JP3531182B2 - ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体 - Google Patents

ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体

Info

Publication number
JP3531182B2
JP3531182B2 JP19631093A JP19631093A JP3531182B2 JP 3531182 B2 JP3531182 B2 JP 3531182B2 JP 19631093 A JP19631093 A JP 19631093A JP 19631093 A JP19631093 A JP 19631093A JP 3531182 B2 JP3531182 B2 JP 3531182B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
trans
cyclohexyl
liquid crystal
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19631093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06192142A (ja
Inventor
真治 小川
貞夫 竹原
晴義 高津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP19631093A priority Critical patent/JP3531182B2/ja
Publication of JPH06192142A publication Critical patent/JPH06192142A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3531182B2 publication Critical patent/JP3531182B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気光学的液晶表示材料
として有用な、ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導
体である新規化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知
られているが、このうち現在最もよく用いられているの
はTN型及びSTN型である。また駆動方式としても従
来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般
的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクテ
ィブマトリックス方式が実用化されている。これらのう
ち、アクティブマトリックス方式によると、最も高画質
の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化、カラー
化が容易で、動画表示も可能であるので、今後の液晶表
示方式の主流になると考えられている。
【0003】このアクティブマトリックス表示方式に用
いられる液晶材料としては、通常の液晶表示と同様に、
種々の特性が要求されているが、特に、(1)比抵抗が
高く、電圧の保持率に優れること、(2)しきい値電圧
(Vth)が低いこと、(3)液晶相の温度範囲が広いこ
と等が重要である。
【0004】通常、液晶表示におけるしきい値電圧は式
(1)
【0005】
【数1】
【0006】(式中、kは比例定数を、Kは弾性定数
を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。)で表わさ
れるが、この式からわかるように、しきい値電圧を低く
するためには液晶材料の弾性定数を小さくするか、ある
いは誘電率異方性を大きくする必要がある。
【0007】ところが、誘電率異方性の大きい液晶化合
物は、シアノ基等の極性の強い基を有するものが多く、
添加によって液晶材料の比抵抗値や電圧保持率を低下さ
せてしまう。そのため、液晶組成物のしきい値電圧を低
下させる目的には、弾性定数の小さい液晶材料が必要で
あった。
【0008】しかしながら、弾性定数の小さい2環性の
化合物は、添加によって組成物の液晶相の上限温度を大
幅に低下させてしまうものがほとんどである。一方、液
晶組成物の液晶相の温度範囲を特に高温域に広げるため
には、3環性あるいは4環性の、液晶相の上限温度の高
い化合物を添加する必要がある。しかしながら、このよ
うな化合物は弾性定数の大きいものが多く、液晶組成物
のしきい値電圧を上昇させてしまう傾向があった。その
ため、温度範囲が高温域まで広く、且つしきい値電圧の
低い液晶組成物を得ることはかなり困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、以上の目的に応じ、液晶組成物の液晶相の
上限温度を低下させることなく、しきい値電圧を低下さ
せる化合物を提供し、またその化合物を含有し、液晶相
の温度範囲が広く、且つしきい値電圧の低い液晶組成物
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、一般式(I)
【0011】
【化2】
【0012】(式中、m及びnはそれぞれ独立的に0〜
5の整数を表わし、Z1及びZ2はそれぞれ独立的に、単
結合又は−CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方は
単結合を表わし、環Aはトランス−1,4−シクロヘキ
シレン基又は1,4−フェニレン基を表わし、X及びY
はそれぞれ独立的に、水素原子又はフッ素原子を表わ
し、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表
わされるジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体を提
供する。
【0013】この一般式(I)において、Z1及びZ2
共に−CH2CH2−である化合物は、液晶組成物の応答
性を悪くする傾向があるので、少なくとも一方は単結合
であることが好ましい。また、これらZ1、Z2及び環A
の選択により、一般式(I)の化合物の中心骨格として
は数種の構造が得られるが、以下の一般式(Ia)〜
(Id)の化合物が好ましく、この中でも特に一般式
(Ia)の化合物が好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、m、n、X及びYは一般式(I)
におけると同じ意味を表わす。)また、一般式(I)に
おいて、X及びYが共に水素原子である化合物は液晶性
に優れ、共にフッ素原子である化合物は、しきい値電圧
を低減させる効果においてより優れる傾向がある。本発
明の化合物としては、良好な液晶性を示すことと、しき
い値電圧が低いことの両者の特性をある程度併せ持つ化
合物がより好ましいので、X及びYのうちの少なくとも
一方はフッ素原子であることがより好ましい。
【0016】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
は、対応する一般式(II)
【0017】
【化4】
【0018】(式中、m、n、Z1、Z2、環A、X及び
Yは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表
わされるオキソアルキルシクロヘキサン誘導体を、ジエ
チルアミノ三フッ化硫黄(DAST)等のフッ素化剤で
フッ素化することにより容易に得ることができる。
【0019】この一般式(II)の化合物は、一般式
(III)
【0020】
【化5】
【0021】(式中、Z1、Z2、環A、X及びYは一般
式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる
シクロヘキサノン誘導体から、そのm及びnに応じて、
例えば、以下のようにして製造することができる。
【0022】
【化6】
【0023】(式中、Z1、Z2、環A、X及びYは一般
式(I)におけると同じ意味を表わす。)まず、一般式
(III)の化合物に、式(IV)のウィッティヒ反応
剤を反応させ、酸処理後、更に塩基によりシクロヘキサ
ン環をトランス配置に異性化させることにより、一般式
(II)においてm=n=0であるシクロヘキサンカル
バルデヒド誘導体を製造できる。
【0024】
【化7】
【0025】(式中、m、Z1、Z2、環A、X及びYは
一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)上記の一
般式(II)においてm=n=0である化合物に、前述
の式(IV)のウィッティヒ反応剤を必要に応じて繰り
返し反応させることによって、一般式(II)におい
て、m≧1且つn=0の化合物を製造できる。
【0026】
【化8】
【0027】(式中、Z1、Z2、環A、X及びYは一般
式(I)におけると同じ意味を表わし、mは2〜5の整
数を表わす。)また、一般式(II)においてm≧1且
つn=0である化合物は、一般式(III)の化合物に
一般式(V)のウィッティヒ反応剤を反応させ、水素添
加した後、酸処理を行っても得ることができる。
【0028】
【化9】
【0029】(式中、Z1、Z2、環A、X及びYは一般
式(I)におけると同じ意味を表わし、MはMgCl、
MgBr、MgI又はLiを表わし、m及びnはそれぞ
れ独立的に、1〜5の整数を表わす。)次に一般式(I
I)においてm≧1且つn=0である化合物に、一般式
(VI)のアルキル金属反応剤を反応させて一般式(V
II)のアルコール体とし、次いでクロロクロム酸ピリ
ジニウム(PCC)等の酸化剤で酸化することにより、
一般式(II)のオキソアルキルシクロヘキサン誘導体
を製造することができる。
【0030】
【化10】
【0031】更に、一般式(VII)のアルコール体
は、一般式(VIII)の有機金属化合物と一般式(I
X)のアルデヒドとを反応させることによっても得るこ
とができる。
【0032】
【化11】
【0033】(式中、m、Z1、Z2、環A、X及びYは
一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)また、特
に一般式(II)において、n=1であるオキソアルキ
ルシクロヘキサン誘導体は、一般式(X)で表わされる
アルケニルシクロヘキサン誘導体を、m−クロロ過安息
香酸(mCPBA)等の過酸でエポキシ化し、次いで水
素化アルミニウムリチウム(LAH)等で還元するか、
あるいは一般式(X)の化合物を、直接水和した後、P
CC等の酸化剤で酸化することにより得ることもでき
る。
【0034】
【化12】
【0035】(式中、m、Z1、Z2、環A、X及びYは
一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)また、特
に一般式(II)において、m≧1且つn=0であるオ
キソアルキルシクロヘキサン誘導体は、一般式(XI)
のアルケニルシクロヘキサン誘導体をヒドロホウ素化
し、アルコール変換した後、酸化することによっても得
ることができる。
【0036】中間体として用いた一般式(III)のシ
クロヘキサノン誘導体は、そのZ1、Z2及び環Aに応じ
て、例えば以下のようにして製造できる。
【0037】イ) 環Aがトランス−1,4−シクロヘ
キシレン基、Z1及びZ2が共に単結合である一般式(I
IIa)の化合物の場合
【0038】
【化13】
【0039】一般式(XII)のブロモベンゼン誘導体
をグリニヤール反応剤とし、これを式(XIII)のビ
シクロヘキサン−4,4’−ジオンのモノアセタールと
反応させて、シクロヘキサノール誘導体を得る。これを
脱水してシクロヘキセン誘導体とし、必要に応じて再度
アセタール化を行った後、水素添加する。得られる化合
物はシクロヘキサン環のシス、トランス配置による異性
体混合物であるが、再結晶等により、トランス体を分離
することができる。また、シス体を強塩基によりトラン
ス体に異性化することも可能である。得られるトランス
体を脱アセタールすることにより、一般式(IIIa)
の化合物を得ることができる。
【0040】ロ) 環Aがトランス−1,4−シクロヘ
キシレン基、Z1が単結合、Z2が−CH2CH2−である
一般式(IIIb)の化合物の場合
【0041】
【化14】
【0042】前述のイ)において、式(XIII)のビ
シクロヘキサン−4,4’−ジオンのモノアセタールに
代えて、式(XIV)
【0043】
【化15】
【0044】のシクロヘキサンエタナール誘導体を用い
る以外はイ)と同様にして、一般式(IIIb)の化合
物を得ることができる。ここで式(XIV)の化合物
は、式(XIII)のビシクロヘキサン−4,4’−ジ
オンのモノアセタールに、前述の式(IV)のウィッテ
ィヒ反応剤を2回繰り返して反応させることにより得る
ことができる。
【0045】ハ) 環Aがトランス−1,4−シクロヘ
キシレン基、Z1が−CH2CH2−、Z2が単結合である
一般式(IIIc)の化合物の場合
【0046】
【化16】
【0047】前述のイ)において、式(XIII)のビ
シクロヘキサン−4,4’−ジオンのモノアセタールに
代えて、式(XV)
【0048】
【化17】
【0049】のシクロヘキサノン誘導体を用いる以外は
イ)と同様にして、一般式(IIIc)の化合物を得る
ことができる。ここで式(XV)の化合物は、4−メト
キシフェニル酢酸の酸クロリドを、塩化アルミニウム等
のルイス酸存在下にフェノールと反応させ、カルボニル
基を還元し、必用に応じて脱メチル化を行った後、ベン
ゼン環を水素添加し、次いで得られたシクロヘキサノー
ル誘導体を酸化してシクロヘキサノン誘導体とし、次い
でモノアセタール化することにより得ることができる。
【0050】ニ) 環Aが1,4−フェニレン基、Z1
及びZ2が共に単結合である一般式(IIId)の化合
物の場合
【0051】
【化18】
【0052】一般式(XII)の化合物から調製される
グリニヤール反応剤を、パラジウム触媒あるいはニッケ
ル触媒の存在下に、一般式(XVI)
【0053】
【化19】
【0054】(式中、Halは沃素原子又は臭素原子を
表わす。)の化合物と反応させ、次いで脱アセタール化
することにより、一般式(IIId)の化合物を得るこ
とができる。
【0055】他の一般式(II)の化合物も、上記の製
造方法に準じて得ることができる。斯くして製造される
一般式(I)で表わされる化合物の代表的なものの例を
下記第1表に掲げる。
【0056】
【表1】
【0057】(表中、Crは結晶相を、Nはネマチック
相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)本発明に
係わる一般式(I)で表わされる化合物は、他のネマチ
ック液晶化合物との混合物の状態で、特にTN型あるい
はSTN型といった電界効果型表示セルの材料として、
組成物のしきい値電圧を低下する目的に使用することが
できるが、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構
成成分として特に適している。
【0058】このように、一般式(I)で表わされる化
合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化
合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息
香酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサ
ンカルボン酸4−置換フェニルエステル、4−置換シク
ロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)
安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シ
クロヘキシル)安息香酸4−置換フェニルエステル、4
−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロ
ヘキシルエステル、4,4’−置換ビフェニル、1−
(4−置換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4,
4”−置換ターフェニル、1−(4’−置換ビフェニリ
ル)−4−置換シクロヘキサン、1−(4−置換シクロ
ヘキシル)−4−(4−置換フェニル)シクロヘキサ
ン、1−(4−置換フェニル)−2−(4−置換フェニ
ル)エタン、1−(4−置換フェニル)−2−(4−置
換シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換シクロヘキ
シル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−
(4−置換フェニル)−2−[4−(4−置換シクロヘ
キシル)シクロヘキシル]エタン、1−[4−(4−置
換フェニル)シクロヘキシル]−2−(4−置換シクロ
ヘキシル)エタン、1−(4’−置換ビフェニリル)−
2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−[4−
(4−置換シクロヘキシル)フェニル]−2−(4−置
換フェニル)エタン、1−(4−置換フェニル)−2−
(4−置換フェニル)エチン、1−[4−(4−置換シ
クロヘキシル)フェニル]−2−(4−置換フェニル)
エチン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジ
ン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミ
ジン等を挙げることができる。
【0059】特にアクティブマトリックス用としては、
4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換フェニル)
−4−置換シクロヘキサン、4,4”−置換ターフェニ
ル、1−(4’−置換ビフェニリル)−4−置換シクロ
ヘキサン、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−(4
−置換フェニル)シクロヘキサン、1−(4−置換フェ
ニル)−2−(4−置換フェニル)エタン、1−(4−
置換フェニル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタ
ン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換
シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換フェニル)−
2−[4−(4−置換シクロヘキシル)シクロヘキシ
ル]エタン、1−[4−(4−置換フェニル)シクロヘ
キシル]−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1
−(4’−置換ビフェニリル)−2−(4−置換シクロ
ヘキシル)エタン、1−[4−(4−置換シクロヘキシ
ル)フェニル]−2−(4−置換フェニル)エタン、1
−(4−置換フェニル)−2−(4−置換フェニル)エ
チン、1−[4−(4−置換シクロヘキシル)フェニ
ル]−2−(4−置換フェニル)エチン等が好ましい。
【0060】本発明の一般式(I)の化合物の効果は後
述の実施例にも示したが、例えば、以下の例からも明ら
かである。ネマチック液晶材料として現在汎用されてい
るフェニルシクロヘキサン系の母体液晶(A)
【0061】
【化20】
【0062】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を意味する。)を調製し
た。この母体液晶(A)は54.5℃以下でネマチック
相を示し、誘電率異方性(Δε)は6.7、屈折率異方
性(Δn)は0.092であり、これを用いて作製した
TNセルのしきい値電圧(Vth)は1.60Vであっ
た。
【0063】この母体液晶(A)80重量%及び第1表
中の(No.1)の化合物20重量%からなる液晶組成
物(M−1)を調製した。この組成物(M−1)のネマ
チック相の上限温度は57.2℃と上昇した。Δεは
6.5、Δnは0.090であった。この組成物を用い
て同様にしてVthを測定したところ、ネマチック相の上
限温度が上昇し、Δεが減少しているにもかかわらず、
1.45Vと母体液晶(A)に比べて0.15Vも低下
した。これは(No.1)の化合物の弾性定数(K)が
3環化合物としては低いことを示している。
【0064】これに対し、(No.1)の化合物に代え
て、(No.1)の化合物の類似構造を有し、これまで
同様の目的に用いられてきた式(R−1)
【0065】
【化21】
【0066】の化合物を用い、この式(R−1)の化合
物20重量%及び母体液晶(A)80重量%からなる液
晶組成物(N−1)を調製した。このネマチック相の上
限温度は72.5℃と(M−1)に比べて高くなり、Δ
εは6.3と(M−1)に比べてやや小さくなった。ま
た、Δnは0.095と(M−1)とあまり変わらなか
った。しかしながら、同様にしてVthを測定したとこ
ろ、Δεが(M−1)よりやや小さい程度であるにもか
かわらず、1.91Vとかなり高くなった。これは式
(R−1)の化合物の弾性定数が、(No.1)の化合
物に比べて、かなり大きいことによると考えられる。
【0067】同様に(No.1)の化合物に代えて、末
端基が直鎖状アルキル基である式(R−2)
【0068】
【化22】
【0069】の化合物を用い、この式(R−2)の化合
物20重量%及び母体液晶(A)80重量%からなる液
晶組成物(N−2)を調製した。このネマチック相の上
限温度は65.3℃と(M−1)に比べてやや高くな
り、Δεは7.2と(M−1)に比べてかなり大きくな
った。また、Δnは0.094であり、(M−1)とあ
まり変わらなかった。しかしながら、同様にしてVth
測定したところ、Δεが(M−1)よりかなり大きいに
もかかわらず、1.67Vと上昇した。これは式(R−
2)の化合物の弾性定数もまた、(No.1)の化合物
に比べてかなり大きいことによると考えられる。
【0070】次に、この母体液晶(A)80重量%及び
第1表中の(No.6)の化合物20重量%からなる液
晶組成物(M−3)を調製した。この(M−3)のネマ
チック相の上限温度は59.5℃と上昇した。Δεは
5.8とかなり小さくなり、Δnは0.091と大きな
変化はなかった。この組成物を用いて同様にしてVth
測定したところ、ネマチック相の上限温度が上昇し、Δ
εが減少しているにもかかわらず、1.50Vとかなり
低下した。これは(No.6)の化合物の弾性定数が3
環化合物としては低いことを示している。
【0071】次に、母体液晶(A)80重量%及び第1
表中の(No.3)の化合物20重量%からなる液晶組
成物(M−2)を調製した。この(M−2)のネマチッ
ク相の上限温度は58.7℃と母体液晶(A)に比べて
上昇し、Δεは6.9、Δnは0.090であった。こ
の組成物を用いて同様にしてVthを測定したところ、ネ
マチック相の上限温度が上昇したにもかかわらず、1.
54Vと低下した。
【0072】これに対し、(No.3)の化合物に代え
て、(No.3)の化合物の類似構造を有し、これまで
同様の目的に用いられてきた式(R−3)
【0073】
【化23】
【0074】の化合物を用い、この式(R−3)の化合
物20重量%及び母体液晶(A)80重量%からなる液
晶組成物(N−3)を調製した。このネマチック相の上
限温度は64.8℃と、(M−2)及び(M−3)に比
べてやや高くなり、Δεは7.0、Δnは0.093で
あった。しかしながら、同様にしてVthを測定したとこ
ろ、Δεが(M−2)及び(M−3)よりかなり大きい
にもかかわらず、1.60Vと変化はなかった。これは
式(R−3)の化合物の弾性定数が、(No.6)の化
合物に比べて、かなり大きいことによると考えられる。
【0075】次に、同じ母体液晶(A)80重量%及び
第1表中の(No.5)の化合物20重量%からなる液
晶組成物(M−4)を調製した。この(M−4)のネマ
チック相の上限温度は52.4℃と母体液晶(A)に比
べて少し低下し、Δεは6.8、Δnは0.090であ
った。この組成物を用いて同様にしてVthを測定したと
ころ、Δεがほとんど大きくなっていないにもかかわら
ず、1.38Vと母体液晶(A)より0.22Vも低下
した。
【0076】これに対し、(No.5)の化合物に代え
て、(No.5)の化合物の類似構造を有し、これまで
同様の目的に用いられてきた式(R−4)
【0077】
【化24】
【0078】の化合物を用い、この式(R−4)の化合
物20重量%及び母体液晶(A)80重量%からなる液
晶組成物(N−4)を調製した。このネマチック相の上
限温度は59.5℃と(M−4)に比べてやや高くな
り、Δεは7.3、Δnは0.091であった。しかし
ながら、同様にしてVthを測定したところ、Δεが(M
−4)よりかなり大きいにもかかわらず、1.53Vと
(M−4)と較べると低減効果は小さかった。これは式
(R−4)の化合物の弾性定数が、(No.5)の化合
物に比べて、かなり大きいことによると考えられる。
【0079】以上の結果から、一般式(I)で表わされ
る化合物は汎用のネマチック液晶に添加することによ
り、しきい値電圧を上昇させることなく、むしろ低下さ
せる優れた効果を有することが理解できる。
【0080】次に、特にアクティブマトリックス駆動用
として好適な母体液晶(B)
【0081】
【化25】
【0082】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を意味する。)を調製し
た。この母体液晶(B)は116.7℃以下でネマチッ
ク相を示し、誘電率異方性(Δε)は4.7、屈折率異
方性(Δn)は0.090であり、これを用いて作製し
たTNセルのしきい値電圧(Vth)は2.43Vであっ
た。
【0083】この母体液晶(B)70重量%及び第1表
中の(No.1)の化合物30重量%からなる液晶組成
物(M−5)を調製した。この(M−5)のネマチック
相の上限温度は108.1℃とわずかに低下し、Δεは
4.5であった。しかしながら、この組成物を用いて同
様にしてVthを測定したところ、Δεが減少しているに
もかかわらず、2.23Vと母体液晶(B)に比べて
0.2Vも低下した。
【0084】これに対し、(No.1)の化合物に代え
て、(No.1)の化合物の類似構造を有し、これまで
同様の目的に用いられてきた式(R−2)
【0085】
【化26】
【0086】の化合物を用い、この式(R−2)の化合
物30重量%及び母体液晶(B)70重量%からなる液
晶組成物(N−5)を調製した。この組成物のネマチッ
ク相の上限温度は119.4℃と僅かに上昇し、Δεは
5.6であった。しかしながら、同様にしてVthを測定
したところ、Δεが大きくなったにもかかわらず2.3
5Vとその低減効果は(M−5)と比較してかなり小さ
かった。
【0087】次に、この母体液晶(B)70重量%及び
第1表中の(No.3)の化合物30重量%からなる液
晶組成物(M−6)を調製した。この(M−6)のネマ
チック相の上限温度は111.0℃とわずかに低くな
り、Δεは4.9であった。しかしながら、この組成物
を用いて同様にしてVthを測定したところ、Δεが変化
していないにもかかわらず、2.19Vと母体液晶
(B)に比べて0.24Vも低下した。
【0088】また、(No.3)の化合物に代えて、
(No.3)の化合物の類似構造を有し、これまで同様
の目的に用いられてきた式(R−3)
【0089】
【化27】
【0090】の化合物を用い、この式(R−3)の化合
物30重量%及び母体液晶(B)70重量%からなる液
晶組成物(N−6)を調製した。ネマチック相の上限温
度は117.2℃と(M−6)よりやや上昇し、Δεは
5.4であった。しかしながら、同様にしてVthを測定
したところ、2.33Vと(M−6)より0.14V上
昇した。
【0091】以上のように、一般式(I)の化合物は、
液晶組成物のネマチック相の上限温度を低下させること
なく、しきい値電圧を低減させる効果を有することが明
らかである。
【0092】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0093】なお、相転移温度の測定は温度調節ステー
ジを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を
併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペ
クトル(1H−NMR)、赤外吸収スペクトル(I
R)、質量スペクトル(MS)等により確認した。IR
における(KBr)は錠剤成形による測定を表わす。N
MRにおけるCDCl3は溶媒を表わし、tは3重線、
mは多重線を表わす。また、Jはカップリング定数を表
わし、MSにおけるM+は親ピークを表わす。なお、組
成物における「%」は「重量%」を意味する。
【0094】(実施例1) 3,4−ジフルオロ−1−
[トランス−4−[トランス−4−(2,2−ジフルオ
ロプロピル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼ
ン(No.1の化合物)の合成
【0095】
【化28】
【0096】(1−a) 2−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]エタナール(一般式(II)の
化合物)の合成 塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム94.5
gを、テトラヒドロフラン(THF)280mlに懸濁
し、−5℃に冷却した。これにt−ブトキシカリウム3
5.7gを加え、室温で1時間攪拌してウィッティヒ反
応剤を調製した。これに、トランス−4−[トランス−
4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]
シクロヘキサンカルバルデヒド65gのTHF200m
l溶液を−5℃で5分間で滴下した。室温で5時間攪拌
した後、反応液を水にあけ、ヘキサンを加え、有機層を
分離した。トリフェニルホスフィンオキシドの沈澱を濾
別し、水で洗滌した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9)を
用いて精製して、2−[トランス−4−[トランス−4
−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]シ
クロヘキシル]エタナールの白色結晶59gを得た。こ
こで原料として用いたトランス−4−[トランス−4−
(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]シク
ロヘキサンカルバルデヒドは、[トランス−4−(3,
4−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキ
サノンから上記と同様にして合成し、次いで異性化させ
ることにより得た。
【0097】(1−b) 1−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]プロパン−2−オールの合成 上記(1−a)で得られた2−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]エタナール8.7gを、テトラ
ヒドロフラン(THF)50mlに溶解した。0℃で臭
化メチルマグネシウム(0.95MTHF溶液)33m
lを10分間で滴下した。0℃で1時間攪拌した後、室
温に戻し、水、稀塩酸を加え、反応生成物を酢酸エチル
で抽出した。有機層を水で洗滌し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。溶媒を溜去し、得られた粗生成物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル
=4)を用いて精製して、1−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]プロパン−2−オール5.4g
を得た。
【0098】(1−c) 1−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]プロパン−2−オンの合成 クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)6.4gとシリ
カゲル6.4gの混合物をジクロロメタン60mlに懸
濁させた。これに上記(1−b)で得られた1−[トラ
ンス−4−[トランス−4−(3,4−ジフルオロフェ
ニル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]プロパン−2
−オール6.95gをジクロロメタン14mlに溶解さ
せ一度に加えた。3時間攪拌した後、トルエン60ml
を加えセライトろ過した。溶媒を溜去して、得られた粗
生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサ
ン/酢酸エチル9/1)を用いて精製して、1−[トラ
ンス−4−[トランス−4−(3,4−ジフルオロフェ
ニル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]プロパン−2
−オンの白色結晶6.5gを得た。 (1−d) 3,4−ジフルオロ−1−[トランス−4
−[トランス−4−(2,2−ジフルオロプロピル)シ
クロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼンの合成 上記(1−c)で得られた1−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]プロパン−2−オン8.0gを
THF40mlに溶解した。これにジエチルアミノ三フ
ッ化硫黄(DAST)7.7gを加えて10時間加熱還
流した。室温に冷却した後、更にDAST5.0gを加
えて10時間加熱還流した。室温に冷却し、反応物を飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、有機層を分離
し、更に水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、溶媒を溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=9/1)
を用いて精製して、3,4−ジフルオロ−1−[トラン
ス−4−[トランス−4−(2,2−ジフルオロプロピ
ル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼンの白色
結晶3.1gを得た。 相転移温度:融点76℃(C→N)、90℃(N−I) IR(KBr):1605,1515,1495,14
50,1385,1280,1230,1200,11
70,1110,920,865,810,790,7
65cm-1 NMR:δ=1.0〜2.0(m,24H),2.4
(m,1H),6.8〜7.2(m,3H) MS:m/e=356(M+
【0099】(実施例2) 3,4−ジフルオロ−1−
[トランス−4−[トランス−4−(1,1−ジフルオ
ロエチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼン
(No.2の化合物)の合成
【0100】
【化29】
【0101】実施例1で得られたトランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキサンカルバルデヒドから、実施例1と
同様にして3,4−ジフルオロ−1−[トランス−4−
[トランス−4−(1,1−ジフルオロエチル)シクロ
ヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼンを得た。 相転移温度:融点72℃(C→I) IR(KBr):1605,1515,1275,12
30,1215,1120,915,895,860,
830,775cm-1 NMR:δ=1.0〜2.0(m,22H),2.4
(m,1H),6.8〜7.2(m,3H) MS:m/e=342(M+
【0102】(実施例3) 3,4−ジフルオロ−1−
[トランス−4−[トランス−4−(2,2−ジフルオ
ロブチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼン
(No.3の化合物)の合成
【0103】
【化30】
【0104】実施例1で得られた2−[トランス−4−
[トランス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シク
ロヘキシル]シクロヘキシル]エタナールを用い、臭化
メチルマグネシウムに代えて臭化エチルマグネシウムを
用いた以外は実施例1と同様にして、3,4−ジフルオ
ロ−1−[トランス−4−[トランス−4−(2,2−
ジフルオロブチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]
ベンゼンを得た。 相転移温度:融点88℃(C→N)、99℃(N−I) IR(KBr):1610,1520,1515,14
65,1450,1290,1205,1115,94
5,765cm-1 NMR:δ=1.0〜2.5(m,27H),6.8〜
7.2(m,3H) MS:m/e=370(M+
【0105】(参考例) 3,4,5−トリフルオロ−
1−[トランス−4−[トランス−4−(2,2−ジフ
ルオロエチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベン
ゼン(No.4の化合物)の合成
【0106】
【化31】
【0107】(4−a) トランス−4−[トランス−
4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキサンカルバルデヒドの合成 塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム35.4
gをTHF80mlに懸濁し−5℃に冷却した。これに
t−ブトキシカリウム11.6gを加え、室温で1時間
攪拌してウィッティヒ反応剤を調製した。これに、4−
[トランス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニ
ル)シクロヘキシル]シクロヘキサノン24.7gのT
HF25ml溶液を−5℃で5分間で滴下した。室温で
5時間攪拌した後、反応液を水にあけ、ヘキサンを加
え、有機層を分離した。トリフェニルホスフィンオキシ
ドの沈澱を濾別し、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥した。溶媒を溜去して、得られた粗生成物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エ
チル=9)を用いて精製して、4−[トランス−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキサンカルバルデヒドの白色結晶21.8
gを得た。得られたジアステレオマー混合物をエタノー
ル100mlに溶解し、20%水酸化ナトリウム水溶液
2mlを加え室温で3時間攪拌した。水を加え、1N塩
酸で中和した後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、抽
出液を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶
媒を溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9)を用いて
精製し、更にヘキサンから再結晶させて精製して、トラ
ンス−4−[トランス−4−(3,4,5−トリフルオ
ロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサンカルバル
デヒドの白色結晶13.2gを得た。
【0108】(4−b) 2−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シク
ロヘキシル]シクロヘキシル]エタナール(一般式(I
I)の化合物)の合成 塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム18.1
gをTHF50mlに懸濁し−5℃に冷却した。これに
t−ブトキシカリウム6.9gを加え、室温で1時間攪
拌してウィッティヒ反応剤を調製した。これに、上記
(4−a)で得られたトランス−4−[トランス−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキサンカルバルデヒド13.2gのTHF
20ml溶液を−5℃で5分間で滴下した。室温で3時
間攪拌した後、反応液を水にあけ、ヘキサンを加え、有
機層を分離した。トリフェニルホスフィンオキシドの沈
澱を濾別し、水で洗滌した後、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した。溶媒を溜去し、得られた粗生成物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=
9)を用いて精製して、2−[トランス−4−[トラン
ス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロ
ヘキシル]シクロヘキシル]エタナールの白色結晶1
0.4gを得た。
【0109】(4−c) 3,4,5−トリフルオロ−
1−[トランス−4−[トランス−4−(2,2−ジフ
ルオロエチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベン
ゼンの合成 2−[トランス−4−[トランス−4−(3,4,5−
トリフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキシ
ル]エタナール2.0gを、THF40mlに溶解し
た。これにDAST1.9gを加え、10時間加熱還流
した。室温に冷却した後、更にDAST1.0gを加え
10時間加熱還流した。室温に冷却し、反応物を飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、有機層を分離し、更
に水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶
媒を溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/トルエン=9/1)を用い
て精製して、3,4,5−トリフルオロ−1−[トラン
ス−4−[トランス−4−(2,2−ジフルオロエチ
ル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼンの白色
結晶0.7gを得た。 相転移温度:融点51℃(C→I) IR(KBr):1620,1610,1530,14
55,1445,1345,1230,1125,10
35,1005,850,955cm-1 NMR:δ=1.0〜2.0(m,21H),2.4
(m,1H),5.5(t,J=46Hz,1H)6.
7〜6.9(m,2H) MS:m/e=360(M+
【0110】(実施例5) 3,4,5−トリフルオロ
−1−[トランス−4−[トランス−4−(2,2−ジ
フルオロプロピル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]
ベンゼン(No.5の化合物)の合成
【0111】
【化32】
【0112】上記(4−b)で得られた2−[トランス
−4−[トランス−4−(3,4,5−トリフルオロフ
ェニル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]エタナール
を用いて実施例1と同様にして、3,4,5−トリフル
オロ−1−[トランス−4−[トランス−4−(2,2
−ジフルオロプロピル)シクロヘキシル]シクロヘキシ
ル]ベンゼンを得た。 相転移温度:融点94℃(C→I)、73℃(N−I) IR(KBr):1630,1610,1530,14
50,1345,1240,1225,1175,11
30,1035,940,850,790cm-1NM
R:δ=1.0〜2.0(m,24H),2.4(m,
1H),6.7〜6.9(m,2H) MS:m/e=374(M+
【0113】(実施例6) 3,4−ジフルオロ−1−
[トランス−4−[トランス−4−(3,3−ジフルオ
ロブチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼン
(No.6の化合物)の合成
【0114】
【化33】
【0115】(6−a) 4−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]−1,2−エポキシブタンの合
成 トランス−4−(3−ブテニル)−1−[トランス−4
−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]シ
クロヘキサン20gを、ジクロロメタン60mlに溶解
した。室温でm−クロロ過安息香酸(mCPBA)1
5.6gをジクロロメタン60mlに溶解して60分間
で滴下した。室温で2時間、更に溶媒還流下に1時間攪
拌した後、0℃に冷却し、亜硫酸水素ナトリウムと炭酸
水素ナトリウムの混合水溶液を加え、過剰の過酸化物を
分解し、有機層を水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで
乾燥した後、溶媒を溜去し、ヘキサンに溶解してm−ク
ロロ過安息香酸を濾過して除去した。シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)
を用いて精製して、4−[トランス−4−[トランス−
4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]
シクロヘキシル]−1,2−エポキシブタンの白色結晶
20.3gを得た。
【0116】(6−b) 4−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]ブタン−2−オールの合成 水素化アルミニウムリチウム(LAH)2.2gをTH
F30ml中に懸濁した。これに上記(6−a)で得ら
れた4−[トランス−4−[トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキシ
ル]−1,2−エポキシブタン20gをTHF60ml
に溶解して、室温で60分間で滴下した。更に1時間攪
拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加えて、過剰の水
素化物を分解し、稀塩酸を加えて、無機物を沈澱させ
た。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を溜
去して得られた粗生成物をエタノールで再結晶して、4
−[トランス−4−[トランス−4−(3,4−ジフル
オロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ブタ
ン−2−オールの白色結晶19.4gを得た。
【0117】(6−c) 4−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]ブタン−2−オンの合成 クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)6.4gとシリ
カゲル6.4gの混合物を、ジクロロメタン60mlに
懸濁させた。これに上記(6−b)で得られた4−[ト
ランス−4−[トランス−4−(3,4−ジフルオロフ
ェニル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ブタン−2
−オール6.95gのジクロロメタン14ml溶液を一
度に加えた。3時間攪拌した後、トルエン60mlを加
えてセライトろ過した。溶媒を溜去して得られた粗生成
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/
酢酸エチル9/1)を用いて精製して、4−[トランス
−4−[トランス−4−(3,4−ジフルオロフェニ
ル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ブタン−2−オ
ンの白色結晶6.5gを得た。
【0118】(6−d) 3,4−ジフルオロ−1−
[トランス−4−[トランス−4−(3,3−ジフルオ
ロブチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼン
の合成 上記(6−c)で得られた4−[トランス−4−[トラ
ンス−4−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシル]ブタン−2−オン6.5gをT
HFに溶解した。これにDAST6.01gを加え10
時間加熱還流した。室温に冷却した後、更にDAST
4.0gを加え10時間加熱還流した。室温に冷却し、
反応物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、有機
層を分離し、更に水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで
乾燥した後、溶媒を溜去し、得られた粗生成物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=
9/1)を用いて精製して、3,4−ジフルオロ−1−
[トランス−4−[トランス−4−(3,3−ジフルオ
ロブチル)シクロヘキシル]シクロヘキシル]ベンゼン
の白色結晶3.8gを得た。 相転移温度:融点65℃(C→N)、102℃(N−
I) IR(KBr):1605,1515,1445,13
90、1285,1270、1210、1185、11
35、1120,900,860,810cm-1 NMR:δ=1.0〜2.5(m,27H),6.8〜
7.2(m,3H) MS:m/e=370(M+
【0119】(実施例7) 液晶組成物の調製(1) 以下の組成からなるフェニルシクロヘキサン系の母体液
晶(A)
【0120】
【化34】
【0121】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製した。この母体液晶(A)は54.
5℃以下でネマチック(N)相を示した。その物性値及
びこれを用いて作製したTNセルのしきい値電圧
(Vth)は以下の通りであった。
【0122】誘電率異方性(Δε) 6.7 屈折率異方性(Δn) 0.092 しきい値電圧(Vth) 1.60V この母体液晶(A)80%及び実施例1の(No.1)
の化合物20%からなる液晶組成物(M−1)を調製し
た。この組成物(M−1)のN相の上限温度(TN-I
及びその物性値は以下の通りであった。
【0123】N相の上限温度(TN-I) 57.2℃ 誘電率異方性(Δε) 6.5 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 1.45V このことから、(No.1)の化合物は、組成物のN相
の上限温度を上昇させるとともに、しきい値電圧を低減
させる効果を併せ持っていることが明らかである。
【0124】(比較例1)実施例7において、(No.
1)の化合物に代えて、末端基が直鎖状アルキル基であ
り、これまで同様の目的に用いられてきた式(R−1)
【0125】
【化35】
【0126】の化合物用い、この式(R−1)の化合物
20%及び母体液晶(A)80%からなる液晶組成物
(N−1)を調製した。この組成物(N−1)のN相の
上限温度(TN-I)及びその物性値は以下の通りであっ
た。
【0127】N相の上限温度(TN-I) 72.5℃ 誘電率異方性(Δε) 6.3 屈折率異方性(Δn) 0.095 しきい値電圧(Vth) 1.91V このように、N相の上限温度は組成物(M−1)に比べ
て少し高いものの、しきい値電圧(Vth)も組成物(M
−1)に比べるとかなり高い値であった。(N−1)の
誘電率異方性(Δε)は(M−1)よりやや小さい程度
なので、(1)式から式(R−1)の化合物の弾性定数
は、(No.1)の化合物に比べるとかなり大きいと考
えられる。
【0128】(比較例2)実施例7において、(No.
1)の化合物に代えて、末端基が直鎖状アルキル基であ
る式(R−2)
【0129】
【化36】
【0130】の化合物を用い、この式(R−2)の化合
物20%及び母体液晶(A)80%からなる液晶組成物
(N−2)を調製した。この組成物(N−2)のN相の
上限温度(TN-I)及びその物性値は以下の通りであっ
た。
【0131】N相の上限温度(TN-I) 65.3℃ 誘電率異方性(Δε) 7.2 屈折率異方性(Δn) 0.094 しきい値電圧(Vth) 1.67V このように、N相の上限温度は(M−1)に比べて少し
高いものの、しきい値電圧(Vth)も組成物(M−1)
に比べるとかなり高い値であった。(N−2)の誘電率
異方性(Δε)は組成物(M−1)より大きいので、
(1)式から式(R−2)の化合物の弾性定数もまた、
(No.1)の化合物に比べるとかなり大きいと考えら
れる。
【0132】(実施例8) 液晶組成物の調製(2) 母体液晶(A)80%及び実施例3の(No.3)の化
合物20%からなる液晶組成物(M−2)を調製した。
この(M−2)のN相の上限温度(TN-I)及びその物
性値は以下の通りであった。
【0133】N相の上限温度(TN-I) 58.7℃ 誘電率異方性(Δε) 6.9 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 1.54V このように、N相の上限温度は上昇し、しかもしきい値
電圧は低下した。誘電率異方性(Δε)はあまり変化が
ないため、前述の(1)式から、(No.3)の化合物
の弾性定数(K)もかなり小さいと考えられる。
【0134】(実施例9) 液晶組成物の調製(3) 母体液晶(A)80%及び実施例6の(No.6)の化
合物20%からなる液晶組成物(M−3)を調製した。
この(M−3)のN相の上限温度(TN-I)及びその物
性値は以下の通りであった。
【0135】N相の上限温度(TN-I) 59.5℃ 誘電率異方性(Δε) 5.8 屈折率異方性(Δn) 0.091 しきい値電圧(Vth) 1.50V このように、N相の上限温度が上昇し、しかもしきい値
電圧は低下した。組成物(M−3)の誘電率異方性(Δ
ε)は小さいため、前述の(1)式から、(No.6)
の化合物の弾性定数(K)もかなり小さいと考えられ
る。
【0136】また、この組成物を低温で長時間放置した
が、析出等は全く観察されなかった。従って、(No.
6)の化合物は従来の液晶化合物との相溶性にも優れて
いることがわかる。
【0137】(比較例3)実施例9において(No.
6)の化合物に代えて、末端基が直鎖状アルキル基であ
る式(R−3)
【0138】
【化37】
【0139】の化合物20%及び母体液晶(A)80%
からなる液晶組成物(N−3)を調製した。この(N−
3)のN相の上限温度(TN-I)及びその物性値は以下
の通りであった。
【0140】N相の上限温度(TN-I) 64.8℃ 誘電率異方性(Δε) 7.0 屈折率異方性(Δn) 0.093 しきい値電圧(Vth) 1.60V このように、N相の上限温度は(M−2)、(M−3)
に比べて少し高いものの、しきい値電圧(Vth)も(M
−2)、(M−3)に比べるとかなり高く、しきい値電
圧を低下させる効果は認められなかった。組成物(N−
3)の誘電率異方性(Δε)は組成物(M−2)、(M
−3)よりかなり大きいので、(1)式から式(R−
3)の化合物の弾性定数は、(No.3)、(No.
6)の化合物に比べるとかなり大きいと考えられる。
【0141】(実施例10) 液晶組成物の調製(4) 母体液晶(A)80%及び実施例5の(No.5)の化
合物20%からなる液晶組成物(M−4)を調製した。
この(M−4)のN相の上限温度(TN-I)及びその物
性値は以下の通りであった。
【0142】N相の上限温度(TN-I) 52.4℃ 誘電率異方性(Δε) 6.8 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 1.38V このように、N相の上限温度はほとんど変化がなく、し
きい値電圧は大幅に低下した。組成物(M−4)の誘電
率異方性(Δε)はほとんど大きくなっていないため、
前述の(1)式から考えて、(No.5)の化合物の弾
性定数(K)は相当小さいと考えられる。
【0143】また、この組成物を低温で長時間放置した
が、析出等は全く観察されなかった。従って、(No.
5)の化合物は従来の液晶化合物との相溶性にも優れて
いることがわかる。
【0144】(比較例4)実施例10において(No.
5)の化合物に代えて、末端基が直鎖状アルキル基であ
る式(R−4)
【0145】
【化38】
【0146】の化合物を用い、この式(R−4)の化合
物20%及び母体液晶(A)80%からなる液晶組成物
(N−4)を調製した。この組成物(N−4)のN相の
上限温度(TN-I)及びその物性値は以下の通りであっ
た。
【0147】N相の上限温度(TN-I) 59.5℃ 誘電率異方性(Δε) 7.3 屈折率異方性(Δn) 0.091 しきい値電圧(Vth) 1.53V このように、N相の上限温度は組成物(M−4)に比べ
て少し高いものの、しきい値電圧(Vth)も(M−4)
に比べるとかなり高い。組成物(N−4)の誘電率異方
性(Δε)は(M−4)よりかなり大きいので、(1)
式から式(R−4)の化合物の弾性定数は、(No.
5)の化合物に比べるとかなり大きいと考えられる。
【0148】(実施例11) 液晶組成物の調製(5) 特にアクティブマトリックス駆動用として好適な母体液
晶(B)
【0149】
【化39】
【0150】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製した。この母体液晶(B)は11
6.7℃以下でネマチック相を示した。その物性値及び
これを用いて作製したTNセルのしきい値電圧(Vth
は以下の通りであった。
【0151】誘電率異方性(Δε) 4.7 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 2.43V この母体液晶(B)70%及び実施例1の(No.1)
の化合物30%からなる液晶組成物(M−5)を調製し
た。この(M−5)のN相の上限温度(TN-I)及びそ
の物性値は以下の通りであった。
【0152】N相の上限温度(TN-I) 108.1
℃ 誘電率異方性(Δε) 4.5 屈折率異方性(Δn) 0.084 しきい値電圧(Vth) 2.23V このことから、(No.1)の化合物は母体液晶(B)
に添加することにより、N相の上限温度をほとんど低下
させずにしきい値電圧を低減できることが明らかであ
る。
【0153】(比較例5)実施例11において、(N
o.1)の化合物に代えて、前述の式(R−2)
【0154】
【化40】
【0155】の化合物を用い、この式(R−2)の化合
物30%及び母体液晶(B)70%からなる液晶組成物
(N−5)を調製した。この組成物(N−5)のN相の
上限温度(TN-I)及びその物性値は以下の通りであっ
た。
【0156】N相の上限温度(TN-I) 119.4
℃ 誘電率異方性(Δε) 5.6 屈折率異方性(Δn) 0.086 しきい値電圧(Vth) 2.35V このように、N相の上限温度は組成物(M−5)に比べ
て少し高いものの、しきい値電圧(Vth)も(M−5)
に比べるとかなり高い。組成物(N−5)の誘電率異方
性(Δε)は(M−5)より大きいので、(1)式から
式(R−2)の化合物の弾性定数もまた、(No.1)
の化合物に比べるとかなり大きいと考えられる。
【0157】(実施例12) 液晶組成物の調製(6) 母体液晶(B)70%及び(No.3)の化合物30%
からなる液晶組成物(M−6)を調製した。この(M−
6)のN相の上限温度(TN-I)及びその物性値は以下
の通りであった。
【0158】N相の上限温度(TN-I) 111.0
℃ 誘電率異方性(Δε) 4.9 屈折率異方性(Δn) 0.086 しきい値電圧(Vth) 2.19V このことから、(No.3)の化合物は組成物のN相の
上限温度をわずかに低下させるものの、しきい値電圧を
非常に効果的に低減できることが明らかである。
【0159】(比較例6)実施例12において、(N
o.3)の化合物に代えて、前述の式(R−3)
【0160】
【化41】
【0161】の化合物を用い、この式(R−3)の化合
物30%及び母体液晶(B)70%からなる液晶組成物
(N−6)を調製した。この(N−6)のN相の上限温
度(T N-I)及びその物性値は以下の通りであった。
【0162】N相の上限温度(TN-I) 117.2
℃ 誘電率異方性(Δε) 5.4 屈折率異方性(Δn) 0.086 しきい値電圧(Vth) 2.33V このようにN相の上限温度は(M−6)に比べて少し高
いものの、しきい値電圧(Vth)も(M−6)に比べる
とかなり高い。
【0163】
【発明の効果】本発明に係わる一般式(I)で表わされ
る化合物は、ネマチック相の上限温度が比較的高く、現
在汎用されているネマチック液晶材料との相溶性に優れ
ている。しかも、この化合物は、添加によって液晶組成
物のネマチック相の上限温度をほとんど低下させること
なく、しきい値電圧を大きく低下させる効果を有する。
しかも、分子内にシアノ基やエステル基など極性の強い
基が存在せず、熱、光、水等に対し、化学的にも極めて
安定である。従って、添加によって高い比抵抗と電圧保
持率を有する液晶組成物を容易に調製することができ、
特にアクティブマトリックス駆動用液晶材料として有用
である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 25/18 - 25/22 C09K 19/30 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、、mは0〜5の整数を表わし、nは1〜5の整
    数を表わし、1及びZ2はそれぞれ独立的に、単結合又
    は−CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方は単結合
    を表わし、環Aはトランス−1,4−シクロヘキシレン
    基又は1,4−フェニレン基を表わし、X及びYはそれ
    ぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。)で表
    わされる化合物。
  2. 【請求項2】 Z1及びZ2が共に単結合を表わす請求項
    1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 環Aがトランス−1,4−シクロヘキシ
    レン基を表わす請求項2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 X及びYの少なくとも一方がフッ素原子
    を表わす請求項3記載の化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
JP19631093A 1992-10-06 1993-08-06 ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体 Expired - Fee Related JP3531182B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19631093A JP3531182B2 (ja) 1992-10-06 1993-08-06 ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26732392 1992-10-06
JP29134992 1992-10-29
JP4-267323 1992-10-29
JP4-291349 1992-10-29
JP19631093A JP3531182B2 (ja) 1992-10-06 1993-08-06 ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06192142A JPH06192142A (ja) 1994-07-12
JP3531182B2 true JP3531182B2 (ja) 2004-05-24

Family

ID=27327224

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19631093A Expired - Fee Related JP3531182B2 (ja) 1992-10-06 1993-08-06 ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3531182B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160035173A (ko) 2014-09-22 2016-03-31 삼성디스플레이 주식회사 액정 화합물, 이를 포함하는 액정 조성물 및 이를 포함하는 액정 디스플레이

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4113310A1 (de) 1990-04-27 1991-10-31 Merck Patent Gmbh Phenylcyclohexane und fluessigkristallines medium

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4113310A1 (de) 1990-04-27 1991-10-31 Merck Patent Gmbh Phenylcyclohexane und fluessigkristallines medium

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06192142A (ja) 1994-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3780547B2 (ja) ビシクロヘキサン誘導体
EP0733692B1 (en) Liquid crystalline compound, liquid crystal composition containing the same, and display device
JP3783246B2 (ja) p−テルフェニル誘導体
JP3772351B2 (ja) ビシクロヘキサン−4−オン誘導体
JP3783247B2 (ja) 1,2−ジシクロヘキシルプロパン誘導体
JP3783248B2 (ja) 4−(2−シクロヘキシル)プロピル−p−テルフェニル誘導体
JP3531182B2 (ja) ジフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体
JP3632772B2 (ja) 4−アルケニルオキシ−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体
JPH1143450A (ja) 新規アルケニルビフェニル誘導体
JP3673873B2 (ja) ビフェニル誘導体
JP3553112B2 (ja) 4−トリフルオロメトキシ−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体及びその製造方法
JP3716436B2 (ja) 5−置換アルキルベンゼン誘導体
JP4239242B2 (ja) フェニルナフタレン誘導体
JP4193077B2 (ja) 1,3−フェニレン誘導体
JP3642345B2 (ja) (フルオロアルケニル)ベンゼン誘導体
JPH06247886A (ja) トリフルオロベンゼン誘導体
JPH06247885A (ja) 4−アルキル−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体
JPH06206836A (ja) フルオロアルキルシクロヘキサン誘導体
JP3433756B2 (ja) ジフルオロシクロプロパン誘導体
JP3668991B2 (ja) アルキルベンゼン誘導体
JPH08157396A (ja) (2−シクロヘキシル)プロピルベンゼン誘導体
JPH07179374A (ja) フルオロビフェニル誘導体の製造方法
JPH06122636A (ja) 4−フルオロアルキルベンゼン誘導体
JP3994460B2 (ja) 新規化合物及びこれを用いた液晶組成物
JPH06184020A (ja) ジフルオロシクロプロパン誘導体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040223

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090312

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees