JP3797433B2 - ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体 - Google Patents

ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体 Download PDF

Info

Publication number
JP3797433B2
JP3797433B2 JP20680994A JP20680994A JP3797433B2 JP 3797433 B2 JP3797433 B2 JP 3797433B2 JP 20680994 A JP20680994 A JP 20680994A JP 20680994 A JP20680994 A JP 20680994A JP 3797433 B2 JP3797433 B2 JP 3797433B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
liquid crystal
carbon atoms
compound represented
trans
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP20680994A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0867647A (ja
Inventor
真治 小川
貞夫 竹原
晴義 高津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP20680994A priority Critical patent/JP3797433B2/ja
Publication of JPH0867647A publication Critical patent/JPH0867647A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3797433B2 publication Critical patent/JP3797433B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用な、ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体である新規液晶性化合物、及びそれを含有する液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知られているが、このうち現在最もよく用いられているのはTN型及びSTN型である。また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。これらのうち、アクティブマトリックス方式によると、最も高画質の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化及びカラー化が容易で、動画表示も可能であるので、今後の液晶表示方式の主流になると考えられている。
【0003】
このアクティブマトリックス表示方式に用いられる液晶材料としては、通常の液晶表示と同様に、種々の特性が要求されているが、特に以下の4点は重要である。(1)比抵抗が高く、電圧の保持率に優れること。(2)閾値電圧(Vth)が低いこと。(3)温度範囲が広いこと。(4)適当な屈折率異方性(Δn)を有すること。
【0004】
通常、液晶表示における閾値電圧は式(1)
【0005】
【数1】
Figure 0003797433
【0006】
(式中、kは比例定数を、Kは弾性定数を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。)で表わされるが、この式からわかるように閾値電圧を低下させるためには、液晶材料の弾性定数を小さくするか、あるいは誘電率異方性を大きくする必要がある。
【0007】
誘電率異方性の大きい液晶化合物は一般にシアノ基を有するものが多く、液晶材料の高い比抵抗値や高い電圧保持率を得ることを困難にさせる傾向を有する。そこで、シアノ基を有する化合物に匹敵するように誘電率異方性を大きくするためには、液晶骨格中に多数のフッ素原子を導入した液晶材料が用いられている。しかしながら、液晶分子に4個以上のフッ素を効果的に導入するためには、骨格中に通常2個以上のベンゼン環が必要であり、このような構造を有する化合物では屈折率異方性が大きくなりすぎる傾向にあり、また他の液晶化合物との相溶性が悪いために析出、相分離を生じやすく、温度範囲の広い組成物を得ることが困難であった。
【0008】
そのため、閾値電圧を低下させるためには、液晶材料の弾性定数を小さくすることが考えられる。しかしながら、弾性定数の小さい化合物は一般に2環性であり、添加によって、組成物の液晶相の上限温度を大幅に低下させてしまう傾向を有するものがほとんどである。そこで、3環性あるいは4環性の液晶相の上限温度の高い化合物を添加することが考えられる。しかしながら、このような化合物の添加により液晶組成物の液晶相の上限温度は上昇するものの、上限温度の高い化合物は弾性定数の大きいものが多く、添加により閾値電圧を上昇させる傾向を有している。
【0009】
一方、液晶相を示す温度範囲が低下することなく、閾値電圧を低下させることのできる化合物として、トリフルオロフェニル基を有する化合物が知られている。しかしながら、この誘導体では、組成物の閾値電圧の低下は充分とは言えなかった。
【0010】
また、液晶表示素子においては干渉縞の発生を避けるため、屈折率異方性(Δn)とセル厚(d)との積(Δn・d)を特定の値に設定する必要があるが、アクティブマトリックス表示方式では通常、いわゆるファーストミニマムの条件(Δn・d=0.5)が用いられることが多い。この表示方式を用いた場合、セルの厚さはある程度以上薄くすることは技術的に困難であるので、屈折率異方性が小さい化合物が必要であり、組成物としての屈折率異方性は、0.08前後に調整する必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、化学的に安定であって、添加により液晶材料の液晶相の上限温度の低下をおさえ、閾値電圧を効果的に低下させ、屈折率異方性を小さくする新規液晶化合物を提供することにある。
【0012】
更に、その化合物を含有し、液晶相の温度範囲が広く、閾値電圧が低く、且つ屈折率異方性の小さい液晶組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(I)
【0014】
【化2】
Figure 0003797433
【0015】
(式中、R1は炭素原子数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシル基で置換された炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、環A及び環Bはそれぞれ独立的にフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基又はピリダジン−3,6−ジイル基を表わし、Y1及びY2はそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−(CH24−又は−C≡C−を表わし、mは0又は1を表わし、X1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Z1はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、水素原子、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、−R2又は−OR2を表わし、R2は炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基又は、炭素原子数2〜12の直鎖状アルケニル基を表わし、Z2はフッ素原子又は塩素原子を表わす。)で表わされる化合物を提供する。
【0016】
本発明に係わる一般式(I)のうち、R1が炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2〜12の直鎖状アルケニル基を表わし、環A及び環Bがそれぞれ独立的にフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表わし、Y1及びY2がそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−又は−C≡C−を表わし、Z1がフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、水素原子、R2又は−OR2を表わし、R2は炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基であることを特徴とする前記一般式(I)で表わされる化合物が好ましい。
【0017】
この中でも、R1が炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2〜7の直鎖状アルケニル基を表わし、環Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、環Bがフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表わし、Y1が単結合、−CH2CH2−又は−C≡C−を表わし、Y2が単結合であることを特徴とする前記一般式(I)の化合物が好ましい。
【0018】
更には、環A及び環Bが共にトランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、Y1及びY2が共に単結合であり、X1及びX3が共に水素原子であり、Z1がフッ素原子、トリフルオロメトキシ基又は水素原子を表わすことを特徴とする前記一般式(I)の化合物がより好ましい。
【0019】
更に詳細には、(1)X2、X4及びZ2のうち、少なくとも2個がフッ素原子である化合物が好ましく、(1a)X4及びZ2が共にフッ素原子であることが特に好ましい。この中でも、(1a−▲1▼)X2及びZ1のうち、少なくとも1個がフッ素原子であることが好ましく、このとき、R1が炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基であることがより好ましい。あるいは(1a−▲2▼)X2が塩素原子であり、Z1が水素原子又はトリフルオロメトキシ基であることが好ましく、このとき、mが1であることが好ましく、更に、R1が炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基であることが好ましい。
【0020】
これとは別に前述の(1)において、(1b)X2及びX4が共にフッ素原子であることが好ましく、このとき、Z2が塩素原子であり、且つZ1がフッ素原子であることが好ましく、更に、mは1であることが好ましく、R1が炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基であることがより好ましい。
【0021】
一般式(I)の化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。即ち、一般式(II)
【0022】
【化3】
Figure 0003797433
【0023】
(式中、R1、環A、環B、X4、Y1、Y2、Z2及びmは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる化合物及び一般式(III)
【0024】
【化4】
Figure 0003797433
【0025】
(式中、X1、X2、X3及びZ1は一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるベンジルアルコール誘導体を塩基存在下にアルコラートとして反応させることにより製造することができる。
【0026】
反応は非プロトン性極性溶媒中で行うことが好ましく、特にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましい。
塩基としてはナトリウム等のアルカリ金属、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、ブチルリチウム等の有機金属化合物、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の金属アミド、t−ブトキシカリウム等のアルコラート等を用いることができる。
【0027】
あるいは一般式(I)の化合物は、一般式(IV)
【0028】
【化5】
Figure 0003797433
【0029】
(式中、R1、環A、環B、X4、Y1、Y2、Z2及びmは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる化合物を、塩基存在下にアルコラートとして、これを一般式(V)
【0030】
【化6】
Figure 0003797433
【0031】
(式中、X1、X2、X3及びZ1は一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Wは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす。)で表わされるベンジルハライドと反応させることによっても得ることができる。ここで一般式(IV)の化合物は、例えば一般式(II)の化合物とt−ブトキシカリウムを反応させること等により得ることができる。
【0032】
斯くして製造される一般式(I)で表わされる化合物の代表例を第1表に掲げる。
【0033】
【表1】
Figure 0003797433
【0034】
(表中、C1及びC2はそれぞれ異なる結晶相を、Nはネマチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)
第1表からわかるように、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、化合物単独では液晶相を示さないものが多い。これは一般式(I)が、2,3−ジ置換−1,5−フェニレン基という極めて折れ曲がった構造を骨格中に有することによる。通常の液晶化合物はその中心骨格が、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基に代表されるように、極めて直線性に優れた環構造から構成され、一般式(I)のような構造を有する化合物はこれまでほとんど注目されていなかった。しかしながら、一般式(I)で表わされる化合物は、後述するように、通常の母体液晶との相溶性には非常に優れており、添加した際の液晶相の上限温度はさほど低下しない。しかも、母体液晶に添加した場合、組成物の閾値電圧を極めて効果的に低下させることが可能であり、更に分子内にベンゼン環を少なくとも2個含有しているにもかかわらず、屈折率異方性が比較的小さい等の特徴を有している。
【0035】
従って、一般式(I)で表わされる化合物は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、特にTN型あるいはSTN型といった電界効果型表示セルの材料として、好適に使用することができる。しかも、一般式(I)で表わされる化合物は、その分子内にシアノ基やエステル結合などの強い極性基を有さないため、大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易であり、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として特に適している。
【0036】
本発明はこのように一般式(I)で表わされる化合物の少なくとも1種類をその構成成分として含有する液晶組成物をも提供する。
この組成物中において、一般式(I)で表わされる化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が側方置換基を有する化合物等を挙げることができる。
【0037】
このうちアクティブマトリックス駆動用としては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物が適している。
【0038】
一般式(I)の化合物の効果は、例えば以下の例からも明らかである。
ネマチック液晶材料として現在汎用されている母体液晶(A)
【0039】
【化7】
Figure 0003797433
【0040】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)は54.5℃以下でネマチック相を示し、その誘電率異方性(Δε)は+6.7であり、これを用いて作製したTNセルの閾値電圧(Vth)は1.60Vであった。また、屈折率異方性(Δn)は0.092であった。
【0041】
この母体液晶(A)85重量%及び第1表中の(No.3)の化合物15重量%からなる液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)のネマチック相の上限温度(TN-I)は37.6℃であり、Δεは+6.8とわずかに大きくなった。また、同様にしてVthを測定したところ、1.05Vと約35%も低くなった。また、Δnは0.076と小さくなった。
【0042】
これに対し、母体液晶(A)85重量%、及び第1表中の(No.3)の化合物と類似構造を有するテトラフルオロビフェニル誘導体である式(R−1)
【0043】
【化8】
Figure 0003797433
【0044】
で表わされる化合物15重量%からなる液晶組成物(N−1)を調製した。この(N−1)は、前述の(M−1)と比較して、TN-Iは52.7℃と高くなり、Δεは+7.5と大きくなった。しかしながら、同様にしてVthを測定したところ1.45Vと、Δεが大きいにもかかわらず30%程度の低減効果しかなかった。また、Δnは0.095と大きくなった。
【0045】
次に、母体液晶(A)85重量%、及び(No.3)の化合物と類似構造を有する3,4,5−トリフルオロフェニル基を有する式(R−2)
【0046】
【化9】
Figure 0003797433
【0047】
で表わされる化合物15重量%からなる液晶組成物(N−2)を調製した。この(N−2)は、前述の(M−1)と比較して、TN-Iは59.2℃と高くなり、Δεは+7.3と大きくなった。しかしながら、同様にしてVthを測定したところ、1.58Vと高くなった。また、このΔnは0.092と大きくなり、母体液晶(A)と比較しても変化がなかった。
【0048】
次に、この母体液晶(A)85重量%、及び第1表中の(No.6)の化合物15重量%からなる液晶組成物(M−2)を調製した。母体液晶(A)と比較して、この(M−2)のTN-Iは45.9℃とわずかに低下したが、Δεは8.7とかなり大きくなった。しかも、同様にしてVthを測定したところ、1.14Vと約30%も低下した。また、Δnは0.087と小さくなった。
【0049】
これに対し、母体液晶(A)85重量%、及び(No.6)の化合物と類似構造を有するペンタフルオロ誘導体である式(R−3)
【0050】
【化10】
Figure 0003797433
【0051】
で表わされる化合物15重量%からなる液晶組成物(N−3)を調製した。この(N−3)は、前述の(M−2)と比較して、TN-Iは63℃と高くなり、Δεは+8.5と小さくなった。しかも、同様にしてVthを測定したところ、1.54Vとかなり高くなった。また、Δnは0.089と大きくなった。
【0052】
次に、この母体液晶(A)85重量%、及び第1表中の(No.8)の化合物15重量%からなる液晶組成物(M−3)を調製した。この(M−3)のTN-Iは46℃とわずかに低下したが、Δεは7.8と大きくなった。しかも、同様にしてVthを測定したところ、1.21Vと約25%も低下した。また、Δnは0.084と小さくなった。
【0053】
これに対し、母体液晶(A)85重量%、及び(No.8)の化合物と類似構造を有するトリフルオロメトキシ誘導体である式(R−4)
【0054】
【化11】
Figure 0003797433
【0055】
で表わされる化合物15重量%からなる液晶組成物(N−4)を調製した。この(N−4)は、前述の(M−3)と比較して、TN-Iは49℃とわずかに高くなった。しかしながら、Δεは7.4と小さくなり、同様にしてVthを測定したところ、1.45Vとかなり高くなった。また、Δnは0.092であった。
【0056】
以上の結果から、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、通常の母体液晶に少量添加することにより、液晶相の上限温度をあまり低下させることなく、閾値電圧を効果的に低下させ、且つ屈折率異方性を低くする効果を有することが明らかである。
【0057】
次に、ネマチック液晶材料として現在汎用されている母体液晶(B)
【0058】
【化12】
Figure 0003797433
【0059】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)は116.7℃以下でネマチック相を示し、誘電率異方性(Δε)は+4.7であり、これを用いて作製したセル厚6μmのTNセルの閾値電圧(Vth)は2.14Vであった。また、屈折率異方性(Δn)は0.090であった。
【0060】
この母体液晶(B)85重量%、及び第1表中の(No.3)の化合物15重量%からなる液晶組成物(M−4)を調製した。母体液晶(B)と比較して、この(M−4)のTN-Iは76.4℃と低くなったが、Δεは6.7と大きくなった。同様にしてVthを測定したところ、1.36Vと40%近くも低下した。また、Δnは0.079と0.011も小さくなった。更に、この組成物の比抵抗を測定したところ1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は高いものであった。
【0061】
これに対し、母体液晶(B)85重量%、及び(No.3)の化合物と類似構造を有する前述の式(R−1)で表わされる化合物15重量%からなる液晶組成物(N−5)を調製した。この(N−5)は、前述の(M−4)と比較して、TN-Iは107℃と高くなった。しかしながら、Δεは6.1と小さくなり、同様にしてVthを測定したところ1.90Vであり0.54Vも高くなった。また、Δnは0.090であった。
【0062】
次に、この母体液晶(B)85重量%、及び第1表中の(No.6)の化合物15重量%からなる液晶組成物(M−5)を調製した。母体液晶(B)と比較して、この(M−5)のTN-Iは100.5℃とやや低くなったが、Δεは7.1と大きくなった。同様にしてVthを測定したところ、1.52Vと約30%も低下した。また、Δnは0.085と小さくなった。更に、この組成物の比抵抗を測定したところ、1012cm以上と大きく、このセルの電圧保持率は非常に高いものであった。
【0063】
これに対し、母体液晶(B)85重量%、及び(No.6)の化合物と類似構造を有する式(R−3)で表わされる化合物15重量%からなる液晶組成物(N−6)を調製した。この(N−6)は前述の(M−5)と比較して、TN-Iは122.4℃と高くなった。しかしながら、Δεは+6.4と小さくなり、同様にしてVthを測定したところ、1.89Vであり、0.36Vも高くなった。また、Δnは0.093であった。
【0064】
以上の結果からも、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、汎用されている液晶材料に添加することにより、液晶相の上限温度をあまり低下させずに、閾値電圧を大きく低下させ、屈折率異方性を低くする効果を有することが明らかである。
【0065】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)、質量スペクトル(MS)等により確認した。NMRにおけるCDCl3は溶媒を表わし、sは1重線、dは2重線、tは3重線、mは多重線を表わし、また例えばttは3重の3重線を表わし、Jはカップリング定数を表わす。MSにおけるM+は親ピークを表わす。( )内はそのピークの相対強度を表わす。組成物における「%」は「重量%」を表わす。
(実施例1) 1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中のNo.3の化合物)の合成
【0067】
【化13】
Figure 0003797433
【0068】
3,4−ジフルオロベンジルアルコール(この化合物は1−ブロモ−3,4−ジフルオロベンゼンとマグネシウムから調製したグリニヤール反応剤にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を反応させ、反応生成物である3,4−ジフルオロベンズアルデヒドを水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより得られた。)13.35gのDMF40ml溶液を0℃で冷却し、冷却後、カリウム−t−ブトキシド12.12gを加え、同温度で更に30分間攪拌した。これに、DMF30ml及びテトラヒドロフラン(THF)10mlで溶解した1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンゼン15℃で滴下し、更に室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え、有機層を分離し、水層から反応生成物を稀塩酸で中和し、ヘキサンで抽出し有機層をあわせた。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した後、溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=9/1)を用いて精製して、1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼン16.9gを得た。更にエタノールから再結晶させて精製したものの相転移温度を測定したところ、結晶相からの昇温時58℃で等方性液体相に転移した。
【0069】
NMR:δ=0.90(t,3H,J=7.6Hz)、δ=1.02(m,2H)、δ=1.18〜1.37(m,7H)、δ=1.85(m,4H)、δ=2.35(tt,1H,J=12Hz,3Hz)、δ=5.06(s,2H)、δ=6.59〜6.62(m,1H)、δ=6.64〜6.67(m,1H)、δ=7.15〜7.21(m,2H)、δ=7.25〜7.30(m,1H)
MS:m/e=380(M+
(実施例2) 1−(3−フルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中のNo.1の化合物)の合成
実施例1において、3,4−ジフルオロベンジルアルコールに換えて、3−フルオロベンジルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、1−(3−フルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
(実施例3) 1−(4−フルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中のNo.2の化合物)の合成
実施例1において、3,4−ジフルオロベンジルアルコールに換えて、4−フルオロベンジルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、1−(4−フルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
(実施例4) 1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−ビニルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中のNo.4の化合物)の合成
【0070】
【化14】
Figure 0003797433
【0071】
実施例1において、1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンゼンに換えて、1−(トランス−4−ビニルシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンゼンを用いた他は全く同様にして、1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−(トランス−4−ビニルシクロヘキシル)−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
(実施例5) 1−ベンジルオキシ−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中のNo.5の化合物)の合成
【0072】
【化15】
Figure 0003797433
【0073】
実施例1において、3,4−ジフルオロベンジルアルコールに換えて、ベンジルアルコールを用い、1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンゼンに換えて、1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンを用いた以外は実施例1と同様にして、1−ベンジルオキシ−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
(実施例6) 1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中のNo.6の化合物)の合成
実施例1において、1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンゼンに換えて、1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンを用いた以外は実施例1と同様にして、1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
(実施例7) 1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2−クロロ−3−フルオロベンゼン(第1表中のNo.7の化合物)の合成
【0074】
【化16】
Figure 0003797433
【0075】
実施例6において、1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンに換えて、1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−4−クロロ−3,5−ジフルオロベンゼンを用いた以外は実施例1と同様にして、1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2−クロロ−3−フルオロベンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
(実施例8) 1−(4−トリフルオロメトキシベンジルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中のNo.8の化合物)の合成
【0076】
【化17】
Figure 0003797433
【0077】
実施例6において、3,4−ジフルオロベンジルアルコールに換えて、4−トリフルオロメトキシベンジルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、1−(4−トリフルオロメトキシベンジルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
(実施例9) 液晶組成物の調製(1)
【0078】
【化18】
Figure 0003797433
【0079】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)からなる母体液晶(A)を調製したところ、54.5℃以下でネマチック(N)相を示した。20℃における物性値及びこれを用いて作製したTNセルの閾値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0080】
N相の上限温度(TN-I) 54.5℃
誘電率異方性(Δε) 6.7
屈折率異方性(Δn) 0.092
閾値電圧(Vth) 1.60V
この母体液晶(A)85%、及び実施例1で得られた(No.3)の化合物15%からなる液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
【0081】
N相の上限温度(TN-I) 37.6℃
誘電率異方性(Δε) 6.8
屈折率異方性(Δn) 0.076
閾値電圧(Vth) 1.05V
このようにTN-Iは若干低下したものの、閾値電圧は0.55Vも低下した。また、Δnも0.016と小さくなった。
(比較例1)
母体液晶(A)85%、及び(No.3)の化合物と類似構造を有する式(R−1)
【0082】
【化19】
Figure 0003797433
【0083】
で表わされる化合物15重量%からなる液晶組成物(N−1)を調製した。この(N−1)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
N相の上限温度(TN-I) 52.7℃
誘電率異方性(Δε) 7.5
屈折率異方性(Δn) 0.095
閾値電圧(Vth) 1.45V
このように(M−1)と比較して、TN-Iは高くなり、Δεは大きくなった。しかしながら、Vthは1.45Vとかなり高くなった。また、Δnは大きくなった。
(比較例2)
母体液晶(A)85%及び(No.3)の化合物と類似構造を有する式(R−2)
【0084】
【化20】
Figure 0003797433
【0085】
で表わされる化合物15%からなる液晶組成物(N−2)を調製した。この(N−2)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
N相の上限温度(TN-I) 59.2℃
誘電率異方性(Δε) 7.3
屈折率異方性(Δn) 0.092
閾値電圧(Vth) 1.58V
このように(M−1)と比較して、TN-Iは高くなり、Δεも大きくなった。しかしながら、Vthは高くなっており、Δnも大きくなった。
【0086】
以上のように、(No.1)の化合物を添加することにより、組成物の閾値電圧を大きく低下させることができた。また、屈折率異方性も低下させることができた。
(実施例10) 液晶組成物の調製(2)
母体液晶(A)85%、及び(No.6)の化合物15%からなる液晶組成物(M−2)を調製した。この(M−2)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
N相の上限温度(TN-I) 45.9℃
誘電率異方性(Δε) 8.7
屈折率異方性(Δn) 0.087
閾値電圧(Vth) 1.14V
このように、TN-Iは若干低下したものの、Δεが大きくなり、閾値電圧も0.46V低下させることができた。また、Δnも0.005小さくなった。
(比較例3)
母体液晶(A)85%、及び(No.6)の化合物と類似構造を有する式(R−3)
【0087】
【化21】
Figure 0003797433
【0088】
で表わされる化合物15%からなる液晶組成物(N−3)を調製した。この(N−3)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
N相の上限温度(TN-I) 63.0℃
誘電率異方性(Δε) 8.5
屈折率異方性(Δn) 0.098
閾値電圧(Vth) 1.54V
このように(M−2)と比較して、TN-Iは高くなり、Δεは大きくなった。しかしながら、Vthはかなり高くなった。また、Δnも大きくなった。
(実施例11) 液晶組成物の調製(3)
母体液晶(A)85%、及び(No.8)の化合物15%からなる液晶組成物(M−3)を調製した。この(M−3)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
【0089】
N相の上限温度(TN-I) 46.0℃
誘電率異方性(Δε) 7.8
屈折率異方性(Δn) 0.084
閾値電圧(Vth) 1.21V
このように、TN-Iは若干低下したものの、Δεが大きくなり、閾値電圧も低下させることができた。また、Δnも小さくなった。
(比較例4)
母体液晶(A)85%、及び(No.8)の化合物と類似構造を有する式(R−4)
【0090】
【化22】
Figure 0003797433
【0091】
で表わされる化合物15%からなる液晶組成物(N−4)を調製した。この(N−4)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
N相の上限温度(TN-I) 49.0℃
誘電率異方性(Δε) 7.4
屈折率異方性(Δn) 0.092
閾値電圧(Vth) 1.45V
このように(M−3)と比較して、TN-Iは高くなり、Δεは大きくなった。しかしながら、Vthはかなり高くなった。また、Δnも大きくなった。
(実施例12) 液晶組成物の調製(4)
【0092】
【化23】
Figure 0003797433
【0093】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)からなり、特にアクティブマトリックス用として好適なフッ素系の母体液晶(B)を調製したところ、116.7℃以下でネマチック(N)相を示した。その物性値及びこれを用いて作製したセル厚6μmのTNセルの閾値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0094】
N相の上限温度(TN-I) 116.7℃
誘電率異方性(Δε) 4.7
屈折率異方性(Δn) 0.090
閾値電圧(Vth) 2.14V
この母体液晶(B)85%、及び(No.3)の化合物15%からなる液晶組成物(M−4)を調製した。この(M−4)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
【0095】
N相の上限温度(TN-I) 76.4℃
誘電率異方性(Δε) 6.7
屈折率異方性(Δn) 0.079
閾値電圧(Vth) 1.36V
このように、ネマチック相の上限温度はやや低くなったが、Δεはかなり大きくなった。しかも、Vthは0.78Vと約36%低減させることができた。また、Δnは0.079とかなり小さくなった。更に、この組成物の比抵抗を測定したところ1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は非常に高かった。(比較例5)
母体液晶(B)85%、及び前述の式(R−1)の化合物15%からなる液晶組成物(N−5)を調製した。この(N−5)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
【0096】
N相の上限温度(TN-I) 107.0℃
誘電率異方性(Δε) 6.1
屈折率異方性(Δn) 0.090
閾値電圧(Vth) 1.90V
このように(M−2)と比較して、TN-Iは高くなったが、Δεは小さくなり、Vthは高くなった。また、Δnは大きくなった。
【0097】
したがって、(No.3)の化合物はアクティブマトリックス用液晶材料として、液晶相の上限温度をあまり低下させずに、閾値電圧が低く、屈折率異方性の小さい液晶組成物の調製に極めて有効であることが明らかである。
(実施例13) 液晶組成物の調製(5)
母体液晶(B)85%、及び(No.6)の化合物15%からなる液晶組成物(M−5)を調製した。この(M−5)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
【0098】
N相の上限温度(TN-I) 100.5℃
誘電率異方性(Δε) 7.1
屈折率異方性(Δn) 0.085
閾値電圧(Vth) 1.52V
このように、TN-Iは若干低下したものの、Δεが大きくなり閾値電圧は0.38Vも低減した。また、Δnも小さくなった。更に、この組成物の比抵抗を測定したところ1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は高いものであった。
(比較例6)
母体液晶(B)85%、及び前述の式(R−2)の化合物15%からなる液晶組成物(N−6)を調製した。この(N−6)のTN-I、Δε及び同様にして測定したVthは以下の通りであった。
【0099】
N相の上限温度(TN-I) 122.4℃
誘電率異方性(Δε) 6.4
屈折率異方性(Δn) 0.093
閾値電圧(Vth) 1.89V
このように(M−5)と比較すると、TN-Iはやや高くなり、Δεは小さくなった。しかしながら、Vthは0.37Vも高くなり、Δnも大きくなった。
【0100】
したがって、(No.6)の化合物はアクティブマトリックス用液晶材料として、液晶相の上限温度をあまり低下させずに、閾値電圧が低く、屈折率異方性の小さい液晶組成物の調製に極めて有効であることが明らかである。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係わる一般式(I)で表わされる化合物は、実施例に示したように工業的にも極めて容易に製造でき、熱、光、水等に対し、化学的に安定である。また、誘電率異方性及び屈折率異方性が比較的小さく、ネマチック液晶として現在汎用されている母体液晶との相溶性にも優れている。従って、この化合物を添加することによって、組成物の液晶相の上限温度を大きく低下させることなく、閾値電圧を効果的に低下させ、屈折率異方性の小さくすることが可能である。また、化合物の分子内に強い極性基が存在せず、容易に大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることができる。従って、温度範囲が広く、かつ低電圧駆動が要求される各種液晶表示素子、特にアクティブマトリックス駆動用の液晶材料として非常に有用である。

Claims (14)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003797433
    (式中、R1は炭素原子数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数3〜16のアルケニルオキシ基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシル基で置換された炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、環A及び環Bはそれぞれ独立的にフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基又はピリミジン−2,5−ジイル基を表わし、1及びY2はそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−(CH24−又は−C≡C−を表わし、mは0又は1を表わし、X1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Z1はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、水素原子、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、−R2又は−OR2を表わし、R2は炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基又は、炭素原子数2〜12の直鎖状アルケニル基を表わし、Z2はフッ素原子又は塩素原子を表わす。)で表わされる化合物。
  2. 1が炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2〜12の直鎖状アルケニル基を表わし、環A及び環Bがそれぞれ独立的にフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表わし、Y1及びY2がそれぞれ独立的に単結合、−CH2CH2−又は−C≡C−を表わし、Z1がフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、水素原子、R2又は−OR2を表わし、R2は炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基であることを特徴とする請求項1記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  3. 1が炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2〜7の直鎖状アルケニル基を表わし、環Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、環Bがフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表わし、Y1が単結合、−CH2CH2−又は−C≡C−を表わし、Y2が単結合であることを特徴とする請求項2記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  4. 環A及び環Bが共にトランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、Y1及びY2が共に単結合であり、X1及びX3が共に水素原子であり、Z1がフッ素原子、トリフルオロメトキシ基又は水素原子を表わすことを特徴とする請求項3記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  5. 2、X4及びZ2のうち、少なくとも2個がフッ素原子であることを特徴とする請求項4記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  6. 4及びZ2が共にフッ素原子であることを特徴とする請求項5記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  7. 2及びZ1のうち、少なくとも1個がフッ素原子であることを特徴とする請求項6記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  8. 2が塩素原子であり、Z1が水素原子又はトリフルオロメトキシ基であることを特徴とする請求項6記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  9. 2及びX4が共にフッ素原子であることを特徴とする請求項5記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  10. 2が塩素原子であり、Z1がフッ素原子であることを特徴とする請求項9記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  11. mが1であることを特徴とする請求項8又は10記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  12. 1が炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基であることを特徴とする請求項7又は11記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  13. 1が炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基であることを特徴とする請求項7記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  14. 請求項1乃至13記載の一般式(I)で表わされる化合物を含有する液晶組成物。
JP20680994A 1994-08-31 1994-08-31 ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体 Expired - Fee Related JP3797433B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20680994A JP3797433B2 (ja) 1994-08-31 1994-08-31 ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20680994A JP3797433B2 (ja) 1994-08-31 1994-08-31 ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0867647A JPH0867647A (ja) 1996-03-12
JP3797433B2 true JP3797433B2 (ja) 2006-07-19

Family

ID=16529453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20680994A Expired - Fee Related JP3797433B2 (ja) 1994-08-31 1994-08-31 ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3797433B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002205974A (ja) * 2000-12-12 2002-07-23 Merck Patent Gmbh バナナ形状重合性メソゲン化合物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0867647A (ja) 1996-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3975562B2 (ja) 誘電率異方性値が負の液晶性化合物、この液晶性化合物を含有する液晶組成物、及びこの液晶組成物を用いた液晶表示素子
JP3991398B2 (ja) 誘電率異方性値が負の液晶性化合物、この液晶性化合物を含有する液晶組成物、及びこの液晶組成物を用いた液晶表示素子
JPH0673041A (ja) テトラヒドロフラン誘導体
JP3797435B2 (ja) 5−置換アルコキシベンゼン誘導体
JP3797433B2 (ja) ベンジル(5−置換フェニル)エーテル誘導体
JP4193077B2 (ja) 1,3−フェニレン誘導体
EP0390329B1 (en) Pyrimidine derivative
JPH1143450A (ja) 新規アルケニルビフェニル誘導体
JP3716436B2 (ja) 5−置換アルキルベンゼン誘導体
JP4385202B2 (ja) フェニルデカヒドロナフタレン誘導体
US6013198A (en) Liquid crystalline compound replaced by fluorine containing group, liquid crystal composition, and liquid crystal display device
JP4151115B2 (ja) 光学活性化合物
JP3797436B2 (ja) 光学活性化合物
JP3668991B2 (ja) アルキルベンゼン誘導体
JP3668990B2 (ja) 3−置換フェニルアセチレン誘導体
JP4239242B2 (ja) フェニルナフタレン誘導体
JP4437284B2 (ja) アルケニルビフェニル誘導体を含有する液晶組成物
JP3741284B2 (ja) インダン化合物を含有するネマチック液晶組成物
JP3613806B2 (ja) フェニルビシクロヘキサン誘導体
JPH09291048A (ja) シクロヘキサン誘導体
JP3433756B2 (ja) ジフルオロシクロプロパン誘導体
JPH06247885A (ja) 4−アルキル−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体
JP3575049B2 (ja) フルオロシクロプロパン誘導体及び液晶組成物
JPH06122636A (ja) 4−フルオロアルキルベンゼン誘導体
JP3994460B2 (ja) 新規化合物及びこれを用いた液晶組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050519

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050606

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050615

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050719

A072 Dismissal of procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A073

Effective date: 20050728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060412

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees