JP2005207159A - 連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法 - Google Patents

連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】狭い場所でも容易に作業でき、しかもコンクリート構造物の片側で全ての作業ができる連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法の提供を課題とする。
【解決手段】本発明においては、コンクリート構造物である面部材10の表面11に連続繊維シート12を貼り付け、この連続繊維シート12を表面11に貼付する前又は後、連続繊維シート12を樹脂含浸させ、連続繊維シート12を構成する各繊維16の少なくとも2箇所を、固定手段13によって面部材10に固定することを特徴とする。本発明では、小巻き可能な連続繊維シート12を面部材12に貼り付け、固定手段13に固定するだけであるから、狭い場所でも容易に作業できる。また、面部材10の一方の表面11に連続繊維シート12を貼り付けることによって十分な補強効果を得られるので、面部材10の片側で全ての作業ができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、面部材を補強するのに好適な連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法に関する。
図10に示すように、RC(鉄筋コンクリート)面部材(壁部材)50に面外方向(厚さ方向)Xの一定以上のせん断力が加わると、面部材50にせん断ひび割れ51が発生し、このせん断ひび割れ51を境として面部材50の上下部分が、左右に位置ずれするおそれがある。
そこで、従来は、図11に示すように、面部材50の表面にコンクリート52を増設するか、或いは面部材50の表面に鉄板53を接着することによって、面部材50の補強を行っていた。
また、図12に示すように、面部材50にボルト54を貫通させ、このボルト54の頭部55とナット56で面部材50に固定することにより、面部材50を補強することも行われていた。
しかしながら、従来の面部材の補強方法では、次のような問題があった。すなわち、面部材50の表面にコンクリート52を増設する方法(図11参照)では、トンネルやボックスカルバートのように、作業スペースを広くとれない場所では、作業が困難になるという問題があった。
また、面部材50の表面に鉄板53を接着する方法(図11参照)では、トンネルやボックスカルバートのように、狭い場所で作業を行う場合、鉄板53を小さく分割して搬入し、これを狭い場所で溶接する必要があり、ケーブルの溶接火花からの養生などを含めて作業が困難になり、また溶接煙の発生などの問題があった。
更に、面部材50にボルト54を貫通させて固定する方法(図12参照)では、面部材50の両側で作業する必要があり、地中に埋設されたボックスカルバートのように外周側に作業スペースがないような場合には、適用できないという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、作業スペースが狭い場所でも容易に作業でき、しかもコンクリート構造物の片側で全ての作業ができ、且つ補強効果のある連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法の提供を課題とする。
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、コンクリート構造物の表面に連続繊維シートを貼付し、前記連続シートを前記表面に貼付する前又は後に、前記連続繊維シートを樹脂含浸させ、前記連続繊維シートを構成する各繊維の少なくとも二箇所を、固定手段によって前記コンクリート構造物に固定することを特徴とする。
本発明では、コンクリート構造物の表面が連続繊維シートによって拘束されているので、コンクリート構造物に面外方向(厚さ方向)のせん断力が作用してせん断ひび割れが発
生したときに、せん断ひび割れの上下の部分が面外方向に位置ずれするのを抑制できる。
また、連続繊維シートは小さく丸めて搬送でき、現場での溶接作業も不要なので、狭い場所でも容易に作業できる。更に、コンクリート構造物の片面に連続繊維シートを貼り付けて固定手段で固定するだけなので、コンクリート構造物の片側で全ての作業を完了できる。
ここで、上記連続繊維シートは、例えば縦横各1枚、合計2枚以上積層するのが好ましい。この場合は、局所的な応力集中を緩和する効果が期待できる。
前記連続繊維シートを構成する各繊維は、前記コンクリート構造物の表面に発生するせん断ひび割れに対して、連続繊維シートの最大強度を有効に活用できる略直交する方向に配置するのが望ましい。
前記連続繊維シートは、炭素繊維、アラミド繊維、又はガラス繊維などを使用できる。これらの連続繊維は、一方向若しくは二方向に繊維を配したもの、シートタイプは、プリプレグタイプ、織物タイプ、又はドライシートタイプ等何れでも良い。これらのシートは市販されており、入手が容易である。
前記補強繊維シートは、前記コンクリート構造物の一方の表面にのみ貼付し、固定手段で固定することによって、十分な補強効果を得ることができる。
前記連続繊維シートが貼り付けられた前記表面が、前記コンクリート構造物の他の表面に略直交している場合は、前記表面と前記他の表面との交差部にL型材を用いた固定手段を用いることが望ましい。
この場合は、L型材によって交差部の両側の面が拘束されるので、補強繊維シートを貼付した表面に面外方向の力が作用したときに、交差部の両側のコンクリート構造物における水平方向の変位を抑え、且つ交差部を基点としたせん断亀裂(ひび割れ)が発生するのを抑制できる。
前記固定手段は、前記補強シートの表面を押さえる板部材と、前記板部材を前記コンクリート構造物に固定するアンカーとで構成できる。この場合は、固定手段の構成を簡略化できると共に、多数の繊維を一箇所につき一枚の板部材で固定できる。
前記連続繊維シートの一方の端部を、前記L型材によって前記表面に固定できる。この場合は、各繊維を固定する板給材の数を減少できる。
前記連続繊維シートとしては、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、ガラス繊維シートなどを例示できるが、これ以外の連続繊維シートも使用できる。また、前記コンクリート建造物としては壁部材を例示できるが、柱、床などにも本発明を適用できる。
更に、前記コンクリート構造物としては、地中に埋設されたボックスカルバートを例示でき、このボックスカルバートの側壁の内面に前記連続繊維シートを貼り付けて、固定手段で固定することにより、ボックスカルバートを補強できる。
ボックスカルバートの外周側は土などに囲まれているが、本発明ではその内側から内壁面に連続繊維シートを貼り付けて、固定手段で固定するだけで補強できる。
なお、上記の各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可
能である。
以上説明したように、本発明によれば、コンクリート構造物の表面に連続繊維シートを貼り付け、固定手段で固定するだけなので、溶接作業などが不要であり狭い場所でも容易に作業できる。
また、コンクリート構造物の片側で全ての作業を完了できるので、コンクリート構造物の片側に作業スペースがない場合でも、その反対側で全ての作業を完了できる。
以下、本発明に係る実施形態を添付した図1から図9に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る第1実施形態の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法を示す。
ここでは、コンクリート構造物である面部材(壁部材)10の表面11に、含浸接着樹脂などで連続繊維シート12を貼付し、前記連続繊維シート12を表面11に貼付する前、又は後に、前記連続繊維シート12に樹脂含浸させてFRP化し、この連続繊維シート12を構成する各繊維16(図2参照)の少なくとも二箇所、本例では四箇所を、固定手段13によって面部材10に固定する。
本例では、連続繊維シート12として、炭素繊維によって構成された一方向シートを用いたが、アラミド繊維、ガラス繊維など他の繊維を使用することもできる。連続繊維シート12は、そのせん断破壊耐力がコンクリートよりも高いものを使用する。
また、本例では、固定手段13が、帯状のプレート14と、面部材10内に先端が埋設されたアンカー15とで構成され、プレート14を所定間隔をおいて設けたアンカー15で面部材10に固定するものを用いたが、これ以外の適宜な固定手段を使用できる。
プレート14は、図2に示すように、連続繊維シート12の全幅と略同一の長さを有しているが、プレート14を所定間隔を置いて設けたアンカー15で面部材10に固定するものであれば、長手方向に複数に分割したものでも良い。即ち、プレート14とアンカー15の配置は、連続繊維シート12が面部材10に固定される様々な態様が含まれる。
プレート14の連続繊維シート12と接触する側の角部には、図3に示すように、丸みRが設けられている。これにより、連続繊維シート12がプレート14の角部で切断されるのを防止できる。
また、図2に示すように、アンカー15は、面部材10に作用するせん断力の大きさなどの条件に応じて、適宜な数を適宜な間隔で設置する。また、アンカー15は、拡径アンカー以外に樹脂アンカー、機械式アンカー、などを用いることもできる。
連続繊維シート12を構成する各繊維16は、面部材10の表面11に発生すると想定されるせん断ひび割れ17に対して交差する方向に配置される。本例では、各繊維16が、せん断ひび割れ17に略直交する方向に配置されている。
また、面部材10の一方の表面11に連続繊維シート12を固定手段13で固定するだけで、十分な補強効果を得ることができる。
このように、本発明の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法においては、面部材10の表面11が連続繊維シート12によって拘束されているので、面部材10のせん断耐力が向上する。
これにより、面部材10に面外方向(厚さ方向)Xのせん断力が作用して、表面11にせん断ひび割れ17が発生した場合でも、せん断ひび割れ17の両側の部分が互いに反対方向に位置ずれするのを抑制できる。
また、連続繊維シート12の各繊維16が、面部材10に発生すると予想されるせん断ひび割れ17に対して交差する方向、本例では略直交する方向に配置されているので、せん断ひび割れ17が発生した際に各繊維16には引張力が作用する。これにより、連続繊維シート12の特性、すなわち引張力に対する耐力が高いという特性を十分に活用できる。
更に、連続繊維シート12の各繊維16が、面部材10に作用したせん断力によって発生すると予想されるせん断ひび割れ17の両側で固定手段13によって固定されているので、面部材10にせん断力が発生しても連続繊維シート12が面部材10の表面11から剥離するのを防止できる。これにより、連続繊維シート12の補強効果が向上する。
また、連続繊維シート12として使用した一方向プリプレグは、強度が高いだけでなく、一般に市販されているので、入手が容易であるため、工期の短縮及びコストダウンが可能である。
また、繊維補強シート12は、面部材10の表面11にのみ貼り付けて固定するだけで十分な補強効果を得られるので、作業工数の低減及びコストダウンが可能になる。
なお、連続繊維シート12を、面部材10の両面に貼り付けて固定することもできる。この場合は、面部材10の補強効果が更に高くなる。
更に、本発明は、小巻き可能な繊維補強シート12の貼り付けと、アンカー15の打ち込みをするだけであり、溶接作業を必要としないので、狭い場所でも作業できる。
また、面部材10の表面11側だけで補強作業を完了できるので、面部材10の反対側に作業スペースがない場合でも、適用できる。
従って、本発明は、面部材を持つコンクリート構造物の補強に好適である。
(第2実施形態)
図4は、本発明に係る第2実施形態の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法を示す。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
この第2実施形態においては、略L字型のコンクリート構造物20の補強を行う場合について説明する。
コンクリート構造物20は互いに直交する縦部材21と横部材22を有している。この場合は、まず、第1実施形態と同様に縦部材21の一方の表面21aに、含浸接着樹脂などで連続繊維シート12を貼り付ける。次に、連続繊維シート12を固定手段13で固定する。
固定手段13は、連続繊維シート12の下端から所定の寸法だけ上側の部分にのみ設ける。
次に、縦部材21と横部材22の交差部26にL型材、本例では、アングル23を配置する。このアングル23は、縦部材21に貼り付けられた連続繊維シート12の上に配置する。
そして、アングル23の両辺部を、アンカー24,25によって縦部材21及び横部材22に固定する。すなわち、連続繊維シート12の下端部は、アングル23及びアンカー24によって、縦部材21の表面21aに固定される。
図5に示すように、アングル23の連続繊維シート12と接触する角部に丸みRが設けられている。
この第2実施形態においては、縦部材21と横部材22の両方にアングル23が固定されているので、縦部材21の水平方向変位を抑制でき、且つ、縦部材21と横部材22の交差部26を基点としたせん断ひび割れが発生するのを抑制できる。これによって、縦部材21のせん断破壊耐力の向上を図ることができる。従って、本発明は、トンネル、ボックスカルバートなどの補強に好適である。
(第3実施形態)
図6は、本発明に係る第3実施形態の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法を示す。なお、上記と同一の部分には同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
この第3実施形態では、逆T字状のコンクリート構造物30を補強する場合について説明する。コンクリート構造物30は、横部材31の中央に縦部材32が立設されている。
縦部材32の一方の表面33には、複数枚の連続繊維シート12が含浸接着樹脂などで積層されて貼り付けられている。また、横部材31と縦部材32の交差部34には、アングル35が固定されている。
連続繊維シート12の下端部は、固定手段13とアングル35によって縦部材32に固定されている。
また、連続繊維シート12の各繊維16は、図7に示すように、横部材31の上面36に対して交差する方向、本例では略垂直方向に配置する。
図8は、連続繊維シート12を縦部材32の表面33に貼り付ける際の施工方法を示す。ここでは、まず、縦部材32の表面33に下地処理40を行い、その上にプライマー41を塗布する。
プライマー41の表面に凹部がある場合は、この凹部内にエポキシパティ42を塗布して不陸修正工を行い、その後、エポキシパティ42の全面に含浸・接着樹脂43を下塗りする。続いて、連続繊維シート12を貼り付け、その上に含浸・接着樹脂44を上塗りする。この上に、順次連続繊維シート12を貼り付ける。
この第3実施形態においては、連続繊維シート12が複数枚、本例では3枚積層されているので、連続繊維シート12が一枚の場合に比べて補強強度が高くなる。連続繊維シート12の積層枚数が多いほど、補強強度も高くなる。
(第4実施形態)
図9は、本発明に係る第4実施形態の連続繊維シートを用いたボックスカルバートの補強方法を示す。
ここでは、地中に埋設されたボックスカルバート45の側壁46の内面47に連続繊維シート12を貼り付け、この連続繊維シート12をプレート14及びアンカー15によって、側壁46に固定する。なお、図9中の符号48は、地盤である。
この第4実施形態では、ボックスカルバート45の内側で補強作業を全て完了できるので、地盤48の掘削作業などをする必要がなく、工事期間の短縮及びコストダウンが可能になる。
なお、連続繊維シート12の上下両端部は、アングル(図示せず)を介して側壁46に固定することもできる。
また、炭素繊維シートを面部材に貼り付けて固定すると共に、面部材(壁部材)と直交する他の部材との交差部にアングルを設置して固定し、面部材にせん断力を加えた結果、次の効果が確認された。
1.炭素繊維シートの効果
炭素繊維シートの効果は以下の通りであった。
(1)壁内面の曲げ補強効果を持ち、載荷初期において、曲げ耐力を向上させて壁内面からの曲げひび割れの発生を遅らせ、その結果、曲げひび割れから誘発されるせん断ひび割れの発生を遅らせることができる。
(2)壁外面に発生したひび割れ及びせん断ひび割れが上下のアンカーボルト間を水平方向に進展して、壁内面に至ることを抑制し、当該部でのせん断ひび割れの成長を抑制することができる。
(3)壁内面の主筋に沿うひび割れの進展による被りコンクリートの付着破壊と剥落を抑え、その結果、被りコンクリートの剥落部で発生する、曲げ圧縮破壊、及び主筋の座屈を遅らせることができる。
(4)炭素繊維シートは、壁内面の主筋が座屈して壁が破壊する直前まで、壁に発生する曲げモーメントによる引張応力と圧縮応力を負担することができる。
(5)繊維目付量300g/m2の炭素繊維シート4枚の積層貼り付けは、載荷初期にひび割れの発生を遅らせる効果、および、壁表面に発生した曲げひび割れ、及びせん断ひび割れが上下のアンカーボルト間を壁内面に向かって水平方向に進展することを抑制する効果がある。
(6)繊維目付量300g/m2の炭素繊維シート8枚の貼り付けは、曲げひび割れの発生を遅らせる効果、及び、壁外面に発生したまげひび割れ及びせん断ひび割れが上下のアンカーボルト間を水平方向に進展して壁内面に至ることを抑制する効果が、同4枚を貼付した場合の効果に比して、高いことを確認した。
2.壁内面に配置したアンカーの効果
壁内面に貼付した炭素繊維シートをコンクリート表面に固定する鋼板とアンカーボルト
の効果は、以下の通りであった。
(1)壁内面から鋼板(幅65mm×厚さ6mm×長さ1000mm)を介して、ケミカルアンカー(直径16mm×長さ100mm、直径25mm×長さ195mm)を一定の間隔(縦250mm×横250mm)で配置し、又は拡径アンカー(直径13mm×長さ280mm)を一定の間隔(縦250mm×横250mm)で配置した結果、壁内面の被りコンクリートの剥落と主筋の座屈を防止できることを確認した。
この結果、壁の破壊モードを、補強前において壁内面での被りコンクリート剥落と主筋座屈の先行から、補強後において壁外面(表面)での被りコンクリート剥落と主筋座屈の先行へ移行させることができる。
3.アングルの効果
(1)作用水平力による壁内面方向への水平移動によるせん断ひび割れ幅の拡大を抑止し、これによって壁内外面での被りコンクリートの剥落と主筋の座屈を遅らせることができる。
(2)アングル(一辺120mm×一辺120mm×長さ1000mm)をフーチングに固定するために配置した鉛直方向ケミカルアンカー(直径16mm×長さ130mm、間隔125mm)は、作用水平力による壁内面方向への水平移動によるせん断ひび割れの拡大を抑止した。
また、フーチング内へ進展しアンカーボルト下端を通るせん断ひび割れは、壁内面の下端に曲げ引っ張りが作用するときにおいて、上下方向に開口してアンカーボルトを浮き上がらせ、その結果、アングルによる鉛直方向の引っ張り抵抗を減少させて、炭素繊維シートがアングルから剥離する進行度を緩和した。
(3)アングル(一辺120mm×一辺120mm×厚さ8mm×長さ1000mm)をフーチングに固定するために配置した。鉛直方向アンカー(直径25mm×長さ195mm、間隔125mm、又は直径16mm×長さ240mm、間隔125mm)は、作用水平力による壁内面方向への水平移動によるせん断ひび割れの拡大を抑止し、同時に、せん断ひび割れが鉛直方向アンカーボルトの下端を通って、フーチング内へ進展することを抑止する効果をもたらしたといえる。
せん断破壊した壁体が内側へ大きく水平移動して構造物が急激に破壊することを抑止する目的で、壁下端に接して基部フーチングに設置したアングル、および、これをフーチングに固定するために使用したアンカーボルトの効果は、以下の通りであった。
(4)せん断破壊した壁体が内側へ大きく水平移動して構造物が急激に破壊することを抑止する。
第1実施形態に係る連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法を示す概念図である。 図1のA矢視図である。 第1実施形態に係るプレートの端部に設けられた丸みを示す概念図である。 第2実施形態に係る連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法を示す概念図である。 第2実施形態に係るアングルの端部に設けられた丸みを示す概念図である。 第3実施形態に係る連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法を示す概念図である。 図6のB矢視図である。 第3実施形態に係る連続繊維シートの貼り付け施工の手順を示す概念図である。 第4実施形態に係るボックスカルバートの補強方法を示す概念図である。 面部材に面外方向の力が加わったときに発生するせん断ひび割れを示す概念図である。 従来例に係る面部材の補強方法を示す概念図である。 従来例に係る面部材の補強方法の別の例を示す概念図である。
符号の説明
10 面部材
11 表面
12 連続繊維シート
13 固定手段
14 プレート
15 アンカー
16 繊維
17 せん断ひび割れ
20 コンクリート構造物
21 縦部材
21a 表面
22 横部材
23 アングル
24 アンカー
26 交差部
30 コンクリート構造物
31 横部材
32 縦部材
33 表面
34 交差部
35 アングル
36 上面
40 下地処理
41 プライマー
42 エポキシパティ
43,44 接着樹脂
45 ボックスカルバート
46 側壁
47 内面
48 地盤
50 面部材
51 せん断ひび割れ
52 コンクリート
53 鉄板
54 ボルト
55 頭部
56 ナット

Claims (10)

  1. コンクリート構造物の表面に連続繊維シートを樹脂を用いて貼付し、
    前記連続繊維シートを前記表面に貼り付ける前又は後に、前記連続繊維シートを樹脂含浸させ、
    前記連続繊維シートを構成する各繊維の少なくとも二箇所を、固定手段によって前記コンクリート構造物に固定することを特徴とする連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  2. 前記連続繊維シートは2枚以上積層されていることを特徴とする請求項1に記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  3. 前記連続繊維シートを構成する各繊維は、前記コンクリート構造物の表面に発生すると想定されるせん断ひび割れに対して交差する方向に配置され、
    前記各繊維は前記せん断ひび割れを挟んだ二箇所を前記固定手段によって前記コンクリートに固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  4. 前記連続繊維シートは、炭素繊維、アラミド繊維、又はガラス繊維などの連続繊維からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の補強繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  5. 前記補強繊維シートは、前記コンクリート構造物の一方の表面にのみ貼り付けることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  6. 前記連続繊維シートが貼り付けられた前記表面は、前記コンクリート構造物の他の表面に略直交して設けられ、
    前記表面と前記他の表面との交差部にL型材が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  7. 前記固定手段は前記連続繊維シートの表面を押さえる板部材と、前記板部材を前記コンクリート構造物に固定するアンカーとを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  8. 前記連続繊維シートの一方の端部が、前記L型材によって前記表面に固定されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  9. 前記コンクリート建造物は壁、床、天井などの面部材を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
  10. 前記コンクリート構造物はボックスカルバートであり、前記連続繊維シートは、前記ボックスカルバートの側壁における内面に貼り付けられることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補強方法。
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