JP2003168549A - 加熱装置、加熱定着装置および画像形成装置 - Google Patents

加熱装置、加熱定着装置および画像形成装置

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JP2003168549A JP2001369871A JP2001369871A JP2003168549A JP 2003168549 A JP2003168549 A JP 2003168549A JP 2001369871 A JP2001369871 A JP 2001369871A JP 2001369871 A JP2001369871 A JP 2001369871A JP 2003168549 A JP2003168549 A JP 2003168549A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱部材である定着ローラや定着フィルムの
両端部は、放熱面積が大きいため、中央部に比べ温度が
低下してしまい、被記録材の両側端部において十分な熱
エネルギーを供給することができない。この結果、側端
部の光沢度が中央ぶよりも低下したり、側端部の未定着
トナー画像がオフセットしてしまう。そこで、長手方向
の温度分布の均一化を図る工夫がなされているが量産性
や低コスト化が難しいといった課題があった。 【解決手段】 励磁コイルからの磁束を発熱層の周方向
に導く閉磁路を形成する高透磁率部材を有し、この高透
磁率部材は複数個の部材で閉磁路を形成し、回転加熱部
材と回転加圧部材の回転方向と直交する方向に前記高透
磁率部材間の空間距離を変化させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導を利用し
て発熱層に渦電流を発生させ、この発熱層の発熱によっ
て加熱する加熱装置と、この加熱装置を熱源とする加熱
定着装置および該加熱定着装置を適用した複写機・プリ
ンタ・ファックス等の画像形成装置、即ち電子写真・静
電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段によ
り、加熱溶融性の樹脂等からなるトナーを用いて被記録
材面に直接もしくは間接方式で形成した未定着トナー画
像を該被記録材面に永久固着画像として加熱定着処理す
る画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の画像形成装置において
は、適宜の画像形成プロセス手段で被記録材上に形成さ
れた未定着トナー画像を加熱定着させる加熱定着装置と
して、熱ローラ方式の定着装置が広く用いられている。
この熱ローラ方式の定着装置は、ハロゲンヒータのよう
な発熱手段を内包した加熱部材としての定着ローラと、
加圧部材としての加圧ローラとを当接させて、定着ニッ
プ部を形成したもので、定着ローラと加圧ローラを共に
回転させることで、定着ニップ部に被記録材を搬送しな
がら熱と圧力をかけて未定着トナー像を定着する。
【0003】近年では、クイックスタートや省エネルギ
ーの観点から、フィルム加熱方式の定着装置が実用化さ
れている。このフィルム加熱方式の定着装置は、発熱手
段としてのセラミックヒータと加圧部材としての加圧ロ
ーラとの間に、耐熱性を有する薄いフィルムを挟ませて
定着ニップ部を形成させたものである。フィルム(以
下、定着フイルムとも称する)と加圧ローラを共に回転
させることで、定着ニップ部に被記録材を搬送しながら
熱と圧力をかけて未定着トナー像を定着する。
【0004】上記フィルム加熱方式の定着装置では、熱
ローラ方式に比べ、加熱部材であるフィルムの熱容量が
非常に小さいため、発熱手段からの熱エネルギーを定着
プロセスに効率良く使用することができる。このため、
画像形成装置の電源投入からプリント可能状態までの待
ち時間を短くすることができる(クイックスタート)。
さらに、加熱部材の熱容量が小さく、プリント待機中に
加熱部材を予熱する必要がないため、画像形成装置の消
費電力を低く抑えることができる(省エネルギー)。
【0005】さらに高効率なフィルム加熱方式の定着装
置として、導電性のフィルム自身を発熱させる電磁誘導
加熱方式の定着装置が提案されている。実開昭51-1
09739号公報には、電磁誘導加熱方式の定着装置と
して、交番磁場により金属フィルムに渦電流を誘導さ
せ、その金属フィルムをジュール熱で発熱させる定着装
置が開示されている。
【0006】磁場発生手段として設けられた励磁コイル
は、励磁回路から供給される交番電流によって交番磁束
を発生する。交番磁束は磁性コアや定着フィルムに設け
られた発熱層によって実質的に閉磁路を形成する。そし
て、交番磁束は定着フィルムの発熱層に渦電流を発生さ
せる。この渦電流は発熱層の固有抵抗によって該発熱層
にジュール熱を発生させる。発熱層としては、一般的
に、導電性の磁性部材が用いられる。
【0007】この電磁誘導加熱方式では、定着フィルム
自身を発熱させることができるため、発熱手段からの熱
エネルギーを定着プロセスにさらに効率良く使用するこ
とができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の加熱定着装置は
上記のように構成されているので、加熱部材である定着
ローラや定着フィルムの両端部は、放熱面積が大きいた
め、中央部に比べ温度が低下してしまう傾向がある。さ
らに、比較的熱容量の小さい定着フィルムは、加圧ロー
ラの温度分布の影響を受けて端部の温度がさらに低下し
やすい傾向にある。発熱手段を持たない加圧ローラで
は、端部の温度が顕著に低下してしまうためである。
【0009】上述の傾向を有する従来の定着装置におい
ては、定着ニップにおいて均一な温度分布が得られず、
端部で温度が低下してしまい、被記録材の端部において
トナーに十分な熱エネルギーを供給することができな
い。この結果、端部の定着トナー像の光沢度が中央部よ
りも低下したり、また端部の定着トナー像がオフセット
してしまう問題があった。この問題を解決するために、
熱ローラ方式やフィルム加熱方式の定着装置では、一般
的に、ハロゲンヒータやセラミックヒータの端部の発熱
量を中央部よりも大きくするようにしている。
【0010】電磁誘導加熱方式の定着装置においても、
端部の発熱量を中央部に比べて大きくして、長手方向に
おいて均一な温度分布を得る方法がいくつか提案されて
いる。
【0011】特開昭59-33788号公報に示される
誘導加熱定着装置では、ローラ両端部のコイルの巻き方
を中央部よりも密にして、ローラ両端部の発熱量を中央
部よりも増やし、長手方向の温度分布の均一化を図ろう
としている。しかしながら、巻線密度が長手方向で変化
するために、コイルの量産性や低コスト化が難しいとい
った問題がある。
【0012】さらに、特開平09-026719号公報
に示される誘導加熱方式の加熱装置を熱源として用いた
加熱定着装置では、励磁コイルと発熱層との間の距離を
長手方向において変化させている。また、特開平09-
062132号公報に示される誘導加熱定着装置では、
発熱層と磁性コアの距離を長手方向において変化させて
いる。しかしながら、屈曲性の良い定着フィルムの場
合、回転時の定着フィルムの位置を正確に規制すること
が難しいため、励磁コイルと定着フィルムに設けられた
発熱層との距離を一定に保つことが難しいといった問題
があった。
【0013】本発明の目的は、発熱層と励磁コイルもし
くは磁性コアとの距離を変えることなく、長手方向にお
ける発熱量を調整して均一な温度分布を得られる誘導加
熱方式の加熱装置を、量産性良く、安価に、提供するこ
と、この加熱装置を備えることで、未定着トナー画像の
品質を低下させることなく、常に安定した加熱定着処理
を行うことが可能な加熱定着装置、この加熱定着手段を
備えることで、ウオームアップタイムが短く、常に安定
して高精度のプリントが可能な画像形成装置を得ること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を有
することを特徴とする加熱装置、加熱定着装置および画
像形成装置である。
【0015】(1) 発熱層を有する回転加熱部材と、
前記回転加熱部材と圧接してニップ部を形成する回転加
圧部材と、前記発熱層に渦電流を生じさせるための交番
磁場を発生させる励磁コイルと、前記励磁コイルからの
磁束を前記発熱層の周方向に導く閉磁路を形成する高透
磁率部材とを有し、前記ニップ部に被記録材を狭持搬送
することで該被記録材の加熱処理を行う加熱装置におい
て、前記高透磁率部材は複数個の部材で閉磁路を形成
し、前記回転加熱部材と前記回転加圧部材の回転方向と
直交する方向に前記高透磁率部材間の空間距離を変化さ
せたことを特徴とする加熱装置。
【0016】(2) 長手方向の各位置における閉磁路
を形成する前記高透磁率部材間の空間距離の和が、前記
回転加熱部材と前記回転加圧部材の回転方向と直交する
方向において、中央部から端部に向かって小さくなって
いる部分を有することを特徴とする(1)に記載の加熱
装置。
【0017】(3) 長手方向の各位置における閉磁路
を形成する前記高透磁率部材間の空間距離は、前記高透
磁率部材と前記発熱層との距離よりも短いことを特徴と
する(1)または(2)に記載の加熱装置。
【0018】(4) 前記回転加熱部材は円筒状フィル
ムであり、前記発熱層は導電性部材からなることを特徴
とする(1)から(3)のうちのいずれか1項に記載の
加熱装置。
【0019】(5) 表面に未定着トナー画像が形成さ
れている被記録材を挟圧搬送して該被記録材上に該未定
着トナー画像を加熱定着する加熱定着装置において、前
記被記録材を加熱する加熱装置として(1)から(4)
のうちのいずれか1項に記載の加熱装置を備えたことを
特徴とする加熱定着装置。
【0020】(6) 被記録材を給紙部から排紙部まで
搬送する搬送手段と、前記搬送中の被記録材上に直接ま
たは間接に未定着トナー画像を形成する画像形成手段
と、前記被記録材上に形成された未定着トナー画像を該
被記録材上に加熱定着する加熱定着手段とを有する画像
形成装置において、前記加熱定着手段として(5)に記
載の加熱定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装
置。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面について説明する。
【0022】(第1の実施例)本発明の加熱装置を熱源
とする加熱定着装置および該加熱定着装置を適用した画
像形成装置の第1の実施例について述べる。
【0023】(1) 画像形成装置 図1は画像形成装置の一例を示す構成概略図である。本
実施例の画像形成装置はカラーレーザプリンタである。
図1において、101は有機感光体やアモルファスシリ
コン感光体でできた感光ドラム(像担持体)であり、矢
示の反時計方向に所定の搬送速度(周速度)で回転駆動
される。この感光ドラム101はその回転過程で帯電ロ
ーラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯
電処理を受ける。
【0024】次いで、その帯電処理面は、レーザ光学箱
(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光1
03により、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。
レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画
像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタ
ル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光
103を出力し、走査露光した目的画像情報に対応した
静電潜像を感光ドラム101面に形成する。109はレ
ーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光ドラム10
1の露光位置に偏向させるミラーである。
【0025】フルカラー画像形成の場合は、目的のフル
カラー画像における第1の色分解成分画像、例えばイエ
ロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、
その潜像が4色カラー現像装置104のうちイエロー現
像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像さ
れる。そのイエロートナー画像は感光ドラム101と中
間転写ドラム105との接触部(或いは近接部)である
1次転写部T1において中間転写ドラム105面に転写
される。中間転写ドラム105面に対するトナー画像転
写後の感光ドラム101面はクリーナ107により転写
残トナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0026】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、
マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画
像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作
動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現
像器104Bkが作動)の各色分解成分画像について順
次実行され、中間転写ドラム105面にイエロートナー
画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナ
ー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目
的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が形成
される。
【0027】中間転写ドラム105は、金属ドラム10
5a上に中抵抗の弾性層105bと高抵抗の表層105
cを設けたもので、感光ドラム101に接触して或いは
近接して感光ドラム101と同じ周速度で矢示の時計方
向に回転駆動され、中間転写ドラム105の金属ドラム
105aにバイアス電位を与えて、感光ドラム101と
の電位差で該感光ドラム側のトナー画像を前記中間転写
ドラム105面側に転写する。
【0028】上記の中間転写ドラム105面に形成され
たカラートナー画像は、前記中間転写ドラム105と転
写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2
において、その二次転写部T2に不図示の給紙部から所
定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの面に転写さ
れていく。転写ローラ106は被記録材Pの背面からト
ナーと逆極性の電荷を供給することで、中間転写ドラム
105面側から被記録材P側へ合成カラートナー画像を
順次に一括転写する。
【0029】二次転写部T2を通過した被記録材Pは、
中間転写ドラム105面から分離されて本発明の加熱装
置を熱源として用いた定着装置(加熱定着装置)100
へ導入され、未定着トナー画像が加熱定着処理されて定
着トナー画像となり、機外の不図示の排紙トレーに排出
される。定着装置100については次の(2)項で詳述
する。
【0030】被記録材Pに対するカラートナー画像転写
後の中間転写ドラム105は、クリーナ108により転
写残トナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃さ
れる。このクリーナ108は常時は中間転写ドラム10
5に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム10
5から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写
実行過程において中間転写ドラム105に接触状態に保
持される。
【0031】また転写ローラ106も常時中間転写ドラ
ム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラ
ム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二
次転写実行過程において中間転写ドラム105に被記録
材Pを介して接触状態に保持される。
【0032】(2) 定着装置(加熱定着装置)100 次に、本発明の加熱装置を熱源として用いた定着装置1
00について説明する。
【0033】本実施例における定着装置100は、電磁
誘導加熱を用いたフィルム加熱方式を採用している。図
2〜図5は、本実施例の定着装置100の要部の構成を
示す図であり、それぞれ、図2は側面の断面模型図、図
3は図2のA方向からみた正面模型図、図4は図2のII
−II線に沿った断面模型図、図5は図2のI−I線に沿っ
た断面を示す斜視模型図(定着フィルム不図示)であ
る。以下、各図を用いて本実施例の定着装置を説明す
る。
【0034】図2において、フィルムガイド16a・1
6bは断面略半円弧状樋型の形状をしており、開口側を
互いに向かい合わせて略円柱体を構成する。このフィル
ムガイド16a・16bの外周面側には、円筒状の定着
フィルム10がルーズに外嵌される。
【0035】磁場発生手段は磁性コア17a・17b、
励磁コイル18および励磁回路27(図7参照)より構
成される。磁性コア17a・17bは、フィルムガイド
16aの内側にT字状に配置されている。励磁コイル1
8は、磁性コア17a・17bおよびフィルムガイド1
6aによって囲まれた空間に保持されている。本発明の
特徴である磁性コア17a・17bの配置については、
後述する。磁性コア17a・17bは、高透磁率の部材
であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスの
磁性コアに用いられる材料が好ましく、100kHz以
上でも磁性の損失の少ないフェライトがより好ましく用
いられる。
【0036】励磁コイル18は、図5に示すように、給
電部18aおよび18bを有しており、これら給電部1
8a・18bによって励磁回路27に接続されている。
この励磁回路27は、20kHzから500kHzの高
周波をスイッチング電源により発生可能である。励磁コ
イル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周
波電流)によって交番磁束を発生する。
【0037】定着フィルム10の温度は、温度センサ2
6を含む温調系により検出され、励磁コイル18に対す
る電流供給が制御され、所定の温度が維持されるように
制御される。温度センサ26はサーミスタなどの温度検
知素子である。
【0038】フィルムガイド16a・16bは、定着ニ
ップ部Nへの加圧、磁場発生手段としての励磁コイル1
8と磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、定
着フィルム10の回転時の搬送安定性を図る。このフィ
ルムガイド16a・16bには、磁束の通過を妨げない
絶縁性を有し、かつ高い荷重に耐えられる材料が用いら
れる。このような材料としては、例えば、ポリイミド樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエー
テルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマーなどが挙げら
れる。
【0039】フィルムガイド16bには、図2に示すよ
うに紙面垂直方向長手の摺動部材40が定着ニップ部N
の加圧ローラ30との対向面側で、定着フィルム10の
内側に配設されている。すなわち、この摺動部材40
は、定着ニップ部Nにおいて、定着フィルム10を介し
て前記加圧ローラ30と対向する位置に配置されてい
る。
【0040】この摺動部材40は、定着ニップ部Nにお
いて、加圧ローラ30の加圧力に対して、定着フィルム
10をその内周面から支持する部材である。この摺動部
材40としては、摺動抵抗を低減させるために、滑り性
の良い部材が好ましい。このような部材には、フッ素樹
脂、ガラス、窒化ホウ素、グラファイト等が挙げられ
る。摺動部材40は、滑り性の他に、熱伝導性の高い部
材であると、さらに良い。
【0041】このような摺動部材40は長手方向の温度
分布を均一にする効果がある。例えば、小サイズ紙を通
紙した場合、定着フィルム10での非通紙部の熱量が摺
動部材40へ伝熱し、摺動部材40の長手方向の熱伝導
により、非通紙部の熱量が小サイズ紙通紙部へ伝熱され
る。これにより、小サイズ紙通紙時の消費電力を低減さ
せる効果も得られる。
【0042】本実施例では、アルミナ基板上に、ガラス
をコートした部材を使用した。
【0043】摺動部材40が導電性を有する場合、磁場
発生手段である励磁コイル18と磁性コア17a・17
bから発生する磁場の影響を受けないように、この磁場
の外に配設するのが好ましい。具体的には、摺動部材4
0を励磁コイル18に対して磁性コア17bから隔てた
位置に配設し、励磁コイル18による磁路の外側に配置
させる。
【0044】定着ニップ部Nにおける摺動部材40と定
着フィルム10との摺動摩擦力をさらに低減させるため
に、摺動部材40と定着フィルム10との間に耐熱性グ
リース等の潤滑剤を介在させることもできる。潤滑剤塗
布により、さらなる摺動抵抗の低減と装置の長寿命化を
図ることができる。
【0045】フィルムガイド16bの内面平面部には、
断面形状がコの字型で横長の加圧用剛性ステイ22が当
接されている。また、この加圧用剛性ステイ22と各磁
性コア17a・17bとの間には、これら両者を絶縁す
るための絶縁部材19が設けられている。
【0046】また、フランジ部材23a・23b(図3
参照)は、フィルムガイド16a・16bのアセンブリ
の左右両端部に外嵌させ、前記左右位置を固定しつつ回
転自在に取り付けられている。このフランジ部材23a
・23bは、回転時に定着フィルム10の端部を受けて
フィルムガイド16の長手方向に沿った寄り移動を規制
する。
【0047】回転加圧部材としての加圧ローラ30は、
芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成
形被覆させたシリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂
などの耐熱性弾性材層30bとで構成されている。この
加圧ローラ30は、芯金30aの両端部が定着装置のシ
ャーシ側板金(不図示)間に回転自由に軸受け保持され
ることにより配設される。
【0048】図3において、加圧用剛性ステイ22の両
端部と装置シャーシ(不図示)側のバネ受け部材29A
・29bとの間に、それぞれ加圧バネ25A・25bを
縮設することにより、加圧用剛性ステイ22に押し下げ
力が作用される。これによりフィルムガイド16bに設
けられた摺動部材40の下面と加圧ローラ30の上面と
が定着フィルム10を挟んで圧接して所定幅の定着ニッ
プ部Nが形成される。
【0049】加圧ローラ30は駆動手段Mにより、図中
矢印Aで示される反時計方向に回転駆動される。この加
圧ローラ30の回転駆動により、加圧ローラ30と定着
フィルム10の外面との摩擦力が発生し、定着フィルム
10に回転力が作用する。そして、定着フィルム10
は、その内周面を定着ニップ部Nにおいて摺動部材40
の下面に密着して摺動させながら、加圧ローラ30の周
速度にほぼ対応した周速度をもって、図中矢印bで示さ
れる時計方向にフィルムガイド16a・16bの外周を
回転する。すなわち、定着フィルム10は加圧ローラと
の表面摩擦力により、この加圧ローラ30に連動して回
転される。
【0050】図5に示すように、フィルムガイド16a
の周面には、複数の凸リブ部16eが、その長手方向に
所定の間隔を置いて形成されている。これにより、フィ
ルムガイド16aの周面と定着フィルム10の内面との
接触摺動抵抗を低減させて、定着フィルム10の回転負
荷を少なくしている。このような凸リブ部16eはフィ
ルムガイド16bにも同様に形成具備することができ
る。
【0051】図6は、磁場発生手段によって発生される
交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。
磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17
a・17bに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと
磁性コア17bとの間において定着フィルム10の発熱
層10aに渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層
10aの固有抵抗によって該発熱層にジュール熱(渦電
流損)を発生させる。ここでの発熱量Qは発熱層10a
を通る磁束Cの密度によって決まり、図6のグラフよう
な分布を示す。図6に示すグラフは、縦軸が磁性コア1
7aの中心を0とした角度θで表した定着フィルム10
における円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム1
0の発熱層10aでの発熱量Qを示す。ここで、発熱域
Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と
定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセス
に必要な発熱量が得られる領域である。
【0052】以上のように、励磁コイル18が励磁回路
27によって給電されることにより、定着フィルム10
が電磁誘導発熱して所定の温度まで上昇する。そして所
定温度に制御された状態で、画像形成手段部から搬送さ
れた未定着トナーtn画像(図2参照)が形成された被
記録材Pが、定着フィルム10と加圧ローラ30とが圧
接した定着ニップ部Nに、画像面が定着フィルム面に対
向するように導入される。
【0053】そして、被記録材Pが定着ニップ部Nにお
いて定着フィルム10と共に挟持搬送されていく過程に
おいて、被記録材P上の未定着トナーtnが加熱定着処
理される。未定着トナーtnは、定着ニップ部Nを通過
後、冷却されて定着トナーtn'となる。
【0054】本実施例ではトナーtnに低軟化物質を含
有させたトナーを使用したため、定着装置100にオフ
セット防止のためのオイル塗布機構を設けていない。低
軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合に
は、オイル塗布機構を設けてもよい。また、低軟化物質
を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷
却分離を行ってもよい。
【0055】暴走時の励磁コイル18への給電を遮断す
るための温度検知素子であるサーモスイッチ50は、定
着フィルム10外面の発熱域H(図6参照)の対向位置
に非接触に配設している。サーモスイッチ50と定着フ
ィルム10との間の距離は約2mmとした。これによ
り、定着フィルム10にサーモスイッチ50の接触によ
る傷が付くことがなく、耐久的な使用による定着画像の
劣化を防止することができる。
【0056】図7は本実施例で使用した熱暴走防止回路
の回路図である。サーモスイッチ50は、この熱暴走防
止回路に組み込まれている。サーモスイッチ50は24
VのDC電源とリレースイッチ70と直列に接続されて
いる。サーモスイッチ50が切れると、リレースイッチ
70への給電が遮断され、リレースイッチ70が動作し
て励磁回路27への給電が遮断されることにより、励磁
コイル18への給電を遮断する構成をとっている。
【0057】本実施例によれば、温調制御の故障による
定着装置100の暴走時、つまり、定着ニップ部Nに被
記録材Pが挟まった状態で定着装置100が停止し、励
磁コイル18に給電が続けられ定着フィルム10が発熱
し続けた場合でも、定着ニップ部Nで発熱する構成とは
違い、被記録材Pが挟まっている定着ニップ部Nでは発
熱していないので、被記録材Pが直接加熱されることが
ない。
【0058】また、発熱量が多い発熱域Hには、サーモ
スイッチ50が配設してあるため、サーモスイッチ50
が異常な昇温を感知してオープンになった時点で、リレ
ースイッチ70により励磁コイル18への給電が遮断さ
れる。本実施例によれば、被記録材Pの発火温度は約4
00℃近辺であるため該被記録材が発火することなく、
定着フィルム10の発熱を停止することができる。サー
モスイッチの他に、温度ヒューズを用いても良い。
【0059】以下に、上述した本発明の定着装置100
に用いられる各部材について説明する。
【0060】2-A) 励磁コイル18 本発明における磁場発生手段を構成する励磁コイル18
は、コイル(線輪)を構成する導線(電線)として、一
本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束
ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイ
ルを形成している。
【0061】絶縁被覆を行う被覆部材は、定着フィルム
10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆
を用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリ
イミドなどの被覆を用いるとよい。励磁コイル18は外
部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
【0062】励磁コイル18の形状は、図2のように、
定着フィルム10の曲面に沿うよう形成されている。ま
た、定着フィルム10の発熱層10aと励磁コイル18
との間の距離は、約2mmになるように設定した。
【0063】磁性コア17a,17b及び励磁コイル1
8と、定着フィルム10の発熱層10aとの間の距離は
できる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高くなる。こ
の距離は5mm以下であれば、定着フィルム10が高効
率に磁束を吸収することができるため、好ましい。この
距離が上記範囲よりも大きい場合には、磁束の吸収効率
が著しく低下してしまうため、好ましくない。
【0064】絶縁部材19の材質としては、絶縁性に優
れ、耐熱性がよいものが好ましい。例えば、フェノール
樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリ
エーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド
樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂
などを選択するとよい。
【0065】なお、図5において、励磁コイル18から
の引き出されている18A・18bについては、束線の
外側に絶縁被覆を施している。
【0066】2-B) 定着フィルム10(回転加熱部
材) 図8は、本実施例における加熱部材としての定着フィル
ム10の層構成模型図である。本実施例の定着フィルム
10は、電磁誘導発熱性の定着フィルム10の基層とな
る金属フィルム等でできた発熱層10aと、その外面に
積層した弾性層10bと、その外面に積層した離型層1
0cの複合構造のものである。発熱層10aと弾性層1
0bとの間の接着、弾性層10bと離型層10cとの間
の接着のために、各層間にプライマー層(不図示)を設
けてもよい。なお、図8において、略円筒形状である定
着フィルム10において、発熱層10aが摺動部材40
と接触する内側であり、離型層10cが加圧ローラもし
くは被記録材(被加熱材)と接触する外側である。
【0067】前述したように、発熱層10aに交番磁束
が作用することにより、発熱層10aに渦電流が発生し
て該発熱層が発熱する。その熱が弾性層10b・離型層
10cに伝達されるために、定着フィルム全体が加熱さ
れ、定着ニップ部Nに通紙される被記録材Pを加熱して
未定着トナーtn画像の加熱定着がなされる。
【0068】a. 発熱層10a 発熱層10aとしては、磁性および非磁性の金属を用い
ることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。こ
のような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステ
ンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった
強磁性体の金属が好ましく用いられる。また、定着フィ
ルム10の回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金
属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した
部材を用いるのも良い。
【0069】発熱層10aの厚さは、次の式で表される
表皮深さσ[m]より厚く、かつ200μm以下にする
ことが好ましい。発熱層10aの厚さをこの範囲とすれ
ば、発熱層10aが電磁波を効率よく吸収することがで
きるため、効率良く発熱させることができる。
【0070】 σ=503×(ρ/fμ)1/2 ・・・(1) ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは発熱層1
0aの透磁率、ρは発熱層10aの固有抵抗[Ωm]で
ある。
【0071】この表皮深さσは、電磁誘導で使われる電
磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところで
は電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと
殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図
10に示した発熱層の表皮深さと電磁波強度の関係を参
照)。
【0072】発熱層10aの厚さは、より好ましくは1
〜100μmがよい。発熱層10aの厚みが上記範囲よ
りも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収し
きれないため効率が悪くなる。また、発熱層10aが上
記範囲よりも厚い場合には、発熱層10aの剛性が高く
なりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用する
には現実的でなくなる。
【0073】b. 弾性層10b 弾性層10bは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオ
ロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が
好ましく用いられる。この弾性層10bの厚さは、定着
画像品質を保証するために10〜500μmであること
が好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像
などでは、被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像
が形成される。
【0074】この場合、被記録材Pの凹凸あるいは未定
着トナーtnの凹凸に加熱面(離型層10c)が追従で
きないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない
部分で画像に光沢ムラが発生する。すなわち、伝熱量が
多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢
度が低くなる。弾性層10bの厚さが上記範囲よりも小
さい場合には、上記離型層10cが被記録材Pあるいは
未定着トナーtnの凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラ
が発生してしまう。また、弾性層10bが上記範囲より
も大きすぎる場合には、弾性層の熱抵抗が大きくなりす
ぎ、クイックスタートを実現するのが難しくなる。この
弾性層bの厚さは、より好ましくは50〜500μmが
良い。
【0075】弾性層10bは、硬度が高すぎると被記録
材Pあるいは未定着トナーtnの凹凸に追従しきれず画
像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層10bの
硬度としては60゜(JIS-A)以下、より好ましくは
45゜(JIS-A)以下がよい。弾性層10bの熱伝導
率λは、6×10-4〜2×10-3[cal/cm・sec
・deg]であることが好ましい。熱伝導率λが上記範
囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着フ
ィルム10の表層(離型層10c)における温度上昇が
遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合に
は、弾性層bの硬度が高くなりすぎ、圧縮永久歪みが発
生しやすくなる。より好ましくは8×10-4〜1.5×
10-3[cal/cm・sec・deg]が良い。
【0076】c. 離型層10c 離型層10cは、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオ
ロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PF
A、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を
用いることが好ましい。
【0077】離型層10cの厚さは1〜100μmが好
ましい。離型層10cの厚さが上記範囲よりも小さい場
合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生
したり、耐久性が不足するといった問題が発生する。ま
た、離型層10cが上記範囲よりも大きい場合には、熱
伝導が悪化する。
【0078】図9に示すように、定着フィルム10の構
成において、発熱層10aの摺動部材40との接触面側
に断熱層10dを設けてもよい。断熱層10dとして
は、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PP
S樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの
耐熱樹脂がよい。また、断熱層10dの厚さとしては1
0〜1000μmが好ましい。断熱層10dの厚さが1
0μmよりも小さい場合には断熱効果が得られず、ま
た、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると
磁性コア17a・17b及び励磁コイル18から発熱層
10aまでの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1
0aに吸収されなくなる。断熱層10dは、発熱層10
aに発生した熱が定着フィルムの内側に向かわないよう
に断熱できるので、断熱層10dがない場合と比較して
被記録材P側への熱供給効率が良くなる。よって、消費
電力を抑えることができる。また、断熱層10dを摺動
性の良い材料で構成すれば、摺動部材40と定着フィル
ム10との摺動抵抗を軽減することもできる。
【0079】(3) 磁性コア17a・17bの配置 以下に、本発明の定着装置100の特徴である磁性コア
17a・17bの配置について説明する。
【0080】図6に示すように、磁性コア17a・17
bは、励磁コイル18からの磁束を定着フィルム10の
発熱層10aに導いて実質的に周方向に閉磁路を形成す
るように配置されている。本実施例は、閉磁路を形成す
るように、2つの磁性コア17a・17bを配置してい
るが、2つに限るものではなく、複数個の磁性コアで構
成することができる。そして、磁性コア17a・17b
は、それぞれ同一の高透磁率部材で構成されている。こ
れら磁性磁性コア17a・17bの空間距離が短いほ
ど、磁気結合が強くなり、発熱量が多くなる。
【0081】よって、定着フィルム10の回転方向と直
交する方向、すなわち定着フィルム10の長手方向に、
磁性コア間の空間距離を変化させれば、長手方向の発熱
量分布を調整することが可能である。この調整を行うこ
とにより、長手方向における定着フィルム10の温度分
布を均一にすることができる。その結果、長手方向にお
いて定着トナー像の光沢度の均一化が図れ、また端部に
おける定着トナー像のオフセットを防止することができ
る。
【0082】図11は、図2に示すIII−III線に沿った
磁性コア17a・17b・ホルダ16a・定着フィルム
10の断面模型図および、長手方向における発熱量の分
布を示した概略図である。図中では、絶縁板19と加圧
用剛性ステ-22は省略している。
【0083】本実施例の定着装置100において、磁性
コア17a・17bの空間距離d1・d2・d3は、磁
性コア17bの大きさを変えることにより、長手方向に
変化させている。長手方向の端部での放熱による温度低
下を考慮し、それぞれの空間距離d1・d2・d3の関
係は、端部での発熱量が多くなるように、 d1≧d2>d3 もしくは、 d1>d2≧d3 としている。この空間距離d1・d2・d3の関係は、
長手方向において、中央部から端部に向かって、短くな
っていれば良い。また、両端部は中央部に対し左右対称
となるような磁性コア配置をとっているが、両端部にお
ける放熱量の違いにより、左右非対称に磁性コア17a
・17bの空間距離d1・d2・d3を調整しても良
い。
【0084】以上のように磁性コア17a・17bの空
間距離を調整することで、端部における発熱量を中央部
よりも多くすることができるので、定着フィルム10の
温度分布を均一に調整することが可能である。
【0085】また、空間距離d1・d2・d3の中でと
りうる最小値を0とする構成、すなわち端部の磁性コア
17a・17b同士を接触させる構成としても良い。図
12に、磁性コア17a・17bの空間距離d3=0 す
なわち、 d1>d2>0 とした場合の磁性コア配置を示した。
【0086】磁性コア17a・17bの配設方法につい
て以下に説明する。本実施例では、磁性コア17aはコ
アホルダ16aに、磁性コア17bは図2に示す絶縁板
19(図11および図12では不図示)にそれぞれ接着し
て固定し、d1・d2・d3といった所望の空間距離を
保つようにしている。さらに、磁性コア間の空間距離を
精度良く確保するために、磁性コア間に、所望の空間距
離の厚みを持ったスペーサを挟み込むのが好ましい。こ
の場合、磁性コアはスペーサを挟んで圧接もしくは接着
して固定する。スペーサは、所望の空間距離が保てるだ
けの剛性を有し、さらに磁路を妨げない材質で構成する
が好ましい。このような材質として、ある程度の硬さを
有する非磁性の絶縁体が好ましく、絶縁性の樹脂などが
挙げられる。
【0087】(第2の実施例)以下に、本発明の第2の
実施例について説明する。画像形成装置および磁性コア
17a・17bの配置を除くその他の定着装置100の
構成は、第1の実施例と同一であるため、これらについ
ての説明は省略する。
【0088】図13は、本実施例の加熱装置を熱源とし
た定着装置100の形態を示すものであり、前記図11
と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0089】本実施例では、発熱層10aすなわち定着
フィルム10と磁性コア17aの空間距離を同一としな
がら、磁性コア17bの配置位置を長手方向で変化させ
る構成としている。実施例1の構成では、磁性コア17
aは長手方向において大きさの異なる形状にしなければ
ならないが、本実施例においては磁性コア17aは長手
方向において同一形状とすることができるので、定着フ
ィルム10の温度の均一化だけでなく、磁性コア17a
・17bの量産性や低価格化を図ることが可能である。
【0090】(第3の実施例)以下に、本発明の第3の
実施例について説明する。画像形成装置および磁性コア
配置を除くその他の定着装置100の構成は、第1の実
施例と同一であるため、これらについての説明は省略す
る。
【0091】図14は、本実施例の加熱装置を熱源とし
た定着装置100の形態を示すものであり、前記図11
と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0092】本実施例では、発熱層10aすなわち定着
フィルム10と磁性コア17bの空間距離を同一としな
がら、磁性コア17aの配置位置を長手方向で変化させ
る構成としている。すなわち、磁性コア17a・17b
の空間距離d1・d2・d3の関係は、端部での発熱量
が多くなるように、 d1≧d2>d3 もしくは d1>d2≧d3 としている。
【0093】この構成の場合、磁性コア17a・17b
間の空間距離dを長くすると、磁性コア17bの位置が
固定されているため、磁性コア17aと定着フィルム1
0との空間距離d'が短くなる。このため、以下の条件
が満たされる場合に、磁性コア17a・17b間の空間
距離dの調整による効果が発揮される。
【0094】磁性コア17a・17b間の空間距離d1
・d2・d3と、磁性コア17aと定着フィルム10の
発熱層10aとの空間距離d1'・d2'・d3'の関係
は、空間距離d1・d2・d3のうちd1が最大値であ
り、空間距離d1'・d2'・d3'のうちd1'が最小値
であるとすれば、 d1'≧d1 の関係が成り立てばよい。この関係が成り立つ構成であ
れば、磁性コア17a・17b間の空間距離d1・d2
・d3による発熱量変化は、定着フィルム10と磁性コ
ア17aの空間距離d1'・d2'・d3'よる変化より
も大きくなる。よって、磁性コア17a・17b間の空
間距離dによる発熱量の調整が可能となる。
【0095】(第4の実施例)以下に、本発明の第4の
実施例について説明する。画像形成装置の構成は、第1
の実施例と同一であるため、これについての説明は省略
する。
【0096】図15は、本実施例の加熱装置を熱源とし
た定着装置100の形態を示すものであり、前記図11
と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0097】本実施例の定着装置は、基本的に第1の実
施例に示す定着装置100と同様な構成であるが、本実
施例では、磁性コア17c・17d・17eの3つの磁
性コアをコの字状に配置したことと特徴とする。磁性コ
ア17cは、励磁コイル18の中心に位置している。こ
の磁性コア配置により、定着ニップ部Nに発熱域を集中
させることができるので、さらに効率良く、熱エネルギ
ーを未定着トナーtn画像の加熱定着処理に使用するこ
とが可能となる。また、このような複数の磁性コア17
c・17d・17eの組み合わせにより、様々な閉磁路
の形を実現することが可能である。
【0098】図16は、図15に示すIV-IV線に沿った
磁性コア17c・17d・17eの断面模型図である。
この構成においても、磁性コア間の距離を長手方向で変
化させることで、発熱量を調整することが可能である。
磁性コア17cと磁性コア17d間の空間距離をそれぞ
れd1・d2・d3、磁性コア17cと磁性コア17d
間の空間距離をそれぞれd4・d5・d6とすると、 d1+d4≧d2+d5>d3+d6 もしくは d1+d4>d2+d5≧d3+d6 となるように、磁性コアを配置している。すなわち、長
手方向の各位置における閉磁路を形成する磁性コア同士
の空間距離の和が、中央部から端部に向かって短くなっ
ていれば良い。この構成により、端部の発熱量を中央部
よりも多くすることができるので、長手方向の端部での
放熱による温度低下を補い、定着フィルム10の長手方
向の温度分布を均一にすることができる。
【0099】また、両端部は中央部に対し左右対称とな
るような磁性コア配置をとっているが、両端部における
放熱量の違いにより、左右非対称に磁性コア17c・1
7d・17eの空間距離d1+d4・d2+d5・d3+
d6を調整しても良い。
【0100】以上、各実施例を加熱定着装置として説明
したが、未定着トナー画像を有しない被記録材をニップ
部に導入通過させることにより、その被記録材の皺取
り、艶出しを精度よく行う加熱装置としても用いること
ができる。
【0101】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、発熱層
を有する回転加熱部材と、前記回転加熱部材と圧接して
ニップ部を形成する回転加圧部材と、前記発熱層に渦電
流を生じさせるための交番磁場を発生させる励磁コイル
と、前記励磁コイルからの磁束を前記発熱層の周方向に
導く閉磁路を形成する高透磁率部材とを有し、前期ニッ
プ部に被記録材を狭持搬送することで該被記録材の加熱
処理を行う加熱装置において、前記高透磁率部材は複数
個の部材で閉磁路を形成し、前記回転加熱部材と前記回
転加圧部材の回転方向と直交する方向に前記高透磁率部
材間の空間距離を変化させて構成したので、発熱層と励
磁コイルもしくは磁性コアとの距離を変えることなく、
長手方向における発熱量を調整して均一な温度分布を得
られる誘導加熱方式の加熱装置を、量産性良く、安価
に、提供することができる。
【0102】本発明によれば、長手方向の各位置におけ
る閉磁路を形成する高透磁率部材間の空間距離の和が、
回転加熱部材と回転加圧部材の回転方向と直交する方向
において、中央部から端部に向かって小さくなっている
部分を有するように構成したので、長手方向における発
熱量を調整して均一な温度分布を得られる誘導加熱方式
の加熱装置を、量産性良く、安価に、提供することがで
きる。
【0103】本発明によれば、長手方向の各位置におけ
る閉磁路を形成する高透磁率部材間の空間距離は、高透
磁率部材と発熱層との距離よりも短く構成したので、長
手方向における発熱量を調整して均一な温度分布を得ら
れる誘導加熱方式の加熱装置を、量産性良く、安価に、
提供することができる。
【0104】本発明によれば、回転加熱部材は円筒状フ
ィルムであり、発熱層は導電性部材で構成したので、発
熱層の熱を迅速に効率よく被記録材に伝える誘導加熱方
式の加熱装置を、量産性良く、安価に、提供することが
できる。
【0105】本発明によれば、表面に未定着トナー画像
が形成されている被記録材を挟圧搬送して該被記録材上
に該未定着トナー画像を加熱定着する加熱定着装置にお
いて、前記被記録材を加熱する加熱装置として本発明の
加熱装置を備えたので、被記録材の両側端部における定
着トナー像のオフセット防止することができ、未定着ト
ナー画像の品質を低下させることなく、常に安定した加
熱定着処理を行う加熱定着装置を得ることができる。
【0106】本発明によれば、被記録材上に直接または
間接に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前
記被記録材上に形成された未定着トナー画像を該被記録
材上に加熱定着する加熱定着手段とを画像形成装置にお
いて、前記加熱定着手段として本発明の加熱定着装置を
備える構成としたので、ウオームアップタイムの短く、
常に安定して高精度のプリントができる画像形成装置を
得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例における画像形成装置の構成概
略図
【図2】 第1の実施例の画像形成装置における定着装
置要部の側面の断面模型図
【図3】 図2のA方向から見た上記定着装置要部の正
面模型図
【図4】 図2のII−II線に沿った上記定着装置要部の
断面模型図
【図5】 図2のI−I線に沿った上記定着装置要部の断
面を示す斜視模型図
【図6】 磁場発生手段と発熱量Qの関係を示した図
【図7】 磁場発生手段と励磁回路の関係を示した図
【図8】 定着フィルムの層構成模型図
【図9】 定着フィルムの層構成模型図(断熱層有り)
【図10】 発熱層深さと電磁波強度の関係を示した図
【図11】 図2のIII−III線に沿った定着装置要部の
磁性コア配置を示す断面模型図
【図12】 図2のIII−III線に沿った定着装置要部の
断面模型図(d3=0の場合)
【図13】 第2の実施例の磁性コア配置を示す断面模
型図
【図14】 第3の実施例の磁性コア配置を示す断面模
型図
【図15】 第4の実施例における定着装置要部の側面
の構成概略図
【図16】 図15のIV−IV線に沿った定着装置要部の
磁性コア配置を示す断面模型図
【符号の説明】
10a…発熱層 10b…弾性層 10c…離型層 10d…断熱層 10…定着フィルム 16a・16b…フィルムガイド 17a・17b・17c・17d.17e…磁性コア 18…励磁コイル 22…加圧用剛性ステイ 25…加圧バネ 26…温度検知素子 30…加圧ローラ 50…サーモスイッチ 100…定着装置 101…感光ドラム 102…帯電装置 103…レーザ光 104…現像器 105…中間転写ドラム 106…転写ローラ 107…クリーナ C…交番磁束 H…発熱域 M…駆動手段 N…ニップ部 P…被記録材 Tn…未定着トナー Tn'…定着トナー T1…一次転写部 T2…二次転写部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H033 AA03 AA30 BA11 BA25 BB28 BE03 BE06 3K059 AB19 AB28 AD02 AD28

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発熱層を有する回転加熱部材と、前記回
    転加熱部材と圧接してニップ部を形成する回転加圧部材
    と、前記発熱層に渦電流を生じさせるための交番磁場を
    発生させる励磁コイルと、前記励磁コイルからの磁束を
    前記発熱層の周方向に導く閉磁路を形成する高透磁率部
    材とを有し、前記ニップ部に被記録材を狭持搬送するこ
    とで該被記録材の加熱処理を行う加熱装置において、前
    記高透磁率部材は複数個の部材で閉磁路を形成し、前記
    回転加熱部材と前記回転加圧部材の回転方向と直交する
    方向に前記高透磁率部材間の空間距離を変化させたこと
    を特徴とする加熱装置。
  2. 【請求項2】 長手方向の各位置における閉磁路を形成
    する前記高透磁率部材間の空間距離の和が、前記回転加
    熱部材と前記回転加圧部材の回転方向と直交する方向に
    おいて、中央部から端部に向かって小さくなっている部
    分を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱装
    置。
  3. 【請求項3】 長手方向の各位置における閉磁路を形成
    する前記高透磁率部材間の空間距離は、前記高透磁率部
    材と前記発熱層との距離よりも短いことを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の加熱装置。
  4. 【請求項4】 前記回転加熱部材は円筒状フィルムであ
    り、前記発熱層は導電性部材からなることを特徴とする
    請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の加
    熱装置。
  5. 【請求項5】 表面に未定着トナー画像が形成されてい
    る被記録材を挟圧搬送して該被記録材上に該未定着トナ
    ー画像を加熱定着する加熱定着装置において、前記被記
    録材を加熱する加熱装置として請求項1から請求項4の
    うちのいずれか1項に記載の加熱装置を備えたことを特
    徴とする加熱定着装置。
  6. 【請求項6】 被記録材を給紙部から排紙部まで搬送す
    る搬送手段と、前記搬送中の被記録材上に直接または間
    接に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記
    被記録材上に形成された未定着トナー画像を該被記録材
    上に加熱定着する加熱定着手段とを有する画像形成装置
    において、前記加熱定着手段として請求項5記載の加熱
    定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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CN101414148B (zh) * 2004-10-22 2012-03-28 佳能株式会社 图像加热设备

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