JP2003181583A - 転造ボールねじ及びボールねじ溝の転造加工方法 - Google Patents
転造ボールねじ及びボールねじ溝の転造加工方法Info
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Abstract
原因となる振動等の発生を抑制することのできるボール
ねじ溝の転造加工方法を提供する。 【解決手段】 ボールねじ溝の1リード当りの誤差発生
山数が転動体のボールねじ溝1リード当りの個数を整数
倍した値と一致しないように、転造ダイス11の条数と
リード角ωdとを適宜設定して円柱状の棒状体にボール
ねじ溝を転造加工する。
Description
軸を製造するときに用いられるボールねじ溝の転造加工
方法に関する。
軸と称す)は、一般に、円柱状の棒状体にボールねじ溝
を形成して構成されており、このようなボールねじ軸を
転造加工により製造するときには、通し転造方式と称さ
れる方法を用いる場合が多い。この通し転造方式は、い
わゆる歩き現象を利用して円柱状の棒状体にボールねじ
溝を転造加工する方法であり、歩き現象とは、転造ダイ
スのリード角と転造加工されるボールねじ溝のリード角
とに若干の角度差を持たせ、この角度差によって棒状体
が転造ダイス間を軸方向に移動する現象をいう。
ねじ溝を転造加工すると、転造ダイスの幅よりも長さの
長いボールねじ軸を得ることができ、ボールねじ軸の製
造に用いられる転造盤の小型化等を図ることが可能であ
る。
た方法でボールねじ溝を転造加工する場合、ボールねじ
溝が転造加工される棒状体には、ワーク(棒状体)の
振れによるボールねじ溝の誤差成分、転造ダイスの振
れによるボールねじ溝の誤差成分、ダイス条数とボー
ルねじ条数との違いによるボールねじ溝の誤差成分が周
期的に発生する。特に、棒状体に転造されたボールねじ
溝が転動ダイス間から抜け出るときに応力集中が転造ダ
イスのエッジ部に発生し、この応力集中によって棒状体
の表面を過度に潰してしまうことがある。このような現
象が断続的に起きると棒状体に転造されたボールねじ溝
が波を打つ形状となり、ボールねじを高速で作動させた
場合に振動が発生しやすくなり、その結果として、騒音
の発生や位置決め精度の低下などを招く虞があった。ま
た、ボールねじの作動性の低下や剛性の不安定を招くこ
とがあった。
されたものであり、ボールねじを高速で作動させても騒
音の発生原因となる振動等の発生を抑制することがで
き、かつ作動性が良好で剛性の安定した転造ボールねじ
及びボールねじ溝の転造加工方法を提供することを目的
とする。
に、請求項1の発明に係る転造ボールねじは、円柱状の
棒状体に転造ダイスを押し当てて前記棒状体にボールね
じの転動体と係合するボールねじ溝を転造加工するとき
に、前記ボールねじ溝の1リード当りの誤差発生山数が
前記転動体のボールねじ溝1リード当りの個数を整数倍
した値と異なるようにしたことを特徴とする。
加工方法は、円柱状の棒状体に転造ダイスを押し当てて
前記棒状体にボールねじの転動体と係合するボールねじ
溝を転造加工するときに、前記ボールねじ溝の1リード
当りの誤差発生山数が前記転動体のボールねじ溝1リー
ド当りの個数を整数倍した値と一致しないように、前記
転造ダイスの条数とリード角とを適宜設定して前記棒状
体に前記ボールねじ溝を転造加工することを特徴とす
る。
ルねじ溝の1リード当りの誤差発生山数が転動体のボー
ルねじ溝1リード当りの個数を整数倍した値と一致しな
くなるので、ボールねじを高速で作動させても騒音の発
生原因となる振動等の発生を抑制することができる。つ
まり、棒状体に転造されるボールねじ溝の1リード当り
の誤差発生山数が転動体のボールねじ溝1リード当りの
個数を整数倍した値と一致した場合には騒音の発生原因
である振動が発生しやすくなるが、棒状体に転造される
ボールねじ溝の1リード当りの誤差発生山数が転動体の
ボールねじ溝1リード当りの個数を整数倍した値と一致
しなくなると騒音の発生原因である振動が発生し難くな
る。また、ボールねじ溝1リード当りの誤差発生山数が
転動体のボールねじ溝1リード当りの個数を整数倍した
値と一致しなくなるので、ボール予圧量が全体として安
定することにより、作動性が向上し、剛性が安定する。
に基づいて説明する。図1は、本発明に係るボールねじ
溝の転動加工方法に用いられる転動ダイスの一例を示す
図である。同図に示されるように、転造ダイス11はロ
ール状に形成されており、この転造ダイス11の外周面
には、円柱状の棒状体にボールねじ溝を転造加工するた
めの螺旋突条12が所定のリード角ωdで形成されてい
る。そして、隣り合う二つの螺旋突条間には、円柱状の
棒状体にボールねじ山を転造加工するための螺旋溝13
が所定のリード角ωdで形成されている。
である棒状体にボールねじ溝を転造加工する場合には、
図2に示されるように、転造ダイス11の螺旋突条12
に棒状体15を押し当て、前述した通し転造方式により
棒状体15にボールねじ溝16を転造加工する。このと
き、転造ダイス11のダイス外径Dd(図1参照)及び
ダイスリード角ωdを適宜設定し、転造加工時にワーク
の振れやダイスの回転振れ、ダイス溝条数とボールねじ
溝条数の違い等によって発生するボールねじ溝1リード
当りの誤差発生山数(ビビリ山数)が転動体のボールね
じ溝1リード当りの個数を整数倍した値と一致させない
ようにする。
動体数は、転動体の総数と転動体循環路長さの違いによ
り発生する転動体間の隙間を考慮し、ある程度の幅を持
たせる。また、転造加工時にボールねじ溝のリードを微
調整するためにダイスの傾き角を僅かに変化させたり、
あるいは転造加工されるねじ溝の有効径を調整するため
にダイス間の設定距離を変更したりすることを考慮し、
誤差発生山数にある程度の幅を持たせる。
じ溝1リード当りの個数は、下記の表1に示されるよう
に、次式より計算から求めることができる。
生山数Nは、転造ダイス11の外径をDd、転造ダイス
11の溝高さをH、転造ダイス11の溝条数をmd、棒
状体の外径をDw、ボールねじの軸外径をDS、棒状体1
5に転造されるボールねじ溝16のリードをL、同じく
ボールねじ溝16の溝条数をms、転動直径係数をκ、
ダイス1回転当りの棒状体15の軸方向移動量をSsと
すると、下記の式(6)から求めることができる。
ように、ダイスの仕様によってκ=0.9〜1.5の値
をとるが、式(4)から求めてもよい。本発明に用いら
れる転造ダイスと従来の転造ダイスの仕様を表2に示
す。
4mm、ダイス条数:80、ダイスリード角:33.5
17°の転動ダイスを使用して棒状体15にボールねじ
溝16を転造加工すると、ボールねじ溝1リード当りの
誤差発生山数Nが表1に示される転動体数の整数倍と一
致するが、ダイス外径:194mm、ダイス条数:7
8、ダイスリード角:32.852°の転動ダイスを使
用して棒状体15にボールねじ溝16を転造加工した場
合には、誤差発生山数Nが表1に示される転動体数の整
数倍と一致しなくなることがわかる。
数:80、ダイスリード角:33.517°の転動ダイ
スを使用して棒状体15にボールねじ溝16を転造加工
した場合の誤差発生山数と転動体数との関係を解析した
結果を示す図で、図5はダイス外径:194mm、ダイ
ス条数:78、ダイスリード角:32.852°の転動
ダイスを使用して棒状体15にボールねじ溝16を転造
加工した場合の誤差発生山数と転動体数との関係を解析
した結果を示す図である。
m、ダイス条数:80、ダイスリード角:33.517
°の転動ダイスを使用して棒状体15にボールねじ溝1
6を転造加工した場合には、誤差発生山数が45.99
であり、危険山数44.8〜48.2と一致している。
一方、ダイス外径:194mm、ダイス条数:78、ダ
イスリード角:32.852°の転動ダイスを使用して
棒状体15にボールねじ溝16を転造加工した場合に
は、図5に示されるように、誤差発生山数が24.84
となり、どの危険山数にも一致していないことがわか
る。
造加工した場合のボールねじの騒音特性を解析した結果
を示す線図で、図7は本発明方法によってボールねじ溝
を転造加工した場合のボールねじの騒音特性を解析した
結果を示す線図である。図6の解析結果と図7の解析結
果とを比較すると、従来では1kHz以下の領域でボー
ルねじ溝のビビリによるピークが数本立っているのに対
し、本発明では騒音レベルのピークが低く抑えられてい
ることがわかる。
ールねじ軸の誤差発生山数は、図8に示す方法で測定す
ることができる。すなわち、電気マイクロメータ17の
接触子17aをねじ軸15のねじ溝16に略45°の角
度で接触させ、この状態でねじ軸15を回転させ、ねじ
軸15のねじ溝方向に沿ったねじ溝面における接触子1
7aとの接触方向のうねりの変位振幅を電気マイクロメ
ータ17で測定することにより、ボールねじの誤差発生
山数を求めることができる。
加工したボールねじ軸の誤差発生山数の測定データを図
9に、また図9の測定データをFFT解析した結果を図
10に示す。図9及び図10から、誤差発生山数は計算
値とほぼ一致していることがわかる。上述のように、円
柱状の棒状体15に転造ダイス11を押し当てて棒状体
15にボールねじの転動体と係合するボールねじ溝16
を転造加工するときに、ボールねじ溝16の1リード当
りの誤差発生山数が転動体のボールねじ溝1リード当り
の個数を整数倍した値と一致しないように、転造ダイス
11の条数とリード角とを適宜設定して棒状体15にボ
ールねじ溝16を転造加工することにより、ボールねじ
溝の1リード当りの誤差発生山数が転動体のボールねじ
溝1リード当りの個数を整数倍した値と一致しなくなる
ので、ボールねじを高速で作動させても騒音の発生原因
となる振動等の発生を抑制することができる。
れるものではない。たとえば、上述した実施形態では2
ロールの転造加工を例に挙げているが、3ロールの転造
加工でも同様である。また、ダイス外径、ダイスの条
数、ダイスのリード角、ボールねじの仕様を決定するこ
とにより、2つを決めれば残りも決まるため、いずれか
2つをコントロールすればよい。
ボールねじを高速で作動させても騒音の発生原因となる
振動等の発生を抑制することができる。また、作動性が
良く、剛性の安定したボールねじを加工することができ
る。
いられる転動ダイスの一例を示す図である
ールねじ溝を転造加工する方法を示す図である。
ある。
ダイスリード角:33.517°の転動ダイスを使用し
て棒状体にボールねじ溝を転造加工した場合の誤差発生
山数と転動体数との関係を解析した結果を示す図であ
る。
ダイスリード角:32.852°の転動ダイスを使用し
て棒状体にボールねじ溝を転造加工した場合の誤差発生
山数と転動体数との関係を解析した結果を示す図であ
る。
場合のボールねじの騒音特性を解析した結果を示す線図
である。
た場合のボールねじの騒音特性を解析した結果を示す線
図である。
示す図である。
す線図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 円柱状の棒状体に転造ダイスを押し当て
て前記棒状体にボールねじの転動体と係合するボールね
じ溝を転造加工するときに、前記ボールねじ溝の1リー
ド当りの誤差発生山数が前記転動体のボールねじ溝1リ
ード当りの個数を整数倍した値と異なるようにしたこと
を特徴とする転造ボールねじ。 - 【請求項2】 円柱状の棒状体に転造ダイスを押し当て
て前記棒状体にボールねじの転動体と係合するボールね
じ溝を転造加工するときに、前記ボールねじ溝の1リー
ド当りの誤差発生山数が前記転動体のボールねじ溝1リ
ード当りの個数を整数倍した値と一致しないように、前
記転造ダイスの条数とリード角とを適宜設定して前記棒
状体に前記ボールねじ溝を転造加工することを特徴とす
るボールねじ溝の転造加工方法。
Priority Applications (4)
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EP1323952A3 (en) | 2005-04-06 |
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EP1323952B1 (en) | 2008-08-06 |
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