JP3508159B2 - トリフルオロシクロプロパン誘導体及び液晶組成物 - Google Patents

トリフルオロシクロプロパン誘導体及び液晶組成物

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JP3508159B2
JP3508159B2 JP14754593A JP14754593A JP3508159B2 JP 3508159 B2 JP3508159 B2 JP 3508159B2 JP 14754593 A JP14754593 A JP 14754593A JP 14754593 A JP14754593 A JP 14754593A JP 3508159 B2 JP3508159 B2 JP 3508159B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気光学的液晶表示材料
として有用な、トリフルオロシクロプロパン誘導体であ
る新規化合物、及びそれを含有する液晶組成物、更にそ
の製造中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知
られているが、このうち現在最もよく用いられているの
はTN型及びSTN型である。また駆動方式としても従
来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般
的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクテ
ィブマトリックス方式が実用化されている。これらのう
ち、アクティブマトリックス方式によると、最も高画質
の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化、カラー
化が容易で、動画表示も可能であるので、今後の液晶表
示方式の主流になると考えられている。
【0003】このアクティブマトリックス表示方式に用
いられる液晶材料には、通常の液晶表示と同様に、種々
の特性が要求されているが、特に(1)比抵抗が高く、
電圧の保持率に優れること、(2)しきい値電圧
(Vth)が低いこと、(3)液晶相の温度範囲が広いこ
と等が重要である。
【0004】通常、液晶表示におけるしきい値電圧(V
th)は式(a)
【0005】
【数1】
【0006】(式中、kは比例定数を、Kは弾性定数
を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。)で表わさ
れるが、この式からわかるようにしきい値電圧を低くす
るためには液晶材料の弾性定数を小さくするか、あるい
は誘電率異方性を大きくする必要がある。
【0007】ところが、一般的に誘電率異方性の大きい
液晶化合物は極性が大きく、このような化合物を用い
て、液晶材料の高い比抵抗値や電圧保持率を得ることは
かなり困難である。そのため、こうした目的には弾性定
数が小さい液晶材料が必要である。しかしながら、弾性
定数の小さい2環性の化合物は、それを添加することに
よって、組成物の液晶相の上限温度を大幅に低下させて
しまうものがほとんどである。
【0008】一方、液晶組成物の液晶相の温度範囲を特
に高温域に広げるためには、3環性あるいは4環性の液
晶上限温度の高い化合物を添加する必要がある。しかし
ながら、このように上限温度の高い化合物は弾性定数の
大きいものが多く、添加すると液晶組成物のしきい値電
圧を大きく上昇させてしまう傾向があった。そのため、
誘電率異方性をあまり大きくすることなく、液晶相の温
度範囲が高温域まで広く、且つしきい値電圧の低い液晶
組成物を得ることはかなり困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、以上の目的に応じ、液晶組成物の液晶相の
上限温度を上昇させると同時に、しきい値電圧をほとん
ど上昇させない化合物を提供し、またその化合物を用い
て温度範囲が広く、且つしきい値電圧の低い液晶組成物
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1は炭素原子数1〜12のアル
キル基を表わすが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル
基が好ましい。R2は水素原子又は炭素原子数1〜7の
アルキル基を表わすが、水素原子又は炭素原子数1〜3
の直鎖状アルキル基が好ましい。Z1及びZ2はそれぞれ
独立的に、単結合又は−CH2CH2−を表わすが、少な
くとも一方は単結合を表わす。環Aは1,4−シクロヘ
キシレン基又は2個以下のフッ素原子により置換されて
いてもよい1,4−フェニレン基を表わすが、1,4−
シクロヘキシレン基が好ましい。また、シクロヘキサン
環の2つの置換基はトランス配置である。また、R2
アルキル基である場合に、シクロプロパン環に結合する
ベンゼン環とR2が、トランス及びシス配置のものが存
在するが、トランス配置のものが液晶性に優れているの
で好ましい。)で表わされるトリフルオロシクロプロパ
ン誘導体を提供する。
【0013】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
は、対応する一般式(II)
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R1、R2、Z1、Z2及び環Aは一
般式(I)におけると同じ意味を表わす。また、R2
アルキル基である場合に、シクロプロパン環に結合する
ベンゼン環とR2が、トランス及びシス配置のものが存
在するが、トランス配置のものが好ましい。)で表わさ
れる(1−フルオロ−1−アルケニル)ベンゼン誘導体
を、クロロジフルオロ酢酸塩と加熱下に反応させること
により容易に得ることができる。この時、R2がアルキ
ル基の場合には、トランス体の一般式(II)の化合物
からはトランス体の一般式(I)の化合物が、シス体の
一般式(II)の化合物からはシス体の一般式(I)の
化合物が得られる。
【0016】ここで中間体として用いた一般式(II)
の(1−フルオロ−1−アルケニル)ベンゼン誘導体も
新規化合物であり、本発明はこの一般式(II)の化合
物をも提供する。
【0017】一般式(II)の(1−フルオロ−1−ア
ルケニル)ベンゼン誘導体は、一般式(III)
【0018】
【化5】
【0019】(式中、R1、Z1、Z2及び環Aは一般式
(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる化
合物(この化合物は、Z1、Z2及び環Aの種類に応じ
て、4−アルキルシクロヘキサノン、4−(4−アルキ
ルシクロヘキシル)シクロヘキサノン、4−ハロゲノベ
ンゼン、4−ハロゲノビフェニルあるいはそのフッ素置
換体等から公知の製造方法により製造できる。)から以
下のようにして製造することができる。
【0020】
【化6】
【0021】一般式(III)で表わされる化合物を塩
化アルミニウム等のルイス酸存在下に一般式(IVa)
で表わされる酸クロリドあるいは一般式(IVb)で表
わされる酸無水物
【0022】
【化7】
【0023】(式中、R2は一般式(I)におけると同
じ意味を表わす。)と反応させ、得られたフェニルケト
ンを還元してアルコールとした後、脱水して一般式(V
a)で表わされる(1−アルケニル)ベンゼン誘導体を
得ることができる。
【0024】但し、R2がアルキル基の場合、上記の製
造方法により得られた一般式(Va)の化合物はトラン
ス配置である。後述のようにトランス体の一般式(I)
の化合物を得るためには、一般式(V)の化合物はシス
配置であることがより好ましいが、その場合には一般式
(III)の化合物から以下のようにして製造すること
ができる。
【0025】
【化8】
【0026】一般式(III)の化合物をルイス酸存在
下に蓚酸クロリドと反応させ、得られた酸クロリドを水
素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)で還
元して一般式(VI)のベンズアルデヒド誘導体とす
る。あるいは一般式(VI)の化合物は一般式(II
I)の化合物を臭素化した後、マグネシウムでグリニヤ
ール反応剤とし、次いでジメチルホルムアミド(DM
F)と反応させるか、あるいはオルトギ酸エチルと反応
させ、更に加水分解することによっても得ることができ
る。この一般式(VI)の化合物を一般式(VII)
【0027】
【化9】
【0028】(式中、R2は前述の意味を表わし、Phは
フェニル基を表わす。)で表わされるウィッティヒ反応
剤と反応させることにより、一般式(Vb)で表わされ
るシス配置の化合物を得ることができる。
【0029】
【化10】
【0030】次に、一般式(V)の化合物をN−ヨード
こはく酸イミド(NIS)及びニ水素三弗化テトラブチ
ルアンモニウムと反応させて、(1−フルオロ−2−ヨ
ードアルキル)ベンゼン誘導体とし、これをジアザビシ
クロウンデセン(DBU)等の塩基と反応させることに
より、一般式(II)の(1−フルオロ−1−アルケニ
ル)ベンゼン誘導体を得ることができる。
【0031】この場合、トランス体の一般式(Va)の
化合物からはシス体の一般式(II)の化合物が、シス
体の一般式(Vb)の化合物からはトランス体の一般式
(II)の化合物が得られる。
【0032】従って、トランス体の一般式(I)の化合
物を得るためにはシス体の一般式(Vb)の化合物を経
由する工程が製造方法として好ましい。勿論、シス体の
一般式(II)の化合物をベンゼンスルフィン酸ナトリ
ウム等によりトランス体に異性化させてそれを中間体と
することも可能である。
【0033】斯くして製造された一般式(I)で表わさ
れる化合物の代表例を第1表に掲げる。
【0034】
【表1】
【0035】(表中、Crは結晶相を、Iは等方性液体
相をそれぞれ表わす。)第1表から、一般式(I)で表
わされる化合物は融点が高く、単独では必ずしもネマチ
ック相を示さない。しかしながら、後述のように母体液
晶に添加した場合にその転移温度を高温域に拡大するこ
とができることから、潜在的にはかなり高いTN-I(ネ
マチック相−等方性液体相間の相転移温度)を有してい
ると考えられる。
【0036】本発明に係わる一般式(I)で表わされる
化合物は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態
で、特にTN型あるいはSTN型といった電界効果型表
示セルの材料として、組成物のしきい値電圧をほとんど
上昇させることなく、その温度範囲を高温域に拡大する
目的に使用することができ、アクティブマトリックス駆
動用液晶材料の構成成分として特に適している。
【0037】このように、一般式(I)で表わされる化
合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化
合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息
香酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサ
ンカルボン酸4−置換フェニルエステル、4−置換シク
ロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)
安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シ
クロヘキシル)安息香酸4−置換フェニルエステル、4
−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロ
ヘキシルエステル、4,4’−置換ビフェニル、1−
(4−置換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4,
4”−置換ターフェニル、1−(4’−置換ビフェニリ
ル)−4−置換シクロヘキサン、1−(4−置換シクロ
ヘキシル)−4−(4−置換フェニル)シクロヘキサ
ン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、
2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン
などを挙げることができ、特にアクティブマトリックス
用としては、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置
換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4,4”−置
換ターフェニル、1−(4’−置換ビフェニリル)−4
−置換シクロヘキサン、1−(4−置換シクロヘキシ
ル)−4−(4−置換フェニル)シクロヘキサンなどが
好ましい。
【0038】一般式(I)の化合物の効果は以下の例か
らも明らかである。 ネマチック液晶材料として現在汎用されている母体液晶
(A)
【0039】
【化11】
【0040】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)は54.5
℃以下でネマチック相を示し、その誘電率異方性(Δ
ε)は+6.7であり、これを用いて作製したTNセル
のしきい値電圧(Vth)は1.60Vであった。
【0041】この母体液晶(A)80重量%及び第1表
(I−1)の化合物20重量%からなる液晶組成物(M
−1)を調製した。この(M−1)のネマチック相の上
限温度は62.0℃と大きく上昇した。また、Δεは+
6.4であった。次に、この組成物を用いて同様にして
セルを作製し、Vthを測定したところ、Δεが小さくな
ったにもかかわらず、1.65Vと上昇は僅かであっ
た。これは本発明の式(I−1)の化合物の弾性定数
(K)が比較的小さいことによるものと考えられる。
【0042】以上の結果から、一般式(I)で表わされ
る化合物はネマチック液晶相を示す母体液晶に添加する
ことにより、しきい値電圧をほとんど上昇させることな
く、液晶相温度範囲を高温域に拡大できる効果を有する
ことが明らかである。
【0043】更に、上記結果から外挿して考えると、本
発明の一般式(I)の化合物単独でのΔεは+5程度と
比較的小さく、しかも、一般式(I)の化合物は分子内
にシアノ基や、エステル基といった極性の基を有してい
ないので、高い比抵抗や電圧保持率を必要とするアクテ
ィブマトリックス用液晶材料として好適である。
【0044】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0045】なお、相転移温度の測定は温度調節ステー
ジを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を
併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペ
クトル(1H−NMR)、赤外吸収スペクトル(I
R)、質量スペクトル(MS)等により確認した。IR
における(KBr)は錠剤成形による測定を表わす。N
MRにおけるCDCl3は溶媒を表わし、Jはカップリ
ング定数を表わす。また、sは1重線、dは2重線、t
は3重線、quintetは5重線を、mは多重線を表
わす。また、例えばddは2重の2重線を表わす。MS
におけるM+は親ピークを表わし、( )内はそのピー
クの相対強度を表わす。
【0046】(参考例) 1−エテニル−4−[トラン
ス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シ
クロヘキシル]ベンゼンの合成
【0047】
【化12】
【0048】(1) 1−[4−[トランス−4−(ト
ランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシ
ル]フェニル]−1−エタノンの合成 無水塩化アルミニウム18.8gのジクロロメタン70
ml懸濁液を0℃に冷却し無水酢酸7.9gを加え、攪
拌溶解した後、[トランス−4−(トランス−4−プロ
ピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼン20g
のジクロロメタン35ml溶液を攪拌下、30分間で滴
下し、更に室温で1時間攪拌した。氷水中にあけ、有機
層を分離し、水層からジクロロメタンで抽出し、有機層
を合わせ、水、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸
ナトリウムで脱水乾燥した後、溶媒を溜去して、1−
[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシク
ロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−1−エタノ
ンの粗結晶22.6gを得た。
【0049】(2) 1−[4−[トランス−4−(ト
ランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシ
ル]フェニル]エタノールの合成 上記(1)で得られた1−[4−[トランス−4−(ト
ランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシ
ル]フェニル]−1−エタノンの粗結晶22.6gを、
テトラヒドロフラン(THF)35mlに溶解した。こ
れを水素化アルミニウムリチウム2.7gのTHF35
ml懸濁液に0℃で30分間で滴下した。更に室温で1
時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて
過剰の水素化物を分解し、更に塩酸を加えて沈澱させ、
デカンテーションにより沈澱を除去した。沈澱をトルエ
ンで洗浄し、有機層を併せ、無水硫酸マグネシウムで脱
水乾燥した後、溶媒を溜去して、1−[4−[トランス
−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シク
ロヘキシル]フェニル]エタノールの粗結晶28gを得
た。
【0050】(3) 1−エテニル−4−[トランス−
4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロ
ヘキシル]ベンゼンの合成 上記(2)で得られた1−[4−[トランス−4−(ト
ランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシ
ル]フェニル]エタノール28gのトルエン140ml
溶液に硫酸水素カリウム1.5gを加え水を除去しなが
ら4時間加熱還流した後、放冷し、反応液を水にあけ、
反応生成物をトルエンで抽出した。有機層を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥し、濃縮した後、得られた残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて
精製して、1−エテニル−4−[トランス−4−(トラ
ンス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]
ベンゼンの白色結晶14.6gを得た。
【0051】(実施例1) 1−(1−フルオロエテニ
ル)−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピル
シクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンの合成
【0052】
【化13】
【0053】(1−a) 1−(1−フルオロ−2−ヨ
ードエチル)−4−[トランス−4−(トランス−4−
プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンの
合成二水素三フッ化テトラブチルアンモニウム1.46
g(4.84mmol)のジクロロメタン5ml溶液
に、ヨードこはく酸イミド1.09g(4.84mmo
l)を加えた後、0℃で1−エチニル−4−[トランス
−4−(トランス−4プロピルシクロヘキシル)シクロ
ヘキシル]ベンゼン1.0g(3.22mmol)のジ
クロロメタン5ml溶液を加え、4時間攪拌した。反応
液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と亜硫酸水素ナトリ
ウム水溶液(1:1,60ml)に注ぎ、ジクロロメタ
ン抽出20mlで3回抽出し、飽和食塩水20mlで洗
浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し
た後、残渣をカラムクロマトグラフィー(Kiesel
gel 60、ヘキサン/酢酸エチル=80/1)で精
製して、1−(1−フルオロ−2−ヨードエチル)−4
−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘ
キシル)シクロヘキシル]ベンゼン570mg(収率:
39%)を得た。
【0054】無色板状晶 相転移温度: 98℃(Cr→N)、153℃(N−
I) IR(KBr) 2940,2860,1445,14
10,1180,1060,1040,970,820
cm-1 1 H NMR(CDCl3) δ 0.88(t,J=
7.4Hz,3H),0.83〜0.92(m,2
H),0.94〜1.23(m,9H),1.30(q
uintet,J=7Hz,2H),1.35〜1.5
0(m,2H),1.70〜1.95(m,8H),
2.46(tt,J=12.2and3.3Hz,1
H),3.46(ddd,J=30.9,11.0an
d4.5Hz,1H),3.52(ddd,J=14.
4,11.0and8.0Hz,1H),5.22(d
dd,J=46.7,8.1and4.5Hz,1
H),7.23(d,J=8.5Hz,2H),7.2
6(d,J=8.5Hz,2H) MS m/z 456(M+,9),329(10
0),69(50),55(36),41(33) 元素分析:C2334FIとして 計算値:C,60.53;H,7.51% 実測値:C,60.68;H,7.40%
【0055】(1−b) 1−(1−フルオロエテニ
ル)−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピル
シクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンの合成 1−(1−フルオロ−2−ヨードエチル)−4−[トラ
ンス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)
シクロヘキシル]ベンゼン1.2g(2.63mmo
l)のジクロロメタン(5ml)溶液に、1,8−ジア
ザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)
1.2g(7.9mmol)を加え、室温で3時間攪拌
した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100
ml)に注ぎ、ジクロロメタン抽出20mlで3回抽出
し、飽和食塩水20mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥した。減圧濃縮した後、得られた残渣をカラ
ムクロマトグラフィー(Kieselgel 60、ヘ
キサン/酢酸エチル=80/1)を用いて精製して、1
−(1−フルオロエテニル)−4−[トランス−4−
(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキ
シル]ベンゼン0.8g(収率:92%)を得た。
【0056】無色針状晶 相転移温度: 95℃(Cr→N)、193℃(N−
I) IR(KBr) 2920,2860,1645,14
45,1280,920,830cm-1 1 H NMR(CDCl3) δ 0.88(t,J=
7.4Hz,3H),0.83〜0.93(m,2
H),0.94〜1.23(m,9H),1.30(q
uintet,J=7.1Hz,2H),1.35〜
1.50(m,2H),1.70〜1.95(m,8
H),2.46(tt,J=12.2and3.5H
z,1H),4.78(dd,J=18.0and3.
4Hz,1H),4.96(dd,J=50.0and
3.4Hz,1H),7.21(d,J=8.5Hz,
2H),7.47(d,J=8.3Hz,2H) MS m/z 328(M+,100),148(4
5),135(39),69(55),55(32) 元素分析:C2233Fとして 計算値:C,84.09%;H,10.13% 実測値:C,84.06%;H,10.07%
【0057】(実施例2) 1−[4−[トランス−4
−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘ
キシル]フェニル]−1,2,2−トリフルオロシクロ
プロパン(I−1の化合物)の合成
【0058】
【化14】
【0059】1−(1−フルオロエテニル)−4−[ト
ランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)シクロヘキシル]ベンゼン0.8g(2.44mm
ol)のジエチレングリコールジメチルエーテル(5m
l)溶液を加熱還流させ、クロロジフルオル酢酸ナトリ
ウム1.11g(7.3mmol)のジエチレングリコ
ールジメチルエーテル溶液(7ml)を3時間かけてゆ
つくり滴下した。更に1時間還流した後、室温に戻し、
反応液を飽和食塩水150mlに注ぎ、エーテル50m
lで3回抽出した。更に飽和食塩水30mlで2回洗浄
した後、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮
した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Ki
eselgel 60、ヘキサン)を用いて精製して、
2−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピル
シクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−1,
1,2−トリフルオロシクロプロパン0.7g(収率:
76%)を得た。
【0060】無色針状晶 融点:158℃ IR(KBr) 2940,2860,1462,12
45,1155,1025cm-1 1 H NMR(CDCl3) δ 0.88(t,J=
7.4Hz,3H),0.80〜0.94(m,2
H),0.94〜1.24(m,9H),1.30(q
uintet,J=7.2Hz,2H),1.36〜
1.50(m,2H),1.70〜2.17(m,10
H),2.48(tt,J=12.2and3.2H
z,1H),7.26(d,J=8.2Hz,2H),
7.35(d,J=8.2Hz,2H) MS m/z 378(M+,6),125(45),
111(62),83(91),69(100),55
(47) 元素分析:C24333として 計算値:C,76.16%;H,8.79% 実測値:C,76.12%;H,8.97%
【0061】(実施例3) 液晶組成物の調製 以下の組成からなる母体液晶(A)
【0062】
【化15】
【0063】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製したところ、54.5℃以下でネマ
チック(N)相を示した。その物性値及びこれを用いて
作製したTNセルのしきい値電圧(Vth)は以下の通り
であった。
【0064】誘電率異方性(Δε) 6.7 屈折率異方性(Δn) 0.092 しきい値電圧(Vth) 1.60V この母体液晶(A)80%及び実施例2で得られた(I
−1)の化合物20%からなる液晶組成物(M−1)を
調製した。この(M−1)のN相の上限温度(TN-I
及びその物性値は以下の通りとなった。
【0065】N相の上限温度(TN-I) 62.0℃ 誘電率異方性(Δε) 6.4 屈折率異方性(Δn) 0.094 しきい値電圧(Vth) 1.65V このように、ネマチック相の上限温度が上昇し、誘電率
異方性は小さくなっているにもかかわらず、しきい値電
圧はさほど上昇していないことがわかる。前述の(1)
式から考えて、(I−1)の化合物の弾性定数は比較的
小さいと考えられる。
【0066】(実施例4) 熱安定性試験 実施例2で得られた(I−1)の化合物をアンプルに封
入し、100℃の定温器内に24時間放置した。放冷
後、内容物をヘキサンに10%溶解し、その比抵抗を測
定したところ、加熱試験前のサンプルを用いて同様に測
定した比抵抗と全く変化がなかった。また、キャピラリ
ーガスクロマトグラフでその純度を測定したところ、不
純物は全く生成していなかった。
【0067】
【発明の効果】本発明に係わる一般式(I)で表わされ
る化合物は、実施例に示したように工業的にも容易に製
造でき、熱、光、水等に対し、化学的に非常に安定であ
り、ネマチック液晶として現在汎用されている母体液晶
との相溶性にも優れている。しかも、母体液晶に少量添
加することにより、しきい値電圧(Vth)をほとんど上
昇させることなく、ネマチック相温度範囲を高温域に拡
大することが可能である。従って、温度範囲が広く、且
つ低電圧駆動が要求される各種液晶表示素子、特にアク
ティブマトリックス駆動用の液晶材料として有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02F 1/13 500 G02F 1/13 500 (72)発明者 楠本 哲生 神奈川県相模原市南台1−9−2−102 (72)発明者 佐藤 健一 神奈川県相模原市上溝35−11 (56)参考文献 特開 平6−228024(JP,A) 特開 平1−175947(JP,A) 特開 平6−107567(JP,A) 特表 平6−500343(JP,A) 西独国特許出願公開4238377(DE, A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 23/18 C07C 22/08 C09K 19/30 C07C 17/25 C07C 17/26 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基を表わ
    し、R2は水素原子又は炭素原子数1〜7のアルキル基
    を表わし、Z1及びZ2はそれぞれ独立的に、単結合又は
    −CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方は単結合を
    表わし、環Aは1,4−シクロヘキシレン基又は2個以
    下のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フ
    ェニレン基を表わす。)で表わされる化合物。
  2. 【請求項2】 R1が炭素原子数1〜7の直鎖状アルキ
    ル基を表わし、R2が水素原子を表わし、Z1及びZ2
    共に単結合を表わし、環Aが1,4−シクロヘキシレン
    基を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
  4. 【請求項4】 一般式(II) 【化2】 (式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基を表わ
    し、R2は水素原子又は炭素原子数1〜7のアルキル基
    を表わし、Z1及びZ2はそれぞれ独立的に、単結合又は
    −CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方は単結合を
    表わし、環Aは1,4−シクロヘキシレン基又は2個以
    下のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フ
    ェニレン基を表わす。)で表わされる化合物。
  5. 【請求項5】 R1が炭素原子数1〜7の直鎖状アルキ
    ル基を表わし、R2が水素原子を表わし、Z1及びZ2
    共に単結合を表わし、環Aが1,4−シクロヘキシレン
    基を表わすことを特徴とする請求項4記載の化合物。
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