JP2003171345A - エステル交換反応法、及びこれに用いる新規触媒 - Google Patents

エステル交換反応法、及びこれに用いる新規触媒

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JP2003171345A
JP2003171345A JP2001371375A JP2001371375A JP2003171345A JP 2003171345 A JP2003171345 A JP 2003171345A JP 2001371375 A JP2001371375 A JP 2001371375A JP 2001371375 A JP2001371375 A JP 2001371375A JP 2003171345 A JP2003171345 A JP 2003171345A
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Hidetomo Kai
英知 甲斐
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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  • Catalysts (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 反応収率や純度に優れ、かつ、反応終了
後、触媒を水洗により極めて容易に分離でき、更に、単
離した触媒のリサイクルが可能なエステル交換反応法を
提供する。 【解決手段】 遷移金属、又は、周期律表のIIB族、II
IA族若しくはIVA族に属する金属原子を含む金属化合
物(a1)と、アニオン性官能基を有するホスホニム化
合物(a2)との錯化合物[A]の存在下、アルコール
とカルボン酸エステルとをエステル交換反応させ,次い
で反応生成物を水洗して触媒を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料樹脂、印刷イ
ンキ、UV硬化性樹脂、成形樹脂、フィルム、接着剤等
の種々の樹脂ポリマー等の技術分野において有用な反応
性モノマー、医薬、農薬原料として用いられるエステル
化合物、その他ポリエステルなどのエステル基含有化合
物の製造において、収率や、生成物の純度が極めて高
く、且つ、触媒分離が極めて容易なエステル交換反応
法、およびこれに用いる触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】エステル基含有化合物は、反応性モノマ
ーとして有用な不飽和カルボン酸エステル類、医薬、農
薬原料として有用なエステル化合物、その他ポリエステ
ルとして工業的に広く使用されている。そのなかでも、
不飽和カルボン酸エステル類は、多岐の分野の樹脂ポリ
マー、例えば塗料樹脂、印刷インキ、UV硬化性樹脂、
成形樹脂、フィルム、接着剤等の種々の用途における樹
脂ポリマー用の反応性モノマーとして極めて有用であ
る。
【0003】これらのエステル基含有化合物の一般的製
法としては、例えばカルボン酸をモノ又はポリ水酸基を
有するアルコールと反応させる直接エステル化法、及
び、カルボン酸エステルをモノ又はポリ水酸基を有する
アルコールと反応させるエステル交換法が挙げられる。
【0004】直接エステル化法は、硫酸、p−トルエン
スルホン酸、メタンスルホン酸などを反応触媒として製
造する方法が知られているものの、製品の着色、多量の
副生成物を生じ、更に純度と収率が低いという欠点があ
る。特に、反応性モノマーとして有用な2つ以上のエス
テル基を有する不飽和カルボン酸エステル類を製造する
場合には、高い収率と純度で得ることが困難であり、更
に不飽和結合の重合によりオリゴマーも生じる為に、得
られるエステルの粘度が高くなり易い問題点があった。
【0005】そこで、エステル基含有化合物の工業的製
法としてはエステル交換法が広く用いられており、特
に、不飽和カルボン酸エステル類の工業的製法として
は、製造時のオリゴマー化防止の観点からエステル交換
反応法が好ましく用いられ、種々検討がされている。
【0006】かかる、エステル交換反応の工業的製法と
しては、例えば、特開昭54−41814号公報には、
反応触媒として、アルキル錫化合物、錫酸化物、ジアル
キル錫酸化物、錫アルコキサイド、錫ハロゲン化物及び
ジアルキル錫ジ塩化物から選ばれる少なくとも1種の錫
化合物を使用したエステル交換による(メタ)アクリル
酸エステル類の製造方法が開示されている。
【0007】また、亜鉛塩もアルコールとカルボン酸エ
ステルとのエステル交換反応の有用な触媒として知られ
ており、例えば、特開昭57−60331号公報には、
種々の亜鉛化合物から選ばれる少なくとも1種の亜鉛化
合物を触媒として用いるアクリレートの製造方法が開示
されている。
【0008】また、米国特許4753912号公報に
は、リンが3価であるオルガノホスフォラス化合物を触
媒して使用する技術が開示されており、該オルガノホス
フォラス化合物がアクリル酸エステルと触媒前駆体を形
成して、アクリル酸エステルのエステル交換反応におい
て触媒作用を示す旨開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、上記各従
来技術において、例えば、錫化合物に代表される金属触
媒を用いる技術においては、いずれも反応収率や生成物
の純度は良好なものの、反応終了後の精製工程におい
て、酸やアルカリによる中和工程が不可欠となる煩わし
さがある。このような中和工程は、工業上極めて煩雑で
あって生産性を低下させる他、生産コストを増大させる
という不利益を招く。また、酸又はアルカリ処理により
触媒を除去することは可能であっても、これを再度エス
テル交換反応触媒として再利用することは困難であり、
やはりコスト増大を招くほか、環境対応の点においても
問題がある。また、米国特許4753912号公報記載
のオルガノホスフォラス化合物は、触媒活性が不十分で
あり、収率を向上させるには、多量の触媒量を要するこ
ととなって工業的に不利である他、やはり、精製工程に
おいて中和工程が必要で生産方法が煩雑に為らざるを得
ないという課題を有している。そこで、本願発明が解決
しようとする課題は、目的物たるエステル化合物の反応
収率や純度が極めて良好であるのに加え、反応終了後、
煩雑な中和工程を要せず、触媒を水洗により極めて容易
に分離することができる他、分離した触媒を再度使用す
ることが可能なエステル交換反応法を提供すること、更
に、かかる工業上の有利を発現する新規なエステル交換
触媒を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の課題
を解決する為に、鋭意研究した結果、アルコールとカル
ボン酸エステルとのエステル交換反応において、遷移金
属、又は、周期律表のIIB族、IIIA族若しくはIVA族
に属する金属原子を含む金属化合物(a1)と、アニオ
ン性官能基を有するホスフィン化合物(a2)との錯化
合物[A]を新規なエステル交換反応触媒として用いる
ことにより、極めて優れた収率と純度を達成しながら
も、水洗等の簡便な方法で触媒分離が可能で、更に、分
離した触媒を再利用することができることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、遷移金属、又は、周期律
表のIIB族、IIIA族若しくはIVA族に属する金属原子
を含む金属化合物(a1)と、アニオン性官能基を有す
るホスホニム化合物(a2)との錯化合物[A]の存在
下、アルコールとカルボン酸エステルとをエステル交換
反応させることを特徴とするエステル交換反応法、及
び、遷移金属、又は、周期律表のIIB族、IIIA族若し
くはIVA族に属する金属原子を含む金属化合物(a1)
と、アニオン性官能基を有するホスホニム化合物(a
2)との錯化合物[A]を主たる成分とすることを特徴
とするエステル交換反応触媒に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のエステルの製造方法は、
遷移金属、又は、周期律表のIIB族、IIIA族若しくはI
VA族に属する金属原子を含む金属化合物(a1)と、
アニオン性官能基を有するホスホニム化合物(a2)と
の錯化合物[A]を触媒として用い、アルコールとカル
ボン酸エステルとのエステル交換反応を行うことを特徴
としている。
【0013】ここで使用できるアルコールとカルボン酸
エステルとの組み合わせは、反応生成物の用途に応じ適
宜選択可能であり、例えば、反応性モノマー用途におい
ては、多価アルコールと不飽和のカルボン酸エステルと
組み合わせ、また、ポリエステル用途においては、ジオ
ールとジカルボン酸ジエステルとの組み合わせ等が挙げ
られる。その他、エステル基を含有する各種のエステル
化合物の合成において、各種の一価乃至多価のアルコー
ルと、飽和又は不飽和のカルボン酸エステルとを組み合
わせることができる。
【0014】尚、本発明のエステル交換反応法は、精製
工程において一般的な蒸留に依らず、反応終了後、水洗
という極めて簡便な方法によって触媒を分離でき、目的
物たるエステル化合物を単離できるという特質を有す
る。それ故、通常、蒸留困難な高沸点エステル化合物の
合成や、蒸留により重合性を生じやすい不飽和基含有エ
ステル化合物の合成において、水洗という簡便な方法で
目的物の精製、触媒の分離ができる点で工業上極めて有
用である。かかる理由により、特に反応性モノマー用途
におけるα,β−不飽和カルボン酸エステルを原料とし
て用いる場合に、特に有用である。ここで、使用し得る
アルコールとしては、脂肪族アルコール、脂環族アルコ
ール、芳香族アルコール又はポリオールが挙げられる。
それらのアルコールは、アルキル基、アルキレン基、ア
ルケニル基、環状脂肪族基、フェニル基、複素環式基、
2級又は3級水酸基、カルボニル基、エーテル基、シア
ノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ハロゲン原子、
有機リン基から選ばれる1種以上の官能基で置換されて
いてもよい。
【0015】それらのアルコールは飽和であっても不飽
和であっても良く、また直鎖であっても分岐鎖を有して
いても良く、該アルコールを構成する炭素原子数は、好
ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20の範囲であ
る。また、アルコールと反応させるカルボン酸エステル
としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル等のα,β−不飽和カルボン酸
エステル、酪酸ブチル等その他脂肪酸アルキルエステル
が挙げられる。また、ポリエステル原料としては、テレ
フタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸ジ
エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、無
水マレイン酸、フマル酸ジエチル等が挙げられる。これ
らカルボン酸エステル中のアルキルエステル基、即ち、
エステル交換反応によってアルコール成分として脱離す
る基としては、上記例示した如く、メチルエステル基、
エチルエステル基、プロピルエステル基又はブチルエス
テル基であることが、エステル交換反応時において、低
沸点のモノ水酸基含有アルコール(例えば、メタノー
ル、エタノール、ブタノール)として生成し、反応系外
に連続的に除去し易い点で好ましい。尚、不飽和カルボ
ン酸エステルを用いる場合は、エステル交換反応にに際
し重合禁止剤を添加することが好ましい。
【0016】本発明のエステル交換反応法は、特に、反
応性モノマー用途として有用なアルコールと不飽和カル
ボン酸エステルとの組み合わせにおいて好ましく適用で
きる。即ち、アルコールと不飽和カルボン酸エステルと
のエステル交換反応において、オリゴマー化を良好に防
止でき、かつ、エステル化合物を収率、純度よく製造で
き、更に反応終了後の触媒分離が容易であるという特質
を有する。
【0017】かかる不飽和カルボン酸エステルと組み合
わせて用いられるアルコールとしては、例えば、1価ア
ルコールは、直接エステル化法で製造困難な化合物の製
造に適し、また、2価〜4価のものはポリマー架橋に有
効な多官能モノマーの製造に適する。
【0018】1価アルコールとしては、例えば下記構造
式 HO−(R2O)n−R3 (式中、R2は炭素数2〜8のアルキレン基、R3は炭素
数1〜18のアルキル基又はアリール基、nは1以上の
整数である。)で示される、アルキレングリコールモノ
アルキルエーテル類、その他、フルフリルアルコール、
テトラヒドロフリルアルコール、ベンジルアルコール、
2−フェノキシエタノール、シクロヘキサノール、アリ
ルアルコール、キシロースや、また含窒素アルコール類
としては、ヒドロキシルアミン類、及びヒドロキシアル
キルピリジン、N−(ヒドロキシアルキル)ピペリジ
ン、N−(ヒドロキシアルキル)ピペラジン等のヒドロ
キシアルキル含窒素複素環類等が挙げられる。
【0019】また、本発明は、従来困難であった(メ
タ)アクリレートを原料とする場合の、2価以上のアル
コール類をエステル化する際に、高い収率、純度が得ら
れる、という利点を有する。
【0020】このような2価以上のアルコールのうち、
例えば、2価アルコールとしては、エチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジ
オール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカン
ジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、
ヘキサデカンジオール、オクタデカンジオール、シクロ
ヘキサンジオール、シクロデカンジオール、トリシクロ
デカンジオール、ブチンジオール、ブテンジオール、ヘ
キセンジオール、オクテンジオール、デセンジオール、
ポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0021】3価アルコール類としては、ヘキサントリ
オール、オクタントリオール、デカントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、エチルオ
キシルトリメチロールプロパン、トリメチロールブタ
ン、グリセリンが挙げられる。
【0022】4価のアルコール類は、ペンタエリスリト
ール、ジメチロールプロパン、ヘキシトール、ソルビト
ール、マンニトール等が挙げられる。
【0023】本発明においては、とりわけ生成物の純度
が高いこと、即ち、反応時の不飽和基の重合を抑制でき
るという効果を奏するため、とりわけ多価アルコール、
特に2価又は3価アルコールを用いる場合に極めて有効
である。
【0024】次に、エステル交換反応で使用する触媒、
即ち、本発明の触媒は、遷移金属、又は、周期律表のII
B族、IIIA族若しくはIVA族に属する金属原子を含む
金属化合物(a1)と、アニオン性官能基を有するホス
ホニム化合物(a2)との錯化合物[A]を主たる成分
とするものである。ここで、錯化合物[A]を形成する
金属化合物(a1)としては、遷移金属、又は、周期律
表のIIB族、IIIA族若しくはIVA族に属する金属原子
を含むものである。遷移金属とは、具体的には、原子番
号21のスカンジウムから原子番号29の銅、原子番号
39のイットリウムから原子番号47の銀、原子番号7
2のハフニウムから原子番号79の金、及び希土類元素
をいう。IIB族に属する金属原子としては、亜鉛、カド
ミウム、水銀であり、IIIA族に属する金属原子として
は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムを
いう。IVA族に属する金属原子としては、ゲルマニウ
ム、スズ、鉛をいう。
【0025】これらのなかでも特に、後述するホスホニ
ウムベタイン化合物からの電子受容能に優れ、また、触
媒の安定性も良好で繰り返し使用した際の耐久性も良好
となる点からIIB族、IIIA族若しくはIVA族に属する
金属原子、更に、IIB族、IVA族に属する金属原子を含
む化合物が好ましい。特にIIB族としては、亜鉛、IVA
族としては、錫が好ましい。また、金属の有機又は無機
化合物としては、有機塩及び無機塩であることが好まし
く、金属原子がIIB族であるときは、一般にMX2(式
中、MはIIB族の金属原子、Xは−OCOR又はハロゲ
ン原子であり、Rは1〜20の炭素原子を含むアルキル
基である。)なる式で表される。
【0026】また、金属原子がIVA族であるときは、下
記構造式
【化1】 (式中、Mは、IVA族の金属原子、好ましくは錫、R1
は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニ
ル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15の
アラルキル基、又は−CH2CH2CO22(R2は、炭
素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル
基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のア
ラルキル基を表す。)を表し、X1、X2、X3は各々独
立してハロゲン原子、−OR9、−OCOR9、又は−O
COCH=CHCOOR2(R2は前記と同義である)を
表し、 Y1、Y2は各々独立してR1、ハロゲン原子、−
OR2、−OCOR2、−SCH2COOR2、−SCH2
CH2COOR2、又は−OCOCH=CHCOOR
2(R2は前記と同義である)を表し、Zは−O−又は−
OCOCH=CHCOO−を表し、Eは−COCH=C
HCO−、−COCH2SCH2CO−、又は−COCH
2CH2SCH2CH2CO−を表す。)で表されるものが
好ましく用いられる。
【0027】これらのなかでも、有機塩としては、酢
酸、シュウ酸、プロピオン酸、酪酸、オクチル酸、マレ
イン酸、ホウ酸、クエン酸、カプロン酸、ステアリン酸
等の金属塩が好ましく、特に、金属原子として亜鉛を用
いる場合は、酢酸亜鉛2水和物、アクリル酸亜鉛、安息
香酸亜鉛、塩化亜鉛、アセチルアセトナート亜鉛1水和
物などの亜鉛化合物が好ましく、特に、酢酸亜鉛が好ま
しい。また、金属原子として錫を用いる場合には、ジア
ルキル錫酸化物、ジアルキル錫ジハロゲン化物、ジアル
キル錫ジカルボキシレート、錫アセチルアセトナート等
が好ましく、より具体的には、ジアルキル錫酸化物、ジ
アルキル錫ジハロゲン化物、ジアルキル錫ジカルボキシ
レート、1,5−ジハロゲン化ヘキサメチルトリスタノ
キサン等が挙好ましい。なかでも、ジメチル錫ジクロラ
イド、ジエチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライ
ド、1,3−ジハロゲン化テトラメチルジスタノキサ
ン、1,3−ジハロゲン化テトラブチルジスタノキサ
ン、1−ハロ−3−ヒドロキシテトラブチルジスタノキ
サン、1,5−ジハロゲン化ヘキサメチルトリスタノキ
サン等が特に好ましい。
【0028】次に、錯化合物[A]を形成するアニオン
性官能基を有するホスホニム化合物(a2)は、ホスホ
ニウムベタイン化合物に代表されるようにホスフィン化
合物(a2’)から導かれるホスホニウム化合物であ
る。ここで、アニオン性官能基としては、−COO
-基、−SO3 -基、その他カルボアニオン基等が挙げら
れるが、錯化合物[A]の安定性の点から−COO-
であることが好ましい。従って、アニオン性官能基を有
するホスホニム化合物(a2)としては、アニオン性基
として、−COO-基を用いたもの、即ち、フォスフィ
ンベタイン化合物であることが好ましい。かかる、アニ
オン性官能基を有するホスホニム化合物(a2)を製造
する方法としては、例えば、 方法:ホスフィン化合物(a2’)とハロゲン原子と
アニオン性基を有する化合物とを反応させ、次いで、生
成物と等モルの塩基と反応させることで、アニオン性官
能基を有するホスホニム化合物(a2)を得る方法、 方法:ホスフィン化合物(a2’)とα,β−不飽和
基とアニオン性基を有する化合物とを反応させること
で、アニオン性官能基を有するホスホニム化合物(a
2)を得る方法、 方法:ホスフィン化合物(a2’)とα,β−不飽和
カルボン酸エステルと金属化合物(a1)とを同時に反
応させて錯化合物[A]を形成させる方法、 などが挙げられる。ここで、ホスフィン化合物(a
2’)としては、例えば下記の一般式で示される。
【0029】
【化2】
【0030】(式中、R1,R2,R3は各々脂肪族基、
脂環式基又は芳香族基を表し、脂肪族基又は脂環式基は
飽和又は不飽和の炭素数2〜20の炭化水素であり、芳
香族基は単環、多環又は縮合環であっても良く、置換さ
れていてもいなくても良い。)
【0031】具体的には、トリメチルホスフィン、トリ
エチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチ
ルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリオクチル
ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホ
スフィン、トリトリルホスフィン、トリフリルホスフィ
ン、ジフェニル2−ピリジルホスフィン、
【0032】4−ジメチルアミノフェニルジフェニルホ
スフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン、
1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン、1,4−
ビスジフェニルホスファノブタン、1,1’−ビスジフ
ェニルホスフィノフェロセン、2,2’−ビスジフェニ
ルホスフィノ1,1−ビナフチル、トリジメトキシフェ
ニルホスフィン等が挙げられる。
【0033】特に、トリエチルホスフィン、トリプロピ
ルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホ
スフィン等のトリアルキルホスフィン類やトリフェニル
ホスフィン類が触媒活性に優れる点から好ましい。
【0034】次に、上記した金属化合物(a1)と、ホ
スホニム化合物(a2’)とから、錯化合物[A]を製
造する方法としては、例えば、前記方法、で予めホ
スホニム化合物(a2’)を製造した後、金属化合物
(a1)を製造するものであってもよいし、或いは、前
記方法に記載の通り、ホスフィン化合物(a2’)、
α,β−不飽和カルボン酸エステル、及び金属化合物
(a1)を同時に反応させることにより錯化合物[A]
を製造する方法であってもよい。なかでも製造容易であ
る点から後者のホスフィン化合物(a2’)とα,β−
不飽和カルボン酸エステルと、金属化合物(a1)とを
同時に反応させて錯化合物[A]を製造する方法が望ま
しい。
【0035】また、方法にて、錯化合物[A]を製造
する場合は、予め錯化合物[A]を製造しておき、これ
をエステル交換反応に供してもよいし、或いは、前記金
属化合物(a1)と、ホスフィン化合物(a2’)とを
α,β−不飽和カルボン酸エステル及びアルコールと共
に反応器に仕込みエステル交換反応を開始させること
で、系内で同時に錯化合物[A]を生成させる方法であ
ってもよい。
【0036】かかる錯化合物[A]の具体的構造は特に
限定されるものではなく、アニオン性官能基を有するホ
スホニム化合物(a2)が、前記した遷移金属、又は、
周期律表のIIB族、IIIA族若しくはIVA族に属する金
属原子を含む金属化合物(a1)に配位した構造を有す
るものである。
【0037】係る化合物としては、具体的には、[Ph3
+CH2CH2CO2 -][Zn(OAc)2]、[Ph3+
2CH2CO2 -][Me2SnCl2]、[Ph3+(C
210CO2 -][Me2SnCl2]、[Ph3+CH2CH
2CO2 -][Ph3SnX](XはCl、Br、I、NC
S、NO3を示す)、[Ph3+CH2CH2CO2 -][(P
hCH23SnCl]、[Ph3+CH2CH2CO2 -][C
lMe2SnOSnMe2Cl]、[Ph3+CH2CH2
2 -][ClBt2SnOSnBt2Cl]、[Ph3+CH
2CH2CO2 -][ClMe2SnOSnMe2OH]、[Ph
3+CH2CH2CO2 -][ClMe2SnOSnMe2OS
nMe2Cl][CdCl2[Ph3+(CH22CO2 -
2]・7H2O、[CdI2[Ph3+(CH22CO2 -
2]、[CdCl2{Ph3+(CH23CO2 -2・H2
O]、[CdX2{Ph3+(CH23CO2 -2](X
はBrまたはIを示す)、[HgCl(μ−Cl){P
3+(CH23CO2 -}]2などが挙げられる。
【0038】本発明においては、かかる化合物を使用す
ることにより、水洗といった簡便な方法で触媒分離が可
能で、更に、分離した触媒を再利用することができるも
のである。なかでも特に下記構造式
【化3】 (式中、R1、R2、R3は各々独立的に、炭素原子数1
〜20のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル
基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素原子
数5〜10のシクロアルケニル基、炭素原子数7〜15
のアラルキル基、アリール基を表し、Xは、ハロゲン原
子、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基を表し、n
は、1〜20の整数を表す。)で表される化合物、或い
は、
【0039】下記、下記構造式
【化4】 (式中、R1、R2、R3、R4は各々独立的に、炭素原子
数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケ
ニル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、炭素
原子数5〜10のシクロアルケニル基、炭素原子数7〜
15のアラルキル基、アリール基を表し、Xは、ハロゲ
ン原子、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、フェニ
ル基を表し、nは1〜20の整数、mは0又は1の整数
を表す。)で表される化合物が、収率及び純度が良好な
上、触媒分離が容易な点から好ましい。
【0040】係る、化合物としてなかでも好ましくは、
[Ph3+CH2CH2CO2 -][Zn(OAc)2]、[Ph
3+CH2CH2CO2 -][Me2SnCl2]、[Ph3
+(CH210CO2 -][Me2SnCl2]、[Ph3+CH
2CH2CO2 -][ClMe2SnOSnMe2Cl]、[Ph
3+CH2CH2CO2 -][ClBt2SnOSnBt2
l]、[Ph3+CH2CH2CO2 -][ClMe2SnOS
nMe2OH]、[Ph3+CH2CH2CO2 -][ClMe2
SnOSnMe2OSnMe2Cl]等が挙げられる。
【0041】次に、本発明のエステル交換反応法は、以
上詳述した錯化合物[A]を主たる成分とする触媒を用
いて、アルコールとカルボン酸エステルとのエステル交
換反応を行うものであり、具体的には、前記したとお
り、 1.予め錯化合物[A]を調整しておき、これをアルコ
ールとカルボン酸エステルと共に反応容器に仕込みエス
テル交換反応を行う方法(以下、「方法1」と略記す
る)、 2.カルボン酸エステルとしてα,β−不飽和カルボン
酸エステルを用いる場合には、金属化合物(a1)と、
ホスフィン化合物(a2’)とをα,β−不飽和カルボ
ン酸エステル及びアルコールと共に反応器に仕込み、エ
ステル交換反応を行う方法(以下、「方法2」と略記す
る) が挙げられる。
【0042】方法1では、使用するアルコールは、前記
したものが何れも使用可能である。また、カルボン酸エ
ステルとしては、α,β−不飽和カルボン酸エステルが
使用できることは勿論であるが、錯化合物[A]を反応
開始前に製造しておくため、その他のカルボン酸エステ
ルについても全く問題なく使用できる。即ち、方法1に
てエステル交換反応を行うときは、使用するカルボン酸
エステルに制限がない為、反応性モノマーの用途のみな
らず、ポリエステルの合成、その他各種の原料系に広く
適用できる。よって、繊維、成形材料、塗料、医薬品等
の用途に用いられるエステル化合物、ポリエステル、不
飽和ポリエステル等などの製造に適用が可能である。
【0043】方法1における、触媒使用量は、特に制限
さえるものではないが、アルコールの水酸基に対して、
0.01〜5.0モル%であり、より好ましくは、0.
05〜3.0モル%の範囲であることが好ましい。
【0044】次に、方法2においては、触媒として使用
する金属化合物(a1)と、ホスフィン化合物(a
2’)は、同時に反応系に添加しても良いし、別々に反
応系に添加しても良い。これら2つの成分を同時に添加
する場合は、反応開始時に一回投与で添加しても良い
し、2回以上に分割して反応系に投与しても良い。この
際、反応系内においては、ホスフィン化合物(a2)と
不飽和カルボン酸エステルと金属化合物(a)とが反応
して錯化合物[A]を形成し、これが触媒として作用す
る。
【0045】触媒の選択にあっては、金属化合物(a
1)の特性が、各々少しずつ異なるので、原料アルコー
ルに含有される水酸基の数と目的とするエステルのエス
テル基数により、これらの金属触媒を適宜、選択し使用
することが好ましい。
【0046】また、ホスフィン化合物(a2’)のみを
系に添加し、反応開始、継続させ、例えば2時間程経過
した後に、金属化合物(a1)を反応系に添加すると、
反応速度は2つの成分を同時に反応開始時に添加するよ
りも早くなり、反応時間が短縮されるので、好ましい。
【0047】触媒の使用量は、特に制限さえるものでは
ないが、金属化合物(a1)の量は、好ましくはアルコ
ール類の水酸基に対して、0.01〜5.0モル%であ
り、より好ましくは、0.05〜3.0モル%の範囲で
ある。一方、ホスフィン化合物(a2’)の使用量は、
特に制限されるものではないが、金属化合物(a1)に
対するモル比で、1:10から10:1なる範囲である
ことが好ましいが、特に、1:5〜5:1の範囲が好ま
しい。
【0048】上記した方法1及び方法2の何れのエステ
ル交換反応も可逆的であり、反応を完結させる為に、エ
ステル交換工程で生成する低沸点のモノ水酸基含有アル
コール(例えば、メタノール、エタノール、ブタノー
ル)を反応系外に連続的に除去し乍ら反応を行うことが
好ましい。
【0049】また、本発明のエステル交換反応は、方法
1及び方法2の何れにおいても、溶媒の存在下、或いは
非存在下でも行うことができるが、エステル交換反応時
に生成するアルコールの系外への除去が効率的になる点
から、反応混合物に該アルコールと更に低い共沸点を形
成する脂肪族又は脂環式炭化水素溶剤を補助溶剤として
用いることが好ましい。
【0050】補助溶媒の使用量は、特に制限されるもの
ではないが、エステル交換反応の反応物に影響を与えな
い範囲、具体的には、出発原料の約5〜50重量%、好
ましくは10〜30重量%なる範囲で使用できる。
【0051】かかる補助溶剤としては、炭素数4〜1
0、より好ましくは炭素数5〜7の脂肪族、脂環式の炭
化水素、又はその混合物が挙げられ、具体的には、n−
ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、o−キシレ
ン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、エチル
ベンゼン、クメン、などが挙げられる。これらの炭化水
素系溶媒の中でも、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シク
ロヘキサン、トルエンなどが好ましい。これらの炭化水
素系溶剤は共沸により回収され、さらに水でアルコール
を抽出することにより回収できる。
【0052】また、上記補助溶媒を使用するのみなら
ず、不活性で且つ高沸点の溶媒を添加することにより反
応速度を増加させることができる為、かかる高沸点溶媒
の使用も好ましい。かかる高沸点溶媒としては、脂肪
族、脂環式炭化水素、及び数種の芳香族炭化水素が挙げ
られ、反応終了後に蒸留により回収できる。
【0053】更に、カルボン酸エステルに溶解し難いポ
リオールを用いる場合は、適切な溶媒を反応混合物中に
加えることにより、不均一系を均一系に変えて反応速度
を速めることができる。それらの溶媒は窒素原子又は硫
黄原子を含む非プロトン性の極性溶媒であり、例えば、
ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルスルホン等が挙げられる。
【0054】また、方法1及び2において、原料として
不飽和カルボン酸エステル又は不飽和アルコールを用い
る場合にあっては、重合禁止剤により反応中に起こる不
飽和結合の重合を抑止することが好ましい。ここで使用
し得る重合禁止剤としては、例えばベンゾキノン、ハイ
ドロキノン、カテコール、ジフェニルベンゾキノン、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル、ナフトキノン、t−
ブチルカテコール、t−ブチルフェノール、ジメチル−
t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾール、フェノ
チアジン等が挙げられる。
【0055】重合禁止剤の使用量は、生産物や不飽和エ
ステルの量や不飽和アルコールの量に依存するが、反応
物に対して、通常、5〜10000重量ppm、特に2
0〜7000重量ppmなる範囲であることが好まし
い。
【0056】上記方法1及び方法2の反応は、反応条件
に特に制限はなく、大気圧で行うことができる。また、
反応温度は反応物、特に使用されるカルボン酸エステル
や反応溶媒によって適宜選択すればよいが、例えば20
〜160℃であることが好ましい。即ち、160℃以下
の温度範囲では、重合反応を抑制することができ、ま
た、20℃以上の温度範囲では、反応速度が高められ
る。尚、一般的に反応温度が高いほど反応速度も速くな
る。これらの効果のバランスの点から、30〜150℃
の範囲、なかでも60〜130℃の範囲であることが好
ましい。また、生成するアルコールを除去する為に、反
応が減圧下で行われ、除去するアルコールの沸点により
反応温度が規定される場合は、反応温度は60〜120
℃であることが好ましい。
【0057】また、本発明のエステル交換反応法におい
て、アルコールとカルボン酸エステルとの使用割合は、
特に制限されるものではないが、カルボン酸エステルの
アルコールに対するモル比として、通常1以上であり、
なかでも、カルボン酸エステルのアルコール類の水酸基
に対するモル比で1.1:1から10:1の範囲である
ことが好ましい。
【0058】本発明のエステル交換反応法により、エス
テル化合物を製造する方法としては、例えば、次の方法
が挙げられる。即ち、先ず所定量のアルコールとカルボ
ン酸エステルとを適切な比率で、温度計、攪拌機、分留
管及び乾燥空気の導入管を備えた反応器に仕込む。次
に、錯化合物[A]、又は、方法2においては、金属化
合物(a1)及びホスホニム化合物(a2’)の所定
量、重合禁止剤及び必要に応じて溶媒を反応混合物中に
添加する。触媒の添加方法は、前記した通り、方法1、
方法2によって異なり、適宜選択することができる。
【0059】反応混合物を攪拌しながら、上記した適切
な温度範囲で、通常は反応系の還流温度まで加熱する。
反応混合物を攪拌しながら、反応を完結させる為に、反
応中にエステル交換反応により生じるアルコールを多く
の場合は過剰のカルボン酸エステル又は反応溶媒との共
沸物として、分留管により除去する。同時に必要に応じ
て同量のカルボン酸エステル又は反応溶媒を反応混合物
中に加えて、反応器の内容物の量を一定に保つ。
【0060】反応中、反応混合物中の目的生成物の含量
をガスクロマトグラフィー分析等により追跡し、目的生
成物の含量が90%以上になるまで反応を続ける。反応
時間は、特に制限されないが、通常6〜40時間であ
る。
【0061】方法1及び方法2のエステル交換反応は前
記した通り、可逆的であるため、カルボン酸エステルの
アルコール残基部分を系外に連続的に除去しながら行う
ことが好ましい。反応終了後、得られた反応粗生成物
は、過剰の原料カルボン酸エステル又は反応溶媒を反応
器内から留去後、水洗工程に供することで、錯化合物
[A]を極めて簡便に回収することができ、また、目的と
するエステル化合物を単離することができる。かかる水
洗工程は、具体的には、反応生成物に対して25〜60
℃の水を混合して水層中に錯化合物[A]を抽出し、該
水層から錯化合物[A]を回収する工程である。この
際、ここで用いる温水の使用量は特に制限されるもので
はないが、1回の抽出に使用する量としては、質量基準
で、錯化合物[A]に対して質量基準で2〜10倍量で
あることが抽出効率に優れる点から好ましい。また、抽
出回数を増やすほど触媒の回収率が高くなるが、本発明
では、良好に反応生成物中から触媒を水層に移行させる
ことができるため、3〜8回の抽出で90重量%以上の
回収率とすることができる。
【0062】また、抽出作業は、具体的には分液漏斗や
抜き出し口を備えた反応容器等により行うことができ
る。抽出時間は、作業を行うスケールにより異なるが、
効率的に抽出作業を行うには、5〜30分間で混合を行
い、その後10〜40分間静置することが好ましい。
【0063】また、原料モノマーとして(メタ)アクリ
ルレートを用いる場合には、モノマーの重合を防ぐため
に加熱混合する時に混合液に空気或いは酸素気体を導入
することが好ましい。
【0064】次いで、水層のみを分離し、かかる水層中
から錯化合物[A]を分離することで目的とする触媒が
回収される。分離する方法としては、分離した水層を加
熱濃縮して固形分10重量%以上の水溶液とした後、水
と共沸可能な有機溶媒を加え、水分を共沸により除去す
ることにより、目的とする触媒を得る方法が挙げられ
る。ここで使用し得る有機溶媒としては、へキサン、ヘ
プタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン等の脂肪族炭化水素やベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0065】また、共沸により水分を除去する方法とし
ては、デカント脱水により行うことが望ましく、特に、
原料モノマーとして(メタ)アクリルレートを用いる場
合には、系内、或いはデカンター内の有機溶媒に前記し
た重合禁止剤を加えデカント脱水を行うことが未反応の
原料(メタ)アクリルレートや、エステル交換反応生成
物たる(メタ)アクリル酸エステルの重合を抑制できる
点から好ましい。ここで加える重合禁止剤の量として
は、前記した加熱濃縮して得られた固形分10重量%以
上の水溶液の重量に対して質量基準で1〜100ppm
であることが好ましい。
【0066】更に、この脱水時の温度条件及び圧力条件
としては、エステル交換反応の原料成分により適宜選択
すればよいが、原料モノマーとして(メタ)アクリルレ
ートを用い、かつ、上記デカント脱水を行う場合には、
50〜70℃、1〜35kPaであることが、脱水効率
と未反応モノマーの重合を抑制できる点から好ましい。
このようにして回収された触媒は、殆ど失活しておら
ず、完全に再利用することができる。
【0067】一方、水洗後の有機層には、生成物たるエ
ステル化合物が含まれる。かかる有機層から生成物たる
エステル化合物を単離する方法としては、例えば有機溶
媒を留去することによりエステル化合物を得ることがで
きる。原料モノマーとして(メタ)アクリルレートを用
いるときは、生成物の重合反応を抑制するため、通常減
圧下、重合防止剤を添加して実施することが好ましく、
この際、酸素含有率5〜13体積%の不活性ガス雰囲気
下で行うことが好ましい。
【0068】この様にして得られる反応生成物は、特に
原料としてα,β−不飽和カルボン酸エステルを用いた
場合には、α,β−不飽和結合を有する脂肪族、脂環式
族のエステル類であり、活性エネルギー線、熱、ラジカ
ル重合開始剤などにより重合する、所謂、反応性モノマ
ーとして極めて有用である。そして、特筆すべきは、か
かる反応性モノマーのエステル交換反応による製造にお
いて、一般に、該不飽和結合が重合しやすく、特に、
(メタ)アクリレート基を含有するエステル類は、含有
する(メタ)アクリレート基の数が増加するほど、目的
エステルを高純度、高収率で得ることが困難であるが、
本発明のエステル交換反応法によればかかる重合を殆ど
生じることなく目的物が高純度、高収率で得られる点に
ある。従って、例えば、トリメチロールプロパントリア
クリレート(TMPTA)、エトキシ変性トリメチロー
ルプロパントリアクリレート(EOTMPTA)、ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、プ
ロポキシ変性ネオペンチルグリコールジアクリレート
(PONPGDA)、トリプロピレングリコールジアク
リレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ポ
リエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、
ジエチレングリコールジアクリレート(DEGDA)、
エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、テト
ラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、ジペン
タエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート等、お
よびこれらに対応するメタクリレート類の製造に極めて
有用である。本発明のエステル交換反応法によれば、こ
れらの生成物はガスクロマトグラフィー分析で純度90
%以上であり、更に95%以上にも達する。
【0069】
【実施例】以下、本発明を実施例にて説明する。また使
用試薬は、特に工業製品と記載したもの以外は試薬品で
ある。
【0070】(ガスクロマトグラフィーによる純度分析
法)ガスクロマトグラフィーによる純度分析法は以下の
通りである。 使用したガスクロマトグラフィー装置:バリアン社製3
800型GC,又はヒューレットパッカード社製689
0型ガスクロマトグラフィー装置。GCカラム:30m
DB−1(メチルシリコンキャピラリカラム)、注入部
温度:300℃、カラム温度:150〜300℃(昇温
速度:15℃/分)、検出器:水素炎イオン化検出器、
検出部温度:300℃、キャリアガス:N2ガス1.8
mL/分。
【0071】又は、使用したガスクロマトグラフィー装
置:島津製GC−14A型ガスクロマトグラフィー装
置。GCカラム:60mDB−1(メチルシリコンキャ
ピラリカラム)、注入部温度:300℃、カラム温度:
150〜300℃(昇温速度:15℃/分)、検出器:
水素炎イオン化検出器、検出部温度:300℃、キャリ
アガス:Heガス1.8mL/分。
【0072】(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)による純度分析法)ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーによる純度分析法は以下の通りであ
る。 使用したGPC装置:東ソー社製SC8010型全自動
GPCシステム。 使用カラム:TSKgel G1000HXL(30cm)2本とTSK
gel G2000HXL(30cm)1本を連結して使用。カラム
オーブン温度:40℃、検出器:示差屈折計、溶離液
(流速):テトラヒドロフラン(0.8mL/分)。
【0073】実施例1[Ph3+CH2CH2CO2 -][Z
n(OAc)2]の合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量500mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
メチル258g(3mol)、酢酸亜鉛2水和物13.
2g(60mmol)、およびp−メトキシフェノール
0.26gを仕込んだ。攪拌下にトリフェニルホスフィ
ン13.1g(50mol)を添加した。更に反応混合
物を80℃にて4時間加熱還流し、反応系からメタノー
ルとアクリル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上から
除去した。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の
量を保つように反応系に添加した。反応が進行すると共
に白色固体が生成した。反応混合物を冷却後、ろ過によ
り該ホスホニウム亜鉛化合物24.8gを得た。収率は
96%であった。1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデー
タを以下に示す。 1H−NMR(CD3OD, 300MHz) d 1.85 (一重線、6H)、2.4-2.6 (多重線、2H)、3.5-3.7
(多重線、2H)、7.6-7.8(多重線、 15H) 13C−NMR(CD3OD、78.5MHz) d 20.0 (二重線、J=53.4Hz)、22.6 (一重線)、30.0 (二
重線、J=3.7Hz)、119.8(J=86.2Hz)、 131.5 (二重線、J
=12.4Hz)、134.8 (二重線、J=10.0Hz)、136.3 (二重
線、J=3.1Hz)、177.5 (二重線、J=15.5Hz)、180.8 (一
重線)
【0074】実施例2 [Ph3+CH2CH2CO2 -]
[ClMe2SnOSnMe2OSnMe2Cl]の合成 撹拌機、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に、二塩化
ジメチル錫11g(50mmol)、水80ml、エタ
ノール30mlを仕込み、攪拌して二塩化ジメチル錫を
溶解させた。次いで、攪拌しながらトリエチルアミン
6.79g(66.7mmol)を滴下漏斗から滴下し
た。このとき氷浴を用いて、反応温度を25〜30℃に
保った。滴下終了後、さらに2時間攪拌して反応を終了
させた。反応終了後、沈殿物をろ別し、100mlの
水、次いで200mlのエタノールで洗浄した後、10
5℃にて減圧乾燥して、1,5−ジクロロヘキサメチル
トリスタノキサン(ClMe2SnOSnMe2OSnM
2Cl)の8.78gを得た。次に、撹拌機を備えた
容量100mLの3つ口フラスコ内に、クロロホルム5
0mL及び、得られた1,5−ジクロロヘキサメチルトリ
スタノキサン(ClMe 2SnOSnMe2OSnMe2
l) 5.49g(10mmol)を仕込み、室温にて
30分攪拌した。この時の溶液は不均一溶液であった。
そこに、ジャーナル・オブ・モレキュラー・ストラクチ
ャー(Journal of Molecular Structure)1996年、第38
4巻、135−148頁に記載の方法により合成した、Ph3
+CH2CH2CO2 - 3.34g(10mmol)を仕
込み、さらに室温にて30分攪拌したところ、溶液は均
一となった。反応終了後、減圧下にクロロホルムを留去
し、白色固体8.8gを得た。1H-NMRおよび13C-NMRス
ペクトルデータを以下に示す。 [Ph3+CH2CH2CO2 -][ClMe2SnOSnMe
2OSnMe2Cl] 1H−NMR(CDCl3, 300MHz) d 0.64 (フ゛ロート゛な一重線)、0.68 (フ゛ロート゛な一重線) …
合計18H分に相当、2.56(多重線、2H)、 3.56(フ゛ロート
゛な一重線、2H)、7.6-7.8 (多重線、15H) 13C−NMR(CDCl3, 78.5MHz) d 9.1(フ゛ロート゛な一重線)、19.4 (二重線、J=53.7H
z)、28.6 (二重線、J=3.1Hz)、117.8 (二重線、J=86.2
Hz)、130.4(二重線、J=12.3Hz)、133.3 (二重線、J=
9.9Hz)、135.1 (二重線、J=2.5Hz)、172.6 (二重線、J=
13.6Hz)
【0075】実施例3 1,4-ブタンジオールジヘキサ
ノエートの合成 攪拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、1,4−ブ
タンジオール22.5g(0.25mol)、ヘキサン
酸メチル78.1g(0.6mol)、シクロヘキサン
40g、および実施例1で合成した[Ph3+CH2CH
2CO2 -][Zn(OAc)2] 5.15g(10mmo
l)を仕込み、反応混合物を攪拌しながら80℃にて加
熱還流し、反応系からメタノールとシクロヘキサンとの
共沸混合物を分留管の上から除去した。同時に同量のシ
クロヘキサンを反応器の内容物の量を保つように反応系
に添加した。反応は14時間続けた。
【0076】反応溶液を50℃に冷却後、水15gを反
応混合物に添加して30分攪拌し、更に30分間静置し
た後、水層を分離した。この水洗操作を再度行った後、
減圧留去によりシクロヘキサンと過剰のヘキサン酸メチ
ルを除去して1,4-ブタンジオールジプロピオンネート
73.1g(収率93%)を得た。
【0077】実施例4 トリメチロールプロパントリア
クリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び滴下漏斗を備えた容量30
0mLの4つ口フラスコを窒素で充分に置換し、反応容
器内にアクリル酸メチル155g(1.8mol)、酢
酸亜鉛2水和物4.74g(21.6mmol)、およ
びp−メトキシフェノール0.19gを仕込んだ。次
に、滴下漏斗よりトリn−ブチルホスフィン3.64g
(18mmol)を攪拌下に混合物中に20分かけて滴
下し、滴下終了後、室温にて30分攪拌した。滴下漏斗
を乾燥空気を流すガラス管に替えた後、反応混合物を攪
拌しながら80℃にて加熱還流し、反応系からメタノー
ルとアクリル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上から
除去した。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の
量を保つように反応系に添加した。反応を1.5時間行
った後、反応混合物を60℃まで冷却し、攪拌下トリメ
チロールプロパン40.2g(0.3mol)を添加し
た。80℃にて加熱還流し、反応系からメタノールとア
クリル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上から除去し
た。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を保
つように反応系に添加した。反応は反応物中のトリメチ
ロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が90
%を越えるまで続けた。
【0078】反応終了後、反応溶液を50℃に冷却し、
水15gを反応混合物に添加して50℃で30分攪拌
し、更に50℃で30分間静置した後、水層を分離し
た。この水洗操作を再度行った後、過剰のアクリル酸メ
チルを減圧下に除去してトリメチロールプロパントリア
クリレートを得た。該化合物をGCにて分析したが、触
媒由来のピークは検出されなかった。純度と収率を表1
に示す。
【0079】実施例5 回収触媒を用いたトリメチロー
ルプロパントリアクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、実施例4の
水洗操作により得られた水溶液34.2gおよびトルエ
ン100gを仕込み、攪拌下50℃/200mmHgに
てデカント脱水を行った。更にトルエンを減圧留去した
後、アクリル酸メチル155g(1.8mol)、トリ
メチロールプロパン40.2g(0.3mol)、p−
メトキシフェノール0.19gを仕込み、反応混合物を
攪拌しながら加熱還流し、反応系からメタノールとアク
リル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上から除去し
た。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を保
つように反応系に添加した。32時間後に反応を終了さ
せ、実施例3と同様の精製操作を行い、TMPTAを得
た。純度と収率を表1に示す。
【0080】実施例6 実施例4において、酢酸亜鉛二水和物4.74g(2
1.6mmol)の代わりに、安息香酸亜鉛6.64g
(21.6mmol)を用いた他は、全て実施例4に従
って行った。結果を表1に示す。
【0081】実施例7 実施例4において、酢酸亜鉛二水和物4.74g(2
1.6mmol)の代わりに、アクリル酸酸亜鉛4.4
8g(21.6mmol)を用いた他は、全て実施例3
に従って行った。結果を表1に示す。
【0082】実施例8 トリメチロールプロパントリア
クリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量250mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
メチル100g(1.2mol)、トリメチロールプロ
パン20.1g(0.15mol)、およびp−メトキ
シフェノール0.2gとを仕込んだ。次に酢酸亜鉛2水
和物0.9g(4.1mmol)とトリフェニルホスフ
ィン1.1g(4.2mmol)を攪拌下に反応混合物
中に添加した。
【0083】反応混合物を攪拌しながら加熱還流し、反
応系からメタノールとアクリル酸メチルとの共沸混合物
を分留管の上部から除去した。同時に、同量のアクリル
酸メチルを反応器の内容物の量を保つように反応系に添
加した。反応は反応物中のトリメチロールプロパントリ
アクリレート(TMPTA)が90%を越えるまで続け
た。反応混合物を冷却後、ろ過により触媒を除去した。
このとき触媒の回収率は84%であった。水15gを濾
液に添加して50℃にて30分攪拌し、更に30分間静
置した後、水層を分離した。この水洗操作を再度行った
後、過剰のアクリル酸メチルを減圧下に除去してTMP
TAを得た。該化合物をGCにて分析したが、触媒由来
のピークは検出されなかった。結果を表1に示す。
【0084】実施例9 トリメチロールプロパントリア
クリレート合成 実施例8と同様の反応器を用いて、アクリル酸メチル1
00g(1.2mol)、トリメチロールプロパン2
0.1g(0.15mol)、およびp−メトキシフェ
ノール0.4g、及びトリフェニルホスフィン1.1g
(4.2mmol)とを実施例8と同様に反応させた。
2時間後に0.9g(4.1mmol)の酢酸亜鉛2水
和物を添加し、反応物中のトリメチロールプロパントリ
アクリレート(TMPTA)が90%を越えるまで反応
を続けた。実施例8と同様に反応生成物を処理した。
【0085】実施例10 回収触媒を用いたトリメチロ
ールプロパントリアクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
メチル103g(1.2mol)、トリメチロールプロ
パン28.6g(0.2mol)、p−メトキシフェノ
ール0.13g、ならびに実施例9で回収した白色固体
6.21g(12mmol)を仕込んだ。反応混合物を
攪拌しながら加熱還流し、反応系からメタノールとアク
リル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上から除去し
た。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を保
つように反応系に添加した。33時間後に反応を終了さ
せ、実施例8と同様の精製操作を行い、TMPTAを得
た。結果を表1に示す。
【0086】実施例11 トリメチロールプロパントリ
アクリレート合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
メチル155g(1.8mol)、酢酸亜鉛2水和物
4.74g(21.6mmol)及びp−メトキシフェ
ノール0.19gを仕込み、攪拌下にトリ(メタトリ
ル)ホスフィン5.48g(18mmol)を添加し
た。更に反応混合物を80℃にて加熱還流し、反応系か
らメタノールとアクリル酸メチルとの共沸混合物を分留
管の上から除去した。同時に、同量のアクリル酸メチル
を反応器の量を保つように反応系に添加した。反応を2
時間後に終了させ、60℃まで冷却した後、攪拌下トリ
メチロールプロパン40.2g(0.3mol)を添加
した。80℃にて加熱還流し、反応系からメタノールと
アクリル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上から除去
した。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を
保つように反応系に添加した。反応は反応物中のトリメ
チロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が9
0%を越えるまで続けた。
【0087】反応終了後、反応溶液を50℃に冷却し、
水15gを反応混合物に添加して50℃で30分攪拌
し、更に50℃で30分間静置した後、水層を分離し
た。この水洗操作を再度行った後、過剰のアクリル酸メ
チルを減圧下に除去してトリメチロールプロパントリア
クリレートを得た。該化合物をGCにて分析したが、触
媒由来のピークは検出されなかった。結果を表1に示
す。
【0088】実施例12 回収触媒を用いたトリメチロ
ールプロパントリアクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、実施例11
の水洗操作により得られた水溶液55.2gおよびトル
エン150gを仕込み、攪拌下50℃/200mmHg
にてデカント脱水を行った。更にトルエンを減圧留去し
た後、アクリル酸メチル155g(1.8mol)、ト
リメチロールプロパン40.2g(0.3mol)、p
−メトキシフェノール0.19gを仕込み、反応混合物
を攪拌しながら加熱還流し、反応系からメタノールとア
クリル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上から除去し
た。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を保
つように反応系に添加した。33時間で反応を終了さ
せ、実施例11と同様の精製操作を行い、TMPTAを
得た。結果を表1に示す。
【0089】実施例13 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 実施例11において、トリ(メタトリル)ホスフィン
5.48g(18mmol)の代わりに、トリ(パラメ
トキシフェニル)ホスフィン6.34g(18mmo
l)を用いた他は、全て実施例10に従って行った。結
果を表1に示す。
【0090】実施例14 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 実施例11において、トリ(メタトリル)ホスフィン
5.48g(18mmol)の代わりに、1,3−ビス
(ジフェニルホスフィノ)プロパン3.71g(9mm
ol)を用いた他は、全て実施例11に従って行った。
結果を表1に示す。
【0091】実施例15 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び滴下漏斗を備えた容量30
0mLの4つ口フラスコを窒素で充分に置換し、反応容
器内にアクリル酸エチル180g(1.8mol)、酢
酸亜鉛2水和物4.74g(21.6mmol)、およ
びp−メトキシフェノール0.19gを仕込んだ。次
に、滴下漏斗よりトリn−ブチルホスフィン3.64g
(18mmol)を攪拌下に混合物中に20分かけて滴
下し、滴下終了後、室温にて30分攪拌した。滴下漏斗
を乾燥空気を流すガラス管に替えた後、反応混合物を攪
拌下100℃にて加熱還流し、反応系からエタノールと
アクリル酸エチルとの共沸混合物を分留管の上から除去
した。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を
保つように反応系に添加した。反応を1.5時間行った
後、反応混合物を60℃まで冷却し、攪拌下トリメチロ
ールプロパン40.2g(0.3mol)を添加した。
100℃にて加熱還流し、反応系からエタノールとアク
リル酸エチルとの共沸混合物を分留管の上から除去し
た。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を保
つように反応系に添加した。
【0092】反応を17時間で終了させ、反応溶液を5
0℃に冷却し、水15gを反応混合物に添加して50℃
で30分攪拌し、更に50℃で30分間静置した後、水
層を分離した。この水洗操作を再度行った後、過剰のア
クリル酸エチルを減圧下に除去してトリメチロールプロ
パントリアクリレートを得た。該化合物をGCにて分析
したが、触媒由来のピークは検出されなかった。結果を
表2に示す。
【0093】実施例16 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 実施例15において、トリn−ブチルホスフィン3.6
4g(18mmol)の代わりに、トリオクチルホスフ
ィン1.56g(4.2mmol)を用いた他は、全て
実施例15に従って行った。結果を表2に示す。
【0094】実施例17 エチレングリコールモノフェ
ニルエーテルアクリレートの合成 実施例15と同様の反応器を用いて、エチレングリコー
ルモノフェニルエーテル30g(0.217mol)、
アクリル酸メチル50g(0.58mol)、及びp−
メトキシフェノール0.4gを、0.5g(2.3mm
ol)の酢酸亜鉛2水和物と0.5g(1.9mmo
l)のトリフェニルホスフィンとを触媒として反応させ
た。反応は加熱還流下で行い、メタノールとアクリル酸
メチルとの共沸物を蒸留管の塔頂から除去した。同時
に、同量のアクリル酸メチルを反応器の量を保つように
反応系に添加した。反応は変換率が90%以上になるま
で続けた。
【0095】反応混合物を冷却後、ろ過により触媒を除
去した。このとき触媒の回収率は90%であった。水1
5gを濾液に添加して50℃にて30分攪拌し、更に5
0℃にて30分間静置した後、水層を分離した。この水
洗操作を再度行った後、過剰のアクリル酸メチルを減圧
下に除去してエチレングリコールモノフェニルエーテル
アクリレート(EGMPEA)を得た。結果を表2に示
す。
【0096】実施例18 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量250mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
メチル80g(0.93mol)、トリメチロールプロ
パン20.1g(0.15mol)、およびp−メトキ
シフェノール0.4gとを仕込んだ。次にジメチル錫ジ
クロライド1.0g(4.55mmol)とトリフェニ
ルホスフィン0.8g(3.05mmol)を攪拌下に
反応混合物中に添加した。反応混合物を攪拌しながら加
熱還流し、反応系からメタノールとアクリル酸メチルと
の共沸混合物を分留管の上部から除去した。同時に、同
量のアクリル酸メチルを反応器の内容物の量を保つよう
に反応系に添加した。反応は反応物中のTMPTAが9
0%を越えるまで続けた。反応混合物を50℃に冷却
後、水15gを反応混合物に添加して50℃にて30分
攪拌し、更に50℃にて30分間静置した後、水層を分
離した。この水洗操作を合計3回行った後、過剰のアク
リル酸メチルを減圧下に除去してTMPTAを得た。該
化合物をGCにて分析したが、触媒由来のピークは検出
されなかった。結果を表2に示す。
【0097】実施例19 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
エチル180g(1.8mol)、トリメチロールプロ
パン40.2g(0.3mol)、トリフェニルホスフ
ィン2.36g(9mmol)、ジメチル錫ジクロライ
ド2.47g(11.25mmol)、およびp−メト
キシフェノール0.19gを仕込んだ。反応混合物を攪
拌下に100℃にて加熱還流し、反応系からエタノール
とアクリル酸エチルとの共沸混合物を分留管の上から除
去した。同時に、同量のアクリル酸エチルを反応器の内
容物の量を保つように反応系に添加した。24時間後に
反応を終了させ、反応混合物を50℃に冷却後、水15
gを反応混合物に添加して50℃にて30分攪拌し、更
に50℃にて30分間静置した後、水層を分離した。こ
の水洗操作を合計3回行った後、過剰のアクリル酸エチ
ルを減圧下に除去してTMPTAを得た。該化合物をG
Cにて分析したが、触媒由来のピークは検出されなかっ
た。結果を表2に示す。
【0098】実施例20 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
エチル180g(1.8mol)、Ph3+CH 2CH2
CO2 - 1.50g(4.5mmol)、1,3−ジク
ロロテトラメチルジスタノキサン ClMe2SnOSn
Me2Cl 1.73g(4.5mmol)を仕込み、
室温にて30分攪拌した。次いで、トリメチロールプロパ
ン40.2g(0.3mol)、およびp−メトキシフ
ェノール0.19gを仕込み、反応混合物を攪拌下に1
00℃にて加熱還流し、反応系からエタノールとアクリ
ル酸エチルとの共沸混合物を分留管の上から除去した。
同時に、同量のアクリル酸エチルを反応器の内容物の量
を保つように反応系に添加した。12時間後に反応を終
了させ、反応混合物を50℃に冷却後、水15gを反応
混合物に添加して50℃にて30分攪拌し、更に50℃
にて30分間静置した後、水層を分離した。この水洗操
作を合計3回行った後、過剰のアクリル酸エチルを減圧
下に除去してTMPTAを得た。該化合物をGCにて分
析したが、触媒由来のピークは検出されなかった。結果
を表2に示す。
【0099】実施例21 回収触媒を用いたトリメチロ
ールプロパントリアクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、実施例20
の水洗操作により得られた水溶液46.1gおよびトル
エン100gを仕込み、攪拌下50℃/200mmHg
にてデカント脱水を行った。更にトルエンを減圧留去し
た後、アクリル酸エチル180g(1.8mol)、ト
リメチロールプロパン40.2g(0.3mol)、p
−メトキシフェノール0.19gを仕込み、反応混合物
を攪拌しながら加熱還流し、反応系からメタノールとア
クリル酸エチルとの共沸混合物を分留管の上から除去し
た。同時に、同量のアクリル酸エチルを反応器の量を保
つように反応系に添加した。16時間後に反応を終了さ
せ、実施例20と同様の精製操作を行い、TMPTAを
得た。純度と収率を表2に示す。
【0100】実施例22 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、アクリル酸
エチル180g(1.8mol)、実施例2で得られた
[Ph3+CH2CH2CO2 -][ClMe2SnOSnMe
2OSnMe2Cl] 4.0g(4.5mmol)を仕
込み、室温にて30分攪拌した。次いで、トリメチロー
ルプロパン40.2g(0.3mol)、およびp−メ
トキシフェノール0.19gを仕込み、反応混合物を攪
拌下に100℃にて加熱還流し、反応系からエタノール
とアクリル酸エチルとの共沸混合物を分留管の上から除
去した。同時に、同量のアクリル酸エチルを反応器の内
容物の量を保つように反応系に添加した。12時間後に
反応を終了させ、反応混合物を50℃に冷却後、水15
gを反応混合物に添加して50℃にて30分攪拌し、更
に50℃にて30分間静置した後、水層を分離した。こ
の水洗操作を合計3回行った後、過剰のアクリル酸エチ
ルを減圧下に除去してTMPTAを得た。該化合物をG
Cにて分析したが、触媒由来のピークは検出されなかっ
た。結果を表2に示す。
【0101】実施例23 回収触媒を用いたトリメチロ
ールプロパントリアクリレートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び乾燥空気を流すガラス管を
備えた容量300mLの4つ口フラスコに、実施例22
の水洗操作により得られた水溶液45.3gおよびトル
エン100gを仕込み、攪拌下50℃/200mmHg
にてデカント脱水を行った。更にトルエンを減圧留去し
た後、アクリル酸エチル180g(1.8mol)、ト
リメチロールプロパン40.2g(0.3mol)、p
−メトキシフェノール0.19gを仕込み、反応混合物
を攪拌しながら加熱還流し、反応系からメタノールとア
クリル酸エチルとの共沸混合物を分留管の上から除去し
た。同時に、同量のアクリル酸エチルを反応器の量を保
つように反応系に添加した。15時間後に反応を終了さ
せ、実施例22と同様の精製操作を行い、TMPTAを
得た。純度と収率を表2に示す。
【0102】実施例24 ヘキサノールアクリレートの
合成 アクリル酸メチル30g(0.35mol)、ヘキサノ
ール19g(0.18mol)、p−メトキシフェノー
ル0.2g、ジメチル錫ジクロライド0.4g(1.8
2mmol)、及びトリフェニルホスフィン0.24g
(0.92mmol)とを攪拌機、温度計、分流器及び
滴下漏斗を備えた容量300mLの4つ口フラスコを用
いて反応させた。反応は90%以上の変換率が得られる
まで続けた。反応混合物を50℃に冷却後、水26gを
反応混合物に添加して50℃にて30分攪拌し、更に5
0℃にて30分間静置した後、水層を分離した。この水
洗操作を合計3回行った後、過剰のアクリル酸メチルを
減圧下に除去してヘキサノールアクリレートを得た。該
化合物をGCにて分析したが、触媒由来のピークは検出
されなかった。結果を表2に示す。
【0103】実施例25 エチレングリコールジアクリ
レートの合成 撹拌機、温度計、分留器及び滴下漏斗を備えた容量30
0mLの4つ口フラスコを用いて、エチレングリコール
20g(0.32mol)、アクリル酸メチル60g
(0.7mol)、ヘプタン20g、ジメチル錫ジクロ
ライド1.0g(4.55mmol)及びトリフェニル
ホスフィン0.6g(2.29mmol)、p−メトキ
シフェノール0.4gを実施例18と同様に90%以上
が変換されるまで反応させた。反応終了後、反応混合物
を50℃に冷却後、水15gを反応混合物に添加して5
0℃にて30分攪拌し、更に50℃にて30分間静置し
た後、水層を分離した。この水洗操作を合計3回行った
後、過剰のアクリル酸メチルを減圧下に除去してエチレ
ングリコールジアクリレートを得た。該化合物をGCに
て分析したが、触媒由来のピークは検出されなかった。
結果を表2に示す。
【0104】実施例26 ネオペンチルグリコールジア
クリレートの合成 実施例18に記載した反応器を用いて、ネオペンチルグ
リコール20g(0.19mol)、アクリル酸メチル
80g(0.93mol)、及びp−メトキシフェノー
ル0.4gとジメチル錫ジクロライド1.0g(4.5
5mmol)とトリフェニルホスフィン0.6g(2.
3mmol)とを触媒として添加した。実施例18と同
様に、反応混合物を攪拌しながら加熱還流し、反応系か
らメタノールとアクリル酸メチルとの共沸混合物を分留
管の上部から除去した。
【0105】16時間後に反応を終了させ、反応混合物
を50℃に冷却後、水15gを反応混合物に添加して5
0℃にて30分攪拌し、更50℃にて30分間静置した
後、水層を分離した。この水洗操作を合計3回行った
後、過剰のアクリル酸メチルを減圧下に除去してネオペ
ンチルグリコールジアクリレートを得た。該化合物をG
Cにて分析したが、触媒由来のピークは検出されなかっ
た。結果を表2に示す。
【0106】実施例27 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 実施例18と同様の反応器を用いて、トリメチロールプ
ロパン20.1g(0.15mol)、アクリル酸ブチ
ル100g(0.78mol)、p−メトキシフェノー
ル0.4g、ジメチル錫ジクロライド1.0g(4.5
5mmol)及びトリフェニルホスフィン0.8g
(3.05mmol)を、軽度の減圧下(330mmH
g)で還流(約120℃)して反応させた。
【0107】ブタノールとアクリル酸ブチルとの共沸物
を蒸留管の塔頂から除去し、同時に同量のアクリル酸ブ
チルを滴下管から添加した。反応は変換率が90%以上
になるまで続けた。反応物は実施例18と同様に処理し
た。結果を表2に示す。
【0108】実施例28 トリメチロールプロパントリ
メタクリレートの合成 実施例18と同様の反応器を用いて、ジメチル錫ジクロ
ライド1.0g(4.55mmol)及びトリフェニル
ホスフィン0.8g(3.05mmol)を反応前にト
リメチロールプロパン20.1g(0.15mol)と
メタクリル酸メチル100g(1.0mol)に加え、
p−メトキシフェノール0.2gを重合禁止剤とし、他
は実施例18と同様にして反応させた。結果を表2に示
す。
【0109】実施例29 トリメチロールプロパントリ
アクリレートの合成 トリメチロールプロパン20.1g(0.15mo
l)、アクリル酸メチル100g(1.16mol)、
ジメチル錫ジクロライド1.0g(4.55mmo
l)、p−メトキシフェノール0.4g、トリブチルホ
スフィン1.0g(4.94mmol)を実施例18と
同様に、メタノールとアクリル酸メチルとの共沸物を除
去しながら反応させた。40時間後にトリアクリレート
の変換率は90%に達した。結果を表2に示す。
【0110】比較例1 実施例18と同様の反応器を用いて、トリメチロールプ
ロパン20.1g(0.15mol)、アクリル酸メチ
ル100g(1.16mol)、p−メトキシフェノー
ル0.4g及びトリフェニルホスフィン1.0g(3.
8mmol)を仕込み、反応混合物を攪拌しながら80
℃にて加熱還流し、反応系からメタノールとアクリル酸
メチルとの共沸物を除去し、反応物量が一定であるよう
に同量のアクリル酸メチルを添加しながら反応させた。
反応は反応時間を延長しても、もはやトリメチロールプ
ロパントリアクリレートの含量が増加しなくなるまで続
けた。結果を表3に示す。
【0111】比較例2 実施例18と同様の反応器を用いて、トリメチロールプ
ロパン20.1g(0.15mol)、アクリル酸メチ
ル78g(0.9mol)、p−メトキシフェノール
0.1g及びトリフェニルホスフィン2.4g(9.1
5mmol)を、比較例1と同様にメタノールとアクリ
ル酸メチルとの共沸物を除去し、反応物量が一定である
ように同量のアクリル酸メチルを添加しながら反応させ
た。時間の経過と共にゲル化が進行した。
【0112】比較例3 実施例18と同様の反応器を用いて、トリメチロールプ
ロパン20.1g(0.15mol)、アクリル酸メチ
ル100g(1.16mol)、p−メトキシフェノー
ル0.4g及び1.0g(4.56mmol)の酢酸亜
鉛2水和物を比較例1と同様にメタノールとアクリル酸
メチルとの共沸物を除去し、反応物量が一定であるよう
に同量のアクリル酸メチルを添加しながら反応させた。
反応30時間後でも、トリアクリレートは得られなかっ
た。反応物を実施例18と同様に処理した。結果を表3
に示す。
【0113】比較例4 実施例17と同様の反応器を用いて、トリメチロールプ
ロパン20.1g(0.15mol)、アクリル酸メチ
ル100g(1.16mol)、p−メトキシフェノー
ル0.4g及び1.0g(4.55mmol)のジメチ
ル錫ジクロライドを比較例1と同様にメタノールとアク
リル酸メチルとの共沸物を除去し、反応物量が一定であ
るように同量のアクリル酸メチルを添加しながら反応さ
せた。反応30時間後でも、トリアクリレートは得られ
なかった。反応物を実施例18と同様に処理した。結果
を表3に示す。
【0114】表中の比は比較例を、記号は次の意味を示
す。TMP:トリメチロールプロパン(Hansol Chemica
l Co. Ltd.製、もしくは三菱瓦斯化学製、工業品)、E
GMPE:エチレングリコールモノフェニルエーテル
(上海化学試剤社製)、HEXA:1−ヘキサノール
(上海化学試剤社製)、EG:エチレングリコール(済
南化学試剤製)、NPG:ネオペンチルグリコール(上
海化学試剤社製)、MA:アクリル酸メチル(天津化学
試剤社製、もしくは三菱化学性、工業品)、EA:アク
リル酸エチル(三菱化学性、工業品)、BA:アクリル
酸ブチル(三菱化学性、工業品)、MMA:メタクリル
酸メチル(北京東方化工製、工業品)、(m−Tol)
3P:トリ(メタトリル)ホスフィン(北興化学工業
製、工業品)、(p−Anis)3P:トリ(パラメト
キシフェニル)ホスフィン(北興化学工業製、工業
品)、DPPP:1,3−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)プロパン(北興化学工業製、工業品)
【0115】
【表1】
【表2】
【表3】
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、目的物たるエステル化
合物の反応収率や純度が極めて良好であるのに加え、反
応終了後、煩雑な中和工程を要せず、触媒を水洗により
極めて容易に分離することができる他、分離した触媒を
再度利用することが可能なエステル交換反応法を提供で
きる。更に、かかる工業上の有利を発現する新規なエス
テル交換触媒を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA06 AA10 BA27A BA27B BA36A BC20A BC22B BC29A BC34A BC35B BC38A BC49A BE01B BE08A BE08B BE28A BE28B BE46B CA09 CB25 CB75 4H006 AA02 AC48 BA07 BA11 BA48 BA83 BB31 KA03 4H039 CA66 CD40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属、又は、周期律表のIIB族、II
    IA族若しくはIVA族に属する金属原子を含む金属化合
    物(a1)と、アニオン性官能基を有するホスホニム化
    合物(a2)との錯化合物[A]の存在下、アルコール
    とカルボン酸エステルとをエステル交換反応させること
    を特徴とするエステル交換反応法。
  2. 【請求項2】 カルボン酸エステルが、α,β−不飽和
    カルボン酸エステルである請求項1記載の反応法。
  3. 【請求項3】 金属化合物(a1)が、IIB属、IIIA
    属又はIVA属に属する金属原子を有する金属化合物であ
    る請求項1又は2記載の反応法。
  4. 【請求項4】 遷移金属、又は、周期律表のIIB族、II
    IA族若しくはIVA族に属する金属原子を含む金属化合
    物(a1)と、アニオン性官能基を有するホスホニム化
    合物(a2)との錯化合物[A]の存在下、アルコール
    とカルボン酸エステルとをエステル交換反応させ、反応
    終了後、得られた反応粗生成物に水を混合して、水層中
    に錯化合物[A]を抽出、次いで回収する請求項1、2又
    は3記載のエステル交換反応法。
  5. 【請求項5】 遷移金属、又は、周期律表のIIB族、II
    IA族若しくはIVA族に属する金属原子を含む金属化合
    物(a1)と、アニオン性官能基を有するホスホニム化
    合物(a2)との錯化合物[A]を主たる成分とするこ
    とを特徴とするエステル交換反応触媒。
  6. 【請求項6】 金属化合物(a1)が、IIB属、IIIA
    属又はIVA属に属する金属原子を有するものである請求
    項5記載の触媒。
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