JP2003174719A - 電力ケーブルの接続部の構造 - Google Patents

電力ケーブルの接続部の構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力ケーブルの接続部における電極と絶縁層と
の間に存在し、この界面での電界傾度を緩和する電界緩
和層の比誘電率を高くするとともに誘電正接、絶縁破壊
電圧、絶縁抵抗等の電気特性の低下を抑え、かつこの電
界緩和層の比誘電率の増大に伴って電界緩和層と絶縁層
との界面での電界傾度が強調され、この界面が電界的に
弱点になることを防止する。 【解決手段】電力ケーブルの接続部の内部電極3と絶縁
層6との間に高誘電率ゴムからなる電界緩和層5を設
け、この電界緩和層5を2以上の層5A、5B、5Cか
ら構成し、内部電極3側に位置する層5Aを比誘電率が
高く、絶縁層6側に位置する層5B、5Cをこれよりも
順次比誘電率が低くし、内部電極3に接する層5Aの比
誘電率を10以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電力ケーブルの
中間接続部、終端接続部等の接続部の構造に関し、接続
部の電極と絶縁層との間に比誘電率が順次低下する複数
の層からなる電界緩和層を配して、電極と絶縁層との間
の電界を緩和するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】電力ケーブルとして汎用されているCV
ケーブルの中間接続部、終端接続部では、ゴムモール
ド、ゴムテープ巻き、エポキシ注型品などの絶縁部品が
使用されて手作業で絶縁層が形成されるため、電極処理
部や界面部が電気的欠陥になりやすい。このような部位
の具体例としては、内部電極処理部、外部電極処理部、
ストレスコーン立ち上がり部、ケーブルコア/接続部品
界面部などがある。
【0003】そして、これらの部位は、ほとんどが手作
業で組み立てられるため、電極処理部や界面部には、突
起、異物、ボイド等の欠陥が作業時に持ち込まれやす
く、組み立てには細心の注意と高度の専門技術が要求さ
れ、施工時間、施工コストの増大につながっている。
【0004】上述の欠陥が持ち込まれやすく、電界不整
となりやすい電極処理部や界面部などの部位の電界傾度
を緩和するために、これらの部位に高誘電率のゴム組成
物からなる電界緩和層を配置するアイデアが、古くから
知られている。
【0005】図3は、このような高誘電率ゴムからなる
電界緩和層を設けた接続部の一例を示すもので、この例
はCVケーブルの中間接続部を示すものである。図中符
号1は、導体接続管を示す。この導体接続管1は、両方
のCVケーブルの導体2、2を圧縮接続するものであ
る。
【0006】この導体接続管1の上には、内部電極3が
設けられている。この内部電極3は、両方のケーブルの
内部半導電層4、4を電気的に接続するもので、半導電
性テープを巻き回すことにより形成されたものである。
内部電極3の上には電界緩和層5が設けられている。こ
の電界緩和層5は、カーボンブラックなどの導電性フィ
ラーを充填したゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどの
比誘電率が高いゴムなどからなるテープを巻き回すこと
により形成されたものである。
【0007】この電界緩和層5上に絶縁テープの巻回に
より形成された絶縁層6が設けられており、この絶縁層
6は、両方のケーブルの絶縁体7、7に跨るように形成
されている。さらに、絶縁層6の上には外部電極8が形
成されている。この外部電極8は、半導電性テープの巻
き回しにより形成され、両方のケーブルの外部半導電層
9、9を電気的に接続するものである。
【0008】このような構造の接続部においては、電界
緩和層5の存在により、電気的欠陥となりやすい内部電
極3と絶縁層6との間の電極処理部分の電界傾度が緩和
されることになる。そして、この電界緩和層5の電界緩
和効果を大きくするには、電界緩和層5の比誘電率を高
くすることがのぞましい。このため、電界緩和層5をな
す材料としては、カーボンブラックなどの導電性フィラ
ーを多量に充填した高誘電率ゴム組成物や極性の高いア
クリルゴム、フッ素ゴムなどの高誘電性ゴムなどの使用
が検討されている。
【0009】しかし、これら高誘電率ゴム組成物や高誘
電性ゴムでは、その比誘電率を高くすると、導電性フィ
ラー充填ゴムでは、導電性粒子の連鎖が形成されるこ
と、高誘電性ゴムではポリマーの極性が大きくなること
から、比誘電率の増大に伴って誘電正接(tanδ)、
絶縁破壊電圧(BDV)、絶縁抵抗(ρ)の電気特性が
大きく低下し、その実際の適用には問題があった。ま
た、チタン酸バリウム、酸化チタンなどの高誘電率フィ
ラーを充填したゴム組成物においても、比誘電率を高く
するにはそのフィラーの充填量を多くする必要があり、
同様の問題があった。
【0010】また、上記電界緩和層5の比誘電率をあま
りにも大きくすると、内部電極3と電界緩和層5との間
での電界傾度は緩和されるものの電界緩和層5と絶縁層
6との間の電界が逆に強調され、電界緩和層5と絶縁層
6との界面が新たに電界的に弱点となる問題も生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明におけ
る課題は、電力ケーブルの接続部における電極と絶縁層
との間に存在して電界傾度を緩和する電界緩和層の比誘
電率を高くするとともに誘電正接(tanδ)、絶縁破
壊電圧(BDV)、絶縁抵抗(ρ)等の電気特性の低下
を抑え、かつこの電界緩和層の比誘電率の増大に伴って
電界緩和層と絶縁層との界面での電界傾度が強調され、
この界面が電界的に弱点になることを防止することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、請求項1にかかる発明は、電力ケーブルの接続部
の電極と絶縁層との間に高誘電率ゴムからなる電界緩和
層が設けられ、この電界緩和層は2以上の層からなり、
電極側に位置する層が比誘電率が高く、絶縁層側に位置
する層がこれよりも順次比誘電率が低くされ、電極に接
する層の比誘電率が10以上であることを特徴とする電
力ケーブルの接続部の構造である。
【0013】請求項2にかかる発明は、電界緩和層がチ
タン酸バリウム系粉末を充填した架橋エチレンプロピレ
ンゴムからなることを特徴とする請求項1記載の電力ケ
ーブルの接続部の構造である。請求項3にかかる発明
は、電界緩和層の内、電極に接する層が、チタン酸バリ
ウム系粉末を充填した架橋エチレンプロピレンゴムから
なり、このチタン酸バリウム系粉末が脱イオン水で洗浄
されたものであり、架橋エチレンプロピレンゴムが過酸
化物架橋され、過酸化物分解残渣の除去がなされたもの
であることを特徴とするる請求項1記載の電力ケーブル
の接続部の構造である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、実施形態に基づいて、本発
明を詳しく説明する。図1及び図2は、本発明の電力ケ
ーブルの接続部の構造の一例を示すもので、図3に示し
た従来の接続部の構造と同一構成部分には同一符号を付
してその説明を省略する。
【0015】この例の構造では、内部半導電層4および
絶縁体7はペンシリング(先端部を円錐状に削ること)
されておらず、導体接続管1の外径が絶縁体7の外径に
ほぼ等しくされている。また、内部電極3は、図2にそ
の要部を拡大して示すように、その中央部が導体接続管
1に接しており、その両端部は導体接続管1から離れ
て、電界緩和層5内に埋め込まれた構造になっている。
また同時に、電界緩和層5はその比誘電率が異なる3層
に分割されている。この3層の内、第1層5Aは内部電
極3に直接接する層であり、その比誘電率が10以上、
例えば20の層である。比誘電率が10未満では電界緩
和効果が小さい。
【0016】第3層5Cは、絶縁層6に直接接する層
で、その比誘電率は第1層5Aのそれよりも小さくなっ
ており、例えば5である。第2層5Bは、第1層5Aと
第3層5Cとの間に位置する層であり、その比誘電率は
第1層5Aのそれよりも小さく、第2層5Bのそれより
も大きくされ、その中間の値となっており、例えば10
である。
【0017】この電界緩和層5は、全体としての厚さが
1〜5mm程度とされ、各層5A、5B、5Cの厚さは
その層数に応じて案分されている。そして、この3層5
A、5B、5Cからなる電界緩和層5は、それぞれ比誘
電率が異なるチューブ、テープなどの形態のものを挿
入、巻回などして3回にわたり形成されたものである。
【0018】また、このような電界緩和層5をなす材料
としては、高誘電率ゴム組成物が用いられる。この高誘
電率ゴム組成物は、ベースポリマーのゴムと高誘電率充
填剤を含むものである。このベースポリマーとなるゴム
としては、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、
ブチルゴムなどが用いられ、これらのゴムは1種または
2種以上のブレンド物で用いられる。また、これらゴム
は、非架橋または架橋状態で用いられる。
【0019】また、これらのゴムのなかでも、引っ張り
強度、伸び、永久圧縮歪みなどの機械的特性、加工性、
価格などを考慮して、ジクミルパーオキサイドなどの過
酸化物で架橋したゴム、とりわけ過酸化物架橋エチレン
プロピレンゴム(EPDM)が好ましい。
【0020】また、このゴムに充填、配合される高誘電
率充填剤としては、酸化チタン粉末、チタン酸バリウム
系粉末などが用いられるが、なかでもチタン酸バリウム
系粉末が好ましい。このチタン酸バリウム系粉末として
は、室温(25℃)から90℃の温度領域において、そ
の比誘電率が2,000〜20,000の、粒子径が1
〜10μmの粉末が用いられる。チタン酸バリウム系粉
末には、種々のグレードがあるが、ストロンチウム系の
添加剤を添加して誘電率を高めた工業用グレードのもの
がよい。
【0021】このチタン酸バリウム系粉末の比誘電率に
おいて、室温から90℃と温度範囲を定めたのは、この
温度域が電力ケーブルの使用温度域であるからである。
また、比誘電率を2,000以上としたのは、2,00
0未満ではゴムへの充填量が多くなって、ゴム組成物の
誘電正接(tanδ)、絶縁破壊電圧(BDV)、絶縁
抵抗(ρ)等の電気特性の低下が著しくなるからであ
る。
【0022】ところで、工業用グレードのチタン酸バリ
ウム系粉末は、酸化チタンと炭酸バリウムとの水溶液中
での反応で得られた粉末を水洗、仮焼、粉砕等の工程を
経て製造される。このため、工業用グレードのチタン酸
バリウム系粉末には、多くのイオン性不純物が含まれて
いる。
【0023】このようなイオン性不純物を含むチタン酸
バリウム系粉末を多量に充填したゴム組成物にあって
は、高周波用途のコンデンサとは異なり、低周波の商用
周波数域では、ゴム組成物の誘電正接(tanδ)、絶
縁破壊電圧(BDV)、絶縁抵抗(ρ)等の電気特性を
大きく低下させることになる。
【0024】このため、このようなイオン性不純物を除
去したチタン酸バリウム系粉末を用いることが好まし
い。イオン性不純物の除去には、例えば脱イオン水で水
洗する方法、脱イオン水を用い、超音波洗浄する方法な
どがある。
【0025】このチタン酸バリウム系粉末のゴムへの配
合量は、得られるゴム組成物の比誘電率を10以上とす
るには、ゴム100重量部に対して300〜800重量
部とされ、300重量部未満ではゴム組成物の誘電率が
不足し、800重量部を超えるとゴム組成物の誘電正
接、絶縁破壊電圧、絶縁抵抗等の電気特性を低下させる
ことになる。
【0026】また、ゴムとして過酸化物架橋されたエチ
レンプロピレンゴムなどの過酸化物架橋されたゴムを用
いた場合のチタン酸バリウム系粉末の多量配合による誘
電正接、絶縁破壊電圧、絶縁抵抗等の電気特性の低下原
因は、上述のチタン酸バリウム系粉末に付着しているイ
オン性不純物の単独作用ではなく、過酸化物架橋の際に
生じる架橋剤分解残渣、例えば過酸化物としてジクミル
パーオキサイドを用いたときには、アセトフェノン、ク
ミルアルコールと上記イオン性不純物との複合作用によ
る界面分極に起因していることが判明した。
【0027】したがって、架橋エチレンプロピレンゴム
などの過酸化物架橋されたゴムをベースポリマーとする
ゴム組成物においては、誘電正接、絶縁破壊電圧、絶縁
抵抗等の電気特性の低下防止のためには、チタン酸バリ
ウム系粉末のイオン性不純物除去もしくは過酸化物架橋
剤分解残渣除去のいずれか一方もしくは両方を行えば良
いことになる。架橋剤分解残渣の除去は、架橋後のゴム
組成物を100〜140℃の温度で、6〜24時間加熱
することで行われる。この加熱は、窒素等の非酸化性雰
囲気中で行われることが望ましい。
【0028】このような高誘電率ゴム組成物では、チタ
ン酸バリウム系粉末以外に、加工性改善のためのプロセ
スオイル、酸化防止剤、滑剤、ワックスなどの添加剤を
比誘電率に影響がない範囲で適宜添加することができ
る。
【0029】したがって、この高誘電率ゴム組成物かな
らる電界緩和層5にあっては、10以上、好ましくは2
0以上の高比誘電率を有し、しかも誘電正接、絶縁破壊
電圧、絶縁抵抗等の電気特性の低下がないものとなり、
良好な電界緩和効果を発揮しうるものとなる。また、チ
タン酸バリウム系粉末としてイオン性不純物を除去した
ものを用い、架橋剤分解残渣を除去したものでは、さら
に誘電正接、絶縁破壊電圧、絶縁抵抗等の電気特性の低
下が抑えられたものとなる。
【0030】このような電力ケーブルの接続部の構造に
あっては、内部電極3と絶縁層6との間に3層5A、5
B、5Cからなる電界緩和層5が設けられ、これらの層
5A、5B、5Cが内部電極3側から絶縁層6に向け
て、順次比誘電率が低下するようになっており、かつ内
部電極3に接する層5Aの比誘電率が10以上となって
いるので、内部電極3と絶縁層6との間の電界傾度が確
実に緩和される。
【0031】また、電界緩和層5内で、各層5A、5
B、5Cの比誘電率を絶縁層6側に向けて順次低くして
いるので、内部電極3に接する層5Aの比誘電率を10
以上と十分高くして電界緩和効果を高くしても、電界緩
和層5と絶縁層6との間の電界傾度が強調されることが
なく、この界面が新たに電界的に弱点となるような不都
合が生じない。
【0032】さらに、内部電極3の端部が電界緩和層5
内に埋め込まれた形態となっているため、電極端部の電
界緩和効果が有効に発揮される。また、電界緩和層5と
して、チタン酸バリウム系粉末を充填した過酸化物架橋
エチレンプロピレンゴムを採用し、チタン酸バリウム系
粉末に脱イオン水洗浄を行いイオン性不純物を除去した
ものを使用し、過酸化物架橋エチレンプロピレンゴムの
架橋剤分解残渣を除去したものでは、比誘電率を十分高
くして高い電界緩和効果を得るようにしても、電界緩和
層5の誘電正接、絶縁破壊電圧、絶縁抵抗等の電気特性
が低下することがない。
【0033】また、内部電極3処理部に多少の突起、異
物、ボイド等の欠陥が作業時に持ち込まれたとしても、
電界緩和層5による電界緩和が有効に作用し、これら欠
陥に起因する放電等の不具合が生じない。よって、組み
立て作業に高い専門技術を必要とすることが少なくな
り、作業が簡単に短時間で行うことができる。
【0034】また、本発明の接続部の構造では、図1、
図2に示した例に限られることなく、これ以外の例えば
外部電極処理部、ストレスコーン立ち上がり部、ケーブ
ルコア/接続部品界面部などに複数層からなる電界緩和
層5を、高電位側に高誘電率の層を位置するようにし
て、設けることができる。さらに、電界緩和層5の電極
に接する層以外の層をなすゴム組成物には、通常のチタ
ン酸バリウム系粉末を充填した架橋エチレンプロピレン
ゴムや、これ以外のカーボンブラック充填ゴムやアクリ
ルゴム、フッ素ゴムなどを用いても良い。
【0035】以下、具体例を示す。エチレンプロピレン
ゴム100重量部をベースポリマーとし、これにプロセ
スオイル、酸化防止剤を所定量添加し、さらに架橋剤と
してジクミルパーオキサイドを4重量部添加し、チタン
酸バリウム系粉末を異なる配合量で添加して高誘電率ゴ
ム組成物を作製した。
【0036】チタン酸バリウム系粉末は、比誘電率が約
16000(室温)のもの(「BT206」商品名 富
士チタン工業製)を用い、これを脱イオン水洗浄したも
のをも使用した。また、架橋剤分解残渣の除去のために
加熱処理(120℃で24時間加熱)したゴム組成物を
も作製した。表1において、処理とは、かかる脱イオン
水洗浄と加熱処理を行ったことを言う。これらゴム組成
物を混練りし、シート状にプレス成形して架橋された試
料を作製し、その比誘電率、誘電正接、絶縁抵抗を測定
した。
【0037】比誘電率、誘電正接および絶縁抵抗につい
ては、厚さ2mmのシートを試片とし、誘電率および誘
電正接は50Hz、1kVで、絶縁抵抗は直流500
V、1分値で測定した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】つぎに、このゴム組成物をテープ状に成形
したものを使用し、図1に示すような電界緩和層5を設
けた66kVクラスCVケーブルの接続部を作製した。
CVケーブルの導体断面積400mm2,絶縁体厚さ9
mmであり、接続部の絶縁層6は、エチレンプロピレン
ゴムからなる比誘電率3.2のものである。
【0040】電界緩和層5は、表2に示すように1層、
2層、3層とし、各層には表1に示した電気特性のゴム
組成物を単独または組み合わせて使用した。表2に電界
緩和層5の各層の比誘電率と厚さ、使用ゴム組成物の組
み合わせ、接続部の破壊電圧(標準雷インパルス破壊電
圧)を示した。
【0041】
【表2】
【0042】表2の結果から、本発明の接続部では破壊
電圧が高く、電界緩和層5の効果が十分に発揮されてい
ることがわかる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電力ケー
ブルの接続部にあっては、電極と絶縁層との間に比誘電
率が10以上の層を有する電界緩和層が設けられている
ので、電極と絶縁層との間の電界傾度が確実に緩和され
る。また、電界緩和層内で、各層の比誘電率を絶縁層側
に向けて順次低くしているので、電極に接する層の比誘
電率を10以上に十分高くして電界緩和効果を高くして
も、電界緩和層と絶縁層との間の電界傾度が強調される
ことがなく、この界面が新たに電界的に弱点となるよう
な不都合が生じない。
【0044】また、電界緩和層として、チタン酸バリウ
ム系粉末を充填した過酸化物架橋エチレンプロピレンゴ
ムを採用し、チタン酸バリウム系粉末に脱イオン水洗浄
を行いイオン性不純物を除去したものを使用し、過酸化
物架橋エチレンプロピレンゴムの架橋剤分解残渣を除去
したものでは、比誘電率を十分高くして高い電界緩和効
果を得るようにしても、電界緩和層の誘電正接、絶縁破
壊電圧、絶縁抵抗等の電気特性が低下することがない。
【0045】このため、電極処理部に多少の突起、異
物、ボイド等の欠陥が作業時に持ち込まれたとしても、
電界緩和層による電界緩和が有効に作用し、これら欠陥
に起因する放電等の不具合が生じない。よって、組み立
て作業に高い専門技術を必要とすることが少なくなり、
作業が簡単に短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電力ケーブルの接続部の構造の一例を
示す概略断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す概略断面図である。
【図3】従来の電力ケーブルの接続部の構造の一例を示
す概略断面図である。
【符号の説明】
3・・・内部電極、5・・・電界緩和層、5A・・・第
1層、5B・・・第2層、5C・・・第3層、6・・・
絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 和夫 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 ▲吉▼田 昭太郎 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 Fターム(参考) 5G355 AA03 BA02 BA17 5G375 AA02 BA26 BB44 CA02 CA14 CB03 CB04 CB17 CB39 CB55 EA17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電力ケーブルの接続部の電極と絶縁層との
    間に高誘電率ゴムからなる電界緩和層が設けられ、この
    電界緩和層は2以上の層からなり、電極側に位置する層
    が比誘電率が高く、絶縁層側に位置する層がこれよりも
    順次比誘電率が低くされ、電極に接する層の比誘電率が
    10以上であることを特徴とする電力ケーブルの接続部
    の構造。
  2. 【請求項2】電界緩和層がチタン酸バリウム系粉末を充
    填した架橋エチレンプロピレンゴムからなることを特徴
    とする請求項1記載の電力ケーブルの接続部の構造。
  3. 【請求項3】電界緩和層の内、電極に接する層が、チタ
    ン酸バリウム系粉末を充填した架橋エチレンプロピレン
    ゴムからなり、このチタン酸バリウム系粉末が脱イオン
    水で洗浄されたものであり、架橋エチレンプロピレンゴ
    ムが過酸化物架橋され、過酸化物分解残渣の除去がなさ
    れたものであることを特徴とするる請求項1記載の電力
    ケーブルの接続部の構造。
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