JP3772351B2 - ビシクロヘキサン−4−オン誘導体 - Google Patents

ビシクロヘキサン−4−オン誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電気光学的表示材料として有用なトリフルオロメトキシベンゼン誘導体の製造方法及びその製造中間体である新規化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、ゲーム、電卓をはじめとして、最近ではワープロ、コンピューター、テレビ等に用いられ、電子装置と人とのインターフェースとして重要なものとなっている。
【0003】
液晶を用いた表示方式は、(1)電界効果(FEM)型、(2)動的散乱(DSM)型、及び(3)熱効果(TEM)型に大別されるが、現在までのところ実用化されているのは、電界効果型に基づく表示方式である。電界効果型には、ねじれネマチック(TN)型、超ねじれネマチック(STN)型、ゲスト−ホスト(GH)型、電界制御複屈折(ECB)型、コレステリック−ネマチック相転移(CN−PT)型、表面安定化強誘電性液晶(SSFLC)型等が知られており、現在主流となっているのはTN型及びSTN型である。また、表示容量の増加要求に対応するため、駆動方式においても、従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動、単純マトリックス駆動が実用化されてきた。これらの駆動方式を用いてもTN型では大容量化は困難であったが、STN型を改良することより、ある程度までは容量の増加が可能となった。しかしながら、このSTN型も近年の大表示容量要求に対してはもはや対応できない状況にある。そこで、表示画素ごとに閾特性をもつ非線形素子を用いた、MIM(Metal Insurator Metal)方式、能動素子を用いた、TFT(Thin Film Transistor)方式等のアクティブマトリックス方式が開発され、これによればCRTに匹敵する大容量化や高精細化が可能となるため、液晶テレビや高精細ディスプレイとして実用化され、現在急速に発展している。
【0004】
このアクティブマトリックス表示方式に用いられる液晶材料としては、通常の液晶表示方式と同様に、種々の特性が要求されているが、特に、(1)比抵抗が高く、電圧保持率に優れること、(2)閾値電圧が低いこと、(3)作動温度範囲が広いこと、(4)応答性に優れること等が重要である。
【0005】
一般に、液晶表示における閾値電圧を低くするためには、液晶材料の弾性定数を小さくするか、あるいは誘電率異方性を大きくする必要がある。
しかしながら、弾性定数を小さくすると応答も同時に遅くなる傾向にあり、高速応答性を保持しつつ閾値電圧を低くするためには、通常、誘電率異方性を大きくする必要がある。そこで、液晶化合物の誘電率異方性を大きくするためには、液晶分子の分子長軸方向に極性の大きい基を導入する必要があり、そのための極性基としてはこれまで主としてシアノ基が用いられてきた。
【0006】
しかしながら、シアノ基を有する化合物を用いた液晶材料は、高い比抵抗値や高い電圧保持率を得ることは困難であるため、アクティブマトリックス表示方式には適さない。よって、誘電率異方性を大きくするためには、4−フルオロフェニル基や3,4−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基等のように、極性基としてシアノ基に換えてフッ素原子を用いた基を有する液晶化合物が用いられてきている。
【0007】
一方、応答を高速にするためには、液晶材料の粘性を低くする必要がある。上記のフッ素系の化合物のうち、4−トリフルオロメトキシフェニル基を有する液晶化合物は例えば、対応する4−トリフルオロメチルフェニル基を有する液晶化合物より低粘性であり、高速応答性に優れていることが報告されている。(G.W.Gray et al., Mol. Cryst. Liq. Cryst., 204, 91,(1991)及び第16回液晶討論会予稿集2K215)
しかしながら、この4−トリフルオロメトキシフェニル基を有する液晶化合物は、ネマチック相上限温度があまり高くないこと、及びスメクチック相温度範囲が広いという問題点を有していた。そのため、これを用いて温度範囲の広い液晶組成物を得ることは決して容易ではなく、また、より優れた応答性も要求されていた。
【0008】
一方、ジフルオロフェニル基を有する液晶化合物において、そのアルキル側鎖をアルケニル基に置き換えることにより、液晶相上限温度を上昇させ、粘度を低下させ、且つ高い比抵抗値を維持できることが報告されている。(特開平3−223223号公報)
そこで、4−トリフルオロメトキシフェニル基を有する液晶化合物の側鎖をアルケニル基に変換することにより、ネマチック相上限温度や応答性が改善されることが期待できる。中でもその温度範囲や粘性の点で一般式(IV)
【0009】
【化6】
Figure 0003772351
【0010】
(式中、yは0〜7の整数を、mは0〜4の整数を表わし、Lは水素原子またはフッ素原子を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされるフェニルビシクロヘキサン誘導体が好ましいと考えられた。
【0011】
このように側鎖がアルケニル基で且つ4−トリフルオロメトキシフェニル基を有する化合物は、特表平4−501270号公報に記載されている。しかしながら、本公報に記載されている一般的製造方法によれば、中間体としてシクロヘキサンカルボン酸誘導体を経由するわけであるが、カルボン酸をアルデヒドに変換する必要があるなど製造工程が頻雑であり、このような一般式(IV)で表わされるフェニルビシクロヘキサン骨格を有する化合物を製造する場合、原料となる4’−ケトビシクロヘキサン−4−カルボン酸エチルの入手、中間体のビシクロヘキサンカルボン酸誘導体(B)
【0012】
【化7】
Figure 0003772351
【0013】
(式中、XはF、Cl、−CF 3 、−CN、−OCF 3 または−OCHF 2 であり、そしてY及びZは、それぞれ相互に独立して、HまたはFである。)
の異性化等についても問題が多く、工業的にも容易に製造できるものではない。
以上のように、側鎖がアルケニル基で且つ4−トリフルオロメトキシフェニル基を有する化合物は、その優れた特性が期待されているにもかかわらず、実用的な製造方法については知られていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、液晶相の温度範囲及び表示装置の応答速度等の改善に効果的と考えられるアルケニル側鎖を有するトリフルオロメトキシベンゼン誘導体の新規な製造方法を提供し、さらに、上記製造方法において、合成中間体として有用な新規なビシクロヘキサン−4−オン誘導体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(IV)で表わされるアルケニル側鎖を有するトリフルオロメトキシベンゼン誘導体の製造中間体として、一般式(I)
【0016】
【化8】
Figure 0003772351
【0017】
(式中、Lは水素原子またはフッ素原子を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされる新規な4’−フェニルビシクロヘキサン−4−オン誘導体を提供する。
【0018】
一般式(I)で表わされる化合物は、以下のようにして製造することができる。
【0019】
【化9】
Figure 0003772351
【0020】
(式中、Qは臭素原子または塩素原子を表わし、Lは水素原子またはフッ素原子を表わす。)
一般式(VI)で表わされるトリフルオロメトキシベンゼン誘導体から調製されたグリニヤール反応剤を式(VII)のビシクロヘキサン−4,4’−ジオンモノエチレンアセタールと反応させ、次いで酸触媒存在下で脱水させることにより一般式(VIII)で表わされるシクロヘキセン誘導体を得ることができる。
【0021】
【化10】
Figure 0003772351
【0022】
(式中、Lは水素原子またはフッ素原子を表わす。)
次に、一般式(VIII)の化合物を、パラジウムカーボン等の触媒の存在下で接触還元することにより、シクロヘキサン環がシス及びトランス配置の異性体混合物を得ることができる。このシス、トランス体の混合物を、t−ブトキシカリウム等の強塩基と反応させることにより、トランス体に異性化させて、次いで蟻酸等の酸存在下で、脱アセタール化することにより、本発明の新規化合物である一般式(I)の化合物を得ることができる。
【0023】
斯くして得られた一般式(I)の化合物を中間体として、前述の一般式(IV)で表わされるアルケニル側鎖を有するトリフルオロメトキシベンゼン誘導体を以下のようにして容易に製造することができるが、本発明はこの一般式(IV)の化合物の製造方法をも提供するものである。
【0024】
一般式(I)の化合物を式(II)のヴィッティヒ反応剤と反応させ、次いで酸存在下で加水分解することにより、シクロヘキサンカルバルデヒド誘導体を得ることができるが、これはホルミル基の結合したシクロヘキサン環が、シス及びトランス配置の異性体混合物である。このシス、トランス体の混合物を塩基によりトランス体に異性化させて一般式(IX)
【0025】
【化11】
Figure 0003772351
【0026】
(式中、Lは水素原子またはフッ素原子を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)のシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体を得ることができる。
【0027】
【化12】
Figure 0003772351
【0028】
この一般式(IX)の化合物を式(II)のヴィッティヒ反応剤と反応させた後、酸存在下で加水分解する工程を必要に応じてm回繰り返し、次いで式(III)のヴィッティヒ反応剤と反応させることにより一般式(IV)の化合物を得ることができる。
【0029】
ここでy≧1である場合には、得られた一般式(IV)の2重結合は主としてシス体である。このシス体は、トリエチルボラン、トリフェニルゲルマン、あるいはp−トルエンスルフィン酸等によりトランス体に異性化することが可能である。
【0030】
上記工程中、式(II)のヴィッティヒ反応剤との反応を3回繰り返す代わりに、式(V)
【0031】
【化13】
Figure 0003772351
【0032】
のヴィッティヒ反応剤を反応させた後、ラネーニッケル等の触媒の存在下に接触還元し、脱アセタール化してもよい。
以上のように、一般式(I)で表わされる化合物を合成中間体として反応させることにより製造された一般式(IV)で表わされる化合物の代表例を第1表に掲げる。
【0033】
【表1】
Figure 0003772351
【0034】
(表中、Cは結晶相を表わし、Sはスメクチック相を表わし、Nはネマチック相を表わし、Iは等方性液体相を表わし、括弧内の温度はモノトロピック転移温度を表わす。)
比較のため、第1表の(No.1)及び(No.2)と類似構造を有する化合物を第2表に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003772351
【0036】
上表より、本発明における新規中間体化合物及びそれを用いた製造方法により合成された一般式(IV)で表わされる化合物は、比較的高い温度までネマチック相を示すことが理解できる。
【0037】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
なお、化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル(NMR)及び質量スペクトル(MS)で確認した。MSにおけるM+は親ピークを表わし、NMRにおけるsは1重線、dは2重線、tは3重線、mは多重線を表わし、bは幅広い吸収を表わす。
(実施例1) トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンの合成
(1−a) 4−[1−(4−メトキシフェニル)シクロヘキセン−4−イル]シクロヘキサノンエチレンアセタールの合成
【0039】
【化14】
Figure 0003772351
【0040】
マグネシウム16.6gをテトラヒドロフラン(THF)50mlに懸濁し、1−ブロモ−4−トリフルオロメトキシベンゼン150gのTHF600ml溶液をTHFが穏やかに還流を続ける速度で滴下し、1時間室温で攪拌した。さらに、4,4’−ビシクロヘキサンジオンモノエチレンアセタール123gのTHF500ml溶液を室温で2時間で滴下し、3時間室温で攪拌した。反応終了後、20%塩化アンモニウム水溶液500mlを加え、反応生成物を酢酸エチル1000mlで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗條し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を溜去して、得られた結晶をトルエン1000mlに溶解して、ここに硫酸水素カリウム10gを加え、5時間加熱還流させた。得られた反応生成物を室温まで放冷し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗條し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した後、これをエタノールから再結晶させて、4−[1−(4−メトキシフェニル)シクロヘキセン−4−イル]シクロヘキサノンエチレンアセタール150gを得た。
(1−b) トランス−4’−(4−メトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンエチレンアセタールの合成
上記(1−a)で得た4−[1−(4−メトキシフェニル)シクロヘキセン−4−イル]シクロヘキサノンエチレンアセタール150gを酢酸エチル750mlに溶解し、5%パラジウム炭素15gを加え、オートクレーブを用いて水素圧3気圧下で8時間反応させた。反応終了後、触媒を濾別し溶媒を溜去して、ベンゼン環に直結したシクロヘキサン環がシス及びトランス配置である混合物(シス/トランス比:1/2)149gを得た。これをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)750mlに溶解し、t−ブトキシカリウム43gを加え、70℃で6時間攪拌した後、水1000mlを加え、反応生成物を酢酸エチル1000mlで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順次洗條し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去した後、メタノールから再結晶させて、トランス−4’−(4−メトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンエチレンアセタール112gを得た。
(1−c) トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンの合成
上記(1−b)で得たトランス−4’−(4−メトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンエチレンアセタール112gをトルエン300mlに溶解し、蟻酸300mlを加えて1時間加熱還流させた。反応生成物を室温まで放冷し、ここに水300mlを加え有機相を分離した。有機相を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗條し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した後、これをヘキサンから再結晶させてトランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンの白色結晶90.2gを得た。
融点:73.7℃
MS:m/e=340(M+
NMR:δ=1.1〜2.2(m,14H)、2.2〜2.6(m,5H)、7.1〜7.25(m,4H)
(実施例2) トランス−4’−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンの合成
【0041】
【化15】
Figure 0003772351
【0042】
実施例1において1−ブロモ−4−トリフルオロメトキシベンゼンに換えて、1−ブロモ−3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシベンゼンを用いた他は実施例1と同様にしてトランス−4’−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンを得た。
MS:m/e=358(M+
NMR:δ=1.1〜2.2(m,14H)、2.2〜2.7(m,5H)、6.85〜7.35(m,3H)
(参考例1) トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−エテニルビシクロヘキサン(第1表No.1の化合物)の合成
【0043】
【化16】
Figure 0003772351
【0044】
塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム57.0gをTHF180mlに溶解し、5℃で冷却した。冷却後、t−ブトキシカリウム18.7gを内温が10℃を越えない速度で加え、さらに30分間攪拌した。これに、実施例1で得られたトランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オン40.0gのTHF200ml溶液を液温が10℃を越えない速度で滴下し、さらに30分間攪拌した。反応終了後、水100mlを加え、有機相を分離し、溶媒を溜去した。有機相にヘキサン400mlを加え不溶物を濾別して、濾液をメタノールと水の混合液、飽和食塩水で順次洗條し、溶媒を溜去して、これをTHF150mlで溶解し、10%塩酸150mlを加え、30分間加熱還流させた。反応終了後、室温まで放冷し、有機相を分離し、溶媒を溜去した。これをエタノール300mlに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、1時間室温で攪拌した後、水300mlを加えて、析出した結晶を濾過し、水、メタノールで洗條し、減圧乾燥した後、トランス−4’−(トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−トランス−4−カルバルデヒド39.1gを得た。
【0045】
沃化メチルトリフェニルホスホニウム57.9gをTHF300mlに溶解し、5℃で冷却した。ここに、t−ブトキシカリウム16.1gを内温が10℃を越えない速度で加え、さらに30分間攪拌した。これに、上記で得たトランス−4’−(トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−トランス−4−カルバルデヒド39.0gのTHF160ml溶液を内温が10℃を越えない速度で滴下し、さらに1時間攪拌した。反応終了後、水100mlを加え、有機相を分離し、溶媒を減圧下で溜去した。有機相にヘキサン200mlを加え不溶物を濾別して、濾液をメタノールと水の混合液、飽和食塩水で順次洗條した後、溶媒を溜去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製して、トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−エテニルビシクロヘキサン33.0gを得た。
(参考例2) トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−(3−ブテニル)ビシクロヘキサン(第1表No.2の化合物)の合成
【0046】
【化17】
Figure 0003772351
【0047】
臭化2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウム62.5gをTHF200mlに溶解し、5℃で冷却した。ここにt−ブトキシカリウム15.8gを内温が10℃を越えない速度で加え、さらに30分間攪拌した。反応終了後、実施例1で得たトランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−4−オン40.0gのTHF200ml溶液を内温が10℃を越えない速度で滴下し、さらに30分間攪拌した後、水100mlを加え、有機層を分離し、溶媒を溜去した。有機層にヘキサン400mlを加え不溶物を濾別し、濾液をメタノールと水の混合液、飽和食塩水で順次洗滌した後、溶媒を溜去して、トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチリデン]ビシクロヘキサン49.7gを得た。
【0048】
上記で得られたトランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチリデン]ビシクロヘキサンの全量を酢酸エチル250mlに溶解し、ラネーニッケル5gを加え、オートクレーブを用いて水素圧3気圧下で18時間室温で攪拌した。反応終了後、触媒を濾別後、溶媒を溜去して得られた粗生成物を、エタノールから再結晶させて、トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−(3−ブテニル)ビシクロヘキサン16.1gを得た。
【0049】
上記で得られたトランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−(3−ブテニル)ビシクロヘキサン16.0gをトルエン80mlに溶解し、蟻酸80mlを加え1時間加熱還流させた。室温まで放冷し、水800mlを加え有機相を分離した。有機相を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗條し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去して、トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−トランス−4−プロパナール14.0gを得た。
【0050】
沃化メチルトリフェニルホスホニウム21.3gをTHF100mlに溶解し、5℃で冷却した。ここにt−ブトキシカリウム5.9gを内温が10℃を越えない速度で加え、さらに30分間攪拌した。反応終了後、上記で得たトランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン−トランス−4−プロパナール13.9gのTHF50ml溶液を内温が10℃を越えない速度で滴下し、さらに1時間攪拌し、ここに水20mlを加え、有機相を分離し、溶媒を溜去した。有機相にヘキサン75mlを加え不溶物を濾別し、濾液をメタノールと水の混合液、飽和食塩水で順次洗條した後、溶媒を溜去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製して、トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−(3−ブテニル)ビシクロヘキサン12.5gを得た。
(参考例3) 液晶組成物の調製(1)
低粘性で高速応答性に優れたアクティブマトリックス用母体液晶(M)
【0051】
【化18】
Figure 0003772351
【0052】
を調製した。この母体液晶(M)のネマチック相上限温度(TN-I)及びこの組成物をセル厚4.5μmのTNセルに封入して作製した液晶素子の20℃における応答時間を測定したところ以下の通りであった。
【0053】
N-I: 116℃
応答時間: 21.5m秒
この組成物(M)70重量%及び参考例1で合成した、トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−エテニルビシクロヘキサン(第1表No.1の化合物)
【0054】
【化19】
Figure 0003772351
【0055】
30重量%から成る液晶組成物(M−1)を調製し、同様にしてそのTN-Iと応答時間を測定したところ以下の通りであった。
N-I: 120.9℃
応答時間: 17.7m秒
従って、(No.1)の化合物を添加することにより、ネマチック相の温度範囲が拡大し、且つ応答時間の短い液晶組成物が得られることがわかる。また、この組成物の比抵抗値は1012Ωcm以上であり、電圧保持率も99%と高いものであった。
(参考例4) 液晶組成物の調製(2)
参考例3と同様に、母体液晶(M)70重量%及び参考例2で合成した、トランス−4’−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−4−(3−ブテニル)ビシクロヘキサン(第1表No.2の化合物)
【0056】
【化20】
Figure 0003772351
【0057】
30重量%から成る液晶組成物(M−2)を調製し、同様にしてそのTN-Iと応答時間を測定したところ以下の通りであった。
N-I: 125.3℃
応答時間: 16.7m秒
従って、(No.2)の化合物を添加することにより、ネマチック相の温度範囲がさらに拡大し、且つ応答時間のより短い液晶組成物が得られることがわかる。また、この組成物の比抵抗値も1012Ωcm以上であり、電圧保持率も99%と高いものであった。
(参考例5)
比較のために、(No.1)の化合物と類似構造を有する式(R−1)
【0058】
【化21】
Figure 0003772351
【0059】
70重量%及び母体液晶(M)30重量%から成る液晶組成物(MR−1)を調製し、参考例3と同様にしてそのTN-Iと応答時間を測定したところ以下の通りであった。
【0060】
N-I: 115.1℃
応答時間: 19.8m秒
従って、式(R−1)の化合物を含有する液晶組成物ではネマチック相上限温度は上昇させることができず、応答時間についてもあまり短縮させることはできないことが理解できる。
【0061】
【発明の効果】
本発明に係わる一般式(I)で表わされる新規化合物であるビシクロヘキサン−4−オン誘導体を中間体として用いることにより、一般式(IV)で表わされるアルケニル基を側鎖として有する(4−トリフルオロメトキシフェニル)ビシクロヘキサン誘導体を容易に製造することができる。製造された化合物は、添加により液晶組成物のネマチック相の温度範囲を拡大させ、応答時間を短縮させることができ、高い電圧保持率を得ることも可能である。従って、アクティブマトリックス駆動用液晶材料として極めて優れており、ワープロやノートパソコン、液晶テレビなど高速応答性を重視する液晶表示に有用な液晶材料の製造上、極めて有用である。

Claims (2)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003772351
    (式中、Lはフッ素原子を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされる化合物。
  2. 一般式(I)
    Figure 0003772351
    (式中、Lは水素原子またはフッ素原子を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされる化合物を式(V)
    Figure 0003772351
    のヴィッティヒ反応剤と反応させ、触媒存在下で接触還元させた後に、脱アセタール化させた後、式(II)
    Figure 0003772351
    のヴィッティヒ反応剤と反応させ、次いで加水分解する工程をm−2回繰り返した後、一般式(III)
    Figure 0003772351
    (式中、yは0〜7の整数を表わす。)で表わされるヴィッティヒ反応剤と反応させることを特徴とする一般式(IV)
    Figure 0003772351
    (式中、yは0〜7の整数を表わし、mは〜4の整数を表わし、Lは水素原子またはフッ素原子を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされる化合物の製造方法。
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