JP2003159094A - 卵黄抗体の無菌的製造法 - Google Patents

卵黄抗体の無菌的製造法

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Naomi Yamakawa
直美 山川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な工程で、活性を有する高純度の無菌抗
体を卵黄から製造する方法を提供する。 【解決手段】 抗体を含有する卵黄から抗体を無菌的に
単離、精製する方法であって、水で希釈し、酸性域に調
整した酸性希釈卵黄液を遠心分離して、その上清である
卵黄溶液を単離し、この卵黄溶液を濾過滅菌して抗体を
単離、精製することを特徴とする卵黄抗体の無菌的製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、卵黄抗体
の無菌的製造法に関するものである。さらに詳しくは、
この出願は、食品等への添加が可能な無菌卵黄抗体を製
造する方法と、この方法によって製造される無菌抗体並
びにこの抗体を含有する食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗原で免疫したニワトリの卵黄から得ら
れる抗体(IgY抗体)は、哺乳動物(ラット、マウス
等)の血清中に含まれる抗体(IgG抗体)と比較して、
抗体含有量が極めて高く、また鶏卵が安価かつ大量に入
手できることなどから、医薬品製造や臨床検査等の分野
において広く利用されている。
【0003】従来、卵黄抗体の製造法としては、例え
ば、カラム液体クロマトグラフィーにより卵黄からIgY
抗体を分離精製するに際して、六角柱状または針状のヒ
ドロキシアパタイトからなり且つ細孔容積が1〜5 ml/g
であるヒドロキシアパタイト凝集体を充填したカラム
に、リボタンパク質を除去した卵黄成分を通すことを特
徴とするIgY抗体の分離精製方法(特開平8-188599号公
報)、抗体を含有する液体を分離剤と接触させて抗体を
分離剤に接触させた後、分離剤と液体とを分離し、次い
で分離剤から抗体を脱離させるに当たり、分離剤として
金属のオルトリン酸液から成る分離剤を用いることを特
徴とする抗体の分離精製法(特開平10-59999号公報)等
が知られている。また、pH5.0〜5.2の6倍水希釈卵黄溶
液から、塩沈澱、アルコール沈澱、ウルトラフィルトレ
ーション、ゲル濾過およびイオン交換クロマトグラフィ
ーを含むいくつかの技術の組み合わせにより、高活性の
IgY抗体が得られることも報告されている(Journal of
Food Science 57(3): 629-634, 1992)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特定の抗体を含有する
卵黄から抗体を製造する場合、製造工程において混入す
る微生物または卵黄に内在する微生物に起因する汚染が
あるので、滅菌処理をせずに食品に利用することは食品
衛生上問題があった。滅菌処理の代表的方法としては、
加熱滅菌があるが、卵黄に含有される抗体を変性させ
ず、かつ抗体活性を維持して加熱滅菌することは困難で
ある。従って、卵黄に由来する抗体を、その活性を維持
したまま食品に利用することは、従来不可能であった。
【0005】この出願の発明は、以上のとおりの事情に
鑑みてなされたものであって、食品等への利用が可能な
無菌卵黄抗体を簡便に製造する方法を提供することを課
題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願は、前記の課題
を解決するための発明として、抗体を含有する卵黄から
抗体を無菌的に単離、精製する方法であって、(a) 水
で希釈し、酸性域に調整した酸性希釈卵黄液を遠心分離
して、その上清である卵黄溶液を単離し、(b) この卵
黄溶液から不要なタンパク質を除去し、(c) この不要
タンパク質を除去した卵黄溶液を濾過滅菌して無菌抗体
含有溶液を得る、ことを特徴とする卵黄抗体の無菌的製
造法を提供する。
【0007】また、この発明の製造法においては、ステ
ップ(b)において、限外濾過によって不要タンパク質を
除去すること、アルコールを添加した卵黄溶液を遠心分
離することによって不要タンパク質を除去すること、あ
るいはアルコールを添加した卵黄溶液を粗濾過すること
によって不要タンパク質を除去することをそれぞれ好ま
しい態様としてもいる。そして、ステップ(b)において
アルコールを添加した場合には、ステップ(c)の前に、
透析を行うことによって卵黄溶液中のアルコール濃度を
低下させることを別の好ましい態様としてもいる。
【0008】さらにまた、この発明の製造法において
は、ステップ(a)またはステップ(b)の直後に卵黄溶液を
中性または弱アルカリ性とすることを好ましい態様とし
ている。
【0009】また、この出願の発明は、前記の方法で製
造され、細菌および微生物を実質的に含まない無菌抗体
と、この無菌抗体を含有する食品を提供する。
【0010】以下、この出願の発明について、実施形態
を詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】この出願の方法は、前記のとお
り、(a)卵黄溶液を調製するステップ、(b)卵黄溶液から
不要タンパク質を除去するステップ、および(c)卵黄溶
液を濾過滅菌するステップ、を順次に行うことを特徴と
している。以下、各工程について説明する。 ステップ(a):このステップは、抗体を含有する卵黄液
に含まれる不要な脂質を除去した卵黄溶液を調製する工
程である。
【0012】このような卵黄溶液は、具体的には、例え
ば以下の方法によって調製することができる。 サブステップ(a-1):酸性希釈卵黄溶液の調製 先ず、抗体を含有する卵黄に、0.5〜4倍量、望ましくは
等量の水を添加して卵黄を希釈し、さらにpHを4.5〜5.
5、望ましくは5.0〜5.2の酸性域に調整して不要な脂質
を不溶化する。pHの調整は、食品への使用が可能な希酢
酸、希塩酸、クエン酸等を卵黄水溶液に添加することに
より行うことができる。 サブステップ(a-2):酸性希釈卵黄溶液の遠心分離 前記のサブステップ(a-1)で得られた酸性希釈卵黄溶液
を、5,000〜20,000 x g、望ましくは、約10,000 x gで5
〜20分間、望ましくは約10分間遠心分離し、酸性域にお
いて脂質成分を除去する。
【0013】このようにして、遠心分離後の上清とし
て、不要な脂質成分が除去された卵黄溶液が得られる。
【0014】なお、この発明の方法では、前記ステップ
(a)において酸性域に調整した卵黄液を、ステップ(a)の
直後か、またはその後のステップ(b)の直後にpHを6〜7
の中性ないし弱アルカリ性に調整することを好ましい態
様としている(以下、このように中性ないし弱アルカリ
性とした卵黄溶液を「中性卵黄溶液」と記載する)。pH
の調整は、食品への使用が可能な希水酸化ナトリウム溶
液等により行うことができる。このように卵黄溶液を中
性ないし弱アルカリ性に戻すことは、卵黄抗体の安定性
を高めるために好ましい。すなわち、タンパク質溶液を
酸性状態で長時間保持すると、タンパク質の凝集によっ
て徐々に白濁化する。このような白濁化した状態でステ
ップ(b)やステップ(c)の濾過処理を行うと、凝集物によ
って膜が目詰まりし、膜の耐久性を損なうばかりか、正
確な濾過が行えない場合がある。ただし、ステップ(a)
からステップ(b)、あるいはステップ(b)からステップ
(c)を短時間(例えば12時間以内)に行う場合には、卵
黄溶液の中性ないしは弱アルカリ性処置は必ずしも必要
ない。さらにまた、酸性状態で長時間保持することは抗
体の活性維持のためにも好ましくない。従って、ステッ
プ(a)および(b)において中性卵黄溶液としない場合であ
っても、ステップ(c)において得られた無菌抗体含有溶
液を長時間(例えば12時間以上)、そのままの状態で
(例えば乾燥などせずに)保持する場合にも、その溶液
を中性ないし弱アルカリ性に戻すことが好ましい。 ステップ(b):このステップは、前記のステップ(a)で得
られた卵黄溶液から、不要なタンパク質を除去すること
によって、濾過滅菌可能な卵黄溶液を得る工程である。
このステップ(b)における不溶タンパク質の除去は、以
下の各方法のいずれかによって行うことができる。 (1) 限外濾過 前記のステップ(a)で得られた卵黄溶液を、限外濾過装
置で処理することによって不要タンパク質を除去する。
この限外濾過は、抗体よりも分子量の大きい不要物質を
除去することを目的とする。例えば、分画分子量が1000
kDの限外濾過膜(例えば、MILLIPORE社製、Biomax-100
0)を備えた濾過装置で卵黄溶液を限外濾過することに
よって、分子量が約1000kD以上の高分子タンパク質が除
去され、抗体は膜を通過させ、分子量150〜200kDの抗体
を含む卵黄溶液が得られる。そしてさらに好ましくは、
抗体よりも分子量の小さい不要物質を除去することも目
的としている。例えば、分画分子量が100kDの限外濾過
膜(例えば、MILLIPORE社製、Biomax-100)を用いて卵
黄溶液を限外濾過することによって、抗体は膜にトラッ
プし、抗体より分子量が小さい不要低分子物質は膜を通
過させることで除去する。これによって、高純度の抗体
含有液を得ることができる。図1は、卵黄溶液として中
性希釈卵黄溶液を使用した場合の限外濾過による抗体溶
液の精製工程例である。
【0015】また、前記のステップ(a)で得られた卵黄
溶液を限外濾過する場合には、溶液が濃厚なため、限外
濾過膜の目詰まりが早く、膜の再生頻度が高くなり、膜
寿命も短くなる。このため、例えば日本酒製造に使用さ
れているような布等を用いた粗濾過処理を事前に行うこ
とが好ましい。
【0016】なお、分画分子量1000kDの限外濾過膜を用
いて限外濾過することによって、ウイルスや細菌、微生
物等も除去することができるため、限外濾過処理を無菌
条件下で行えば、ステップ(c)の濾過滅菌を省略するこ
ともできる。ただし、より確実に滅菌するためには、後
記の方法によってステップ(c)を行うことが好ましい。 (2) アルコール添加と遠心分離 先ず、前記ステップ(a)で得られた卵黄溶液に、アルコ
ール(エタノール)を添加し、不要なタンパク質を凝集
沈殿させる。このとき、アルコール濃度が高いと、卵黄
溶液に含まれる抗体分子もが凝集沈殿してしまう。従っ
て、抗体分子は凝集せず、不要タンパク質が凝集する程
度のアルコール濃度が達成できるようなアルコール添加
量を選択する。すなわち、アルコール添加量は、アルコ
ール濃度によって異なるが、例えば50%(W/W)エタノール
を使用する場合には、卵黄上清溶液の約1/3容量のエタ
ノールを徐々に添加する。
【0017】次いで、このアルコール添加卵黄溶液を遠
心分離して、不要タンパク質を含む沈殿と上清とに分離
し、上清としての抗体含有卵黄溶液を得る。具体的に
は、例えば、卵黄溶液の約1/3容量のアルコールを徐々
に添加して卵黄溶液の容器を0〜5℃で15〜60分静置し、
タンパク質を凝集させた後、5,000〜20,000 x g、望ま
しくは約10,000 x gで10〜30分間、遠心分離して凝集し
た不要タンパク質を除去する。
【0018】なお、アルコール添加と遠心分離は、アル
コールの最終到達濃度が前記と同様であれば、2段階以
上のステップで行うこともできる。例えば、添加卵黄溶
液に、その約1/4容量の50%(W/W)アルコールを添加して
遠心分離し、さらにその遠心上清に、卵黄溶液の初容量
の約1/9容量の50%(W/W)アルコールを添加して再度遠心
分離するようにしてもよい。 (3) アルコール添加と粗濾過 前記(2)と同様にして、卵黄溶液にアルコールを添加し
て不要タンパク質を凝集沈殿させ、布等を用いた粗濾過
手段によって不要タンパク質等の不溶性物質を除去す
る。
【0019】以上の各方法によって、不要な脂質や高分
子タンパク質が除去され、濾過滅菌が可能となる卵黄溶
液が得られる。なお、このようにして得られた卵黄溶液
は、出発材料である卵黄中に含まれていた抗体の20%以
上を含有し、かつ室温における濁度が500ホルマジン度
以下の透明度を有している。 ステップ(c):前記ステップ(b)によって高分子および/
または低分子の不要タンパク質を除去した卵黄溶液を濾
過滅菌する。例えば孔径が0.1〜0.45μm程度の市販の濾
過滅菌膜(例えばMILLIPORE社製、MF-membrane)を用い
た濾過滅菌によって、無菌抗体含有液を得ることができ
る。
【0020】また、ステップ(b)においてアルコール添
加して遠心分離や粗濾過した卵黄溶液は、さらに前記の
ような限外濾過処理を行った後に、濾過滅菌することも
できる。あるいは、アルコール添加処理を行った卵黄溶
液を限濾過する場合には、事前に透析を行ってアルコー
ル濃度を低下させるようにしてもよい。透析は、例えば
限界濾過において抗体含有画分を濃縮する工程で、限外
濾過膜を透析外液と接触させることによって行うことが
できる。
【0021】図2は、中性希釈卵黄溶液に対して、粗濾
過処理を行った後に限外濾過を行い、さらに濾過滅菌処
理を行う場合の処理工程の一例である。
【0022】またこの濾過滅菌は、前記の限外濾過膜や
濾過滅菌膜の代わりに、ホロファイバー形状の濾過素材
や、あるいは濾過膜を渦巻き状にしてカートリッジに充
填したフィルターユニット(例えば、AMICON社製、SPIR
AL CARTRIGE)等を用いて行うこともできる。
【0023】以上のとおりの方法によって、活性のある
無菌抗体を含有し、細菌やウイルス等の有害成分を実質
的に含まない無菌抗体含有溶液が得られる。この抗体含
有溶液は、そのまま、あるいは乾燥して食品等に含有さ
せることができる。また、溶液から公知の分離手段によ
って、抗体分子のみを単離、精製することもできる。例
えば有害な消化器系細菌等に対する抗体を含有させた食
品は、それを摂取することによって細菌性の消化器疾患
の予防または治癒に有効である。
【0024】以下、実施例を示してこの出願の発明をさ
らに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以
下の例によって限定されるものではない。
【0025】
【実施例】実施例1 抗原(Helicobacter pylori)で免疫したニワトリの卵
黄20 gに同量の滅菌水を添加し、攪拌しながら希酢酸を
添加し、pHを5.0〜5.2に調整して酸性希釈卵黄溶液を調
製した。この溶液を遠心分離(10,000×g、10分間)
し、沈殿(卵黄の脂質成分)と上清とに分離した。
【0026】この卵黄上清溶液に希水酸ナトリウム溶液
を滴下してpHを中性付近(pH6〜8)に戻した後、その約
1/4容量の50%(W/W)エタノールを徐々に添加し、4℃で30
分間静置し、遠心分離(10,000×g、10分間)して沈殿
を除去した。さらに、中性希釈卵黄溶液の初容量の約1/
9容量の50%(W/W)エタノールを、前記の卵黄溶液に徐々
に加え、4℃で30分間静置し、遠心分離(10,000×g、20
分間)して沈殿を除去し、不要なタンパク質等を除去し
た卵黄溶液を得た。この卵黄溶液の濁度を濁度計を用い
て測定した結果、その濁度(透明度)は、室温で300〜4
00ホルマジン度であった。
【0027】次いで、この卵黄溶液を常法により透析
し、アルコール等の不要物を除去した後、市販の濾過滅
菌膜(MILLIPORE社製、MF-membrane)により濾過滅菌
し、無菌抗体を回収した。抗体の回収率は約30%であっ
た。
【0028】図3は、得られた抗体を電気泳動し、CBB
染色した結果(左)と、ウエスタンブロットを抗IgY-HR
Pにより免疫染色した結果(右)である。レーン1は卵
黄全タンパク質、レーン2は脂質を除去した卵黄液上
清、レーン3は濾過滅菌後の抗体含有溶液である。レー
ン3において抗体IgYの存在を示す約200kDaの明瞭なバ
ンドが観察された。
【0029】さらに、この抗体の活性をELISA法により
測定したところ、抗体の抗原結合活性は良好であった。 実施例2 抗原(Helicobacter pylori)で免疫したニワトリの卵
黄20 gに同量の滅菌水を添加し、攪拌しながら10%クエ
ン酸溶液を徐々に添加し、pHを5.0〜5.2に調整して酸性
希釈卵黄溶液を調製した。この溶液を遠心分離(10,000
×g、10分間)し、沈殿(卵黄の脂質成分)と上清とに
分離した。
【0030】この卵黄上清溶液を、限外濾過装置を用い
て限外濾過滅菌した。すなわち、分画分子量が1000kDの
限外濾過膜(MILLIPORE社製、Biomax-1000)を用いて卵
黄液上清を限外濾過し、分子量約1000kD以上の不要な高
分子タンパク質や細菌、ウイルス等を除去した無菌の抗
体含有画分を、限外濾過膜透過液として得た。さらに、
この抗体含有画分を、分画分子量が100kDの限外濾過膜
(MILLIPORE社製、Biomax-100)を用いて限外濾過する
ことによって不要な低分子量物質をさらに除去し、純度
の高い抗体含有溶液を濃縮した状態で得た。抗体の回収
率は70〜80%であった。また、抗体価をELISA法によっ
て測定した結果、抗体の抗原結合性は良好であった。
【0031】なお、卵黄液上清に水酸化ナトリウム溶液
を滴下してpHを中性付近(pH6〜8)に戻した後、同様の
装置で限外濾過して場合も、同様の結果が得られた。 実施例3 抗原(Helicobacter.Pylori)で免疫したニワトリの卵
黄20gに2倍量の滅菌水を添加し、撹拌しながら希酢酸
を徐々に添加し、pHを5.0〜5.2に調整して酸性希釈卵黄
溶液を調整した。この溶液を遠心分離(10,000 xg、10
分間)し、沈殿(卵黄の脂質成分)と抗体を含有する上
清とに分離した。
【0032】この卵黄上清溶液に約1/3容量の50%(W/
W)エタノールを徐々に加え、4℃で30分間静置し、遠心
分離(10,000 xg、30分)して沈殿を除去し、不要タン
パク質を除去した卵黄溶液を得た。この卵黄溶液に水酸
化ナトリウム溶液を滴下してpHを中性付近(pH6〜8)
に戻した。さらにこの溶液を常法に従って0.9%食塩水に
対して透析を行ったあと、限外濾過を行って抗体含有画
分を濃縮した。すなわち、分画分子量が100kDaの限外濾
過膜(MILLIPORE社製、Biomax-100)を用いて上記卵黄
上清溶液を限外濾過し、分子量100kDd以下の不要タンパ
ク質を除去すると共に、抗体含有画分を濃縮した。次い
で、抗体含有画分を市販の濾過滅菌膜(MILLIPORE社
製、MF-membrane)により濾過滅菌し、濃縮された無菌
抗体を回収した。この時の抗体回収率は約30%であっ
た。この無菌抗体含有溶液を4℃で2週間保存して抗体
活性をELISAによって確認したところ、製造直後の抗体
活性に比較して80%を維持していた。また、上記の無菌
抗体含有溶液に10%ショ糖を溶解して4℃で2週間保存
して抗体活性を同様に確認したところ、製造直後の抗体
活性をほぼ維持していた。
【0033】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、無菌の卵黄抗体を簡便かつ高効率で製造
することが可能となる。得られた卵黄抗体は有害な細菌
や微生物によって汚染されていないため、食品等に安全
に添加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法の一例を示した工程図である。
【図2】この発明方法の別の例を示した工程図である。
【図3】この発明の方法によって得られた卵黄抗体の電
気泳動図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B018 MD20 MD72 ME11 ME14 MF01 4B064 AG26 CA10 CE02 CE03 CE06 DA01 DA10 DA15 4H045 AA11 AA20 AA30 CA11 DA75 EA01 EA20 EA52 FA71 GA01 GA05 GA10 GA15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗体を含有する卵黄から抗体を無菌的に
    単離、精製する方法であって、(a) 水で希釈し、酸性
    域に調整した酸性希釈卵黄液を遠心分離して、その上清
    である卵黄溶液を単離し、(b) この卵黄溶液から不要
    タンパク質を除去し、(c) この不要タンパク質を除去
    した卵黄溶液を濾過滅菌して無菌抗体含有溶液を得る、
    ことを特徴とする卵黄抗体の無菌的製造法。
  2. 【請求項2】 ステップ(b)において、限外濾過によっ
    て不要タンパク質を除去する請求項1の製造法。
  3. 【請求項3】 ステップ(b)において、アルコールを添
    加した卵黄溶液を遠心分離することによって不要タンパ
    ク質を除去する請求項1の製造法。
  4. 【請求項4】 ステップ(b)において、アルコールを添
    加した卵黄溶液を粗濾過することによって不要タンパク
    質を除去する請求項1の製造法。
  5. 【請求項5】 ステップ(b)の後に透析を行い、卵黄溶
    液中のアルコール濃度を低下させた後にステップ(c)を
    行う請求項3または4の製造法。
  6. 【請求項6】 ステップ(a)またはステップ(b)の直後
    に、卵黄溶液を中性または弱アルカリ性とする請求項1
    から5のいずれかの製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかの方法で製造
    され、細菌および微生物を実質的に含まない無菌抗体。
  8. 【請求項8】 請求項7の無菌抗体を含有する食品。
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