JPH09328443A - ジアルケニルビフェニル誘導体 - Google Patents

ジアルケニルビフェニル誘導体

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JPH09328443A
JPH09328443A JP8145706A JP14570696A JPH09328443A JP H09328443 A JPH09328443 A JP H09328443A JP 8145706 A JP8145706 A JP 8145706A JP 14570696 A JP14570696 A JP 14570696A JP H09328443 A JPH09328443 A JP H09328443A
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Shinji Ogawa
真治 小川
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(Ia) 【化1】 (R、R’:H、C数1〜5のアルキル基、R及び/又
はR’がアルキル基の場合、隣接する二重結合はシス又
はトランス配置、m、n:m≦n、2〜8)で表わされ
る化合物及びこれを含有する液晶組成物。 【効果】 この化合物は屈折率異方性が大きく、さらに
対応する両側鎖が直鎖状アルキル基あるいは片方の側鎖
がアルケニル基であるビフェニル誘導体と比較しても低
粘性であり、組成物に添加した場合の応答性の改善効果
が大きく、ネマチック相上限温度の低下度合いも少な
い。また、工業的にも容易に製造でき、化学的にも極め
て安定である。従って、高速応答性を必要とする実用的
液晶表示用材料として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規液晶性化合物で
ある、ジアルケニルビフェニル誘導体、より詳しくは4
−アルケニル−4’−アルケニルビフェニル及びそれを
含有する液晶組成物に関する。これらは電気光学的液晶
表示用、特にネマチック液晶表示用材料として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等があ
り、また駆動方式としても従来のスタティック駆動から
マルチプレックス駆動が一般的になり、さらに単純マト
リックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が
実用化されている。 これらの表示方式や駆動方式に応
じて、液晶材料としても種々の特性が要求されている
が、高速応答性は中でも非常に重要な特性である。応答
の高速化のためには直接的には(i)粘性を小さくする
か、あるいは(ii)弾性定数を大きくすることが必要
であるが、弾性定数を大きくすると閾値電圧が上昇する
ことが多いので粘性を小さくすることが効果的である。
【0003】液晶材料の粘性を小さくするためには、液
晶組成物中に粘性の小さい液晶性化合物(いわゆる減粘
剤)を適量添加することが一般的である。減粘剤として
は通常、2環性のn型液晶性化合物が用いられることが
多いが、液晶組成物に添加した場合にそのネマチック相
上限温度(TN-I)をあまり低下させないならば、化合物
単独では必ずしもネマチック液晶性を示す必要はない。
【0004】応答の高速化には液晶材料の屈折率異方性
も重要な物性である。液晶素子応答を高速化するために
は、素子のセル厚を薄くすることが最も効果的である
が、干渉縞の発生によるセルの色むらを防止するために
は、セル厚(d(μm))と屈折率異方性(Δn)の積
(Δn・d)がある一定の値(0.5、1.0、1.6、2.2)を
とらなければならない。通常は0.5あるいは1.0に設定さ
れるが、従ってセル厚を薄くするためには液晶材料の屈
折率異方性を大きくする必要がある。現在用いられてい
る減粘剤のなかで、シクロヘキサン系の2環性n型液晶
化合物ではこの値が小さいため、屈折率異方性が比較的
大きい液晶組成物には充分な量を添加することができ
ず、その効果があまり期待できない。
【0005】こうした目的にかなうような、減粘効果に
優れ且つ屈折率異方性の比較的大きい液晶性化合物とし
ては例えば、一般式(II)
【0006】
【化2】
【0007】(式中、Ra及びRbは直鎖状アルキル基
を表わす。)で表わされるビフェニル誘導体が知られて
おり、現在よく用いられている。しかしながら、この一
般式(II)の化合物の減粘効果は、表示品質の向上に
伴う液晶材料の粘性低下の要求には応え難くなってきて
いるのが実情である。また、一般式(II)の化合物は
液晶性があまり高くなく、その添加によるネマチック相
上限温度の降下が著しいという問題点を有する。
【0008】液晶化合物においてその側鎖アルキル基に
二重結合を導入してアルケニルとすることにより粘性の
低下や、ネマチック相上限温度の上昇といった効果が得
られる場合があることが知られている。そこで本発明者
らは一般式(II)の化合物において片側の側鎖をアル
ケニル基に変換した一般式(III)
【0009】
【化3】
【0010】(式中、Rcは直鎖状アルキル基を表わ
し、lは2以上の整数を表わし、Rdは水素原子又はア
ルキル基を表わす。)のビフェニル誘導体を合成し、そ
の減粘剤としての効果を検討した。しかしながら、一般
式(III)の化合物は液晶組成物に添加した場合のネ
マチック相上限温度に関しては若干の効果が見られたも
のの、予想に反して粘性においては一般式(II)の化
合物より劣っていた。
【0011】従って、減粘効果に優れ且つ屈折率異方性
の比較的大きい液晶性化合物であって、且つ液晶組成物
に添加した場合のネマチック相上限温度の降下がより少
ない減粘剤が要求されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、以上の目的に応じるため、減粘効果に優れ
た液晶性化合物としてジアルケニルビフェニル誘導体を
提供し、さらにこれを用いて低粘性で液晶温度範囲が広
い液晶組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、一般式(I)
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R及びR’はそれぞれ独立的に水
素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表わし、R
及び/又はR’がアルキル基の場合、それに隣接する二
重結合はトランス(E)又はシス(Z)配置を表わし、m及び
nはm≦nであってそれぞれ独立的に2〜8の整数を表
わす。)で表わされるジアルケニルビフェニル誘導体を
提供する。
【0016】式中、R及びR’は好ましくは水素原子又
は炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基を表わし、さら
に好ましくは水素を表わす。m及びnは好ましくは2〜
4の整数を表わす。さらに側鎖があまり長くなると減粘
効果が低下するのでm+nは6以下であることがさらに
好ましく、特にmは2が好ましい。又、m=n=2が好
ましい。
【0017】従って、一般式(I)で表わされる化合物
のうち好ましいのは以下の式(Ia)〜(If)
【0018】
【化5】 の各化合物であり、この中でも式(Ia)が特に好まし
い。一般式(I)の化合物は一般的には以下のように、
一般式(IVa)
【0019】
【化6】
【0020】(式中、R及びmは一般式(I)における
と同じ意味を表わし、XはMgCl、MgBr、Mg
I、Li、B(OH)2、TiR1R2、SiR3R4R5、
SnR6R7R8を表わす。ここでR1〜R8は低級ア
ルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表わす。)で
表わされる有機金属化合物と、一般式(Vb)
【0021】
【化7】
【0022】(式中、R’及びnは一般式(I)におけ
ると同じ意味を表わし、Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル
基あるいはトリフルオロメタンスルホニル基等の脱離基
を表わす。)で表わされる化合物とを遷移金属触媒の存
在下に反応させることにより製造することができる。こ
こで遷移金属触媒としてはパラジウム(0)系、パラジウ
ム(II)系及びニッケル(II)系等が一般的に用いられる。
もちろん一般式(IVa)と一般式(Vb)を用いる代
わりに、一般式(Va)
【0023】
【化8】
【0024】(式中、R’、n及びXは前述の意味を表
わす。)で表わされる有機金属化合物と、一般式(IV
b)
【0025】
【化9】
【0026】(式中、R、m及びYは前述の意味を表わ
す。)で表わされる化合物とを同様に反応させても良
い。あるいは、特にR=R’であり、且つm=nである
場合には、一般式(IVc)
【0027】
【化10】
【0028】(式中、R及びmは前述の意味を表わし、
Zは臭素原子又はヨウ素原子を表わす。)で表わされる
ハロゲン化ベンゼン誘導体を銅粉存在下に加熱すること
により製造することもできる。
【0029】また、このR=R’であり且つm=nであ
る場合に限り、式(VIa)
【0030】
【化11】
【0031】の4,4’−ジホルミルビフェニルに式
(VIIa)
【0032】
【化12】
【0033】のウィッティヒ反応剤を反応させ、次いで
酸で加水分解する工程をm回繰り返し、一般式(VI
b)
【0034】
【化13】
【0035】(式中、mは前述の意味を表わす。)で表
わされるビフェニル−4,4’−ジアルカナールを得
て、これに一般式(VIIb)
【0036】
【化14】
【0037】(式中、Rは前述の意味を表わす。)で表
わされるウィッティヒ反応剤を反応させることによる製
造方法も考えることができる。しかしながら、この方法
では中間体の溶媒に対する溶解度が極端に低いこと、加
水分解の進行が遅く副反応が優先して起こり目的物の反
応収率が非常に低いなどの問題点があり、実際にこの方
法で製造することは不可能に近い。
【0038】斯くして製造された本発明の化合物を液晶
組成物中に添加することにより得られる優れた効果は以
下の通りである。本発明の一般式(I)で表わされる化
合物の中で代表的な化合物の一つである式(Ia)
【0039】
【化15】
【0040】の化合物30重量%及びホスト液晶組成物
(H)
【0041】
【化16】
【0042】70重量%からなる液晶組成物(M−a)
を調製した。ここでホスト液晶(H)の物性値は以下の
通りである。 ネマチック相上限温度(TN-I): 116.7℃ 粘度(20℃): 19.8cp 応答時間(τr=τd): 21.5m秒 屈折率異方性(Δn): 0.090 ここで、粘度は20℃における測定値、応答時間は厚さ
4.5μmのTNセルに封入した場合に、立ち上がり時
間(τr)と立ち下がり時間(τd)が等しくなる電圧
印加時の測定値である。
【0043】このとき、(M−a)の物性値は以下の通
りとなった。 TN-I: 76.4℃ 粘度(20℃): 13.1cp 応答時間(τr=τd): 12.0m秒 屈折率異方性(Δn): 0.113 これに対して、一般式(II)で表わされる化合物のう
ち、代表的な化合物の一つである一般式(IIa)
【0044】
【化17】
【0045】30重量%及びホスト液晶(H)70重量
%からなる液晶組成物(MR−1)の物性値は以下の通
りであった。 TN-I: 70.2℃ 粘度(20℃): 14.3cp 応答時間(τr=τd): 13.3m秒 屈折率異方性(Δn): 0.107 以上から明らかなように、一般式(Ia)、一般式(I
Ia)の化合物は共にホスト液晶(H)に添加すること
によりその粘性及び応答性を大幅に改善させているけれ
ども、一般式(Ia)の方がより改善効果が著しいこと
がわかる。さらに(M−1)のTN-Iは(MR−1)よ
りも約6゜も高く、本発明の一般式(Ia)の化合物
は、比較化合物である一般式(IIa)と比較するとネ
マチック相上限温度をあまり低下させないことが理解で
きる。また、屈折率異方性も(M−1)がやや大きい。
【0046】また、片方の側鎖がアルケニル基である一
般式(III)で表わされる化合物のうち、代表的な化
合物の一つである一般式(IIIa)
【0047】
【化18】
【0048】30重量%及びホスト液晶(H)70重量
%からなる液晶組成物(MR−2)を調整した。その物
性値は以下の通りであった。 TN-I: 71.2℃ 粘度(20℃): 18.9cp 応答時間(τr=τd): 15.0m秒 屈折率異方性(Δn): 0.108 以上からTN-Iは(MR−1)よりわずかに高いけれど
も、本発明の一般式(Ia)の化合物を含有する(M−
1)と比較するとかなり低く、応答時間や粘性では(M
R−2)にもはるかに劣っていることがわかる。従っ
て、本発明の一般式(I)の化合物は従来から知られて
いるビフェニル系の減粘性液晶性化合物と比較して、そ
の両側鎖にアルケニル基を導入することにより、予想も
できなかったような優れた効果を示すことが明らかとな
った。
【0049】従って、一般式(I)の化合物は、他のネ
マチック液晶化合物との混合物の状態で、TN型あるい
はSTN型等の電界効果型表示セル用として、特に低粘
性高速応答性の材料として好適に使用することができ
る。また一般式(I)の化合物は分子内に強い極性基を
持たないので、大きい比抵抗と高い電圧保持率を得るこ
とが容易であり、アクティブマトリックス駆動用液晶材
料の構成成分として使用することも可能である。本発明
はこのように一般式(I)で表わされる化合物の少なく
とも1種類をその構成成分として含有する液晶組成物を
も提供するものであり、特に、一般式(I)においてm
及びnがそれぞれ独立的に2〜4の整数である化合物を
含有する液晶組成物、あるいは一般式(I)においてm
=n=2である化合物を含有する液晶組成物が好まし
い。
【0050】この組成物中において、一般式(I)の化
合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化
合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息
香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボ
ン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボ
ン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘ
キサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、
4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェ
ニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置
換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−
(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,
4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シ
クロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4
−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシ
ル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−
置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−
[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置
換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換
ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシ
ル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4
−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’
−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチ
ル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フ
ェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換
フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)
ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミ
ジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリ
ミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が側方置換
基を有する化合物等を挙げることができる。
【0051】このうちアクティブマトリックス駆動用と
しては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シク
ロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシ
クロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)
エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘ
キシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、
4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘ
キシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置
換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、
4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサ
ン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−
4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘ
キシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼ
ン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−
置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニ
ル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチ
ニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び
上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物
が適している。
【0052】本発明の一般式(I)の化合物は新規であ
り、本発明者等がはじめて報告するものであるが、液晶
分子の両側鎖がともにアルケニル基である化合物は知ら
れていなかったわけでなく、特開昭61−83136号
公報において式(Ra)あるいは式(Rb)
【0053】
【化19】
【0054】等の化合物が既に報告されている。この特
開昭61−83136号公報に記載されている一般式の
範囲は非常に広く、極めて広義に解釈するならば、本発
明の化合物もこの一般式に包含されると考えられなくも
ない。しかしながら、以下に述べるように本発明は特開
昭61−83136号公報とは独立して新規であると考
えられるべきでる。
【0055】まず、特開昭61−83136号公報には
側鎖の一方がアルケニル(あるいはアルケニルオキシ)
基である化合物と両方がアルケニル(あるいはアルケニ
ルオキシ)基である化合物とが含まれるが、一方がアル
ケニル(あるいはアルケニルオキシ)基である化合物と
比較して、両方の側鎖をアルケニル(あるいはアルケニ
ルオキシ)基とすることによる効果については全くふれ
られていない。また、特開昭61−83136号公報に
記載されている一般式は、その選択により中心骨格だけ
でも1000種類をはるかに越える組み合わせが可能で
あって、実際に合成されているものはそのうちのわずか
にすぎない。本文中には好ましい液晶中心骨格(コア)
としてその例が18例挙げられているが、この中には本
発明の化合物のようにビフェニル骨格は含まれていな
い。実際、両側鎖がアルケニル基(アルケニルオキシ基
ではなく)である化合物の例はほとんどがエステル化合
物であり、本発明の一般式(I)の化合物のようなビフ
ェニル誘導体の例はない。さらに、特開昭61−831
36号公報に記載されている合成方法を用いて本発明の
一般式(I)の化合物を製造しようとすると、4’−ア
ルケニル−4−シアノビフェニルにアルケニルグリニヤ
ール反応剤を反応させ、加水分解して得られたケトンを
ヒドラジンでWolff-Kishner還元する方法に限られる。
しかしながら、この方法では還元時に2重結合の移動が
生じる危険性が強く、例えば3−アルケニル基を導入す
ることは非常に困難である。
【0056】以上のように本発明の化合物は特開昭61
−83136号公報に含まれるものでも、あるいはそれ
により容易に類推できるものでもないことは明らかであ
り、新規であると考えられるべきであることがわかる。
【0057】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0058】化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル
(NMR)、質量スペクトル(MS)及び赤外吸収スペ
クトル(IR)により確認した。また転移温度の測定は
ホットステージを備えた偏光顕微鏡で行った。組成物の
「%」は「重量%」を表わす。 (実施例1) 4,4’−ビス(3−ブテニル)ビフェ
ニルの合成。
【0059】
【化20】
【0060】マグネシウム2.1gを乾燥させたテトラ
ヒドロフラン(THF)5mL中に懸濁させた。これに
4−ブロモ−1−(3−ブテニル)ベンゼン18.0g
のTHF72mL溶液を溶媒が穏やかに還流する速度で
滴下した。滴下終了後、攪拌しながら室温まで放冷し不
溶物を濾別してグリニヤール反応剤を調製した。4−ブ
ロモ−1−(3−ブテニル)ベンゼン16.4gのTH
F50mL溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィ
ン)パラジウム(0)900mgを加えた。これに上記の
グリニヤール反応剤溶液を30℃以下で2時間かけて滴
下し、さらに室温で5時間攪拌した。稀塩酸を加え、ヘ
キサンで抽出し、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫
酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒を溜去して得られ
た粗生成物21.3gをシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーを用いて精製しさらにエタノールから低温で再結
晶させて、表記化合物13.8gを得た。
【0061】相転移温度: 20℃以下(Cr→S)、
71℃(S→I)、 MS: m/e=262(P+) 1HNMR:δ=2.1〜2.7(m,8H)、4.9
〜5.1(m,2H)、7.1(d,4H,J=8.2
Hz) (実施例2) 液晶組成物の調製 特にアクティブマトリックス駆動用として好適なホスト
液晶(H)
【0062】
【化21】
【0063】を調製した。この(H)の物性値は以下の
通りである。 ネマチック相上限温度(TN-I): 116.7℃ 粘度(20℃): 19.8cp 応答時間(τr=τd): 21.5m秒 屈折率異方性(Δn): 0.090 ここで、粘度は20℃における測定値、応答時間は厚さ
4.5μmのTNセルに封入した場合に、立ち上がり時
間(τr)と立ち下がり時間(τd)が等しくなる電圧
印加時の測定値である。
【0064】このホスト液晶(H)70%及び実施例1
で得た式(Ia)
【0065】
【化22】
【0066】30%からなる液晶組成物(M−a)を調
製した。このとき、(M−a)の物性値は以下の通りで
あった。 TN-I: 76.4℃ 粘度(20℃): 13.1cp 応答時間(τr=τd): 12.0m秒 屈折率異方性(Δn): 0.113 このように、ネマチック相上限温度(TN-I)は降下して
いるけれども、その粘度は大幅に低下し、応答時間も大
幅に改善されていることがわかる。また、屈折率異方性
も25%も大きくすることができた。従って、一般式
(I)の化合物は低粘性高速応答性液晶組成物の構成成
分として非常に有用であることがわかる。 (比較例1)実施例2において、式(Ia)の化合物に
換えて、両側鎖が直鎖状アルキル基である本発明外の一
般式(II)で表わされる化合物の中で代表的な化合物
の一つである式(IIa)
【0067】
【化23】
【0068】30重量%及びホスト液晶(H)70重量
%からなる液晶組成物(MR−1)を調製した。この物
性値は以下の通りであった。 TN-I: 70.2℃ 粘度(20℃): 14.3cp 応答時間(τr=τd): 13.3m秒 屈折率異方性(Δn): 0.107 このように、式(IIa)の化合物もホスト液晶(H)
に添加することによりその粘性及び応答性を大幅に改善
させているけれども、本発明の式(Ia)と比較すると
その改善効果は少し劣っている。さらに(MR−1)の
N-Iは(M−1)よりも約6゜も低く、式(IIa)
の化合物は式(Ia)の化合物よりもネマチック相上限
温度の降下の度合いが大きくなってしまっていることが
わかる。また、屈折率異方性も(M−1)ほど大きくす
ることができない。 (比較例2)実施例2において、式(Ia)の化合物に
換えて、片方の側鎖がアルケニル基である本発明外の一
般式(III)で表わされる化合物のうち、代表的な化
合物の一つである式(IIIa)
【0069】
【化24】
【0070】30%及びホスト液晶(H)70%からな
る液晶組成物(MR−2)を調製した。この物性値は以
下の通りであった。 TN-I: 71.2℃ 粘度(20℃): 18.9cp 応答時間(τr=τd): 15.0m秒 屈折率異方性(Δn): 0.108 以上から(MR−2)のTN-Iは(MR−1)よりわず
かに高いけれども、本発明に係わる(M−1)と比較す
るとかなり低く、応答時間や粘性の改善効果においては
(MR−2)のほうがはるかに劣っていることがわか
る。
【0071】従って、本発明の一般式(I)の化合物は
従来から知られているビフェニル系の減粘性液晶性化合
物と比較して、その両側鎖にアルケニル基を導入するこ
とにより、予想もできなかったような優れた効果を示す
ことが明らかとなった。
【0072】
【発明の効果】本発明により提供される、ジアルケニル
ビフェニル誘導体は、実施例にも示したように市販の入
手容易な化合物から工業的にも容易に製造することがで
きる。得られたジアルケニルビフェニル誘導体を含有す
る液晶組成物は、従来用いられている同様あるいは類似
骨格を有する減粘性液晶性化合物と比較して、その減粘
効果及び応答性の改善効果に優れるため、実用的液晶と
して特に高速応答を必要とする液晶表示用として極めて
有用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R及びR’はそれぞれ独立的に水素原子又は炭
    素原子数1〜5のアルキル基を表わし、R及び/又は
    R’がアルキル基の場合、それに隣接する二重結合はト
    ランス(E)又はシス(Z)配置を表わし、m及びnはm≦n
    であってそれぞれ独立的に2〜8の整数を表わす。)で
    表わされる化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、R及びR’が共
    に水素原子である請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、m及びnがそれ
    ぞれ独立的に2〜4の整数である請求項1又は2記載の
    化合物。
  4. 【請求項4】 一般式(I)において、m=2であり、
    nが2〜4の整数である請求項1又は2記載の化合物。
  5. 【請求項5】 一般式(I)において、m=n=2であ
    る請求項1又は2記載の化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
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