JP2003161043A - コンクリート柱又は梁の補強構造及び補強工法 - Google Patents

コンクリート柱又は梁の補強構造及び補強工法

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JP2003161043A
JP2003161043A JP2001359965A JP2001359965A JP2003161043A JP 2003161043 A JP2003161043 A JP 2003161043A JP 2001359965 A JP2001359965 A JP 2001359965A JP 2001359965 A JP2001359965 A JP 2001359965A JP 2003161043 A JP2003161043 A JP 2003161043A
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reinforcing
resin layer
reinforcing fiber
slab
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JP2001359965A
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Toshiyuki Kanakubo
利之 金久保
Tomomoto Furuta
智基 古田
Keisuke Takahashi
啓介 高橋
Takeshi Nemoto
武 根本
Hiromi Nanbara
博美 南原
Koichi Ito
功一 伊藤
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Mitsubishi Corp
Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp
Constec Engi Co
Resonac Holdings Corp
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Mitsubishi Corp
Showa Highpolymer Co Ltd
Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp
Constec Engi Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 壁やスラブから突出している柱部分や梁部分
を補強繊維混入樹脂層で補強する時、効果的な耐震補強
が可能なコンクリート製柱又は梁の補強構造及び補強工
法を提供すること。 【解決手段】 壁又はスラブの付いたコンクリート柱又
は梁を補強する構造であって、壁11から張り出した柱
部分12に補強繊維混入樹脂層を緊張状態で密着させて
包囲し、補強繊維混入樹脂層13の両延長端部13a、
13b側を壁11と柱部分12の2箇所の境界部に連続
的に形成されたスリット14に嵌合することにより補強
繊維混入樹脂層13を柱部分12に堅固に定着したこと
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンクリート柱又は
梁の補強構造及び補強工法に関し、更に詳細には、コン
クリート構造物等において例えば耐震補強のために壁又
はスラブの付いたコンクリート製の柱又は梁を補強する
構造及び工法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート構造物における柱や梁の耐
震補強は既によく知られており、従来から種々の提案が
なされている。従来、この種の耐震補強技術としては、
鋼板や繊維補強シートを巻き付ける工法が代表的であ
り、実際にこのような耐震補強工法により数多くの施工
がなされている。
【0003】また、特開平9−183182号公報に開
示されているようにコンクリート構造物の表面に強化材
を含有させた状態で溶融樹脂を吹き付けて密着接合さ
せ、強化プラスチック層を形成することで当該コンクリ
ート構造物を補強することも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋼板を
コンクリート構造物に巻き付けて耐震補強する方法は、
所謂マンションのような集合住宅内における柱や梁を補
強する場合には不適当であった。すなわち、鋼板は重量
物であり、これを人が居住するマンション等の室内に運
び込むことは非常に困難であり、このような工法は専ら
橋や高速道路等における橋脚の補強に用いられている。
【0005】また、コンクリート構造物に繊維補強シー
トを巻き付けて補強する工法は、当該コンクリート構造
物が例えば独立柱や独立梁のように繊維補強シートを柱
や梁の全周囲に巻き付け可能な状態(完全閉鎖系)であ
れば繊維補強シートによる補強は有効となるが、壁付き
コンクリート柱やスラブ付きコンクリート梁のように当
該柱や梁の一部が壁やスラブの構造部分を兼用している
場合には繊維補強シートによる補強は事実上不可能であ
ると考えられていた。
【0006】なぜならば、このような壁付きコンクリー
ト柱やスラブ付きコンクリート梁のように当該柱や梁の
一部が壁やスラブの構造部分を兼用している場合、応力
的に閉鎖系とするには、壁やスラブから張り出している
柱部分や梁部分を繊維補強シートで覆い、同時に壁やス
ラブから張り出している柱部分や梁部分とは反対側の壁
やスラブの表面も繊維補強シートで覆わなければならな
い。
【0007】しかし、マンション等のような集合住宅の
場合には、壁やスラブから張り出している柱部分や梁部
分とは反対側の壁やスラブの表面は、隣戸の室内に位置
する場合が多く、そのためこれらの箇所を同時に工事す
ることは実際には非常に難しく、現実的ではない、とい
う問題があった。
【0008】そこで、このような壁付きコンクリート柱
やスラブ付きコンクリート梁のように当該柱や梁の一部
が壁やスラブの構造部分を兼用している場合には、疑似
閉鎖系と称して、壁やスラブから張り出している柱部分
や梁部分を繊維補強シートで覆い、壁と柱部分の境界部
付近又はスラブと梁部分の境界部付近でアンカーボルト
によりアングル材を固定して当該繊維補強シートの両端
側を固定する方法が提案された。
【0009】しかし、繊維補強シートの両端側を固定す
る手段として、主にアンカーボルト等に依存する場合に
は、比較的に大きなアンカーボルトを短い間隔で打ち込
む必要があり、このことから派生する問題点がこのよう
な工法の普及の障害になっている。
【0010】すなわち、アンカーボルトのサイズが大き
かったり、若しくは打ち込み間隔が短かったりすると、
壁やスラブ内の配筋に当たり施工が著しく困難になるこ
とが多く、また梁を補強する場合にはアンカーボルトや
アングル材を上向きに設置しなければならないので施工
が難しく、また安全性の上からも問題があった。
【0011】更に、特に重要な点は、上述したように壁
と柱部分の境界部付近又はスラブと梁部分の境界部付近
にアングル材を設置し、これをアンカーボルトで固定す
ることで、柱部分や梁部分を包囲した当該繊維補強シー
トの両端側を固定する補強構造の場合、構造実験等で
は、柱部分又は梁部分に発生した剪断クラックが前述し
た境界部に伸び、急激に耐力低下を来すという結果が出
ているということであった。
【0012】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解
決するためになされたもので、壁やスラブから張り出し
ている柱部分や梁部分を補強繊維混入樹脂層で補強する
時、効果的な耐震補強が可能なコンクリート製柱又は梁
の補強構造及び補強工法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明はコンクリート柱
又は梁の補強構造であり、前述した技術的課題を解決す
るために以下のように構成されている。すなわち、本発
明は、壁又はスラブの付いたコンクリート柱又は梁を補
強する構造であって、壁とこの壁から張り出した柱部分
との2箇所の境界部又はスラブとこのスラブから張り出
した梁部分との2箇所の境界部に連続又は断続的に形成
されたスリットと、柱部分又は梁部分に緊張状態で密着
させて包囲した補強繊維混入樹脂層とから構成され、こ
の補強繊維混入樹脂層の両端側をスリットに嵌合させる
ことにより補強繊維混入樹脂層を柱部分又は梁部分に堅
固に定着させたことを特徴とする。
【0014】〈本発明における具体的構成〉本発明にお
けるコンクリート柱又は梁の補強構造は、前述した必須
の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下の
ような場合であっても成立する。その具体的構成要素と
は、補強繊維混入樹脂層の両端側が柱部分に連接する壁
又は梁部分に連接するスラブの表面上に延長して配置さ
れ、壁又はスラブの表面上に位置する補強繊維混入樹脂
層の両端部がアンカーボルトにより固定されていること
を特徴とする。
【0015】また、本発明はコンクリート柱又は梁の補
強工法であり、前述した技術的課題を解決するために以
下のように構成されている。すなわち、本発明は、壁又
はスラブの付いたコンクリート柱又は梁を補強する工法
であって、壁又はスラブから張り出した柱部分又は梁部
分と壁又はスラブとのそれぞれ2箇所の境界部に連続的
又は断続的にスリットを形成し、補強繊維と樹脂を吹き
付けによりスリットに充填すると共に柱部分又は梁部分
の表面にも補強繊維と樹脂を所定の厚みで吹き付け、補
強繊維混入樹脂層を形成すること、スリット内に充填さ
れた補強繊維混入樹脂部と柱部分又は梁部分の表面に吹
き付けられて形成された補強繊維混入樹脂層とを一体化
させて柱部分又は梁部分の表面を補強繊維混入樹脂層で
包囲定着させたことを特徴とする。
【0016】本発明におけるコンクリート柱又は梁の補
強工法では、更に、柱部分に連接する壁又は梁部分に連
接するスラブの表面上にも補強繊維と樹脂を吹き付け、
スリット内に充填された補強繊維混入樹脂と一体化させ
て補強繊維混入樹脂層の延長端部を形成し、壁又はスラ
ブの表面上に位置する補強繊維混入樹脂層延長端部をア
ンカーボルトにより壁又はスラブに固定することを特徴
とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明におけるコンクリー
ト柱又は梁の補強構造及び補強工法を図に示される実施
形態について更に詳細に説明する。図1は本発明の好適
な第1実施形態に係るコンクリート柱の補強構造を概略
的に示す縦断面図である。
【0018】この第1実施形態に係るコンクリート柱の
補強構造10は、壁11から突出した柱部分12を補強
繊維混入樹脂層13で覆い、この補強繊維混入樹脂層1
3の両端側を壁11と柱部分12との境界部又はその近
傍で固定して疑似閉鎖系を形成するように構成したもの
である。
【0019】具体的には、壁11とこの壁から張り出し
ている柱部分12とを区画する2箇所の境界部にスリッ
ト14が当該柱部分12に沿って連続的に形成されてい
る。このスリット14は、図2に示される拡大図から明
らかなように断面がほぼ四角形をした切欠き溝であり、
詳細には前述した境界部近傍における柱部分12の壁面
に対してほぼ直角に切り込まれ、同時に壁11の壁面に
対してもほぼ直角に切り込まれて形成された切欠き溝の
縦断面が全体としてほぼL字形を呈している。
【0020】スリット14として構成される切欠き溝の
形状について更に具体的に説明すると、前述した境界部
付近において壁11の壁面から柱部分12の壁面に渡っ
てえぐり取るように切り欠くことで形成される切欠き溝
の縦断面ほぼL字形領域を実質的に区画している2辺1
4a、14bはほぼ直交し、その一辺14aは壁11の
壁面にほぼ平行で且つ他の一辺14bは柱部分12の壁
面にほぼ平行である。
【0021】そして、前者の一辺14aにほぼ直交する
別の一辺14cは一辺14aの端部から伸びて壁11の
表面に連接し、また後者の一辺14bにほぼ直交する更
に別の一辺14dは一辺14bの端部から伸びて柱部分
12の壁面に連接している。
【0022】壁11から突出した柱部分12を覆う補強
繊維混入樹脂層13は、図1に示されるように柱部分1
2に緊張状態で密着させて包囲され、補強繊維混入樹脂
層13の両端側はスリット14内に完全に埋め込まれ、
スリット14に埋め込まれた補強繊維混入樹脂層13か
ら更に伸びた延長端部13a、13bは壁11の壁面に
沿って配置されている。
【0023】このような補強繊維混入樹脂層13は、吹
き付けにより形成される。すなわち、最初に、補強繊維
と樹脂を吹き付けによりスリット14に充填し、次いで
柱部分12の表面にも補強繊維と樹脂を所定の厚みで吹
き付け、スリット14内に充填された補強繊維混入樹脂
と柱部分12の表面に吹き付けられた補強繊維混入樹脂
層とを一体化させることで柱部分12の表面を前述した
ように補強繊維混入樹脂層13で包囲し且つ定着させ
る。
【0024】これにより、壁付き柱に対して、例えば地
震などにより変形力が作用したとしても、柱部分12を
覆っている補強繊維混入樹脂層13の両端側が壁11と
柱部分12との境界部に形成されているスリット14に
嵌合されて堅固に定着されていることから、補強繊維混
入樹脂層13による柱部分12の包囲状態が維持され、
その結果柱部分12のコンクリート、例えば被りなどが
破壊されて崩れる状態が防止されるため、柱部分に作用
する応力が有効に伝達されて柱としての機能を維持する
ことができる。
【0025】次に、図3に概略的に示される、本発明の
第2実施形態に係るコンクリート柱の補強構造について
説明する。この第2実施形態に係るコンクリート柱の補
強構造20の場合、壁11から張り出した柱部分12を
補強繊維混入樹脂層13で覆い、この補強繊維混入樹脂
層13の両端側を壁11と柱部分12との境界部及びそ
の近傍で固定して疑似閉鎖系を形成するように構成して
いる点は前述した第1実施形態と同じである。
【0026】この第2実施形態に係るコンクリート柱の
補強構造20と、前述の第1実施形態との相違は、補強
繊維混入樹脂層13の両端側を壁11と柱部分12との
境界部及びその付近で固定する方法を異にしている。具
体的には、壁11とこの壁から張り出している柱部分1
2とを区画する2箇所の境界部に当該柱部分12に沿っ
て連続的に形成されるスリット21の形状を異にする。
【0027】すなわち、第2実施形態に係るコンクリー
ト柱の補強構造20におけるスリット21は図3から明
らかなように断面がほぼ四角形をした切欠き溝である。
詳細には、前述した境界部における柱部分12の壁面を
ほぼ直角に切り込んで形成された切欠き溝をスリット2
1とし、その切欠き溝の縦断面はほぼ四角形を呈してい
る。
【0028】スリット21として構成される切欠き溝の
形状について更に具体的に説明すると、前述した境界部
において柱部分12の壁面をえぐるように切り欠くこと
で切欠き溝を実質的に区画している3辺21a、21
b、21cは相互にほぼ直交し、その一辺21aは壁1
1の壁面と同じ平面上にあり、そして他の一辺21cは
一辺21aとほぼ平行である。
【0029】要するには、断面ほぼ四角形状のスリット
21は壁11の壁面に沿うようにして柱部分12の境界
部に形成されている。このような断面形状をしたスリッ
ト21の場合には、壁11から突出した柱部分12を覆
う補強繊維混入樹脂層13の両端側が壁11の壁面に垂
直な方向(図3に矢印22で示す方向)に対しては係止
作用を与えるが、壁11の壁面に平行な方向(図3に矢
印23で示す方向)に対して係止作用はほとんど期待で
きない。
【0030】そのため、壁11から張り出した柱部分1
2を覆う補強繊維混入樹脂層13の両端側に対する壁1
1の壁面に平行な方向23への固定作用を補うためにア
ンカーボルト24を用いている。すなわち、壁11から
張り出した柱部分12を緊張状態で密着して覆う補強繊
維混入樹脂層13の両端側は、第1実施形態と同様にス
リット21内に完全に埋め込まれている。
【0031】そして、スリット21に埋め込まれた補強
繊維混入樹脂層13から更に伸びた両側の延長端部13
a、13bは壁11の壁面に沿って配置され、この両端
部13a、13bを壁11の壁面に押さえ込むように当
該壁11にアンカーボルト24が打ち込まれている。こ
れにより、補強繊維混入樹脂層13の両端側における壁
11の壁面に平行な方向23へ動きは、補強繊維混入樹
脂層13の延長端部13a、13bに対するアンカーボ
ルト24による固定力によって阻止されることになる。
【0032】この第2実施形態の場合も、補強繊維混入
樹脂層13は、吹き付けにより配置される。すなわち、
最初に、補強繊維と樹脂を吹き付けによりスリット21
に充填し、次いで柱部分12の表面にも補強繊維と樹脂
を所定の厚みで吹き付け、スリット21内に充填された
補強繊維混入樹脂部と柱部分12の表面に吹き付けられ
た補強繊維混入樹脂層とを一体化させることで柱部分1
2の表面を前述したように補強繊維混入樹脂層13で包
囲定着させる。
【0033】その後、スリット21に埋め込まれた補強
繊維混入樹脂層13から伸び且つ壁面に沿って配置され
た延長端部13a、13bを壁11の壁面に押さえ付け
るように当該壁11にアンカーボルト24が打ち込まれ
る。
【0034】これにより、壁付きコンクリート柱に対し
て、例えば地震などにより変形力が作用したとしても、
柱部分12を覆っている補強繊維混入樹脂層13の両端
側が壁11と柱部分12との境界部に形成されているス
リット21に嵌合されて定着されていると共に延長端部
13a、13bがアンカーボルト24により壁11の壁
面に堅固に固定されていることから、補強繊維混入樹脂
層13による柱部分12の包囲状態が維持され、その結
果柱部分12のコンクリート、例えば被りなどが破壊さ
れて崩れる状態が防止されるため、柱部分に作用する応
力が有効に伝達されて柱としての機能を維持することが
できる。
【0035】特に、第2実施形態に係るコンクリート柱
又は梁の補強構造では、柱部分12を覆っている補強繊
維混入樹脂層13の両端側が壁11と柱部分12との境
界部に形成されているスリット21に嵌合されて定着さ
れているため、延長端部13a、13bを固定するアン
カーボルト24はそれほど大きなものを使用する必要は
なく、またアンカーボルト24の打ち込み間隔も長く設
定でき、従って使用する数も少なくでき、従来、大きな
アンカーボルトを多数使用することから生じる問題の発
生を避けることができる。
【0036】前述した各実施形態はコンクリート柱の補
強構造についてのものであった。しかしながら、スラブ
付きコンクリート梁の実施形態を特に挙げて説明しては
いないが、本発明はスラブ付きのコンクリート梁でもま
ったく同様である。また、前述した各実施形態に係るコ
ンクリート柱の補強構造では、補強繊維混入樹脂層13
の両端側を壁と柱部分の境界部付近で固定する手段とし
て、柱の長手方向に連続するスリット14、21を形成
し、その内部に補強繊維混入樹脂層13の一部を充填す
るようにしたが、本発明はこのような連続的なスリット
に限定されるものではなく、断続的に形成されたスリッ
トでもよい。
【0037】また、前述した第1実施形態では、補強繊
維混入樹脂層13の両端側をスリット14内に嵌合する
ことによって壁11から張り出している柱部分12に定
着しているが、勿論、この場合でも補強繊維混入樹脂層
13のスリット14への嵌合部から更に伸びた延長端部
13a、13bを第2実施形態のようにアンカーボルト
を用いて壁11の表面に固定すればより効果が高くなる
ので好ましい。
【0038】更に、前述した本発明における各実施形態
に係るコンクリート柱の補強構造の説明では、柱部分1
2を包囲する繊維補強樹脂層について樹脂に混入される
補強繊維としては炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊
維、ビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
ソール繊維或いは鋼繊維等、本発明に好適な公知のあら
ゆる補強繊維を用いることができることは言うまでもな
い。このような種々の補強繊維の内でも、特にガラス繊
維は本発明の実施に好適である。
【0039】更にまた、本発明のコンクリート柱又は梁
の補強工法では、補強繊維と樹脂を吹き付けによりスリ
ットに充填すると共に柱又は梁の表面にも所定の厚みで
吹き付けて補強繊維混入樹脂層を形成するが、本発明で
はここで用いられる吹き付け方法については特に限定さ
れるものではなく、公知のあらゆる吹き付け方法を利用
することができる。
【0040】更に、このような補強繊維混入樹脂層を形
成する際に用いられる樹脂としては、ビニルエステル樹
脂(エポキシアクリレート樹脂)、エポキシ樹脂、MM
A(メチルメタクリレート樹脂)、或いは不飽和ポリエ
ステル樹脂などの使用が好適である。
【0041】
【実施例】以下、本発明のコンクリート柱又は梁の補強
構造を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はそ
の要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例)本実施例は、本発明を実証するために実験、
確認したものである。試験体の梁せい300mm、梁幅
200mm、スラブ厚50mm、スラブ幅500mm、
せん断スパン比M/QD=2.0のT型コンクリート梁
の供試体を用い、建研式正負繰り返し加力試験により効
果の確認を行った。
【0042】供試体のせん断補強は、2-D4@70で
補強され、せん断補強筋比pw=0.18%である。補
強繊維混入樹脂層即ち吹き付けにより形成されるFRP
用のガラス繊維は、長さ1.5インチを用い、そのガラ
ス繊維とビニルエステル樹脂を吹き付けながら、供試体
の梁側面、底面、スラブ下面に吹き付け、概ね2m2
施工した。定着体は図4に、供試体の配筋図は図5に、
加力装置並びに加力履歴は図6に示される通りである。
【0043】実験結果のQ−R関係を図7に示す。FR
P補強なしの実験では、最大荷重が76.7kNに対
し、本実施例の補強構造及び補強工法よって補強するこ
とにより、125kNの最大荷重の結果が得られた。F
RP補強の無いものに比し、概ね1.6倍以上の最大耐
力効果が得られ、本発明の補強構造及び補強工法の有効
性が実証できた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のコンクリ
ート柱又は梁の補強構造及び補強工法によれば、壁やス
ラブから突出している柱部分や梁部分を補強繊維混入樹
脂層で補強する時、柱部分と壁との境界部又はその付
近、或いは梁部分とスラブとの境界部又はその付近にス
リットを形成してその内部に、柱部分又は梁部分を包囲
した補強繊維混入樹脂層の両端側を嵌合して固定するよ
うにしたことから有効な疑似閉鎖系を形成することがで
きる。
【0045】これにより、例えばマンションのような集
合集合住宅などにおける壁から張り出しているコンクリ
ート柱部分又はスラブから張り出しているコンクリート
梁部分について容易に且つ有効な耐震補強を行うことが
できる。
【0046】また、本発明のコンクリート柱又は梁の補
強工法によれば、壁又はスラブから張り出した柱部分又
は梁部分に補強繊維混入樹脂部を吹き付けることにより
覆うように配置することから、下地ケレン及び下地を平
滑にするパテ調整作業などが不要となり、施工が容易と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンクリート柱の
補強構造を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示されるコンクリート柱の補強構造にお
ける柱部分と壁との境界部に形成されたスリットを拡大
して示す部分的な拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るコンクリート柱の
補強構造を概略的に示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施例で用いた定着体の構造及び寸法
を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例で用いた供試体の配筋図を示す
断面図である。
【図6】本発明の実施例において、供試体に対して行っ
た加力試験の加力装置及び加力履歴を示す構成説明図で
ある。
【図7】本発明の実施例において供試体に対して行った
加力試験の結果であるQ−R関係を示す特性図である。
【符号の説明】
10 第1実施形態におけるコンクリート柱の補強構造 11 壁 12 柱部分 13 補強繊維混入樹脂層 13a 補強繊維混入樹脂層の一方の延長端部 13b 補強繊維混入樹脂層の他方の延長端部 14 スリット 14a、14b、14c、14d スリットの横断面形
状を形成している辺 20 第2実施形態におけるコンクリート柱の補強構造 21 スリット 22 方向を示す矢印 23 方向を示す矢印 24 アンカーボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000130374 株式会社コンステック 大阪府枚方市大垣内町1丁目1番3号 (72)発明者 金久保 利之 茨城県つくば市並木2丁目8番地127棟204 号 (72)発明者 古田 智基 兵庫県明石市二見町東二見1789−1 (72)発明者 高橋 啓介 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 三 菱化学産資株式会社内 (72)発明者 根本 武 東京都千代田区神田錦町3丁目20番地 昭 和高分子株式会社内 (72)発明者 南原 博美 東京都千代田区丸の内二丁目3番1号 三 菱商事株式会社内 (72)発明者 伊藤 功一 東京都港区港南2丁目12番27号 株式会社 コンステック内 Fターム(参考) 2E176 AA01 BB28

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁又はスラブの付いたコンクリート柱又
    は梁を補強する構造であって、 前記壁とこの壁から張り出した柱部分との2箇所の境界
    部又は前記スラブとこのスラブから張り出した梁部分と
    の2箇所の境界部に連続又は断続的に形成されたスリッ
    トと、前記柱部分又は前記梁部分に緊張状態で密着させ
    て包囲した補強繊維混入樹脂層とから構成され、この補
    強繊維混入樹脂層の両端側を前記スリットに嵌合させる
    ことにより前記補強繊維混入樹脂層を前記柱部分又は前
    記梁部分に堅固に定着させたことを特徴とするコンクリ
    ート柱又は梁の補強構造。
  2. 【請求項2】 前記補強繊維混入樹脂層の前記両端側が
    前記柱部分に連接する前記壁又は前記梁部分に連接する
    前記スラブの表面上に延長して配置され、前記壁又は前
    記スラブの表面上に位置する前記補強繊維混入樹脂層の
    前記両端部がアンカーボルトにより固定されていること
    を特徴とする請求項1に記載のコンクリート柱又は梁の
    補強構造。
  3. 【請求項3】 壁又はスラブの付いたコンクリート柱又
    は梁を補強する工法であって、 前記壁又はスラブから張り出した柱部分又は梁部分と前
    記壁又はスラブとのそれぞれ2箇所の境界部に連続的又
    は断続的にスリットを形成し、補強繊維と樹脂を吹き付
    けにより前記スリットに充填すると共に前記柱部分又は
    前記梁部分の表面にも補強繊維と樹脂を所定の厚みで吹
    き付け、補強繊維混入樹脂層を形成すること、前記スリ
    ット内に充填された補強繊維混入樹脂部と前記柱部分又
    は前記梁部分の表面に吹き付けられて形成された前記補
    強繊維混入樹脂層とを一体化させて前記柱部分又は梁部
    分の表面を前記補強繊維混入樹脂層で包囲定着させたこ
    とを特徴とするコンクリート柱又は梁の補強工法。
  4. 【請求項4】 前記柱部分に連接する前記壁又は前記梁
    部分に連接する前記スラブの表面上にも前記補強繊維と
    前記樹脂を吹き付け、前記スリット内に充填された補強
    繊維混入樹脂と一体化させて前記補強繊維混入樹脂層の
    延長端部を形成し、前記壁又は前記スラブの表面上に位
    置する前記補強繊維混入樹脂層延長端部をアンカーボル
    トにより前記壁又は前記スラブに固定することを特徴と
    する請求項3に記載のコンクリート柱又は梁の補強工
    法。
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