JP2003174311A - チップアンテナの製造方法 - Google Patents

チップアンテナの製造方法

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JP2003174311A
JP2003174311A JP2001377396A JP2001377396A JP2003174311A JP 2003174311 A JP2003174311 A JP 2003174311A JP 2001377396 A JP2001377396 A JP 2001377396A JP 2001377396 A JP2001377396 A JP 2001377396A JP 2003174311 A JP2003174311 A JP 2003174311A
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hole
conductor
antenna
forming
chip
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JP2001377396A
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Shunichi Murakawa
俊一 村川
Kazuo Watada
一雄 和多田
Akinori Sato
昭典 佐藤
Hiroshi Yoshizaki
広 吉崎
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型・軽量で低背化され、共振周波数の精度
向上が可能で、しかも安価に製造することができるチッ
プアンテナの製造方法を提供する。 【解決手段】 所定の引っ張り強度および厚みのグリー
ンシートを準備し、その上面に格子状の分割溝11・12を
形成して複数のチップアンテナ1領域を配列形成し、分
割溝12上に端子電極4を形成するための貫通孔を形成
し、導体ペーストにより貫通孔の内面を被覆するととも
にアンテナ素子導体3パターンを形成し、焼成して母基
板10を得た後、分割溝11・12に沿って分割して、基板2
の側面に貫通孔を分割してできた端子電極4を有すると
ともに上面にアンテナ素子導体3を有する複数個のチッ
プアンテナ1を得るチップアンテナの製造方法である。
端子電極4を含めたアンテナ素子導体3の電気長のばら
つきを抑えることができ、共振周波数のばらつきを小さ
くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯移動体端末用
やLAN(ローカルエリアネットワーク)用等に用いら
れる小型のチップアンテナおよびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】移動体通信の発展ならびにサービスの多
様化により、携帯端末の普及が進み、持ち運びを考慮し
た筐体の小型化が進んだことにより、内蔵品の小型化・
軽量化・低背化が進んできた。このため、アンテナも同
様に、小型化・軽量化・低背化が望まれている。また、
移動体通信のサービスの向上と共に、携帯端末の普及も
拡大し、アンテナも部品として安価なものが望まれてい
る。さらに、品質的にも安定したものが要求されてい
る。
【0003】このような状況から、基体に誘電体材料や
磁性体材料を使った、ミアンダ構造あるいはヘリカル構
造を有する小型のチップアンテナが開発されている。
【0004】例えば、図9は実開昭58−68704号公報に
開示されているアンテナ素子の斜視図であり、絶縁基板
60に導体箔61およびスルホール62の形成が1回以上繰り
返されて螺旋形状のヘリカルアンテナが構成されてい
る。ここでは、スルホール62を介して表面および裏面の
導体箔61を電気的に相互接続して螺旋状の導電路を形成
し、ヘリカル構造のアンテナ素子を構成している。
【0005】また、図10は特開2000−312109号公報に開
示されているアンテナ装置の斜視図であり、基体70の上
下面に形成された導体層71・72と側面の凸部もしくは凹
部に形成された導体層73とにより、全体として基体70を
螺旋状に取り巻く螺旋導体層を形成することによってヘ
リカルアンテナが構成されている。この特開2000−3121
09号公報には、スナップライン(分割溝)で分割可能な
基体の上下面に導体層を形成するとともに、スナップラ
インに沿って形成されたスルホールを分割して形成され
る凸部もしくは凹部に導体層を形成し、上下面の導体層
を接続して螺旋状導体層とすることで、製造工程数を減
らし、分割溝で分割してアンテナ装置を構成することに
よってコストを低減することが開示されている。
【0006】次に、図11は特開平4−137602号公報に開
示されているチップコイルの斜視図であり、絶縁性基板
80の表面に形成された第1導体パターン81と裏面に形成
された第2導体パターン82と側壁に形成された第3導体
パターン83とによりコイル状導体を構成している。な
お、84・85は電極である。そして、第3導体パターン83
は、絶縁性基板80に貫通穴を設け、この貫通穴に導電材
料を供給してスルーホールを形成したことにより得られ
る導体部であることが開示されている。このチップコイ
ルの製造方法は、ヘリカルアンテナの製造方法に応用す
ることができ、それにより安価なアンテナ素子を製造す
ることができる。
【0007】さらに、図12は特開平10−208942号公報に
開示されているチップインダクタの斜視図であり、絶縁
材の巻き芯90の上下面および両側面に導電部91および92
が形成され、これら導体部91・92が巻き芯90に螺旋状に
巻きついたコイルを構成しているチップインダクタであ
る。この両側面の導電部92は、製造工程において基板に
設けられたスルーホール内面を被覆していた導電体の一
部であることが開示されている。このチップインダクタ
の製造方法も、ヘリカルアンテナを製造するのに応用で
きるものであり、コストを低減する手法として利用する
ことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たようなチップアンテナおよびチップコイル・チップイ
ンダクタならびにそれらの製造方法では、以下のような
問題点が存在する。
【0009】実開昭58−68704号公報に開示されている
製造方法では、ヘリカル構造のアンテナ素子を単体で形
成する場合の構成であり、多数のアンテナ素子を製造す
るには手間がかかり、コストが高くなるという問題点が
ある。
【0010】また、特開2000−312109号公報に開示され
ている製造方法では、上下面の導体層71・72を接続する
導体層73をスナップラインに沿って形成されたスルホー
ルを分割して形成される基体70の側面の凸部もしくは凹
部に形成しているため、このアンテナ装置を実装する際
の設置場所が限定されることとなり、その固着強度にも
ばらつきが生じることとなるという問題点がある。ま
た、分割溝によって基体70を分割すると、基体70の状況
によっては側面が垂直になるように割れず、異形状に割
れたりすることがある。この側面に導体層73あるいは電
極を形成すると、電気長のズレが生じ、共振周波数のば
らつきが発生することがあるという問題点がある。この
ような異形状の割れの発生は、特に基体厚みが厚い場合
によく見られる。
【0011】また、特開平10−208942号公報に開示され
ているチップインダクタの製造方法は、アンテナ素子の
製造方法として利用することができるが、導体パターン
の精度をあげるための手法が記載されていないため、そ
のまま利用しても、アンテナの周波数を精度よく制御す
ることが困難であるという問題点がある。
【0012】同じように、特開平4−137602号公報に開
示されているチップコイルの製造方法は、アンテナ素子
の製造方法として利用することができるが、やはり導体
パターン精度をあげるための手法が記載されていないた
め、そのまま利用しても、周波数を制御できず、所望す
る周波数のアンテナ素子を製造することが困難であると
いう問題点がある。
【0013】一般に、アンテナの共振周波数は導体の電
気長で決まるが、導体を基体に印刷する際の印刷位置ず
れによってアンテナ素子を構成する導体の電気長がずれ
てしまうと、共振周波数がずれてしまうこととなる。さ
らに、印刷位置ずれが生じると、電極端子部とアンテナ
素子を構成する導体線とが断線しやすく、信頼性に問題
が発生しやすくなる。これは、多数個のアンテナ素子の
導体線を一度に印刷しようとするとさらに顕著に現れる
問題点である。
【0014】また、ヘリカル構造のアンテナ素子の端子
電極をスルホールで形成することに関しては、導体層と
なる導体ペーストのスルホールへの流れ込みの状態が不
安定であることから、スルーホール部の導体層の付け根
部分(基体の上下面の導体層との接続部分)にクラック
が発生したり、導体層の厚みの均一性が損なわれたりし
て、導通が不安定となり、共振周波数のばらつきを発生
させることがあるという問題点がある。
【0015】また、チップアンテナについては、使用に
際しての実装形態は表面実装が一般的であり、このた
め、略直方体状の基体の端面に給電用端子電極、または
これと表面実装用固着用端子とを設けることが必要であ
る。これらは、端面側に導体印刷またはディッピング印
刷等を行なうことによって形成されるため、製造工程が
増え、端子電極形成用の設備・冶具等が必要となり、コ
ストアップの一因となっているという問題点がある。
【0016】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解決するためになされたものであり、その目的は、小型
・軽量で低背化され、共振周波数の精度向上が可能で、
しかも安価に製造することができるチップアンテナの製
造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、以下の構成を採用することにより、上述
の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0018】本発明の第1のチップアンテナの製造方法
は、誘電体粉末または磁性体粉末に有機バインダおよび
溶剤を添加混合して成形され、引っ張り強度が20〜40k
g/cm2で焼成後の厚みが0.3〜1.3mmとなるグリー
ンシートを準備する工程と、前記グリーンシートの上面
または下面の少なくとも一方に格子状の分割溝を形成し
て複数の矩形状のチップアンテナ領域を配列形成すると
ともに、これらチップアンテナ領域の対向する2辺をな
す前記分割溝上に端子電極を形成するための貫通孔を形
成する工程と、導体ペーストにより、前記貫通孔の内面
を被覆するとともに、前記チップアンテナ領域の上面お
よび/または下面に、端部が前記貫通孔の内面に接続さ
れたアンテナ素子導体パターンを形成する工程と、前記
アンテナ素子導体パターンが形成された前記グリーンシ
ートを焼成して、複数の略矩形状のチップアンテナが配
列形成された誘電体または磁性体の母基板を得る工程
と、しかる後、前記母基板を前記分割溝に沿って分割し
て、略矩形状の誘電体または磁性体の基板の対向する2
辺の側面に前記貫通孔を分割してできた端子電極を有す
るとともに上面および/または下面に端部が前記端子電
極に接続されたアンテナ素子導体を有する複数個のチッ
プアンテナを得る工程とを具備することを特徴とするも
のである。
【0019】このような構成の本発明の第1のチップア
ンテナの製造方法によれば、多数個のチップアンテナを
一度に作製できて製造コストを低減させることができ、
また、基板となるグリーンシートの引っ張り強度を20〜
40kg/cm2とし、焼成後の厚みが0.3〜1.3mmとな
るものにしたことで、基板の対向する2辺の側面に形成
される端子電極を基板の上下面に対してほぼ垂直に形成
することができ、グリーンシートに貫通孔を形成する際
の打ち抜き加工による貫通孔の形状の不均一さやグリー
ンシートを焼成する際の収縮の不均一さが原因となって
発生する端子電極の形状のばらつきを抑えることができ
るので、これにより端子電極を含めたアンテナ素子導体
の電気長のばらつきを抑えることができ、その結果、共
振周波数のばらつきを小さくすることができる。
【0020】また、本発明の第2のチップアンテナの製
造方法は、誘電体粉末または磁性体粉末に有機バインダ
および溶剤を添加混合して成形され、引っ張り強度が20
〜40kg/cm2で焼成後の厚みが0.3〜1.3mmとなる
グリーンシートを準備する工程と、前記グリーンシート
の上面または下面の少なくとも一方に格子状の分割溝を
形成して複数の矩形状のチップアンテナ領域を配列形成
するとともに、これらチップアンテナ領域の対向する2
辺をなす前記分割溝上に端子電極を形成するための貫通
孔を形成し、残りの2辺をなす前記分割溝上に複数の第
2貫通孔を形成する工程と、導体ペーストにより、前記
貫通孔および前記第2貫通孔の内面を被覆するととも
に、前記チップアンテナ領域の上面および下面に、端部
が前記貫通孔の内面に接続されるとともに前記第2貫通
孔の内面を介して全体として前記チップアンテナ領域を
螺旋状に取り巻くアンテナ素子導体パターンを形成する
工程と、前記アンテナ素子導体パターンが形成された前
記グリーンシートを焼成して、複数の略矩形状のチップ
アンテナが配列形成された誘電体または磁性体の母基板
を得る工程と、しかる後、前記母基板を前記分割溝に沿
って分割して、略矩形状の誘電体または磁性体の基板の
対向する2辺の側面に前記貫通孔を分割してできた端子
電極を有するとともに、上面および下面に、端部が前記
端子電極に接続されるとともに残りの2辺の側面の前記
第2貫通孔を分割してできた側面導体を介して全体とし
て前記誘電体または磁性体基板を螺旋状に取り巻くアン
テナ素子導体を有する複数個のチップアンテナを得る工
程とを具備することを特徴とするものである。
【0021】このような構成の本発明の第2のチップア
ンテナの製造方法によれば、多数個のチップアンテナを
一度に作製できて製造コストを低減することができ、ま
た、基板を螺旋状に取り巻くアンテナ素子導体を上下面
の導体と第2貫通孔を分割してできた側面導体とで形成
するに当たって、この基板となるグリーンシートの引っ
張り強度を20〜40kg/cm2とし、焼成後の厚みが0.3
〜1.3mmとなるものにしたことで、端子電極および側
面導体を基板の上下面に対してほぼ垂直に形成すること
ができ、グリーンシートに貫通孔および第2貫通孔を形
成する際の打ち抜き加工による各貫通孔の形状の不均一
さやグリーンシートを焼成する際の収縮の不均一さが原
因となって発生する端子電極および側面導体の形状のば
らつきを抑えることができるので、これにより端子電極
および側面導体を含めたアンテナ素子導体の電気長のば
らつきを抑えることができ、その結果、共振周波数のば
らつきを小さくすることができる。
【0022】本発明のチップアンテナの製造方法におい
ては、前記アンテナ素子導体パターンを形成する際に、
前記導体ペーストにより、前記対向する2辺をなす前記
分割溝に沿って前記貫通孔の内面および前記アンテナ素
子導体パターンに接続された端部電極パターンを形成し
て、端部が前記端部電極パターンから得られた端部電極
を介して前記端子電極に接続されたアンテナ素子導体を
有する前記チップアンテナを得るようにしてもよい。こ
れにより、アンテナ素子導体を形成する際に端部電極間
に位置するアンテナ素子導体パターンに発生するパター
ン長(電気長)の変動を抑えることができる。また、端
子電極と上下面のアンテナ素子導体との接続を端部電極
を介して確実に行なうことができ、貫通孔のエッジ部分
における端子電極へのクラックの発生を防止することが
できる。その結果、周波数特性や動作の安定性に優れた
チップアンテナを得ることができる。
【0023】また、本発明のチップアンテナの製造方法
においては、前記導体ペーストにより前記貫通孔または
前記第2貫通孔の内面を被覆する際に、前記グリーンシ
ートの上面および下面から前記導体ペーストの流し込み
を複数回行なって前記貫通孔の内面を被覆するようにし
てもよい。これにより、基板の上下面と貫通孔または第
2貫通孔とのエッジ部分における導体の厚みを十分に確
保して端子電極または側面導体を形成することができ、
その部分におけるクラックの発生を防ぐことができると
ともに導体の膜厚を均一にすることができ、電流密度の
均一化ができて、共振周波数のばらつきを小さくするこ
とができるチップアンテナを得ることができる。
【0024】従って、本発明のチップアンテナの製造方
法によれば、小型・軽量で低背化された周波数精度の高
いチップアンテナを多数個、安価に得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明に
ついて詳細に説明する。
【0026】図1は本発明の第1のチップアンテナの製
造方法により得られるチップアンテナの例を示す斜視図
である。
【0027】図1に示すチップアンテナ1においては、
基板2の上面にアンテナ素子導体3が、端面に貫通孔を
分割して形成された端子電極4が形成されている。さら
に、上面のアンテナ素子導体3と端子電極4との間には
帯状の端部電極5が形成されており、アンテナ素子導体
3と端子電極4とは端部電極5を介して導通している。
なお、端部電極5は、このチップアンテナ1の実装性の
向上のために、基板2の下面の端部にも形成してもよ
い。
【0028】基板2は誘電体または磁性体材料、例えば
アルミナを主成分とする低温焼結材料・Ni−Znを主
成分とする低温焼結材料・コージライト・ステアタイト
・フェライト・YIG等から成るものであり、また、ア
ンテナ素子導体3および端子電極4ならびに端部電極5
は、アルミニウム・銅・ニッケル・銀・パラジウム・白
金・金等の電気抵抗の低い導体で形成されている。
【0029】このような図1に示すチップアンテナ1は
本発明の第1のチップアンテナの製造方法により得られ
る。その製造方法を図2および図3に示す平面図を参照
しつつ説明する。図2および図3は、それぞれ本発明の
第1のチップアンテナの製造方法の実施の形態の例にお
ける母基板10の例を示す上面側および下面側の平面図で
ある。なお、これらの図において、図1と対応する部位
には同じ符号を付してある。
【0030】本発明の第1のチップアンテナの製造方法
においては、まず、誘電体粉末または磁性体粉末に有機
バインダおよび溶剤を添加混合して成形され、引っ張り
強度が20〜40kg/cm2で焼成後の厚みが0.3〜1.3m
mとなるグリーンシートを準備する。
【0031】この引っ張り強度の測定方法は、被測定グ
リーンシートを幅12mm、長さ50mmの測定サンプル形
状とし、その測定サンプルの上下をそれぞれ30mm幅で
挟み、引っ張り速度500mm/分で引っ張って、破断し
たときの強度を測定する。この際、破断荷重の測定ゲー
ジはプッシュブルゲージを使用する。
【0032】次に、グリーンシートの上面または下面の
少なくとも一方に格子状の分割溝を形成して複数の矩形
状のチップアンテナ領域を配列形成するとともに、チッ
プアンテナ領域の対向する2辺をなす分割溝上に端子電
極を形成するための貫通孔を形成する。次に、導体ペー
ストにより、貫通孔の内面を被覆するとともに、チップ
アンテナ領域の上面および/または下面に、端部が貫通
孔の内面に接続されたアンテナ素子導体パターンを形成
する。そして、アンテナ素子導体パターンが形成された
グリーンシートを焼成して、複数の略矩形状のチップア
ンテナが配列形成された誘電体または磁性体の母基板を
得る。
【0033】これにより、図2に上面側の平面図で示す
ように、誘電体材料または磁性体材料から成り、格子状
の分割溝11および12により任意のサイズに分割できるよ
うに略矩形状のチップアンテナ1が縦横の並びに配列形
成され、その上面にアンテナ素子導体3が、またその対
向する2辺をなす分割溝12上に貫通孔を分割してできる
端子電極4が形成され、さらにアンテナ素子導体3と端
子電極4との間に端部電極5が形成された、厚みが0.3
〜1.3mmの母基板10が得られ、この母基板10を分割溝1
1および12に沿って分割することにより、図1に示すチ
ップアンテナ1が多数個得られる。そして、端部電極5
を形成することにより、アンテナの共振周波数を決める
アンテナ素子導体3の導体パターンの長さの変動を吸収
することができ、これにより共振周波数のばらつきを抑
えることができる。
【0034】なお、この例においては、図3に下面側の
平面図で示すように、チップアンテナ1の下面側の端部
にも、上面側の端部電極5と同様に、端子電極4と接続
された端部電極6を形成した。これにより、このチップ
アンテナ1を実装する際の実装性を向上させることがで
きる。分割溝11・12は母基板10の下面にも上面と同様に
形成した例を示しているが、分割溝11・12は、上面また
は下面の一方のみに形成していてもよい。
【0035】この母基板10へのアンテナ素子導体3およ
び端部電極5・6の形成は、導体ペーストのスクリーン
印刷や導体金属の蒸着・フォトスパッタ等の薄膜形成法
や金属箔の貼り合わせ法あるいはメッキ法等で行なえば
よい。また、端子電極4の形成は、導体ペーストを貫通
孔の上面側にスクリーン印刷し、これを下面側より吸引
して、貫通孔の内面に導体ペーストが流れ込んで内面を
被覆するように行なえばよい。このとき、貫通孔への導
体ペーストの流し込みを、上面または下面から各1回だ
け行なうのでなく、上面および下面から複数回、例えば
2回〜4回行なうことで、貫通孔のエッジ部においても
端子電極4の導体厚みが均一化され、電気密度が均一と
なり、共振周波数のばらつきを抑えることができ、ま
た、クラックの発生を抑えることができる。
【0036】本発明の第1のチップアンテナの製造方法
において、端子電極4を貫通孔を分割したものとして形
成する理由は、母基板10からチップアンテナ1の多数個
取りを行なうに当たっては分割溝11・12に沿って分割を
行なう必要があるが、分割溝11・12に沿った分割は分割
面の均一性に問題があり、分割面が異形状に割れる場合
が多く、その場合、異形状に割れた分割面上に端子電極
を形成すると、端子電極の長さが異なることとなり、共
振周波数のばらつきが発生してしまうこととなるため、
本発明においては、分割溝11・12に沿った分割面の均一
性による影響を受けない、貫通孔を分割して得られる端
子電極4を形成するものとしたことによる。このとき、
焼成後に基板となる、誘電体粉末または磁性体粉末に有
機バインダおよび溶剤を添加混合して成形されたグリー
ンシートを、引っ張り強度が20〜40kg/cm2で焼成
後の厚みが0.3〜1.3mmとなるものとしたことで、貫通
孔を形成するためにグリーンシートを打ち抜く時の貫通
孔の形状の不均一さを抑え、貫通孔の形状の変化を小さ
くし、さらに基板の上下面に対する垂直性を良くするこ
とができ、端子電極4の導体パターンの長さの変化を小
さくすることができ、その結果、チップアンテナ1にお
ける共振周波数のばらつきを抑えることができるものと
なる。
【0037】グリーンシートの引っ張り強度は、20kg
/cm2未満となると、貫通孔を打ち抜くときに貫通孔
が歪み、または応力がグリーンシートに内部歪みとして
残り、これが焼成後に貫通孔の形状の変動を引き起こし
てしまう傾向がある。他方、40kg/cm2を超える
と、グリーンシートが堅すぎるものとなり、貫通孔を打
ち抜くときにグリーンシートの破壊や変形を起こしてし
まう傾向がある。グリーンシートの引っ張り強度は、望
ましくは25〜35kg/cm2とすることで、貫通孔の形
状の変動を小さくし、基板の上下面に対する垂直性を極
めて良好なものとすることができ、端子電極の導体パタ
ーンの長さの変動を極めて小さくすることができ、共振
周波数のばらつきをさらに小さく抑えられる。
【0038】また、グリーンシートは、焼成後の厚みが
0.3mmを下回ると、貫通孔の形状の変動および垂直性
は良好なレベルに抑えられるが、焼成後の基板自体の強
度が小さくなり、容易に破壊してしまう傾向がある。他
方、焼成後の厚みが1.3mmを超えるものとなると、高
周波用途のチップアンテナとしては基板が大型化してし
まい、貫通孔の形状の変動が大きくなり、また基板の上
下面に対する垂直性も悪くなる傾向がある。このため、
端子電極の導体パターンの長さが変動し、周波数の変動
が大きくなる傾向がある。グリーンシートの焼成後の厚
みすなわち誘電体または磁性体から成る基板の厚みは、
望ましくは0.3mm〜0.7mmであり、この範囲であれ
ば、焼結密度が均一化しやすく、これにより貫通孔の形
状の変動が小さく、基板の上下面に対する垂直性も良い
ものとなる。
【0039】次に、図4に本発明の第2のチップアンテ
ナの製造方法により得られるチップアンテナの例の斜視
図を示す。
【0040】図4に示すチップアンテナ21においては、
基板22の上面および下面にアンテナ素子導体23が、端面
に貫通孔を分割して形成された端子電極24が、側面に第
2貫通孔を分割して形成された側面導体25がそれぞれ形
成されていて、アンテナ素子導体23の端部は端子電極24
に接続されており、またアンテナ素子導体23は側面導体
25を介して全体として基板21を螺旋状に取り巻いてい
る。さらに、上面のアンテナ素子導体23と端子電極24と
の間には帯状の端部電極26が形成されており、アンテナ
素子導体23と端子電極24とは端部電極26を介して導通し
ている。
【0041】基板22も誘電体または磁性体材料、例えば
アルミナを主成分とする低温焼結材料・Ni−Znを主
成分とする低温焼結材料・コージライト・ステアタイト
・フェライト・YIG等から成るものであり、また、ア
ンテナ素子導体23・端子電極24および側面導体25ならび
に端部電極26も、アルミニウム・銅・ニッケル・銀・パ
ラジウム・白金・金等の電気抵抗の低い導体で形成され
ている。
【0042】このような図4に示すチップアンテナ21は
本発明の第2のチップアンテナの製造方法により得られ
る。その製造方法を図5および図6に示す平面図を参照
しつつ説明する。図5および図6は、それぞれ本発明の
第2のチップアンテナの製造方法の実施の形態の例にお
ける母基板30の例を示す上面側および下面側の平面図で
ある。なお、これらの図において、図4と対応する部位
には同じ符号を付してある。
【0043】本発明の第2のチップアンテナの製造方法
においては、まず、誘電体粉末または磁性体粉末に有機
バインダおよび溶剤を添加混合して成形され、引っ張り
強度が20〜40kg/cm2で焼成後の厚みが0.3〜1.3m
mとなるグリーンシートを準備する。
【0044】この引っ張り強度の測定方法も、前述の測
定方法と同様に、被測定グリーンシートを幅12mm、長
さ50mmの測定サンプル形状とし、その測定サンプルの
上下をそれぞれ30mm幅で挟み、引っ張り速度500mm
/分で引っ張って、破断したときの強度を測定する。こ
の際、破断荷重の測定ゲージはプッシュブルゲージを使
用する。
【0045】次に、グリーンシートの上面または下面の
少なくとも一方に格子状の分割溝を形成して複数の矩形
状のチップアンテナ領域を配列形成するとともに、これ
らチップアンテナ領域の対向する2辺をなす分割溝上に
端子電極を形成するための貫通孔を形成し、残りの2辺
をなす分割溝上に複数の第2貫通孔を形成する。次に、
導体ペーストにより、貫通孔および第2貫通孔の内面を
被覆するとともに、チップアンテナ領域の上面および下
面に、端部が貫通孔の内面に接続されるとともに第2貫
通孔の内面を介して全体としてチップアンテナ領域を螺
旋状に取り巻くアンテナ素子導体パターンを形成する。
そして、アンテナ素子導体パターンが形成されたグリー
ンシートを焼成して、複数の略矩形状のチップアンテナ
が配列形成された誘電体または磁性体の母基板を得る。
【0046】これにより、図5に上面側の平面図で示す
ように、誘電体材料または磁性体材料から成り、格子状
の分割溝31および32により任意のサイズに分割できるよ
うに略矩形状のチップアンテナ21が縦横の並びに配列形
成され、その上面および下面にアンテナ素子導体23が、
またその対向する2辺をなす分割溝32上に貫通孔を分割
してできる端子電極24が、また残りの2辺をなす分割溝
31上に第2貫通孔を分割してできる側面導体25が形成さ
れ、アンテナ素子導体23と側面導体25とにより基板21を
螺旋状に取り巻くアンテナ素子導体パターンをなし、さ
らにアンテナ素子導体23と端子電極24との間に端部電極
26が形成された、厚みが0.3〜1.3mmの母基板30が得ら
れ、この母基板30を分割溝31および32に沿って分割する
ことにより、図4に示すチップアンテナ21が多数個得ら
れる。そして、端部電極26を形成することにより、アン
テナの共振周波数を決めるアンテナ素子導体23の導体パ
ターンの長さの変動を吸収することができ、これにより
共振周波数のばらつきを抑えることができる。
【0047】なお、この例においても、図6に下面側の
平面図で示すように、チップアンテナ21の下面側の端部
にも、上面側の端部電極26と同様に、端子電極24と接続
された端部電極27を形成した。これにより、このチップ
アンテナ21を実装する際の実装性を向上させることがで
きる。分割溝31・32は母基板30の下面にも上面と同様に
形成した例を示しているが、分割溝31・32は、上面また
は下面の一方のみに形成していてもよい。
【0048】この母基板30へのアンテナ素子導体23およ
び端部電極26・27の形成も、導体ペーストのスクリーン
印刷や導体金属の蒸着・フォトスパッタ等の薄膜形成法
や金属箔の貼り合わせ法あるいはメッキ法等で行なえば
よい。また、端子電極24および側面導体25の形成も、導
体ペーストを貫通孔または第2貫通孔の上面側にスクリ
ーン印刷し、これを下面側より吸引して、貫通孔または
第2貫通孔の内面に導体ペーストが流れ込んで内面を被
覆するように行なえばよい。このとき、貫通孔または第
2貫通孔への導体ペーストの流し込みも、上面または下
面から各1回だけ行なうのでなく、上面および下面から
複数回、例えば2回〜4回行なうことで、貫通孔のエッ
ジ部においても端子電極24および側面導体25の導体厚み
が均一化され、電気密度が均一となり、共振周波数のば
らつきを抑えることができ、また、クラックの発生を抑
えることができる。
【0049】本発明の第2のチップアンテナの製造方法
において、端子電極24および側面導体25を貫通孔および
第2貫通孔を分割したものとして形成する理由は、前述
の理由と同様であり、分割溝31・32に沿った分割面の均
一性による影響を受けない、貫通孔および第2貫通孔を
分割して得られる端子電極24および側面導体25を形成す
るものとしたことによる。これにより、端子電極24およ
び側面導体25の導体パターンの長さの変化を小さくする
ことができ、その結果、チップアンテナ21における共振
周波数のばらつきを抑えることができるものとなる。
【0050】
【実施例】次に、本発明のチップアンテナの製造方法に
ついて具体例を説明する。
【0051】[実施例1]図1に示すチップアンテナ1
を製造するにあたり、図2の母基板10を、比誘電率εr
=9.6、Q=2500のアルミナ系低温焼結誘電体材料から
成るグリーンシートで形成した。母基板10は、アンテナ
素子導体3の導体パターンを形成後、各チップアンテナ
1に分割できるように、分割溝11・12を設けた。分割溝
12上には、端子電極4用の貫通孔を設けた。母基板10の
寸法は、長さ50.8mm×幅50.8mmで厚み0.5mmとし
た。母基板10には、左右に3.0mmの耳部を設け、分割
溝11を3.0mm間隔で形成し、上下に5.4mmの耳部を設
け、分割溝12を10.0mm間隔で形成した。また、端子電
極4を形成するための貫通孔は、直径0.3mmのもの
を、分割溝12上に、各チップアンテナ1の端部の辺の中
心を基準に0.8mm間隔で配置した。この母基板10を形
成するグリーンシートには、引っ張り強度が25kg/c
2のものを用いた。この引っ張り強度は、前述の測定
方法により求めた。
【0052】また、この母基板10となるグリーンシート
上に、図1に示すような導体パターンのアンテナ素子導
体3および帯状導体パターンの端部電極5をスクリーン
印刷法で形成した。それと同時に、貫通孔の上面側に導
体ペーストを印刷し、下面側から吸引して、この導体ペ
ーストを貫通孔の中に流し込み、端子電極4を形成し
た。
【0053】次に、図3に示すように、母基板10となる
グリーンシートの下面に分割溝12沿いに帯状導体パター
ンの端部電極6をスクリーン印刷で形成した。また、そ
れと同時に、貫通孔の下面側に導体ペーストを印刷し、
上面側から吸引して、この導体ペーストを貫通孔の中に
流し込み、端子電極4を形成した。
【0054】これを、250℃で1時間乾燥後、840℃で焼
成し、母基板10を焼成すると同時に各導体ペーストを母
基板10に焼き付けた。
【0055】その後、分割溝11に沿って分割した後、さ
らに分割溝12に沿って分割し、個別のアンテナ素子に分
割することにより、図1に示すようなチップアンテナ1
を得た。
【0056】このようにして作製した本発明の製造方法
によるチップアンテナ1と、図7に斜視図で示す、基板
42の上面にアンテナ素子導体43を、端面に導体層による
端子電極44を形成し、アンテナ素子導体43と端子電極44
との間に端部電極45を形成したチップアンテナ41とを比
較した。その結果、貫通孔を分割することにより端子電
極4を形成してある図1に示すチップアンテナ1の方
が、共振周波数のばらつきが小さく、安定していること
が確認できた。表1にこれらチップアンテナ1と、チッ
プアンテナ41の、同じ寸法で作製したときの、焼成後の
厚みおよびグリーンシートの引っ張り強度に対する、共
振周波数のばらつき(単位:MHz)を示す。
【0057】
【表1】
【0058】これから分かるように、端子電極4を貫通
孔を分割することにより形成したチップアンテナ1は、
端子電極44を端面の導体層で形成したチップアンテナ41
に比べ、共振周波数のばらつきが抑えられている。
【0059】また、*印を付した番号11のように焼結後
の厚みが1.5mmとなると、共振周波数のばらつきがチ
ップアンテナ41で±75MHz、チップアンテナ1でも±
30MHzと大きかったが、番号2〜10のチップアンテナ
1によれば、基板となるグリーンシートの引っ張り強度
を20〜40kg/cm2とし、焼結後の厚みを、1.3mm以
下にすることで、共振周波数のばらつきを抑えられるこ
とが分かる。ただし、*印を付した番号1のように、焼
成後の厚みを0.2mm以下とすると、実装時のたわみや
荷重によって、基板自体が破壊してしまう。よって、周
波数ばらつきおよび基板の強度を考慮すると、チップア
ンテナ1において、グリーンシートの焼成後の厚みすな
わち基板の厚みは、0.3mm〜1.3mmにすることが良
く、望ましくは0.3〜0.7mmにすることが良い。
【0060】[実施例2]図4に示すチップアンテナ21
を製造するにあたり、図5の母基板30を、比誘電率εr
=9.6、Q=2500のアルミナ系誘電体材料から成るグリ
ーンシートで形成した。母基板30は、アンテナ素子導体
23の導体パターンを形成後、各チップアンテナ21に分割
できるように、分割溝31・32を設けた。分割溝32上には
端子電極24用の貫通孔を、また分割溝31上には側面導体
25用の第2貫通孔を設けた。母基板30の寸法は、長さ5
0.8mm×幅50.8mmで厚み0.5mmとした。母基板30に
は、左右に3.0mmの耳部を設け、分割溝31を3.0mm間
隔で形成し、上下に5.4mmの耳部を設け、分割溝32を1
0.0mm間隔で形成した。また、端子電極24を形成する
ための貫通孔は、直径0.3mmのものを、分割溝32上
に、各チップアンテナ21の端部の辺の中心を基準に0.8
mm間隔で配置し、側面導体25を形成するための第2貫
通孔は、直径0.3mmのものを、分割溝31上に、各チッ
プアンテナ21の側部の辺の中心を基準に0.66mm間隔で
配置した。この母基板30を形成するグリーンシートに
は、引っ張り強度が28kg/cm2のものを用いた。こ
の引っ張り強度は、前述の測定方法により求めた。
【0061】また、この母基板30となるグリーンシート
上に、図4に示すような導体パターンのアンテナ素子導
体23および帯状導体パターンの端部電極26をスクリーン
印刷法で形成した。それと同時に、貫通孔および第2貫
通孔の上面側に導体ペーストを印刷し、下面側から吸引
して、この導体ペーストを貫通孔および第2貫通孔の中
に流し込み、端子電極24および側面導体25を形成した。
【0062】次に、図6に示すように、母基板30となる
グリーンシートの下面に図6に示すような導体パターン
のアンテナ素子導体23および分割溝32沿いに帯状導体パ
ターンの端部電極27をスクリーン印刷で形成した。ま
た、それと同時に、貫通孔および第2貫通孔の下面側に
導体ペーストを印刷し、上面側から吸引して、この導体
ペーストを貫通孔および第2貫通孔の中に流し込み、端
子電極24および側面導体25を形成した。
【0063】これを、250℃で1時間乾燥後、840℃で焼
成し、母基板30を焼成すると同時に各導体ペーストを母
基板30に焼き付けた。
【0064】その後、分割溝31に沿って分割した後、さ
らに分割溝32に沿って分割し、個別のアンテナ素子に分
割することにより、図4に示すようなチップアンテナ21
を得た。
【0065】このようにして作製した本発明の製造方法
によるチップアンテナ21と、図8に斜視図で示す、基板
52の上面および下面にアンテナ素子導体53を、端面に導
体層による端子電極54を、側面に導体層による側面導体
55を形成し、アンテナ素子導体53と端子電極54との間に
端部電極55を形成したチップアンテナ51とを比較した。
その結果、貫通孔を分割することにより端子電極24を形
成してある図4に示すチップアンテナ21の方が、共振周
波数のばらつきが小さく、安定していることが確認でき
た。表2にこれらチップアンテナ21と、チップアンテナ
51の、同じ寸法で作製したときの、焼成後の厚みおよび
グリーンシートの引っ張り強度に対する、共振周波数の
ばらつき(単位:MHz)を示す。
【0066】
【表2】
【0067】これから分かるように、端子電極24を貫通
孔を分割することにより、また側面導体25を第2貫通孔
を分割することにより形成したチップアンテナ21は、端
子電極54を端面の導体層で、また側面導体55を側面の導
体層で形成したチップアンテナ51に比べ、共振周波数の
ばらつきが抑えられている。
【0068】また、*印を付した番号24のように焼結後
の厚みが1.5mmとなると、共振周波数のばらつきがチ
ップアンテナ51で±74MHz、チップアンテナ21でも±
34MHzと大きかったが、番号15〜23のチップアンテナ
21によれば、基板となるグリーンシートの引っ張り強度
を20〜40kg/cm2とし、焼結後の厚みを、1.3mm以
下にすることで、共振周波数のばらつきを抑えられるこ
とが分かる。ただし、*印を付した番号14のように、焼
成後の厚みを0.2mm以下とすると、実装時のたわみや
荷重によって、基板自体が破壊してしまう。よって、周
波数ばらつきおよび基板の強度を考慮すると、チップア
ンテナ21において、グリーンシートの焼成後の厚みすな
わち基板の厚みは、0.3mm〜1.3mmにすることが良
く、望ましくは0.3〜0.7mmにすることが良い。
【0069】[実施例3]実施例1および実施例2にお
ける番号7のチップアンテナ1および番号20のチップア
ンテナ21を作製するのと同様にしてチップアンテナを作
製し、貫通孔で端子電極を、および第2貫通孔で側面導
体を形成するのに際して、貫通孔および第2貫通孔に導
体ペーストの流し込みを上下面から複数回行なった。こ
の流し込みは、上面および下面から1回ずつ行なったと
きを1回と数えた。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】これで分かるように、*印を付した番号27
のように1回だけの導体ペーストの流し込みでは、貫通
孔に形成される端子電極および第2貫通孔に形成される
側面導体のエッジ部の導体膜厚が薄く、上下面のアンテ
ナ素子導体の導体膜厚と差が発生する傾向があり、これ
により電流密度に差ができることから、共振周波数のば
らつきがやや大きくなる傾向が見られた。これに対し、
番号28〜30のように導体ペーストの流し込みを2回〜4
回行なったものでは、端子電極および側面導体のエッジ
部の導体膜厚も上下面のアンテナ素子導体の導体膜厚と
ほぼ等しくなり、共振周波数のばらつきも抑えられる結
果であった。ただし、*印を付した番号31のように5回
以上になると、貫通孔または第2貫通孔に導体ペースト
が詰まってしまう場合があり、その場合には、この貫通
孔または第2貫通孔を分割するときに導体がきれいに分
割されずに分割された貫通孔または第2貫通孔の片方に
剥がれてしまい、端子電極または側面導体の導体パター
ンが断線してしまうことがあった。
【0072】[実施例4]実施例1および実施例2にお
けるチップアンテナ1およびチップアンテナ21を作製す
るのと同様にしてチップアンテナを作製し、アンテナ素
子導体3・23を形成する際に、端子電極4・24を形成す
る分割線12・32を挟んで端部電極5・26を、基板2・22
の端部をなす辺から1mmの幅でスクリーン印刷して形
成した。この端部電極5・26のあるチップアンテナと無
いチップアンテナとについて、その共振周波数を測定し
たばらつきを比較したところ、端部電極5・26のあるチ
ップアンテナ1・21では、いずれも周波数ばらつきが±
10MHz以内と極めて小さいレベルのものが安定して得
られた。
【0073】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
【0074】
【発明の効果】本発明の第1のチップアンテナの製造方
法によれば、多数個のチップアンテナを一度に作製でき
て製造コストを低減させることができ、また、基板とな
るグリーンシートの引っ張り強度を20〜40kg/cm2
とし、焼成後の厚みが0.3〜1.3mmとなるものにしたこ
とで、基板の対向する2辺の側面に形成される端子電極
を基板の上下面に対してほぼ垂直に形成することがで
き、グリーンシートに貫通孔を形成する際の打ち抜き加
工による貫通孔の形状の不均一さやグリーンシートを焼
成する際の収縮の不均一さが原因となって発生する端子
電極の形状のばらつきを抑えることができるので、これ
により端子電極を含めたアンテナ素子導体の電気長のば
らつきを抑えることができ、その結果、共振周波数のば
らつきを小さくすることができる。
【0075】本発明の第2のチップアンテナの製造方法
によれば、多数個のチップアンテナを一度に作製できて
製造コストを低減することができ、また、基板を螺旋状
に取り巻くアンテナ素子導体を上下面の導体と第2貫通
孔を分割してできた側面導体とで形成するに当たって、
この基板となるグリーンシートの引っ張り強度を20〜40
kg/cm2とし、焼成後の厚みが0.3〜1.3mmとなる
ものにしたことで、端子電極および側面導体を基板の上
下面に対してほぼ垂直に形成することができ、グリーン
シートに貫通孔および第2貫通孔を形成する際の打ち抜
き加工による各貫通孔の形状の不均一さやグリーンシー
トを焼成する際の収縮の不均一さが原因となって発生す
る端子電極および側面導体の形状のばらつきを抑えるこ
とができるので、これにより端子電極および側面導体を
含めたアンテナ素子導体の電気長のばらつきを抑えるこ
とができ、その結果、共振周波数のばらつきを小さくす
ることができる。
【0076】また、本発明のチップアンテナの製造方法
においては、前記アンテナ素子導体パターンを形成する
際に、前記導体ペーストにより、前記対向する2辺をな
す前記分割溝に沿って前記貫通孔の内面および前記アン
テナ素子導体パターンに接続された端部電極パターンを
形成して、端部が前記端部電極パターンから得られた端
部電極を介して前記端子電極に接続されたアンテナ素子
導体を有する前記チップアンテナを得るようにしてもよ
い。これにより、アンテナ素子導体を形成する際に端部
電極間に位置するアンテナ素子導体パターンに発生する
パターン長(電気長)の変動を抑えることができる。ま
た、端子電極と上下面のアンテナ素子導体との接続を端
部電極を介して確実に行なうことができ、貫通孔のエッ
ジ部分における端子電極へのクラックの発生を防止する
ことができる。その結果、周波数特性や動作の安定性に
優れたチップアンテナを得ることができる。
【0077】さらに、本発明のチップアンテナの製造方
法においては、前記導体ペーストにより前記貫通孔また
は前記第2貫通孔の内面を被覆する際に、前記グリーン
シートの上面および下面から前記導体ペーストの流し込
みを複数回行なって前記貫通孔の内面を被覆するように
してもよい。これにより、基板の上下面と貫通孔または
第2貫通孔とのエッジ部分における導体の厚みを十分に
確保して端子電極または側面導体を形成することがで
き、その部分におけるクラックの発生を防ぐことができ
るとともに導体の膜厚を均一にすることができ、電流密
度の均一化ができて、共振周波数のばらつきを小さくす
ることができるチップアンテナを得ることができる。
【0078】以上により、本発明のチップアンテナの製
造方法によれば、小型・軽量で低背化され、共振周波数
の精度向上が可能で、しかも安価に製造することができ
るチップアンテナの製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1のチップアンテナの製造方法によ
り得られるチップアンテナの例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1のチップアンテナの製造方法の実
施の形態の例における母基板の例を示す上面側の平面図
である。
【図3】本発明の第1のチップアンテナの製造方法の実
施の形態の例における母基板の例を示す下面側の平面図
である。
【図4】本発明の第2のチップアンテナの製造方法によ
り得られるチップアンテナの例を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2のチップアンテナの製造方法の実
施の形態の例における母基板の例を示す上面側の平面図
である。
【図6】本発明の第2のチップアンテナの製造方法の実
施の形態の例における母基板の例を示す下面側の平面図
である。
【図7】端面を端子電極としたチップアンテナの例を示
す斜視図である。
【図8】端面を端子電極とし、側面に導体層による側面
導体を形成したチップアンテナの例を示す斜視図であ
る。
【図9】従来のヘリカルアンテナ素子の例を示す斜視図
である。
【図10】従来のヘリカルアンテナ装置の例を示す斜視
図である。
【図11】従来のチップコイルの例を示す斜視図であ
る。
【図12】従来のチップインダクタの例を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1、21・・・・・・・アンテナ素子 2、22・・・・・・・基体 3、23・・・・・・・アンテナ素子導体 4、24・・・・・・・端子電極 5、26・・・・・・・端部電極 10、30・・・・・・・母基板 11、12、31、32・・・分割溝 25・・・・・・・・・側面導体
フロントページの続き (72)発明者 吉崎 広 京都府相楽郡精華町光台3丁目5番地3号 京セラ株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 5J046 AA07 AA19 AB12 AB13 PA04 PA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体粉末または磁性体粉末に有機バイン
    ダおよび溶剤を添加混合して成形され、引っ張り強度が
    20〜40kg/cm2で焼成後の厚みが0.3〜1.
    3mmとなるグリーンシートを準備する工程と、 前記グリーンシートの上面または下面の少なくとも一方
    に格子状の分割溝を形成して複数の矩形状のチップアン
    テナ領域を配列形成するとともに、これらチップアンテ
    ナ領域の対向する2辺をなす前記分割溝上に端子電極を
    形成するための貫通孔を形成する工程と、 導体ペーストにより、前記貫通孔の内面を被覆するとと
    もに、前記チップアンテナ領域の上面および/または下
    面に、端部が前記貫通孔の内面に接続されたアンテナ素
    子導体パターンを形成する工程と、 前記アンテナ素子導体パターンが形成された前記グリー
    ンシートを焼成して、複数の略矩形状のチップアンテナ
    が配列形成された誘電体または磁性体の母基板を得る工
    程と、 しかる後、前記母基板を前記分割溝に沿って分割して、
    略矩形状の誘電体または磁性体の基板の対向する2辺の
    側面に前記貫通孔を分割してできた端子電極を有すると
    ともに上面および/または下面に端部が前記端子電極に
    接続されたアンテナ素子導体を有する複数個のチップア
    ンテナを得る工程とを具備することを特徴とするチップ
    アンテナの製造方法。
  2. 【請求項2】誘電体粉末または磁性体粉末に有機バイン
    ダおよび溶剤を添加混合して成形され、引っ張り強度が
    20〜40kg/cm2で焼成後の厚みが0.3〜1.
    3mmとなるグリーンシートを準備する工程と、前記グ
    リーンシートの上面または下面の少なくとも一方に格子
    状の分割溝を形成して複数の矩形状のチップアンテナ領
    域を配列形成するとともに、これらチップアンテナ領域
    の対向する2辺をなす前記分割溝上に端子電極を形成す
    るための貫通孔を形成し、残りの2辺をなす前記分割溝
    上に複数の第2貫通孔を形成する工程と、導体ペースト
    により、前記貫通孔および前記第2貫通孔の内面を被覆
    するとともに、前記チップアンテナ領域の上面および下
    面に、端部が前記貫通孔の内面に接続されるとともに前
    記第2貫通孔の内面を介して全体として前記チップアン
    テナ領域を螺旋状に取り巻くアンテナ素子導体パターン
    を形成する工程と、前記アンテナ素子導体パターンが形
    成された前記グリーンシートを焼成して、複数の略矩形
    状のチップアンテナが配列形成された誘電体または磁性
    体の母基板を得る工程と、しかる後、前記母基板を前記
    分割溝に沿って分割して、略矩形状の誘電体または磁性
    体の基板の対向する2辺の側面に前記貫通孔を分割して
    できた端子電極を有するとともに、上面および下面に、
    端部が前記端子電極に接続されるとともに残りの2辺の
    側面の前記第2貫通孔を分割してできた側面導体を介し
    て全体として前記誘電体または磁性体基板を螺旋状に取
    り巻くアンテナ素子導体を有する複数個のチップアンテ
    ナを得る工程とを具備することを特徴とするチップアン
    テナの製造方法。
  3. 【請求項3】前記アンテナ素子導体パターンを形成する
    際に、前記導体ペーストにより、前記対向する2辺をな
    す前記分割溝に沿って前記貫通孔の内面および前記アン
    テナ素子導体パターンに接続された端部電極パターンを
    形成して、端部が前記端部電極パターンから得られた端
    部電極を介して前記端子電極に接続されたアンテナ素子
    導体を有する前記チップアンテナを得ることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載のチップアンテナの製造
    方法。
  4. 【請求項4】前記導体ペーストにより前記貫通孔または
    前記第2貫通孔の内面を被覆する際に、前記グリーンシ
    ートの上面および下面から前記導体ペーストの流し込み
    を複数回行なって前記貫通孔の内面を被覆することを特
    徴とする請求項1または請求項2記載のチップアンテナ
    の製造方法。
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