JPH06206836A - フルオロアルキルシクロヘキサン誘導体 - Google Patents

フルオロアルキルシクロヘキサン誘導体

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JPH06206836A
JPH06206836A JP256493A JP256493A JPH06206836A JP H06206836 A JPH06206836 A JP H06206836A JP 256493 A JP256493 A JP 256493A JP 256493 A JP256493 A JP 256493A JP H06206836 A JPH06206836 A JP H06206836A
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trans
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JP256493A
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English (en)
Inventor
Shinji Ogawa
真治 小川
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH06206836A publication Critical patent/JPH06206836A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (R:H、C1〜5のアルキル、m:0〜5)で表わさ
れる化合物、それを含有する液晶組成物及びその中間
体。 【効果】 この化合物は、現在汎用されている液晶組成
物との相溶性に優れ、組成物の液晶相上限温度をほとん
ど低下させずに、しきい値電圧を大きく低下させる効果
を有する。また、熱、水、光等に対する化学的安定性に
優れ、工業的にも容易に製造できるので、表示用液晶光
スイッチング素子の材料として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気光学的液晶表示材料
として有用なフルオロアルキルシクロヘキサン誘導体で
ある新規化合物、それを用いた液晶組成物、及びその製
造中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知
られているが、このうち現在最もよく用いられているの
はTN型及びSTN型である。また、駆動方式としても
従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一
般的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアク
ティブマトリックス方式が実用化されている。これらの
うち、アクティブマトリックス方式によると、最も高画
質の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化、カラ
ー化が容易で、動画表示も可能であるので、今後の液晶
表示方式の主流になると考えられている。
【0003】このアクティブマトリックス表示方式に用
いられる液晶材料としては、通常の液晶表示と同様に、
種々の特性が要求されているが、特に、(1)比抵抗が
高く、電圧の保持率に優れること、(2)しきい値電圧
(Vth)が低いこと、(3)温度範囲が広いこと等が重
要である。
【0004】通常、液晶表示におけるしきい値電圧(V
th)は式(1)
【0005】
【数1】
【0006】(式中、kは比例定数を、Kは弾性定数
を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。)で表わさ
れるが、この式からわかるように、しきい値電圧を低く
するためには液晶材料の弾性定数を小さくするか、ある
いは誘電率異方性を大きくする必要がある。
【0007】また、液晶組成物の温度範囲を特に高温域
に拡大するためには、3環性あるいは4環性の液晶上限
温度の高い化合物を添加する必要がある。しかしなが
ら、このように上限温度の高い化合物は、誘電率異方性
があまり大きくないにも拘らず、弾性定数の大きいもの
が多く、組成物のしきい値電圧を上昇させてしまう傾向
を有している。
【0008】また、添加することにより組成物のしきい
値電圧を低下させる化合物としては、例えば、トリフル
オロベンゼン系の化合物が知られている。(特開平2−
233626号公報記載)しかしながら、この化合物を
用いても、しきい値電圧を十分に低下できるというわけ
ではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、以上の目的に応じ、誘電率異方性が大き
く、且つ液晶相の上限温度が高い化合物を提供し、また
その化合物を含有し、液晶相の温度範囲が広く、且つし
きい値電圧の低い液晶組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜
5の直鎖状アルキル基を表わすが、好ましくは水素原子
を表わし、mは0〜5の整数を表わすが、好ましくは1
〜3を表わし、m=1が特に好ましい。また、シクロヘ
キサン環はトランス配置を表わす。)で表わされるフル
オロアルキルシクロヘキサン誘導体を提供する。
【0013】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
は、対応する一般式(III)
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R及びmは一般式(I)における
と同じ意味を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)で表わされるヒドロキシアルキルシクロヘ
キサン誘導体を、ジエチルアミノ三フッ化硫黄(DAS
T)等のフッ素化剤でフッ素化することにより容易に得
ることができる。
【0016】一般式(III)の化合物は、対応する一
般式(IV)
【0017】
【化5】
【0018】(式中、mは一般式(I)におけると同じ
意味を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わ
す。)で表わされるホルミルシクロヘキサン誘導体と、
一般式(a)
【0019】
【化6】R−Z (式中、Rは一般式(I)と同じ意味を表わし、ZはM
gCl、MgBr、MgI又はLiを表わす。)で表わ
されるアルキル金属化合物を反応させることにより容易
に得ることができる。
【0020】また、一般式(I)において、Rが水素原
子である化合物は、対応する一般式(IV)の化合物
を、水素化アルミニウムリチウムあるいは水素化ホウ素
ナトリウム等の還元剤で還元して得ることができる。ま
た、対応するエステル及び酸ハライドでも同様にして得
ることができ、あるいは一般式(V)
【0021】
【化7】
【0022】(式中、mは一般式(I)におけると同じ
意味を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わ
す。)で表わされるアルケニルシクロヘキサン誘導体の
ハイドロボレーションによっても得ることができる。
【0023】一般式(IV)の化合物は、式(II)
【0024】
【化8】
【0025】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)の4−[トランス−4−(3,4,5−ト
リフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサノ
ンに、式(VI)
【0026】
【化9】
【0027】(式中、Meはメチル基を表わし、Phはフェ
ニル基を表わす。)のWittig反応剤との反応を
(m+1)回繰り返すことにより得ることができ、ある
いは式(II)の化合物に、一般式(VII)
【0028】
【化10】
【0029】(式中、mは一般式(I)におけると同じ
意味を表わし、Zは一般式(a)におけると同じ意味を
表わす。)で表わされるアルキル金属化合物を反応させ
た後、脱水、水素添加し、最後に脱アセタール化するこ
とによっても得ることができる。
【0030】この一般式(I)の化合物の製造工程にお
いて、重要な中間体である式(II)の化合物は新規化
合物であり、本発明はこの化合物も提供する。本発明の
式(II)の化合物は、例えば、以下のようにして得る
ことができる。
【0031】まず、式(VIII)
【0032】
【化11】
【0033】のビシクロヘキサン−4,4−ジオンのモ
ノアセタール誘導体と一般式(IX)
【0034】
【化12】
【0035】(式中、Zは一般式(a)におけると同じ
意味を表わす。)のトリフルオロフェニル金属化合物を
反応させることによって、式(X)
【0036】
【化13】
【0037】のシクロヘキサノール誘導体を得ることが
できる。この式(X)の化合物を脱水することによっ
て、式(XI)
【0038】
【化14】
【0039】のシクロヘキセン誘導体を得ることができ
る。更に、式(XI)の化合物を触媒の存在下に水素添
加することによって、式(XII)
【0040】
【化15】
【0041】のアセタール誘導体を得ることができる。
この式(XII)の化合物を脱アセタール化することに
よって、本発明の式(II)のシクロヘキサノン誘導体
を得ることができる。
【0042】斯くして製造された一般式(I)で表わさ
れる化合物の代表的なものの例を第1表に掲げる。
【0043】
【表1】
【0044】(表中、Crは結晶相を、Nはネマチック
相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)
【0045】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、特
にTN型あるいはSTN型といった電界効果型表示セル
の材料として、組成物の液晶上限温度を低下させずに、
しきい値電圧を低下させる目的に使用することができ
る。更に、化学的に安定で極性が小さいので、アクティ
ブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として特に適
している。
【0046】このように、一般式(I)で表わされる化
合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化
合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息
香酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサ
ンカルボン酸4−置換フェニルエステル、4−置換シク
ロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)
安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シ
クロヘキシル)安息香酸4−置換フェニルエステル、4
−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロ
ヘキシルエステル、4,4’−置換ビフェニル、1−
(4−置換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4,
4”−置換ターフェニル、1−(4’−置換ビフェニリ
ル)−4−置換シクロヘキサン、1−(4−置換シクロ
ヘキシル)−4−(4−置換フェニル)シクロヘキサ
ン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、
2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン
などを挙げることができる。
【0047】一般式(I)の化合物の効果は、例えば、
以下の例からも明らかである。ネマチック液晶材料とし
て現在汎用されているフェニルシクロヘキサン系の母体
液晶(A)
【0048】
【化16】
【0049】(上記中、シクロヘキサン環はトランス配
置を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)を調製し
たところ、54.5℃以下でネマチック相を示し、誘電
率異方性(Δε)は6.7であり、これを用いて作製し
たTNセルのしきい値電圧(Vth)は1.60Vであっ
た。
【0050】この母体液晶(A)80重量%及び第1表
の(No.1)の化合物20重量%からなる液晶組成物
(M−1)を調製した。この(M−1)のネマチック相
の上限温度は52.3℃であり、母体液晶(A)とさほ
ど変わらず、Δεは7.4と上昇した。この組成物を用
いて同様にしてセルを作製したところ、しきい値電圧
(Vth)は1.37Vと大幅に低下した。これは(N
o.1)の化合物のΔεが大きい上、弾性定数(K)が
3環化合物としてはかなり小さいことによると考えられ
る。
【0051】これに対し、(No.1)の化合物に代え
て、(No.1)の化合物の類似構造を有するが、芳香
環に結合しているフッ素原子の数が少ない式(R−1)
【0052】
【化17】
【0053】の化合物20重量%及び母体液晶(A)8
0重量%からなる液晶組成物(N−1)を調製した。こ
の(N−1)のネマチック相の上限温度は58.2℃で
あり、(M−1)よりも高かったものの、Δεは6.6
と母体液晶(A)とほぼ同程度であった。同様にしてセ
ルを作製したところ、しきい値電圧(Vth)は1.50
Vと低下したものの、前述の(M−1)ほどではなかっ
た。
【0054】次に、(No.1)の化合物に代えて、
(No.1)の化合物の類似構造を有するが、シクロヘ
キサン環に結合する末端基中にフッ素原子のない式(R
−2)
【0055】
【化18】
【0056】の化合物20重量%及び母体液晶(A)8
0重量%からなる液晶組成物(N−2)を調製した。こ
の(N−2)のネマチック相の上限温度は59.1℃と
(M−1)に比べて高くなり、Δεは7.3と(M−
1)とほぼ同程度であった。しかしながら、同様にして
セルを作製したところ、しきい値電圧(Vth)は、Δε
が(M−1)とほぼ同程度であるにもかかわらず、1.
50Vと高いものであった。このことから、式(R−
2)の化合物の弾性定数(K)は、本発明の(No.
1)の化合物と比べてかなり大きいと考えられる。
【0057】以上のことから、本発明の一般式(I)で
表わされる化合物はΔεが比較的大きく、しかも3環化
合物としては弾性定数が小さいので、母体液晶(A)に
少量添加することにより、液晶上限温度を大きく低下さ
せることなく、しきい値電圧(Vth)を大幅に低下でき
ることが明らかである。
【0058】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0059】なお、相転移温度の測定は温度調節ステー
ジを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を
併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペ
クトル(1H−NMR)、赤外吸収スペクトル(I
R)、質量スペクトル(MS)等により確認した。IR
における(KBr)は錠剤成形による測定を表わす。N
MRにおけるCDCl3は溶媒を表わし、mは多重線を
表わし、例えば、dtは2重の3重線を表わす。また、
Jはカップリング定数を表わす。MSにおけるM+は親
ピークを表わす。組成物における「%」は「重量%」を
表わす。
【0060】(実施例1) 4−[トランス−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキサノン(式(II)の化合物)の合成
【0061】
【化19】
【0062】(1−a) 4−[4−ヒドロキシ−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキサノンエチレンアセタール(式(X)の
化合物)の合成 1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン89g
のTHF90ml溶液を、マグネシウム10.3gのT
HF330ml懸濁液に30分で滴下した。調製したグ
リニャール反応剤に4−(4−オキソシクロヘキシル)
シクロヘキサノンエチレンアセタールのTHF220m
l溶液を10℃で15分間で滴下した。
【0063】この混合液を室温で1時間反応させた後、
飽和の塩化アンモニウム水溶液にあけ、反応生成物を酢
酸エチルで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去して、4−[4−ヒ
ドロキシ−4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)
シクロヘキシル]シクロヘキサノンエチレンアセタール
の粗結晶172gを得た。
【0064】(1−b) 4−[4−(3,4,5−ト
リフルオロフェニル)−3−シクロヘキセニル]シクロ
ヘキサノンエチレンアセタール(式(XI)の化合物)
の合成 上記(1−a)で得た4−[4−ヒドロキシ−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキサノンエチレンアセタール170gのキ
シレン170ml溶液に硫酸水素カリウム5.2gを加
え、水を除きながら10時間還流した。反応終了後、水
を加え、反応生成物をトルエンで抽出した後、抽出液を
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去して、4−
[4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−3−シ
クロヘキセニル]シクロヘキサノンエチレンアセタール
の白色結晶120gを得た。
【0065】(1−c) 4−[トランス−4−(3,
4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシル]シク
ロヘキサノンエチレンアセタール(式(XII)の化合
物)の合成 上記(1−b)で得た4−[4−(3,4,5−トリフ
ルオロフェニル)−3−シクロヘキセニル]シクロヘキ
サノンエチレンアセタール120gのトルエン1.5l
溶液に、トリエチルアミン100mlとパラジウム炭素
24gを加えて、オートクレーブ中、水素圧5Kg/c
2で3時間反応させた。反応終了後、触媒を濾別し、
濾液を濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4)を用い
て精製し、更にエタノールから再結晶させて、4−[ト
ランス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シ
クロヘキシル]シクロヘキサノンエチレンアセタールの
白色結晶38gを得た。
【0066】(1−d) 4−[トランス−4−(3,
4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシル]シク
ロヘキサノン(式(II)の化合物)の合成 上記(1−c)で得た4−[トランス−4−(3,4,
5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘ
キサノンエチレンアセタール38gのトルエン380m
l溶液に、蟻酸150gを加えて室温で4時間攪拌し
た。反応終了後、水を加えて有機層を分離した後、有機
層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した後、溶媒を溜去し、得られた残渣を
エタノールから再結晶させて、4−[トランス−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキサノンの白色結晶32.7gを得た。 IR(KBr):1715,1610,1525,14
45,1340,1235,1035,1025,85
5,780cm-1 NMR:δ=1.0〜1.9(m,14H),2.2〜
2.4(m,5H),6.7〜7.3(m,2H) MS:m/e=310(M+) 融点:86℃
【0067】(実施例2) トランス−4−(2−フル
オロエチル)−1−[トランス−4−(3,4,5−ト
リフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサン
(No.1の化合物)の合成
【0068】
【化20】
【0069】(2−a) トランス−4−[トランス−
4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキサンカルバルデヒド(一般式(I
V)、m=0の化合物)の合成 塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム35.4
gをTHF80mlに懸濁して−5℃に冷却した。この
懸濁液にt−ブトキシカリウム11.6gを加え、室温
で1時間攪拌してWittig反応剤を調製した。これ
に、(実施例1)で得た4−[トランス−4−(3,
4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシル]シク
ロヘキサノン24.7gのTHF25ml溶液を−5℃
で5分間で滴下した。この混合液を室温で5時間攪拌し
た後、水にあけ、ヘキサンを加えて有機層を分離した。
トリフェニルホスフィンオキシドの沈澱を濾別し、水で
洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜
去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(ヘキサン/酢酸エチル=9)を用いて精製して、
4−[トランス−4−(3,4,5−トリフルオロフェ
ニル)シクロヘキシル]シクロヘキサンカルバルデヒド
の白色結晶(ジアステレオマー混合物)21.8gを得
た。このジアステレオマー混合物をエタノール100m
lに溶解し、20%水酸化ナトリウム水溶液2mlを加
えて室温で3時間攪拌した。更に水を加え、1N塩酸で
中和した後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、抽出液
を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去
し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(ヘキサン/酢酸エチル=9)を用いて精製し、更に
ヘキサンから再結晶させて精製して、トランス−4−
[トランス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニ
ル)シクロヘキシル]シクロヘキサンカルバルデヒドの
白色結晶13.2gを得た。
【0070】(2−b) トランス−4−[トランス−
4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキシルアセトアルデヒド(一般式(I
V)、m=1の化合物)の合成 塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム18.1
gをTHF50mlに懸濁して−5℃に冷却した。この
懸濁液にt−ブトキシカリウム6.9gを加え、室温で
1時間攪拌してWittig反応剤を調製した。これ
に、上記(2−a)で得たトランス−4−[トランス−
4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキ
シル]シクロヘキサンカルバルデヒド13.2gのTH
F20ml溶液を−5℃で5分間で滴下した。室温で3
時間攪拌した後、水にあけ、ヘキサンを加えて有機層を
分離した。トリフェニルホスフィンオキシドの沈澱を濾
別し、水で洗滌した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を溜去し、得られた残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9)を用い
て精製して、トランス−4−[トランス−4−(3,
4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシル]シク
ロヘキシルアセトアルデヒドの白色結晶10.4gを得
た。
【0071】(2−c) トランス−4−(2−ヒドロ
キシエチル)−1−[トランス−4−(3,4,5−ト
リフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサン
(一般式(III)、m=1の化合物)の合成 上記(2−b)で得たトランス−4−[トランス−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキシルアセトアルデヒド5gをテトラヒド
ロフラン(THF)10mlに溶解し、これをTHF1
5mlに懸濁した水素化アルミニウムリチウム0.17
g中に、0℃で30分間で滴下した。室温で1時間反応
させた後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて過剰の
水素化物を分解し、更に塩酸を加え、デカンテーション
により沈澱を除去した。沈澱をトルエンで洗浄し、有機
層を併せ、無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥した。溶媒
を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4)を用いて精
製して、トランス−4−(2−ヒドロキシエチル)−1
−[トランス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニ
ル)シクロヘキシル]シクロヘキサンの白色結晶4.3
gを得た。
【0072】(2−d) トランス−4−(2−フルオ
ロエチル)−1−[トランス−4−(3,4,5−トリ
フルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサンの
合成 上記(2−c)で得たトランス−4−(2−ヒドロキシ
エチル)−1−[トランス−4−(3,4,5−トリフ
ルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサン1.
5gをジクロロメタン7ml及びTHF1mlに溶解し
た。この溶液を−30℃に冷却し、ジエチルアミノ三フ
ッ化硫黄(DAST)0.78gを30分間で滴下し
た。滴下後、徐々に昇温し、室温で5時間攪拌した。反
応物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、有機層
を分離し、更に水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで乾
燥した後、溶媒を溜去し、得られた残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=9)を
用いて精製して、トランス−4−(2−フルオロエチ
ル)−1−[トランス−4−(3,4,5−トリフルオ
ロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサンの白色結
晶0.92gを得た。更に、エタノールから再結晶させ
て精製し、その相転移温度を測定したところ、融点は6
8℃であり、44.4℃以下でネマチック(N)相を示
した。 IR(KBr):1620,1535,1460,14
50,1350,1235,1055,1040,99
0,860,695cm-1 NMR:δ=1.0〜1.9(m,21H),2.2
(m,1H),4.5(dt,J=48and6Hz,
2H),6.7〜6.9(m,2H) MS:m/e=342(M+
【0073】(実施例3) 液晶組成物の調製 以下の組成からなるフェニルシクロヘキサン系の母体液
晶(A)
【0074】
【化21】
【0075】(上記中、シクロヘキサン環はトランス配
置を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)を調製し
たところ、54.5℃以下でネマチック(N)相を示し
た。その物性値及びこれを用いて作製したTNセルのし
きい値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0076】誘電率異方性(Δε) 6.7 屈折率異方性(Δn) 0.092 しきい値電圧(Vth) 1.60V
【0077】この母体液晶(A)80%及び実施例1の
(No.1)の化合物20%からなる液晶組成物(M−
1)を調製した。この(M−1)のN相の上限温度(T
N-I)及びその物性値は以下の通りであった。
【0078】N相の上限温度(TN-I) 52.3℃ 誘電率異方性(Δε) 7.4 屈折率異方性(Δn) 0.088 しきい値電圧(Vth) 1.37V
【0079】この(M−1)のN相の上限温度は母体液
晶(A)とほとんど変わらず、しかもしきい値電圧は母
体液晶(A)より0.23Vも低下している。前述の式
(1)から考えて、(No.1)の化合物は誘電率異方
性(Δε)が大きいだけでなく、弾性定数(K)もかな
り低いと考えられる。
【0080】また、この組成物(M−1)を低温で長時
間放置したが、析出等は全く観察されなかった。このこ
とから、(No.1)の化合物は従来の液晶化合物との
相溶性にも優れていることが理解できる。
【0081】(比較例1)実施例2において、(No.
1)の化合物に代えて、(No.1)の化合物の類似構
造を有するが、芳香環に結合しているフッ素原子の数が
少ない式(R−1)
【0082】
【化22】
【0083】の化合物20%及び母体液晶(A)80%
からなる液晶組成物(N−1)を調製した。この(N−
1)のN相の上限温度(TN-I)及びその物性値は以下
の通りであった。
【0084】N相の上限温度(TN-I) 58.2℃ 誘電率異方性(Δε) 6.6 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 1.50V
【0085】この(N−1)のN相の上限温度は(M−
1)より高かった。しかしながら、そのしきい値電圧
(Vth)は(M−1)より0.13Vも高い値であっ
た。これは、式(R−1)の化合物の誘電率異方性(Δ
ε)が(M−1)より小さいことだけではなく、弾性定
数が大きいことにもよると考えられる。
【0086】(比較例2)実施例2において、(No.
1)の化合物に代えて、(No.1)の化合物の類似構
造を有するが、シクロヘキサン環に結合する末端基中に
フッ素原子のない式(R−2)
【0087】
【化23】
【0088】の化合物20%及び母体液晶(A)80%
からなる液晶組成物(N−2)を調製した。この(N−
2)のN相の上限温度(TN-I)及びその物性値は以下
の通りであった。
【0089】N相の上限温度(TN-I) 59.1℃ 誘電率異方性(Δε) 7.3 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 1.50V
【0090】この(N−2)のN相の上限温度は(M−
1)より高く、誘電率異方性(Δε)は7.3とかなり
大きい。しかしながら、しきい値電圧(Vth)は(M−
1)よりかなり高い値となった。前述の式(1)から考
えて、式(R−2)の化合物の弾性定数は(No.1)
の化合物と比べてかなり大きいと考えられる。
【0091】以上のことから、(No.1)の化合物
は、母体液晶(A)のネマチック相上限温度をほとんど
低下させずに、しきい値電圧(Vth)を大きく低下させ
る効果を有することが明らかである。
【0092】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表わされる化合
物は、高い温度まで液晶相を示し、ネマチック液晶とし
て現在汎用されている母体液晶との相溶性に優れてお
り、これに少量添加することにより、ネマチック相上限
温度をほとんど低下させずに、しきい値電圧(Vth)を
大きく低下させることが可能である また、一般式(I)の化合物は、実施例にも示したよう
に、工業的にも容易に製造でき、熱、光、水等に対し、
化学的に安定であるので、各種液晶表示素子の材料とし
て、非常に有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖状ア
    ルキル基を表わし、mは0〜5の整数を表わす。)で表
    わされる化合物。
  2. 【請求項2】 Rが水素原子である請求項1記載の化合
    物。
  3. 【請求項3】 mが1である請求項2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
  5. 【請求項5】 式(II) 【化2】 で表わされる化合物。
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