JP2003160728A - ポリアミド樹脂組成物及びシート状押出成形品 - Google Patents
ポリアミド樹脂組成物及びシート状押出成形品Info
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Abstract
れ、非ハロゲン系で環境に対する安全性が高く、従来幅
広く用いられてきた軟質塩化ビニル樹脂に代替し得る樹
脂材料であり、テープ基材に成形した場合、引きちぎり
性にも優れたポリアミド樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリアミド樹脂99〜40重量部、トリ
アジン系難燃剤1〜40重量部、可塑剤0.1〜20重
量部、平均粒径5〜40μmの無機粒子1〜40重量部
及びヒンダードフェノール系化合物0.01〜5重量部
を含有してなるポリアミド樹脂組成物。
Description
耐熱性、熱老化性等に優れ、環境汚染の畏れの少ないポ
リアミド樹脂組成物、及び、該ポリアミド樹脂組成物を
押出成形してなる押出成形品に関するものである。詳し
くは、難燃性に優れ、且つ耐熱性が高く、しかも柔軟性
に富み、手で簡単に引きちぎることが出来、粘着テープ
などのシート状成形品に好適なポリアミド樹脂組成物及
びその成形品に関する。
物の製作・建設時や修繕時に展張される養生シートを固
定するために使用される粘着テープや、車両、船舶、航
空機、家屋、建物の内装表皮材や電線などのケーブル類
を固定するための粘着テープの基材には、柔軟性、難燃
性に優れ、更に使用時にハサミ、カッター等の切断用具
を使用せずに、手で簡単に引きちぎることのできる作業
性に優れた軟質塩化ビニル樹脂からなるシート状成形品
が幅広く使用されてきた。しかし、近年、焼却時にダイ
オキシンが発生し、環境汚染や健康障害の恐れがあると
言われる、ハロゲン系化合物の使用は避けるべきとの社
会的要請から、塩化ビニル系以外の難燃押出成形品が求
められるようになった。
エチレンやEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)に
代表されるポリオレフィン系樹脂に水酸化マグネシウム
又は尿素を配合して難燃化した材料が用いられてきた。
しかし、ポリオレフィン系樹脂は100℃程度で溶融し
てしまうため、自動車をはじめとした車両、船舶、航空
機、工場等の100℃を超える降温度に曝される部位に
は、溶けてしまうので使用出来ないと言う欠点があり、
ポリオレフィン系樹脂の用途は制限されていた。従っ
て、100℃を超える温度環境下でも長時間使用するこ
とのできる、耐熱性の高いシート状成形品や粘着テープ
が求められてきた。
アミド樹脂に難燃性を付与する方法としては、例えば、
トリアジン系難燃剤を配合することが特開昭51−54
655号公報や特開平11−335552号に開示され
ているが、かかる組成物は、柔軟性や熱老化性は不十分
であった。ポリアミド樹脂の柔軟性を改良する方法とし
ては、ポリオレフィン樹脂等を添加する方法が知られて
いるが、難燃性が低下するため、柔軟性と難燃性に優れ
たポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂製難燃押出
成形品を得ることは困難であった。また、柔軟性を改良
する方法として可塑剤を添加する方法も知られている
が、従来の可塑剤は一般に難燃性を低下しやすく、かつ
耐熱性に難があるため、高温での押出成形や高温下での
製品の使用により可塑剤が飛散し、柔軟性の低下や他の
製品を汚染する等の欠点があった。本発明者等の一部は
先に、特定の可塑剤を配合することにより、トリアジン
系難燃剤を用いて、難燃性、柔軟性、環境性、耐熱性、
機械的強度、耐熱老化性等に優れたポリアミド樹脂組成
物を提案した(特願2001−113726)。この組
成物を押出成形して製造したシート状物は、養生シート
などには好適であるが、養生シートを固定する場合の粘
着テープとしては、柔軟性が充分でないため馴染み難
く、又引きちぎり性が不足し、使用時には刃物を使用す
る必要があり、作業性が芳しくなかった。
柔軟性、耐熱性、耐熱老化性、引きちぎり性に優れ、環
境汚染の畏れの少ない粘着テープ基材として好適な材料
は未だ得られていなかった。本発明はかかる事情に鑑み
なされたものであってその目的は、難燃性、柔軟性、耐
熱性、耐熱老化性、引きちぎり性等に優れたポリアミド
樹脂組成物、及び、該ポリアミド樹脂組成物を押出成形
してなるシートや粘着テープ基材等の押出成形品を提供
することにある。
解決するため、トリアジン系難燃剤を用いたポリアミド
樹脂組成物に各種添加物を配合して検討を重ね、本発明
に到達した。すなわち本発明の要旨は、(a)ポリアミ
ド樹脂99〜40重量部、(b)トリアジン系難燃剤1
〜40重量部、(c)可塑剤0.1〜20重量部、
(d)平均粒子径が5〜40μmの無機粒子1〜40重
量部及び(e)ヒンダードフェノール系化合物0.01
〜5重量部を含有してなるポリアミド樹脂組成物及び、
これを押出し成形してなる成形品特にシート状成形品に
存する。
樹脂としては、3員環以上のラクタムの開環重合、ω−
アミノ酸の重縮合、又は、二塩基酸とジアミン等の重縮
合によって得られる種々のポリアミド樹脂を用いること
ができる。具体的には、例えば、ε−カプロラクタム、
アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプ
タン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン
酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等の重合体、ヘキ
サメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカ
メチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシ
リレンジアミン等のジアミンと、テレフタル酸、イソフ
タル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、
グルタール酸等のジカルボン酸を重縮合せしめて得られ
る重合体又はこれらの共重合体、例えば、ポリアミド
4、6、7、8、11、12、6.6、6.9、6.1
0、6.11、6.12、6T、6/6.6、6/1
2、6/6T、6T/6I、MXD6等を単独あるい
は、2種以上混合して使用することができる。
は、カルボン酸又はアミンで封止されていてもよく、特
に、炭素数6〜22のカルボン酸又はアミンで封止され
たポリアミド樹脂が望ましい。具体的に、封止に用いる
カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げ
られる。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オク
チルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチ
ルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘ
ニルアミン等の脂肪族第一級アミンが挙げられる。封止
に使用するカルボン酸又はアミンの量は、30μeq/
g程度がよい。
内の重合度、すなわち相対粘度を有するものが好まし
い。好ましい相対粘度は、JIS K−6810に従っ
て、98%硫酸中、濃度1%、温度25℃で測定した値
で2〜6.5であり、より好ましくは2.8〜5.5で
ある。ポリアミド樹脂の相対粘度が2より低いと溶融粘
度が小さいため成形が困難になり、機械的強度も低下す
る。また相対粘度が6.5より高くても溶融流動性を損
うようになり好ましくない。
脂としては、難燃性、機械的強度、成形性、難燃剤や可
塑剤の分解、製品の耐熱性等の点から、融点が190℃
〜260℃のポリアミド樹脂が好ましく、そのなかでも
押出成形性や経済性の点から、ポリアミド6、共重合ポ
リアミド6/66がより好ましい。ポリアミド樹脂の融
点が190℃より低いと製品の耐熱性が低下し、260
℃より高いと押出成形加工の際に難燃剤やエステル化合
物が分解して好ましくない。
(b)トリアジン系難燃剤としては、下記一般式(1)
又は(2)で表される化合物、メラミン類及びシアヌル
酸メラミン等が挙げられる。
又はアルキル基を示す。) 前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、
シアヌル酸、トリメチルシアヌレート、トリエチルシア
ヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、メチル
シアヌレート、ジエチルシアヌレート等が挙げられる。
前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、
イソシアヌル酸、トリメチルイソシアヌレート、トリエ
チルイソシアヌレート、トリ(n−プロピル)イソシア
ヌレート、ジエチルイソシアヌレート、メチルイソシア
ヌレート等が挙げられる。
誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物及びメラ
ミンの縮合物等が挙げられる。メラミン類の具体例とし
ては、例えば、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホ
ルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、
アリールグアナミン、メラム、メレム、メロン等が挙げ
られる。シアヌル酸メラミンとしては、シアヌル酸とメ
ラミンとの等モル反応物が挙げられる。また、シアヌル
酸メラミン中のアミノ基又は水酸基のいくつかが、他の
置換基で置換されていてもよい。シアヌル酸メラミン
は、例えば、シアヌル酸の水溶液とメラミンの水溶液と
を混合し、90〜100℃で撹拌下反応させ、生成した
沈殿を濾過することによって得ることができる白色の固
体である。このようにして得られたシアヌル酸メラミン
は微粉末状に粉砕して使用するのが好ましい。勿論、市
販品をそのまま、又はこれを粉砕して使用することもで
きる。
は、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、シアヌル
酸メラミン等が挙げられ、分解物が成形物の表面に浮き
出してくるブルーミング等の不都合がないことから、よ
り好ましくは、シアヌル酸メラミンが挙げられる。トリ
アジン系難燃剤の配合量は、(a)ポリアミド樹脂99
〜40重量部に対して、1〜40重量部である。トリア
ジン系難燃剤の配合量が1重量部未満であると難燃性が
低下しやすく、40重量部を超えると柔軟性、成形性が
低下する。トリアジン系難燃剤の配合量は、難燃性、柔
軟性、成形性のバランスの点より、好ましくは2〜30
重量部である。
は、ポリアミドの可塑剤として一般的な、高級アルコー
ル類、ヒドロキシ安息香酸エステル類、芳香族スルホン
アミド類、フェノール類、リン酸エステル類の中から選
ばれた少なくとも1種の化合物である。具体的には、へ
キシレングリコールやグリセリン等の高級アルコール
類、p−ヒドロキシ安息香酸オクチルエステル、p−ヒ
ドロキシ安息香酸ヘプチルエステル、p−ヒドロキシ安
息香酸2−エチルヘキシルエステル等のヒドロキシ安息
香酸アルキルエステル類、N−メチルベンゼンスルホン
アミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、p−トル
エンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホ
ンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホン
アミド等の芳香族スルホンアミド類、β−ナフトール、
ジベンジルフェノールオクチルクレゾール等のフェノー
ル類、フタル酸ジメチル、リン酸トリフェニル、リン酸
トリクレジル等のリン酸エステル類等が挙げられる。
加工時に飛散し難く、可塑化効果が高いヒドロキシ安息
香酸アルキルエステル類、特にp−ヒドロキシ安息香酸
と分岐鎖を有する炭素数12〜22の脂肪族アルコール
のエステルが好ましい。可塑剤の配合量は、(a)ポリ
アミド樹脂99〜40重量部に対して、0.1〜20重
量部である。エステル化合物の配合量が0.1重量部未
満であると柔軟性改良効果が不十分であり、20重量部
を超えると成形性、難燃性が低下する。可塑剤の配合量
は柔軟性、成形性、難燃性のバランスの点より、好まし
くは0.3〜15重量部である。
粒子は平均粒径が5〜40μmの無機粒子で、従来、樹
脂の充填剤として慣用されるものであれば特に限定され
るものではなく、任意のものを選択して使用することが
できる。具体的には、例えば、クレー、カオリン、焼成
カオリン、ゼオライトに代表されるシリカ−アルミナ系
粘土鉱物(含水ケイ酸アルミニウム類)、タルクに代表
されるシリカ−マグネシウム類、更にケイ酸カルシウ
ム、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられ
る。これらの無機粒子は、天然鉱物の粉砕品でも良い
し、合成品でもかまわない。又無機粒子の平均粒径は、
コールカウンター、レーザー回折法等によって得られた
重量基準粒度分布のメディアン径を平均粒径とする。
と、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られるシート
状成形品が、目的とする引きちぎり性を得られず、一
方、無機粒子の平均粒径が40μmを超えると、シート
状成形品の表面が著しく粗面化するので好ましくない。
無機粒子の配合量は、(a)ポリアミド樹脂99〜40
重量部に対して、1〜40重量部である。1重量部未満
では、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られるシー
ト状成形品の引きちぎり性が悪く、40重量部を超える
と、シート状成形品を押出し成形する際、千切れてしま
い好ましくない。無機粒子の配合量は好ましくは5〜3
0重量部である。
使用されるヒンダードフェノール系化合物は、一般に酸
化防止剤、加工安定剤として使用される、分子中に2,
6−又は2,4−アルキル置換フェノール構造を有する
化合物であり、そのヒドロキシ基は、亜リン酸等の酸で
エステル化されていてもよい。さらに、アルキル置換フ
ェノール構造は、分子中の1箇所以上の箇所に存在して
いてもよい。
ール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキ
サンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエ
リスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,
N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエ
ステル、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,
5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4
−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ
−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−ト
リアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]等が挙げられ、これらは1種単独で、又は2
種以上を組み合わせて使用することができる。
量は、(a)ポリアミド樹脂99〜40重量部に対し
て、0.01〜5重量部であり、より好ましくは0.0
5〜3重量部である。0.01重量部未満では、熱老化
性改良効果が不十分で、100℃を超える環境下での連
続使用が出来なくなる。一方、5重量部を超えると、効
果が飽和に達してしまったり、表面へのブルーミングに
よる成形品の表面不良等が生じる等の欠点がある。本発
明のポリアミド樹脂組成物から押出し成形されたシート
状成形品の耐熱老化性は、実際の使用環境を考慮する
と、100℃で10,000時間経過後の引っ張り伸度
が50%以上あれば、実用上の耐熱老化性が良好といえ
る。
ド樹脂、(b)トリアジン系難燃剤、(c)可塑剤、
(d)無機粒子、(e)ヒンダードフェノール系化合物
の他に、本発明の目的とする質を損なわない範囲で、顔
料、染料、充填剤、核剤、離型剤、安定剤、帯電防止剤
その他の周知の添加剤を配合・混練し、押出成形品を製
造することができる。また、本発明の効果を損なわない
範囲において、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を配
合することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物を
製造する方法は特に限定されるものではなく、ポリアミ
ド樹脂、難燃剤、可塑剤、無機粒子、ヒンダードフェノ
ール系化合物、及び必要に応じて添加される各種添加剤
を、押出し成形の直前迄の任意の段階で、所定の割合で
混合すればよい。かかる混合物は、各種押出機にてペレ
ット化しても構わない。又、予め、ポリアミド樹脂添加
剤を高濃度で溶融混練してマスターバッチを製造し、そ
の後ポリアミド樹脂で希釈して、所定の配合比の組成物
を製造することも出来る。
物は、難燃性が求められる各種成形品の製造原料として
使用し得る。特に、押出し成形に適しており、就中、押
出し成形によるシート状物の成形に適している。本発明
のポリアミド樹脂組成物からシート状成形品を製造する
にあたっては、既存のフィルム、シート成形機を使用し
て、常法に従って製造することができる。具体的には、
ポリアミド樹脂組成物を溶融して連続的にTダイより押
出し、キャスティングロールにて冷却しながらフィルム
状に成形するTダイ法、環状のダイスより連続的に押出
し、水を接触させて冷却する水冷インフレーション法、
同じく環状のダイスより押出し、空気によって冷却する
空冷インフレーション法等によって得られる。押出し成
形に際しては、難燃剤や可塑剤の分解を抑えるため、樹
脂温度を300℃以下、好ましくは280℃以下、より
好ましくは260℃以下にすることが望ましい。シート
状成形品の厚みは、特に限定されるものではないが、既
存のフィルム、シート成形機での成形性、シートや粘着
テープ基材としての実用性を勘案すれば、5〜300μ
mであることが好ましく、より好ましくは10〜200
μmである。
押出し成形されたシート状成形品が、実用上の耐熱性を
有するためには、本発明組成物の融点が160℃以上で
あることが望ましい。この場合融点とは、DSC(示差
走査熱量測定)分析にて昇温速度20℃/分で測定して
得られた融解曲線のピークトップを意味する。又、本発
明のシート状成形品の難燃性は、JIS K−7201
測定法による酸素指数が22以上であることが好まし
く、更に好ましくは23以上である。酸素指数が22以
上であれは大気中の酸素では燃焼を継続することが不可
能である自焼性材料である。通常、ポリアミド樹脂の酸
素指数は、その水分量によっても変化するが、実際の使
用環境を鑑みると、いわゆる難燃性シートとしては絶乾
状態の酸素指数で23以上あることが好ましい。
れるシート状成形品は、JIS K−7127測定法に
より測定された10%伸度での引張応力が2MPa以
上、20MPa以下で有り、且つ、引張破断強度が10
MPa以上、60MPa以下であることが望ましい。1
0%伸度での引張応力が2MPa未満の場合、シート状
成形品が柔らかすぎてシートやテープとして施行した
り、貼り付けたりする時に伸びてしまい、実用上好まし
くない。一方、10%伸度での引張応力が20MPaを
超えると、シート状成形品の柔軟性が不足し、シートや
テープとして施工したり貼り付けたりする時の馴染みが
悪く好ましくない。10%伸度での引張応力は、好まし
くは4MPa以上,15MPa以下である。また、シー
ト状成形品の引張破断強度が10MPa未満の場合、シ
ート状成形品としての実用強度が低く好ましくない。一
方、引張破断強度が60MPaを超えると、テープ基材
等として使用した場合の引きちぎり性が不足し、手で容
易に千切ることが出来なくなる。引きちぎり性を要する
用途に使用する場合は、引張破断強度は、15MPa以
上、40MPa以下であることが好ましい。
ート状成形品は、粘着テープ基材として好適である。粘
着テープは、本発明に係わるシート状成形品の少なくと
も片面に、粘着剤を塗布することにより得られる。本発
明のポリアミド樹脂組成物から得られる粘着テープは、
難燃性、耐熱性、耐熱老化性、引きちぎり性等に優れて
おり、建築現場等の養生シートの固定、車両、航空機、
船舶、建築物等の電気配線の固定、結束等に使用するこ
とが出来る。通常、Tダイやインフレーション成形等に
て得られたシート状成形品の少なくとも片面に粘着剤を
塗布し、巻き上げ後、適当な幅、例えば15、20、3
0、50mm等にスリットすることにより製造すること
ができる。粘着剤としては公知のもの、例えば、天燃ゴ
ムラテックスや合成ゴムラテックス等のゴム系粘着剤
や、ブチルアクリレート等からなるアクリル系接着剤等
が挙げられ、コーター等のコーティング機械を用いて塗
布すれば良い。
の主旨を超えない範囲で、他のフィルム、シートと積層
しても良く、更に、表面の印刷性の改良や、ラミネート
性の改良の為に片面、又は両面にコロナ処理を施すこと
もできる。
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に制限されるものではない。なお、物性評価及び使
用した原料は以下の通りである。
い、試料10mgを20℃/分で昇温した時の融解ピー
ク温度を測定した。 (2)相対粘度:JIS K6810に準拠して、25
℃、98%硫酸中濃度1%で測定した。 (3)酸素指数:シート状成形品サンプルを、成形後、
23℃、65%RH下にて48時間以上調湿後、JIS
K−7201に準拠して測定を行った。 (4)10%伸度引張応力:シート状成形品サンプル
を、成形後、23℃、65%RH下にて48時間以上調
湿後、JIS K−7127に準拠して23℃、65%
RH雰囲気下で測定を行い、引張物性チャートより伸度
10%の応力を読みとった。 (5):引張破断強度:シート状成形品サンプルを、成
形後、23℃、65%RH下にて48時間以上調湿後、
JIS K−7127に準拠して23℃、65%RH雰
囲気下で測定を行った。 (6)引きちぎり性:シート状成形品サンプルを、成形
後、23℃、65%RH下にて48時間以上調湿後、実
際に手で引き千切った感触で判断し、以下の基準で評価
した ○;引き千切り性良好 ×;引き千切り困難。 (7)耐熱老化性:シート状成形品を100℃の熱風オ
ーブンにて10,000時間処理後、JIS K−71
27に準拠して23℃、65%RH雰囲気下で引張試験
を行い、引張破断点伸度で評価した。
J 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製
(相対粘度:3.5、融点:224℃)。ポリアミド樹
脂B:以下の参考例に従って製造した。
H塩」と略記する)の50%水溶液及びε−カプロラク
タム(以下「CL」と略記する)を、各々100℃まで
昇温した後、AH塩を20重量部、CLを80重量部に
となるように混合して200リットルのオートクレーブ
に仕込み、内圧13kg/cm2(1275kPa)で
270℃まで昇温した後、内温を245℃に保ち、攪拌
しながら0.5kg/cm2(49kPa)になるまで
徐々に減圧し、攪拌動力が所定の値となったところで停
止した。窒素導入して復圧後、ストランドにして抜き出
し、ペレット化し、沸騰水を用いて未反応物を抽出除去
して乾燥した。このようにして得られた共重合ポリアミ
ド6/66樹脂は、相対粘度:3.5、融点:195℃
であった。
ン、MCA−CO 三菱化学(株)製。 可塑剤:p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヘキシルデカノ
ール(炭素数16)を200〜260℃で加熱脱水して
得たp−ヒドロキシ安息香酸の2−ヘキシルデカノール
エステル。 無機粒子:炭酸カルシウム ホワイトンP−70 白石
カルシウム(株)製(平均粒径20μm)。
示す量比で、ポリアミド樹脂、難燃剤、可塑剤、無機粒
子及びヒンダードフェノールを配合し、シリンダー径3
0mmのベント付き2軸押出機(日本製鋼所(株)製T
EX30)を用い、シリンダー設定温度240℃で溶融
混練してペレット化した。得られたペレットを120
℃、ゲージ圧で−101kPaの減圧乾燥を6時間行っ
てポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
5,7>上記の方法で製造した表−1記載の組成のポリ
アミド樹脂組成物のペレットを、先端にTダイをつけ
た、シリンダー径40mmの単軸押出機に投入し、シリ
ンダー及びTダイの設定温度を235℃、スクリュー回
転数30rpm、引き取り速度3m/分にて、30℃の
チルロールにキャストして厚み50μmの単層シート状
成形品を得た。得られたシートの融点、酸素指数、引張
物性、引きちぎり性、耐熱老化性を評価した。結果を表
−1に示した。
表−1記載の組成のポリアミド樹脂組成物のペレット
を、先端にTダイをつけた、シリンダー径40mmの単
軸押出機に投入し、シリンダー及びTダイの設定温度を
お235℃、スクリュー回転数30rpm、引き取り速
度3m/分にて、30℃のチルロールにキャストして厚
み50μmの単層シート状成形品を得ようと試みたが、
成形中にシートの切断が多発し、シート状成形品が得ら
れなかった。
性、柔軟性、耐熱性、耐熱老化性に優れ、非塩化ビニル
系の環境に対して安全性の高い材料であるため、従来幅
広く用いられてきた軟質塩化ビニル樹脂に代替し得る環
境対策材料として、好適である。又、本発明のポリアミ
ド樹脂組成物から得られるシート状成形品は、上記特性
に加え、引きちぎり性に優れているので、車両、船舶、
航空機、家屋、工場等の建物の製作・建設時や修繕時に
展張される養生シートを固定するために使用される粘着
テープや、車両、船舶、航空機、家屋、建物の内装表皮
材や電線などのケーブル類固定するための粘着テープ基
材として有用である。
Claims (10)
- 【請求項1】 (a)ポリアミド樹脂99〜40重量
部、(b)トリアジン系難燃剤1〜40重量部、(c)
可塑剤0.1〜20重量部、(d)平均粒子径が5〜4
0μmの無機粒子1〜40重量部及び(e)ヒンダード
フェノール系化合物0.01〜5重量部を含有してなる
ポリアミド樹脂組成物。 - 【請求項2】 (c)可塑剤が、高級アルコール類、ヒ
ドロキシ安息香酸エステル類、芳香族スルホンアミド
類、フェノール類及びリン酸エステル類から選ばれる少
なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の
ポリアミド樹脂組成物。 - 【請求項3】 (a)ポリアミド樹脂が、ポリアミド6
及び/又はポリアミド6/66であることを特徴とする
請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 【請求項4】 組成物の融点が160℃以上であること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミ
ド樹脂組成物。 - 【請求項5】 (a)ポリアミド樹脂の相対粘度が2.
8〜5.5であることを特徴とする請求項1〜4のいず
れかに記載のポリアミド樹脂組成物。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリア
ミド樹脂組成物を押出成形してなる押出成形品。 - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリア
ミド樹脂組成物を押出成形してなるシート状成形品。 - 【請求項8】 JIS K−7201によって測定した
酸素指数が22以上であることを特徴とする請求項7に
記載のシート状成形品。 - 【請求項9】 JIS K−7127によって測定し
た、10%伸度での引張応力が2MPa以上、20MP
a以下、且つ、引っ張り破断強度が10MPa以上、6
0MPa以下であることを特徴とする請求項7又は8に
記載のシート状成形品。 - 【請求項10】 少なくとも片面に粘着剤を塗布してな
る、請求項7〜9のいずれかに記載のシート状成形品。
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