JP2604771B2 - 直流電力ケーブル - Google Patents

直流電力ケーブル

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JP2604771B2 JP63005190A JP519088A JP2604771B2 JP 2604771 B2 JP2604771 B2 JP 2604771B2 JP 63005190 A JP63005190 A JP 63005190A JP 519088 A JP519088 A JP 519088A JP 2604771 B2 JP2604771 B2 JP 2604771B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、プラスチック絶縁高圧直流電力ケーブル
に関するものである。
「従来の技術およびその課題」 従来より通常の交流高電圧電力ケーブルの絶縁体とし
ては、絶縁耐圧、誘電特性が優れていることから、ポリ
エチレンや架橋ポリエチレンが汎用されている。
ところが、ポリエチレンや架橋ポリエチレンなどから
なる絶縁体を有するケーブルを、高圧直流送電に適用す
る場合には、いくつかの課題が生じることが知られてい
る。
その最大の課題は、直流高電圧を印加することによっ
て、絶縁体中に寿命の長い同極性の空間電荷が注入され
易いことである。この同極性の空間電荷は、一般に、電
子性または正孔性のものと云われており、ポリエチレン
の結晶構造に関係した領域へ電荷がトラップされるため
とされている。また、ポリエチレンは、絶縁性の良好な
無極性の物質であるため、トラップされた電荷の漏洩が
起り難く、したがって寿命の長い空間電荷となる。
このように、直流印加によって絶縁体に同極性の空間
電荷が蓄積されると、極性反転あるいは逆極性の衝撃電
圧が重畳印加される際に、導体近傍の電界強度が上昇
し、ケーブルの破壊電圧が低下する不都合が生じる。
この発明はこのような背景の下になされたもので、絶
縁体への同極性の空間電荷の蓄積を低減し、極性反転な
どの際にもケーブルの破壊電圧が低下することがない直
流電力ケーブルを提供することを目的とする。
「課題を解決するための手段」 上記課題を解決するために、この発明は、絶縁体中に
適当量の極性基を導入して、上述した空間電荷の誘起を
低減し、かつその漏洩を促すようにしたものである。導
入される極性基としては、アクリル酸が有効であること
を見出し、具体的にはエチレン−アクリル酸共重合体を
用いることができる。
すなわち、この発明は、導体と絶縁体とを有する直流
電力ケーブルにおいて、前記絶縁体として、アクリル酸
含有量が0.5〜10wt%のエチレン−アクリル酸共重合体
を用いることを特徴とする。
上述したように、アクリル酸含有量は0.5〜10wt%が
好ましい。0.5wt%未満では空間電荷漏洩の効果が小さ
い。10wt%以上では絶縁抵抗が低下し、特に、高温で直
流電圧印加時に、熱破壊の可能性も出てくる。
本発明のケーブルは、高温での絶縁体の熱変形を防ぐ
ため、架橋して用いることもできる。架橋の方法として
はジクミルパーオキサイド(DCP)等の有機過酸化物に
よる化学架橋が最も一般的である。
本発明の絶縁体には、酸化防止剤等の必要に応じた添
加剤を加えることができるのは云うまでもない。
「実験例」 以下、この発明の実験例を説明する。
実験例1 アクリル酸含有量の異なるエチレン−アクリル酸共重
合体に、所定量の酸化防止剤と、架橋剤としてDCP2.0wt
%を加え混練した後、180℃×30分の条件で熱プレス成
型し、架橋絶縁体を得た。
この架橋絶縁体から25mm×25mm×5mmの試験体を切り
出し、この試験体の25mm×5mmの面の1つに導電塗料を
塗布し一方の電極として接地した。また、この面と対向
する面に先端角30゜、曲率半径5μmの金属針を挿入
し、他方の電極とした。
そして、両電極間間隔を2mmとし、針状電極に負極性
直流電圧を一定時間(10分間)印加したのち、直流電圧
を切り、針状電極を接地して針先端からの接地トリー発
生電圧を測定した。
接地トリーは針先を顕微鏡下で調べ、5〜10μmのト
リーが認められた電圧をもって、接地トリー発生電圧と
した。試験体5点の平均接地トリー発生電圧の大小によ
って、同極性空間電荷の注入の難易を知ることができ
る。
また、同じ組成物を1mm厚のプレスシートとし、直流1
000V印加1分後の絶縁抵抗を求めた。
上述した試験を、比較品1,2,6および発明品3,4,5につ
いて行った結果を表1に示す。
実験例2 表1のNo.1、No.4の絶縁体組成物を絶縁体とした直流
電力ケーブルを製造した。導体断面積200mm2の導体、絶
縁体厚味3mm、内部および外部半導電層と絶縁体とを同
時押出によって形成したものであり、絶縁体は架橋して
ある。
各ケーブルについて、直流極性反転破壊試験を行なっ
た結果は、表2の通りであった。なお、この極性反転破
壊試験は、±80kVの電圧で3回往復した後、±20kVずつ
3回ステップアップして行った。
「発明の効果」 以上説明したように、請求項1の発明は、絶縁体にア
クリル酸含有量が0.5〜10wt%のエチレン−アクリル酸
共重合体を用いることによって、直流高電圧印加による
空間電荷の蓄積を抑制することができるので、直流電力
ケーブルの絶縁破壊電圧を向上させることができる。ま
た、請求項2の発明は、請求項1の直流電力ケーブルに
おいてエチレン−アクリル酸共重合体が架橋されている
ことにより、請求項1の直流電力ケーブルと同様の作用
効果があるうえ高温での絶縁体の熱変形を防止すること
ができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導体と絶縁体とを有する直流電力ケーブル
    において、 前記絶縁体としてアクリル酸含有量が0.5〜10wt%のエ
    チレン−アクリル酸共重合体を用いることを特徴とする
    直流電力ケーブル。
  2. 【請求項2】前記エチレン−アクリル酸共重合体が架橋
    されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の直流電力ケーブル。
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JPS60167206A (ja) * 1984-02-09 1985-08-30 株式会社フジクラ 直流電力ケ−ブル用絶縁体組成物およびこれを用いた直流電力ケ−ブル

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