JP2005072571A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 半導体装置の素子特性を向上させる。
【解決手段】 半導体装置は、サファイア基板101上に形成された第1の半導体層よりなる能動層(活性層)105を備えている。能動層(活性層)105には、酸化層よりなる第1の酸化領域が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、青紫色領域又は紫外領域において発光する発光ダイオード若しくは半導体レーザ素子などの発光素子又はギガヘルツのオーダーにて動作するトランジスタなどの半導体装置及びその製造方法に関するものである。
一般式がBxAlyGa1-y-zInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物半導体は、バンドギャップエネルギーがGaNの場合で3.4eV(室温)と非常に大きなワイドバンドギャップエネルギーを有する半導体であるので、青色から紫外にわたる広範囲で可視域発光が実現できる材料として期待されている。また、高電界において大きな電子速度を有するので、高温動作及び高出力トランジスタ材料としても期待されている。
これまでは、一般に窒化物半導体の成長温度が高いことと、格子整合する基板材料がないことから、良好な結晶を有する窒化物半導体が得られなかった。ところが、サファイア基板上に低温バッファ層を介してMOCVD法により窒化物半導体を成長させる技術が開発されて以降、結晶性が改善されて、発光ダイオード又は半導体レーザが商品化されるに至った。一般に、サファイア基板上に形成されたGaN結晶中には1×109 cm-2程度の結晶欠陥が存在するが、発光層としてInGaNを用いた青色発光デバイスにおいては、Inの組成が不均一になることによってキャリアが局在化するので、高い結晶欠陥密度を有していても青色発光を得ることができる。
しかしながら、結晶欠陥がキャリアの非発光性再結合中心として働くことにより、発光効率が低下し、発光素子の信頼性が損われている。これを解決するために開発された技術が、横方向成長(Epitaxial Lateral Overgrowth)を用いた低結晶欠陥化技術である。例えば、SiO2 膜などのマスク上にGaNを横方向成長させるか、又は基板上に段差を形成した後その段差上にGaNを横方向成長させることにより、結晶欠陥密度を1×107 cm-2程度にまで低減させることができる。
このように、窒化物半導体の結晶欠陥密度を低結晶欠陥化することによって、窒化物半導体デバイスの特性が大幅に向上することから、低結晶欠陥化に向けての研究開発が活発に行なわれている。
また、低結晶欠陥化技術に加えて、窒化物半導体デバイスの高性能化という意味で注目されている技術が窒化物半導体表面の選択酸化技術である。例えば、Si薄膜などをマスク材料として、酸素雰囲気中で熱処理を行なうことにより、GaN表面に酸化層を形成した後、マスク材料を除去する。そして、GaN表面に電界効果トランジスタを作製した場合には、GaN表面に形成された酸化層によってデバイスの素子分離及びデバイスの高耐圧化が可能になる(例えば特許文献1参照)。この選択酸化技術は、半導体レーザの電流狭窄などにも適用可能であり、幅広い応用が期待されている。
特開2001−26755号公報
ところで、紫外発光デバイスにおいては、紫外光に対して透明なAlGaNを下地として用いる必要がある。この場合に、SiO2 膜をマスクとしてGaNを横方向成長させると、SiO2 膜上に多結晶が析出するため、GaNが選択的に成長できないので、低結晶欠陥化を行なうことが困難である。
また、紫外発光デバイスの活性層には、Inを含まないAlGaNの混晶が用いられるため、キャリアの局在化が小さい。このため、結晶欠陥に流れる無効電流が顕著に現れるので、発光効率が低い。
また、一般に、デバイス作製においては、ドライエッチングを用いて段差を形成し、該段差上に電極を形成する工程が含まれることが多い。このような工程を経て形成された界面において、エッチングダメージを介して流れる無効電流が増加し、素子特性が劣化する要因となっている。
前記に鑑み、本発明の目的は、優れた素子特性を実現する半導体装置及びその製造方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、本発明に係る第1の半導体装置は、基板上に形成された第1の半導体層よりなる能動層を備えた半導体装置であって、能動層には、酸化層よりなる第1の酸化領域が形成されていることを特徴する。
本発明に係る第1の半導体装置によると、能動層に形成された酸化層が電流阻止層の働きを有するため、能動層に流れる無効電流を防止できるので、優れたデバイス特性を有する半導体装置を実現できる。
本発明に係る第1の半導体装置において、第1の酸化領域は、能動層に存在する結晶欠陥の近傍に形成されていることが好ましい。
このようにすると、能動層中に存在している結晶欠陥が選択的に酸化層で覆われているので、非発光性再結合中心として働く結晶欠陥に流れる無効電流を選択的に防止することができる。したがって、優れたデバイス特性を有する半導体装置を実現できる。
本発明に係る第1の半導体装置において、能動層の上に形成された第2の半導体層をさらに備えており、第2の半導体層における表面及び側面のうち少なくとも一方には、酸化層よりなる第2の酸化領域が形成されていることが好ましい。
このようにすると、第2の半導体層における表面に流れる無効電流を防止できると共に、例えばドライエッチングなどによってエッチングされた第2の半導体層の側面が酸化層で覆われていることにより、エッチングダメージを有する側面に流れる無効電流を防止できるので、半導体装置のデバイス特性が大幅に向上する。
本発明に係る第1の半導体装置において、第2の半導体層における側面に形成される第2の酸化領域の層厚は、第2の半導体層における表面近傍に形成される第2の酸化領域の層厚よりも大きいことが好ましい。
このように、半導体層における面は酸化層によって選択的に覆われているので、半導体装置のデバイス特性を大幅に向上させることができる。
本発明に係る第1の半導体装置において、第1の酸化領域は、能動層における側面にさらに形成されており、能動層における側面に形成された第1の酸化領域の層厚は、第2の半導体層における側面に形成される第2の酸化領域の層厚よりも大きいことが好ましい。
このように、半導体層における側面は酸化層によって選択的に覆われているので、半導体装置のデバイス特性を大幅に向上させることができる。
本発明に係る第2の半導体装置は、基板上に形成された第1の半導体層よりなる能動層と、能動層の上に形成された第2の半導体層とを備えた半導体装置であって、能動層には、酸化層よりなる第1の酸化領域が形成されていることを特徴とする。
本発明の第2の半導体装置によると、第2の半導体層は酸化されておらず、能動層のみに酸化層が形成されているので、酸化層による電圧上昇を低減できると共に、優れたデバイス特性を有する半導体装置を実現できる。
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、能動層は、発光ダイオードの活性層であることが好ましい。
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、能動層は、フォトダイオードの光吸収層であることが好ましい。
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、能動層は、半導体レーザの活性層であることが好ましい。
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、能動層は、電界効果トランジスタのチャネル層であることが好ましい。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、基板上に半導体層よりなる能動層を形成する工程と、能動層に酸化層よりなる酸化領域を選択的に形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によると、能動層に選択的に形成された酸化層が電流阻止層の働きを有するので、下地層を低結晶欠陥化する工程を経ることなく、優れたデバイス特性を有する導体装置を製造できる。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、酸化領域を選択的に形成する工程は、能動層に存在する結晶欠陥の近傍に、酸化領域を形成する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、非発光性再結合中心として働く結晶欠陥に流れる無効電流を防止することができるので、優れたデバイス特性を有する半導体装置を製造できる。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、酸化領域を選択的に形成する工程は、水蒸気を含む雰囲気中での熱処理により、酸化領域を形成する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、能動層に形成される酸化層は、酸素酸化によって酸化層を形成する場合と比較して、結晶欠陥が存在する領域において酸化層が厚く形成されるので、酸化層による電流防止層の働きがより効果的となるので、優れたデバイス特性を有する半導体装置を製造できる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、基板上に第1の半導体層よりなる能動層を形成する工程と、能動層の上に第2の半導体層を形成する工程と、第2の半導体層における面方位が異なる少なくとも2つの面に、酸化層よりなる酸化領域を選択的に形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によると、例えばドライエッチングなどによってエッチングされてエッチングダメージを有する面に流れる無効電流を防止できるので、下地層を低結晶欠陥化する工程を経ることなく、半導体装置のデバイス特性を大幅に向上させることができる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法において、酸化領域を選択的に形成する工程は、少なくとも2つの面の各々に形成される酸化領域の各々の層厚が互いに異なるように、酸化領域を形成する工程を含むことが好ましい。
このように、半導体層における面に異なる膜厚を有する酸化層を選択的に形成するので、半導体装置のデバイス特性を大幅に向上させることができる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法において、少なくとも2つの面のうちの1つの面は、第2の半導体層におけるc面方位を有する面であることが好ましい。
このようにすると、c面(主面)に流れる無効電流を防止することができる。これにより、優れたデバイス特性を有する半導体装置を製造することができる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法において、第2の半導体層におけるc面方位を有する面上に形成される酸化領域の層厚は、第2の半導体層におけるc面方位を有する面とは異なる面に形成される酸化領域の層厚よりも小さいことが好ましい。
このようにすると、半導体層におけるc面(主面)とは異なる面に流れる無効電流を防止することができる。これにより、優れたデバイス特性を有する半導体装置を製造することができる。
本発明に係る第1の半導体装置によると、能動層に形成された酸化層が電流阻止層の働きを有するため、能動層に流れる無効電流を防止できるので、優れたデバイス特性を有する半導体装置を実現できる。
本発明の第2の半導体装置によると、第2の半導体層は酸化されておらず、能動層のみに酸化層が形成されているので、酸化層による電圧上昇を低減できると共に、優れたデバイス特性を有する半導体装置を実現できる。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によると、能動層に選択的に形成された酸化層が電流阻止層の働きを有するので、下地層を低結晶欠陥化する工程を経ることなく、優れたデバイス特性を有する導体装置を製造できる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によると、例えばドライエッチングなどによってエッチングされてエッチングダメージを有する面に流れる無効電流を防止できるので、下地層を低結晶欠陥化する工程を経ることなく、半導体装置のデバイス特性を大幅に向上させることができる。
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
まず、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、発光ダイオードを例に用いて説明する。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置としての発光ダイオードを示しており、図1(a)は平面図であって、図1(b)は図1(a)に示したIb-Ib 線における断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、サファイア基板101上には、AlN又はGaNよりなるバッファ層102、AlGaNの混晶よりなるアンドープ層103、AlGaNの混晶よりなるn型クラッド層104、AlGaN/AlGaNの積層膜よりなる活性層105、及びAlGaNよりなるp型クラッド層106が下から順に積層されている。p型クラッド層106の上には、全面にわたってp型透明電極107が形成されており、p型透明電極107の上の一角には、p型電極108を介して電極パッド109が形成されている。また、ドライエッチングによってp型クラッド層106、活性層105及びn型クラッド層104がエッチングされてなる段差が形成されており、電極パッド109と対角の位置であって、段差を構成するn型クラッド層104の上には、n型電極110及び電極パッド111が下から順に形成されている。
なお、n型クラッド層104及びp型クラッド層106は、ドーパントとしてそれぞれSi及びMgが用いられており、各々のキャリア密度は、n型クラッド層104の場合が2×1018cm-3であり、p型クラッド層106の場合が5×1017cm-3である。
また、前記第1の実施形態に係る発光ダイオードを構成する各層の組成及び層厚の一例について、下記{表1}に示している。
Figure 2005072571
また、図1(a)及び(b)に示すように、アンドープ層103、n型クラッド層104、活性層105、及びp型クラッド層106には結晶欠陥が貫通しており、結晶欠陥密度は5×109cm-2 程度である。結晶欠陥がp型クラッド層106の上面に達している箇所では、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜113が形成されている。結晶欠陥が存在している領域に深くされた酸化膜113の深さは、例えば50nmであり、活性層105を貫通する深さまで結晶欠陥は酸化されている。また、結晶欠陥が存在していない領域では、薄く酸化されており、その酸化されている厚さは、例えば20nmである。
ここで、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜113は、p型クラッド層106を、水蒸気を含むガスを用いて酸化した後に、その表面に形成される薄い酸化膜を除去することによって形成されている。ドライエッチングによってn型クラッド層104まで到達している段差では、段差を構成するn型クラッド層104、活性層105及びp型クラッド層106の側面に、厚く酸化されてなる酸化膜112が形成されている。これにより、n型クラッド層104、活性層105及びp型クラッド層106の側面における電流のリークを防止することができる。なお、酸化膜112の厚さは、例えば100nmである。
n型クラッド層104、活性層105及びp型クラッド層106の側面に形成された酸化膜112及び結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜113は絶縁体であるため、n型クラッド層104、活性層105及びp型クラッド層106の側面において流れるリーク電流と結晶欠陥を介して流れる非発光電流とを防止することができる。これにより、結晶欠陥が無い発光領域に選択的に電流が注入されるので、高効率の発光ダイオードを実現することができる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例として、前述した紫外発光ダイオードの製造方法について、図2(a)〜(d)を参照しながら説明する。
図2(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る紫外発光ダイオードの製造方法を示す要部工程断面図である。
まず、図2(a)に示すように、サファイア基板101上に、AlN又はGaNよりなるバッファ層102、AlGaNの混晶よりなるアンドープ層103、AlGaNの混晶よりなるn型クラッド層104、AlGaN/AlGaNの積層膜よりなる活性層105、及びAlGaNよりなるp型クラッド層106を、MOCVD法を用いて、下から順に積層する。
次に、図2(b)に示すように、ドライエッチングを用いて、p型クラッド層106、活性層105及びn型クラッド層104をエッチングすることにより、後述するn電極110用の段差を形成する。
次に、図2(c)に示すように、水蒸気雰囲気中にて、熱処理を行なうことにより、p型クラッド層106、活性層105及びn型クラッド層104の側面に厚く酸化されてなる酸化膜112及び結晶欠陥が存在している領域に深く酸化されてなる酸化膜113を形成する。この熱処理の際に、結晶欠陥がp型クラッド層106及びn型クラッド層104の表面に達している部分から選択的に深く酸化されて酸化膜が形成される。また、活性層105に存在している結晶欠陥まで酸化が進行し、非発光性中心となる結晶欠陥が酸化される。また、p型クラッド層106及びn型クラッド層104の表面における結晶欠陥が存在していない領域では、酸化膜は薄く形成される。このため、p型クラッド層106及びn型クラッド層104の上には、結晶欠陥が存在している領域では厚い酸化膜113が形成されると共に、結晶欠陥が存在していない領域では図示していない薄い酸化膜が形成される。一方、ドライエッチングによって形成された段差の側面において、酸化速度が速いので、厚い酸化膜112が形成される。ここでの水蒸気酸化は以下の条件で行なうとよい。例えば、石英チューブに3mL/min(標準状態)の水蒸気と5×10-3mL/min(標準状態)の窒素とを導入しながら、900〜1000℃に昇温し、酸化膜として必要な厚さ、例えば20nmの厚さまで酸化されるように高温保持した後、降温するという条件下で水蒸気酸化が行なわれるよい。なお、ここで述べた水蒸気酸化の条件は、後述する第2〜第4の実施形態においても同様である。
次に、アンモニア雰囲気中での熱処理又はRIEを行なうことによって、p型クラッド層106及びn型クラッド層104の上に形成された薄い酸化膜をエッチング除去して、p型クラッド層106及びn型クラッド層104を露出させる。酸化膜112及び酸化膜113は、膜厚が厚いために完全にエッチングされずに残る。ここでのドライエッチングは、p型クラッド層106及びn型クラッド層104の表面に形成された薄い酸化膜をエッチング除去すると共に、酸化膜112及び酸化膜113が除去されきれずに残存する程度の厚さ分(例えば20nm)をエッチング除去すればよい。なお、エッチングの方法は、ECR−RIE又はICPを用いると共に、BCl3 などの塩素を含むガスを使用してエッチングを行なえばよい。また、ここで述べたドライエッチングの条件は、後述する第2〜第4の実施形態においても同様である。
次に、図2(d)に示すように、n型クラッド層104の上に、n型電極110及び電極パッド111を順次形成すると共に、p型クラッド層106の上に、p型透明電極107、p型電極108及び電極パッド109を順次形成する。
以上のように、非発光性再結合中心となる結晶欠陥に選択的に酸化層を形成し、形成された酸化層は絶縁体となるので、結晶欠陥が存在しない領域に選択的に電流が注入できるデバイス構造を実現できる。
ここで、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオードの特性が向上するメカニズムについて、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3は、酸化膜の厚さと発光強度との関係を示している。
図3に示すように、酸素酸化を行なった場合には、酸化膜の膜厚の増加に伴って、結晶欠陥が存在している領域に酸化膜が深く形成されることはない。このため、活性層105の非発光性再結合中心が減少しないので、発光強度が上昇しない。さらに、酸化を行なって酸化膜の膜厚を増加させると、活性層105における発光領域が減少するので、発光強度が減少する。
一方、水蒸気を用いて酸化を行なった場合には、酸化膜の膜厚の増加に伴って、結晶欠陥が存在している領域に酸化膜が深く形成される。このため、活性層105における非発光性再結合中心となっていた結晶欠陥が酸化物よりなる絶縁体に変わるため、結晶欠陥が存在していない領域に電流が選択的に流れるので、発光効率が上昇する。さらに、酸化を行なって酸化膜の膜厚を増加させると、活性層105における発光領域が減少するので、発光強度が減少する。
図4は、酸化膜の厚さと動作電圧との関係を示している。
図4に示すように、酸素酸化を行なった場合には、結晶欠陥が存在している領域で進行する酸化の速度と結晶欠陥が存在していない領域の表面で進行する酸化の速度との選択性が低いため、酸化膜の膜厚の増加に伴って、結晶欠陥が存在している領域だけではなく発光領域までも酸化されてしまうので、動作電圧が上昇する。一方、水蒸気を用いて酸化を行なった場合には、結晶欠陥が存在している領域で進行する酸化の速度と結晶欠陥が存在していない領域の表面で進行する酸化の速度との選択性が大きいため、結晶欠陥が存在している領域が選択的に酸化されるので、動作電圧の上昇が小さい。このため、発光特性の上昇が実現できる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
まず、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、フォトディテクタを例に用いて説明する。
図5(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置としての発光ダイオードを示しており、図5(a)は平面図であって、図5(b)は図5(a)に示したVb-Vb 線における断面図である。
図5(a)及び(b)に示すように、サファイア基板201上には、AlN又はGaNよりなるバッファ層202、AlGaNの混晶よりなるアンドープ層203、AlGaNの混晶よりなるn型クラッド層204、AlGaNよりなる受光能動層205、及びAlGaNよりなるp型クラッド層206が下から順に積層されている。p型クラッド層206の上には、全面にわたって透明電極207が形成されている。また、p型クラッド層206、受光能動層205及びn型クラッド層204には、これらの層がドライエッチングされることによって段差が形成されており、この段差上には、後述する酸化膜212を介してリング状のp型電極208及び電極パッド209が下から順に形成されており、また、n型電極210及び電極パッド211が下から順に形成されている。
なお、n型クラッド層204及びp型クラッド層206は、ドーパントとしてそれぞれがSi及びMgが用いられており、各々のキャリア密度は、n型クラッド層204の場合が5×1017cm-3であり、p型クラッド層206の場合が5×1017cm-3である。
また、前記第2の実施形態に係るフォトディテクタを構成する各層の組成及び層厚に一例ついて、下記{表2}に示している。
Figure 2005072571
図5(a)及び(b)に示すように、アンドープ層203、n型クラッド層204、受光能動層205及びp型クラッド層206には結晶欠陥が貫通しており、結晶欠陥密度は、5×109 cm-2程度である。結晶欠陥がp型クラッド層206の上面に達している箇所では、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜213が形成されている。結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜213の深さは、例えば50nmであり、受光能動層205を貫通する深さまで結晶欠陥は酸化されている。
また、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜213は、p型クラッド層206を、水蒸気を含むガスを用いて結晶欠陥を酸化した後に、その表面に形成される薄い酸化膜を除去することによって形成されている。ドライエッチングによってn型クラッド層204、受光能動層205及びp型クラッド層206がエッチングされてなる段差が形成されており、段差を構成するn型クラッド層204、受光能動層205及びp型クラッド層206の側面に、厚く酸化されてなる酸化膜212が形成されている。これにより、n型クラッド層204、受光能動層205及びp型クラッド層206の側面における電流のリークを防止するすることができる。
n型クラッド層204、受光能動層205及びp型クラッド層206の側面に形成された酸化膜212及び結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜213は絶縁体であるため、n型クラッド層204、受光能動層205及びp型クラッド層206の側面において流れるリーク電流と結晶欠陥を介して流れる非発光電流とを防止することができるので、結晶欠陥が存在していない発光領域に選択的に電流が注入される。また、バイアス印加時には、ノイズとなるキャリアの発生を防止する構成となっているため、結晶欠陥が存在していない受光領域が選択的に機能するので、低ノイズであって高効率のフォトディテクタを実現することができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
まず、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、半導体レーザ素子を例に用いて説明する。
図6(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置としての発光ダイオードを示しており、図6(a)は平面図であって、図6(b)は図6(a)に示したVIb-VIb 線における断面図である。
図6(a)及び(b)に示すように、サファイア基板301上には、AlN又はGaNよりなるバッファ層302、AlGaNの混晶よりなるアンドープ層303、AlGaNの混晶よりなるn型クラッド層304、GaN/AlGaNの積層膜よりなる活性層305、及びAlGaNよりなるp型クラッド層306が下から順に積層されている。p型クラッド層306の上には、ドライエッチングによって幅1.5μmのストライプ状のリッジ導波路314が形成されており、該リッジ導波路314の上には、p型電極307及び電極パッド308が下から順に形成されている。なお、p型クラッド層306は、ドライエッチングにより、厚さが150nmとなるまでエッチングされている。
また、ドライエッチングによってp型クラッド層306、活性層305及びn型クラッド層304がエッチングされてなる段差が形成されており、この段差を構成しているn型クラッド層304の上には、n型電極310及び電極パッド311が形成されている。
なお、n型クラッド層304及びp型クラッド層306は、ドーパントとしてそれぞれSi及びMgが用いられており、各々のキャリア密度は、n型クラッド層304の場合が2×1018cm-3、p型クラッド層306の場合が5×1017cm-3である。
また、前記第3の実施形態に係る半導体レーザ素子を構成する各層の組成及び膜厚の一例については、下記{表3}に示している。
Figure 2005072571
また、図6(a)及び(b)に示すように、アンドープ層303、n型クラッド層304、活性層305及びp型クラッド層306には結晶欠陥が貫通しており、結晶欠陥密度は、5×109 cm-2程度である。結晶欠陥がp型クラッド層306の上面に達している箇所では、結晶欠陥が存在している領域に深くされた酸化膜313が形成されている。結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜313の深さは、例えば50nmであり、活性層305を貫通する深さまで結晶欠陥は酸化されている。
また、結晶欠陥領域が深く酸化された酸化膜313は、p型クラッド層306及びリッジ導波路314を、水蒸気を含むガスを用いて結晶欠陥を酸化することによって形成されている。ドライエッチングによってn型クラッド層304まで到達するように形成された段差では、段差を構成するリッジ導波路314の側面と、p型クラッド層306、活性層305及びn型クラッド層304の側面とに、厚く酸化されてなる酸化膜312が形成されている。これにより、リッジ導波路314の側面と、p型クラッド層306、n型クラッド層304及び活性層305の側面とにおける電流のリークを防止することができる。
リッジ導波路314の側面と、p型クラッド層306、n型クラッド層304及び活性層305の側面とに形成された酸化膜312と、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜313とは絶縁体であるため、リッジ導波路314の側面と、p型クラッド層306、n型クラッド層304及び活性層305の側面とに流れるリーク電流と、結晶欠陥を介して流れる非発光電流とを防止することができるので、結晶欠陥が存在していない発光領域に選択的に電流が注入される。これにより、低しきい値を有する高効率の半導体レーザを実現することができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
まず、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置について、半導体レーザ素子を例に用いて説明する。
図7(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置としての発光ダイオードを示しており、図7(a)は平面図であって、図7(b)は図7(a)に示したVIIb-VIIb 線における断面図である。
図7(a)及び(b)に示すように、サファイア基板401の上には、AlN又はGaNよりなるバッファ層402、AlGaNの混晶よりなるアンドープ層403、AlGaNの混晶よりなるn型クラッド層404、AlGaN/AlGaNの積層膜よりなる活性層405、及びAlGaNよりなるp型クラッド層406が下から順に積層されている。p型クラッド層406の上には、全面にわたってp型透明電極407が形成されており、p型透明電極407の上の一角には、p型電極408を介して電極パッド409が形成されている。また、ドライエッチングによってp型クラッド層406、活性層405及びn型クラッド層404がエッチングされてなる段差が形成されており、電極パッド409と対角の位置であって、段差を構成するn型クラッド層404の上には、n型電極410及び電極パッド411が下から順に形成されている。
なお、n型クラッド層404及びp型クラッド層406は、ドーパントとしてそれぞれSi及びMgが用いられており、各々のキャリア密度は、n型クラッド層404の場合が2×1018cm-3であり、p型クラッド層406が5×1017cm-3である。
また、前記した第4の実施形態に係る発光ダイオードを構成する各層の組成及び層厚については、以下の{表4}に示している。
Figure 2005072571
図7(a)及び(b)に示すように、アンドープ層403、n型クラッド層404、活性層405、及びp型クラッド層406には結晶欠陥が貫通しており、結晶欠陥密度は、5×109 cm-2程度である。ここで、活性層405の内部には、活性層405中の結晶欠陥が存在している領域に深く選択的に酸化された酸化膜413が形成されている。結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜413の深さは、例えば10nmであり、活性層405のみを貫通する深さまで結晶欠陥は酸化されている。
また、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜413は、活性層405を成長させた後、水蒸気を含むガスを用いて結晶欠陥を酸化することによって形成されている。このように、結晶欠陥が酸化されると同時に、活性層405の表面には、厚さが例えば2nmの薄い酸化膜が形成される。したがって、アンモニアガスで熱処理を行なうことにより、表面に形成された薄い酸化膜を除去する。この熱処理においては、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜413は除去されずに残る。その後、p型クラッド層406を成長させて、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化されている酸化膜413を埋め込んでいる。
活性層405に存在している結晶欠陥に深く酸化された酸化層413は絶縁体であるため、結晶欠陥を介して流れる非発光電流を防止することができる。また、p型クラッド層406を貫通する結晶欠陥に酸化膜を形成せずに、活性層405における結晶欠陥が存在している領域のみを酸化するので、活性層405における結晶欠陥が存在している領域に、微少な絶縁膜を選択的に形成することができる。これにより、活性層405における結晶欠陥が存在していない発光領域に選択的に電流が注入されるので、高効率の発光ダイオードを実現することができる。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図8及び図9を参照しながら説明する。
図8は、酸素雰囲気中で、結晶欠陥を有するGaN層を酸化した場合について、形成された酸化層を含む試料の断面図を示しており、図9は、水蒸気雰囲気中で、結晶欠陥を有するGaN層を酸化した場合について、形成された酸化層を含む試料の断面図を示している。
まず、図8に示すように、成長温度が例えば500℃である条件下でのMOCVD法により、サファイア基板501上に、GaNよりなるバッファ層502を成長させた後、さらに、バッファ層502を介してGaN層503を成長させる。その後、ドライエッチングを行なってGaN層503に段差を形成する。また、GaN層503の結晶欠陥密度は、例えば2×109 cm-2程度である。
ここで、酸素雰囲気中でGaN層503を酸化すると、図8に示すように、GaN層503の表面にGa23 よりなる酸化層504、505及び506が形成される。GaN層503における結晶欠陥が存在していない領域に形成されている酸化膜である酸化層505は、層厚が均一な酸化膜であり、酸化層505の厚さは、例えば75nmである。また、GaN層503における結晶欠陥が存在している領域に形成されている酸化膜である酸化層504は、結晶欠陥に深く形成されている。酸化層504の厚は、例えば、150nmである。また、ドライエッチングによって形成された段差の側面に形成されている酸化膜である酸化層506は、均一な層厚を有する酸化層505とほぼ等しい厚さを有している。
以上の酸素酸化は、例えば、石英チューブに3mL/min(標準状態)の酸素ガスを導入しながら、1000℃に昇温し、酸化膜として必要な厚さ、例えば30nmの厚さまで酸化されるように6分間高温で保持した後、降温するという条件下で行なえばよい。
一方、図9に示すように、MOCVD法により、サファイア基板601上に、GaNよりなるバッファ層602を成長させた後、さらに、バッファ層602を介してGaN層603を成長させる。その後、ドライエッチングを行なってGaN層603に段差を形成する。
ここで、水蒸気雰囲気中でGaN層603を酸化すると、GaN層603の表面にGa23よりなる酸化層604、605及び606が形成される。GaN層603における結晶欠陥が存在していない領域に形成されている酸化膜である酸化層605は、層厚が均一な酸化膜であり、酸化層605の厚さは、例えば30nmである。また、GaN層603における結晶欠陥が存在している領域に形成されている酸化膜である酸化層604は、結晶欠陥に深く形成されている。酸化層604の厚は、例えば、150nmであり、前述の酸素酸化した場合の酸化層504の層厚に比べて大幅に深くなっている。また、ドライエッチングによって形成された段差の側面に形成されている酸化膜である酸化層606は、均一な層厚を有する酸化層605と比べて酸化が早く進行するので、酸化層606の厚さは、例えば、150nmである。
以上の水蒸気酸化は、例えば、石英チューブに3mL/min(標準状態)の水蒸気と5×10-3mL/min(標準状態)の窒素ガスとを導入しながら、1000℃に昇温し、酸化膜として必要な厚さ、例えば30nmの厚さまで酸化されるように90分間高温で保持した後、降温するという条件下で行なえばよい。
以上に説明したように、酸化を行なう雰囲気が酸素であるか水蒸気であるかによって、結晶欠陥が存在している領域及びドライエッチングによって形成された段差の側面における酸化速度が大幅に異なっている。
ここで、酸化層の厚さと結晶欠陥が存在している領域に形成された酸化層の酸化深さとの関係について、水蒸気酸化と酸素酸化との場合についてそれぞれ説明する。
図10(a)は、酸化層の厚さと結晶欠陥が存在している領域に形成された酸化層の酸化深さとを定義するための断面図であり、図10(b)は、結晶欠陥が存在していない領域に形成されている酸化層の厚さと、結晶欠陥がGaN表面に達している結晶欠陥が存在している領域に深く酸化されている酸化層の厚さ(酸化深さ)との関係を示している。
まず、図10(a)に示すように、結晶欠陥が存在していない領域に形成されている酸化層の厚さを酸化層の厚さ10aと定義すると共に、結晶欠陥がGaN表面に達している結晶欠陥に深く酸化されている酸化層の厚さを酸化深さ10bと定義する。
このように定義した場合、図10(b)に示すように、酸素酸化を行なった場合には、酸化層の厚さ10aと酸化深さ10bとの比は1:2程度である一方、水蒸気酸化を行なった場合には、酸化層の厚さ10aと酸化深さ10bとの比は1:5程度である。したがって、図10(b)に示した結果から、水蒸気酸化を行なう場合には、酸素酸化を行なう場合に比べて、結晶欠陥が存在している領域が選択的に深く酸化されることが分かる。
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
まず、本発明の第6の実施形態に係る半導体装置について、電界効果トランジスタを例に用いて説明する。
図11(a)及び(b)は、本発明の第6の実施形態に係る半導体装置としての電界効果トランジスタを示しており、図11(a)は平面図であって、図11(b)は図11(a)に示したXIb-XIb 線における断面図である。
図11(a)及び(b)に示すように、サファイア基板701上には、AlN又はGaNよりなるバッファ層702、GaNよりなるアンドープ層703及び704、並びにAlGaNの混晶よりなるチャネル層705が下から順に形成されている。なお、アンドープ層703には、素子分離酸化膜711aが形成されている。また、チャネル層705の上には、n型電極706及び電極パッド707が下から順に形成されていると共に、ゲート酸化膜708及びゲート電極709が下から順に形成されている。
また、前記第7の実施形態に係る電界効果トランジスタを構成する各層の組成及び膜厚の一例について、下記{表5}に示している。
Figure 2005072571
図11(a)及び(b)に示すように、アンドープ層703及び704並びにチャネル層705には結晶欠陥が貫通しており、結晶欠陥密度は、5×109 cm-2程度である。結晶欠陥がチャネル層705の表面に達している箇所では、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜711bが形成されている。結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜711bの深さは、例えば30nmであり、アンドープ層704を貫通する深さまで結晶欠陥は酸化されている。
また、結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜711bは、チャネル層705を、水蒸気を含むガスを用いて結晶欠陥を酸化することによって形成されている。このようにすると、結晶欠陥が酸化されると同時に、チャネル層705の表面には、膜厚が薄い酸化膜が形成されている。なお、表面に形成された薄い酸化膜は、例えばアンモニアガスで熱処理を行なうことによって除去すればよい。この熱処理においては、結晶欠陥に深く酸化された酸化膜711bは除去されずに残る。また、ドライエッチングによってアンドープ層703まで到達するように形成された段差では、段差を構成するアンドープ層703、アンドープ層704及びチャネル層705の側面に、厚く酸化されてなる酸化膜710が形成されている。これにより、アンドープ層703、アンドープ層704及びチャネル層705の側面における電流のリークを防止することができる。
結晶欠陥が存在している領域に深く酸化された酸化膜711bと、アンドープ層703、アンドープ層704及びチャネル層705の側面に形成された酸化膜710とは絶縁体であるため、結晶欠陥を介して流れる非発光電流と、アンドープ層703、アンドープ層704及びチャネル層705の側面において流れるリーク電流とを防止することができる。このため、結晶欠陥が存在していないチャネル領域が選択的に機能するので、高効率な電界効果トランジスタを実現することができる。
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図12を参照しながら説明する。
前述の第1〜第6の実施形態においては、半導体層又は半導体層よりなる能動層を酸化した場合に、表面と側面とに形成される酸化層の厚さの違いを述べたが、第7の実施形態では、この点を具体的に説明する。
図12は、一例としてGaN層を酸化した場合について、GaN層における各々が異なる面方位を有する面に形成される酸化層の層厚を説明するためのGaN層の断面TEM像を示している。
図12に示すように、MOCVD法を用いた選択成長技術を用いて、例えば面A〜面Cに示すような異なる面方位が現れたGaN層801を成長させた後、水蒸気雰囲気中、温度1000℃、及び90分間の熱処理を行なうことにより、Ga23よりなる熱酸化膜802を形成している。
図12から明らかなように、(0001)面である面A(主面)の熱酸化膜802の厚さは60nm程度であって薄い一方、(0001)面と異なる(面B)及び(面C)の酸化膜の厚さは200nm以上であって厚い。
このように、水蒸気酸化を行なうことにより、窒化物半導体における各々が異なる面方位を有する面を選択的に酸化することができる。したがって、前述した第1〜第6の実施得形態に示したように、結晶欠陥が存在している領域では深く酸化膜を形成することができたり、段差における側面に厚い酸化膜を形成することができることは明らかである。なお、ここでは、窒化物半導体における異なる面方位を有する面が酸化された場合について説明したが、窒化物半導体に限定されるものではなく、半導体一般に適用できるものである。
また、このような点に鑑み、第1〜第7の実施形態に係る半導体装置に対して種々の酸化を行なった結果、能動層を除く半導体層における側面に形成された酸化膜の厚さは、能動層における側面に形成される酸化膜の厚さよりも小さくなることが見出されている。このように、能動層における側面に形成される酸化膜の厚さが大きく形成できることにより、能動層の側面における電流のリーク電流を効果的に防止することができる。このため、優れたデバイス特性を有する半導体装置を実現することができる。
本発明は、発光ダイオード若しくは半導体レーザ素子などの発光素子、又はギガヘルツオーダーにて動作する電界効果トランジスタなどに有用である。
本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオードを示す図であって、(a)は平面図であり、(b)はIb-Ib 線における断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオードの製造方法を示す工程断面図である。 本発明の第1の実施形態における酸素酸化による酸化膜の膜厚及び水蒸気酸化による酸化膜の膜厚と発光ダイオードの発光効率との関係図である。 本発明の第1の実施形態における酸素酸化による酸化膜の膜厚及び水蒸気酸化による酸化膜の膜厚と発光ダイオードの動作電圧との関係図である。 本発明の第2の実施形態に係る受光素子を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)はVb-Vb 線における断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)はVIb-VIb 線における断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)はVIIb-VIIb 線における断面図である。 本発明の第5の実施形態における酸素酸化を行なった場合のGaN層に形成された酸化膜の形状を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態における水蒸気酸化を行なった場合のGaN層に形成された酸化膜の形状を示す断面図である。 (a)は本発明の第5の実施形態における酸化膜の厚さ及び酸化深さの定義に用いる断面図であり、(b)は酸素酸化による酸化膜の膜厚及び水蒸気酸化による酸化膜の膜厚と結晶欠陥領域における酸化深さとの関係図である。 本発明の第6の実施形態に係る電界効果トランジスタを示す図であって、(a)は平面図であり、(b)はXIb-XIb 線における断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る窒化物半導体層における異なる面に形成された酸化膜のTEM断面図である。
符号の説明
101、201、301、401、501、601、701 サファイア基板
102、202、302、402、502、602、702 バッファ層
103、203、303、403、503、603、703、704 アンドープ層
104、204、304、404 n型クラッド層
105、305、405 活性層
106、206、306、406 p型クラッド層
107、207、407 p型透明電極
108、208、307、408 p型電極
109、209、308、409 p型電極パッド
110、210、310、410、706 n型電極
111、211、311、411、707 n型電極パッド
112、212、312、412、710 側面に厚く形成された酸化膜
113、213、313、413、711b 結晶欠陥に深く酸化された酸化膜
205 受光能動層
314 リッジ導波路
504、505、506、604、605、606 酸化層
705 チャネル層
708 ゲート絶縁膜
709 ゲート電極
711a 素子分離酸化膜

Claims (17)

  1. 基板上に形成された第1の半導体層よりなる能動層を備えた半導体装置であって、
    前記能動層には、酸化層よりなる第1の酸化領域が形成されていることを特徴する半導体装置。
  2. 前記第1の酸化領域は、前記能動層に存在する結晶欠陥の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記能動層の上に形成された第2の半導体層をさらに備えており、
    前記第2の半導体層における表面及び側面のうち少なくとも一方には、酸化層よりなる第2の酸化領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記第2の半導体層における側面に形成される前記第2の酸化領域の層厚は、前記第2の半導体層における表面に形成される前記第2の酸化領域の層厚よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記第1の酸化領域は、前記能動層における側面にさらに形成されており、
    前記能動層における側面に形成された前記第1の酸化領域の層厚は、前記第2の半導体層における側面に形成される前記第2の酸化領域の層厚よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  6. 基板上に形成された第1の半導体層よりなる能動層と、前記能動層の上に形成された第2の半導体層とを備えた半導体装置であって、
    前記能動層には、酸化層よりなる第1の酸化領域が形成されていることを特徴とする半導体装置。
  7. 前記能動層は、発光ダイオードの活性層であることを特徴とする請求項1又は6に記載の半導体装置。
  8. 前記能動層は、フォトダイオードの光吸収層であることを特徴とする請求項1又は6に記載の半導体装置。
  9. 前記能動層は、半導体レーザの活性層であることを特徴とする請求項1又は6に記載の半導体装置。
  10. 前記能動層は、電界効果トランジスタのチャネル層であることを特徴とする請求項1又は6に記載の半導体装置。
  11. 基板上に半導体層よりなる能動層を形成する工程と、
    前記能動層に酸化層よりなる酸化領域を選択的に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 前記酸化領域を選択的に形成する工程は、前記能動層に存在する結晶欠陥の近傍に、前記酸化領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記酸化領域を選択的に形成する工程は、水蒸気を含む雰囲気中での熱処理により、前記酸化領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 基板上に第1の半導体層よりなる能動層を形成する工程と、
    前記能動層の上に第2の半導体層を形成する工程と、
    前記第2の半導体層における面方位が異なる少なくとも2つの面に、酸化層よりなる酸化領域を選択的に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 前記酸化領域を選択的に形成する工程は、前記少なくとも2つの面の各々に形成される前記酸化領域の各々の層厚が互いに異なるように、前記酸化領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記少なくとも2つの面のうちの1つの面は、前記第2の半導体層におけるc面方位を有する面であることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記第2の半導体層における前記c面方位を有する面上に形成される前記酸化領域の層厚は、前記第2の半導体層における前記c面方位を有する面とは異なる面に形成される前記酸化領域の層厚よりも小さいことを特徴とする請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
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