JP2003168327A - フラット配線材と積層配線材 - Google Patents

フラット配線材と積層配線材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の電気導体の接続や分岐が容易なフラッ
ト配線材と積層配線材とを提供する。 【解決手段】 少なくとも１本以上の扁平な電気導体が
絶縁体で被覆されたフラット配線材１と積層配線材。フ
ラット配線材１は、所望位置が折り曲げられて、幅方向
に突出する突出部１ａが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラット配線材と
積層配線材に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、自動車等の車両においては、安全
機類や電気部品（補機）を含む車載電装品の増加によ
り、電気回路の回路数が増加の一途を辿っている。従
来、自動車等の車両において、電気回路に用いられてい
るワイヤハーネスは、車種によっては、電線を５００〜
８００回路（本）程束ねて構成する必要がある。このた
め、ワイヤハーネスは、太径化や、製造時のタクトタイ
ム増大によるコストアップが問題となってきた。
【０００３】このため、ワイヤハーネスの小型化やコス
トダウンの見地から、扁平な電気導体を絶縁体で被覆し
た可撓性を有するフラット配線材が電気回路に使用され
るようになってきた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】これまで、多数積層さ
れたフラット配線材において、フラット配線材同士の層
間接続が必要な場合、例えば、５段目のある電気導体と
１段目のある電気導体とを接続したり、任意の位置で電
気導体を分岐したりする必要がある。このような場合、
２段目〜４段目のフラット配線材の存在が阻害要因とな
って接続が非常に困難であった。
【０００５】このため、接続箇所や分岐箇所を回路的に
延長してジョイントコネクタ（Ｊ／Ｃ）やジョイントボ
ックス（Ｊ／Ｂ）まで移動させているので、更に回路数
の増大に繋がっていた。従って、フラット配線材とＪ／
ＣやＪ／Ｂとの接続作業が煩雑化し、Ｊ／ＣやＪ／Ｂへ
戻す分のフラット配線材が余分に必要となり、フラット
配線材を用いたコストダウンや小型化のメリットが少な
くなるという問題があった。
【０００６】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、所望の電気導体の接続や分岐が容易なフラット配線
材と積層配線材とを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のフラット配線材においては、少なくとも１本以
上の扁平な電気導体が絶縁体で被覆されたフラット配線
材であって、所望位置が折り曲げられて、幅方向に突出
する突出部が形成されている構成としたのである。
【０００８】また、上記目的を達成するため本発明の積
層配線材においては、少なくとも１本以上の扁平な電気
導体が絶縁体で被覆されたフラット配線材の所望位置が
折り曲げられ、幅方向に突出する突出部が形成されたフ
ラット配線材を複数積層した積層配線材であって、前記
複数の突出部において前記フラット配線材の電気導体が
電気的接続手段で接続されている構成としたのである。
【０００９】好ましくは、前記電気的接続手段を、ステ
ープル状の端子やボンディングワイヤとする。また好ま
しくは、前記突出部は、前記合成樹脂を除去して前記電
気導体を露出させる。更に好ましくは、前記突出部は、
前記電気導体に端子を接続させる。
【００１０】好ましくは、前記所望の電気導体が接続さ
れた複数の突出部を絶縁体で被覆する。また好ましく
は、前記所望の電気導体が接続された複数の突出部を、
積層された複数のフラット配線材側に折り曲げ、締結部
材で一体に巻き付ける。
【００１１】
【発明の実施の形態】以下、本発明のフラット配線材と
積層配線材に係る一実施形態を図１乃至図１６に基づい
て詳細に説明する。フラット配線材１は、図１に示すよ
うに、所望位置が折り曲げられて、幅方向、即ち、長手
方向に対して直交する９０度方向に突出する突出部１ａ
が形成されている。突出部１ａは、この部分を利用する
ことにより所望の電気導体の接続や分岐を簡単に行うこ
とができる。フラット配線材１は、図２に示すように、
少なくとも１本以上、例えば、１０本の扁平な電気導体
１ｂが平行に並べられた状態で電気絶縁性の合成樹脂１
ｃで被覆された可撓性を有する扁平な配線材である。
【００１２】図１に示すフラット配線材１は、図２に示
す未加工のフラット配線材１を以下のように加工して得
られる。先ず、図３に示すように、図２に示すフラット
配線材１を所望位置で幅方向に９０度折り曲げる。この
とき、フラット配線材１は、図３に示す折り線Ｌf1が長
手方向に対して４５度となるように折り曲げる。
【００１３】次に、フラット配線材１の幅方向に折り曲
げた側を折り線Ｌf2に沿って更に下方へ折り曲げ、図４
に示すように１８０度折り戻す。次いで、フラット配線
材１の折り戻した側を、再度幅方向に９０度折り曲げる
と、突出部１ａが幅方向、即ち、長手方向に対して直交
する９０度方向に突出したフラット配線材１が容易に得
られる。このとき、フラット配線材１は、図１に示す折
り線Ｌf3が長手方向に対して４５度となるように折り曲
げる。
【００１４】ここで、フラット配線材１は、突出部１ａ
が幅方向に突出していれば、必ずしも９０度方向に突出
するものに限定されるものではなく、用途や使用目的等
に応じて種々の角度で突出していてもよい。また、突出
部１ａ形成のためにフラット配線材１を折り曲げる折り
曲げ角度も、４５度のみならず種々の角度としてよいこ
とは言うまでもない。
【００１５】また、突出部１ａは、フラット配線材１が
長い場合には上記のような折り曲げ加工が行い難くな
り、機械を用いた自動加工が難しい場合がある。このた
め、突出部１ａを一層容易に折り曲げ加工するには、例
えば、以下のようにする。即ち、先ず、フラット配線材
１を所望位置で重ね合わせて先端を折り潰すようにして
折り曲げ、図５（ａ）に示すように、重ね合わせ部Ｐを
表面から立ち上がらせる。
【００１６】次に、図５（ｂ）に示すように、重ね合わ
せ部Ｐをフラット配線材１の長手方向何れか一方の方向
に折り倒す。次いで、重ね合わせ部Ｐを長手方向に対し
て４５度となるように折り曲げると、図５（ｃ）に示す
ように、幅方向に突出する突出部１ａを一層容易に形成
することができる。このため、このように加工すると、
フラット配線材１が長尺であっても、所望の部分を局部
的に折り曲げるだけで幅方向に突出する突出部１ａを極
めて容易に形成することができ、機械加工も容易とな
る。
【００１７】次に、突出部１ａが形成された複数のフラ
ット配線材１を積層した積層配線材５について説明す
る。積層配線材５は、図６に示すように、所望位置に突
出部１ａが形成されフラット配線材１を複数、例えば、
３枚重ねて製造され、複数の突出部１ａにおいて異なる
フラット配線材１間における所望の電気導体が接続され
ている。この所望の電気導体の接続には、図７に示すよ
うに、フラット配線材１における複数の電気導体の配列
ピッチを考慮した脚６ａ〜８ａが適宜位置に設けられた
ステープル状の端子６〜８が使用される。
【００１８】そして、積層配線材５は、図８に示すよう
に、ステープル状の端子６〜８の脚６ａ〜８ａを異なる
フラット配線材間において、複数の突出部１ａの所望の
電気導体に貫通係止させ、所望の電気導体間を接続して
製造される。従って、積層配線材５は、所望位置に突出
部１ａが形成されフラット配線材１を複数積層し、複数
の突出部１ａにおいて異なるフラット配線材間における
所望の電気導体を接続するだけなので、所望の電気導体
の接続が非常に容易である。
【００１９】このとき、積層配線材５は、任意の電気導
体１ｂに部分的に孔を設けて断線させたフラット配線材
１を用いてもよい。ここで、異なるフラット配線材間に
おける所望の電気導体を接続するには、端子６〜８を使
用する他、図９に示すように、異なるフラット配線材１
において各突出部１ａの合成樹脂１ｃを除去して電気導
体１ｂを露出させ、隣接する突出部１ａ間で、露出した
所望の電気導体１ｂをボンディングヤイヤ９で接続して
もよい。ボンディングヤイヤ９を用いると、ステープル
状の端子６〜８のように形状の決まった複数種類の端子
６〜８を予め用意しておく必要がなく、１種類のボンデ
ィングヤイヤ９を適宜長さにカットして使用することが
できるというメリットがある。
【００２０】以上のようにして異なるフラット配線材間
における所望の電気導体を接続して製造される積層配線
材５は、使用上の安全性を確保するため、前記電気導体
の接続部を電気的に絶縁する必要がある。例えば、端子
６〜８を用いて所望の電気導体間を接続した積層配線材
５の場合には、図１０に示すように、一般的に電気絶縁
用として用いられるカバーレイフィルム（ポリエチレン
テレフタレート（ＰＥＴ）あるいはポリイミドフィルム
等に接着剤層を設けたもの）等の絶縁シート１１を複数
の突出部１ａに被せる。そして、絶縁シート１１を加熱
圧着することで複数の突出部１ａに接着し、図１１に示
すように絶縁する。また、樹脂フィルム単体を接着剤で
接着し、絶縁してもよい。
【００２１】一方、特にボンディングヤイヤ９で所望の
電気導体１ｂを接続した積層配線材５の場合には、図１
２に示すように、熱可塑性樹脂１２を電気導体１ｂが露
出した突出部１ａの被絶縁面に配置すると共に、複数の
突出部１ａを配置する凹部１３ａが形成された下型１３
と、上型１４とで挟み込み、加熱する。これにより、積
層配線材５は、図１３に示すように、ボンディングヤイ
ヤ９で所望の電気導体１ｂが接続された複数の突出部１
ａが絶縁される。この場合、絶縁シート１１で絶縁する
と、絶縁シート１１を取り付ける際等に、圧迫されたボ
ンディングヤイヤ９が露出した他の電気導体１ｂと触れ
てしまうことが生じるので電気絶縁上好ましくない。
【００２２】以上の他、被絶縁面をプリント基板の絶縁
で用いられる熱硬化型レジスト又はフォトレジストにて
絶縁してもよい。また、積層配線材５、例えば、図１１
の積層配線材５では、図１４に示すように、幅方向に複
数の突出部１ａが突出している。このため、積層配線材
５では、突出している突出部１ａが車両のスペース上邪
魔になることがある。
【００２３】このようなときには、絶縁シート１１で被
覆した複数の突出部１ａをフラット配線材１側に折り曲
げ、図１５に示すように、テープやタイラップ等の締結
体１５で締結する。このようにすると、積層配線材５
は、複数の突出部１ａが占めるスペースを最小限にする
ことができる。ここで、積層配線材５は、図１６に示す
ように、突出部１ａの所望の電気導体に取り付けたオス
端子１７にワイヤハーネス１８の端部に取り付けられた
メスコネクタ１８ａを接続する。これにより、積層配線
材５は、オス端子１７を介して分岐用のワイヤハーネス
１８と接続され、所望のフラット配線材１の所望の電気
導体１ｂを所望の位置で簡単に分岐させることができ
る。
【００２４】また、積層配線材５は、図１６に示すよう
に、合成樹脂１ｃを除去して電気導体１ｂを露出させ
る。そして、電気導体１ｂが露出した各突出部１ａに分
岐用のワイヤハーネス１８の端部に取り付けられたメス
コネクタ１８ａを接続する。これにより、積層配線材５
は、露出した電気導体１ｂを介して分岐用のワイヤハー
ネス１８と接続され、所望のフラット配線材１の所望の
電気導体１ｂを所望の位置で簡単に分岐させることがで
きる。
【００２５】尚、上記実施形態において、フラット配線
材１は、電気導体の数が１０本の場合について説明し
た。しかし、本発明のフラット配線材は、少なくとも１
本以上の扁平な電気導体が絶縁体で被覆されていればよ
く、電気導体の数が１０本に限定されるものでないこと
は言うまでもない。
【００２６】
【発明の効果】請求項１，２の発明によれば、所望の電
気導体の接続や分岐が容易なフラット配線材と積層配線
材とを提供することができる。請求項３，４の発明によ
れば、積層したフラット配線材の突出部で所望の電気導
体を非常に容易に接続することができる。
【００２７】請求項５，６の発明によれば、積層したフ
ラット配線材において所望のフラット配線材の所望の電
気導体を所望の位置で簡単に分岐させることができる。
請求項７の発明によれば、積層配線材の使用上の安全性
を確保することができる。請求項８の発明によれば、積
層配線材の複数の突出部が占めるスペースを最小限にす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のフラット配線材の一実施形態を示す斜
視図である。
【図２】図１のフラット配線材の加工前における斜視図
である。
【図３】図２のフラット配線材における突出部の形成過
程を示すもので、フラット配線材を幅方向に９０度折り
曲げた状態の斜視図である。
【図４】図３のフラット配線材を１８０度折り戻した状
態の斜視図である。
【図５】本発明のフラット配線材における突出部の他の
形成過程を示す斜視図である。
【図６】フラット配線材を複数積層した本発明の積層配
線材の斜視図である。
【図７】図６に示す積層配線材において、異なるフラッ
ト配線材間における突出部の所望の導体を接続するステ
ープル状の端子の一例を示す斜視図である。
【図８】図７に示す端子を用いて異なるフラット配線材
間における所望の導体が接続された積層配線材の突出部
を示す斜視図である。
【図９】図６に示す積層配線材の複数の突出部におい
て、異なるフラット配線材間における所望の導体がボン
ディングヤイヤで接続された状態を示す斜視図である。
【図１０】図８の突出部を絶縁体で被覆する様子を示す
斜視図である。
【図１１】図８の突出部が絶縁体で被覆された状態の斜
視図である。
【図１２】図９の突出部を絶縁体で被覆すると共に、型
で覆う様子を示す斜視図である。
【図１３】図９の突出部が型で覆った状態の斜視図であ
る。
【図１４】絶縁体で被覆された図１１に示す突出部を積
層配線材の端部から見た端面図である。
【図１５】絶縁体で被覆された図１１に示す突出部を積
層された複数のフラット配線材側に折り曲げ、締結部材
で一体に巻き付けた状態の端面図である。
【図１６】図６に示す積層配線材において、被覆が除去
された突出部と電気導体に端子が接続された突出部に、
分岐用のワイヤハーネスを接続する様子を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
１ フラット配線材 １ａ 突出部 １ｂ 電気導体 １ｃ 合成樹脂 ６〜８ 端子（ステープル状の） ６ａ〜８ａ 脚 ９ ボンディングヤイヤ １１ 絶縁シート １２ 熱可塑性樹脂 １３ａ 凹部 １３ 下型 １４ 上型 １５ 締結体 １７ オス端子 １８ ワイヤハーネス １８ａ メスコネクタ Ｌf1〜Ｌf3 折り線 Ｐ 重ね合わせ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｈ０２Ｇ 3/38 Ｈ０１Ｒ 9/07 Ｂ ５Ｇ３７５ 15/08 Ｚ Ｆターム(参考） 5E077 BB05 BB11 BB23 BB37 DD11 DD20 HH02 JJ18 JJ20 JJ30 5G309 EA09 EA11 5G311 CA01 CA05 CD03 CF03 CF05 5G355 AA08 BA01 BA11 5G363 AA16 BA05 DC02 5G375 AA11 CA02 CA13 CA19 CC07 DA36 DB16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 少なくとも１本以上の扁平な電気導体が
    絶縁体で被覆されたフラット配線材であって、所望位置
    が折り曲げられて、幅方向に突出する突出部が形成され
    ていることを特徴とするフラット配線材。
  2. 【請求項２】 少なくとも１本以上の扁平な電気導体が
    絶縁体で被覆されたフラット配線材の所望位置が折り曲
    げられ、幅方向に突出する突出部が形成されたフラット
    配線材を複数積層した積層配線材であって、前記複数の
    突出部において前記フラット配線材の電気導体が電気的
    接続手段で接続されていることを特徴とする積層配線
    材。
  3. 【請求項３】 前記電気的接続手段が、ステープル状の
    端子である、請求項２の積層配線材。
  4. 【請求項４】 前記電気的接続手段が、ボンディングワ
    イヤである、請求項２の積層配線材。
  5. 【請求項５】 前記突出部は、前記合成樹脂が除去され
    て前記電気導体が露出されている、請求項２の積層配線
    材。
  6. 【請求項６】 前記突出部は、前記電気導体に端子が接
    続されている、請求項２の積層配線材。
  7. 【請求項７】 前記所望の電気導体が接続された複数の
    突出部が絶縁体で被覆されている、請求項２の積層配線
    材。
  8. 【請求項８】 前記所望の電気導体が接続された複数の
    突出部が、積層された複数のフラット配線材側に折り曲
    げられ、締結部材で一体に巻き付けられている、請求項
    ２の積層配線材。
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