JP2003163417A - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子及びその製造方法

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JP2003163417A JP2002262712A JP2002262712A JP2003163417A JP 2003163417 A JP2003163417 A JP 2003163417A JP 2002262712 A JP2002262712 A JP 2002262712A JP 2002262712 A JP2002262712 A JP 2002262712A JP 2003163417 A JP2003163417 A JP 2003163417A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 III-V族窒化物半導体からなる半導体発光素
子に設ける電流ブロック層の密着性を向上し且つピンホ
ール密度を小さくできるようにする。 【解決手段】 サファイアからなる基板10の上には、
n型GaNからなるn型バッファ層11、n型AlGa
Nからなるn型クラッド層12、n型GaNからなるn
型光ガイド層13、アンドープGaInNからなる単一
量子井戸型活性層14、p型GaNからなるp型光ガイ
ド層15、p型AlGaNからなるp型クラッド層1
6、及びp型GaNからなるp型コンタクト層17が形
成されている。p型クラッド層16の上部及びp型コン
タクト層17にリッジ部を形成する電流ブロック層18
は、III-V族窒化物半導体を構成する窒素原子の一部を
酸素原子で置換した誘電体により形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、青色光から紫外光
を出力可能なIII-V族窒化物半導体からなる半導体発光
素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一般式がBxAlyGa1-x-y-z
zN(但し、x,y,zは、0≦x≦1、0≦y≦
1、0≦z≦1、x+y+z=1である)で表わされる
III-V族窒化物半導体を用いた半導体発光素子、すなわ
ち発光ダイオード素子及び半導体レーザ素子が、青色か
ら紫外に及ぶ波長領域を有する光源として盛んに開発さ
れている。
【0003】以下、従来のIII-V族窒化物半導体からな
る半導体発光素子について図面を参照しながら説明す
る。
【0004】図13に示すように、例えばサファイアか
らなる基板101の上に、n型GaNからなるn型コン
タクト層102、n型AlGaNからなるn型クラッド
層103、GaInNからなる活性層104、p型Al
GaNからなるp型クラッド層105、p型GaNから
なるp型コンタクト層106が順次エピタキシャル成長
により形成されている。
【0005】p型コンタクト層106の上には、酸化シ
リコン又は窒化シリコンからなり、電流狭窄用の開口部
107aを有する電流ブロック層107が形成されてお
り、p型コンタクト層106における電流ブロック層1
07の開口部107aからの露出部分上には、p側電極
108が形成されている。
【0006】また、電流狭窄構造を設ける他の方法とし
て、レーザ素子構造の少なくともp型クラッド層105
の両側部をエッチングにより除去して電流経路を狭窄す
る方法が知られている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−160658号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の半導体発光素子は、電流ブロック層107を構成す
る酸化シリコン又は窒化シリコンは、化学的気相成長
(Chemical Vapor Deposition)法等により、p型コンタ
クト層106の上に堆積して形成している。酸化シリコ
ン及び窒化シリコンは、III-V族窒化物半導体との密着
性が低く、その上、細孔の密度、すなわちピンホール密
度が高くなる等の問題がある。
【0009】また、クラッド層の両側部をエッチングに
より除去して電流狭窄構造を形成する場合には、エッチ
ング工程により形成されたリッジ領域(メサ領域)の上
に電極を形成しなければならず、電極の面積がより小さ
くなるため、電流経路における直列抵抗成分を大きくし
てしまうという問題がある。
【0010】さらに、半導体レーザ素子の場合には、誘
電体からなる電流ブロック層107によって、活性層1
04で生成される再結合光は、III-V族窒化物半導体と
の屈折率差により該半導体の内部に閉じこめられる。こ
の屈折率差は比較的に大きく、不連続(ステップ状)に
変化するため、再結合光を例えば単一横モードで閉じ込
めようとすると、電流ブロック層107の開口部107
aの開口幅(ストライプ幅)が小さくなり過ぎるので、
レーザ構造を最適化することが困難となる。また、スト
ライプ幅が小さくなり過ぎると、前述したように直列抵
抗成分が大きくなる。
【0011】さらに、図示はしていないが、従来の半導
体レーザ素子は、共振器にリッジ構造を用いる場合が多
い。リッジ構造の場合には、再結合光の閉じ込め効率
は、リッジ構造の内部における第1屈折率と、リッジ構
造の外部における第2屈折率との差によって決定され
る。より詳細には、第1屈折率とは、活性層を構成する
半導体層とクラッド層を構成する半導体層との各屈折率
及び各半導体層の厚さにより決定される第1実効屈折率
であり、第2屈折率とは、活性層を構成する半導体層
と、クラッド層を構成する半導体層と、リッジ構造の側
部を構成する、例えば酸化シリコン層又は窒化シリコン
層との各屈折率及び各層の厚さにより決定される第2実
効屈折率である。従来のリッジ構造は、第1屈折率と第
2屈折率との差がステップ状に変化し且つその差が極め
て大きい。この状態で再結合光が共振器に閉じ込められ
ると、閉じ込め効率が大き過ぎることにより、高出力時
にレーザ光の発光点位置が移動したり、そのスポット形
状が変化しやすい。このため、例えば光ディスク装置の
ように精密な発光点位置及びスポット形状の制御が必要
な機器に対しては、レーザ構造の最適設計が極めて困難
となる。
【0012】本発明は、前記従来の問題を解決し、III-
V族窒化物半導体からなる半導体発光素子に設ける電流
ブロック層の密着性を向上し且つピンホール密度を小さ
くできるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る半導体発光素子は、基板の上に形成さ
れた活性層と、活性層の上に形成され、III-V族窒化物
からなる半導体層と、半導体層に、該半導体層を露出す
る開口部を有するように形成され、半導体層を構成する
窒素原子の一部が酸素原子に置換された誘電体からなる
電流ブロック層とを備えている。
【0014】本発明の半導体発光素子によると、電流ブ
ロック層にIII-V族窒化物からなる半導体層を構成する
窒素原子の一部が酸素原子に置換されてなる誘電体を用
いているため、電流ブロック層は半導体層と一体化され
て形成されている。このため、電流ブロック層は半導体
層との間の密着性に関する問題が生じなくなり、さらに
は、ピンホール密度が格段に低減する。
【0015】本発明の半導体発光素子において、電流ブ
ロック層における酸素の組成が、活性層に近づくにつれ
て減少していることが好ましい。
【0016】このようにすると、半導体層の内部から外
部に向けて、半導体層における酸素の組成が増大するた
め、半導体層と電流ブロック層との屈折率差が連続的に
変化する。その結果、例えばレーザ素子の場合に、単一
横モードの閉じ込めを行なうための電流ブロック層にお
ける開口部の開口幅を大きくすることができるので、レ
ーザ構造を最適化することが容易となる。
【0017】本発明の半導体発光素子において、電流ブ
ロック層の開口部の平面形状がストライプ状であること
が好ましい。
【0018】この場合に、半導体層が共振器を構成する
リッジ部を有し、電流ブロック層が半導体層の側部にも
形成されていることが好ましい。
【0019】また、本発明の半導体発光素子において、
電流ブロック層の開口部の平面形状がドット状であるこ
とが好ましい。
【0020】本発明の半導体発光素子の製造方法は、基
板の上に活性層を形成する第1の工程と、活性層の上
に、III-V族窒化物からなる半導体層を形成する第2の
工程と、半導体層の上にその一部をマスクするマスク膜
を選択的に形成する第3の工程と、マスク膜が形成され
た半導体層を酸化性雰囲気で酸化することにより、半導
体層に、半導体層を構成する窒素原子の一部が酸素原子
に置換された誘電体からなる電流ブロック層を形成する
第4の工程と、マスク膜を除去する第5の工程とを備え
ている。
【0021】本発明の半導体発光素子の製造方法による
と、活性層の上にIII-V族窒化物からなる半導体層を形
成し、その上にマスク膜を選択的に形成する。その後、
形成したマスク膜を用いて半導体層を酸化することによ
り、半導体層に該半導体層を構成する窒素原子の一部が
酸素原子に置換された誘電体からなる電流ブロック層を
形成するため、電流ブロック層の半導体層との間の密着
性に関する問題が生じなくなる。その上、半導体層を構
成する窒素原子の一部が、窒素よりも原子半径が大きい
酸素原子に置換することにより、半導体層の体積が膨張
するため、電流ブロック層のピンホール密度を格段に低
減することができる。
【0022】本発明の半導体発光素子の製造方法は、第
3の工程と第4の工程との間に、マスク膜を用いて、半
導体層をリッジ状にパターニングする第6の工程をさら
に備えていることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本発明の第1
の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】図1は本発明の第1の実施形態に係る半導
体レーザ素子の断面構成を示している。
【0025】図1に示す半導体レーザ素子は、バンドギ
ャップが比較的に大きい窒化アルミニウムガリウム(A
lGaN)をクラッド層とし、該クラッド層よりもバン
ドギャップが小さい窒化ガリウム(GaN)若しくは窒
化ガリウムインジウム(GaInN)又はこれらを組み
合わせてなる量子井戸層等を挟んでなるダブルヘテロ構
造を有している。ここでは、単一量子井戸分離光閉じ込
め構造(Single Quantum Well Separate Confinement H
eterostructure,SQW-SCHという)を用いる場合を説明す
る。
【0026】図1に示すように、サファイア(単結晶A
23)からなる基板10の上に、厚さが約2μmのn
型GaNからなるn型バッファ層11と、厚さが約1μ
mのn型のAl0.15Ga0.85Nからなるn型クラッド層
12と、厚さが約0.1μmのn型のGaNからなるn
型光ガイド層13と、厚さが約5nmのアンドープのG
0.8In0.2Nからなる単一量子井戸型活性層14と、
厚さが約0.1μmのp型のGaNからなるp型光ガイ
ド層15と、厚さが約1μmのp型のAl0.15Ga0.85
Nからなるp型クラッド層16と、厚さが約0.5μm
のp型のGaNからなるp型コンタクト層17とが結晶
成長により順次形成されている。
【0027】ここで、n型バッファ層11は、基板10
を構成するサファイアと、基板10上にエピタキシャル
成長する各半導体層12〜17との格子不整合を緩和す
ると共に、n側電極20のコンタクト層として機能す
る。
【0028】n型クラッド層12及びp型クラッド層1
6は、n側電極20及びp側電極19からそれぞれ注入
されるキャリアを閉じ込めると共に、該キャリアの再結
合光を閉じ込める。また、n型光ガイド層13及びp型
光ガイド層15は、再結合光の閉じ込め効率を向上する
ように設けられている。
【0029】第1の実施形態の特徴として、p型クラッ
ド層16の上部に互いに間隔をおくと共に、p型コンタ
クト層17の両側部には、p型クラッド層16及びp型
コンタクト層17を構成する窒素原子の一部が酸素原子
で置換された誘電体からなる電流ブロック層18が形成
されている。該電流ブロック層18は、p型クラッド層
16及びp型コンタクト層17が、メサ状で且つ平面ス
トライプ状のリッジ構造となるように形成されている。
ここで、メサ幅は上部が約2μmで、下部が約3μmで
ある。
【0030】p型コンタクト層17の上には、ニッケル
(Ni)、白金(Pt)及び金(Au)の積層体からな
り、p型コンタクト層17とオーミック接触するp側電
極19が形成されている。また、n型バッファ層11が
露出された領域の上には、チタン(Ti)、白金(P
t)及び金(Au)の積層体からなり、n型バッファ層
11とオーミック接触するn側電極20が形成されてい
る。
【0031】このように、第1の実施形態に係る半導体
レーザ素子は、リッジ構造の両端面を劈開されたミラー
面とする共振器を有する、いわゆる端面発光型レーザで
ある。なお、共振器のストライプ方向は、図1における
半導体層の断面に対して垂直な方向(手前から後方)で
ある。
【0032】以下、前記のように構成された半導体レー
ザ素子の製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
【0033】図2(a)〜図2(d)は本発明の第1の
実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の工程順の
断面構成を示している。ここで、図2において、図1に
示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付す。
【0034】まず、図2(a)に示すように、例えば有
機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)法によ
り、サファイアからなる基板10の上に、n型バッファ
層11、n型クラッド層12、n型光ガイド層13、単
一量子井戸型活性層14(以下、活性層14と呼
ぶ。)、p型光ガイド層15、p型クラッド層16、及
びp型コンタクト層17を順次成長してエピタキシャル
層を形成する。ここでは、n型ドーパントにシリコン
(Si)を用い、p型ドーパントにマグネシウムを用い
る。
【0035】次に、図2(b)に示すように、例えばC
VD法により、p型コンタクト層17の上に、厚さが約
500nmのポリシリコン膜を堆積する。続いて、リソ
グラフィ法により、p型コンタクト層17の上に共振器
形成領域を覆うように、幅が約3μmのストライプ状の
レジストパターン(図示せず)を形成し、形成したレジ
ストパターンをマスクとして、ポリシリコン膜に対して
テトラフルオロカーボン(CF4 )をエッチングガスと
するドライエッチングを行なうことにより、ポリシリコ
ン膜から酸化防止膜90を形成する。続いて、形成した
酸化防止膜90をマスクとして、温度が約900℃で圧
力が約1atmの酸素雰囲気中にエピタキシャル層を2
4時間程度さらすことにより、p型クラッド層16の上
部及びp型コンタクト17における酸化防止膜90の両
側方部分を酸化する。これにより、p型クラッド層16
及びp型コンタクト層17をそれぞれ構成する窒素原子
の一部が酸素原子で置換された電流ブロック層18が、
p型クラッド層16の上部及びp型コンタクト17にお
ける酸化防止膜90の両側方部分に形成される。
【0036】第1の実施形態の特徴として、電流ブロッ
ク層18における酸素の濃度分布は、該電流ブロック層
18の表面から内部に向けて徐々に低下するプロファイ
ルを有している。
【0037】次に、図2(c)に示すように、エピタキ
シャル層をフッ化水素酸(HF)とフッ化アンモニウム
(NH4F)との混合溶液であるバッファードフッ酸に浸
して酸化防止膜90を除去し、さらに、残存した酸化防
止膜90はテトラフルオロカーボンを用いたドライエッ
チングにより除去する。このとき、形成された電流ブロ
ック層18はバッファードフッ酸によってはエッチング
されない。その後、リソグラフィ法により、エピタキシ
ャル層における共振器形成領域を含む部分をマスクする
レジストパターン(図示せず)を形成し、形成したレジ
ストパターンをマスクとして、エピタキシャル層に対し
て塩素(Cl2 )を用いたドライエッチングを行なっ
て、n型バッファ層11を露出する。
【0038】次に、図2(d)に示すように、例えば蒸
着法により、p型コンタクト層17の上に、ニッケル、
白金及び金を順次堆積して、これらの積層体からなるp
側電極19を選択的に形成する。続いて、n型バッファ
層11の露出部分の上に、チタン、白金及び金を順次堆
積して、これらの積層体からなるn側電極20を選択的
に形成する。ここで、p側電極19とn側電極20との
形成順序は問われない。
【0039】その後、図示はしていないが、基板10を
共振器長が約500μmとなるように劈開し、共振器の
出射端面には、反射率が約10%となるように低反射コ
ーティングを施し、反射端面には反射率が約80%とな
るように高反射コーティングを施す。
【0040】第1の実施形態に係る製造方法によると、
電流ブロック層18を、p型クラッド層16及びp型コ
ンタクト層17を構成する窒素原子の一部を酸素原子で
置換した誘電体により形成する。このため、従来のよう
な酸化シリコン又は窒化シリコンからなる別体の電流ブ
ロック層とは異なり、電流ブロック層18のp型クラッ
ド層16及びp型コンタクト層17に対する密着性が格
段に向上する。その上、酸化シリコン(SiO2 )又は
窒化シリコン(Si34)を用いないため、電流ブロッ
ク層18に発生するピンホールの密度も大幅に低減す
る。
【0041】また、電流ブロック層18の酸素含有量
(酸素組成)は、活性層14に近づくにつれて徐々に減
少しており、電流ブロック層18の屈折率を連続的に変
化させることができ、例えば単一横モード閉じ込めを実
現するためのストライプ幅(メサ幅)を広くできる等
の、レーザ構造を容易に最適化を図ることができる。
【0042】また、第1の実施形態に係る製造方法によ
ると、電流ブロック層18に、光閉じ込め機能と電流狭
窄機能とを自己整合的に持たせることができる。
【0043】電流ブロック層18は、以下に示す2つの
機能を有している。
【0044】第1は電流狭窄機能である。誘電体層は絶
縁性を有するため電流をほとんど流さない。このため、
半導体レーザ素子に注入された電流はメサ部(リッジ
部)を流れるので、活性層14の発光部分にのみ流れこ
む。その結果、無効電流が少なくなり、レーザ発振のし
きい値電流の値を小さくすることができる。
【0045】第2は光の閉じ込めである。p型クラッド
層16と電流ブロック層18には屈折率差が存在する。
この屈折率差によって、半導体レーザ素子内の再結合光
はメサ部に閉じ込められるため、活性層14における誘
導放出と効率的に結合することができる。
【0046】ところで、前述したように、従来の電流ブ
ロック層は、窒化シリコン又は酸化シリコンにより形成
されていため、エピタキシャル層との屈折率差が0.5
〜1程度と大きく且つ不連続に変化する。このため、半
導体レーザ素子の横モード制御に用いるにはエピタキシ
ャル層との屈折率差が大き過ぎ、例えば、わずかなメサ
形状のばらつきにより遠視野像が高次横モードとなって
しまうので、光装置の光源としての利用が困難となる。
【0047】これに対し、第1の実施形態に係る電流ブ
ロック層(誘電体層)18は、エピタキシャル層の表面
から酸素を熱拡散させ、p型クラッド層16及びp型コ
ンタクト層17を構成する窒素原子を酸素原子に置き換
えることにより形成されている。このようにして形成さ
れた電流ブロック層18は、p型クラッド層16と電流
ブロック層18との間の屈折率差が小さく且つ緩やかに
変化するため、半導体レーザ素子の横モード制御が容易
となる。
【0048】本願発明者らは、電流ブロック層18に含
まれる酸素の組成を二次イオン質量分析法(SIMS)
法により測定し、酸素の組成が2次曲線的に変化するこ
とを確認している。具体的には、電流ブロック層18の
表面の酸素濃度は、約1×1020cm-3であり、表面か
ら深さが約1μmの領域の酸素濃度は、約1×1018
-3である。このように、電流ブロック層18の酸素の
組成が2次曲線的に変化することにより、その屈折率も
メサ部の約2.1から電流ブロック層18の表面近傍の
約1.6と、その差は約0.5と小さく、且つ外側に向
かって2次曲線的に緩やかに減少することを確認してい
る。これにより、再結合光のメサ部への閉じ込めが緩や
かとなるため、安定した横モード発振が可能となる。
【0049】図3は第1の実施形態に係る半導体レーザ
素子の注入電流と光出力との関係を示している。発振波
長は410nmで、しきい値電流は40mA、しきい値
電圧は4.2Vである。また、最大光出力は60mWで
ある。このように、p型クラッド層16及びp型コンタ
クト層17を構成する窒素原子の一部が酸素原子で置換
された誘電体からなる電流ブロック層18によって、電
流閉じ込め効率及び光閉じ込め効率が向上するため、し
きい値電流値の低減と高出力動作とを実現している。
【0050】また、図4に示すように、出力が20mW
の場合における遠視野像の半値幅は、接合面(基板面)
に対して平行な方向が8°であり、接合面に対して垂直
な方向が25°である。
【0051】図5は第1の実施形態に係る電流ブロック
層18を有する半導体レーザ素子の接合面に対して平行
な方向における遠視野像の光出力依存性を示している。
図6は比較用であって、従来例に係る窒化シリコンから
なる電流ブロック層を有する半導体レーザ素子の接合面
に対して平行な方向における遠視野像の光出力特性を示
している。光出力は共に20mWと50mWとの場合を
示す。
【0052】従来例に係るレーザ素子の場合は、メサ部
と電流ブロック層との界面における屈折率差が約0.9
であり、さらに、屈折率自体が界面において不連続に変
化している。従って、接合面に対して垂直な方向で基本
横モード発振を得るように、メサ部下部と活性層との距
離を離すことにより実効的な屈折率差を小さくしてい
る。しかしながら、このような構造では、活性層の近傍
で注入電流が広がってしまい、しきい値電流の値が上昇
するだけでなく、再結合光の閉じ込めが不安定となるの
で、図6に示すように光出力値を50mWに増大する
と、相対強度のピークが2つとなって、いわゆる双峰性
の遠視野像を示すようになる。
【0053】これに対し、図5に示す第1の実施形態に
係るレーザ素子の場合は、出力値が20mW及び50m
Wのいずれの場合でも、相対強度のピークは1つであ
り、単峰性の遠視野像を示すことが分かる。
【0054】図7は第1の実施形態に係る半導体レーザ
素子に対する高温高湿寿命試験の結果を示す。寿命試験
の各条件は、出力を30mWとし、温度を60℃とし、
湿度を85%としている。図7において、横軸は動作時
間を表わし、縦軸は動作開始直後の動作電流を1として
規格化して表わしている。また、曲線群Aは本発明の場
合を示し、曲線群Bは従来例の場合を示している。図7
に示すように、従来例の場合は、窒化シリコンからなる
電流ブロック層のメサ部との密着性が弱いため、電流ブ
ロック層に膜剥がれが進行する。その結果、屈折率分布
が変化して高次横モード発振となるため、レーザ光は活
性層内の誘導放出との結合が弱まり、しきい値電流の値
が増加して急激な劣化が発生する。
【0055】これに対し、本発明の場合は、従来例のよ
うに、電流ブロック層にメサ部と別体の誘電体を用いる
代わりに、メサ部を構成するp型クラッド層16及びp
型コンタクト層17の一部を酸化して形成しており、メ
サ部との密着性が極めて強いため、膜剥がれはほとんど
生じることがなく、長期間にわたって安定した動作を行
なうことができる。
【0056】なお、半導体発光素子として半導体レーザ
素子の場合を説明したが、発光ダイオード素子であって
も半導体レーザ素子と同様に、電流狭窄機能及び光閉じ
込め機能の観点から本発明の電流ブロック層を適用する
ことができる。
【0057】また、半導体レーザ素子として端面発光型
レーザ素子を例に挙げたが、本発明は面発光型レーザ素
子にも適用可能である。
【0058】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0059】図8は本発明の第2の実施形態に係る半導
体レーザ素子の断面構成を示している。
【0060】第1の実施形態においては、エピタキシャ
ル層を成長する基板10に絶縁性のサファイアを用いた
が、第2の実施形態においては、図8に示すように、基
板30として、導電性を有し且つIII 族窒化物半導体と
格子定数が近い、n型の窒化ガリウム(GaN)、n型
の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)又はn型の
シリコンカーバイド(SiC)を用いている。
【0061】図8に示すように、例えばn型の窒化ガリ
ウム(GaN)からなる基板30の上には、厚さが約2
μmのn型GaNからなるn型バッファ層31と、厚さ
が約1μmのn型のAl0.15Ga0.85Nからなるn型ク
ラッド層32と、厚さが約0.1μmのn型のGaNか
らなるn型光ガイド層33と、厚さが約5nmのアンド
ープのGa0.8In0.2Nからなる単一量子井戸型活性層
34と、厚さが約0.1μmのp型のGaNからなるp
型光ガイド層35と、厚さが約1μmのp型のAl0.15
Ga0.85Nからなるp型クラッド層36と、厚さが約
0.5μmのp型のGaNからなるp型コンタクト層3
7とが結晶成長により順次形成されている。
【0062】第2の実施形態においても、p型クラッド
層36の上部に互いに間隔をおくと共に、p型コンタク
ト層37の両側部に、p型クラッド層36及びp型コン
タクト層37を構成する窒素原子の一部が酸素原子で置
換された誘電体からなる電流ブロック層38が形成され
ている。該電流ブロック層38は、p型クラッド層36
及びp型コンタクト層37が、メサ状で且つ平面ストラ
イプ状のリッジ構造となるように形成されている。ここ
で、メサ幅は上部が約2μmで、下部が約3μmであ
る。
【0063】p型コンタクト層37の上には、ニッケ
ル、白金及び金の積層体からなり、p型コンタクト層3
7とオーミック接触するp側電極39が形成されてい
る。また、基板30におけるn型バッファ層31の反対
側の面上には、チタン、白金及び金の積層体からなるn
側電極40が形成されている。
【0064】以下、前記のように構成された半導体レー
ザ素子の製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
【0065】図9(a)〜図9(e)は本発明の第2の
実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の工程順の
断面構成を示している。ここで、図9において、図8に
示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付す。
【0066】まず、図9(a)に示すように、例えばM
OVPE法により、窒化ガリウムからなる基板30の上
に、n型バッファ層31、n型クラッド層32、n型光
ガイド層33、単一量子井戸型活性層34(以下、活性
層34と呼ぶ。)、p型光ガイド層35、p型クラッド
層36、及びp型コンタクト層37を順次成長してエピ
タキシャル層を形成する。
【0067】次に、図9(b)に示すように、例えばC
VD法により、p型コンタクト層37の上に、厚さが約
500nmのポリシリコン膜を堆積する。続いて、リソ
グラフィ法により、p型コンタクト層37の上に共振器
形成領域を覆うように、幅が約3μmのストライプ状の
レジストパターン(図示せず)を形成し、形成したレジ
ストパターンをマスクとして、ポリシリコン膜に対して
テトラフルオロカーボンをエッチングガスとするドライ
エッチングを行なうことにより、ポリシリコン膜から酸
化防止膜90を形成する。
【0068】次に、図9(c)に示すように、酸化防止
膜90をマスクとして、温度が約900℃で圧力が約1
atmの酸素雰囲気中にエピタキシャル層を24時間程
度さらすことにより、p型クラッド層36の上部及びp
型コンタクト37における酸化防止膜90の両側方部分
を酸化する。これにより、p型クラッド層36及びp型
コンタクト層37をそれぞれ構成する窒素原子の一部が
酸素原子で置換された電流ブロック層38が、p型クラ
ッド層36の上部及びp型コンタクト37における酸化
防止膜90の両側方部分に形成される。ここでも、電流
ブロック層38における酸素の濃度分布は、該電流ブロ
ック層38の表面から内部に向けて徐々に低下するプロ
ファイルを有している。
【0069】次に、図9(d)に示すように、エピタキ
シャル層をバッファードフッ酸に浸して酸化防止膜90
を除去し、さらに、残存した酸化防止膜90はテトラフ
ルオロカーボンを用いたドライエッチングにより除去す
る。このとき、形成された電流ブロック層38はバッフ
ァードフッ酸によってはエッチングされない。
【0070】次に、図9(e)に示すように、例えば蒸
着法によりp型コンタクト層37を覆うように、ニッケ
ル、白金及び金を順次堆積して、これらの積層体からな
るp側電極39を選択的に形成する。続いて、基板30
におけるn型バッファ層31の反対側の面上に、チタ
ン、白金及び金を順次堆積して、これらの積層体からな
るn側電極40を選択的に形成する。ここでも、p側電
極39とn側電極40との形成順序は問われない。
【0071】その後、図示はしていないが、基板30を
共振器長が約500μmとなるように劈開し、共振器の
出射端面には、反射率が約10%となるように低反射コ
ーティングを施し、反射端面には反射率が約80%とな
るように高反射コーティングを施す。
【0072】このように、第2の実施形態に係る半導体
レーザ素子及びその製造方法によると、第1の実施形態
と同様に、電流ブロック層38は、p型クラッド層36
及びp型コンタクト層37を構成する窒素原子の一部が
酸素原子で置換した誘電体により形成されるため、該電
流ブロック層38のp型クラッド層36及びp型コンタ
クト層39に対する密着性が格段に向上する。
【0073】また、電流ブロック層38の酸素含有量
(酸素組成)は、活性層34に近づくにつれて徐々に減
少しており、電流ブロック層38の屈折率差を連続的に
変化させることができるので、レーザ構造を容易に最適
化することができる。
【0074】その上、基板30におけるn型バッファ層
31の反対側の面上にn側電極40をp側電極39と対
向するように設けるため、第1の実施形態のように、エ
ピタキシャル層に対してn型バッファ層31を露出する
エッチング工程が不要となるので、第1の実施形態と比
べて、歩留まりがさらに向上する。
【0075】なお、第1の実施形態と同様に、第2の実
施形態に係る半導体レーザ素子は、端面発光型レーザ素
子に限らず、面発光型レーザ素子にも適用可能である。
【0076】(第3の実施形態)以下、本発明の第3の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0077】図10は本発明の第3の実施形態に係る半
導体レーザ素子の断面構成を示している。
【0078】第3の実施形態においては、第2の実施形
態に示した半導体レーザ素子におけるメサ構造を光の閉
じ込め率がさらに向上する構成とする。
【0079】図10に示すように、例えばn型の窒化ガ
リウム(GaN)からなる基板50の上には、厚さが約
2μmのn型GaNからなるn型バッファ層51と、厚
さが約1μmのn型のAl0.15Ga0.85Nからなるn型
クラッド層52と、厚さが約0.1μmのn型のGaN
からなるn型光ガイド層53と、厚さが約5nmのアン
ドープのGa0.8In0.2Nからなる単一量子井戸型活性
層54と、厚さが約0.1μmのp型のGaNからなる
p型光ガイド層55と、厚さが約1μmのp型のAl
0.15Ga0.85Nからなるp型クラッド層56と、厚さが
約0.5μmのp型のGaNからなるp型コンタクト層
57とが結晶成長により順次形成されている。ここで、
基板50は、窒化ガリウムに限らず、n型のAlGaN
又はSiCであっても良い。
【0080】第3の実施形態の特徴として、p型コンタ
クト層57からn型クラッド層52の上部には、それら
の両側部が約2μmの幅となるようにエッチングされて
メサ部(リッジ部)が形成され、該メサ部の両側部に
は、p型コンタクト層57からn型クラッド層52をそ
れぞれ構成する窒素原子の一部が酸素原子で置換された
誘電体からなる電流ブロック層58が形成されている。
【0081】p型コンタクト層57の上には、ニッケ
ル、白金及び金の積層体からなり、p型コンタクト層5
7とオーミック接触するp側電極59が形成されてい
る。また、基板50におけるn型バッファ層51の反対
側の面上には、チタン、白金及び金の積層体からなるn
側電極60が形成されている。
【0082】ここで、p側電極59は、p型コンタクト
層57の上面にのみ形成されているが、電流ブロック層
58の上部を覆うように設けることも可能である。
【0083】以下、前記のように構成された半導体レー
ザ素子の製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
【0084】図11(a)〜図11(e)は本発明の第
3の実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の工程
順の断面構成を示している。ここで、図11において、
図10に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号
を付す。
【0085】まず、図11(a)に示すように、例えば
MOVPE法により、窒化ガリウムからなる基板50の
上に、n型バッファ層51、n型クラッド層52、n型
光ガイド層53、単一量子井戸型活性層54(以下、活
性層54と呼ぶ。)、p型光ガイド層55、p型クラッ
ド層56、及びp型コンタクト下部層57aを順次成長
してエピタキシャル層を形成する。ここでは、p型コン
タクト下部層57aは、後工程で再成長するため、その
厚さを0.3μm程度に留めておく。
【0086】次に、図11(b)に示すように、例えば
CVD法により、p型コンタクト下部層57aの上に、
厚さが約500nmのポリシリコン膜を堆積する。続い
て、リソグラフィ法により、p型コンタクト下部層57
aの上に共振器形成領域を覆うように、幅が約3μmの
ストライプ状のレジストパターン(図示せず)を形成
し、形成したレジストパターンをマスクとして、ポリシ
リコン膜に対してテトラフルオロカーボンをエッチング
ガスとするドライエッチングを行なうことにより、ポリ
シリコン膜から酸化防止膜90を形成する。続いて、レ
ジストパターン及び酸化防止膜90をマスクとして、エ
ピタキシャル層に対してn型クラッド層52を露出する
まで、塩素(Cl2 )を用いたドライエッチングを行な
って、メサ部を形成する。
【0087】次に、図11(c)に示すように、酸化防
止膜90をマスクとして、温度が約900℃で圧力が約
1atmの酸素雰囲気中にエピタキシャル層を24時間
程度さらすことにより、n型クラッド層52の上部、n
型光ガイド層53、活性層54、p型光ガイド層55、
p型クラッド層56及びp型コンタクト下部層57aに
おけるメサ部の両側方部分を酸化する。これにより、n
型クラッド層52の上部からp型コンタクト下部層57
aをそれぞれ構成する窒素原子の一部を酸素原子で置換
した電流ブロック層58が、n型クラッド層52の上部
からp型コンタクト下部層57aにわたる両側方部分に
形成される。
【0088】次に、図11(d)に示すように、エピタ
キシャル層をバッファードフッ酸に浸して酸化防止膜9
0を除去し、さらに、残存した酸化防止膜90はテトラ
フルオロカーボンを用いたドライエッチングにより除去
する。このとき、形成された電流ブロック層58はバッ
ファードフッ酸によってはエッチングされない。続い
て、MOVPE法により、p型コンタクト下部層57a
を再成長して、厚さが0.5μm程度のp型コンタクト
層57を形成する。このとき、p型コンタクト層57
は、電流ブロック層58の上端面を覆うように成長す
る。
【0089】次に、図11(e)に示すように、例えば
蒸着法によりp型コンタクト層57を覆うように、ニッ
ケル、白金及び金を順次堆積して、これらの積層体から
なるp側電極59を選択的に形成する。続いて、基板5
0におけるn型バッファ層51の反対側の面上に、チタ
ン、白金及び金を順次堆積して、これらの積層体からな
るn側電極60を選択的に形成する。ここでも、p側電
極59とn側電極60との形成順序は問われない。
【0090】その後、図示はしていないが、基板50を
共振器長が約500μmとなるように劈開し、共振器の
出射端面には、反射率が約10%となるように低反射コ
ーティングを施し、反射端面には反射率が約80%とな
るように高反射コーティングを施す。
【0091】このように、第3の実施形態に係る半導体
レーザ素子及びその製造方法によると、第1及び第2の
実施形態と同様に、電流ブロック層58は、n型クラッ
ド層52からp型コンタクト層57をそれぞれ構成する
窒素原子の一部が酸素原子で置換した誘電体により形成
されるため、該電流ブロック層58のメサ部に対する密
着性が格段に向上する。
【0092】また、電流ブロック層58の酸素含有量
(酸素組成)は、活性層54に近づくにつれて徐々に減
少しており、電流ブロック層58の屈折率差を連続的に
変化させることができるので、レーザ構造を容易に最適
化することができる。
【0093】その上、基板50におけるn型バッファ層
51の反対側の面上にn側電極60をp側電極59と対
向するように設けるため、直列抵抗成分が減少する。
【0094】また、p側電極59を電流ブロック層58
の上側に設けることができるため、電極形成時の位置合
わせ工程を不要にできる。
【0095】なお、第1及び第2の実施の形態と同様
に、本発明は端面発光型レーザ素子に限らず、面発光型
レーザ素子にも適用可能である。
【0096】(第4の実施形態)以下、本発明の第4の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0097】図12は本発明の第4の実施形態に係る青
色発光ダイオード素子アレイを模式的に示している。
【0098】図12に示すように、n型の導電性を有す
る窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム
(AlGaN)又はシリコンカーバイド(SiC)から
なる基板70の上には、第2の実施形態と同等の構成を
持つダブルヘテロ構造からなるエピタキシャル層71が
形成されている。
【0099】エピタキシャル層71の上面には、行列状
に配置された4つのドット状の開口部72aからそれぞ
れp型コンタクト層71aを露出するように電流ブロッ
ク層72が形成されている。
【0100】第4の実施形態の特徴として、電流ブロッ
ク層72は、少なくともp型コンタクト層71aを構成
する窒素原子の一部が酸素原子で置換された誘電体によ
り形成されている。
【0101】電流ブロック層72の上には、各開口部7
2aから露出するp型コンタクト層71aとオーミック
接触し、例えばITO(Indium Tin Oxide)のように再
結合光を透過して、エピタキシャル層の上方に出力光を
取り出すことができる透明電極73が形成されている。
また、基板70におけるエピタキシャル層71の反対側
の面上には、チタン、白金及び金の積層体からなるn側
電極74が形成されている。
【0102】ここで、各ダイオード素子同士の電気的な
素子分離は電流ブロック層72によりなされている。
【0103】第4の実施形態によると、電流ブロック層
72はエピタキシャル層71と比べて屈折率が小さいた
め、再結合光をエピタキシャル層71の内部に光学的に
閉じ込めることができる。
【0104】なお、透明電極73の上に発光波長を透過
する多層の誘電体膜を設けてもよい。この場合、エピタ
キシャル層71におけるダブルヘテロ構造の下層に、発
光波長に対して反射性を有する周期構造を設けることに
よりレーザ発振させる、いわゆる面発光レーザ構造とし
てもよい。
【0105】第4の実施形態によると、第1の実施形態
と同様に、、III-V族窒化物半導体における窒素原子の
一部を酸素原子で置換した電流ブロック層72を有して
いるため、従来の窒化シリコン用いた電流ブロック層と
比較して、素子分離領域の信頼性が極めて高くなる。
【0106】従って、第4の実施形態に係る青色発光ダ
イオード素子アレイは、屋外の厳しい環境下で使用され
る際にも高い信頼性を得ることができる。
【0107】なお、第1〜第4の各実施形態において、
III-V族窒化物半導体の窒素原子の一部を酸素原子で置
き換えてなる電流ブロック層は、蛍光材を励起して得ら
れる白色光源、又は光集積素子等に適用しても同様な効
果を得ることができる。
【0108】
【発明の効果】本発明の半導体発光素子及びその製造方
法によると、電流ブロック層が半導体層と一体に形成さ
れているため、電流ブロック層は半導体層との間の密着
性に関する問題がなくなり、さらには、ピンホール密度
が格段に低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素
子を示す構成断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係
る半導体レーザ素子の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素
子における注入電流と光出力との関係を示すグラフであ
る。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素
子における遠視野像を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素
子の接合面に対して平行な方向における遠視野像の光出
力依存性を示すグラフである。
【図6】従来の半導体レーザ素子の接合面に対して平行
な方向における遠視野像の光出力依存性を示すグラフで
ある。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素
子と従来の半導体レーザ素子との高温高湿寿命試験の結
果を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ素
子を示す構成断面図である。
【図9】(a)〜(e)は本発明の第2の実施形態に係
る半導体レーザ素子の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ
素子を示す構成断面図である。
【図11】(a)〜(e)は本発明の第3の実施形態に
係る半導体レーザ素子の製造方法を示す工程順の構成断
面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る青色発光ダイ
オード素子アレイを示す斜視図である。
【図13】従来の半導体レーザ素子を示す構成断面図で
ある。
【符号の説明】
10 基板 11 n型バッファ層 12 n型クラッド層 13 n型光ガイド層 14 単一量子井戸型活性層 15 p型光ガイド層 16 p型クラッド層 17 p型コンタクト層 18 電流ブロック層 19 p側電極 20 n側電極 30 基板 31 n型バッファ層 32 n型クラッド層 33 n型光ガイド層 34 単一量子井戸型活性層 35 p型光ガイド層 36 p型クラッド層 37 p型コンタクト層 38 電流ブロック層 39 p側電極 40 n側電極 50 基板 51 n型バッファ層 52 n型クラッド層 53 n型光ガイド層 54 単一量子井戸型活性層 55 p型光ガイド層 56 p型クラッド層 57 p型コンタクト層 57a p型コンタクト下部層 58 電流ブロック層 59 p側電極 60 n側電極 70 基板 71 エピタキシャル層 71a p型コンタクト層 72 電流ブロック層 72a 開口部 90 酸化防止膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F073 AA13 AA22 AA45 AA73 CA07 CB05 CB07 DA05 DA24 DA27 EA15 EA23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の上に形成された活性層と、 前記活性層の上に形成され、III-V族窒化物からなる半
    導体層と、 前記半導体層に、該半導体層を露出する開口部を有する
    ように形成され、前記半導体層を構成する窒素原子の一
    部が酸素原子に置換された誘電体からなる電流ブロック
    層とを備えていることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記電流ブロック層における酸素の組成
    は、前記活性層に近づくにつれて減少していることを特
    徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記電流ブロック層の開口部の平面形状
    はストライプ状であることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記半導体層は、共振器を構成するリッ
    ジ部を有し、前記電流ブロック層は、前記半導体層の側
    部にも形成されていることを特徴とする請求項3に記載
    の半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 前記電流ブロック層の開口部の平面形状
    はドット状であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 基板の上に活性層を形成する第1の工程
    と、 前記活性層の上に、III-V族窒化物からなる半導体層を
    形成する第2の工程と、 前記半導体層の上にその一部をマスクするマスク膜を選
    択的に形成する第3の工程と、 前記マスク膜が形成された前記半導体層を酸化性雰囲気
    で酸化することにより、前記半導体層に、前記半導体層
    を構成する窒素原子の一部が酸素原子に置換された誘電
    体からなる電流ブロック層を形成する第4の工程と、 前記マスク膜を除去する第5の工程とを備えていること
    を特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第3の工程と前記第4の工程との間
    に、 前記マスク膜を用いて、前記半導体層をリッジ状にパタ
    ーニングする第6の工程をさらに備えていることを特徴
    とする請求項6に記載の半導体発光素子の製造方法。
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