JP2003164188A - 永久磁石電動機装置、冷凍サイクル装置、永久磁石電動機の駆動方法 - Google Patents

永久磁石電動機装置、冷凍サイクル装置、永久磁石電動機の駆動方法

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JP2003164188A
JP2003164188A JP2001357265A JP2001357265A JP2003164188A JP 2003164188 A JP2003164188 A JP 2003164188A JP 2001357265 A JP2001357265 A JP 2001357265A JP 2001357265 A JP2001357265 A JP 2001357265A JP 2003164188 A JP2003164188 A JP 2003164188A
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    • Y02B30/70Efficient control or regulation technologies, e.g. for control of refrigerant flow, motor or heating

Abstract

(57)【要約】 【課題】 位置センサを用いることなく永久磁石電動機
を駆動する装置において、モータ定数を同定することに
よって永久磁石電動機の最大効率駆動を実現する。 【解決手段】 永久磁石同期電動機と、電動機を運転す
るインバータと、電動機に流れる電流を検出する電流検
出器と、電流検出器にて検出された電流を用いて電動機
の回転子位置を検出することなく位置センサレス駆動す
るインバータ制御手段を有する電動機駆動装置におい
て、インバータ制御手段にて永久磁石電動機の電動機定
数を同定する機能を有し、インバータ制御手段にて同定
された電動機定数に基づいて電動機の出力を算出する電
動機出力算出手段をもち、出力算出手段の演算結果に応
じて、インバータからの出力を調整する調整手段を備え
ることによって、電動機を高効率にセンサレス駆動する
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石電動機及
びそれを駆動する駆動装置に関するもので、特に電動機
の定数を駆動装置自身で同定することによって電動機の
高効率運転状態を維持するよう制御する技術、及びその
技術を使用した冷凍サイクル装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】図10は、例えば特開2000−341
999号公報に示された従来の同期電動機の逆起電圧定
数の定数同定方法に関するものである。本技術が示され
ている公報では、逆起電圧定数を誘起電圧定数と記述し
ているが、同一のものである。図10において、101
は速度コントローラ、102はδ軸電流コントローラ、
103はγ軸電流コントローラ、104はベクトル制御
回路、105はインバータ回路、106は同期電動機、
108はγδ軸電流、誘起電圧推定器、113は電動機
定数同定器である。
【0003】図10の動作について説明する。γδ軸電
流、誘起電圧推定器108にて、γδ軸上での電流推定
値および誘起電圧推定値を出力する。出力された電流推
定値及び誘起電圧推定値に基づいてγδ軸電流補正器11
2を介してδ軸電流コントローラ102およびγ軸電流
コントローラ103にて電動機106に流れる電流をコ
ントロールし、誘起電圧推定器108にて推定される誘
起電圧推定値を更に求める。これらの推定値の偏差がゼ
ロになるよう定数同定を電動機定数同定器113にて行
い、定数の同定を行うものである。
【0004】これにより、同定された電動機定数によっ
て高性能な電動機制御ができるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開2000−341
999号公報に示されている技術は、同期電動機の位置
を検出しない位置センサレス方式を採用している。その
ため、速度の推定や位置の推定を行うことも同時に行う
ような制御ブロックに図10はなっている。
【0006】しかしながら、速度や位置を推定するため
に電動機定数は必要なのであるが、その電動機定数を同
定する為、γδ軸上の電流の推定値と検出値とから誘起
電圧を推定し、電動機定数を同定している。このように
制御ブロックを構成すると、電動機定数の同定に誤差を
生じると、速度や位置の推定にも誤差を生じる結果とな
り、位置の推定に誤差が生じると、3相電流をγδ軸上
の電流に変換する部分にも誤差が発生し、推定の推定に
て成り立つ制御であるため、全ての推定に対し誤差が許
容されない高性能な制御が必要とされる技術である。
【0007】さらに、γδ軸電流を定数同定のために電
流制御するため、同定のために電圧を印加しており、モ
ータの最高効率動作点となるような最適電圧印加となっ
ていない。特開2000−341999号公報に示され
ている技術は、電動機の効率よりも速度応答性や安定性
などいった制御性能を追求する技術である。
【0008】また、特開平9−191698号公報にも
同様な技術が記載されているが、位置推定を行う制御ブ
ロック内部にて電動機定数を同定、推定をする制御ブロ
ックを構成しており、これも制御性能を追求する技術で
ある。
【0009】さらに、特開2000−245191号公
報に示される技術は、電動機が回転中に印加電圧を遮断
し、その際の端子電圧と速度を検出することによって、
逆起電圧定数を算出するものである。特開2000−2
45191号公報に示される技術では、一時的にも印加
電圧を遮断してしまうため、電動機の速度が低下し、電
動機に接続されている負荷によっては、印加電圧を遮断
することは不可能であることもある。また、負荷の慣性
力が小さい場合、印加電圧の遮断後に素早く電動機の端
子電圧および速度を検出する検出の速度応答も必要であ
り、そのような状態の速度の検出は、非常に高い精度が
要求される。
【0010】また、印加電圧の遮断を瞬時に解除しても
電動機が停止もしくは停止状態に近い状態にまで速度が
低下してしまい、再起動といった状況といった状況に陥
る可能性がある。センサレス駆動の場合、100%起動
が確実とは言えず、逆起電圧定数の同定のために電動機
が一時的にも停止してしまう恐れがある。
【0011】さらに、特開2000−312498号公
報にも永久磁石同期電動機の電動機定数を同定する同定
方法の技術が示されている。永久磁石の磁束φを回転中
に検出する方法が示されているが同様に制御性能を追求
するものであり、更に、位置センサレスではなく、位置
センサを用いたセンサ駆動の構成であるため、特開20
00−312498号公報に示される技術をセンサレス
駆動に適用することは非常に難しい。
【0012】また、特開平9−182499号公報、お
よび特開平10−229700号公報にも電動機定数を
同定する技術が示されているが、精度の良い制御を追及
するものであって、更に付け加えると前述と同様に位置
センサによって電動機定数を精度良く検出可能な技術で
あって、位置センサレスの場合、適用は難しい。
【0013】本発明は上記の課題を解決するために鑑み
られたもので、位置センサ駆動制御であろうと位置セン
サレス駆動制御であろうと、常に効率良く運転できる信
頼性の高い永久磁石電動機装置及び永久磁石電動機の駆
動方法を得ることを目的とする。本発明は電動機が動作
することによって時々刻々変化する電動機定数を検出し
ながら、電動機を高効率動作状態にて運転する永久磁石
電動機装置及び永久磁石電動機の駆動方法を得ることを
目的とする。更に本発明は位置センサレス駆動を実現
し、かつ位置センサレス駆動に対し効率良く運転できる
永久磁石電動機装置を得ることを目的とする。本発明は
効率の良い信頼性の高い冷凍サイクル装置を得ようとい
うものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明の
永久磁石電動機装置は、インバータにて駆動され運転す
る永久磁石電動機と、永久磁石電動機の回転子の位置を
検出しあるいは位置を推測してインバータを制御するイ
ンバータ制御手段と、インバータ制御手段に設けられ永
久磁石電動機の運転開始前あるいは運転途中に永久磁石
電動機の電動機定数を同定する定数同定手段と、定数同
定手段にて同定された電動機定数に基づいて永久磁石電
動機の出力を算出しこの算出結果によりインバータ制御
手段への指令値を調整する調整手段と、を備えたもので
ある。
【0015】請求項2に係る本発明の永久磁石電動機装
置の定数同定手段は、永久磁石電動機を回転させないよ
うにインバータを動作させて電動機定数を同定するもの
である。
【0016】請求項3に係る本発明の永久磁石電動機装
置の定数同定手段は、永久磁石電動機の一定速度運転中
に検出した電流を用いて電動機定数を同定するものであ
る。
【0017】請求項4に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、永久磁石電動機が動作中に同定された電動機定
数、及び永久磁石電動機に流れる電流を電流検出器にて
検出した電流値に基づき算出される指令値の調整に応じ
て、永久磁石電動機を高効率動作状態にて運転するよう
制御するものである。
【0018】請求項5に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、永久磁石電動機が動作中に同定された電動機定
数、永久磁石電動機に流れる電流を電流検出器にて検出
した電流値、及び永久磁石電動機の回転速度と、に基づ
き算出され調整された指令値に応じて、永久磁石電動機
への印加電圧および永久磁石電動機の回転速度の双方を
調整することによって永久磁石電動機を高効率動作状態
にて運転するよう制御するものである。
【0019】請求項6に係る本発明の永久磁石電動機装
置の、定数同定手段にて同定される永久磁石電動機の逆
起電圧定数は、指令値から設定されるインバータにおけ
る回転座標軸あるいは永久磁石電動機における検出され
た回転座標軸と永久磁石電動機の予測された座標軸との
間の誤差分を算出し、この誤差分を補正したモータの回
転座標軸上の値を用いて逆起電圧定数を算出するように
したものである。
【0020】請求項7に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、永久磁石電動機の温度による変化する定数を定数
同定手段にて同定し、電動機温度を推定するものであ
る。
【0021】請求項8に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、定数同定手段にて同定された逆起電圧定数と予め
設定されている常温時の逆起電圧定数との値より電動機
温度を推定し、推定した温度における電動機の抵抗成分
を温度補正して抵抗成分を同定するものである。
【0022】請求項9に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、インバータ制御手段で同定される永久磁石電動機
の定数あるいは算出される出力あるいはあるいはこれら
の定数や出力を含むパラメータをインバータ制御手段の
外部に引き出し可能にしたものである。
【0023】請求項10に係る本発明の永久磁石電動機
装置は、インバータ制御手段で同定される永久磁石電動
機の定数あるいは算出される出力あるいはあるいはこれ
らの定数や出力を含むパラメータと、あらかじめ設定さ
れた値とを比較して所定以上の差を検出した時に表示ま
たは報知するものである。
【0024】請求項11に係る本発明の永久磁石電動機
装置は、永久磁石電動機に流れる電流を検出する電流検
出器と、電流検出器にて検出された電流を用いて電動機
の回転子位置を検出することなく位置センサレス駆動す
るインバータ制御手段と、を備えたものである。
【0025】請求項12に係る本発明の永久磁石電動機
装置は、同定手段で同定された電動機定数の変化を遅ら
せるものである。
【0026】請求項13に係る本発明の冷凍サイクル装
置は、本発明の永久磁石電動機装置を使用し、冷媒を冷
凍サイクルに吐出する圧縮機と、を備え、冷媒の温度も
しくは圧力による永久磁石電動機の環境変化に対して電
動機定数を同定し、同定したこの電動機定数を使用して
永久磁石電動機を駆動するものである。
【0027】請求項14に係る本発明の永久磁石電動機
の駆動方法は、永久磁石電動機の電動機定数を永久磁石
電動機を回転させずに同定するステップと、永久磁石電
動機を回転させずに同定した後で電動機定数を永久磁石
電動機を一定速度で回転させて同定するステップと、同
定された電動機定数に基づいて永久磁石電動機の負荷運
転中の出力から運転状態を算出するステップと、を備え
たものである。
【0028】請求項15に係る本発明の永久磁石電動機
の駆動方法は、永久磁石電動機の負荷運転中に永久磁石
電動機に流れる電流を検出し、電流を一定とする制御に
対しトルクを大とする方向に、あるいは回転速度を一定
とする制御に対し電流を小とする方向に、電流指令値を
補正するステップと、を備えたものである。
【0029】請求項16に係る本発明の永久磁石電動機
の駆動方法は、永久磁石電動機の電動機定数を永久磁石
電動機を回転させずに同定するステップと、永久磁石電
動機を回転させずに同定した後で電動機定数を永久磁石
電動機を一定速度及び一定電流で回転させて同定するス
テップと、同定された電動機定数に基づいて永久磁石電
動機の負荷運転中の定数あるいは定数を含むデータが所
定の範囲かどうかを判断するステップと、を備えたもの
である。
【0030】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、本発明の
実施の形態1を示す回路ブロック図である。図1におい
て、1は永久磁石電動機(モーター)、2はモーター1
を駆動するインバータ、3はモーター1の回転子位置を
検出せずにモータ1を駆動するよう制御するセンサレス
制御部、4はモーター1に流れる電流を3相交流座標系
から直交座標系へ座標変換を行う3軸2軸変換部、5は
センサレス制御部3にて算出された2軸電圧をインバー
タ2から出力する為、3相交流座標系へ座標変換を行う
2軸3軸変換部、6はモーター1を駆動制御する為にセ
ンサレス制御3へ入力される指令値が格納されている指
令値格納部、7はモーター1に流れる電流を検出する電
流検出器である。
【0031】図1において、前記モーター1から電流検
出器7にて電流を検出した信号を使用し、モーター1の
回転子位置を検出することなく位置センサレスにてモー
ター1を駆動することが可能である。但し後述のように
センサレスでなくモーター1のローター位置を検出して
モーター定数を同定しても良い。なおこの場合位置セン
サ付きで位置を検出していてもモーターの固定子巻線が
集中巻きのような場合固定子からの磁束が歪みセンさに
て検出している軸が真のモーター軸とずれる場合があ
り、センサ駆動の場合であってもセンサレスと同様に電
流を検出して軸位置を推測し補正したり軸位置として使
用することは望ましい。ここで同定という言葉を使用す
るがこの同定、identify、は固有の値を計測し検出する
ことで特定する、という意味でモーター自身の持ってい
る特性を特定する、すなわちモーター個々にばらつきは
あるが1つの個体には1つの特性を持っているのでそれ
を特定するという意味である。
【0032】図1は電源からの電力をインバータで電圧
制御してモータを駆動し回転数や出力、トルクなどを制
御する回路構成で、通常の位置センサレス制御における
制御ブロックに対し、モーター1のモータ定数を同定す
るモータ定数同定部10と、モータ定数同定部10にて
同定されたモータ定数を用いてモーター1の出力を算出
するモータ出力算出部11と、センサレス制御部3へ入
力されている指令値をモータ出力算出部11にて算出し
たモーター出力に応じて調整する指令値調整部12を付
加することによって構成されるものである。
【0033】まずは、図1におけるセンサレス制御につ
いて簡単に説明する。インバータ2から電圧が出力され
ると、モーター1に電流が流れ、モーター1を駆動する
ことができる。モーター1は永久磁石電動機であるた
め、モーター1の回転子の位置に応じて電圧をモーター
1に印加しなければモーター1を駆動し続けることはで
きない。そこで、モーター1に流れる電流を電流検出器
7にて検出し、検出した3相電流(Iuvw)を3軸2
軸変換部4にて、直交座標系である2軸電流(I γδ
に変換する。
【0034】変換された2軸電流(Iγδ)をセンサレ
ス制御部3へ入力し、センサレス制御部3内部で演算す
ることによって、出力すべき2軸電圧(Vγδ)と、3
軸2軸変換部4および2軸3軸変換部5にて使用する座
標変換角度(θ)およびモータ1の角速度(ω1)を
得る。このVγδとθ、ω1を得るために、一般的に
はモータの電圧電流方程式を用いて算出するが、本発明
ではどのような方法でVγδとθ、ω1を算出するか
を問題にしているのではない。モーターの電圧電流方程
式を用いてセンサレス駆動するようなセンサレス制御部
3であればよいことは言うまでもない。
【0035】センサレス制御部3にて、算出されるV
γδを2軸3軸変換部5に入力し、3相交流電圧(V
uvw)に座標変換し、インバータ2へ入力する。この
3相交流電圧(Vuvw)に従い、インバータ2よりモ
ータ1へ電圧が印加されモーター1がセンサレス駆動さ
れるというのが、一般的な電流検出による位置センサレ
ス駆動である。
【0036】センサレス制御部3の構成方法に対しては
多くの技術が示されており、3軸2軸変換部4や2軸3
軸変換部5の座標変換のための角度θとしてモーター
上の回転軸角度を推測する方式やインバータ上の回転軸
をθとして直接使用する方式などの技術が知られてい
る。本発明はどのような構成のセンサレス制御3でも良
いが、モーターの電圧電流方程式を用いてセンサレス駆
動する方式である必要がある。これは、モーターの電圧
電流方程式にはモータ定数が使用されており、このモー
タ定数を同定してモーター1を最適駆動することが本発
明の主旨だからである。なお回転子の位置を検出して制
御する場合でもモーターの電圧電流方程式を用いて駆動
する方式である必要がある。これは、モーターの電圧電
流方程式にはモータ定数が使用されており、このこの制
御する特定のモーターの特定のモータ定数を同定してこ
のモータ1を最適駆動する為である。
【0037】次に、図に示すセンサレス制御に使用され
る制御ブロック以外の構成要素について説明する。モー
タ定数同定部10では、永久磁石電動機であるモーター
1のモータ定数を同定する。同定するモータ定数は、一
例として、モーターの抵抗成分(R)、d軸インダクタ
ンス成分(Ld)、q軸インダクタンス成分(Lq)、
逆起電圧定数(φ)の4種とする。
【0038】これらのモータ定数は、センサレス制御部
3にてセンサレス駆動するためには不可欠のものであ
り、これら定数の値がモーター1の固有の値と異なる
と、モーター1の効率が低下しモーター性能が低下する
だけでなく、モーター1が動作不能に陥ることもあり得
る。そこで、まず、モーター1の駆動開始前に、モータ
ー1のモータ定数を同定する。例えば、モーター1の抵
抗成分を同定するには、モーター1を拘束されるようイ
ンバータ2より電圧を印加して流れた拘束電流から抵抗
成分を同定することが最も容易であり、一般的に知られ
る方法である。図2に示す回路ブロック図は、モータ1
を拘束する通電方法の一例を示すものである。なおイン
バータ2のモーター1と反対側には記載していないが電
源、直流電源でも交流電源をコンバータで整流し直流に
変換するものでも良いが、存在しモーターを駆動する電
力を供給する。
【0039】図2に示されるインバータ2は6ヶのパワ
ー素子2a〜2fとコンデンサ2gとで構成されてい
る。パワー素子はそれぞれスイッチ動作を行うスイッチ
とスイッチと逆並列に接続されるダイオードの一対にて
構成されている。モータ1を拘束するためには、モータ
1に直流を印加すればよいので、図2に示すように2a
および2d、2fをオンさせその状態を維持すれば、直
流を励磁することとなり拘束電流が流すことが可能であ
る。尚、図2において実線は拘束電流が流れる経路を示
し点線は電流が流れない素子を示している。また、電流
の流れる方向を矢印として表す。パワー素子2a〜2f
の動作はその制御端子にセンサレス制御部3から信号を
供給することで行われる。センサレス制御部には記憶手
段や演算手段が設けられており、モーター1を拘束する
指令が来た場合にあらかじめ記憶手段に位置とインバー
タの各パワー素子の動作の関係を記憶させておくので、
この記憶されあらかじめ設定された位置に回転子を拘束
できることになる。
【0040】ここで、パワー素子2a、2d、2fをオ
ンし続け、かつコンデンサ2gの両端電圧がモータ1の
抵抗成分に比して非常に高い場合、モータ1に過大な電
流が流れてしまう。通常、パワー素子2aをオンオフす
ることによって、モータ1に過大な電流が流れないよう
に制御する。パワー素子2aがオフする期間は、パワー
素子2bのダイオードを介して拘束電流が流れる。この
ようにパワー素子2aのオンオフの割合を制御すること
によって、電流量も制御でき、モータ1の相抵抗(R)
を同定することが可能である。なお電流量の制御はあら
かじめ設定しておいても良いし計測値に基づいて低い電
流に下げる制御でも良い。
【0041】図3に抵抗の同定方法の一例を示すフロー
チャートを示す。図4(a)は等価回路図、図4(b)
は特性図である。このフローチャートの動作はセンサレ
ス制御部3の中に記憶されている。まず、パワー素子の
2d、2fをオンさせる。この2つのパワー素子はオン
させ続ける。(s−101)。次に、パワー素子2aの
オンオフを開始する。尚、パワー素子2aのオン割合は
徐々に増加させるよう制御し、開始時は、予め設定され
る開始割合にて開始するように構成すればよい。(s−
102)
【0042】パワー素子2aのオンオフを開始すると、
モーター1に電流が流れ始める。モーター1が拘束され
ていると考えると、モーター1は単なるLR負荷と考え
ることができ、図4(a)に示すような回路で等価的に
表すことができる。LR負荷に直流電圧を印加するた
め、図4(a)におけるスイッチSをt=0にてオンし
た場合(図4中では直流電圧をEとした)、図4(b)
に示すとおり、ある一定時間経過すると、電流は一定値
(E/R)に収束、安定することは公知の理論である。
【0043】従って、パワー素子2aの動作を開始後、
過電流レベルに達しず(s−103)、電流が上昇し続
けている(s−104)の場合、パワー素子2aのオン
割合を増加して(s−105)、パワー素子2aのオン
オフ動作を継続させる。検出された電流が安定した場
合、検出された電流値を用いて抵抗成分を算出する(s
−106)。以上のような動作により、相抵抗(R)は
同定可能である。
【0044】次に、インダクタンス成分の同定方法につ
いて述べる。モーター1は永久磁石電動機であり、モー
ター1が回転した場合、回転子に構成されている永久磁
石による誘導電圧がモーター1の固定子側に誘起され
る。その為、前述の抵抗の同定方法もモーターが回転し
ないよう拘束して同定する方法について述べたが、イン
ダクタンス成分についてもモーター1を回転させずに同
定する方が容易である。
【0045】そこで、モーター1に高周波のパルス電圧
を印加する。印加されるパルス電圧によりパルス電流が
流れるが、パルス電圧の印加によってモーター1が回転
しなければ、前述と同様、モーター1はLR負荷と考え
ることができる。印加されるパルス時間が微少時間でL
Rの時定数よりも遙かに小さい場合、流れるパルス電流
に抵抗成分Rの影響がでない。
【0046】これを図4を用いて考える。図4(a)中
におけるスイッチSを微少時間オンさせるということと
パルス印加とは同義である。LR直流回路における電流
iを時間tの関数とすれば、iのtにおける関数は次の
数式1のようにおける。
【0047】
【数1】
【0048】tが微少時間であるとすると、t=0の極
限を求めると、E/Lとなり、抵抗成分Rの影響を排除
できるのである。従って、パルス印加により抵抗成分R
が除去でき、モーター1が回転しないため誘導電圧の影
響も無視できる為、印加するパルス電圧と検出されるパ
ルス電流からインダクタンス成分が同定できる。
【0049】ここで、モーター1を静止2軸座標系にて
考えると、抵抗成分および誘導電圧、角速度が0とおけ
るので、高周波パルス印加時は、下式のようにインダク
タンス成分(Ld、Lq)のみでモーター1を電圧電流
方程式にて表すことができる。尚、静止2軸座標系の電
圧をVα、Vβ、電流をiα、iβとし、モータ1の回
転子の位置をθとする。
【0050】
【数2】
【0051】上式より、電圧、電流、回転子位置がわか
れば、モーター1のインダクタンス成分であるLd、L
qが算出できる。ここで、電流は電流検出器7にて検出
し、電圧はインバータ2より出力するのでセンサレス制
御部3にその制御信号が存在し、電圧電流は既知となる
が、本構成では位置センサレスの制御ブロックに追加し
てモータ定数を同定するモータ定数同定部10であるか
ら、回転子位置θは既知でない。
【0052】そこで、例えば、前述の抵抗同定のための
モーター1の拘束が有効となる。これは、拘束するため
にパワー素子を動作させ永久磁石電動機1に働きかけて
おり、動作させたパワー素子の組み合わせによって、モ
ーター1の拘束される位置は先に述べた様に一意に決定
する。そこで、拘束動作後に、インダクタンス成分の同
定を実施すると、回転子位置も既知の状態で、上式によ
ってインダクタンス成分を算出できる。
【0053】また、上記のように拘束後に行うというの
は一例であり、他にも回転子位置θを消去する方策はあ
る。例えば、モータ1が三相モータであれば、各巻線は
120度の間隔を持って配置されるので、三相交流理論
を用いて、次式を使用することが出来る。
【0054】
【数3】
【0055】数3式から回転子位置θが不明でも、回転
子が動かないようなパルスを印加しているので、上式か
ら算出することも可能である。これはロータがある位置
θで停止しておりパルスを印加してもロータが回転しな
ければ停止状態が維持されるのでパルス出力前のθとパ
ルス出力後のθが一致し、同様のパルスをU,V,Wと
3回出力すれば3相分の電流データが計測できこのデー
タと数3式を用いればθが除去できる。
【0056】図5はインダクタンスの同定方法を示すフ
ローチャートであり、図2のような状態で電源側からパ
ルス電圧を印加S−201し、電流を検出S−202す
る。上記で説明したような算出式でインダクタンスを算
出S−203する。このようにインダクタンスを同定す
ると、残るモータ定数は、逆起電圧定数(φ)である。
逆起電圧定数は回転子に構成された永久磁石が回転した
ときの固定子側の巻線に対する鎖交磁束Φの時間変化率
にて発生する誘導電圧の角速度比例係数である。言い換
えると、角速度が0の場合、dΦ/dt=0となり、検
出不能となる。
【0057】従って、モーター1が微少でも動作する、
すなわち回転する必要があり、モーター1を動作させて
同定することとなる。センサレス制御部3にて逆起電圧
定数φがモーター1の真値と異なる場合、センサレス制
御部3でのセンサレス駆動に支障がでるため、センサレ
ス制御部3で位置を推定しないインバータにより制御さ
れる他励による強制運転もしくは逆起電圧定数として何
らかの概略値を入力して何らかの方法にてモーター1を
駆動する。
【0058】そこで、例えば、図6を使用して同定方法
の一例を説明する。図6は逆起電圧定数を算出するフロ
ーチャートである。まずは、モーター1をインバータを
電圧制御して強制的に回転させる(s−301)。そし
て、モーター1に印加する電圧及び周波数を徐々に上昇
させていくと、モーター1はインバータ2で出力される
回転磁界に回転子の磁石が引き込まれ、モーター1によ
って異なるもののある程度の回転数まで回転させること
ができる(s−302)。この際の回転速度は、インバ
ータ2にて制御している周波数、すなわち出力している
回転速度と一致する。これは、永久磁石電動機の特徴を
利用するものである。
【0059】そこで、予め与えられたある所定の回転数
まで上昇した後、その回転数による安定回転状態を維持
する(s−305)。安定回転時におけるモーター1の
電圧電流方程式は、過渡項となる微分項が0になるた
め、算出しやすくなる。そこで、モーターの電圧電流方
程式より、逆起電圧定数を算出する。但し、この場合、
モーター1の抵抗成分Rおよびインダクタンス成分L
d、Lqを電圧電流方程式内に使用するため、前述に示
した抵抗およびインダクタンスの同定完了後に行うこと
が重要である。尚、抵抗の同定とインダクタンスの同定
の順序はどちらが先かは問題ではない。
【0060】ここで、逆起電圧定数φを算出する方程式
であるが、他励による強制駆動であるため、モータ1の
回転子の位置θとインバータでの出力位置θ1は一致し
ていないため、Δθ=θ−θ1なる位置の差分をΔθと
すると、下式のように導くことができる。
【0061】
【数4】
【0062】これらにインバータ2からの出力電圧、出
力周波数、および電流検出器7にて検出した検出電流を
用いて逆起電圧定数φをモータ定数同定部10内のマイ
コンでの演算処理により算出することができる。上式に
おいて、他励による強制運転中は、回転数が通常運転よ
りも低い回転数を予め設定しておけば、Δθが非常に小
さくなる。そこで、モータ1による永久磁石の誘導電圧
分よりもインダクタンスでの電圧降下の方が充分に小さ
いとして、上式のインダクタンスの式のみ下式のように
近似する。
【0063】
【数5】
【0064】上式のように近似すれば、電圧電流方程式
は下式のようになり、逆起電圧定数φを容易に算出する
ことができる。しかし、下式において負荷トルクが大き
くなると、前記近似による誤差が発生するため、安定運
転させる回転数はできる限り低く、負荷トルクの小さい
領域での回転数を設定することが望ましい。
【0065】
【数6】
【0066】尚、負荷トルクがかかる領域では、前述の
通り、上式では誤差が発生するため、定常運転中の同定
によって誤差を抑制することが望ましい。
【0067】例えば、Δθを近似せず算出すれば、モー
ター1の回転子位置θをΔθ=θ−θ1の数式より算出
できる。そして、算出した回転子位置θによる3軸2軸
変換を行えば、モーター1上における回転座標軸上の計
算となり、正確な逆起電圧定数Φを算出できるが、この
方法を用いると多少複雑な制御となる。
【0068】以上のようにして、モーター1を定常運転
する前にモーター1のモータ定数を同定するようモータ
定数同定部10が作用する。また、モータ1は定常運転
中にも、モータ定数が変化する。モータ定数において、
抵抗Rと逆起電圧定数φは温度依存性を有し、インダク
タンスLd、Lqは電流依存性を有するからである。従
って、センサレス制御部3にてモーター1をモータの負
荷に必要な通常の定常運転している最中でも、モータ定
数を同定するようモータ定数同定部10は動作すること
ができる。
【0069】モータ定数同定部10にてモータ定数を同
定するのであるが、起動前にモータ定数の同定作業を行
うため、センサレス制御部3はモータ定数同定部10の
運転中の同定結果が無くともセンサレス駆動可能であ
り、また、図1に示すとおり、センサレス制御部3は独
立に動作可能なように構成しているので、あらかじめ設
定された定数や指令値で同定結果が無くともセンサレス
駆動可能である。
【0070】ここで、前述の通り、モーター1のモータ
定数はモーター1の運転によって変化するため、運転に
支障を起さない精度の良い制御や効率向上を考えると運
転中にも同定する必要がある。運転中の同定は、モータ
ーの電圧電流方程式を用いる。前述通り、定常回転にて
安定にセンサレス運転中であれば、過渡項がゼロになる
ので、微分項=0とおける。センサレス運転中は、セン
サレス制御部3にて計算される位置データからモータ1
の回転軸上に座標変換を行い、下式のようなモーター1
の回転軸となるdq軸上での方程式から求める。
【0071】
【数7】
【0072】この場合、抵抗Rは温度依存性であり、温
度は微少時間で上昇しないとして、抵抗Rは不変とし
て、上式よりLqおよびφを算出する。φの算出時にL
dの影響がでるが、Ldは電流依存性がきわめて小さい
ことを利用して、まずはφを算出する。
【0073】さらに、φの温度変化量は、磁石材料の特
性にて決まるため、φを同定することによって、概略温
度が推定でき温度依存性の抵抗値を同定することができ
る。例えば低速時の低い温度の時と負荷が加わり高い電
流の場合の両方の逆起電圧定数を求めることにより理論
的にもまたあらかじめ実験により求め記憶された表を使
用するなどして回転子の温度が推定できる。そして、最
後にLdを同定するようにすると負荷に対する運転を続
けた状態で定常運転中のデータにより同定することは可
能である。
【0074】同定したモータ定数にてセンサレス制御部
3の値を補正するように構成するのであるが、あらかじ
め設定されたデータに基づいて行われるセンサレス制御
部3によるセンサレスにて回転速度や出力制御を行う制
御よりも、同定した結果を反映させ行う制御による応答
を遅くすることで、すなわち同定したデータに基づくセ
ンサレス制御をループ速度をゆっくりすることによりハ
ンチングを避けることができる。すなわちフィルタによ
りセンサレス制御部3での制御周期よりも遅い周期で制
御してハンチングを避けることが出来る。このフィルタ
は同定前と同定後で電動機定数が異なる場合センサレス
制御部あるいはセンサ制御部の制御周期よりも十分に長
い、例えば10倍程度の時定数の周期、または時間で徐
々に同定後の定数に近づける演算手段である。よりもま
た、フィルタを介して徐々に同定結果を反映させるよう
に構成しても問題はない。
【0075】また、上述のようにモーター1の回転軸上
の方程式から求めなくとも、インバータ2に接続される
モータ1が元々既知であれば、モーター1の温度特性に
おける逆起電圧定数φ、抵抗Rはデータテーブルとして
予め与え、モーター定数同定部にて温度を計測すること
によって定数を同定するように構成しても問題はない。
【0076】またさらに、インバータ2に接続されるモ
ーター1が既知であれば、モーター1の動作前にモータ
定数同定の作業を行わず、予め設定しておいても問題は
ない。また、既知であるため予め設定しておき、起動前
のモータ定数同定作業によって、電線の接続不良やモー
ターの取り付け間違いを検出できるようになり、製造不
良のラインチェックを行うと信頼性向上につながる。さ
らに、製品毎の個体ばらつきを補正することも可能とな
り、更に信頼性が増加する。例えばモーターとして考え
られない範囲の抵抗を検出した場合、言いかえると記憶
された範囲を逸脱するデータが得られた場合、モーター
定数同定部のマイコンの演算処理部では接続不良などの
異常と判断させる。また取り付けられるモーターが既知
であればそのモーター定数と本来接続されるべきモータ
ーとが異なっているとして取付け不良の判定が可能であ
る。モーター1の定数が既知であれば例えば計測値から
同定したモーター定数が±20%以内で無ければ不良と
か、あるいは複数のモーター定数の組合せで判断しても
良い。これには各種パラメータ、例えば突極比=Lq/
Ldや、モーターの時定数=R/Lや、インダクタンス
の平均値=(Ld+Lq)/2のようなものでも良い。
【0077】さらに、上記において同定するモータ定数
はR,Ld,Lq,φの4種としたが、何も4種全て行
わなくともよく、比較的変動が少ない定数が予め判明し
ている場合は、その定数は除いても問題ないことは言う
までもない。また、逆起電圧定数φを同定するので永久
磁石の減磁も検出でき、故障診断部などをセンサレス制
御部3に有していても問題がないことは言うまでもな
い。以上のようにして、モーター1が回転している時、
すなわち動作中でもモータ定数を同定するように、モー
タ定数同定部10は作用する。
【0078】次に、モータ出力算出部11の動作につい
て説明する。モーター1の出力は、トルクと回転数の乗
算値にて定義される。通常、出力トルクは特別なセンサ
を設けない限り検出できないため、出力トルクは通常、
検出することなくモーター1を動作させる。それは、モ
ーター1が接続している負荷の負荷トルクが変化するこ
とにより、回転数が変化するので、モーター1を回転数
制御していれば負荷トルクに対する必要トルクをモータ
ー1より出力できるからである。
【0079】しかしながら、モーター1は回転数と出力
トルクの乗算値によって出力KWが決まり、この出力K
Wに応じた回転数にて駆動している方がモーター1の効
率は高い。またさらに、モーター1を効率よく駆動させ
る電流の位相はトルク依存性があり、効率の高くなる電
流位相角度は、回転数が変化してもほとんど変化しな
い。よって、モーター1を駆動するためにセンサレス制
御部3へ入力する動作指令値となる電流指令と回転数指
令は、モーター1の出力トルクに応じて変化させること
で、モーター1を効率良く駆動させることが可能にな
る。
【0080】そこで、モータ出力算出部11では、ま
ず、モータ定数同定部10にて同定されたモータ定数を
用いてモーター1の出力トルクを算出する。永久磁石電
動機は、モーター1の極対数をPmとすると、下式の数8
式にてトルクが与えられる。定常運転状態でもモータ定
数を同定するため、精度の高い出力トルクを算出でき
る。
【0081】
【数8】
【0082】モータ出力算出部11で、検出した電流
値、同定した逆起電圧定数やインダクタンスのようなモ
ータ定数、及びあらかじめ設定されたり記憶部に記憶さ
れている極対数のようなデータに基づいて出力トルクお
よびモータ出力KWを算出し、モーター1の出力を指令
値調整部12に入力する。指令値調整部12では、モー
ター1の算出された出力トルク及びモーター出力KWに
応じて、後に述べるようにモータ1の回転数指令値やγ
軸成分の電流指令を調整する。図7にモーター1を回転
2軸座標系にて記述したベクトル図を示す。dq軸はモ
ーターの回転子を基軸とした座標軸であり、γδ軸はイ
ンバータ2におけるセンサレス制御部3内部の回転座標
軸である。このような各軸はセンサレス制御部3で扱っ
ており、ここで、電流iにおけるγ軸成分を変化させる
と電流iとq軸との位相差εが変化する。この位相差ε
によってモーターの効率が大きく変化する。
【0083】インバータにおける電圧制御に必要な指令
値は指令値格納部6に設定されている。この設定値は外
部からの入力により簡単に変更されたり運転状況に応じ
て自動的に設定変更されるが、この指令値格納部から出
力され調整された電流指令値Iγsに応じてモーターに
印加される電圧がインバータの制御により変化する。こ
の電流指令値Iγsの変化に応じてモーターに流れる電
流と印可する電圧の位相が変化する。すなわち図7のベ
クトル図が示すように電圧と電流の位相差を変化させる
ようなもので、この位相差を動作点毎に、あるいは所定
の時間毎に同じ電流値、すなわちスカラー量でトルクが
最大となる位相差にモーター出力算出部11と指令値調
整部12に設けたマイコンの演算部で算出しながら電流
指令値Iγsの補正量を求め、電流指令値を補正するこ
とにより最も効率が高いモーターの駆動状態を得ること
が出来る。なお同一電流であれば入力は同一となり、ト
ルク最大なら出力最大となるので、効率を最大に制御す
ることや、同一電流で最大トルクに制御することや、同
一トルクで最小電流に制御することも可能である。すな
わちモーターである永久磁石同期電動機の負荷の条件、
例えば定速運転、負荷変動大などや、インバータ制御の
目的に応じて電流一定の条件で最大トルクを求め制御し
たり、算出されたトルクが一定になるように電流を制御
等を行えば良い。出力を算出して指令値を調整するだけ
でなく、出力トルクが最大となる、あるいはモーターの
相電流が最小になるように電流指令値を調整するよう制
御を構成し、出力を直接算出しないような構成であって
も上記と同等な効果が得られることは言うまでもない。
【0084】電流指令値Iγsを変化させるとd軸電圧
Vdとq軸電圧Vqも変化する。ここでd軸電圧Vdと
q軸電圧Vqの二乗和の平方根に変化が無ければ印加す
る電圧のスカラー値は変化しない。しかしながら電圧ベ
クトルの位相が変化すればd軸電圧Vdとq軸電圧Vq
の値が変化し印加電圧が変化するので電流も変化する。
これはスカラー値が一定でも位相が変化している。磁束
によるトルクはq軸電流iqにより決まり、リラクタン
ストルクはid*iqの乗算値によって変化するので数
8式の如く電流が変化すればトルクも変わる。従って出
力トルクが変わるので負荷トルクが変わらなければモー
ターの回転数が変化する。もし回転数制御を行っている
とすると回転数が変わることにより電圧のスカラー値を
変化させようとインバータ制御が働く。このように電流
指令値Iγsが位相を、回転数指令がスカラー値を変え
ようとする。なおこの説明は分かりやすいように分けて
説明したもので実際は両者が相互に干渉しあい動作する
ので一方によって両者が動く形となる。
【0085】なお電圧制御を行うインバータでは印加電
圧とは電圧の振幅と位相があり、回転数制御の場合出力
周波数をこの電圧で制御しているので電圧の中にはこの
電圧の周波数も含まれることになる。このように前記位
相差εは、トルク依存性があり、トルクに応じて設定す
ることが望ましい。しかしながら、トルクを検出もしく
は算出していない場合には、回転数に対して位相差εが
最適値となるようなγ軸成分の電流指令が設定すること
が可能である。以上のように本発明は永久磁石電動機が
動作中に同定された電動機定数と、電流検出器にて検出
された電流値と、永久磁石電動機の回転速度とに基づい
て算出される永久磁石電動機の出力に応じて永久磁石電
動機への印加電圧および永久磁石電動機の回転速度の双
方を調整することによって永久磁石電動機を高効率動作
点にて駆動するよう制御するものである。
【0086】本発明では、モータ定数同定部10により
定常運転中に変化するモータ定数を同定し、モータ出力
算出部11によって出力トルクを精度良く算出するよう
構成したので、前記γ軸成分の電流指令を出力トルクに
応じて設定でき、モータ1が最高効率となるような動作
点で駆動されるように指令値調整部12にて指令値を調
整する。モーター出力トルクは上述の数8式で説明して
いる。図7のベクトル図によるとdq軸上での電流id,iq
は電流のスカラー値をIとすると、id=−Isin
ε、iq=Icosεとなり、トルクと電流位相角は、
T=Pm*φ*Icosε−Pm*(Ld−Lq)*I
*I*sin2εとなる。このトルクは磁石トルク、す
なわちφによるトルクとリラクタンストルク、すなわち
LdLqの突極性によるトルクが合成されたもので電流
I一定において電流位相角εに対し最大値を有するよう
に変化するので、最大トルクが出力できる電流位相角イ
プシロンに成るように制御することでモーターを高効率
に制御できる。
【0087】上記のトルクの式からモーターの定数φ、
Ld、Lq、Pmが変化しないとするとトルクTが電流
i、すなわちスカラー値Iと位相角εのみで変化するの
で電流位相角εはトルクに依存する。γ軸電流指令のみ
に応じて変更してモーター効率を常に高い状態に維持す
る制御が行える。しかも、モーター1の運転中にモータ
ー定数を同定しているので、負荷トルクの変化に係わら
ず図7に示すようなベクトルの関係を導くことができ
る。従って、モーター1が時々刻々と変化するベクトル
図で表されるような状況下になったとしても、その時刻
変化によるベクトル変化がモータ定数同定により精度良
く算出できるようになり、モーター1をより高効率な運
転ポイントとなるよう前記電流指令を調整することがで
きる。
【0088】さらに、モーター1の逆起電圧が歪みを有
する場合においても、時刻変化によるベクトル変化にて
最適指令値が出力されるので、モーター1の逆起電圧形
状に一致するような印加電圧形状に調整することがで
き、歪みのある逆起電圧を有するモーター1でも効率よ
く駆動することが可能となる。これは指令値格納部6か
ら出力される指令値が変化しなくとも、指令値調整部1
2にてセンサレス制御部3に入力される指令値が調整さ
れるので、時刻毎のモーターの運転状況に応じた最適動
作ポイントでの動作を実現できる。上記で説明したγ電
流指令値のIγsは、例えば、指令値調整部12のマイ
コンの記憶手段に、回転数に対するテーブルで記憶させ
ておく方式、すなわち実機に合わせて求めた数値で制御
する。この方式は実機に合わせて調整しており効率が高
い指令値となるが調整していない動作点、例えばテーブ
ルにない運転では効率が必ずしも高くならない。
【0089】そこで図7のベクトル図にある電流位相角
εを求め現在動作している動作点に対し位相角を本来効
率が高いと設定された位相角へ近づけるように指令値を
変化させて制御することが出来る。最適な位相角は既に
説明したようにdq軸上の電流実効値が検出できれば算
出可能で、指令値Iγsを増加するとベクトル図の時計
回りの方向に回転し位相角εは小さくなり、指令値Iγ
sを低下するとベクトル図の反時計回りの方向に回転し
位相角εは大きくなる。γ軸電流指令値のIγsをチュ
ーニングすることにより電流位相角を最高効率で駆動制
御する場合、最高効率となる電流位相角εm=sin
−1((φ−√(φ+8*Ia*(Ld−L
q)))/4*Ia*(Ld−Lq))、但しIa=
√(iγ+iδ)であらわされる。このようにγ軸
電流指令値のIγsをチューニングすることにより一定
電流条件下、すなわち銅損一定で最大出力位相に電流を
制御し効率が高くなる。
【0090】また、高効率の動作ポイントの判断である
が、モーターの出力を算出するモータ出力算出部11が
構成されており、モーター1の出力は算出可能である。
また、インバータ2から出力される電圧は自ら出力して
いる値であり、インバータ2の出力電流は電流検出器7
にて検出している。よって、インバータ2の出力、言い
換えるとモーター1の入力を算出することは可能であ
り、モーターの入力と出力を算出することができ、モー
ターの効率を算出できる。よって、指令値調整部12に
てモーター1の効率が最も高くなるよう指令値を調整す
ればよい。
【0091】また、図7に示すようなベクトル図を時刻
変化に対応して算出可能であることから、モーター1に
流れる電流ベクトルが最も小さくなるように指令値を調
整しても良い。入力出力から効率が算出できれば最適点
を検索するため前々回値、前回値と今回値とを比較して
何処が最も効率が高いかを探索する方法などが取り得
る。このように指令値を少しづつ変化させながら効率を
演算し指令値を調整すれば良い。
【0092】以上のようにこの発明で高効率動作点に運
転状態を設定する説明をしてきたが、この高効率動作と
いうのは電流が最小で最大トルクとなる動作点を示して
おり、永久磁石電動機の用途、種類などや、負荷に応じ
て最大効率動作点、最小電流動作点、最大トルク動作
点、最小銅損動作点、出力同一では入力最小動作点、入
力同一では出力最大動作点などで説明することも出来
る。これらにおいて一定回転数状態では、トルクが同一
で最小電流となる状態、あるいは電流が同一で最大トル
クとなる状態に対し、印加電圧であるγ軸電流指令のみ
の調整で高効率動作点に設定した運転状態でモーターを
駆動できる。更に異なる回転数では出力と入力の比率が
最も高くなる状態に対し、印加電圧であるγ軸電流指令
と回転数指令の双方を調整することによって、高効率動
作でで駆動できる。この場合回転数一定で電流指令のみ
で調整するとすれば入力一定条件下において出力トルク
が最大になるよう調整するようになり、もし回転数指令
も一緒に調整するのであれば出力トルク*回転数である
出力KWが最大に調整するよう調整部が働く。また出力
を必ずしも算出しなくとも指令値の調整は可能である。
数8式からトルク最大になるように偏微分にてその極を
求めることで求められる最高効率となる電流位相角εm
やこれと同等な簡略式など等により指令値調整を行うこ
とが出来る。
【0093】次に、指令値調整部12での回転数の指令
の調整について述べる。回転数制御にてモーター1を駆
動すると、指令値格納部6からの回転数指令が変化しな
ければ、当然モーター1の回転数を一定に維持するよう
制御される。例えば、負荷トルクが増加した場合、イン
バータ2からの出力電圧が変化しなければモーター1の
回転数が低下するので、インバータ2からの出力電圧を
増加して回転数を一定に維持するよう制御するのが、一
般的な回転数制御である。
【0094】本発明では、指令値格納部6の回転数指令
が一定であったとしても指令値調整部12によって回転
数指令が変化してモーター1を最適回転数に調整するも
のである。これは、例えば負荷トルクが増加した場合、
回転数を指令値以上に調整して、モーターを効率の良い
動作点にて駆動させるものである。モーター1は一般的
に低速高トルク領域での効率は低い。そのような領域で
の動作を避け、効率の高い運転ポイントにてモーター1
を駆動させるよう指令値調整部12は作用する。
【0095】モーター1が負荷に接続されている場合、
回転する負荷は何らかの慣性モーメントを有している。
回転体の有するエネルギーは、慣性モーメントをJとす
ると、Jω/2で表され、角速度の2乗に比例する。
従って、負荷トルクが増加した場合、回転数を増加させ
ることで回転エネルギーを増加させることができ、モー
ター1より必要となる出力エネルギーを低減させること
ができる。すなわち実際の回転数の変化がほとんど無く
ともトルク変動への対応が可能である。以上のようにモ
ーターの動作について粘性やイナーシャを検出した処理
によりモーターの起動、運転の問題を起さないだけでな
く精度の良い運転が可能である。
【0096】このように、負荷の増減によって回転数を
変化させ、モーター1からは必要最小限の出力とするこ
とでモーター1にて発生する損失を必要最小限に抑制で
き、効率のよい駆動を実現できるのである。
【0097】ただし、上記のような指令値調整部12に
よる回転数指令の調整は、回転数が規定されているよう
な用途、例えば、圧延機などの工作機のような用途では
使用できない。しかし、例えば、空調機などの圧縮機モ
ーターの用途の場合、回転数の制御は2次的な要素であ
り、冷媒の流量を制御するため、回転数を制御している
場合、回転数が幾つであっても必要とする冷房能力を出
力できる冷媒流量が確保できればよい。このような回転
数制御が2次的な要素であるような用途へモーター1が
適用されている場合、モーター1を高効率な動作ポイン
トに回転数を自動制御できるようになる。
【0098】尚、回転数が規定されている用途のため回
転数指令を調整しなくとも、電流指令を調整することに
よって高効率動作点でモーター1を駆動できるようにな
ることは言うまでもない。すなわち回転数の指令値は一
定速度を維持したまま電流を増やして負荷トルクの増大
やトルク変動に対処できる。しかも時々刻々変化する状
態をベクトル的に捉え自動的に検出してモーターに適し
た、すなわち効率を狙う場合にはモーターに適した印加
波形の電圧をインバータに供給するので常に最も効率の
良い状態を得ることが出来る。
【0099】以上のように、モーター1のモータ定数を
モーター1の起動前に同定することによって、インバー
タ2に接続されるモーター1がどのようなものであって
もモーター1をセンサレス制御することができるだけで
なく、インバータ2の標準化が可能となり、大量製造に
よる低コスト化が可能となる。すなわちインバータはハ
ード面とソフト面で構成されておりハード面は適用個所
における電流容量や耐電圧能力など定格で決められる。
ソフト面は制御CPUとROMなどから成り立つ。ROM
には動作に適したテーブルデータなどが入力されており
ROM容量で標準化が左右される。制御器で動作点におけ
る指令値などを自動でチューニングすることでROM容量
が低減できハード構成は同一でもROMによって異なるイ
ンバータが標準化可能になる。すなわちハードに応じて
電流容量などが異なる場合でも自分でモーターの特性を
同定してインバータの使用範囲を必要最小限の範囲にマ
イコンにて設定することにより、あるいは更に電流制限
値をテーブルにて保有しどのデータを使用するかという
外部からの入力により変更可能なマイコンを使用するこ
とにより、どのようなハードにも対応できるインバータ
制御が得られる。またブラシレスモーターでは永久磁石
ロータであり、永久磁石は過電流による減磁が問題とな
る。ROMにモーター定数を入力しておき同定したモー
タ−定数から過電流の設定値を設定変更できれば過電流
リレーなどハードの標準化も可能になる。更に同定した
各定数や演算処理した数値から得られた指令値の設定を
変更可能にすることにより安定した運転を維持できるよ
うになる。
【0100】また、接続されるモーター1が既知であ
り、予めモータ定数が与えてある場合には、事前設定値
と同定した値を比較しこの差が所定値よりも大きくなる
場合には、取り付けミスや各装置や電源の接続不良等と
判断して外部に表示したり報知したりすることが出来
る。すなわちマイコンナイでデータを検出することがで
き、インバータとモーターの組合せなどの信頼性が向上
できる。また運転前、あるいは軽い負荷での運転時に不
良を見つけられるので直ちに運転停止をしたり、あるい
は運転継続の検討が容易に行える。
【0101】さらに、モーターの定常運転中に、モータ
定数を同定し、精度良くモーターの出力を算出すること
によって、モーターの出力に応じた電流位相および回転
数にてモーターを制御できるようになるので、モーター
を高効率動作点にて動作させることが可能となり、モー
ター1を適用した製品の省エネルギーが実現できる。
【0102】またさらに、製品固有のばらつきも補正で
き、各製品毎に自動で効率を良好にしたり電流を減らし
入力を減少させるなどの条件に応じた最適運転をさせる
ことが可能である。
【0103】図8は、本発明の冷凍サイクルを示すブロ
ック図であり、図1にて説明した構成を空気調和機に適
用した場合について説明する。図8は、一般的な冷凍サ
イクルであり、20は冷媒サイクルにおいて圧縮工程を
行う圧縮機、21は圧縮機を駆動するための駆動装置、
22は冷媒を凝縮する凝縮器、23は冷媒を蒸発させる
蒸発器、24は冷媒の流量を調整する絞り弁である。図
1にて示されているモータ1は、図8における圧縮機2
0に、インバータ2および制御部が駆動装置21に適用
されている。
【0104】図8に示されるような冷凍サイクルでは、
冷房負荷に対して必要となる冷房能力が出力できるよう
冷媒の流量を制御している。流量の制御として絞り弁2
4が構成されるが、きめ細やかで能力範囲の広い制御に
は絞り弁24だけでは不適であるため、圧縮機20の回
転数も制御することで、広範囲できめ細やかな冷媒流量
の制御を実現し、空気調和機を制御している。
【0105】冷房負荷が大きい、言い換えると、冷房能
力を必要とする場合、空気調和機における室内機と室外
機の温度差が大きく、熱交換をより多くする必要があ
る。冷凍サイクル内を冷媒を循環させる圧縮機20を駆
動するモーター1から見た場合、モーター1の出力をよ
り多く必要とし、負荷トルクは重い状況であることがわ
かる。現行までは、室内室外機の温度差に応じて回転数
指令を変更して、回転数制御をするのが、一般的な空気
調和機の圧縮機制御である。
【0106】ここで、駆動装置21を図1のような制御
として構成することによって、モーター1の運転状況に
応じたモータ定数にてモーターの出力を算出し、出力に
応じたインバータ制御に必要な指令値に調整することに
より、前述の説明に示したとおり、より高効率の動作ポ
イントにて冷凍サイクルすなわち空気調和機を動作する
ことが可能である。
【0107】空気調和機などに適用されたモーターの場
合、モーターは圧縮機20内部に配置される。圧縮機2
0は冷媒を高温高圧のガスに圧縮するためのものであ
り、このガスにより固定子鉄心、固定子巻き線、回転子
などが直接取り囲まれたモーターの動作環境としては非
常に厳しく、冷媒ガスの状況によってモーターの動作環
境が変化する。重い負荷が必要な状況は、冷媒をより高
圧高温に圧縮する必要がある状況であり、温度差だけで
モーター1の負荷量が決まるわけでなく、圧縮行程での
圧力差にも負荷量は依存する。
【0108】そのため、室内室外機の温度や温度差のみ
で回転数指令で与える場合、効率のよい動作点と異なる
動作点で駆動される可能性があり、通常、製品化する事
前に圧縮機20の吸入側と吐出側の圧力も計測して予め
回転数指令を設定してできる限り効率の良い動作点で駆
動されるようにするのである。
【0109】しかしながら、室内機と室外機は、一般的
にセパレートタイプが普及しており、据え付けられる場
所に応じて、配管長や冷媒の充填量が変化する。また、
設置される場所が日陰か日向か、風通しの良い場所か悪
い場所かなどいったことによっても変化する圧縮行程で
の圧力差は変化する。
【0110】そのような状況でも本発明は、モーター定
数を同定し、モーター出力を算出して効率が良くなる指
令値を選択し最適な動作点に制御するので、モーターを
より高効率な動作点に制御することが可能である。
【0111】また、冷凍サイクル中の冷媒の充填量や冷
媒を循環させる配管の配管長、室外機や室内機の設置場
所の環境など製品間で発生するばらつきによって負荷の
大小、負荷変動量、モーターの温度条件など様様なばら
つきを発生するがこれらの環境変化も抑制することがで
き、ばらつきのある各製品毎に最高効率となる等望まし
い運転を実現できる。
【0112】さらに、モータのー出力を算出しているこ
とから冷媒流量も推測することができる。これは、モー
タ出力と冷媒流量が比例関係にあるという関係を利用で
きるからである。よって、更にきめ細やかな冷媒の流量
制御が実現でき、高効率なモータの動作点にてモータを
駆動するだけでなく、冷凍サイクル上のより高効率なサ
イクルの動作点でも制御できる。また、流量を推定でき
るので、圧縮機による流量制御と絞り弁などでの流量制
御とを上手く組み合わせることのより、より高効率な空
気調和機を提供できる。
【0113】以上今までの説明ではセンサレスでDCブ
ラシレスモータの制御を主体に、センサレス対応の4モ
ーター定数を求め回転子位置を推測して行う制御内容を
説明してきたが、回転子位置を検出しても良いことは当
然である。その場合センサレスのための4モーター定数
はそのまま各種目的、例えばモーター出力算出や異常検
出などに使用できる。図9にセンサ駆動制御の場合の構
成図を示す。30はモーター1の回転子位置を検出する
エンコーダ、31は速度算出器、32はセンサ制御部で
ある。図9においてエンコーダ30にて回端子位置を検
出し、速度算出器31をセンサ制御器32に入力するこ
とにより位置を検出しモーター駆動の制御を行うことが
出来る。
【0114】モーターを駆動する上で必要な変数は位置
θと角速度ω、出力指令電圧、モーター相電流であり、
高効率を得るためには先に説明したγ軸電流指令Iγ
s、角速度指令ωref、すなわち回転数指令である
が、モーター定数同定部10で永久磁石電動機のモータ
ー定数を同定し、モーター出力算出部11でモーターの
電圧電流方程式に基づき電動機出力を算出し、指令値調
整部12でトルク式などにより求められるγ軸電流指令
Iγsによって高効率や低い入力のセンサ駆動を制御す
る構成装置は既に述べた構成と動作は同じである。
【0115】本発明は位置センサで回転子位置を検出し
たり、位置センサレスで回転子位置を予測して永久磁石
同期電動機の駆動を実現し、かつ位置センサ駆動や位置
センサレス駆動に対して別の制御ブロックにて定数同定
を行うよう構成したもので、電動機が動作することによ
って時々刻々変化する電動機定数を検出しながら、電動
機を高効率動作点にて駆動するよう制御器を構成したも
のである。なお制御ブロックは区分けせずにインバータ
制御装置の基板として一体に設けても良く、更に回転永
久磁石界磁型のモーターであれば、固定子の鉄心近傍、
例えばフレームやヨークなどに組み込む制御装置一体形
成型モーターや定数同定装置組み込み型モーターであっ
ても良いことは当然である。
【0116】また本発明の電動機の駆動装置は、永久磁
石同期電動機と、電動機を運転するインバータと、電動
機に流れる電流を検出する電流検出器と、電流検出器に
て検出された電流を用いて電動機の回転子位置を検出す
ることなく位置センサレス駆動するインバータ制御手段
を有する電動機駆動装置において、インバータ制御手段
は永久磁石電動機の電動機定数を同定する機能を有し、
インバータ制御手段にて同定された電動機定数に基づい
て電動機の出力を算出する電動機出力算出手段をもち、
出力算出手段の演算結果に応じて、インバータからの出
力を調整する調整手段を備えることによって、電動機を
高効率にセンサレス駆動するものである。
【0117】また本発明はモーター1のモータ定数をモ
ーター1の起動前に同定することによって、インバータ
2に接続されるモーター1がどのようなものであっても
モーター1をセンサレス制御することができるようにな
り、インバータ2の標準化が可能となり、大量製造によ
る低コスト化が可能となる。また、接続されるモーター
1が既知であり、予めモータ定数が与えてある場合に
は、取り付けミスや接続不良等を検出することができ、
信頼性が向上できる。更には故障内容を表示させること
により問題の解決、例えば修理などを速やかに行える。
【0118】さらに、モーターの定常運転中に、モータ
定数を同定し、精度良くモータ出力を算出することによ
って、モータ出力に応じた電流位相および回転数にてモ
ーターを制御できるようになるので、モーターを高効率
動作点にて動作させることが可能となり、モーター1を
適用した製品の省エネルギーが実現できる。
【0119】またさらに、空気調和機に適用した場合、
製品固有のばらつきも補正でき、各製品毎に自動で最適
運転させることが可能である。さらに、冷媒の充填量や
配管長、設置場所の環境など製品間で発生するばらつき
も抑制することができ、各製品毎に最高効率となる運転
を実現できる。さらに、モータ出力を算出していること
から冷媒流量も推測することができ、更にきめ細やかな
冷媒の流量制御が実現でき、高効率なモーターの動作点
にてモーターを駆動するだけでなく、冷凍サイクル上の
より高効率なサイクルの動作点でも制御できる。また、
流量を推定できるので、圧縮機による流量制御と絞り弁
などでの流量制御とを上手く組み合わせることのより、
より高効率な空気調和機を提供できる。
【0120】粘性やイナーシャの検出により外気温が低
温時や急停止後の急起動を確実に起動させる。回転数指
令によらずに負荷トルクに応じた回転数とすることでモ
ーターの運転を常に高効率が得られるポイントに設定で
き省エネルギーを一層推進できる。誤った冷媒を充填さ
れていても定数検出により粘性から冷媒が特定でき、安
全性や運転特性の確保が容易に行える。不良や過電流の
原因を、定数を同定し外部に引き出して表示などを行う
ことにより特定あるいは推定したり範囲を絞ることが、
例えば磁石の減磁などの不良、過負荷、冷媒の充填しす
ぎなど、出来るので運転停止や継続の判断、速やかな必
要最小限の修理により短期間の停止や補修費用の低減が
可能になる。あるいは逆に冷媒流量が検出できればその
冷媒回路の動作状況が判明し別の装置、ファンの速度の
選定しなおし、過負荷時のインバータハードの耐量見な
おし等が可能になり各装置の適合性等が事前に判断でき
ることになる。インバータと圧縮機の組合せ不良以外で
も、例えば電源の種類が違うなど大きなトラブルを発生
する前に各種不良を事前に検出できる。
【0121】
【発明の効果】請求項1に係る本発明の永久磁石電動機
装置は、インバータにて駆動され運転する永久磁石電動
機と、永久磁石電動機の回転子の位置を検出しあるいは
位置を推測してインバータを制御するインバータ制御手
段と、インバータ制御手段に設けられ永久磁石電動機の
運転開始前あるいは運転途中に永久磁石電動機の電動機
定数を同定する定数同定手段と、定数同定手段にて同定
された電動機定数に基づいて永久磁石電動機の出力を算
出しこの算出結果によりインバータ制御手段への指令値
を調整する調整手段と、を備えたので、常に効率が良い
運転が可能な装置が得られる。
【0122】請求項2に係る本発明の永久磁石電動機装
置の定数同定手段は、永久磁石電動機を回転させないよ
うにインバータを動作させて電動機定数を同定するの
で、簡単に定数を同定することが出来る。
【0123】請求項3に係る本発明の永久磁石電動機装
置の定数同定手段は、永久磁石電動機の一定速度運転中
に検出した電流を用いて電動機定数を同定するので、確
実に定数を同定することが出来る。
【0124】請求項4に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、永久磁石電動機が動作中に同定された電動機定
数、及び永久磁石電動機に流れる電流を電流検出器にて
検出した電流値に基づき算出される指令値の調整に応じ
て、永久磁石電動機を高効率動作状態にて運転するよう
制御するので、常に効率の良い運転が可能である。
【0125】請求項5に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、永久磁石電動機が動作中に同定された電動機定
数、永久磁石電動機に流れる電流を電流検出器にて検出
した電流値、及び永久磁石電動機の回転速度と、に基づ
き算出され調整された指令値に応じて、永久磁石電動機
への印加電圧および永久磁石電動機の回転速度の双方を
調整することによって永久磁石電動機を高効率動作状態
にて運転するよう制御するので、効率良く、且つ信頼性
の高い運転が可能である。
【0126】請求項6に係る本発明の永久磁石電動機装
置の、定数同定手段にて同定される永久磁石電動機の逆
起電圧定数は、指令値から設定されるインバータにおけ
る回転座標軸とモータにおける検出あるいは予測される
回転座標軸との座標軸の誤差分を算出し、この誤差分を
補正したモータの回転座標軸上の値を用いて逆起電圧定
数を算出するようにしたので、精度の良い運転が可能で
ある。
【0127】請求項7に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、永久磁石電動機の温度による変化する定数を定数
同定手段にて同定し、電動機温度を推定するので、精度
が良い信頼性の高い運転が可能である。
【0128】請求項8に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、定数同定手段にて同定された逆起電圧定数と予め
設定されている常温時の逆起電圧定数との値より電動機
温度を推定し、推定した温度における電動機の抵抗成分
を温度補正して抵抗成分を同定するので、確実な運転が
得られる。
【0129】請求項9に係る本発明の永久磁石電動機装
置は、インバータ制御手段で同定される永久磁石電動機
の定数あるいは算出される出力あるいはあるいはこれら
の定数や出力を含むパラメータをインバータ制御手段の
外部に引き出し可能にしたので、様様な用途に対しフレ
キシブルな運用が可能な装置が得られる。
【0130】請求項10に係る本発明の永久磁石電動機
装置は、インバータ制御手段で同定される永久磁石電動
機の定数あるいは算出される出力あるいはあるいはこれ
らの定数や出力を含むパラメータと、あらかじめ設定さ
れた値とを比較して所定以上の差を検出した時に表示ま
たは報知するので、運転中の信頼性が簡単に確保でき
る。
【0131】請求項11に係る本発明の永久磁石電動機
装置は、永久磁石電動機に流れる電流を検出する電流検
出器と、電流検出器にて検出された電流を用いて電動機
の回転子位置を検出することなく位置センサレス駆動す
るインバータ制御手段と、を備えたので、効率の良い位
置センサレス駆動を実現できる。
【0132】請求項12に係る本発明の永久磁石電動機
装置は、同定手段で同定された電動機定数の変化を遅ら
せるので、信頼性の高い運転が可能である。
【0133】請求項13に係る本発明の冷凍サイクル装
置は、本発明の永久磁石電動機装置を使用し、冷媒を冷
凍サイクルに吐出する圧縮機と、を備え、冷媒の温度も
しくは圧力による永久磁石電動機の環境変化に対して電
動機定数を同定し、同定したこの電動機定数を使用して
永久磁石電動機を駆動するので、効率の良い信頼性の高
い装置が得られる。
【0134】請求項14に係る本発明の永久磁石電動機
の駆動方法は、永久磁石電動機の電動機定数を永久磁石
電動機を回転させずに同定するステップと、永久磁石電
動機を回転させずに同定した後で電動機定数を永久磁石
電動機を一定速度で回転させて同定するステップと、同
定された電動機定数に基づいて永久磁石電動機の負荷運
転中の出力から運転状態を算出するステップと、を備え
たので、常に効率の良い運転が可能である。
【0135】請求項15に係る本発明の永久磁石電動機
の駆動方法は、永久磁石電動機の負荷運転中に永久磁石
電動機に流れる電流を検出し、電流を一定とする制御に
対しトルクを大とする方向に、あるいは回転速度を一定
とする制御に対し電流を小とする方向に、電流指令値を
補正するステップと、を備えたので、用途や目的に応じ
簡単に省エネルギー運転を実現できる。
【0136】請求項16に係る本発明の永久磁石電動機
の駆動方法は、永久磁石電動機の電動機定数を永久磁石
電動機を回転させずに同定するステップと、永久磁石電
動機を回転させずに同定した後で電動機定数を永久磁石
電動機を一定速度及び一定電流で回転させて同定するス
テップと、同定された電動機定数に基づいて永久磁石電
動機の負荷運転中の定数あるいは定数を含むデータが所
定の範囲かどうかを判断するステップと、を備えたの
で、信頼性の高い運転が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1を示す回路ブロック図
である。
【図2】 本発明の実施の形態1の抵抗の同定方法の一
例を示す回路動作の説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態1の抵抗の同定方法の一
例を示す動作フローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態1の抵抗の同定方法の一
例を示す概念図である。
【図5】 本発明の実施の形態1のインダクタンスの同
定方法の一例を示す動作フローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態1の逆起電圧定数の同定
方法の一例を示す動作フローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態1を説明するモーターの
ベクトル図である。
【図8】 本発明の実施の形態1を示す冷凍サイクルの
ブロック図である。
【図9】 本発明の実施の形態1の別の例を示す回路ブ
ロック図である。
【図10】 従来の技術を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
1 モーター、 2 インバータ、 3 センサレス制
御部、 10 モータ定数同定部、 11 モータ出力
算出部、 12 指令値調整部。
フロントページの続き (72)発明者 西田 信也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3L060 AA03 CC02 CC03 DD02 EE04 5H550 AA09 BB02 DD04 DD08 GG03 GG05 HA08 JJ04 JJ11 LL35 LL37 5H560 AA02 BB04 BB07 BB12 DA00 DC20 EB01 UA05 XA02 XA04 5H576 AA10 CC01 DD07 EE01 GG02 GG04 HA02 HB02 JJ03 JJ17 KK06 LL01 LL13 LL14 LL15 LL22 LL24

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インバータにて駆動され運転する永久磁
    石電動機と、前記永久磁石電動機の回転子の位置を検出
    しあるいは位置を推測して前記インバータを制御するイ
    ンバータ制御手段と、前記インバータ制御手段に設けら
    れ前記永久磁石電動機の運転開始前あるいは運転途中に
    前記永久磁石電動機の電動機定数を同定する定数同定手
    段と、前記定数同定手段にて同定された前記電動機定数
    に基づいて前記永久磁石電動機の出力を算出しこの算出
    結果により前記インバータ制御手段への指令値を調整す
    る調整手段と、を備えたことを特徴とする永久磁石電動
    機装置。
  2. 【請求項2】 前記定数同定手段は前記永久磁石電動機
    を回転させないように前記インバータを動作させて電動
    機定数を同定することを特徴とする請求項1記載の永久
    磁石電動機装置。
  3. 【請求項3】 前記定数同定手段は前記永久磁石電動機
    の一定速度運転中に検出した電流を用いて電動機定数を
    同定することを特徴とする請求項1または2記載の永久
    磁石電動機装置。
  4. 【請求項4】 前記永久磁石電動機が動作中に同定され
    た電動機定数、及び前記永久磁石電動機に流れる電流を
    電流検出器にて検出した電流値に基づき算出される指令
    値の調整に応じて、前記永久磁石電動機を高効率動作状
    態にて運転するよう制御することを特徴とする請求項1
    または2または3記載の永久磁石電動機装置。
  5. 【請求項5】 前記永久磁石電動機が動作中に同定され
    た電動機定数、前記永久磁石電動機に流れる電流を電流
    検出器にて検出した電流値、及び前記永久磁石電動機の
    回転速度と、に基づき算出され調整された指令値に応じ
    て、前記永久磁石電動機への印加電圧および前記永久磁
    石電動機の回転速度の双方を調整することによって前記
    永久磁石電動機を高効率動作状態にて運転するよう制御
    することを特徴とする請求項1または2または3または
    4記載の永久磁石電動機装置。
  6. 【請求項6】 前記定数同定手段にて同定される前記永
    久磁石電動機の逆起電圧定数は、指令値から設定される
    インバータにおける回転座標軸あるいは前記永久磁石電
    動機における検出された回転座標軸と前記永久磁石電動
    機の予測された座標軸との間の誤差分を算出し、この誤
    差分を補正したモータの回転座標軸上の値を用いて逆起
    電圧定数を算出するようにしたことを特徴とした請求項
    1乃至5のいずれかに記載の永久磁石電動機装置。
  7. 【請求項7】 前記永久磁石電動機の温度による変化す
    る定数を前記定数同定手段にて同定し、電動機温度を推
    定することを特徴とした請求項1乃至6のいずれかに記
    載の永久磁石電動機装置。
  8. 【請求項8】 前記定数同定手段にて同定された逆起電
    圧定数と予め設定されている常温時の逆起電圧定数との
    値より電動機温度を推定し、推定した温度における電動
    機の抵抗成分を温度補正して抵抗成分を同定することを
    特徴とした請求項1乃至7のいずれかに記載の永久磁石
    電動機装置。
  9. 【請求項9】 前記インバータ制御手段で同定される前
    記永久磁石電動機の定数あるいは算出される出力あるい
    はあるいはこれらの定数や出力を含むパラメータを前記
    インバータ制御手段の外部に引き出し可能にしたことを
    特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の永久磁石
    電動機装置。
  10. 【請求項10】 前記インバータ制御手段で同定される
    前記永久磁石電動機の定数あるいは算出される出力ある
    いはあるいはこれらの定数や出力を含むパラメータと、
    あらかじめ設定された値とを比較して所定以上の差を検
    出した時に表示または報知することを特徴とする請求項
    1乃至9のいずれかに記載の永久磁石電動機装置。
  11. 【請求項11】 前記永久磁石電動機に流れる電流を検
    出する電流検出器と、前記電流検出器にて検出された電
    流を用いて前記電動機の回転子位置を検出することなく
    位置センサレス駆動するインバータ制御手段と、を備え
    たことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載
    の永久磁石電動機装置。
  12. 【請求項12】 前記同定手段で同定された電動機定数
    の変化を遅らせることを特徴とする請求項1乃至11の
    いずれかに記載の永久磁石電動機装置。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12のいずれかに記載の
    永久磁石電動機装置を使用し、冷媒を冷凍サイクルに吐
    出する圧縮機と、を備え、前記冷媒の温度もしくは圧力
    による前記永久磁石電動機の環境変化に対して電動機定
    数を同定し、同定したこの電動機定数を使用し、前記永
    久磁石電動機を駆動することを特徴とする冷凍サイクル
    装置。
  14. 【請求項14】 永久磁石電動機の電動機定数を前記永
    久磁石電動機を回転させずに同定するステップと、前記
    永久磁石電動機を回転させずに同定した後で電動機定数
    を前記永久磁石電動機を一定速度で回転させて同定する
    ステップと、前記同定された電動機定数に基づいて前記
    永久磁石電動機の負荷運転中の出力から運転状態を算出
    するステップと、を備えたことを特徴とする永久磁石電
    動機の駆動方法。
  15. 【請求項15】 前記永久磁石電動機の負荷運転中に前
    記永久磁石電動機に流れる電流を検出し、電流を一定と
    する制御に対しトルクを大とする方向に、あるいは回転
    速度を一定とする制御に対し電流を小とする方向に、電
    流指令値を補正するステップと、を備えたことを特徴と
    する請求項14記載の永久磁石電動機の駆動方法。
  16. 【請求項16】 永久磁石電動機の電動機定数を前記永
    久磁石電動機を回転させずに同定するステップと、前記
    永久磁石電動機を回転させずに同定した後で電動機定数
    を前記永久磁石電動機を一定速度及び一定電流で回転さ
    せて同定するステップと、前記同定された電動機定数に
    基づいて前記永久磁石電動機の負荷運転中の定数あるい
    は定数を含むデータが所定の範囲かどうかを判断するス
    テップと、を備えたことを特徴とする永久磁石電動機の
    駆動方法。
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