剤などのような成分を含有していて
もよい。
【0086】以下に、このようなシリルエステル系共重
合体(A)およびアガテンジカルボン酸、その誘導体、
それらの金属塩、またはそれらを主成分として含む樹脂
酸成分(B)以外の成分および各種添加剤について説明
する。 [防汚剤(C)]防汚剤(C)としては、無機系、有機
系の何れであってもよく、従来より公知のものを広く用
いることができるが、本発明においては、特に、銅およ
び/または銅化合物(C1)、有機防汚剤(C2)が好
ましい。
【0087】本発明に係る防汚塗料組成物に含有させる
銅および/または銅化合物(C1)(ピリチオン類など
の有機銅化合物を除く。以下同様。)について以下に説
明する。本発明で用いられる銅化合物(C1)として
は、無機系の銅化合物であれば何れであってもよく、こ
のうち無機系の銅化合物としては、たとえば、亜酸化
銅、チオシアン酸銅(チオシアン酸第一銅、ロダン
銅)、塩基性硫酸銅、塩化銅、酸化銅等が挙げられ、好
ましくは亜酸化銅、チオシアン化銅(ロダン銅)が用い
られる。
【0088】このような銅化合物は、銅に代えて、ある
いは銅とともに1種または2種以上組み合わせて用いる
ことができる。このような銅および/または銅化合物
(C1)は、本発明の防汚塗料組成物100重量%中
に、合計で通常、1〜70重量%、好ましくは3〜65
重量%の割合で含まれていることが望ましい。また防汚
塗料組成物中に含まれるシリルエステル系共重合体
(A)(不揮発分)100重量部に対して、該銅および
/または銅化合物(C1)は、合計で通常、3〜140
0重量部、好ましくは10〜1300重量部の量で含ま
れていることが望ましい。
【0089】この銅および/または銅化合物が、該防汚
塗料組成物中にこの範囲で含まれていると、防汚性に優
れた防汚塗膜を形成することができる。本発明において
は、防汚剤として、上記銅および/または銅化合物(C
1)とともに、あるいは上記銅および/または銅化合物
(C1)に代えて、有機防汚剤(C2)を用いることが
できる。有機防汚剤(C2)としては、たとえば、金属
ピリチオン類、有機銅化合物などを用いることができる
が、特に金属ピリチオン類が好ましい。
【0090】金属ピリチオン類としては、ナトリウム、
マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、
銅、亜鉛、鉄、鉛などの金属ピリチオン類を例示でき
る。上記金属ピリチオン類のうちでは、銅ピリチオン、
ジンクピリチオンが好ましく、とくに銅ピリチオンが好
ましい。有機系の銅化合物としては、たとえば、塩基性
酢酸銅、オキシン銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、
カッパービス(エチレンジアミン)−ビス(ドデシルベ
ンゼンスルホネート)、ナフテン酸銅、ロジン酸銅、ビ
ス(ペンタクロロフェノール酸)銅などが挙げられる。
【0091】上記有機防汚剤は、本発明の防汚塗料組成
物中に、合計で通常、0.1〜15重量%、好ましくは
0.5〜10重量%の割合で含まれていることが望まし
い。また防汚塗料組成物中に含まれるシリルエステル系
共重合体(A)(不揮発分)100重量部に対して、有
機防汚剤は、合計で通常、0.3〜300重量部、好ま
しくは2〜200重量部の量で含まれていることが望ま
しい。
【0092】本発明においては、ピリチオン系化合物と
ともに、あるいはこのピリチオン系化合物に代えて下記
の防汚剤(他の防汚剤)を含有していてもよく、このよ
うな他の防汚剤としては、従来より公知の各種防汚剤を
用いることができ、具体的には、たとえば、テトラメチ
ルチウラムジサルファイド、カーバメート系の化合物
(例:ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-
2-エチレンビスジチオカーバメート)、2,4,5,
6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチ
ルジクロロフェニル尿素、2−メチルチオ−4−ter
t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ-s-トリ
アジン、4,5−ジクロロ-2-n-オクチル-4−イソチ
アゾリン−3−オン、2,4,6−トリクロロフェニル
マレイミド、ピリジン-トリフェニルボラン、アミン−
トリフェニルボラン等を挙げることができる。
【0093】本発明においては、このような防汚剤をジ
ンクピリチオン、銅ピリチオン等のピリチオン系化合物
(金属ピリチオン類)とともに、1種または2種以上組
み合わせて用いることができる。たとえば、銅ピリチオ
ンおよび/またはジンクピリチオンと、4,5−ジクロ
ロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
とを組み合わせて用いることができる。
【0094】また、この防汚塗料組成物中に含まれる銅
および/または銅化合物(C1)、有機防汚剤(C2)
などの各種防汚剤の合計含有量は、防汚塗料組成物調製
時に用いられる防汚剤、被膜形成性共重合体などの種類
あるいはこのような防汚塗料組成物が塗布形成される船
舶等の種類(船舶では、外航−内航用、各種海水域用、
木造−鋼鉄船用等)などにもより一概に決定されない
が、上記シリルエステル系共重合体(A)(不揮発分)
100重量部に対して、防汚剤総量として通常10〜1
400重量部の量で、好ましくは20〜1300重量部
の量で含有されていることが望ましい。
【0095】この防汚剤総量が上記範囲内にあると、耐
クラック性に優れ、また、防汚性に優れる傾向にある。
たとえば、防汚塗料組成物の防汚剤として銅ピリチオン
と亜酸化銅(Cu2O)とを組み合わせて用いる場合、
銅ピリチオンは、シリルエステル共重合体(A)(不揮
発分)100重量部に対して2〜200重量部の量で、
また、この亜酸化銅は、シリルエステル共重合体(A)
(不揮発分)100重量部に対して通常10〜1300
重量部程度の量で防汚塗料組成物中に含有されているこ
とが望ましい。
【0096】[酸化亜鉛(亜鉛華)(D)]本発明に係
る防汚塗料組成物には、酸化亜鉛(亜鉛華)(D)が含
有されていてもよい。このように酸化亜鉛が配合された
防汚塗料組成物では、得られる塗膜強度が向上し、塗膜
の研掃性を効果的に制御できる。また、このような酸化
亜鉛は、消耗度調整、塗膜硬度調整の観点から、この防
汚塗料組成物中に、通常、0.5〜35重量%、好まし
くは1〜25重量%の割合で含まれていることが望まし
い。また、この酸化亜鉛は、シリルエステル共重合体
(A)(不揮発分)100重量部に対して、通常1.5
〜1200重量部、好ましくは4〜600重量部の量で
防汚塗料組成物中に含有されていることが望ましい。
【0097】[無機脱水剤(E)]本発明に係る防汚塗
料組成物には、無機系あるいは有機系の脱水剤、好まし
くは無機系の脱水剤(無機脱水剤(E))が配合されて
いてもよい。このように脱水剤が配合された防汚塗料組
成物では、貯蔵安定性を一層向上させることができる。
【0098】脱水剤としては、具体的には、たとえば、
無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商
品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オ
ルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソほう酸エ
ステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:ア
ディティブT1)等が挙げられ、特に無機系脱水剤
(D)としては、無水石膏、モレキュラーシーブが好ま
しく用いられる。このような無機脱水剤は、1種または
2種以上組み合わせて用いることができる。
【0099】このような脱水剤、特に無機脱水剤は、上
記シリルエステル系共重合体(A)(不揮発分)100
重量部に対して、通常、0.02〜100重量部、好ま
しくは0.2〜50重量部の量で配合することが好まし
い。また、このような無機脱水剤は、この防汚塗料組成
物中に、合計で通常、0.01〜20重量%、好ましく
は0.1〜8重量%の量で含まれていることが望まし
い。このような量で無機脱水剤が防汚塗料組成物中に含
まれていると、貯蔵安定性が向上する傾向がある。
【0100】[溶出促進成分(F)]本発明に係る防汚
塗料組成物には、溶出促進成分(F)(ただし、上記
(B)成分は除く)が含まれていてもよく、たとえば、
ロジン、ロジン誘導体、有機カルボン酸および有機カル
ボン酸金属塩などが挙げられる。ロジンには、ガムロジ
ン、ウッドロジン、トール油ロジンなどがあるが、本発
明ではいずれをも使用することができる。ロジン誘導体
としては、たとえば、不均化ロジン、低融点不均化ロジ
ン、水添ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、アル
デヒド変性ロジン、ロジンのポリオキシアルキレンエス
テル、還元ロジン(ロジンアルコール)、ロジンの金属
塩(ロジンの銅塩、亜鉛塩、マグネシウム塩など)、ロ
ジンアミン等が挙げられる。これらのロジンおよびその
誘導体は、1種または2種以上組み合わせて用いること
ができる。
【0101】有機カルボン酸としては、たとえば、炭素
数5〜30程度の脂肪酸、合成脂肪酸、ナフテン酸が挙
げられる。有機カルボン酸の金属塩としては、Cu塩、
Zn塩、Mg塩、Ca塩等が挙げられる。なお有機カル
ボン酸の金属塩としては、有機カルボン酸金属過多塩を
使用しても、また、等当量比あるいはそれ以下の当量比
の有機カルボン酸と金属とからなる塩を使用してもよ
い。
【0102】これらの溶出促進成分は、1種または2種
以上組み合わせて用いることができる。防汚塗料組成物
がこれらの溶出促進成分を含有する場合には、防汚塗料
組成物100重量部中に、0.1〜30重量%、好まし
くは、0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜
15重量%の量で含有されていることが望ましい。溶出
促進成分の配合割合は、塗膜の防汚性能および耐水性能
の観点からこの範囲にあることが望ましい。
【0103】また防汚塗料組成物中に含まれるシリルエ
ステル共重合体(A)(不揮発分)100重量部に対し
て、該溶出促進成分は、合計で通常、0.3〜600重
量部、好ましくは2〜300重量部の量で含まれている
ことが望ましい。この溶出促進成分が、該防汚塗料組成
物中にこの範囲にあると、防汚性や塗膜の消耗性に優れ
るようになる傾向がある。
【0104】[ビニルエーテル系(共)重合体(G)]ビ
ニルエーテル系(共)重合体は、ビニルエーテル成分単
位を有し、得られる塗膜の耐クラック性、耐剥離性、溶
出速度安定性等の向上に寄与し、塗膜形成成分としても
機能する。上記ビニルエーテル系(共)重合体として具
体的には、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチ
ルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビ
ニルイソブチルエーテルなどを例示することができる。
【0105】このようなビニルエーテル系(共)重合体
(G)は、防汚塗料組成物100重量部中に、合計で通
常、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部
の量で含まれていることが望ましい。また防汚塗料組成
物中に含まれるシリルエステル共重合体(A)(不揮発
分)100重量部に対して、該ビニルエーテル系(共)
重合体は、通常、0.3〜60重量部、好ましくは0.
6〜40重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0106】このビニルエーテル系(共)重合体が、該
防汚塗料組成物中にこの範囲にあると、得られる塗膜の
耐クラック性、耐剥離性、溶出速度安定性に優れるよう
になる傾向がある。また、ビニルエーテル系(共)重合
体に代えて、あるいはビニルエーテル系(共)重合体と
ともに、各種の親水性基含有重合体を使用することがで
きる。このような親水性基含有重合体としては、(メト
キシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト(共)重合体のような各種(アルコキシ)ポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート(共)重合体
などが挙げられ、これらの使用によって、ビニルエーテ
ル系(共)重合体と同様の効果を得ることが可能であ
る。
【0107】[可塑剤(H)]可塑剤としては、正リン酸
エステル、塩素化パラフィン、フタル酸エステル、アジ
ピン酸エステル等、通常、塗料用に用いられる可塑剤が
使用される。これらの可塑剤は、1種または2種以上組
み合わせて用いることができる。このような可塑剤を配
合する場合には、可塑剤は、この防汚塗料組成物中に、
たとえば、0.1〜10重量%の量で配合される。
【0108】これらの可塑剤は、得られる防汚塗料組成
物からなる塗膜(本明細書中では、「防汚塗膜」とも言
う)の耐クラック性の向上に寄与するが、これら可塑剤
のうちで、塩素化パラフィンまたはトリクレジルフォス
フェート(TCP)などの正リン酸エステルが好ましく
用いられる。この塩素化パラフィンとしては、直鎖状で
もよく分岐を有していていてもよく、室温で液状でも固
体(粉体)でもよい。このような塩素化パラフィンとし
ては、東ソー(株)製の「トヨパラックス150」、「ト
ヨパラックスA-70」などが挙げられる。本発明において
は、このような塩素含有率、炭素数などの異なる2種以
上の塩素化パラフィンを適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0109】(H)可塑剤として、このような塩素化パラ
フィンを用いる場合は、防汚塗料組成物100重量部中
に、通常、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜
15重量部の量で含まれていることが望ましい。また防
汚塗料組成物中に含まれるシリルエステル共重合体
(A)(不揮発分)100重量部に対して、該塩素化パ
ラフィンは、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量
部の量で含まれていることが望ましい。また、この塩素
化パラフィンの量がこの範囲にあると、塗膜のクラック
の抑制効果、塗膜強度および耐ダメージ(衝撃)に優れ
るようになる。
【0110】また、(H)可塑剤として、正リン酸エステ
ルを用いる場合、防汚塗料組成物100重量%中に、通
常、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重
量%の量で含まれていることが望ましい。また防汚塗料
組成物中に含まれる(A)重合性不飽和カルボン酸シリ
ルエステルから誘導される成分単位を含有するシリルエ
ステル共重合体(不揮発分)100重量部に対して、正
リン酸エステルは、1〜50重量部、好ましくは2〜4
0重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0111】このように可塑剤(H)として正リン酸エス
テルが含まれていると、割れ、刷がれの少ない塗膜が形
成でき、また塗膜の消耗度を速めることができる。 <その他の成分>本発明に係る防汚塗料組成物は、上記
成分以外に、タレ止め・沈降防止剤、着色顔料、体質顔
料などの各種顔料、上記ビニルエーテル系(共)重合体
を除くアクリル樹脂などの各種樹脂、消泡剤、色別れ防
止剤、レベリング剤などの各種添加剤など、下記のよう
な成分を含有していてもよい。
【0112】[タレ止め・沈降防止剤]タレ止め・沈降
防止剤としては、従来より公知のものが任意量で配合さ
れていてもよい。このようなタレ止め・沈降防止剤とし
ては、Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン
塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワ
ックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワック
ス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエ
チレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは水添ヒマシ
油ワックス、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、
酸化ポリエチレン系ワックスが用いられる。このような
タレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の
「ディスパロンA-603-20X」、「ディスパロン4200-20」
等の商品名で上市されているものが挙げられる。
【0113】[顔料、溶剤]顔料としては、従来公知の
有機系、無機系の各種顔料(例:チタン白、ベンガラ、
有機赤色顔料、タルクなど)を用いることができる。な
お、染料等の各種着色剤も含まれていてもよい。顔料の
形態として針状、扁平状、鱗片状のものを使用すること
により塗膜の耐クラック性を一層向上させることが可能
である。
【0114】溶剤としては、たとえば、脂肪族系、芳香
族系(例:キシレン、トルエン等)、ケトン系、エステ
ル系、エーテル系など通常、防汚塗料に配合されるよう
な各種溶剤が用いられる。また、本発明に係る防汚塗料
組成物中に含まれる溶剤には、上記シリルエステル共重
合体を調製する際に使用した溶媒が含まれていてもよ
い。
【0115】[各種樹脂]各種樹脂としては、アクリル
酸(共)重合体、アクリル酸エステル(共)重合体、メ
タアクリル酸(共)重合体、メタアクリル酸エステル
(共)重合体、2−ヒドロキシエチルアクリレート
(共)重合体などのアクリル樹脂が挙げられる。さら
に、たとえば、特開平4-264170号公報、特開平
4-264169号公報、特開平4-264168号公
報、特開平2-196869号公報、特表昭60-500
452号、特開昭63−215780号公報、特表昭6
0-500452号(特公平5−32433号公報)、
特開平7-18216号公報に記載されてシリルエステ
ル系(共)重合体が、本発明に係る防汚塗料組成物に含
まれていてもよい。
【0116】[防汚塗料組成物の製造]本発明に係る防
汚塗料組成物は、従来より公知の方法を適宜利用するこ
とにより製造することができ、たとえば、(A)重合性
不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成分単
位を含有するシリルエステル共重合体、(B)アガテン
ジカルボン酸、アガテンジカルボン酸誘導体、アガテン
ジカルボン酸の金属塩、アガテンジカルボン酸誘導体の
金属塩、またはそれらを主成分として含む樹脂酸成分、
ならびに、必要に応じて、(C1)銅および/または銅
化合物、(C2)有機防汚剤、(D)酸化亜鉛、(E)
脱水剤(例:無水石膏、モレキュラーシーブ)、(F)
溶出促進成分、(G)ビニルエーテル系(共)重合体、
(H)可塑剤、タレ止め・沈降防止剤、顔料、および、
溶剤などを一度にあるいは任意の順序で加えて撹拌・混
合・分散等すればよい。
【0117】この防汚塗料組成物は、一液性で貯蔵安定
性に優れ、防汚塗料の付着性、耐久性、防汚性といった
各種要求性能を満足するものである。上記のような防汚
塗料組成物を水中・水上構造物すなわち海洋構造物
(例:原子力発電所の給排水口)、湾岸道路、海底トン
ネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工
事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁具(例:ロープ、漁網)
などの各種成形体(基材)の表面に常法に従って1回〜
複数回塗布・硬化させれば、耐クラック性、防汚性に優
れた防汚塗膜被覆船舶または海洋構造物などが得られ
る。なお、この防汚塗料組成物は、直接上記船舶または
海洋構造物等の表面に塗布してもよく、また予め防錆
剤、プライマーなどの下地材が塗布された船舶または海
洋構造物等の表面に塗布してもよい。さらには、既に従
来の防汚塗料による塗装が行われ、あるいは本発明の防
汚塗料組成物による塗装が行われている船舶、海洋構造
物等の表面に、補修用として本発明の防汚塗料組成物を
上塗りしてもよい。このようにして船舶、海洋構造物等
の表面に形成された防汚塗膜の厚さは特に限定されない
が、たとえば、30〜150μm/回程度である。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば、塗膜の加水分解速度が
良好に制御され、防汚性能(防汚活性)あるいは防汚性
のうち、特に高汚損環境下における防汚性や、長期防汚
性に優れ、適度な硬度を有する防汚塗膜が得られうると
ともに、塗料組成物の貯蔵安定性が高い防汚塗料組成物
が得られる。
【0119】また本発明によれば、このような優れた特
性を有する塗膜および該塗膜で被覆され、上記特性を有
する船舶、水中構造物、漁具または漁網が提供される。
また本発明によれば、このような防汚塗料組成物を用い
た、環境汚染のおそれの極めて少ない防汚方法が提供さ
れる。
【0120】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限
されるものではない。なお、以下の実施例、比較例にお
いて、「部」は「重量部」の意味である。
【0121】
【製造実施例1】シリル(メタ)アクリレート共重合体
(S−1)の製造 撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入
管、加熱、冷却ジャケットを備えた反応容器にキシレン
100部を仕込み窒素気流下で85℃の温度条件に加熱
撹拌を行った。同温度を保持しつつ滴下装置より、上記
反応器内にトリイソプロピルシリルアクリレート50
部、メチルメタクリレート50部及び重合開始剤の2、
2'−アゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を2時
間かけて滴下した。その後、同温度で4時間撹拌を行っ
た後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部
を加えさらに同温度で4時間撹拌を行い、無色透明のシ
リル(メタ)アクリレート共重合体(S−1)溶液を得
た。
【0122】得られた共重合体(S−1)溶液の加熱残
分(105℃の恒温器中3時間乾燥後の加熱残分)は、
51.2%であり、25℃における粘度は408cps
であり、GPCにより測定した数平均分子量(Mn)は
6618であり、重量平均分子量(Mw)は19434
であった。GPCの測定条件は以下の通りである。
【0123】[GPC測定条件] 装 置:東ソー社製 HLC−8120GPC カラム:東ソー社製 Super H2000+H40
00 6mm I.D., 15cm 溶離液:THF(テトラヒドロフラン) 流 速:0.500ml/min 検出器:RI カラム恒温槽温度:40℃
【0124】
【製造実施例2】シリル(メタ)アクリレート共重合体
(S−2)〜(S−4)の製造 共重合体溶液を製造の際に、滴下する共重合モノマー配
合成分および配合量を表1に示すように変えた以外は、
上記と同様にして共重合体(S−2)〜(S−4)を重
合し、前記と同様にこれらの共重合体(溶液)の物性値
を測定した。
【0125】結果を合わせて表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【製造実施例3】コーパルの樹脂酸成分の調製 <コーパル抽出物K−1の調製>インドネシア産カウリ
コーパルC−1(カウリ樹の上部より採取)3kgを容
器に仕込み、トルエン4.5kgを加えて50〜60℃
で1時間撹拌して溶解したところ、上澄みと粘性の不溶
解分に分離した。この上澄み5.8kgを別の容器に移
し、撹拌しながら灯油2kgを徐々に加えると、不溶解
分が析出し、少量の沈殿が生じた。撹拌を止めて一晩放
置し、上澄み(溶解分)5.3kgを120メッシュの
網でろ過しながらコンデンサー付きの反応容器に移し、
撹拌しながら110〜130℃に加温して溶剤4.1k
gを除去して1.2kgのコーパル抽出物K−1を得
た。得られたコーパル抽出物K−1は、琥珀色、透明の
ワニス状で、不揮発分は51%、カウリコーパルC−1
からの収率は20.3%であった。
【0128】<コーパル抽出物K−2の調製>インドネ
シア産カウリコーパルC−2(カウリ樹の下部より採
取)3kgとキシレン4.5kgを容器に仕込み、室温
で1.5時間、ディスパーで撹拌した。その後、30分
静置し、上澄みを120メッシュの網でろ過して、木
屑、砂、ごみを除去し、5.1kgのろ液−を得た。
続いて、不溶分にキシレン2.5kgを加えて同様の工
程を行うことにより、2.7kgのろ液−を得た。さ
らに、不溶解分に1.5kgのキシレンを加えて同様の
工程を行い、1.6kgのろ液−を得た。
【0129】ろ液−、、を合わせて、コンデンサ
ー付きの反応容器に入れ、撹拌しながら136〜140
℃に保ち、キシレン7.5kgを蒸発させて濃縮し、琥
珀色で透明の、不揮発分50%のコーパル抽出物を1.
9kg得た。この抽出物は、室温で3日間静置したとこ
ろ、わずかに柔らかい沈殿物を生じた。この上澄み1.
7kgを回収して使用した(コーパル抽出物K−2)。
カウリコーパルC−2からの収率は28.4%であっ
た。 [コーパルの分析結果]図1、図2、図3に、インドネ
シア産の粗コーパルC−1、コーパル抽出物K−1、コ
ーパル抽出物K−2のGPCチャートを示す。GPCの
分析結果より、粗コーパルC−1には、約50%の高分
子物質と約50%の低分子物質が含まれることが示され
た。また、コーパル抽出物K−1には、ほとんど高分子
物質は含まれないが、コーパル抽出物K−2にはわずか
に高分子物質が含まれることが示された。
【0130】図4に、コーパル抽出物K−1のGC−M
ASのガスクロマトグラムのチャートを示す。コーパル
抽出物K−1には、アガテンジカルボン酸が含まれてい
ると考えられるが、このチャートには、Mw348のア
ガテンジカルボン酸のモノメチルエステルと思われる化
合物群のピークが見られるが、アガテンジカルボン酸の
ピークは見られない。これは、アガテンジカルボン酸の
沸点が高く、GC−MASでは検出し得ないためと考え
られる。
【0131】このことは、図5に示される結果からも確
認される。図5は、コーパル抽出物K−1をメチルエス
テル化した物質のGC−MASのガスクロマトグラムの
チャートを示している。図4と図5を比較すると、図5
では、アガテンジカルボン酸のメチルエステル化体を示
すピークの一つが、図4と比較して大きくなっている。
すなわち、コーパル抽出物をメチルエステル化すること
により、コーパル抽出物中のアガテンジカルボン酸がメ
チルエステル化され、エステル化体のピークが大きくな
ったものと考えられる。したがって、以上の結果より、
コーパル抽出物には、アガテンジカルボン酸が含まれて
いることが確認される。
【0132】なお、図6は、コーパル抽出物K−1をメ
チルエステル化した物質のGC−MASのマススペクト
ルを示している。図7および図8は、それぞれ、コーパ
ル抽出物K−1のIRチャートと、コーパル抽出物C−
1からコーパル抽出物K−1を抽出した後の溶剤不溶分
のIRチャートを示す。両者のピークは、非常に近似し
ていることから、溶剤不溶分は、アガテンジカルボン酸
およびその誘導体が高分子化したものと推定される。
【0133】なお、この際のGPC、GC−MAS、I
Rの測定条件は下記のとおりである。 [GPC測定条件] 装 置:東ソー社製 HLC−8120GPC カラム:東ソー社製 Super H2000+H40
00 6mm I.D., 15cm 溶離液:THF(テトラヒドロフラン) 流 速:0.500ml/min 検出器:RI 圧力:53kgf/cm2 カラム恒温槽温度:39.9℃ [GC−MASの測定条件] 装 置:Agilent社製 Instrumen G
C6890 カラム:Agilent社製 HP-FFAP 30m、 0.25mmID 流 速:3.2ml/min 検出器:5973N 測定方法:EI [IR測定条件] 装 置:Perkin Elmer社製 Spectrum One FT−IR 測定方法:液膜法
【0134】
【実施例1】コーパル抽出物の金属塩溶液の調製 あらかじめ、表2の(B)成分の欄に記載の成分、すな
わち、上記のように調製されたコーパル抽出物(K−
1)4.6重量部、酸化亜鉛0.8重量部、キシレン
1.2重量部および無水石膏2重量部を100℃で4時
間撹拌することにより、コーパル抽出物の金属塩溶液を
得た。得られた金属塩溶液は、精製せずにそのまま防汚
塗料組成物の調製に用いた。防汚塗料組成物の調製 表2に示す配合組成の各防汚塗料を製造した。(各成分
料は重量部表示) 共重合体溶液(S−1)20重量部、上記のように調製し
たコーパル抽出物の金属塩溶液8.6重量部、亜酸化銅
44重量部、2-ピリジンチオール-1-オキシド銅塩3重
量部、チタン白2重量部、亜鉛華6重量部、「ディスパ
ロン4200-20」1.5重量部、「ディスパロンA603-20
X」4重量部、キシレン9.2重量部(初期KUが85
±5になるように溶媒量を調整)を、ガラスビーズを入
れたペイントシェーカー内で、これらの配合成分を一緒
にして2時間振とうした。次いで100メッシュのフィ
ルターにて濾過して、所望の防汚塗料組成物を得た。
【0135】初期KU 防汚塗料組成物についてストーマー粘度計で製造直後の
粘度(Ku値/25℃)を測定した。貯蔵安定性 該防汚塗料組成物について常温で2ヶ月間貯蔵後の貯蔵
安定性を表2に併せて示す。
【0136】貯蔵安定性の評価は、塗料試作直後と常温
2ヶ月間貯蔵後の粘度(ストーマー粘度計により測定し
た25℃におけるKu値)の増加度により行った。 (評価基準) 5:粘度の増加が10未満 4:粘度の増加が10以上20未満 3:粘度の増加が20以上30未満 2:粘度の増加が30以上 1:流動性がなくKu値の測定が不可。
【0137】また、該防汚塗料組成物を用いた静置防汚
性、消耗度の評価を下記のようにして行った。結果を表
2に併せて示す。静置防汚性試験 100×300×2mmのサンドブラスト鋼板にエポキ
シ系ジンクリッチプライマー(塗料中の亜鉛末含有量8
0重量%)、タールエポキシ系防食塗料、ビニル系バイ
ンダーコートをそれぞれの乾燥膜厚で20μm、75μ
mとなるように1日毎に塗装した後、供試防汚塗料をそ
の乾燥膜厚が100μmとなるように塗装し、試験板を
得た。
【0138】長崎沖に設置した試験筏より供試試験板を
水深1mの地点につるし、24ヶ月の時点で試験板への
マクロ生物(フジツボ・セルプラ等)の付着面積を評価
した。 評価基準(点) 5:付着なし 4:5%未満の付着 3:5%以上15%未満付着 2:15%以上40%未満付着 1:40%以上付着消耗度、塗膜状態の評価 [消耗度の評価]直径300mmで厚さ3mmの円盤状
サンドブラスト板にエポキシ系ジンクリッチプライマ
ー、エポキシ系防食塗料、ビニル系バインダーコートを
それぞれの乾燥膜厚が20μm、150μm、50μm
となるよう1日毎に順次重ねて塗装した後、7日間室内
で乾燥した。その後隙間500μmのアプリケーターを
用い供試防汚塗料組成物を円心から半径方向に放射状に
塗装し、試験板を得た。25℃の海水を入れた恒温槽中
でモーターにこの試験板を取り付け、周速15ノットで
2ヶ月間回転し、円周付近の消耗度(膜厚減少)を測定
した。
【0139】また、膜厚減少測定時の塗膜状態を目視で
観察し、以下の基準にて評価を行った。 (評価基準) 5:塗膜に異常を認めない 4:部分的に微細なワレを認める 3:全体的に微細なワレを認める 2:部分的に顕著なワレを認める 1:全体的に顕著なワレを認める なお、表2中の成分名称等は以下の通りである。 「可溶性無水石膏D−1」(株)ノリタケカンパニー
リミテド製、IIICaSO4、白色粉末、平均粒径15μ
m 「ディスパロン4200−20」楠本化成(株)製、
酸化ポリエチレンワックス、20%キシレンペースト 「ディスパロンA603−20X」楠本化成(株)
製、脂肪酸アマイドワックス、20%キシレンペースト
【0140】
【実施例2〜5および7〜17】コーパル抽出物の金属
塩溶液の調製 コーパル抽出物の種類および各成分の配合量を表2の
(B)成分の欄に示すようにした以外は、実施例1と同
様にして、コーパル抽出物の金属塩溶液を得た。得られ
た金属塩溶液は、精製せずにそのまま防汚塗料組成物の
調製に用いた。防汚塗料組成物の調製 実施例1において、配合組成および配合量を表2に示す
ようにした以外、実施例1と同様にして各防汚塗料組成
物を調製した。
【0141】得られた各塗料組成物について、貯蔵安定
性、および塗料組成物から形成した防汚塗膜の静置防汚
性、消耗度、塗膜状態を評価した。結果を表2に併せて
示す。
【0142】
【実施例6、18〜19および比較例1〜4】防汚塗料組成物の調製 実施例1において、配合組成および配合量を表2に示す
ようにした以外、実施例1と同様にして各防汚塗料組成
物を調製した。得られた各塗料組成物について、貯蔵安
定性、および塗料組成物から形成した防汚塗膜の静置防
汚性、消耗度、塗膜状態を評価した。
【0143】結果を表2に併せて示す。
【0144】
【表2】
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1には、インドネシア産の粗コーパルC−
1のGPCチャートを示す。
【図2】 図2には、コーパル抽出物K−1のGPCチ
ャートを示す。
【図3】 図3には、コーパル抽出物K−2のGPCチ
ャートを示す。
【図4】 図4には、コーパル抽出物K−1のGC−M
ASのチャートを示す。
【図5】 図5には、コーパル抽出物K−1をメチルエ
ステル化した物質のGC−MASのチャートを示す。
【図6】 図6には、コーパル抽出物K−1をメチルエ
ステル化した物質のGC−MASのマススペクトルを示
す。
【図7】 図7には、コーパル抽出物K−1のIRチャ
ートを示す。
【図8】 図8には、粗コーパルC−1からコーパル抽
出物K−1を抽出した後の溶剤不溶分のIRチャートを
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田 中 秀 幸 広島県大竹市明治新開1番7 中国塗料株 式会社内 (72)発明者 三 村 展 央 広島県大竹市明治新開1番7 中国塗料株 式会社内 (72)発明者 大 家 政 明 広島県大竹市明治新開1番7 中国塗料株 式会社内 (72)発明者 小 園 幸 夫 広島県大竹市明治新開1番7 中国塗料株 式会社内 (72)発明者 西 口 貴 広 広島県大竹市明治新開1番7 中国塗料株 式会社内 Fターム(参考) 4J038 CG141 GA09 GA12 GA15 HA066 HA166 JA41 JA43 JA53 JB12 NA05 PB05 PB07 4J100 AB02R AB03R AB04R AG02R AG04R AG08R AL01R AL03R AL04R AL08P AL08Q AL08S AL09Q AL44R AM21Q BA02Q BA03Q BA05Q BA06Q BA08Q BA12Q BA31Q BA72P BA72S BB01Q BC04Q BC43Q BC43R CA04 CA05 CA06 DA36 JA01

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)重合性不飽和カルボン酸シリルエス
    テルから誘導される成分単位を含有するシリルエステル
    共重合体、および(B)アガテンジカルボン酸、アガテ
    ンジカルボン酸誘導体、アガテンジカルボン酸の金属
    塩、アガテンジカルボン酸誘導体の金属塩、またはそれ
    らを主成分として含む樹脂酸成分を含有することを特徴
    とする防汚塗料組成物。
  2. 【請求項2】前記アガテンジカルボン酸誘導体が、アガ
    テンジカルボン酸のエステル化物、アミド化物、水素化
    物、不均化物、熱処理物、ビニルエーテル付加物、マイ
    ケル付加物、またはディールスアルダー付加物であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の防汚塗料組成物。
  3. 【請求項3】前記樹脂酸成分が、カウリコーパル樹脂、
    マニラコーパル樹脂(フィリピン産コーパル樹脂)、ま
    たはインドネシア産コーパル樹脂より得られる成分であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の防汚塗料
    組成物。
  4. 【請求項4】前記樹脂酸成分が、コーパルガム(軟質コ
    ーパル)より分別して得られたものであることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  5. 【請求項5】前記(B)成分(不揮発分)の配合量が、
    前記(A)成分(不揮発分)100重量部に対して、
    0.1〜300重量部であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  6. 【請求項6】前記(B)成分(不揮発分)の配合量が、
    前記(A)成分(不揮発分)100重量部に対して、1
    〜200重量部であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の防汚塗料組成物。
  7. 【請求項7】前記シリルエステル共重合体(A)が、下
    記式(I)で表わされるシリル(メタ)アクリレートか
    ら誘導される成分単位(a)を含有することを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載の防汚塗料組成物。 −CH2−CR1(COOSiR234)− (I) (式(I)中、R1は、水素原子またはメチル基を示
    し、R2、R3、R4は、互いに同一でも異なっていても
    よく、それぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル
    基、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルシ
    リルオキシ基の何れかを示す。)
  8. 【請求項8】前記式(I)中、R2が分岐アルキル基ま
    たはシクロアルキル基であることを特徴とする請求項7
    に記載の防汚塗料組成物。
  9. 【請求項9】前記シリルエステル共重合体(A)が、重
    合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成
    分単位(a)とともに、極性基含有(メタ)アクリレー
    トから誘導される成分単位(b)を含有することを特徴と
    する請求項1〜8のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  10. 【請求項10】極性基含有(メタ)アクリレートから誘
    導される成分単位(b)が、下記式(II)で表される成分
    単位であることを特徴とする請求項9に記載の防汚塗料
    組成物。 −CH2−CR5(COZR6)− (II) [式中、R5は、水素原子またはメチル基を示し、 Zは、酸素原子または−NR7を示し、 Zが酸素原子である場合には、R6は置換基を有してい
    てもよいヒドロキシアルキル基、ヒドロキシシクロアル
    キル基または式:―(R8O)nHで表されるポリアルキレ
    ングリコール基(ただし、R8は、アルキレン基であ
    り、nは2〜50の整数を示す)または式:―(RxO)n
    yで表されるアルコキシポリアルキレングリコール基
    (ただし、Rxはアルキレン基であり、Ryはアルキル基
    であり、nは1〜100の整数を示す)を示し、 Zが−NR7である場合には、R7は、ハロゲン、ヒドロ
    キシル基、アミノ基、置換アミノ基、アシル基、アルコ
    キシ基の何れかで置換されていてもよいアルキル基を示
    し、R6は水素原子を示す。]
  11. 【請求項11】前記シリルエステル共重合体(A)が、 下記式(I-a)で表されるシリル(メタ)アクリレート
    成分単位(d): −CH2−CR10(COOSiR111213)− (I-a) (式(I-a)中、R10は、水素原子またはメチル基を示
    し、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜
    10の直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェ
    ニル基またはトリメチルシリルオキシ基を示し、R
    13は、環構造または分岐を有していてもよい炭素数が1
    〜18のアルキル基、炭素数が6〜10の置換されてい
    てもよいフェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基
    を示す。)、および下記式(I-b)で表されるシリル
    (メタ)アクリレート成分単位(e): −CH2−CR10(COOSiR141516)− (I-b) (式(I-b)中、R10は、水素原子またはメチル基を示
    し、R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜
    10の分岐またはシクロアルキル基を示し、R16は、炭
    素数が1〜10の直鎖アルキル基、炭素数が3〜10の
    分岐またはシクロアルキル基、または炭素数が6〜10
    の置換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシ
    リルオキシ基を示す。)を含有する共重合体であること
    を特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の防汚塗
    料組成物。
  12. 【請求項12】さらに防汚剤(C)を含有することを特
    徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の防汚塗料組
    成物。
  13. 【請求項13】防汚剤(C)として、銅および/または
    銅化合物(C1)(ただし、有機銅化合物を除く)を含
    有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記
    載の防汚塗料組成物。
  14. 【請求項14】防汚剤(C)として、有機防汚剤(C
    2)を含有することを特徴とする請求項1〜13のいず
    れかに記載の防汚塗料組成物。
  15. 【請求項15】さらに、酸化亜鉛(D)を含有すること
    を特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の防汚塗
    料組成物。
  16. 【請求項16】さらに、無機脱水剤(E)を含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の防汚
    塗料組成物。
  17. 【請求項17】さらに、溶出促進成分(F)を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の防
    汚塗料組成物。
  18. 【請求項18】請求項1〜17のいずれかに記載の防汚
    塗料組成物から形成されてなることを特徴とする防汚塗
    膜。
  19. 【請求項19】請求項1〜17のいずれかに記載の防汚
    塗料組成物から形成された防汚塗膜で表面を被覆された
    船舶、水中構造物または漁具・漁網。
  20. 【請求項20】船舶、水中構造物または漁具・漁網の基
    材表面に、請求項1〜17のいずれかに記載の防汚塗料
    組成物を塗布し乾燥させて、得られた塗膜で、上記基材
    表面を被覆する船舶、水中構造物または漁具・漁網の防
    汚方法。
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