JP2003180169A - 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム - Google Patents

農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム

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JP2003180169A
JP2003180169A JP2001382027A JP2001382027A JP2003180169A JP 2003180169 A JP2003180169 A JP 2003180169A JP 2001382027 A JP2001382027 A JP 2001382027A JP 2001382027 A JP2001382027 A JP 2001382027A JP 2003180169 A JP2003180169 A JP 2003180169A
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JP
Japan
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group
film
polyolefin
monomer
hydrogen atom
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Application number
JP2001382027A
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English (en)
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Hirotaka Arai
博孝 荒井
Hiroshi Yamagishi
宏 山岸
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Mitsubishi Chemical MKV Co
Original Assignee
Mitsubishi Chemical MKV Co
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期の展張を行っても、防塵性、
透明性に優れ、かつ耐候(光)性を維持することができ
る。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂を主体とす
る基体フィルムの展張時ハウス外面に、下記重合生成物
(A)を含有する被膜を形成してなることを特徴とする
農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム。重合生成物
(A):少なくとも、(a)シクロアルキル基を有する
アクリル系単量体と、(b)ピペリジン基を有する紫外
線安定性単量体を重合させてなる重合生成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農業用フィルムに関
し、さらに詳しくは、耐候(光)性に優れた農業用オレ
フィン系樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、農業用作物を半促成又は抑制栽培
して、その市場性、生産性を高めるため、農業用塩化ビ
ニルフィルムやポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、及びポリオレフィン系樹脂を主体とした特殊フ
ィルムなどの農業用被覆材による被覆下に有用植物を栽
培する、いわゆるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行
われている。
【0003】なかでも、ポリオレフィン系樹脂を主体と
した農業用ポリオレフィンフィルムは、軽量であり、ま
た焼却しても有毒ガスの発生が少なく、安価であること
などから盛んに利用されるようになってきている。
【0004】さて、この様な農業用ハウスは年々大型化
しており、ハウスをフィルムで覆うためのフィルム展張
作業は多くの人手を要するようになってきている。その
一方で、農業従事者の数は年々減少すると共に高齢化が
進行しており、毎年の展張作業に人手を確保することは
容易ではない状況にある。この様な状況に鑑み、ハウス
に展張するフィルムは展張作業が容易で極力張り替えま
での使用期間の長いフィルム、言いかえれば、2年以上
の寿命を要し、長期間にわたり当初性能を保持できる高
性能な農業用フィルムの開発が求められている。
【0005】この様な要求に対して、フィルムが具備
し、長期間保持すべき性能としては、例えば透明性、耐
候性、防塵性、防曇持続性等が挙げられる。このような
中で、耐久性向上としては、ヒンダードアミン系光安定
剤(通称;HALS)の登場により、当該光安定剤を基
材に練り込むことで、紫外線吸収剤を添加しなくても2
年以上の長期展張が可能な紫外線透過型フィルムが種々
提案され、この様なフィルムは、従来の農業用塩化ビニ
ル系樹脂フィルムでは不可能であったミツバチ利用栽培
や、ナスの色つき等の栽培作物に制限が無いこともあ
り、農業用被覆資材に占める比率も年々増加している。
【0006】しかしながら、上記ヒンダードアミン系光
安定剤を基材フィルムに練り込んだフィルムであって
も、近年のフィルム耐久化の要求(例えば7〜8年)を
満足することができていないのが実状である。
【0007】一方、耐久性資材としては、ポリエステル
系フィルム、フッ素フィルム等が市場に受け入れられて
いるものの、硬質資材であることから展張作業に手間が
かかるという問題があり、またポリエステル系フィルム
は紫外線を完全に遮断してしまうため、上記の通り作物
栽培に制限があるという問題も抱えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記欠
点を克服し、栽培作物に制限が無く、防塵性、及び耐候
(光)性を満足するフィルムについて鋭意検討した結
果、ポリオレフィン系樹脂フィルムのハウス外面に特定
の重合生成物からなる塗膜を形成することで、本目的が
達成し得ることを見出し本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨とす
るところは、ポリオレフィン系樹脂を主体とする基体フ
ィルムの展張時ハウス外面に、下記重合生成物(A)を
含有する被膜を形成してなることを特徴とする農業用ポ
リオレフィン系樹脂フィルムにある。
【0010】重合生成物(A):少なくとも、(a)シ
クロアルキル基を有するアクリル系単量体と、(b)ピ
ペリジン基を有する紫外線安定性単量体を重合させてな
る重合生成物。
【0011】更に好ましくは、該(a)シクロアルキル
基を有するアクリル系単量体が、下記一般式(1)で表
される単量体であり、該(b)ピペリジン基を有する紫
外線安定性単量体が、下記一般式(2)及び/又は一般
式(3)で表される紫外線安定性単量体であることを特
徴とする農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムにある。 一般式(1)
【0012】
【化4】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素
基を表し、Xは置換基を有していてもよいシクロアルキ
ル基を表す) 一般式(2)
【0013】
【化5】 (式中、R2 は水素原子またはシアノ基を表し、R3
4 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の
炭化水素基を表し、R5 は水素原子または炭素数1〜18
の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表
す) 一般式(3)
【0014】
【化6】 (式中、R2 は水素原子またはシアノ基を表し、R3
4 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の
炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表
す) また、更に好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の一成分
として、メタロセン触媒で共重合して得られるエチレン
−α−オレフィン共重合樹脂が使用される事を特徴とす
る農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム、又は基体樹脂
フィルムのハウス内面にバインダー樹脂と無機質コロイ
ドゾルを主成分とする防曇性被膜が形成されてなること
を特徴とする農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムにあ
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明におけるポリオレフィン系樹脂とし
ては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィン
を主成分とする異種単量体との共重合体であり、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−
メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられ
る。これらのうち、密度が0.910〜0.935の低
密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体
および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−
酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点
から農業用フィルムとして好ましい。
【0017】また、本発明において、ポリオレフィン系
樹脂の一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られ
るエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用すること
ができる。
【0018】これは、通常、メタロセンポリエチレンと
いわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキ
セン−1、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、1
−デセン等炭素原子数4〜10のα−オレフィンとの共
重合体であり、この共重合体は、たとえば(A法)特開
昭58−19309号等に記載されている方法や、(B
法)特開平6−9724号等に記載されている方法によ
り得られる。
【0019】本発明のポリオレフィン系樹脂の一成分と
して使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、
好ましくは以下の物性を示すものである。メルトフォローレート(MFR) JIS−K7210により測定されたMFRが0.01
〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の
値を示すものである。該MFRがこの範囲より大きいと
成形時にフィルムが蛇行し安定しにくい。また、該MF
Rがこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大
し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧
力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。密度 JIS−K7112により測定された密度が0.880
〜0.930g/cm 3 、好ましくは0.880〜
0.920g/cm3 の値を示すものである。該密度
がこの範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度
がこの範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによ
りブロッキングが生じ実用性に乏しくなる。 分子量分布 ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)
によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平
均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.
0の値を示すものである。該分子量分布がこの範囲より
大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分
布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安
定しない。
【0020】また本発明における農業用ポリオレフィン
系樹脂フィルムには、必要に応じて、ハウス外面塗膜、
防曇塗膜の密着性を損なわない範囲で、可塑剤、防曇
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、熱安
定剤、顔料、染料等の着色剤、防霧剤、帯電防止剤・無
機微粒子等を配合することができる。
【0021】可塑剤としては、例えば、フタル酸誘導
体、イソフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、マレイン
酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイ
ン酸誘導体、リシノール酸誘導体、その他トリクレジル
ホスフェート、エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂系可塑
剤等が挙げられる。
【0022】光安定剤としては、農業用に通常配合され
る種々の化合物を使用することができる。具体的には、
特公昭62−59745号公報第5欄第37行〜第16
欄第18行目、特開平2−30529号明細書第20頁
第15行〜第38頁第3行目に記載されているヒンダー
ドアミン系化合物である。
【0023】本発明で使用可能な市販のヒンダードアミ
ン系化合物を例示すれば、TINUVIN770、TI
NUVIN780、TINUVIN144、TINUV
IN622LD、CHIMASSORB119FL、C
HIMASSORB944(以上、チバガイギー社
製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MAR
KLA−63、MARK LA−68、MARK LA
−62、MARK LA−67、MARK LA−57
(以上、アデカ・アーガス社製)等が挙げられる。
【0024】酸化防止剤としては、2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2′−メチレ
ンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノー
ル)、ジラウリルチオジプロピオネート等を挙げること
ができる。
【0025】紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリ
アゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、シア
ノアクリレート系、フェニルサリシレート系、トリアジ
ン系等の紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の量
は、栽培作物の制限を無くすため、320〜370nm
の波長域における全光線透過率の最低値が40%以上と
なる範囲で適宜選択すれば良い。
【0026】滑剤ないし熱安定剤としては、例えばポリ
エチレンワックス、流動パラフィン、ビスアマイド、ス
テアリン酸、ステアリン酸亜鉛、脂肪族アルコール、ス
テアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、リシノ
ール酸バリウム、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫
ジマレート、有機リン酸金属塩、有機ホスファイト化合
物、フェノール類、β−ジケトン化合物等が挙げられ
る。
【0027】着色剤としては例えば、フタロシアニンブ
ルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリ
ザリンレーキ、酸化チタン、亜鉛華、群青、パーマネン
トレッド、キナクリドン、カーボンブラック等を挙げる
ことができる。
【0028】防霧剤としては、フッ素系界面活性剤が挙
げられ、具体的には、通常の界面活性剤の疎水基のCに
結合したHの代わりにその一部または全部をFで置換し
た界面活性剤で、特にパーフルオロアルキル基またはパ
ーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤である。
【0029】無機微粒子としては、保温剤として有効な
Mg、Ca、Zn、Al、SiおよびLiの少なくとも
1つの原子を含有する無機酸化物、無機水酸化物等が挙
げられる。具体的には、酸化マグネシウム、酸化カルシ
ウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、水
酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カル
シウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシ
ウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐
酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸カルシウム、珪酸マ
グネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸
チタン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、
アルミン酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ア
ルミノケイ酸カリウム、アルミノケイ酸カルシウム、カ
オリン、タルク、マイカ、クレー、ハイドロタルサイト
類化合物、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、リチ
ウム・アルミニウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、
リチウム・アルミニウム・マグネシウム複合ケイ酸塩化
合物、アルミニウム・マグネシウム・ケイ素複合水酸化
物、アルミニウム・マグネシウム・ケイ素複合炭酸塩化
合物、アルミニウム・マグネシウム・ケイ素複合硫酸塩
化合物、チャルコアルマイト化合物等の無機微粒子が挙
げられる。これらの中でも、樹脂中の分散性、透明性、
及び保温性の点からハイドロタルサイト類化合物が好ま
しい。
【0030】これら無機微粒子は、それぞれ1種または
2種以上を組み合わせて使用することができる。その平
均粒子径は、0.05〜10μm、より好ましくは0.
1〜5μmの範囲である。無機微粒子の平均粒子径が上
記範囲より小さいと、樹脂中での分散性が劣り、ブツ
(二次凝集物)が生成してフィルム外観が悪化すると共
に、樹脂との混練時に粉立ちが激しく、ハンドリング性
が劣り実用性に乏しい。逆に、無機微粒子の平均粒子径
が上記範囲より大きいと、透明性で劣ったり、押出し機
のブレーカースクリーン部まで目詰まりを生じ生産性が
低下するので好ましくない。
【0031】かかる保温剤の配合量は、特に規定される
ものではないが、樹脂組成中の1〜20重量%が好まし
い。無機微粒子の含有量が、上記範囲より小さいと保温
性の点で不十分であり、上記範囲より大きいと透明性が
悪化すると共に機械強度が低下するので好ましくない。
【0032】防曇剤及び界面活性剤としては、ソルビタ
ン脂肪族エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、グリ
セリン脂肪族エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、蔗糖脂肪酸エステル、シリコーン系界面活性剤、フ
ルオロアルキル基やフルオロアルケニル基を含有するフ
ッ素系界面活性剤等が挙げられる。これら防曇剤(乾麺
活性剤)は単独で、または2種以上を組み合わせて用い
ることができ、通常1.0〜5.0重量%の範囲が好ま
しい。
【0033】以上の各種添加剤は、それぞれ1種または
2種以上を組み合わせて使用することができる。上記各
種添加剤の配合量は、フィルムの性能、特に防塵塗膜、
防曇塗膜の密着性を悪化させない範囲で選ぶことができ
る。
【0034】基材ポリオレフィン系樹脂に、各種添加剤
を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダ
ー、バンバリーミキサー、スーパーミキサーその他従来
から知られている配合機、混合機を使用すればよい。こ
のようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するに
は、それ自体公知の方法、例えば溶融押出し成形法(T
ダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー成形
法等の従来から知られている方法によればよい。
【0035】かかるフィルムは単層でもよいが、柔軟性
及び強度などの点から3層以上の積層フィルムとしても
よく、積層フィルムの方が好ましい。
【0036】特に本発明では、基体フィルム自体を3層
以上の積層フィルムとし、ハウス展張時に外側となる外
層を、メタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−
α−オレフィン共重合樹脂を樹脂成分中45重量%以上
100重量%以下、好ましくは50重量%以上99重量
%以下含有する組成物で構成することが、本発明の被膜
との相性の点で好ましい。更に好ましくは、ハウス内層
も同様に、メタロセン触媒で共重合して得られるエチレ
ン−α−オレフィン共重合樹脂を樹脂成分中45重量%
以上100重量%以下、好ましくは50重量%以上99
重量%以下含有する組成物で構成し、それら外層及び内
層の中に位置する中間層を、エチレン−酢酸ビニル系樹
脂が、樹脂成分中50重量%以上100重量%以下であ
る樹脂組成物で構成することが好ましい。
【0037】本発明にかかるフィルムは、透明でも、梨
地でも、半梨地でもよく、その用途は、農業用ハウス
(温室)、トンネル等の被覆用に使用できるほか、マル
チング用、袋掛用等にも使用できる。
【0038】また、フィルム厚みについては強度やコス
トの点で0.03〜0.3mmの範囲のものが好まし
く、0.05〜0.2mmのものがより好ましい。
【0039】本発明においては、上記基体ポリオレフィ
ン系樹脂フィルムの展張時ハウス外面に、重合生成物
(A)よりなる被膜を形成してなることを特徴とする。
【0040】重合生成物(A)は、少なくとも(a)シ
クロアルキル基を有するアクリル系単量体と、(b)ピ
ペリジン基を有する紫外線安定性単量体を重合させてな
る重合生成物であることを必須とし、好ましくは、
(a)は前記一般式(1)で表される不飽和単量体であ
り、(b)は、前記一般式(2)で表される紫外線安定
性単量体および/または前記一般式(3)で表される紫
外線安定性単量体であることを特徴とする。更に、この
単量体組成物には、カルボキシル基に対する反応性を有
する官能基を含有する単量体を含んでいてもよく、さら
に、上記各単量体以外の単量体を含んでいてもよい。
【0041】本発明にかかる前記一般式(1)で表され
る不飽和単量体は、式中、R1で示される置換基が水素
原子または炭素数1〜2の炭化水素基で構成され、Xで
示される置換基が、置換基を有していてもよいシクロア
ルキル基で構成される化合物である。上記Xで示される
置換基におけるシクロアルキル基とは、具体的には、例
えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロド
デシル基等の単環式飽和炭化水素残基である。そして、
該シクロアルキル基は、炭素数1〜7のアルキル基を置
換基として有していてもよい。該置換基とは、具体的に
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基等である。
【0042】上記の不飽和単量体(以下、シクロアルキ
ル基含有単量体と記す)としては、具体的には、例え
ば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)ア
クリレート等が挙げられるが、特に限定されるものでは
ない。シクロアルキル基含有単量体は、一種類のみを用
いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いても
よい。
【0043】該シクロアルキル基含有単量体の含有率
は、特に限定されるものではないが、全単量体に対する
比率で、2重量%〜95重量%の範囲が好ましく、更に
は5重量%〜85重量%の範囲が好ましい。
【0044】本発明にかかる前記一般式(2)で表され
る紫外線安定性単量体(以下、紫外線安定性単量体
(2)と記す)は、式中、R2 で示される置換基が水素
原子またはシアノ基で構成され、R3 、R4 で示される
置換基がそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2
の炭化水素基で構成され、R5 で示される置換基が水素
原子または炭素数1〜18の炭化水素基で構成され、Yで
示される置換基が酸素原子またはイミノ基で構成される
ピペリジン類である。上記R3 、R4 で示される置換基
とは、具体的には、例えば、水素原子、メチル基または
エチル基であり、R5 で示される置換基とは、具体的に
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の、直鎖状また
は枝分れ鎖状の炭化水素残基である。
【0045】上記の紫外線安定性単量体(2)として
は、具体的には、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキ
シ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アク
リロイルアミノ−2,2,6,6− テトラメチルピペ
リジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6- ペ
ンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ
-1,2,2,6,6- ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-
(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6− テト
ラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-
テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,
6,6- テトラメチルピペリジン等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。紫外線安定性単量体(2)
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適
宜混合して用いてもよい。
【0046】本発明にかかる前記一般式(3)で表され
る紫外線安定性単量体(以下、紫外線安定性単量体
(3)と記す)は、式中、R2 で示される置換基が水素
原子またはシアノ基で構成され、R3 、R4 で示される
置換基がそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2
の炭化水素基で構成され、Yで示される置換基が酸素原
子またはイミノ基で構成されるピペリジン類である。上
記R3 、R4 で示される置換基とは、具体的には、例え
ば、水素原子、メチル基またはエチル基である。
【0047】上記の紫外線安定性単量体(3)として
は、具体的には、例えば、1-(メタ)アクリロイル-4-
(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6− テト
ラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル−4−シ
アノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,
6− テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4- ク
ロトノイルオキシ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジン等
が挙げられるが、特に限定されるものではない。紫外線
安定性単量体(3)は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0048】該ピペリジン環基含有アクリル系単量体
は、全単量体中、0.1重量%〜50重量%の範囲が好
ましく、特に0.5重量%〜10重量%の範囲が好まし
い。
【0049】また、上記単量体(つまり、シクロアルキ
ル基含有単量体、および、紫外線安定性単量体(2)・
(3))以外の単量体、即ち、単量体組成物に必要に応
じて含まれるその他の単量体(以下、その他の単量体と
記す)は、該単量体組成物を重合してなる重合生成物に
要求される各種物性を損なわない化合物であればよい。
【0050】上記その他の単量体としては、具体的に
は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラク
トン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダ
イセル化学工業株式会社製;商品名 プラクセルF
M)、フタル酸とプロピレングリコールとから得られる
ポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等の
水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキ
シル基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン
酸基含有単量体;2-(メタ)アクリロイルオキシエチル
アシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイ
ルオキシ-3- クロロプロピルアシッドホスフェート、2-
メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リ
ン酸エステル系単量体等の、酸性官能基含有単量体;メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソ
ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリ
レート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウ
リル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリ
レート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;グリ
シジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量
体;(メタ)アクリルアミド、N,N'- ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイ
ミダゾール等の含窒素単量体;塩化ビニル、塩化ビニリ
デン等のハロゲン含有単量体;スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体;酢酸ビニル
等のビニルエステル;ビニルエーテル;(メタ)アクリ
ロニトリル等の重合性シアン化合物等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。その他の単量体は、必要
に応じて一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上
を適宜混合して用いてもよい。
【0051】上記の重合生成物の重合方法は、特に限定
されるものではなく、公知の重合方法、たとえば、溶液
重合、分散重合、懸濁重合、乳化重合方法などにより重
合することができる。
【0052】なお、重合生成物(A)は、硬化させても
よく、重合生成物(A)自身の単量体として、熱硬化性
や、紫外線・電子線硬化性の官能基を有する単量体を使
用して硬化させてもよいし、イソシアネート化合物、エ
ポキシ樹脂、アミノプラスト樹脂などの硬化剤を添加し
てもよい。
【0053】本発明に使用される重合生成物(A)を溶
解する有機溶剤としては、アセトン,メチルエチルケト
ン,メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジオキサ
ン,テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル,
酢酸ブチル,セロソルブアセテート等のエステル類、ト
ルエン,キシレン等の芳香族炭化水素、テトラリン、ミ
ネラルスピリッツやこれらの混合溶媒が挙げられ、上記
溶剤は重合反応に用いた溶液をそのまま使用することも
できる。
【0054】本発明においては、更に好ましい態様とし
て、上記基体ポリオレフィン系樹脂フィルムの展張時ハ
ウス内面に、バインダー樹脂と無機質コロイドゾルを主
成分とする防曇被膜を形成されてなることを特徴とす
る。バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタ
ン系樹脂などが挙げられるが、好ましくは、ガラス転移
温度が35〜80℃の範囲にあるアクリル系樹脂を用い
ることが好ましく、更に疎水性であることが好ましい。
その他、親水性のアクリル系樹脂を用いることも可能で
ある。該疎水性アクリル系樹脂のガラス転移温度が低す
ぎる場合、無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な
分散状態をとりやすく、また無機質コロイド粒子の塗布
基材に対する固着が十分でないため、時間の経過ととも
に無機質コロイド粒子が基材表面から脱落・流失して防
曇性能を損なうことがあり、また高すぎる場合、透明性
のある均一な被膜を得るのが困難になり、実用性に乏し
い。
【0055】また、疎水性アクリル系樹脂以外のバイン
ダー成分として、たとえばポリエーテル系、ポリカーボ
ネート系、ポリエステル系の水分散性ウレタン樹脂など
をアクリル系樹脂の含有量未満の量範囲で混合する態様
も、防曇性の初期濡れと持続性が高いため好ましい。
【0056】本発明において、形成される被膜の疎水性
アクリル系樹脂として好ましく用いられる1つの例とし
ては、少なくとも合計60重量%のアクリル酸またはメ
タクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、また
はアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類
とアルケニルベンゼン類との単量体混合物及び0〜40
重量%の共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体
とを、通常の重合条件に従って、例えば乳化剤の存在下
に、水系媒質中で乳化重合させて得られる水分散性の重
合体または共重合体を挙げることができる。
【0057】疎水性アクリル系樹脂の製造に用いるアク
リル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類として
は、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエス
テル、アクリル酸−n−プロピルエステル、アクリル酸
イソプロピルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステ
ル、アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、アクリ
ル酸デシルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メ
タクリル酸エチルエステル、メタクリル酸−n−プロピ
ルエステル、メタクリル酸イソプロピルエステル、メタ
クリル酸−n−ブチルエステル、メタクリル酸−2−エ
チルヘキシルエステル、メタクリル酸デシルエステル等
が挙げられ、一般には、アルキル基の炭素数が1〜20
個のアクリル酸アルキルエステル及び/又はアルキル基
の炭素数が1〜20個のメタクリル酸アルキルエステル
が使用される。
【0058】アルケニルベンゼン類としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ
る。
【0059】疎水性アクリル系樹脂を得るために用いる
α、β−エチレン性不飽和単量体としては、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα、β−エチレン性
不飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸等のα、β−
エチレン性不飽和スルホン酸類;2−アクリルアミド−
2−メチルプロパン酸;α、β−エチレン性不飽和ホス
ホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエ
チル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリロニトリル
類;アクリルアマイド類;アクリル酸又はメタクリル酸
のグリシジルエステル類等が挙げられる。これら単量体
は、単独で用いても、または2種以上の併用でもよく、
0〜40重量%の範囲で使用するのが好ましい。使用量
が多すぎると、防曇性能を低下させることがあり、好ま
しくない。
【0060】疎水性アクリル系樹脂は、公知の乳化剤、
例えば陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、
非イオン系界面活性剤の中から選ばれる1種もしくは2
種以上の存在下、水系媒質中で、乳化重合させる方法、
反応性乳化剤を用いて重合させる方法、乳化剤を含有せ
ずオリゴソープ理論に基づいて重合させる方法等によっ
て得ることができる。乳化剤の存在下での重合方法の場
合、これら乳化剤は、単量体の仕込み合計量に対し0.
1〜10重量%の範囲で使用するのが、重合速度の調
整、合成される樹脂の分散安定性の点から好ましい。
【0061】本発明の疎水性アクリル系樹脂の製造に好
ましく用いられる重合開始剤としては、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アセチルパーオキ
サイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げら
れる。これらは、単量体の仕込み合計量に対して0.1
〜10重量%の範囲で使用することができる。
【0062】本発明で用いる無機質コロイドゾルは、疎
水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に塗布するこ
とにより、フィルム表面に親水性を付与する機能を果た
すものである。
【0063】無機質コロイドゾルとしては、シリカ、ア
ルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸
化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロ
イド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散
させた、水性ゾルが挙げられる。中でも好ましく用いら
れるのは、シリカゾルとアルミナゾルで、これらは、単
独で用いても併用しても良い。
【0064】無機質コロイドゾルとしては、その平均粒
子径が5〜100nmの範囲で選ぶのが好ましく、ま
た、この範囲であれば、平均粒子径の異なる2種以上の
コロイドゾルを組み合わせて用いても良い。平均粒子径
が大きすぎると、被膜が白く失透することがあり、ま
た、平均粒子径が小さすぎると、無機質コロイドゾルの
安定性に欠けることがあるため好ましくない。
【0065】無機質コロイドゾルは、その配合量をアク
リル系樹脂の固形分重量に対して、固形分として50〜
400重量%にするのが好ましい。すなわち、配合量が
少なすぎる場合は、十分な防曇効果が発揮できないこと
があり、一方、配合量が多すぎる場合は、防曇効果が配
合量に比例して向上しないばかりでなく、塗布後に形成
される被膜が白濁化してフィルムの光線透過率を低下さ
せる現象があらわれ、また、被膜が粗雑で脆弱になるこ
とがあり、好ましくない。
【0066】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤
組成物を調製するときに、陰イオン系界面活性剤、陽イ
オン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子界面
活性剤等の界面活性剤を添加することができる。
【0067】これら界面活性剤の添加は、疎水性アクリ
ル系樹脂と無機質コロイドゾルとを容易にかつ速やかに
均一に分散することができ、また無機質コロイドゾルと
併用することにより、疎水性のポリオレフィン系樹脂フ
ィルム表面に親水性を付与する機能を果たす。界面活性
剤の添加量は、疎水性アクリル系樹脂の固形分100重
量部に対し0.1〜50重量部の範囲で選ぶと良い。界
面活性剤の添加量が少なすぎると、疎水性アクリル系樹
脂及び無機質コロイドゾルが十分に分散するのに時間が
かかり、また、無機質コロイドゾルとの併用での防曇効
果を十分に発揮しえず、一方界面活性剤の添加量が多す
ぎると塗布後に形成される被膜表面へのブリードアウト
現象により被膜の透明性が低下し、顕著な場合は被膜の
耐ブロッキング性の悪化や被膜の耐水性低下を引き起こ
す場合がある。
【0068】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤
組成物を調製するときに、架橋剤を添加することができ
る。架橋剤は、アクリル系樹脂同士を架橋させ、被膜の
耐水性を向上させる効果がある。架橋剤としては、フェ
ノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリ
ジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物
類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられる
が、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキ
シ化合物類が好ましく使用できる。
【0069】本発明に使用される防曇剤組成物には、必
要に応じて、液状分散媒を配合することができる。かか
る液状分散媒としては、水を含む親水性ないし水混合性
溶媒がふくまれ、水;メチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、等の1価アルコール
類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリ
セリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の
環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類
等が挙げられる。これら液状分散媒は単独で用いても併
用しても良い。防曇剤組成物は、疎水性アクリル系樹
脂、無機質コロイドの固形分として一般に0.5〜50
重量%の濃度で調製し、これを希釈して使用することが
多い。本発明で調製される防曇剤組成物には、更に必要
に応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、造粘剤、顔料、
顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合することができる。
【0070】なお、本発明でいう、アクリル系樹脂被膜
のガラス転移温度は、次式により算出した。
【0071】
【数1】1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+
Wn/Tgn ただし、Tgはアクリル系樹脂のガラス転移温度(絶対
温度)、Tg1、Tg2、…、Tgnは各成分1、2、
…、nのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)、
W1、W2、…、Wnは各成分1、2、…、nの重量分
率をそれぞれ示す。
【0072】基材フィルムの表面に重合生成物(A)よ
りなる被膜及び防曇性被膜をそれぞれ形成するには、前
述の重合にて得られた重合生成物(A)の溶液及び防曇
剤組成物をそれぞれドクターブレードコート法、ロール
コート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロッ
ドコート法、バーコート法、ナイフコート法、ハケ塗り
法等それ自体公知の塗布方法を採用し、塗布後乾燥すれ
ばよい。塗布後の乾燥方法は、自然乾燥及び強制乾燥の
いずれの方法を採用してもよく、強制乾燥方法を採用す
る場合、通常50〜250℃、好ましくは70〜200
℃の温度範囲で乾燥すればよい。加熱乾燥には、熱風乾
燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法等適宜方法を採用
すればよく、乾燥速度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法
を採用するのが有利である。
【0073】本発明において、基体フィルムの表面に形
成させる被膜の厚さは、特に制限されるものでは無い
が、基体フィルムの1/10以下を目安に選択すると良
い。被膜の厚さが基材フィルムの1/10より大である
と、基材フィルムと被膜とでは屈曲性に差があるため、
被膜が基材フィルムから剥離する等の現象がおこりやす
く、また、被膜に亀裂が生じて基材フィルムの強度を低
下させるという現象が生起し好ましくない。また、基体
フィルムと被膜組成物に由来する被膜との接着性が充分
でない場合には、基体フィルムの表面を予めアルコール
または水で洗浄したり、プラズマ放電処理、あるいはコ
ロナ放電処理を施しておいてもよい。
【0074】本発明に係る農業用ポリオレフィン系樹脂
フィルムを、実際に使用するにあたっては、重合生成物
(A)による被膜の設けられた側をハウス又はトンネル
の外側となるようにして展張するのがよい。
【0075】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例
に限定されるものではない。 (1)ポリオレフィン系基材フィルムの調製 三層インフレーション成形装置として三層ダイに100
mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機は外内層を
30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40m
mφ((株)プラ技研製)として成形温度190℃、ブ
ロー比3.0、引取速度4m/分にて、表−1に示した
成分からなるポリオレフィン系基材フィルムを得た。 (2)ハウス外面の被膜の形成 表−2に記載の組成よりなる重合組成物を酢酸エチルに
溶解し、固形分濃度が20%になるように調製し、被膜
形成用塗布液を得た。
【0076】表−1記載の基材フィルムのハウス外面側
をコロナ処理により52dyne/cmにした後、塗布液を基
材表面上にグラビアコート法によって塗布した後、10
0℃に温度調節した温風乾燥炉内に2分間滞留させ、溶
剤を飛散させ被膜を形成させた。塗膜の厚みは2μm
で、粘着テープテストによる塗膜の密着性も良好であっ
た。尚、基材中に紫外線吸収剤を練り込んだ基材(基材
−3、基材−4)には塗工しなかった。 (3)防曇性被膜の形成 下記組成よりなる防曇剤組成物を調製した。
【0077】 疎水性アクリルバインダー 2.0重量部 (メチルメタクリレート60重量部、n−フ゛チルメタクリレート40重量部) コロイダルシリカ(平均粒径20nm) 5.0重量部 液状分散媒(水/エタノール=3/1) 93.0重量部 得られた防曇剤組成物を(1)、(2)で得られたフィ
ルムのハウス内面側にグラビアコート法によって塗布し
た後、80℃に温度調節した温風乾燥炉内に2分間滞留
させ、液状分散媒を飛散させて膜を形成させた。被膜の
厚みは全て0.5μmであった。 (4)フィルムの評価 得られた各フィルムについて、次のような評価試験を行
い、その結果を表−3に示した。 a)防塵性 三重県一志郡の圃場に高さ2.5m、間口4m、奥行き
5mのパイプハウスを構築し、フィルムを展張した。展
張前、及び平成11年9月〜13年9月の約2年間展張
した後の波長555nmにおける全光線透過率を分光光
度計(日立製作所製、U3410型)により測定した。 b)耐候(光)性試験 フィルムを蛍光紫外線凝縮試験機に2000時間、及
び3000時間曝露した後、曝露前、及び曝露後フィル
ムの波長555nmにおける平行光線透過率を分光光度計
(日立製作所、U3410型)により測定した。
【0078】フィルムを蛍光紫外線凝縮試験機に20
00時間、及び3000時間曝露した後、曝露前、及び
曝露後フィルムの引張り物性(機械方向(MD方向)の
み)をJIS−K6732の測定法に準拠して測定し
た。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【発明の効果】本発明の特定の重合生成物被膜を展張時
ハウス外面に形成した農業用ポリオレフィン系樹脂フィ
ルムによれば、作物栽培に影響がなく、しかも長期の展
張を行っても、防塵性、透明性に優れ、かつ耐候(光)
性を維持することができるポリオレフィン系樹脂フィル
ムを得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 220/34 C08F 220/34 220/60 220/60 C09K 3/00 C09K 3/00 R (72)発明者 山岸 宏 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋事業 所内 Fターム(参考) 2B024 DB01 EA01 2B029 EB02 EB03 EC02 EC09 EC14 EC16 EC19 4F100 AA01C AK01C AK03A AK25B AK62A AL05B BA02 BA03 BA10B BA10C CA10C GB01 JL07C JL09 4J100 AL08P AL08Q AM21Q AM23R BC02P BC04P BC69Q BC69R CA04 CA05 JA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂を主体とする基体
    フィルムの展張時ハウス外面に、下記重合生成物(A)
    を含有する被膜を形成してなることを特徴とする農業用
    ポリオレフィン系樹脂フィルム。 重合生成物(A):少なくとも、(a)シクロアルキル
    基を有するアクリル系単量体と、(b)ピペリジン基を
    有する紫外線安定性単量体を重合させてなる重合生成
    物。
  2. 【請求項2】 該(a)シクロアルキル基を有するアク
    リル系単量体が、下記一般式(1)で表される単量体で
    あり、該(b)ピペリジン基を有する紫外線安定性単量
    体が、下記一般式(2)及び/又は一般式(3)で表さ
    れる紫外線安定性単量体であることを特徴とする請求項
    1記載の農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム。 一般式(1) 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素
    基を表し、Xは置換基を有していてもよいシクロアルキ
    ル基を表す) 一般式(2) 【化2】 (式中、R2 は水素原子またはシアノ基を表し、R3
    4 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の
    炭化水素基を表し、R5 は水素原子または炭素数1〜18
    の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表
    す) 一般式(3) 【化3】 (式中、R2 は水素原子またはシアノ基を表し、R3
    4 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の
    炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表
    す)
  3. 【請求項3】ポリオレフィン系樹脂の一成分として、メ
    タロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレ
    フィン共重合樹脂が使用される事を特徴とする請求項1
    に記載の農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】基体樹脂フィルムのハウス内面にバインダ
    ー樹脂と無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性被膜
    が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載の農業用ポリオレフィン系樹脂フィル
    ム。
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