JP2003160525A - 2,6−ジ−tert−ブチルフェノール化合物、酸化防止剤、及びそれを用いた液晶組成物 - Google Patents

2,6−ジ−tert−ブチルフェノール化合物、酸化防止剤、及びそれを用いた液晶組成物

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JP2003160525A
JP2003160525A JP2001359197A JP2001359197A JP2003160525A JP 2003160525 A JP2003160525 A JP 2003160525A JP 2001359197 A JP2001359197 A JP 2001359197A JP 2001359197 A JP2001359197 A JP 2001359197A JP 2003160525 A JP2003160525 A JP 2003160525A
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chemical
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crystal composition
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JP2001359197A
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Osamu Takenouchi
修 竹之内
Tomoaki Hara
智章 原
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶化合物との相溶性に優れ、低揮
発性で高い酸化防止機能を有し、且つ少量の添加量で酸
化防止効果を発揮する新規酸化防止剤、及び、それを添
加した、液晶材料として使用する液晶組成物を提供する
こと。 【解決手段】 一般式(I)で表される、2,6−
ジ−tert−ブチルフェノール化合物、酸化防止剤、
及びそれを含有する液晶組成物。 【化0】 (式中、Rは水素、アルキル基、アルコキシ基、又はア
ルケニル基を表し、Zは-CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2
O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-CH=CH
-、-CF=CF-、-C≡C-、-O(CH2)3-、-(CH2)3O-、-(CH2)
4-、又は単結合をを表し、環Aは、 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化防止剤や光安定
剤として有用な、新規の2,6−ジ−tert−ブチル
フェノール化合物、その酸化防止剤としての適用、及
び、該2,6−ジ−tert−ブチルフェノール化合物
を酸化防止剤として添加した液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(LCD)は、電卓のディスプ
レイとして登場して以来、コンピューターの開発と歩み
を同じくして、TN-LCD(捻れネマチック液晶表示装置)か
ら、STN-LCDへと表示容量の拡大に対応してきた。STN-L
CDは、シェファー(Scheffer)等[SID '85 Digest, 120
頁(1985年)]、あるいは衣川等[SID '86 Digest, 122
頁(1986年)]によって開発され、ワードプロセッサー、
パーソナルコンピューターなどの高度情報処理機用の表
示装置として広く普及している。特に、各画素に薄膜ト
ランジスターをつけたアクティブマトリックス液晶表示
素子(AM-LCD)は、ブラウン管(CRT)にも代替できる高
画質を備え、フラット化、省エネルギー化の後押しを受
けて、もっとも将来性のあるディスプレイとして期待さ
れている。
【0003】AM-LCDではコントラストを上げるために、
各画素に薄膜トランジスターやダイオードのスイッチン
グ素子をつけて、画素に電圧を供給する。このAM-LCDは
従来のパッシブ駆動方式とは異なり、スイッチング素子
を通して、各画素に数十ms毎に電圧を印加することによ
り駆動する。このため、電圧を印加されてから数十ms後
の次の書き込み時間までの間は、与えられた電圧を完全
に保持できないと、表示の悪化をきたすことになる。電
極間の電圧が下がると、透過光強度が変化してコントラ
ストが低下してしまう。このため、AM-LCDでは、高い電
圧保持特性が求められる。高い電圧保持特性(電圧保持
率)を得るため、AM-LCD用の液晶材料は、高比抵抗を維
持しやすい材料を取捨選択して使用する必要がある。
【0004】一方、携帯を目的としたノート型コンピュ
ーターの需要が高まり、屋外での使用を可能とする広い
使用温度範囲で、長時間のバッテリー駆動を可能とする
低消費電力の要請が強まっており、低電圧で駆動できる
しきい値電圧の低い液晶材料が求められている。しきい
値電圧を低くするためには、液晶材料として誘電率異方
性(Δε)の大きい液晶化合物が必要であるが、Δεが
大きい液晶化合物を使用すると、粘性が増大してレスポ
ンスが悪化することと、周囲の汚染の影響を受けやす
く、高比抵抗を維持することが難しくなるという問題
や、高温での電圧保持率の低下によるコントラストの低
下、低温では結晶析出、あるいは屋外暴露下での電圧保
持率低下や表示不良がみられる等、温度や環境の影響を
受けやすいといった問題があった。
【0005】この理由として、Δεの大きな液晶化合物
は、高温環境下あるいは経時により、徐々に酸化が起こ
り極性の高い化合物が生成することが考えられ、これが
電圧保持率低下の原因の一つと考えられる。そこで、液
晶化合物の酸化を防止する目的で、2,6−ジ−tert−
ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤を液晶材
料に添加することが行われている。しかし、これらの酸
化防止剤は一般に蒸気圧が高く、液晶化合物との相溶性
も十分でないため、液晶材料をセルへ注入する際の加熱
脱気処理で揮発したり、低温環境下で結晶が析出すると
いった問題や、液晶材料中の酸化防止剤の量が減少し酸
化防止効果を十分発揮できないといった問題もある。
【0006】これに対して特開平9−124529号公
報には、フェニレン骨格、シクロヘキシレン骨格又はナ
フタレン骨格を有する2,6−ジ−tert−ブチルフェノ
ール化合物からなる酸化防止剤を液晶組成物に添加する
ことが記載されている。この酸化防止剤は、フェニレン
骨格やシクロヘキシレン骨格等の組み合わせからなる液
晶化合物との相溶性に優れているが、より極性の高い液
晶化合物には相溶しづらい。また、該酸化防止剤を添加
した液晶組成物をAM-LCDの液晶材料として使用した際、
長期間使用すると該酸化防止剤の析出がおこったり、セ
ル内部の配向膜に該酸化防止剤が吸着されてしまい、液
晶材料中の酸化防止剤濃度が低下し、酸化防止機能が十
分機能せず、電圧保持率が低下してしまうという問題が
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、液晶化合物との相溶性に優れ、低揮発性で
高い酸化防止機能を有し、且つ少量の添加量で酸化防止
効果を発揮する新規酸化防止剤、及び、それを添加し
た、液晶材料として使用する液晶組成物を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、一般式(I)で表される、2,6−ジ−
tert−ブチルフェノール化合物を提供する。
【0009】
【化4】 (I)
【0010】(式中、Rは水素、炭素原子数1〜12の
アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、又は
炭素原子数2〜12のアルケニル基を表し、それぞれフ
ッ素又は炭素原子数1〜7のアルコキシ基を、1〜5
個、置換基として有していてもよい。Zは、-CH2CH2-、
-CH(CH3)CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO
-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-O(CH2)3-、-(C
H2)3O-、-(CH2)4-、又は単結合を表す。環Aは、
【0011】
【化5】 を表す)
【0012】また、本発明は上記課題を解決するため
に、前記一般式(I)で表される2,6−ジ−tert
−ブチルフェノール化合物を含有する酸化防止剤を提供
する。
【0013】また、本発明は上記課題を解決するため
に、前記一般式(I)で表される2,6−ジ−tert
−ブチルフェノール化合物を含有する液晶組成物を提供
する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の、一般式(I)で表され
る2,6−ジ−tert−ブチルフェノール化合物の例
を下記に示す。
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】
【化11】
【0021】
【化12】
【0022】
【化13】
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
【化16】
【0026】
【化17】
【0027】
【化18】
【0028】
【化19】
【0029】
【化20】
【0030】
【化21】
【0031】
【化22】
【0032】
【化23】
【0033】中でも、(A1-1〜A1-3)、A2-1、(A3-1〜
A3-2)が液晶組成物に対する溶解性や、原料が入手しや
すいことから特に好ましい。
【0034】これらの酸化防止剤は次の反応条件等にて
合成することができる。環Aが、
【化24】 で、且つZが単結合のとき、反応式(A)で合成するこ
とができる。
【0035】
【化25】 (Rは一般式(I)におけるRと同じ意味を有する)
【0036】環Aが、
【化26】 で、且つZが単結合のとき、反応式(B)で合成するこ
とができる。
【0037】
【化27】 (Rは一般式(I)におけるRと同じ意味を有する)
【0038】環Aが、
【化28】 で、且つZが単結合のときは、前記反応式(B)におい
て、化合物(10)のかわりに化合物(14)を使用し
て同様に合成することができる。
【0039】
【化29】 (Rは一般式(I)におけるRと同じ意味を有する)
【0040】また、環Aが、
【化30】 で、且つZが単結合以外の化合物は、反応式(C)に従
い化合物(18)を合成し、これを前記反応式(A)に
おける化合物(5)と置き換え、あとは前記反応式
(A)と同様の反応で合成することができる。
【0041】
【化31】 (Rは一般式(I)におけるRと同じ意味を有する)
【0042】環Aが、
【化32】 で、且つZが単結合以外の化合物は、前記反応式(B)
において、化合物(8)の代わりに化合物(19)を使
用して合成することができる。
【0043】
【化33】 (19)
【0044】本発明の一般式(I)で表される2,6−
ジ−tert−ブチルフェノール化合物は、単独で、液
晶組成物をはじめポリマー、ゴム製品など各種工業製品
用の酸化防止剤として使用できる。特に、市販の酸化防
止剤を使用したのでは電圧保持率の低下等を招くおそれ
のある、液晶組成物の酸化防止剤として適している。
【0045】本発明の一般式(I)で表される2,6−
ジ−tert−ブチルフェノール化合物は、テトラリン
骨格やデカリン骨格を有する、特に極性の高い液晶化合
物との相溶性に優れている。このため大部分のSTN用
液晶組成物、TFT用液晶組成物に使用でき、特に、液
晶組成物の成分として、
【0046】
【化34】 を液晶骨格に有する液晶化合物を含有する液晶組成物と
の相溶性に優れる。
【0047】液晶組成物の成分として、
【化35】 を液晶骨格に有する液晶化合物としては、例えば以下の
化合物等が挙げられる。
【0048】
【化36】
【0049】
【化37】
【0050】
【化38】
【0051】(式中、X1、X2及びX3は、各々独立して
ハロゲンで置換されていても良い、炭素原子数1〜16
のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜16のア
ルケニル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ
基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基で置換され
た炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、Y1、Y2
びY3は、各々独立して水素、フッ素、塩素、トリフル
オロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロ
メチル基、3,3,3-トリフルオロエトキシ基、シアノ基、
水酸基又はカルボキシル基を表す。Q1、Q2、Q3
4、Q5、Q6、Q7、Q8及びQ9はそれぞれ独立的にフ
ッ素、塩素又は水素を表す。lは各々独立して1〜4の
整数を表す。)
【0052】中でも、液晶材料への適用を考えた時、応
答速度が速く、併用する他の液晶化合物との相溶性か
ら、(2-1a)、(2-1c)、(2-2a)、(2-2c)、(2-3a)、(2-3
c)、(2-3e)、(2-3f)のうちX1、X2及びX3が各々炭素
原子数2〜5のアルキル基を表し、Y1、Y2及びY3
各々独立して水素、フッ素、塩素、トリフルオロメトキ
シ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、
又はシアノ基を表し、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6
7、Q8及びQ9が各々独立してフッ素又は水素を表
し、lが各々独立して1〜3である液晶化合物が好まし
い。
【0053】本発明の酸化防止剤は、一般式(I)で表
される2,6−ジ−tert−ブチルフェノール化合物
を単独で使用するときは、液晶組成物に対して0.01
〜5質量%、好ましくは0.05〜1質量%の割合で使
用することが好ましい。
【0054】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。また、以下の実施例及び比較例の組成物における
「%」は「質量%」を意味する。
【0055】(実施例1)化合物(A1-3)の合成 化合物(A1-3)は、前記反応式(A)における化合物
(7)の、RがC11の化合物である。 (第1ステップ)前記反応式(A)における化合物
(2)の合成 マグネシウム2.0gを脱水したテトラヒドロフラン6
mlに入れ加熱して還流したら加熱を止め、p−ブロモ
アニソール(1)14.6gの脱水テトラヒドロフラン
20ml溶液を還流が止まらない速度で滴下した。滴下
後、加熱して更に1時間還流させた。冷却後、20ml
のテトラヒドロフランで希釈し、ろ過した。ろ液を1
0.4gのトリメチルホウ酸とテトラヒドロフラン30
mlからなる溶液に−70℃で撹拌しながら滴下した。
滴下終了後、同温度で30分撹拌し、次に室温で1時間
撹拌した後、0℃に冷却した状態で10%塩酸65ml
を加え、更に室温で1.5時間撹拌した。この溶液に酢
酸エチルと水を加えて酢酸エチル層を分離した後、飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸
ナトリウムで乾燥した。ついで溶剤を留去し8.4g
(収率70.8%)の化合物(2)を得た。
【0056】(第2ステップ)前記反応式(A)におけ
る化合物(4)の合成 2−ペンチル−1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン−6−
オール21.8gをジクロロメタン100mlに溶解
し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物31.0gを
添加し、5℃に冷却後、反応温度が15℃をこえないよ
うな速度でピリジン18mlを滴下した。滴下終了後、
室温で1時間反応させた。次にジクロロメタンと水を加
えてジクロロメタン層を分離後、10%塩酸、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、最後
に硫酸ナトリウムで乾燥した。次にジクロロメタンを留
去し、充填剤としてシリカゲルを、溶出液としてヘキサ
ンを使用してカラム精製し、ヘキサンを留去して33.
3g(収率95.0%)の化合物(4)を得た。
【0057】(第3ステップ)前記反応式(A)におけ
る化合物(5)の合成 第1ステップで合成した化合物(2)を7.6g、第2
ステップで合成した化合物(4)を17.5g、テトラ
キス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.6g、
及び炭酸カリウム13.2gをテトラヒドロフラン70
mlと水70mlからなる混合溶剤に入れ還流下で15
時間反応した。冷却後10%塩酸、ヘキサンを加えて洗
浄後、ヘキサン層を更に10%塩酸、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで
乾燥した。次いでろ過し、ろ液を留去後、充填剤として
シリカゲルを、溶出液としてヘキサンを使用してカラム
精製し28.1g(収率91.2%)の化合物(5)を
得た。
【0058】(第4ステップ)前記反応式(A)におけ
る化合物(6)の合成 第3ステップで合成した化合物(5)25.0gに、酢
酸70ml、48%臭化水素酸70mlを加え、8時間
還流した。室温となるまで放冷した後、水130mlを
加え、化合物(6)の結晶22.7g(収率95.1
%)を得た。
【0059】(第5ステップ)前記反応式(A)におけ
る化合物(7)の合成 化合物(6)14.7gを30mlの硫酸と72mlの
酢酸に分散させた溶液を0〜5℃に冷却し、この中に撹
拌しながらtert−ブチルアルコール7.4gを滴下し、
滴下終了後、室温で50時間撹拌した。次に水及び酢酸
エチルを加え、酢酸エチル層を分離後、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム
で乾燥した。次に酢酸エチルを留去し、充填剤としてシ
リカゲルを、溶出液としてヘキサンを使用してカラム精
製後、エタノールで再結晶を行い、7.5g(収率3
5.7%)の化合物(7)、即ち化合物(A1-3)を得た。
【0060】得られた化合物(A1-3)の1H−NMR測定結果 δ(ppm):0.96(t、3H、CH3)、1.25〜1.33(m、8H、C
H2)、1.35(s、18H、CH3)、1.56(q、2H、CH2)、1.78〜1.
91(m、1H、CH)、2.80(d、2H、CH2)、2.86(t、2H、C
H2)、7.07(d、1H、Ph)、7.14(s、2H、Ph)、7.15(d、1
H、Ph)、7.23(s、1H、Ph)
【0061】(合成例2)化合物(A2-1)の合成 化合物(A2-1)は、前記反応式(B)における化合物(1
3)の、RがCの化合物である。 (第1ステップ)前記反応式(B)における化合物
(9)の合成 4−ブロモ−2,6−ジ−(tert−ブチル)フェノール
18.5gの脱水アセトニトリル26ml溶液に、ビス
(トリメチルシリル)アセトアミド15gを加え13時
間還流した。冷却後、溶剤を留去し、生じた結晶をヘキ
サンで再結晶して18.3g(収率78.8%)の化合
物(9)を得た。
【0062】(第2ステップ)前記反応式(B)におけ
る化合物(11)の合成 マグネシウム1.44gを脱水したテトラヒドロフラン
3ml中に入れ、少量のヨウ素を添加した後、還流しな
がら、第1ステップで得た化合物(9)17.9gの脱
水テトラヒドロフラン15ml溶液を滴下した。滴下終
了後更に4時間還流して、グリニアード試薬を合成し
た。12.0gの6−プロピル−1,2,3,4−テトラヒド
ロナフタレン−2−オン12.0gを、脱水したテトラ
ヒドロフラン25mlに溶解し、この中に上で合成した
グリニアード試薬を室温で滴下し、次いで4時間還流し
た。室温となるまで放冷した後、10%塩酸溶液を加え
てpH5に調節し、トルエンと水を加えてトルエン層を
分離し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し
た。その後トルエンを留去して27.2g(収率94.
6%)の化合物(11)を得た。
【0063】(第3ステップ)前記反応式(B)におけ
る化合物(12)の合成 化合物(11)23.3gをトルエン70mlに溶解
し、p−トルエンスルホン酸水和物1gを加えて7時間
還流した。放冷後トルエンと水を加えトルエン層を分離
し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾
燥した。その後トルエンを留去して14.0g(収率7
4.6%)の化合物(12)を得た。
【0064】(第4ステップ)前記反応式(B)におけ
る化合物(13)の合成 化合物(12)11.3gを酢酸エチル150mlに溶
解し2.6gのPd/Cを加え、オートクレーブ中室温で
3時間、0.5MPaに加圧して水添した。ろ過して触
媒を除いた後、酢酸エチルを留去して11.2g(収率
98.7%)の化合物(13)、即ち化合物(A2-1)を得
た。
【0065】得られた化合物(A2-1)の1H−NMR測定結果 δ(ppm):0.96(t、3H、CH3)、1.35(s、18H、CH3)、1.65
〜1.69(m、2H、CH2)1.89(q、2H、CH2)、2.58(q、2H、CH
2)、2.86(t、2H、CH2)、2.88〜2.91(m、1H、CH)、3.14
(d、2H、CH2)、6.79(s、2H、Ph)、6.81(d、1H、Ph)、6.
87(s、1H、Ph)、6.96(d、1H、Ph)
【0066】(合成例3)化合物(A3−1)の合成 (合成例2)の(第2ステップ)において6−プロピル
−1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン−2−オン12,0
gの代わりに6−プロピル−トランス−デカヒドロナフ
タレン−2−オン12.4gを使用する以外は、合成例
2と同様に行い化合物(A3-1)を得た。
【0067】得られた化合物(A3-1)の1H−NMR測定結果 δ(ppm):0.96(t、3H、CH3)、1.35(s、18H、CH3)、1.21
〜1.25(m、10H、CH2)1,32〜1.33(m、2H、CH2)、1.46〜
1.48(m、3H、CH)、1.54(t、2H、CH2)、1.58(q、2H、C
H2)、6.79(s、2H、Ph)
【0068】(応用例1)次の液晶化合物からなる液晶
組成物aを調製した。
【0069】
【化39】
【0070】
【化40】
【0071】
【化41】
【0072】
【化42】
【0073】
【化43】
【0074】
【化44】
【0075】
【化45】
【0076】
【化46】
【0077】上記液晶組成物aに対し、実施例1で合成
した化合物(A1-3)を濃度1%となるように添加した。
【0078】(応用例2)液晶組成物aに実施例2で合
成した化合物(A2-1)を濃度0.5%となるように添加し
た。
【0079】(応用例3)液晶組成物aに実施例2で合
成した化合物(A2-1)を濃度0.02%となるように添加
した。
【0080】(応用例4)液晶組成物aに実施例3で合
成した化合物(A3-1)を濃度0.2%となるように添加し
た。
【0081】(応用例5)液晶組成物aに(A3-1)を濃
度0.02%となるように添加した。
【0082】(応用例6)次の液晶化合物からなる液晶
組成物bを調製した。
【化47】
【0083】
【化48】
【0084】
【化49】
【0085】
【化50】
【0086】
【化51】
【0087】
【化52】
【0088】
【化53】
【0089】
【化54】
【0090】液晶組成物bに化合物(A1-3)を濃度0.5
%となるように添加した。
【0091】(比較応用例1)液晶組成物aに酸化防止
剤は添加しなかった。
【0092】(比較応用例2)液晶組成物bに酸化防止
剤は添加しなかった。
【0093】前記応用例1〜6、比較応用例1、2で調
製した液晶組成物を、空気中150℃で1時間加熱し
た。その後、市販のセル厚6μmのTNセルに上記液晶組
成物を注入してTN-LCDを作成し80℃において5Vの電
圧パルスを与えた時の200msec後の電圧保持率(%)
(VHRと略す)を測定した。その結果を表1に示す。
この結果、応用例1〜6で調製した液晶組成物はいずれ
も高い表示特性を有し、かつ高い電圧保持率を示した
が、比較例1、2の液晶組成物は電圧保持率が下がって
しまった。尚、液晶相温度範囲(ネマチック液晶相温度
範囲)とは、固体相又はスメクチック相−ネマチック相
転移温度からネマチック相−等方性液体相転移温度まで
を意味する。
【0094】
【表1】
【0095】以下に、表中の略語を示す。 TN-I :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃) T→N :固体相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度(℃) Vth :セル厚6μmのTN-LCDを構成した時のしきい値電圧(V) Δε :誘電率異方性 Δn :屈折率異方性 τr=τd:応答速度 (msec) VHR :空気中150℃で1時間加熱した後の液晶組成物を使用してセル厚 6μmのTN-LCDを構成し、80℃の測定環境下5Vの電圧パルスを与えた時200msec後 の電圧保持率(%)
【0096】(応用例7)液晶組成物aに対して、市販
の酸化防止剤である3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシトルエン(以下BHTと略す)を濃度0.5%
となるように添加した後、フラスコに入れ、125℃に
加熱してロータリーポンプで脱気し、10分後の組成物
中のBHT濃度を液体クロマトグラフィー(島津製作所
社製、LC-10ATVP)で定量した。この結果BHT濃度は
0.35%に減少していた。これよりBHTは揮発し易
い事が明らかである。これに対し、液晶組成物aに対し
て合成例2で合成した化合物(A2-1)を濃度0.5%と
なるように添加した液晶組成物について、同様の実験を
行ったところ、10分脱気後の化合物(A2-1)の濃度は
初期と同じ0.5%であった。
【0097】(応用例8)液晶組成物bに対して、次の
構造式で示される化合物Tを濃度0.2%となるように
添加した。この液晶組成物をポリイミド配向膜を有する
液晶セルに注入し3ヶ月放置した後、液晶組成物中の化
合物Tの濃度を液体クロマトグラフィーで定量した。一
方、液晶組成物bに対して合成例3で合成した(A3−
1)を濃度0.2%となるように添加した液晶組成物に
ついても、同様に定量を行った。この結果、初期濃度に
対する残存比は、化合物Tが88.9%であるのに対
し、(A3−1)は99.9%であった。これより本発
明の酸化防止剤はポリイミドの吸着に対し安定である事
は明らかである。
【0098】
【化55】
【0099】
【発明の効果】本発明の2,6−ジ−tert−ブチル
フェノール化合物は、液晶化合物との相溶性に優れ、低
揮発性で高い酸化防止機能を有し、且つ少量の添加量で
酸化防止効果を発揮するため、新規酸化防止剤として有
用である。また、本発明の酸化防止剤を添加した液晶組
成物は、高い電圧保持特性を必要とするAM-LCD等の液晶
表示素子用の液晶材料として有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表される、2,6−ジ
    −tert−ブチルフェノール化合物。 【化1】 (I) (式中、Rは水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、
    炭素原子数1〜12のアルコキシ基、又は炭素原子数2
    〜12のアルケニル基を表し、それぞれフッ素又は炭素
    原子数1〜7のアルコキシ基を、1〜5個、置換基とし
    て有していてもよい。Zは、-CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、
    -CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-CH=
    CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-O(CH2)3-、-(CH2)3O-、-(CH2)
    4-、又は単結合を表す。環Aは、 【化2】 を表す)
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)で表される2,6−
    ジ−tert−ブチルフェノール化合物を含有すること
    を特徴とする酸化防止剤。
  3. 【請求項3】 前記一般式(I)で表される2,6−
    ジ−tert−ブチルフェノール化合物を含有すること
    を特徴とする液晶組成物。
  4. 【請求項4】 前記液晶組成物の成分として、 【化3】 を液晶骨格に有する液晶化合物を含有する、請求項3に
    記載の液晶組成物。
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