JPH06184020A - ジフルオロシクロプロパン誘導体 - Google Patents

ジフルオロシクロプロパン誘導体

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JPH06184020A
JPH06184020A JP20237093A JP20237093A JPH06184020A JP H06184020 A JPH06184020 A JP H06184020A JP 20237093 A JP20237093 A JP 20237093A JP 20237093 A JP20237093 A JP 20237093A JP H06184020 A JPH06184020 A JP H06184020A
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compound
liquid crystal
trans
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general formula
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JP20237093A
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English (en)
Inventor
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Shinji Ogawa
真治 小川
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (m:0〜5、n:0〜7、Z1及びZ2:単結合又は−
CH2CH2−で、少なくとも一方は単結合、環A:トラ
ンス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニ
レン基、X及びY:水素原子又はフッ素原子)で表わさ
れる化合物及びその化合物を含有する液晶組成物。 【効果】 この化合物は屈折率異方性が小さく、他の液
晶化合物との相溶性にも優れている。また、母体液晶に
添加することにより、得られる液晶組成物の液晶相の温
度範囲をほとんど低下させることなく、しきい値電圧を
効果的に低下させることができる。更に、この化合物は
化学的安定性にも優れており、しかも分子内に強い極性
基を含まないので、高い比抵抗と電圧保持率を得ること
も可能である。従って、表示用液晶光スイッチング素子
の材料として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気光学的液晶表示材料
として有用なジフルオロシクロプロパン誘導体である新
規化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知
られているが、このうち現在最もよく用いられているの
はTN型及びSTN型である。また駆動方式としても従
来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般
的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクテ
ィブマトリックス方式が実用化されている。これらのう
ち、アクティブマトリックス方式によると、最も高画質
の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化、カラー
化が容易で、動画表示も可能であるので、今後の液晶表
示方式の主流になると考えられている。
【0003】このアクティブマトリックス表示方式に用
いられる液晶材料としては、通常の液晶表示と同様に、
種々の特性が要求されているが、特に、(1)比抵抗が
高く、電圧の保持率に優れること、(2)しきい値電圧
(Vth)が低いこと、(3)液晶相の温度範囲が広いこ
と等が重要である。
【0004】通常、液晶表示におけるしきい値電圧は式
(1)
【0005】
【数1】
【0006】(式中、kは比例定数を、Kは弾性定数
を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。)で表わさ
れるが、この式からわかるように、しきい値電圧を低く
するためには液晶材料の弾性定数を小さくするか、ある
いは誘電率異方性を大きくする必要がある。
【0007】ところが、誘電率異方性の大きい液晶化合
物は極性の大きいものが多く、このような化合物を用い
て高い比抵抗値や電圧保持率を得ることはかなり困難で
ある。そのため、こうした目的には弾性定数の小さい液
晶材料が必要であった。
【0008】一方、液晶化合物の温度範囲を特に高温域
に広げるためには、3環性あるいは4環性の液晶相の上
限温度が高い化合物を添加する必要がある。しかしなが
ら、このように上限温度の高い化合物は弾性定数の大き
いものが多く、添加により得られる液晶組成物のしきい
値電圧を上昇させてしまう傾向を有していた。そのた
め、液晶相の温度範囲が高温域まで広く、且つしきい値
電圧の低い液晶組成物を得ることはかなり困難であっ
た。
【0009】また、実用的な液晶材料には上記(1)〜
(3)の特性に加えて、第4番目の特性として、(4)
適当な屈折率異方性(Δn)を有することも重要であ
る。液晶表示素子はその着色を防止するため、セル厚
(d)と屈折率異方性(Δn)との積(Δn・d)をあ
る一定の値に設定する必要がある。特にアクティブマト
リックス駆動表示においては、通常Δn・dを0.5μ
m前後に設定することが多く、そのため液晶材料のΔn
は約0.09以下であることが必要である。また、セル
厚等に応じてΔn・dを最適値に調節するためには、更
にΔnの小さい材料が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、以上の目的に応じ、屈折率異方性(Δn)
が比較的小さい化合物を提供し、またその化合物を含有
し、液晶相の温度範囲が広く、しきい値電圧が低く、且
つΔnが比較的小さい液晶組成物を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、一般式(I)
【0012】
【化2】
【0013】(式中、mは0〜5の整数を表わし、nは
0〜7の整数を表わし、Z1及びZ2はそれぞれ独立的に
単結合又は−CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方
は単結合を表わし、環Aはトランス−1,4−シクロヘ
キシレン基又は1,4−フェニレン基を表わし、X及び
Yはそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わ
し、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表
わされるジフルオロシクロプロパン誘導体を提供する。
【0014】本発明の一般式(I)の化合物の第一の特
徴は、ジフルオロシクロプロパン環を有する点にある。
このジフルオロシクロプロパン環の結合位置は、シクロ
ヘキサン環に直結するか、あるいは近接していることが
好ましい。従って、一般式(I)において、mは0〜5
の整数を表わすが、0〜3が好ましい。またジフルオロ
シクロプロパン環に結合する末端基において、nは0〜
7の整数を表わすが、nが大きくなると化合物の粘性が
大きくなったり、あるいはスメクチック性が強くなる傾
向があるので、nは0〜5が好ましい。更に同様の理由
から、m+nは0〜7の整数が特に好ましい。
【0015】本発明の一般式(I)の化合物において、
n≠0の場合にはジフルオロシクロプロパン環にはトラ
ンス配置とシス配置が存在するが、この時m=0の場合
にはトランス配置がより好ましく、逆にm=1の場合に
はシス配置が液晶性に優れ好ましい。
【0016】また、一般式(I)において、Z1及びZ2
はそれぞれ独立的に単結合又は−CH2CH2−を表わす
が、共に−CH2CH2−である化合物は応答性を悪くす
る傾向があるので、少なくとも一方は単結合であること
が好ましい。環Aはトランス−1,4−シクロヘキシレ
ン基及び1,4−フェニレン基を表わすが、トランス−
1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
【0017】これらZ1、Z2及び環Aの選択により、一
般式(I)の化合物の中心骨格としては数種の構造が可
能であるが、特に下記一般式(Ia)〜(Id)が好ま
しく、中でも特に一般式(Ia)の化合物が好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】(式中、m、n、X及びYは一般式(I)
におけると同じ意味を表わす。) この一般式(Ia)〜(Id)において、X及びYはそ
れぞれ独立的に水素又はフッ素原子を表わすが、共に水
素原子の場合には液晶性に優れ、共にフッ素原子を表わ
す場合にはしきい値電圧の低減効果においてより優れた
効果を有する。
【0020】本発明の一般式(I)の化合物において
は、特にX及びYの少なくとも一方がフッ素原子である
ことが好ましい。本発明の一般式(I)で表わされる化
合物は、例えば、対応する一般式(II)
【0021】
【化4】
【0022】(式中、m、n、Z1、Z2、環A、X及び
Yは一般式(I)におけると同じ意味を有する。)のア
ルケニルシクロヘキサン誘導体に、クロロジフルオロ酢
酸ナトリウムを加熱下に反応させて、ジフルオロシクロ
プロパン化させることにより、容易に得ることができ
る。
【0023】この一般式(II)のアルケニルシクロヘ
キサン誘導体は、一般式(III)
【0024】
【化5】
【0025】(式中、Z1、Z2、環A、X及びYは一般
式(I)におけると同じ意味を有する。)のシクロヘキ
サノン誘導体から、m及びnに応じて以下のようにして
製造することができる。
【0026】
【化6】
【0027】(式中、Z1、Z2、環A、X及びYは一般
式(I)におけると同じ意味を表わし、Phはフェニル基
を表わす。) 一般式(III)のシクロヘキサノン誘導体に式(I
V)のウィッティヒ反応剤を反応させ、酸処理した後、
更に塩基によりシクロヘキサン環をトランス配置に異性
化させることにより、一般式(V0)のシクロヘキサン
カルバルデヒド誘導体を製造できる。
【0028】
【化7】
【0029】(式中、m、Z1、Z2、環A、X及びYは
一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Phはフェニ
ル基を表わす。) 更にこの一般式(V0)の化合物に、前述の式(IV)
のウィッティヒ反応剤を必要に応じてm回同様に反応さ
せることにより、一般式(Vm)のアルデヒド誘導体を
製造できる。
【0030】この一般式(Vm)のアルデヒド誘導体に
一般式(VI)
【0031】
【化8】
【0032】(式中、nは一般式(I)におけると同じ
意味を表わし、Phはフェニル基を表わす。)で表わされ
るウィッティヒ反応剤を反応させることにより、一般式
(II)のアルケニルシクロヘキサン誘導体を得ること
ができる。n≧1の場合、得られる一般式(II)の化
合物はシス体であるが、トランス体が必要な場合には、
このシス体をp−トルエンスルフィン酸等を用いてトラ
ンス体に異性化することにより得ることができる。
【0033】ここで中間体として用いた一般式(II
I)のシクロヘキサノン誘導体はそのZ1、Z2及び環A
に応じて、例えば、下記のイ)〜ニ)ようにして製造で
きる。 イ) 環Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン基、
1=Z2=単結合[一般式(IIIa)]の化合物の場
【0034】
【化9】
【0035】一般式(VII)のブロモベンゼン誘導体
をグリニヤール反応剤とし、これを式(VIII)のビ
シクロヘキサン−4,4’−ジオンのモノアセタールと
反応させて、一般式(IXa)のシクロヘキサノール誘
導体が得られる。これを脱水してシクロヘキセン誘導体
とし、必要に応じて再度アセタール化を行った後、水素
添加する。得られた化合物はシクロヘキサン環のシス、
トランスによる混合物であるが、再結晶等により、トラ
ンス体を分離することができる。また、シス体は強塩基
によりトランス体に異性化することも可能である。得ら
れたトランス体を脱アセタールすることにより、一般式
(IIIa)の化合物を得ることができる。 ロ) 環Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン基、
1=単結合、Z2=−CH2CH2−[一般式(III
b)]の化合物の場合 上記イ)において、式(VIII)のビシクロヘキサン
−4,4’−ジオンのモノアセタールに代えて、式
(X)
【0036】
【化10】
【0037】のシクロヘキサンエタナール誘導体を用い
ることにより同様にして、一般式(IIIb)の化合物
を得ることができる。ここで式(X)の化合物は式(V
III)の化合物に前述の式(IV)のウィッティヒ反
応剤を2回繰り返して反応させることにより得ることが
できる。 ハ) 環Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン基、
1=−CH2CH2−、Z2=単結合[一般式(III
c)]の化合物の場合 上記イ)において、式(VIII)のビシクロヘキサン
−4,4’−ジオンのモノアセタールに代えて、式(X
I)
【0038】
【化11】
【0039】のシクロヘキサン誘導体を用いる以外は
イ)と同様にして、一般式(IIIc)の化合物を得る
ことができる。ここで式(XI)の化合物は4−メトキ
シフェニル酢酸の酸クロリドを塩化アルミニウム等のル
イス酸存在下にフェノールと反応させ、カルボニル基を
還元した後、必要に応じて脱メチル化を行う。ベンゼン
環を水素添加し、次いで得られたシクロヘキサノール誘
導体を酸化してシクロヘキサノン誘導体とし、次いでモ
ノアセタール化することにより得ることができる。 ニ) 環Aが1,4−フェニレン基、Z1=Z2=単結合
[一般式(IIId)]の化合物の場合 一般式(VII)の化合物から調製したグリニヤール反
応剤をパラジウム触媒あるいはニッケル触媒の存在下
に、一般式(XII)
【0040】
【化12】
【0041】(式中、Halは沃素原子又は臭素原子を
表わす。)の化合物と反応させ、次いで脱アセタール化
するか、あるいは一般式(XIII)
【0042】
【化13】
【0043】(式中、Halは沃素原子又は臭素原子を
表わす。)で表わされる化合物をグリニヤール反応剤と
し、これをシクロヘキサン−1,4−ジオンのモノアセ
タール
【0044】
【化14】
【0045】と反応させ、次いで脱水、水素添加した
後、脱アセタール化することにより、一般式(III
d)の化合物を得ることができる。他の一般式(II)
の化合物も、上記の製造方法に準じて得ることができ
る。
【0046】斯くして製造される一般式(I)で表わさ
れる化合物の代表的なものの例を第1表に掲げる。
【0047】
【表1】
【0048】(表中、Crは結晶相を、Nはネマチック
相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。) 本発明に係わる一般式(I)で表わされる化合物は、他
のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、特にTN
型あるいはSTN型といった電界効果型表示セルの材料
として、組成物のしきい値電圧の低下、あるいはΔnを
減少させるといった用途に使用することができ、アクテ
ィブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として特に
適している。
【0049】このように、一般式(I)で表わされる化
合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化
合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息
香酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサ
ンカルボン酸4−置換フェニルエステル、4−置換シク
ロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)
安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シ
クロヘキシル)安息香酸4−置換フェニルエステル、4
−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロ
ヘキシルエステル、4,4’−置換ビフェニル、1−
(4−置換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4,
4”−置換ターフェニル、1−(4’−置換ビフェニリ
ル)−4−置換シクロヘキサン、1−(4−置換シクロ
ヘキシル)−4−(4−置換フェニル)シクロヘキサ
ン、1−(4−置換フェニル)−2−(4−置換フェニ
ル)エタン、1−(4−置換フェニル)−2−(4−置
換シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換シクロヘキ
シル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−
(4−置換フェニル)−2−[4−(4−置換シクロヘ
キシル)シクロヘキシル]エタン、1−[4−(4−置
換フェニル)シクロヘキシル]−2−(4−置換シクロ
ヘキシル)エタン、1−(4’−置換ビフェニリル)−
2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−[4−
(4−置換シクロヘキシル)フェニル]−2−(4−置
換フェニル)エタン、1−(4−置換フェニル)−2−
(4−置換フェニル)エチン、1−[4−(4−置換シ
クロヘキシル)フェニル]−2−(4−置換フェニル)
エチン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジ
ン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミ
ジン等を挙げることができる。
【0050】特にアクティブマトリックス用としては
4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換フェニル)
−4−置換シクロヘキサン、4,4”−置換ターフェニ
ル、1−(4’−置換ビフェニリル)−4−置換シクロ
ヘキサン、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−(4
−置換フェニル)シクロヘキサン、1−(4−置換フェ
ニル)−2−(4−置換フェニル)エタン、1−(4−
置換フェニル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタ
ン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換
シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換フェニル)−
2−[4−(4−置換シクロヘキシル)シクロヘキシ
ル]エタン、1−[4−(4−置換フェニル)シクロヘ
キシル]−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1
−(4’−置換ビフェニリル)−2−(4−置換シクロ
ヘキシル)エタン、1−[4−(4−置換シクロヘキシ
ル)フェニル]−2−(4−置換フェニル)エタン、1
−(4−置換フェニル)−2−(4−置換フェニル)エ
チン、1−[4−(4−置換シクロヘキシル)フェニ
ル]−2−(4−置換フェニル)エチン等が好ましい。
【0051】一般式(I)の化合物の効果は、例えば、
以下の例からも明らかである。ネマチック液晶材料とし
て現在汎用されている母体液晶(A)
【0052】
【化15】
【0053】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を意味する。)は54.
5℃以下でネマチック相を示し、誘電率異方性(Δε)
は6.7、屈折率異方性(Δn)は0.092であり、
これを用いて作製したTNセルのしきい値電圧(Vth
1.60Vであった。
【0054】この母体液晶(A)90重量%及び第1表
中の(No.1)の化合物10重量%からなる液晶組成
物(AM−1)を調製した。この組成物(AM−1)の
ネマチック相の上限温度(TN-I)は53.5℃であっ
た。また、Δεは6.1と小さくなった。ところが、こ
の組成物を用いて同様にしてセルを作製したところ、V
thは、Δεがほとんど変化していないにもかかわらず、
1.45Vと約10%も低下した。これは(No.1)
の化合物の弾性定数(K)が3環化合物としてはかなり
低いことによるものと考えられる。またこの組成物(A
M−1)のΔnは0.090と小さく、これから類推す
ると(No.1)の化合物自体のΔnは相当小さいと考
えられる。
【0055】これに対し、(No.1)の化合物に代え
て、(No.1)の化合物の類似構造を有するが、ジフ
ルオロシクロプロパン環のない式(R−1)
【0056】
【化16】
【0057】の化合物を用い、この式(R−1)の化合
物10重量%及び前述の母体液晶(A)90重量%から
なる液晶組成物(AR−1)を調製した。この組成物
(AR−1)のTN-Iは59.9℃、Δεは7.0であ
った。同様にしてセルを作製したところ、Vthは、Δε
が大きいにもかかわらず、1.67Vと組成物(AM−
1)に比べてかなり高くなり、母体液晶(A)よりも上
昇していることが明らかである。このことから、式(R
−1)の化合物の弾性定数は、(No.1)の化合物に
比べてかなり大きいと考えられる。また、Δnは0.0
93と母体液晶(A)と同程度であった。
【0058】次に、同じ母体液晶(A)に、(No.
1)の化合物に代えて、第1表中の(No.2)、(N
o.3)、(No.4)あるいは(No.6)の各化合
物を各々10〜20重量%添加して、液晶組成物(AM
−2)〜(AM−5)を各々調製し、上記と同様にして
その物性を測定した。結果は下記第2表にまとめて示し
た。
【0059】
【表2】
【0060】第2表から、本発明の一般式(I)の化合
物はいずれも、液晶組成物のTN-Iをほとんど低下させ
ることなく、Vth及びΔnを効果的に低下させることが
明らかである。
【0061】以上の結果から、式(R−1)のような従
来の化合物と比較して、一般式(I)の化合物は通常の
ネマチック母体液晶に添加することにより、得られる液
晶組成物のネマチック相の上限温度をほとんど低下させ
ることなく、しきい値電圧及び屈折率異方性を顕著に低
下させるという優れた効果を有することが理解できる。
【0062】次に、やはりネマチック液晶材料として現
在汎用されているフェニルシクロヘキサン系の母体液晶
(B)
【0063】
【化17】
【0064】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を意味する。)を調製し
たところ、50.5℃以下でネマチック相を示し、Δε
は12.0、Δnは0.117であり、これを用いて作
製したTNセルのしきい値電圧(Vth)は1.50Vで
あった。
【0065】この母体液晶(B)90重量%及び(N
o.1)の化合物10重量%からなる液晶組成物(BM
−1)を調製した。この組成物(BM−1)のTN-I
48.6℃とほとんど変化がなかった。また、Δεは1
1.0と小さくなった。同様にVthを測定したところ、
Δεが減少しているにもかかわらず。1.29Vとかな
り低くなった。また、Δnは0.113と小さくなっ
た。
【0066】これに対し、(No.1)の化合物に代え
て、これまでしきい値電圧の低下用に用いられてきた式
(R−2)
【0067】
【化18】
【0068】の化合物を用い、この式(R−1)の化合
物10重量%及び母体液晶(B)90重量%からなる液
晶組成物(BR−2)を調製した。この組成物(BR−
2)のΔεは10.6とやや小さくなったが、Vth
1.19Vと大きく低下した。しかしながら、TN-I
39.8℃と大きく低下してしてしまった。
【0069】同様に、やはりこれまでしきい値電圧の低
下用に用いられてきた式(R−3)
【0070】
【化19】
【0071】の化合物を用い、この式(R−3)の化合
物10重量%及び母体液晶(B)90重量%からなる液
晶組成物(BR−3)を調製した。この組成物(BR−
3)のΔεは11.6であり、Vthは1.33Vと低下
したが、TN-Iは43.7℃とやはり大きく低下した。
【0072】このことから、式(R−2)あるいは式
(R−3)のような従来の2環性の化合物を用いた場
合、組成物のしきい値電圧を低下させるものの、液晶相
の上限温度も大きく低下させてしまうために、その添加
量が制限されてしまうことが明らかである。これに対し
て、本発明の一般式(I)の化合物は、液晶相の上限温
度を若干低下させるものもあるが、しきい値電圧及び屈
折率異方性の低下効果がより顕著なので、従来の化合物
に比べて添加量が少なくても同等あるいはそれ以上の効
果が得られる。
【0073】次に、特にアクティブマトリックス駆動用
として好適な母体液晶(C)
【0074】
【化20】
【0075】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を意味する。)を調製し
た。この母体液晶(C)は116.7℃以下でネマチッ
ク相を示し、誘電率異方性(Δε)は4.7、屈折率異
方性(Δn)は0.090であり、これを用いて作製し
たTNセルのしきい値電圧(Vth)は2.43Vであっ
た。
【0076】この母体液晶(C)70重量%及び(N
o.4)の化合物30重量%からなる液晶組成物(CM
−4)を調製した。この組成物(CM−4)のTN-I
96.9℃、Δεは4.6であった。この組成物(CM
−4)を用いて同様にしてセルを作製したところ、Δε
がほとんど変化していないにもかかわらず、Vthは2.
16Vと0.27Vも低減した。また、Δnは0.08
2と非常に小さくなった。
【0077】これに対して、(No.4)の化合物に代
えて、(No.4)の化合物の類似構造を有するが、末
端基が直鎖状アルキル基である式(R−4)
【0078】
【化21】
【0079】の化合物を用い、この式(R−4)の化合
物30重量%及び母体液晶(C)70重量%からなる液
晶組成物(CR−4)を調製した。この組成物(CR−
4)のTN-Iは117.2℃、Δεは5.4であった。
しかしながら、同様にしてセルを作製したところ、Vth
は2.33Vと(CM−4)より約0.2Vも高くなっ
た。また、Δnは0.086と(CM−4)よりかなり
大きくなった。
【0080】次に、同じ母体液晶(C)に、(No.
4)の化合物に代えて、第1表中の(No.1)、(N
o.2)、(No.3)あるいは(No.6)の各化合
物を各々10〜30重量%を添加して、液晶組成物(C
M−1)、(CM−2)、(CM−3)及び(CM−
5)をそれぞれ調製し、上記と同様にしてその物性を測
定した。結果は下記第3表にまとめて示した。
【0081】
【表3】
【0082】第3表から、本発明の一般式(I)の化合
物はいずれも、液晶組成物のTN-Iをほとんど低下させ
ることなく、Vth及びΔnを効果的に低下させることが
明らかである。
【0083】以上の結果から、一般式(I)の化合物は
アクティブマトリックス駆動用の液晶材料に添加するこ
とにより、得られる液晶組成物のネマチック相の上限温
度をほとんど低下させることなく、しきい値電圧及び屈
折率異方性を顕著に低下させるという優れた効果を有す
ることが理解できる。
【0084】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0085】なお、相転移温度の測定は温度調節ステー
ジを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を
併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペ
クトル(1H−NMR)、赤外吸収スペクトル(I
R)、質量スペクトル(MS)等により確認した。IR
における(KBr)は錠剤成形による測定を表わす。N
MRにおけるCDCl3は溶媒を表わし、sは1重線、
dは2重線、tは3重線、qは4重線、mは多重線を表
わし、dqは2重の4重線を表わす。また、Jはカップ
リング定数を表わす。MSにおけるM+は親ピークを表
わす。尚、組成物における「%」は「重量%」を意味す
る。
【0086】(実施例1) トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(トランス−
3−メチル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)ビシ
クロヘキサン(No.1の化合物)の合成
【0087】
【化22】
【0088】トランス−4−(3,4−ジフルオロフェ
ニル)−トランス−4’−(トランス−1−プロペニ
ル)ビシクロヘキサン2.0gをジエチレングリコール
ジメチルエーテル6mlに溶解した。この溶液に3,5
−ジ−t−ブチルカテコール10mgを加えて165℃
に加熱し、これにクロロジフルオロ酢酸ナトリウム5.
75gのジエチレングリコールジメチルエーテル15m
l溶液を、内温を160℃以上に保ちながら、45分間
で滴下した。更に2時間、165℃で攪拌した後、放冷
し、反応液を水にあけ、反応生成物をトルエンで抽出し
た。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)
を用いて精製して、トランス−4−(3,4−ジフルオ
ロフェニル)−トランス−4’−(トランス−3−メチ
ル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)ビシクロヘキ
サンの白色結晶2.05gを得た。更にエタノールから
再結晶させて精製し、相転移温度を測定したところ、融
点は79℃でネマチック相は示さなかった。 IR(KBr):1610,1515,1480,14
50,1290,1280,1210,1205,11
80,980,860,820cm-1 NMR:δ=1.0〜1.8(m,24H),2.3
(m,1H),6.8〜7.3(m,3H) MS:m/e=368(M+
【0089】(実施例2) トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(トランス−
3−プロピル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)ビ
シクロヘキサン(No.2の化合物)の合成 実施例1において、トランス−4−(3,4−ジフルオ
ロフェニル)−トランス−4’−(トランス−1−プロ
ペニル)ビシクロヘキサンに代えて、トランス−4−
(3,4−ジフルオロフェニル)−トランス−4’−
(トランス−1−ペンテニル)ビシクロヘキサンを用い
た以外は実施例1と同様にして、トランス−4−(3,
4−ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(トラン
ス−3−プロピル−2,2−ジフルオロシクロプロピ
ル)ビシクロヘキサンの白色結晶を得た。融点は79℃
であり、ネマチック相は示さなかった。
【0090】(実施例3) トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(シス−3−
プロピル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)ビシク
ロヘキサン(No.3の化合物)の合成 実施例1において、トランス−4−(3,4−ジフルオ
ロフェニル)−トランス−4’−(トランス−1−プロ
ペニル)ビシクロヘキサンに代えて、トランス−4−
(3,4−ジフルオロフェニル)−トランス−4’−
(シス−1−ペンテニル)ビシクロヘキサンを用いた以
外は実施例1と同様にして、トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(シス−3−
プロピル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)ビシク
ロヘキサンの白色結晶を得た。融点は107℃であり、
ネマチック相は示さなかった。
【0091】(実施例4) トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(シス−3−
エチル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)メチルビ
シクロヘキサン(No.4の化合物)の合成 実施例1において、トランス−4−(3,4−ジフルオ
ロフェニル)−トランス−4’−(トランス−1−プロ
ペニル)ビシクロヘキサンに代えて、トランス−4−
(3,4−ジフルオロフェニル)−トランス−4’−
(シス−2−ペンテニル)ビシクロヘキサンを用いた以
外は実施例1と同様にして、トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(シス−3−
エチル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)メチルビ
シクロヘキサンの白色結晶を得た。融点は56℃であ
り、冷却時、39.5℃以下でネマチック相を示した。
【0092】(実施例5) トランス−4−(3,4−
ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(トランス−
3−エチル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)メチ
ルビシクロヘキサン(No.5の化合物)の合成 実施例1において、トランス−4−(3,4−ジフルオ
ロフェニル)−トランス−4’−(トランス−1−プロ
ペニル)ビシクロヘキサンに代えて、トランス−4−
(3,4−ジフルオロフェニル)−トランス−4’−
(トランス−2−ペンテニル)ビシクロヘキサンを用い
た以外は実施例1と同様にして、トランス−4−(3,
4−ジフルオロフェニル)−トランス−4’−(トラン
ス−3−エチル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)
メチルビシクロヘキサンの油状物を得た。
【0093】(実施例6) トランス−4−(3,4,
5−トリフルオロフェニル)−トランス−4’−(シス
−3−メチル−2,2−ジフルオロシクロプロピル)メ
チルビシクロヘキサン(No.6の化合物)の合成 実施例1において、トランス−4−(3,4−ジフルオ
ロフェニル)−トランス−4’−(トランス−1−プロ
ペニル)ビシクロヘキサンに代えて、トランス−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)−トランス−
4’−(シス−2−ブテニル)ビシクロヘキサンを用い
た以外は実施例1と同様にして、トランス−4−(3,
4,5−トリフルオロフェニル)−トランス−4’−
(シス−3−メチル−2,2−ジフルオロシクロプロピ
ル)メチルビシクロヘキサンの白色結晶を得た。融点は
52℃であり、ネマチック相は示さなかった。しかしな
がら、母体液晶(A)に添加してネマチック相上限温度
を測定し、その値から外挿したところ、この化合物自体
のネマチック相上限温度は約28℃と計算された。
【0094】(実施例7) トランス−4−(3,4,
5−トリフルオロフェニル)−トランス−4’−[2−
(2,2−ジフルオロシクロプロピル)エチル]ビシク
ロヘキサン(No.7の化合物)の合成 実施例1において、トランス−4−(3,4−ジフルオ
ロフェニル)−トランス−4’−(トランス−1−プロ
ペニル)ビシクロヘキサンに代えて、トランス−4−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)−トランス−
4’−(3−ブテニル)ビシクロヘキサンを用いた以外
は実施例1と同様にして、トランス−4−(3,4,5
−トリフルオロフェニル)−トランス−4’−[2−
(2,2−ジフルオロシクロプロピル)エチル]ビシク
ロヘキサンの白色結晶を得た。融点は48℃であり、冷
却時に29℃以下でネマチック相を示した。
【0095】(実施例8) 液晶組成物の調製(1) 以下の組成からなるフェニルシクロヘキサン系の母体液
晶(A)
【0096】
【化23】
【0097】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製した。この母体液晶(A)は54.
5℃以下でネマチック(N)相を示した。その物性値及
びこれを用いて作製したTNセルのしきい値電圧
(Vth)は以下の通りであった。
【0098】 誘電率異方性(Δε) 6.7 屈折率異方性(Δn) 0.092 しきい値電圧(Vth) 1.60V
【0099】この母体液晶(A)90%及び実施例1の
(No.1)の化合物10%からなる液晶組成物(AM
−1)を調製した。この組成物(AM−1)のN相の上
限温度(TN-I)及びその物性値は以下の通りであっ
た。
【0100】 N相の上限温度(TN-I) 53.5℃ 誘電率異方性(Δε) 6.1 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 1.45V
【0101】このように、TN-Iがほとんど低下してい
ないにもかかわらず、Vthは0.15Vも低下してい
る。Δεは小さくなっているので、前述の(1)式か
ら、(No.1)の化合物の弾性定数(K)はかなり小
さいと考えられる。
【0102】また、Δnは小さくなっているので、(N
o.1)の化合物自体のΔnはかなり小さいと考えられ
る。この組成物を低温で長時間放置したが、析出等は全
く観察されなかった。従って、(No.1)の化合物は
従来の液晶化合物との相溶性にも優れていることが理解
できる。
【0103】(実施例9〜12)実施例8において、母
体液晶(A)に、(No.1)の化合物に代えて、実施
例2の(No.2)、実施例3の(No.3)、実施例
4の(No.4)の化合物あるいは実施例6の(No.
6)の化合物を各々10〜20重量%添加して、液晶組
成物(AM−2)〜(AM−5)をそれぞれ調製し、実
施例8と同様にして物性を測定した。結果は以下の通り
である。
【0104】[液晶組成物(AM−2)] 母体液晶(A)80%+(No.2)の化合物20% N相の上限温度(TN-I) 47.7℃ 誘電率異方性(Δε) 5.5 屈折率異方性(Δn) 0.082 しきい値電圧(Vth) 1.44V [液晶組成物(AM−3)] 母体液晶(A)90%+(No.3)の化合物10% N相の上限温度(TN-I) 45.9℃ 誘電率異方性(Δε) 6.1 屈折率異方性(Δn) 0.084 しきい値電圧(Vth) 1.43V [液晶組成物(AM−4)] 母体液晶(A)80%+(No.4)の化合物20% N相の上限温度(TN-I) 53.3℃ 誘電率異方性(Δε) 7.0 屈折率異方性(Δn) 0.087 しきい値電圧(Vth) 1.52V [液晶組成物(AM−5)] 母体液晶(A)80%+(No.6)の化合物20% N相の上限温度(TN-I) 48.7℃ 誘電率異方性(Δε) 6.7 屈折率異方性(Δn) 0.083 しきい値電圧(Vth) 1.29V このことから、本発明の一般式(I)の化合物はいずれ
も、液晶組成物のTN- I点をやや低下させるが、Vth
びΔnを効果的に低下させることが明らかである。
【0105】(比較例1)実施例8において、(No.
1)の化合物に代えて、(No.1)の化合物の類似構
造を有するが、末端基が直鎖状アルキル基であり、ジフ
ルオロシクロプロパン環を有していない式(R−1)
【0106】
【化24】
【0107】の化合物を用い、この式(R−1)の化合
物10%及び母体液晶(A)90%からなる液晶組成物
(AR−1)を調製した。この組成物(AR−1)のT
N-I及び他の物性値は以下の通りであった。
【0108】 N相の上限温度(TN-I) 59.9℃ 誘電率異方性(Δε) 7.0 屈折率異方性(Δn) 0.093 しきい値電圧(Vth) 1.67V
【0109】このように、Vthは母体液晶(A)よりも
高くなり、実施例8の組成物(AM−1)に比べるとか
なり高い値となった。この(AR−1)のΔεは(AM
−1)より大きいので、前述の(1)式から式(R−
1)の化合物の弾性定数は(No.1)の化合物に比べ
るとかなり大きいと考えられる。
【0110】(実施例13) 液晶組成物の調製(2) 以下の組成からなるフェニルシクロヘキサン系の母体液
晶(B)
【0111】
【化25】
【0112】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)を調製した
ところ、50.5℃以下でネマチック(N)相を示し
た。その物性値及びこれを用いて作製したTNセルのV
thは以下の通りであった。
【0113】 誘電率異方性(Δε) 12.0 屈折率異方性(Δn) 0.117 しきい値電圧(Vth) 1.50V
【0114】この母体液晶(B)90%及び実施例1の
(No.1)の化合物10%からなる液晶組成物(BM
−1)を調製した。この組成物(BM−1)のTN-I
びその他の物性値は以下の通りであった。
【0115】 N相の上限温度(TN-I) 48.6 ℃ 誘電率異方性(Δε) 11.0 屈折率異方性(Δn) 0.113 しきい値電圧(Vth) 1.29V このように、組成物(BM−1)はTN-Iがほとんど低
下せず、しかもVthは0.21Vも低下し、Δnも減少
していることが明らかである。
【0116】(比較例2、3)実施例13において(N
o.1)の化合物に代えて、これまでしきい値電圧の低
下用に用いられてきた式(R−2)及び(R−3)
【0117】
【化26】
【0118】の化合物を用い、式(R−2)あるいは式
(R−3)の化合物10%及び母体液晶(B)90%か
らなる液晶組成物(BR−2)及び(BR−3)をそれ
ぞれ調製した。これらのTN-I及びその他の物性値は以
下の通りであった。 [液晶組成物(BR−2)] N相の上限温度(TN-I) 39.8℃ 誘電率異方性(Δε) 10.6 屈折率異方性(Δn) 0.104 しきい値電圧(Vth) 1.19V [液晶組成物(BR−3)] N相の上限温度(TN-I) 43.7℃ 誘電率異方性(Δε) 11.6 屈折率異方性(Δn) 0.108 しきい値電圧(Vth) 1.33V
【0119】このように、組成物(BR−2)及び(B
R−3)のいずれも、Vthは母体液晶(B)に比べて大
きく低下したが、TN-Iも大きく低下してしまった。従
って、式(R−2)及び式(R−3)の化合物は、特に
高温域まで幅広い温度範囲が要求されるような液晶組成
物においては、その添加量が非常に制限されるので、V
th及びΔnについて、一般式(I)の化合物ほど顕著な
効果は得られない。
【0120】(実施例14) 液晶組成物の調製(3) アクティブマトリックス駆動用として好適な、以下の組
成からなる母体液晶(C)
【0121】
【化27】
【0122】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製したところ、116.7℃以下でネ
マチック相を示した。その物性値及びこれを用いて作製
したTNセルのしきい値電圧(Vth)は以下の通りであ
った。
【0123】 誘電率異方性(Δε) 4.7 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 2.43V
【0124】この母体液晶(C)70重量%及び実施例
4の(No.4)の化合物30重量%からなる液晶組成
物(CM−4)を調製した。この(CM−4)のTN-I
及びその他の物性値は以下の通りであった。
【0125】 N相の上限温度(TN-I) 96.9℃ 誘電率異方性(Δε) 4.6 屈折率異方性(Δn) 0.082 しきい値電圧(Vth) 2.16V このように、組成物(CM−4)のTN-Iは低下した。
しかしながら、Δεがわずかに小さくなったにもかかわ
らず、Vthは0.27Vも低下し、Δnも効果的に低下
した。
【0126】(比較例4)実施例14において、(N
o.4)の化合物に代えて、(No.4)の化合物の類
似構造を有するが、末端基が直鎖状アルキル基であり、
ジフルオロシクロプロパン環は含まない式(R−4)
【0127】
【化28】
【0128】の化合物を用い、この式(R−4)の化合
物30%及び母体液晶(C)70%からなる液晶組成物
(CR−4)を調製した。このTN-I及び他の物性値は
以下の通りであった。
【0129】 N相の上限温度(TN-I) 117.2℃ 誘電率異方性(Δε) 5.4 屈折率異方性(Δn) 0.086 しきい値電圧(Vth) 2.33V
【0130】このように、組成物(CR−4)のTN-I
は(CM−4)よりやや高くなった。しかしながら、Δ
εが大きくなったにもかかわらず、Vthは(CM−4)
より約0.2V近くも高くなった。また、Δnは母体液
晶(C)よりは小さくなったが、(CM−4)よりかな
り大きくなった。
【0131】(実施例15〜18)実施例14におい
て、母体液晶(C)に、(No.4)の化合物に代え
て、実施例1の(No.1)の化合物、実施例2の(N
o.2)の化合物、実施例3の(No.3)の化合物あ
るいは実施例6の(No.6)の各化合物の各々10〜
30%を添加し、液晶組成物(CM−1)、(CM−
2)、(CM−3)及び(CM−5)をそれぞれ調製
し、物性を測定した。その結果は以下の通りであった。
【0132】[液晶組成物(CM−1)] 母体液晶(C)80%+(No.1)の化合物20% N相の上限温度(TN-I) 101.2℃ 誘電率異方性(Δε) 3.6 屈折率異方性(Δn) 0.084 しきい値電圧(Vth) 2.46V [液晶組成物(CM−2)] 母体液晶(C)70%+(No.2)の化合物30% N相の上限温度(TN-I) 85.7℃ 誘電率異方性(Δε) 3.0 屈折率異方性(Δn) 0.077 しきい値電圧(Vth) 2.29V [液晶組成物(CM−3)] 母体液晶(C)90%+(No.3)の化合物10% N相の上限温度(TN-I) 98.6℃ 誘電率異方性(Δε) 4.1 屈折率異方性(Δn) 0.084 しきい値電圧(Vth) 2.33V [液晶組成物(CM−5)] 母体液晶(C)70%+(No.6)の化合物30% N相の上限温度(TN-I) 89.0℃ 誘電率異方性(Δε) 5.7 屈折率異方性(Δn) 0.081 しきい値電圧(Vth) 1.95V このことから、本発明の一般式(I)の化合物はいずれ
も、液晶組成物のTN- I点をやや低下させるが、Vth
びΔnを効果的に低下させることが明らかである。
【0133】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表わされる化合
物は、実施例に示したように工業的にも容易に製造で
き、ネマチック液晶として現在汎用されている母体液晶
との相溶性にも優れている。この一般式(I)の化合物
は、屈折率異方性が小さく、他の液晶化合物との相溶性
に優れ、化学的にも熱、光、水等に対し安定であり、分
子内にシアノ基やエステル基など極性基を含まないの
で、高い比抵抗と電圧保持率を有する液晶組成物を容易
に得ることができる。
【0134】また、この化合物を含有する液晶組成物
は、ネマチック液晶温度範囲が広く、しきい値電圧(V
th)及び屈折率異方性が比較的小さい。従って、各種液
晶表示素子、特にアクティブマトリックス駆動用の液晶
材料として非常に有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、mは0〜5の整数を表わし、nは0〜7の整数
    を表わし、Z1及びZ2はそれぞれ独立的に単結合又は−
    CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方は単結合を表
    わし、環Aはトランス−1,4−シクロヘキシレン基又
    は1,4−フェニレン基を表わし、X及びYはそれぞれ
    独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。)で表わさ
    れる化合物。
  2. 【請求項2】 Z1及びZ2が共に単結合を表わす請求項
    1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 環Aがトランス−1,4−シクロヘキシ
    レン基を表わす請求項2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 X及びYの少なくとも一方がフッ素原子
    を表わす請求項3記載の化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
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JP2016113440A (ja) * 2014-12-12 2016-06-23 石家庄▲誠▼志永▲華顕▼示材料有限公司 シクロプロピルを含有する液晶化合物及び液晶混合物

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JP2016113440A (ja) * 2014-12-12 2016-06-23 石家庄▲誠▼志永▲華顕▼示材料有限公司 シクロプロピルを含有する液晶化合物及び液晶混合物

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