JP3575049B2 - フルオロシクロプロパン誘導体及び液晶組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用な、新規なフルオロシクロプロパン誘導体である液晶性化合物、及びそれを含有する液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知られており、現在主流となっているのはTN型及びSTN型である。また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、さらに単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。これらのうち、アクティブマトリックス方式においては、非常に高画質の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化、カラー化が容易で、動画表示も可能であるため、今後の液晶表示方式の主流になると考えられている。
【0003】
このアクティブマトリックス表示方式に用いられる液晶材料としては、通常の液晶表示と同様に、種々の特性が要求されているが、特に、(1)比抵抗が高く、電圧の保持率に優れること、(2)しきい値電圧(Vth)が低いこと、(3)液晶相の温度範囲が広いこと等が重要である。
【0004】
通常、液晶表示におけるしきい値電圧(Vth)は式(1)
【0005】
【数1】
【0006】
(式中、kは比例定数を、Kは弾性定数を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。)で表わされるが、この式からわかるように、しきい値電圧を低くするためには液晶材料の弾性定数を小さくするか、あるいは誘電率異方性を大きくする必要がある。
【0007】
しかしながら、誘電率異方性の大きい液晶化合物は、極性が大きいものが多く、高い比抵抗値や電圧保持率の液晶材料を得ることを困難にさせる傾向を有する。そのため、こうした目的には弾性定数が小さい液晶材料が必要である。
【0008】
弾性定数の小さい液晶材料としては、2環性の化合物が挙げられる。しかしながら、2環性の化合物は、添加により組成物の液晶相の上限温度を大幅に低下させてしまう傾向を有するものが多い。
【0009】
そこで、液晶組成物の温度範囲を特に高温域に拡大するためには、3環性あるいは4環性の、液晶相の上限温度の高い化合物を添加する必要がある。しかしながら、このように上限温度の高い化合物は弾性定数が大きいものが多く、添加により組成物のしきい値電圧を大きく上昇させてしまう傾向を有する。
【0010】
従って、誘電率異方性があまり大きくなく、液晶相の上限温度が高く、添加により組成物のしきい値電圧を低下させることができる液晶化合物が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、以上の目的に応じ、液晶相の上限温度が高く、誘電率異方性があまり大きくなく、添加により組成物のしきい値電圧を低下させることができる液晶化合物を提供し、また、その化合物を含有し、液晶相の温度範囲が広く、且つしきい値電圧の低い液晶組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(I)
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基を表わすが、好ましくは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表わす。R2は水素原子または炭素原子数1〜7のアルキル基を表わすが、好ましくは水素原子または炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基を表わす。Z1及びZ2はそれぞれ独立的に、単結合または−CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方は単結合を表わす。環Aは1,4−シクロヘキシレン基または2個以下のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表わすが、好ましくは1,4−シクロヘキシレン基を表わす。また、シクロヘキサン環の2つの置換基はトランス配置である。X1及びX2はそれぞれ独立的に、水素原子またはフッ素原子を表わす。また、R2が水素原子を表わす場合には、好ましくはシクロプロパン環上でフッ素原子とフェニル基がトランスに配置であり、R2がアルキル基を表わす場合には、好ましくはフェニル基とR2がシクロプロパン環上でトランスに配置である。)で表わされるフルオロシクロプロパン誘導体を提供する。
【0015】
本発明に係わる一般式(I)で表わされる化合物は、一般式(II)
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、R1、R2、Z1、Z2、X1、X2及び環Aは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。また、R2がアルキル基を表わす場合に、ベンゼン環とR2がトランス、及びシス配置のものが存在するが、好ましくはトランス配置である。)で表わされる(1−アルケニル)ベンゼン誘導体を、フルオロジヨードメタンとジアルキル亜鉛存在下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0018】
ここで中間体として用いた一般式(II)で表わされる化合物は、一般式(IIIh)
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、R1、Z1、Z2、X1、X2及び環Aは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる化合物より以下のように製造することができる。なお、この一般式(IIIh)の化合物は、Z1、Z2、X1、X2及び環Aの意味に応じて、4−アルキルシクロヘキサノン、4−(4−アルキルシクロヘキシル)シクロヘキサノン、4−ハロゲノベンゼン、4−ハロゲノビフェニルあるいはそのフッ素置換体等から公知の製造方法により製造できるものである。
【0021】
一般式(IIIh)の化合物を、塩化アルミニウム等のルイス酸存在下で、一般式(IVa)あるいは(IVb)
【0022】
【化5】
R2CH2COCl (IVa)
R2CH2COOCOCH2R2 (IVb)
(式中、R2は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)と反応させ、得られたフェニルケトンを還元してアルコールとした後、脱水して一般式(II)で表わされる(1−アルケニル)ベンゼン誘導体を得ることができる。
【0023】
あるいは一般式(IIIh)の化合物をルイス酸存在下で、シュウ酸クロリドと反応させ、得られた酸クロリドを水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)で還元して、一般式(IIIf)
【0024】
【化6】
【0025】
(式中、R1、Z1、Z2、X1、X2及び環Aは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるベンズアルデヒド誘導体とし、これを一般式(V)
【0026】
【化7】
R2−CH=PPh3 (V)
(式中、R2は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるウィッティヒ反応剤と反応させることにより、一般式(II)の化合物を得ることができる。この時、R2が水素原子以外の場合には二重結合はシス配置の化合物が得られるが、これはp−トルエンスルフィン酸等によりトランス配置に異性化することができる。
【0027】
あるいは一般式(II)の化合物は一般式(IIIx)
【0028】
【化8】
【0029】
(式中、R1、Z1、Z2、X1、X2及び環Aは一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Wは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす。)のハロゲン化ベンゼン誘導体から調製された一般式(IIIm)
【0030】
【化9】
【0031】
(式中、R1、Z1、Z2、X1、X2及び環Aは一般式(I)におけると同じ意味を表わし、MはMgCl、MgBr、MgIあるいはLiを表わす。)で表わされる有機金属反応剤に、一般式(VI)
【0032】
【化10】
R2−CH2CHO (VI)
(式中、R2は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるアルデヒドを反応させ、得られたアルコールを脱水することによっても得ることができる。
【0033】
斯くして製造された一般式(I)で表わされる化合物の代表例を第1表に掲げる。
【0034】
【表1】
(表中、Crは結晶相を、Nはネマチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)
第1表から、本発明の一般式(I)の化合物は、液晶相の上限温度が高いものも存在し、単独ではネマチック相を示さない化合物もある。しかしながら、後述のようにこのような化合物を母体液晶に添加した場合、相転移温度を高温域に拡大することができる。これより、一般式(I)の化合物は、潜在的にはかなり高いネマチック相の上限温度(TN−I)を有していると考えられる。
【0035】
本発明に係わる一般式(I)で表わされる化合物は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、特にTN型あるいはSTN型といった電界効果型表示セルの材料として、組成物のしきい値電圧をほとんど上昇させることなく、液晶相の上限温度を上昇させる目的に使用することができ、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として特に適している。
【0036】
この組成物中において、一般式(I)で表わされる化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が側方置換基を有する化合物等を挙げることができる。
【0037】
このうちアクティブマトリックス駆動用としては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物が適している。
【0038】
本発明の一般式(I)の化合物の効果は、後述の実施例にも示したが、以下の例からも明らかである。
ネマチック液晶材料として現在汎用されている母体液晶(A)
【0039】
【化11】
【0040】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)は54.5℃以下でネマチック相を示し、その誘電率異方性(Δε)は+6.7であり、これを用いて作製したTNセルのしきい値電圧(Vth)は1.60Vであった。
【0041】
この母体液晶(A)80重量%及び第1表中の(No.1)の化合物20重量%からなる液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)のネマチック相の上限温度(TN−I)は72.1℃と大きく上昇した。Δεは+6.5とやや小さくなった。また、同様にしてVthを測定したところ、TN−Iが大きく上昇し、Δεが小さくなったにもかかわらず、Vthは1.83Vとその上昇はわずかであった。
【0042】
これに対し、母体液晶(A)80重量%及び(No.1)の化合物と類似構造を有し、Δεが小さく、TN−Iを上昇させる目的で用いられてきた式(R−1)
【0043】
【化12】
【0044】
の化合物20重量%からなる液晶組成物(MR−1)を調製した。この(MR−1)は前述の(M−1)と比較して、TN−Iは76.2℃と高くなり、Δεは+6.1とやや小さくなった。しかしながら、同様にしてVthを測定したところ、1.99Vと大きく上昇していた。
【0045】
次に、ネマチック液晶材料として特にアクティブマトリックス用として好適な母体液晶(B)
【0046】
【化13】
【0047】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)は116.7℃以下でネマチック相を示し、誘電率異方性(Δε)は+4.7であり、これを用いたセル厚8μmのTNセルのしきい値電圧(Vth)は2.43Vであった。
【0048】
この母体液晶(B)70重量%及び第1表中の(No.1)の化合物30重量%からなる液晶組成物(N−1)を調製したところ、TN−Iは127.9℃と大きく上昇し、Δεは+3.8と小さくなった。また、同様にして測定したVthは2.77Vとその上昇は比較的小さかった。さらに、この組成物の比抵抗は1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は非常に高かった。
【0049】
以上の結果から、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、ネマチック液晶相を示す母体液晶に添加することにより、しきい値電圧をほとんど上昇させることなく、しかも、液晶相の上限温度を高温域に拡大できる効果を有することが明らかである。
【0050】
さらに、上記結果から本発明の一般式(I)の化合物自体のΔεは比較的小さいと考えられ、前述の式(1)から、この化合物の弾性定数も比較的小さいと考えられる。
【0051】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)、質量スペクトル(MS)等により確認した。IRにおける(KBr)は錠剤成形による測定を表わす。NMRにおけるCDCl3は溶媒を表わし、Jはカップリング定数を表わす。sは1重線、dは2重線、tは3重線、quintetは5重線を、mは多重線を表わす。また、例えばddは2重の2重線を表わす。MSにおけるM+は親ピークを表わし、( )内はそのピークの相対強度を表わす。組成物中における「%」はすべて「重量%」を表わす。
(参考例) 1−エテニル−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンの合成
【0053】
【化14】
【0054】
(1) 1−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−1−エタノンの合成
無水塩化アルミニウム18.8gのジクロロメタン70ml懸濁液を0℃に冷却し、無水酢酸7.9gを加えて、攪拌溶解した。溶解後、[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼン20gのジクロロメタン35ml溶液を攪拌下、30分間で滴下し、さらに室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水中にあけ、有機層を分離し、水層から反応生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した後、溶媒を溜去して、1−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−1−エタノンの粗結晶22.6gを得た。
(2) 1−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]エタノールの合成
上記(1)で得た1−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−1−エタノンの粗結晶22.6gを、テトラヒドロフラン(THF)35mlに溶解した。これを水素化アルミニウムリチウム2.7gのTHF35ml懸濁液に0℃で30分間で滴下した。さらに室温で1時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて過剰の水素化物を分解し、さらに塩酸を加えて沈澱させ、デカンテーションにより沈澱を除去した。沈澱をトルエンで洗浄し、これに有機層をあわせ、無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥した後に、溶媒を溜去して、1−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]エタノールの粗結晶28gを得た。
(3) 1−エテニル−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンの合成
上記(2)で得た1−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]エタノール28gのトルエン140ml溶液に硫酸水素カリウム1.5gを加え、水を除去しながら4時間加熱還流した。放冷した後、反応液を水にあけ、反応生成物をトルエンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製して、1−エテニル−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼンの白色結晶14.6gを得た。
(実施例1) トランス−1−フルオロ−2−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]シクロプロパン(第1表中のNo.1の化合物)及びシス−1−フルオロ−2−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]シクロプロパン(第1表中のNo.2の化合物)の合成
【0055】
【化15】
【0056】
上記参考例で得た1−エテニル−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ベンゼン1.95g(6.3mmol)のヘキサン20ml溶液に、室温でジエチル亜鉛(2.7M−ヘキサン溶液)4.7ml(12.6mmol)を加え、更にジヨードフルオロメタン3.6g(12.6mmol)を加えた後、一晩攪拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液100mlに注ぎ、反応生成物を酢酸エチル50mlで4回抽出し、抽出液を飽和食塩水50mlで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン)を用いて精製して、トランス−1−フルオロ−2−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]シクロプロパン675mg(収率31%)、及びシス−1−フルオロ−2−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]シクロプロパン630mg(収率29%)を得た。トランス体、シス体共にエタノール20mlから再結晶させて、精製物のトランス体22%、シス体25%を得た。
トランス−1−フルオロ−2−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]シクロプロパン
無色針状晶
相転移温度(℃):Cr168 N173 I
IR(KBr) 2920,2850,1520,1450,1150,1062,970,930,890,822,790cm−1
1H NMR(CDCl3) δ 0.87(t,J=7.2Hz,3H),0.78〜1.21(m,11H),1.05(ddt,J=10.3,7.2and6.1,1H),1.30(quintet,J=6.9Hz,2H),1.33〜1.45(m,2H),1.46(dddd,J=22.8,11.3,7.2and2.8Hz,1H),1.67〜1.93(m,8H),2.37(dddd,J=20.0,11.3,7,2and2.0Hz,1H),2.40(tt,J=12.1and3.2Hz,1H),4.61(dddd,J=64.1,6.1,2.8and2.0Hz,1H),6.95(d,J=8.1Hz,2H),7.11(d,J=8.1Hz,2H)
MS m/z 342(M+,20),162(25),149(33),97(28),83(60),69(100),55(82),41(77)
元素分析:C24H35Fとして
計算値:C,84.16%;H,10.30%
実測値:C,83.89%;H,10.31%
シス−1−フルオロ−2−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]シクロプロパン
無色粉末
融点 159℃
IR(KBr) 2920,2850,1520,1450,1140,1020,975,950,825,780cm−1
1H NMR(CDCl3) δ 0.87(t,J=7.2Hz,3H),0.78〜1.21(m,13H),1.31(quintet,J=7.2Hz,2H),1.17〜1.30(m,2H),1.35〜1.49(m,2H),1.67〜1.96(m,8H),2.03(ddt,J=10.3,8.0and6.1Hz,1H),2.42(tt,J=12.1and3.4Hz,1H),4.75(dddd,J=66.1,9.1,6.2and2.9Hz,1H),7.14(d,J=8.4Hz,2H),7.18(d,J=8.4Hz,2H)
MS m/z 342(M+,34),162(41),149(38),97(35),83(73),69(100),55(65),41(54)
高分解能 MS(M+) C24H35Fとして
計算値(m/z)342.2738
実測値(m/z)342.2740
(実施例2) 液晶組成物の調製(1)
【0057】
【化16】
【0058】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)からなる母体液晶(A)を調製したところ、54.5℃以下でネマチック(N)相を示した。その物性値及びこれを用いて作製したTNセルのしきい値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0059】
N相の上限温度(TN−I) 54.5℃
誘電率異方性(Δε) +6.7
しきい値電圧(Vth) 1.60V
この母体液晶(A)80%及び実施例1で得られた(No.1)の化合物20%からなる液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)のTN−I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
【0060】
N相の上限温度(TN−I) 72.1℃
誘電率異方性(Δε) +6.4
しきい値電圧(Vth) 1.83V
このように、(No.1)の化合物は、組成物のTN−Iを大きく上昇させることができ、しかもしきい値電圧をほとんど上昇させていないことが明らかである。また、このことから、(No.1)の化合物自体のΔεは比較的小さく、前述の式(1)から、弾性定数も比較的小さいものと考えられる。
(比較例1)
母体液晶(A)80%及び(No.1)の化合物の類似構造を有する式(R−1)
【0061】
【化17】
【0062】
の20%からなる液晶組成物(MR−1)を調製した。この(MR−1)のTN− I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
N相の上限温度(TN−I) 76.2℃
誘電率異方性(Δε) +6.1
しきい値電圧(Vth) 1.99V
このように(M−1)と比較すると、TN−Iは高くなったが、Δεは(M−1)よりやや小さくなり、Vthは1.99Vとかなり上昇していた。
【0063】
このことから、式(R−1)の化合物は、(No.1)の化合物に比べて組成物のTN−Iを上昇させているものの、同時にしきい値電圧を更に大きく上昇させてしまう化合物であることが明らかである。
(実施例3) 液晶組成物の調製(2)
ネマチック液晶材料として、特にアクティブマトリックス用として好適な母体液晶(B)
【0064】
【化18】
【0065】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)を調製した。この母体液晶(B)は116.7℃以下でネマチック相を示した。TN−I、Δε及びこれを用いて作製したセル厚8μmのTNセルのしきい値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0066】
N相の上限温度(TN−I) 116.7℃
誘電率異方性(Δε) +4.7
しきい値電圧(Vth) 2.14V
この母体液晶(B)70%及び(No.1)の化合物30%からなる液晶組成物(N−1)を調製した。この(N−1)のTN−I及びVthは以下の通りであった。
【0067】
N相の上限温度(TN−I) 127.9℃
誘電率異方性(Δε) +3.8
しきい値電圧(Vth) 2.77V
このように、(No.1)の化合物は、組成物のTN−Iを更に高温域まで大きく上昇させ、しかもしきい値電圧をほとんど上昇させていない。このことから、(No.1)の化合物自体のΔεは比較的小さく、前述の式(1)から、弾性定数も比較的小さいものと考えられる。また、上記(N−1)の比抵抗を測定したところ、1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は非常に高かった。
【0068】
従って、(No.1)の化合物は、アクティブマトリックス駆動用液晶材料として、温度範囲が極めて広く、比較的しきい値電圧の低い液晶組成物を調製する上で極めて有用である。
(実施例4) 化合物の熱安定性試験
実施例2で得た(No.1)の化合物をアンプルに封入し、100℃の定温器内に24時間放置した。放冷後、内容物をヘキサンに10%溶解し、その比抵抗を測定したところ、加熱試験前のサンプルを用いて同様に測定した比抵抗と全く変化がなかった。また、キャピラリーガスクロマトグラフでその純度を測定したところ、不純物は全く生成していなかった。
【0069】
【発明の効果】
本発明に係わる一般式(I)で表わされる化合物は、実施例に示したように工業的にも容易に製造でき、熱、光、水等に対し、化学的に非常に安定である。また、誘電率異方性が比較的小さく、ネマチック液晶として現在汎用されている母体液晶との相溶性にも優れている。従って、この化合物は添加することによって、組成物のしきい値電圧(Vth)をあまり上昇させることなく、液晶相の上限温度を大きく上昇させることが可能である。従って、液晶相の温度範囲が広く、かつ低電圧駆動が要求される各種液晶表示素子、特にアクティブマトリックス駆動用の液晶材料として非常に有用である。
Claims (4)
- R2が水素原子であり、環Aが1,4−シクロヘキシレン基である請求項1記載の化合物。
- Z1及びZ2が共に単結合であり、X1及びX2が共に水素原子である請求項1 又は2記載の化合物。
- 請求項1記載の一般式(I)で表わされる化合物を含有する液晶組成物。
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JPH07247228A JPH07247228A (ja) | 1995-09-26 |
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1994
- 1994-03-11 JP JP04098694A patent/JP3575049B2/ja not_active Expired - Lifetime
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