JP2022550836A - タンパク質の精製およびウイルス不活性化 - Google Patents

タンパク質の精製およびウイルス不活性化 Download PDF

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Abstract

本発明は、アフィニティークロマトグラフィーステップ、ウイルス不活性化ステップおよび任意に他の精製ステップを含む、細胞培養試料から標的タンパク質を精製するための方法であって、ここで細胞培養試料は、標的タンパク質、ウイルスの化合物、ならびに他の生成物およびプロセスに関連する不純物を含み、ここでアフィニティークロマトグラフィーステップは、a)アフィニティークロマトグラフィーカラムを細胞培養試料でロードすること、それによってアフィニティークロマトグラフィーカラムに標的タンパク質を結合させること;b)pH<6を有し、かつ賦形剤を含む溶出バッファーをアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させることにより、アフィニティークロマトグラフィーカラムから標的タンパク質を溶出させること、ここで賦形剤は、二糖類、ポリオールおよびポリ(エチレングリコール)ポリマーからなる群から選択される;c)ステップ(b)から得られた標的タンパク質を含有する1以上の画分を収集すること;d)場合によっては、ステップ(c)から得られた画分を合わせて溶出生成物プールを形成すること;およびここで、ウイルス不活性化ステップは、e)2.5~4.5のpHにおいて溶出生成物プールをインキュベーションすることを含む;を含む、前記方法を提供する。

Description

技術分野
本発明は、アフィニティークロマトグラフィーステップ、ウイルス不活性化ステップおよび任意に他の精製ステップを含む、細胞培養試料から標的タンパク質を精製するための改善された方法であって、ここで細胞培養試料は、標的タンパク質、ウイルスの化合物、ならびに他の生成物およびプロセスに関連する不純物を含む、前記方法に関する。
技術水準
タンパク質、および特にモノクローナル抗体(mAb)の治療的適用は、今日の医療ニーズにおいてますます重要な役割を果たす。バイオテクノロジー的に生産されたタンパク質の下流プロセシングにおける重要な側面は、標的タンパク質の純度およびプロセス収率である。したがって、最終的に患者に投与される治療剤になる最終生成物となるように、下流プロセスを設計する必要がある。したがって、最終的な治療剤は、生成物およびプロセスに関連する不純物(例として高分子量凝集体)、ならびにプロセスに関連する夾雑物(例として宿主細胞タンパク質レベル、DNA、内毒素、浸出したプロテインAおよびいくつかの細胞培養培地添加剤)が低いレベルを示すことが重要である。これに加えて、プロセスは、生成物の安全性を確保するために、ウイルスを取り除き、不活性化することができなければならない。
タンパク質、および特にmAbの精製は、複雑でコストのかかる複数ステップのプロセスであり、典型的には、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを伴う。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーは、複雑な細胞培養培地から出発する高度に選択的なmAb精製ステップであり、典型的には95%超のmAb純度をもたらす。mAbを含有する試料溶液をプロテインAカラムに通すと、培地タンパク質、宿主細胞タンパク質、核酸および内毒素などの不純物はフロースルーで除去される一方で、mAb生成物はカラム内に保持される。mAbとプロテインAとの間の相互作用を低減させる酸性溶出バッファーを使用してpHを低下させることにより、mAb生成物はプロテインA樹脂から溶出させる。溶出ステップ後の酸性条件はまた、pH感受性ウイルス夾雑物の不活性化に好適である(Yoo, S.M., Ghosh, R. 2012. Simultaneous removal of leached protein-A and aggregates from monoclonal antibody using hydrophobic interaction membrane chromatography. Journal of Membrane Science, 390: 263-269)。したがって、プロテインAカラムは低pHバッファで溶出するため、溶出後、プロテインAクロマトグラフィーからのmAb生成物は、典型的には、低pHでのインキュベーションによりウイルス不活性化に供される。
プロテインAクロマトグラフィーおよびウイルス不活性化の制限は、プロテインA樹脂からのタンパク質または抗体の溶出とウイルス不活性化ステップを酸性条件下で行う必要があることである。低pH処理は、様々なバイオテクノロジー生成物についてレトロウイルスを成功裏に不活性化することが示されている(Brorson, K., Krejci, S., Lee, K., Hamilton, E., Stein, K., Xu, Y. 2003. bracketed generic inactivation of rodent retroviruses by low pH treatment for monoclonal antibodies and recombinant proteins, Biotechnology and Bioengineering 82, 321-329)。しかしながら、低pH条件への暴露は、生成物溶出の間に可溶性の高分子量凝集体および/または不溶性の沈殿物の形成をもたらし得る。高分子量凝集体の形成は、有意なレベルの生成物種が凝集した場合、生成物収率の低減に繋がり得る。
プロテインAクロマトグラフィーの間に、低pHでタンパク質安定化剤として、賦形剤、例としてアルギニンおよび尿素を添加することにより、プロテインAクロマトグラフィーの間のタンパク質凝集に対処する戦略が記載されている。尿素の添加は、夫々0.5Mおよび1Mの濃度で、カラム上および溶液中の凝集を低減するのに有効であった(Shukla, A.A., Hubbard, B., Tressel, T., Guhan, S., Low, D. 2007. Downstream processing of monoclonal antibodies-application of platform approaches. J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci 848(1):28-39)。溶出液としてアルギニン溶液を使用したプロテインAクロマトグラフィーは、プロテインAからの溶出時にタンパク質凝集を防ぐことが見出された(Arakawa, T., Philo, J.S., Tsumoto, K., Yumioka, R., Ejima, D. 2004. Elution of antibodies from a protein-A column by aqueous arginine solutions, Protein Expr. Purif. 36, 244-248)。
バイオ医薬品産業において、下流プロセシングにおける低pHステップの間のタンパク質凝集のリスクを低減するための、改善された方法を定義する必要性が依然として存在する。とくに、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーの溶出バッファーに薬学的に許容し得る安定化賦形剤を添加するアプローチは、このバッファー系がまた、以下の重要なプロセシングステップであるウイルス不活性化においても重要な役割を果たすため、高い関心を集めている。
本発明の概要
驚くべきことに、mAbなどのバイオ医薬タンパク質の精製プロセシングにおいて、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーの溶出バッファーへの、二糖類、ポリオールおよびポリ(エチレングリコール)ポリマーからなる群から選択される中性賦形剤の添加が、標的タンパク質の凝集および沈殿を防止し、溶出生成物プールの生成品収率の増大をもたらすことを見出した。さらに、選択された賦形剤は、ウイルス不活性化ステップにおいて、低pH処理の間にmAbを有効的に安定化させ、低pH処理の間にウイルス不活性化を妨害しないことを見出した。選択された賦形剤は、標的mAbを含む医薬調製物において許容可能かつ有用であるため、さらなるプロセシングステップにおいて賦形剤を除去する必要はない。
とりわけ、本発明は、アフィニティークロマトグラフィーステップ、ウイルス不活性化ステップおよび任意に他の精製ステップを含む、細胞培養試料から標的タンパク質を精製するための方法であって、ここで細胞培養試料は、標的タンパク質、ウイルスの化合物、ならびに他の生成物およびプロセスに関連する不純物を含み、ここでアフィニティークロマトグラフィーステップは、
a)アフィニティークロマトグラフィーカラムを細胞培養試料でロードすること、それによってアフィニティークロマトグラフィーカラムに標的タンパク質を結合させること;
b)pH<6を有し、かつ賦形剤を含む溶出バッファーをアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させることによりアフィニティークロマトグラフィーカラムから標的タンパク質を溶出させること、ここで賦形剤は、二糖類、ポリオールおよびポリ(エチレングリコール)ポリマーからなる群から選択される;
c)ステップ(b)から得られた標的タンパク質を含有する1以上の画分を収集すること;
d)ステップ(c)から得られた画分を合わせて溶出生成物プールを形成すること;
およびここで、ウイルス不活性化ステップは、
e)2~5のpHにおいて溶出生成物プールをインキュベーションすることを含む;
を含む、前記方法を提供する。
本発明の好ましい態様に従って、アフィニティークロマトグラフィーステップは、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーステップである。
本発明の別の好ましい態様に従って、標的タンパク質は、モノクローナル抗体である。
本発明の別の好ましい態様に従って、ポリ(エチレングリコール)ポリマーは、1,000g/mol~10,000g/molの平均分子量を有する。
本発明の有利な側面に従って、賦形剤は、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトールおよびPEG4000からなる群から選択される。
本発明の好ましい態様において、溶出バッファーは、2重量%~15重量%、さらにより好ましくは、5重量%~10重量%の賦形剤濃度を有する。
本発明の別の好ましい態様において、溶出バッファーは、クエン酸塩バッファーである。
好ましくは、溶出バッファーは、2.5~5.5のpHを有する。
本発明のさらに有利な側面に従って、溶出ステップ(b)は、pH5.5~pH2.75の溶出バッファー勾配を使用してアフィニティークロマトグラフィーカラムを溶出バッファーと接触させることを含む。
本発明の別の有利な側面に従って、インキュベーションステップ(e)に先立ち、溶出生成物プールのpHは、pH2~pH5の範囲のpHに調整される。
本発明の別の有利な態様に従って、インキュベーションステップ(e)は、pH2.5~pH4.5にて行われる。
本発明の別の好ましい態様に従って、インキュベーションステップ(e)は、室温にて行われる。
本発明の詳細な記載
バイオ医薬タンパク質の下流プロセシングの最適化において、焦点は、高い生成物収率および高い生成物純度を得ることに置かれる。しかしながら、多くのバイオ医薬的に活性なタンパク質、および特にモノクローナル抗体は、低pH条件で行われるプロセシングステップ、例えばアフィニティークロマトグラフィーステップおよびウイルス不活性化ステップなどの間に、二量体、オリゴマー、または高次凝集体を形成して沈殿する傾向がある。治療用タンパク質生成物を必要な純度で提供するために、これらの凝集タンパク質種を精製プロセスの間に除去しなければならない。本発明は、ここで、アフィニティークロマトグラフィーステップ、ウイルス不活性化ステップおよび任意に他の精製ステップを含む、細胞培養試料から標的タンパク質を精製するための方法であって、ここで細胞培養試料は、標的タンパク質、ウイルスの化合物、ならびに他の生成物およびプロセスに関連する不純物を含み、ここでアフィニティークロマトグラフィーステップは、pH<6を有し、かつ二糖類、ポリオールおよびポリ(エチレングリコール)ポリマーからなる群から選択される賦形剤を含む、溶出バッファーでの標的タンパク質の溶出を含む、前記方法を提供する。
選択された賦形剤の1つの溶出バッファーへの添加は、低pH溶液中で標的タンパク質を安定化させることができ、それは低いタンパク質凝集および標的タンパク質の高い収率に反映されることが見出された。驚くべきことに、選択された賦形剤は、低pH条件でまた行われる後続のウイルス不活性化ステップを妨害しないことが見出された。むしろ、選択された賦形剤は、低pHインキュベーション期間の間、標的タンパク質を安定化させることもまた見出された。選択された賦形剤は薬学的に許容され得、ヒトおよび動物に安全に投与し得るため、精製プロセスからそれらを除去する必要はない。これは、バイオ医薬タンパク質の下流プロセシングを、より低いコストおよび低減されたプロセシング時間に向けて最適化することを可能にする。
用語「アフィニティークロマトグラフィー」は、高度に特異的な相互作用に基づく生化学的な混合物、例として抗原と抗体、酵素と基質、受容体とリガンド、またはタンパク質と核酸を分離するクロマトグラフィープロセスを指す。このようなクロマトグラフィー樹脂の例は、これらに限定されないが、プロテインA樹脂、プロテインG樹脂、プロテインL樹脂、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー等々を含む。
本発明の具体的な態様において、アフィニティークロマトグラフィーカラムは、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムである。
用語「プロテインAアフィニティークロマトグラフィー」は、プロテインAを使用した物質および/または粒子の分離または精製を指し、プロテインAは一般に固相に固定化されている。プロテインAは、Staphylococcus aureusにおいて初めて見出された40~60kDの細胞壁タンパク質である。プロテインA樹脂への抗体の結合は、高度に特異的である。本明細書でプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにおける使用のためのプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムは、これらに限定されないが、ポリビニルエーテル固相に固定化したプロテインA、例としてEshmuno(登録商標)カラム(Merck, Darmstadt, Germany)、ポアガラスマトリックスに固定化したプロテインA、例としてProSep(登録商標)カラム(Merck, Darmstadt, Germany)、アガロース固相に固定化したプロテインA、例としてMABSELECTTM SuReTMカラム(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)を含む。
本発明は、細胞培養由来の標的タンパク質の精製プロセスに一般的に適用される、さらなる精製ステップを含んでいてもよい。非限定的な例は、アフィニティークロマトグラフィーカラム、疎水性相互作用カラムおよびイオン交換カラムなどのカラムクロマトグラフィーステップ、ならびに限外濾過およびダイアフィルトレーションなどの濾過ステップである。
用語「細胞培養試料」は、細胞培養培地、すなわち、細胞、特に哺乳動物宿主細胞の培養、成長、または維持の間に使用される溶液に由来し、目的の標的タンパク質を含む試料を指す。本明細書で使用されるとき、標的タンパク質を含む細胞培養試料は、収穫された細胞培養流体試料であり得るか、または先行する濾過および/またはクロマトグラフィーステップからの溶出液であり得る。
「タンパク質」は、1以上のポリペプチド鎖、または100超のアミノ酸残基の少なくとも1のポリペプチド鎖を含む巨大分子を含む。ポリペプチドはまた、炭水化物基などの非ペプチド構成要素を含んでもよい。炭水化物基および他の非ペプチド置換基は、ポリペプチドが生産される細胞によりポリペプチドに付加されてもよく、細胞のタイプによって異なる。ポリペプチドは、それらのアミノ酸主鎖構造の観点から本明細書に定義される;炭水化物基などの置換基は、一般に特定されないが、それでもなお存在していてもよい。
本明細書に使用されるとき、用語「抗体」は、抗体のいずれかの形態またはそれらのフラグメントを指し、所望される生物活性を示すタンパク質である。よって、それは広い意味で使用され、具体的に言うと、それらが所望される生物活性を示すかぎり、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例として、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを網羅する。「単離された抗体」は、結合化合物の精製状態を指し、そのような文脈において、分子が、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物などの他の生体分子、または細胞デブリおよび成長培地などの他の材料を実質的に含まない(substantially free)ことを意味する。一般に、用語「単離された」は、それらが本明細書に記載の結合化合物の実験的または治療的使用を実質的に妨害する量で存在しない限り、そのような材料が完全に存在しないこと、または水、バッファーもしくは塩が存在しないことを指すことを意図しない。
本明細書に使用されるとき、用語「モノクローナル抗体」または「mAb」は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち集団を含む個々の抗体は、少量に存在し得る、可能性のある自然発生の突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原エピトープに向けられている。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、異なるエピトープに向けられた(またはそれらに特異的な)多数の抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示し、いずれかの具体的な方法による抗体の産生を要求するものとして解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al., (1975) Nature 256: 495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよく、または組換えDNA法(例として、米国特許第4,816,567号を参照)によって作製してもよい。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., (1991) Nature 352: 624-628およびMarks et al., (1991) J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載の技法を使用してファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
本明細書のモノクローナル抗体は、具体的には、それらが所望される生物活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一または相同である一方で、鎖(単数または複数)の残部が別の種に由来する抗体または別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)ならびにそれらの抗体のフラグメントを包む(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855)。
アフィニティークロマトグラフィーカラムから標的タンパク質または抗体を単量体形態で回収するために、吸着に続いて、吸着した単量体形態のタンパク質をアフィニティークロマトグラフィー樹脂から溶出させる。吸着したタンパク質の溶出は、先の吸着ステップと比較してカラム中の移動相のpH条件を変化させる溶出バッファーを適用することにより引き起こされ得る。
用語「移動相」は、クロマトグラフィーカラムからポリペプチドを回収するのに好適である、水および/または水性バッファーおよび/または有機溶媒の任意の混合物を表す。本文脈において用語「溶出させること(to elute)」または「溶出させること(eluting)」は、当技術分野で当業者に知られているように使用され、流体で含浸された固体または吸着剤、すなわち、物質(単数または複数)が吸着されるカラム材料からの吸着物質(単数または複数)の溶解、任意で転置を表す。
本明細書に使用されるとき、用語「バッファー」は、その酸-塩基抱合体構成要素の作用によりpHの変化に耐える緩衝溶液を指す。「溶出バッファー」は、クロマトグラフィーカラムからタンパク質を溶出させるために使用されるバッファーである。本発明のアフィニティークロマトグラフィーステップのための溶出バッファーは、典型的にはpH<6を有する。当業者は、pHの選択が、目的とする標的タンパク質の安定性プロファイルに大きく依存することを認識している。好ましい態様において、pHは2.5~5.5の範囲にある。この範囲内でpHを制御するバッファーの例は、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはアンモニウムバッファー、またはそれらの組み合わせを含む。好ましいこのようなバッファーは、クエン酸塩である。
本発明において、溶出バッファーは、二糖類、ポリオールおよびポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される賦形剤を含む。
本発明の態様において、賦形剤は、薬学的に許容し得る化合物である。用語「薬学的に許容し得る化合物」は、特許に採用される投薬量および濃度において非毒性である化合物を指し、それは医薬製剤の他の成分に適合する。
一態様において、賦形剤は、二糖類である。さらなる態様において、二糖類は、スクロース、またはトレハロースである。
別の態様において、賦形剤は、ポリオールである。好ましい態様において、ポリオールは、少なくとも4つのヒドロキシル基を有する糖アルコールを表す。よって一態様において、ポリオールは、4つの遊離のヒドロキシル基を有するテトロール、または5つの遊離のヒドロキシル基を有するペンタオール、または6つの遊離のヒドロキシル基を有するヘキサオロールから選択される。好ましい態様において、ポリオールは、ソルビトールまたはマンニトールである。
本発明の一態様において、賦形剤は、ポリ(エチレングリコール)ポリマーである。もっともポリ(エチレングリコール)ポリマーは分子量によって実質的に変わるが、約400g/mol~約30,000g/moの範囲の分子量を有するポリマーは、大抵好適である。本発明の好ましい態様において、1,000g/mol~10,000g/mol、より好ましくは3,000g/mol~5,000g/molの範囲にある平均分子量を有するポリエチレングリコールは、好適に選択される。本発明の例において、4,000g/molの平均分子量のポリエチレングリコール(PEG4000)が選択された。
好ましい態様において、溶出バッファーは、2重量%~15重量%、さらにより好ましくは5重量%~10重量%の賦形剤濃度を有する。任意の賦形剤は、意図される安定化効果を達成するために必要な濃度よりも高い濃度で使用することができる。当業者は、本明細書で報告されているような方法において、効果が存在し、忍容できる賦形剤濃度範囲を決定することができる。
一態様において、1以上の賦形剤は、標的タンパク質、特に抗体を溶出させるためにクロマトグラフィー材料に適用される溶出バッファー中に存在していてもよい。一態様において、溶出バッファーは、最大で5つの異なる賦形剤を含む。1超の賦形剤が溶液中に存在する場合、溶液中に存在するすべての賦形剤の濃度の合計は、好ましくは上に定義されるとおりの範囲内である。任意の単一の賦形剤または賦形剤の任意の組み合わせについて、当業者は、溶出バッファー中の好適な濃度を決定する際に、個々の溶解度を考慮する。
本発明のプロセスによる好ましい態様において、結合および溶出クロマトグラフィーステップの後、ウイルス不活性化が続く。
好ましくは、結合および溶出クロマトグラフィー(アフィニティークロマトグラフィーステップ)からのアウトプットまたは溶出液は、ウイルス不活性化に供される。ウイルス不活性化は、ウイルスを不活性に、または感染不能にするものであり、これは特に標的分子が治療用途を意図する場合に重要である。
多くのウイルスは、化学的変化により不活性化し得る、脂質またはタンパク質コートを含有している。いくつかのウイルス不活性化プロセスは、単にウイルスを不活性化するよりもむしろ、ウイルスを完全に変性させることができる。ウイルスを不活性化する方法は、当業者には周知である。より幅広く使用されているウイルス不活性化プロセスのいくつかは、例として、1つ以上の以下の使用を含む:溶媒/洗剤不活性化(例として、Triton X 100による);低温殺菌(加熱);酸性pH不活性化;および紫外線(UV)不活性化。2以上のこれらのプロセスを組み合わせること;例として、酸性pH不活性化を高温で行うことが可能である。
完全かつ効果的なウイルス不活性化を確実にするために、ウイルス不活性化は、ウイルス不活性化剤と試料との適切な混合を確実にするために、しばしば絶えず攪拌しながら長期間にわたって行われる。例えば、今日の産業において使用されている多くのプロセスにおいて、捕捉ステップからのアウトプットまたは溶出液はプールタンクに収集され、長期間(例として、>1~2時間、しばしばこれに続いて終夜保管)にわたってウイルス不活性化に供される。
本明細書に記載の様々な態様において、ウイルス不活性化に必要な時間は、ウイルス不活性化をインラインで行うことによって、またはこのステップにプールタンクの代わりにサージタンクを採用することによって有意に低減することができる。本明細書に記載のプロセスで使用することができるウイルス不活性化技法の例は、例として、US2017320909(A1)に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の好ましい態様において、ウイルス不活性化は、酸性pHの使用を採用し、結合および溶出クロマトグラフィーステップからのアウトプットが、サージタンクまたはインラインのいずれかを使用して、ウイルス不活性化のために酸性pHの曝露に供される。ウイルス不活性化に使用されるpHは、典型的には5.0未満、または好ましくは3.0~4.0である。いくつかの態様において、pHは約3.6以下である。インライン法を使用したウイルス不活性化に使用される期間は、10分以下、5分以下、3分以下、2分以下、または約1分以下の間のいずれでもよい。サージタンクの場合、不活性化に必要な時間は、典型的には、1時間未満、または好ましくは30分未満である。
本明細書に記載の本発明のいくつかの態様において、好適なウイルス不活性化剤は、クロマトグラフィープロセスステップと、プロセスにおける次のユニット操作(例として、フロースルー精製)との間にインラインで導入される。好ましくは、チューブまたは接続ラインは、アウトプットが次のユニット操作に進む前に、クロマトグラフィープロセスステップからのアウトプットをウイルス不活性化剤と適切に混合することを確実にする静的ミキサーを含有する。典型的には、結合および溶出クロマトグラフィーからのアウトプットは、ある流速でチューブを通過し、これは、ウイルス不活性化剤との最小限の接触時間を確実にする。接触時間は、ある長さおよび/または直径のチューブを使用することにより、調整することができる。
いくつかの態様において、塩基または好適なバッファーは、酸への一定期間の曝露後、チューブまたは接続ラインに追加的に導入され、それによって、試料のpHを次のステップのための好適なpHにし、pHは、標的分子に有害ではない。結果的に、好ましい態様においては、低pHへの曝露および塩基性バッファーへの曝露の両方が、静的ミキサーを介した混合を含むインラインで達成される。
いくつかの態様において、インラインの静的ミキサーの代わりに、またはインラインの静的ミキサーに加えて、結合および溶出クロマトグラフィーステップからのアウトプットをウイルス不活性化剤で処理するためにサージタンクが使用され、ここでサージタンクの容量は、結合および溶出クロマトグラフィーステップからのアウトプットの総容量の25%以下、または結合および溶出クロマトグラフィーステップからのアウトプットの容量の15%以下もしくは10%以下である。サージタンクの容量が典型的なプールタンクの容量よりも有意に少ない場合、試料とウイルス不活性化剤とのより効率的な混合を達成することができるからである。
いくつかの態様において、ウイルス不活性化は、アフィニティークロマトグラフィーステップからのアウトプットに酸を加えなければならないのではなく、むしろ結合および溶出クロマトグラフィーステップにおいて溶出バッファーのpHを変えることによって達成することができる。
典型的には、ウイルス不活性化に続いて、試料はフロースルー精製プロセスに供される。
いくつかの態様では、濾過ステップは、ウイルス不活性化の後、およびフロースルー精製の前に含まれ得る。このようなステップは、とくに試料の濁りが観察される場合、ウイルス不活性化に続いて(すなわち、酸および塩基の両方を添加した後)望ましい場合がある。いくつかの態様において、濾過ステップは、微多孔性のフィルターまたはデプスフィルターを含み得る。
これまでに記載したように、精製されるタンパク質は、好適な賦形剤の添加により、安定化することができ、濁りおよび望ましくない凝集を回避することができることが見出された。よって、本発明の好ましい態様において、ウイルス不活性化ステップおよびアフィニティークロマトグラフィーステップの両方が、二糖類、ポリオール、およびポリ(エチレングリコール)ポリマーからなる群から選択される、少なくとも賦形剤の存在下で行われる。より好ましい態様において、添加される賦形剤は、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、およびPEG4000からなる群から選択される。
この様式において、所望されるタンパク質は、ウイルス不活性化を維持しながら、精製および安定化された形態で得ることができる。
本発明において、アフィニティークロマトグラフィーステップから得られた溶出生成物プールは、pHウイルス不活性化に暴露される。酸性pHへの暴露は、pHに敏感なウイルス夾雑物を低減または完全に排除する。pHウイルス不活性化ステップは、溶出生成物プールを2~5、好ましくは2.5~4.5、特に好ましくは2.8~3.6のpHで一定期間インキュベートすることを含む。典型的には、pHウイルス不活性化ステップは、pHを中和し、必要に応じて濾過によって粒子を除去することによって終了する。
本発明の別の態様において、溶出生成物プールのpHは、ウイルス不活性化ステップに所望されるpHに調整され得る。一態様において、溶出生成物プールのpHは、これらに限定されないが、クエン酸、酢酸、カプリル酸、または他の好適な酸を含む酸を添加することによって低下させなければならない。pHレベルの選択は、標的タンパク質構成要素の安定性プロファイルに依存する。本発明に従って、溶出生成物プールに存在する適用された賦形剤は、低pHウイルス不活性化の間の標的タンパク質の安定性を増強し得る。
低pHウイルス不活性化の間の標的タンパク質の安定性はまた、低pHインキュベーションの期間によっても影響を受ける。一態様において、低pHインキュベーションの期間は、30分~120分、好ましくは30分~60分である。
別の態様において、ウイルス不活性化は、室温にて行われる。
図面の簡単な説明:
図1は、低pH処理の間のmAbAへのある賦形剤の安定化効果を示す。三角形マーカーを含む上側の曲線は、速度論的SECによって測定されたpH2.8でのインキュベーション時間にわたる安定したまたは増大するmAbAモノマー含量によって示される、低pH処理の間のmAbAに対する例示的な中性賦形剤(0.5Mソルビトール)の安定化効果を示す。陰性対照との比較において、円形マーカーを含む下側の曲線は、pH2.8でのインキュベーション時間にわたる有意なmAbAモノマー含量の減少によって示される、低pH条件における例示的なイオン性賦形剤(0.5MアルギニンHCl)の不安定化効果を示す(例1)。
図2は、nanoDSFにより測定された低pH処理の間のある賦形剤(ソルビトールおよびアルギニンHCl)の効果を示す棒グラフである(例1.5)。「添加剤なし対照」(例として、0.5Mソルビトール)よりも高いTm値は、安定化特性を示す。不安定化効果は、アルギニンHClの添加について観察された。 図3は、低pH処理の間のmAbA安定性に対する、選択した賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロース、PEG4000およびアルギニンHCl)の要約した効果を示す棒グラフである。kinetic SE-HPLCおよびnanoDSFの結果に基づいて、選択した中性賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロースおよびPEG4000)は、正のデルタ値により示されるように、ストレス条件の間に安定化効果を示した。しかしながら、PEG4000は、NaClを添加しないクエン酸塩バッファー系においてのみmAbAを安定化させることができた(例1)。
図4は、低pH処理の間のmAbB安定性に対する、選択した賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロース、PEG4000およびアルギニンHCl)の要約した効果を示す棒グラフである。kinetic SE-HPLCおよびnanoDSFの結果に基づいて、選択した中性賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロースおよびPEG4000)は、モノマーおよびTm値の増大の減少により示されるように、ストレス条件の間に安定化効果を示した。しかしながら、PEG4000は、NaClを添加しないクエン酸塩バッファー系においてのみmAbBを安定化させることができた(例1)。
図5は、pH2.8で60分間の低pHウイルス不活性化の間、選択された中性賦形剤(スクロース、マンニトール、トレハロース、およびPEG4000およびソルビトール)によって引き起こされたmAbAの改善された安定性を示す棒グラフである(例4)。
図6は、pH2.8で60分間の低pHウイルス不活性化の間、選択された中性賦形剤(スクロース、マンニトール、トレハロース、およびPEG4000およびソルビトール)によって引き起こされたmAbBの改善された安定性を示す棒グラフである(例4)。
図7は、MLVウイルスを使用したpH3.6における低pH処理のプロセスステップを示すフロー図である(例5)。
図8は、低pH処理の間のインキュベーション時間に対する、選択された中性賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロースおよびPEG4000)の存在下でのMLVのウイルス低減係数を示す図である(例6)。
図9は、低pH処理の60分後の選択された中性賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロースおよびPEG4000)の存在下におけるMLVウイルスのウイルス低減係数を示す棒グラフである(例6)。
例:
例1:低pH誘導凝集試験における選択された賦形剤の安定化効果(in-vitro)
モノクローナル抗体の下流プロセシングの間のプロテインAクロマトグラフィーおよびウイルス不活性化ステップを模倣した低pHストレス条件下におけるmAbへの中性賦形剤の使用の効果をin-vitroで評価した。in-vitroスクリーニング試験は、NaClの添加有りまたは無しで、低pH値における2つのモデルタンパク質(mAbAおよびmAbB)のインキュベート実験により行った。試料のコンフォメーション安定性、断片化、凝集挙動に対するこれらの実験の効果をkinetic-SECおよびnanoDSFを使用して解析し、賦形剤なしの対照条件と比較した。
さらにまた、イオン性賦形剤(アルギニンHCl)はまた陰性対照として使用され、低pH条件におけるインキュベーションに好適でない賦形剤の不安定化効果を示した。
例1.1:0.25Mクエン酸塩バッファーpH3.0の調製
溶液A:0.25Mクエン酸一水和物(C ・H O FW=210.14)
52.5gクエン酸一水和物(M=210.14g/mol)を適切なフラスコに秤量した。500ml milli-Q水を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。
溶液B:0.25Mクエン酸三ナトリウム、二水和物(C Na ・2H O FW=294.12)
18.4gクエン酸三ナトリウム、二水和物(M=294.12g/mol)を適切なフラスコに秤量した。500ml milli-Q水を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。
およそ415mlの溶液Aおよびおよそ85mlの溶液Bを混合し、およそ500ml 0.25Mクエン酸塩バッファーpH3.0を得た。必要ならば1M HCl溶液または1M NaOHを使用して、pHを3.0±0.05に調整した。
バッファーを0.45μm HAWP混合セルロースエステルフィルター(Merck, Darmstadt, Germany)を使用して濾過し、使用の前に超音波浴で20分間脱気した。
例1.2:タンパク質試料調製
試験したタンパク質は、mAbAおよびmAbBである。
mAbAは、pI約7.01~8.58を有するモノクローナル抗体(およそ152kDa)である。それはTFF精製後のmAbであり、10mMクエン酸塩バッファーpH5.5、0.1M NaCl、0.1Mグリシンで製剤化された。溶液は、16mg/mLの濃度を有する。
mAbBは、pI約7.6~8.3を有するモノクローナル抗体(およそ145kDa)である。それはTFF精製後のmAbであり、50mM酢酸ナトリウムpH5.0で製剤化された。溶液は、80mg/mLの濃度を有する。
表1:in vitro賦形剤スクリーニングのための試料調製
Figure 2022550836000001
例1.3:ストレス条件
ストレス条件は、選択されたバッファ条件(0.1Mクエン酸塩バッファーpH2.8)でmAb試料を1:20(最終濃度 mAbAは0.8mg/ml、mAbBは4mg/ml)に希釈することにより開始した。最初の試料を、選択されたバッファーでの希釈後、SE-HPLCで直接測定した。凝集動態(kinetics)を、2時間、30分ごとに測定を繰り返すことによりモニタリングした。すべての試料を、融点(Tm)分析のためにナノ示差走査型蛍光測定法(nanoDSF)によっても測定した。これらのストック溶液を用いて、種々の賦形剤製剤を調製した(バッファー条件のピペッティングスキームは表1を参照)。
例1.4:サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)条件
カラム:TSKgel SuperSW3000
システム:Agilent 1290 UHPLC
流速:0.35ml/分
溶出液:0.025M NaHPO O/0.025M NaHPO/0.4M NaClO O/pH6.3
試料:低pHスクリーニング条件におけるmAbAおよびmAbB
賦形剤であるソルビトールおよびアルギニンHClのタンパク質安定化効果に関する結果を図1に示す。タンパク質安定化効果は0.5Mソルビトールの添加について観察された;不安定化効果は0.5MアルギニンHClの添加について観察された。
例1.5:NanoDSF条件
NanoDSFは、内在するトリプトファンまたはチロシン蛍光を利用してタンパク質の安定性を決定する改変された示差走査蛍光測定法である。タンパク質の安定性は、熱アンフォールディング実験によって扱うことができる。タンパク質の熱安定性は、典型的には、その温度でタンパク質集団の50%がアンフォールドされ、フォールドからアンフォールドへの推移の中間点に対応する、「融解温度」または「Tm」によって記載される。
分析は、Prometheus NT 48(NanoTemper Technologies GmbH, Munich, Germany)を用いて行った。試料の容量は10μl、加熱速度は1℃/分であり、温度上昇は20℃から始まり95℃まで続く。
賦形剤であるソルビトールおよびアルギニンHClのタンパク質安定化効果に関する結果を図2に示す。タンパク質安定化効果は0.5Mソルビトールの添加について観察された;不安定化効果は0.5MアルギニンHClの添加について観察された。
図4および図5に示されるように、選択した賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロース、PEG4000およびアルギニンHCl)を用いたスクリーニング結果に基づいて、ポリオール(例としてマンニトール、ソルビトール)および二糖類(例としてスクロース、トレハロース)およびPEG4000などの中性賦形剤が低pH処理の間に溶液中のmAbを有効に安定化することが見出された。
例2:プロテインAクロマトグラフィーのためのバッファーおよび賦形剤溶液の調製
すべてのバッファーおよび賦形剤を0.45μm HAWP混合セルロースエステルフィルター(Merck, Darmstadt, Germany)を使用して濾過し、使用の前に超音波浴において20分脱気した。すべてのプロテインAクロマトグラフィー運転について、以下のバッファーを調製および使用した:
表2:プロテインAクロマトグラフィーpH5.50のためのバッファーA1
Figure 2022550836000002
表3:プロテインAクロマトグラフィーpH7.00のためのバッファーA2
Figure 2022550836000003
表4:プロテインAクロマトグラフィーpH2.75のためのバッファーB
Figure 2022550836000004

凝集から抗体を保護するそれらの能力の基づいて、以下の賦形剤を選択した:
表5:適用される賦形剤の適用濃度、製造業者および品質標準
Figure 2022550836000005
例2.1:クエン酸塩バッファーpH5.5中0.5Mスクロースの調製
171.1gスクロース(M=342.29g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して5.5±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコ(volumetric graduated flask)に移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.2:クエン酸塩バッファーpH2.75中0.5Mスクロースの調製
171.1gスクロース(M=342.29g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して2.75±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.3:クエン酸塩バッファーpH5.5中0.5Mトレハロースの調製
171.1gトレハロース(M=342.29g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して5.5±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.4:クエン酸塩バッファーpH2.75中0.5Mトレハロースの調製
171.1gトレハロース(M=342.29g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して2.75±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.5:クエン酸塩バッファーpH5.5中0.5Mマンニトールの調製
91.09gマンニトール(M=182.17g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して5.5±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.6:クエン酸塩バッファーpH2.75中0.5Mマンニトールの調製
91.09gマンニトール(M=182.17g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して2.75±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.7:クエン酸塩バッファーpH5.5中0.5Mソルビトールの調製
91.09gソルビトール(M=182.17g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して5.5±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.8:クエン酸塩バッファーpH2.75中0.5Mソルビトールの調製
91.09gソルビトール(M=182.17g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して2.75±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.9:クエン酸塩バッファーpH5.5中5%(w/v)PEG4000の調製
50g PEG4000(M=3500~4500g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して5.5±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH5.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例2.10:クエン酸塩バッファーpH2.75中5%(w/v)PEG4000の調製
50g PEG4000(M=3500~4500g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ800ml 0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1M HClを使用して2.75±0.05に調整した。その後、溶液を1000.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸NaバッファーpH2.75を標点まで満たし、徹底的に混合した。
例3:プロテインAクロマトグラフィー
例3.1:プロテインAクロマトグラフィー樹脂
Eshmuno(登録商標)基材は、ポリビニルエーテルをベースとした硬い親水性のポリマーである。その上に固定化されているのは、E. coliで組換え生産された五量体形態のStaphylococcus aureusプロテインAのCドメインである。Eshmuno(登録商標)AはMerck (Darmstadt, Germany)製であり、カラムはRepligen GmbH(Ravensburg, Germany)により充填された。
表6:適用されたEshmuno(登録商標)A樹脂のカラムパラメータ
Figure 2022550836000006
ProSep(登録商標)Ultra Plus樹脂は、制御されたポアガラスマトリックスおよびそれに結合したリガンドとしての組換えネイティブプロテインAを有する。ProSep(登録商標)Ultra Plusは、Merck(Darmstadt, Germany)製であり、カラムはRepligen GmbH(Ravensburg, Germany)により充填された。
表7:適用されたProSep(登録商標)Ultra Plus樹脂のカラムパラメータ
Figure 2022550836000007
MabSelectTM SuReTM樹脂は、アガロースマトリックスを有する。チオエーテルを介してそれに固定化されているのは、C末端システインを有する操作されたプロテインAドメインの組換え生産された(E. coli)四量体である。この樹脂は、GE Healthcare(Uppsala, Sweden)により生産され、カラムはRepligen GmbH(Ravensburg, Germany)により充填された。
表8:適用されたMabSelectTM SuReTM樹脂のカラムパラメータ
Figure 2022550836000008
例3.2:タンパク質試料調製
第1のモデルタンパク質は、pI約7.01~8.58を有するモノクローナル抗体mAbA(およそ152kDa)である。これを0.8/0.2μm Supor(登録商標)メンブレン(Pall Corporation, NY, USA)を備えたVacuCap(登録商標)90PFフィルターユニットを使用して濾過した清澄化細胞培養収穫物として使用した。溶液は、0.943mg/mLの濃度、7.0のpH、および12mS/cmの導電率を有する。
第2のモデルタンパク質は、Merck(Darmstadt, Germany)によって生産された、pI約7.6~8.3を有するモノクローナル抗体mAbB(およそ145kDa)である。これを0.8/0.2μm Supor(登録商標)メンブレン(Pall Corporation, NY, USA)を備えたVacuCap(登録商標)90PFフィルターユニットを使用して濾過した清澄化細胞培養収穫物として使用した。溶液は、1.45mg/mLの濃度、7.0のpH、および12.87mS/cmの導電率を有する。
例3.3:プロテインAクロマトグラフィー法
プロテインAクロマトグラフィーを以下の方法パラメータを使用して行った:
表9:プロテインAクロマトグラフィーの方法パラメータ
Figure 2022550836000009

pH5.5からpH2.75まで30CVの線形勾配を適用することにより、定義された勾配傾斜で溶出を行った。
例4:サイズ排除クロマトグラフィー
溶出に続いて、プロテインAクロマトグラフィーからのmAbを含有する溶出生成物プールを低pHで1時間室温で留置することによりウイルス不活性化に供し、これに続き4.0~8.0の範囲で所望のpHに中和した。ウイルス不活性化プロセスステップを模倣する低pH処理は、1M HClでの滴定により溶出生成物プールのpHをpH2.8±0.05に調整することにより開始した。添加される安定化賦形剤有りまたは無しで、種々のモデルタンパク質に対する低pHインキュベーションの効果を、続いて高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)により分析した。
HP-SEC分析の条件:
Figure 2022550836000010
図5および図6は、HP-SEC分析の結果を示す。選択された中性賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロースおよびPEG4000)を含有する試料中のモノマーmAbの高い含量は、これらの賦形剤がプロテインAクロマトグラフィーおよびこれに続く低pHウイルス不活性化ステップの間のタンパク質安定性に全体的にプラスの影響を有することを示す。
例5:ウイルス不活性化実験のためのバッファーおよび賦形剤溶液の調製
例5.1:1Mクエン酸溶液の調製
21.01gクエン酸一水和物(M=210.14g/mol)を適切なフラスコに秤量した。100ml milli-Q水を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。この溶液を0.2μmフィルターを使用して、濾過した。
例5.2:0.1Mクエン酸塩バッファー、pH3.5の調製
溶液A:0.1Mクエン酸一水和物(C ・H O FW=210.14)
21.01gクエン酸一水和物(M=210.14g/mol)を適切なフラスコに秤量した。1000ml milli-Q水を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。
溶液B:0.1Mクエン酸三ナトリウム、二水和物(C Na ・2H O FW=294.12)
29.41gクエン酸三ナトリウム、二水和物(M=294.12g/mol)を適切なフラスコに秤量した。1000ml milli-Q水を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。
およそ700mlの溶液Aおよびおよそ300mlの溶液Bを混合し、およそ1000mlの0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を得た。溶液のpHを、必要であれば、1Mクエン酸溶液または1M NaOHを使用して3.5±0.05に調整した。
例5.3:0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5中0.5Mソルビトールの調製
9.1gソルビトール(M=182.17g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ80ml 0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1Mクエン酸溶液または1M NaOHを使用して3.5±0.05に調整した。その後、溶液を100.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。この溶液を0.2μmフィルターを使用して、濾過した。
例5.4:0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5中0.5Mマンニトールの調製
9.1gマンニトール(M=182.17g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ80ml 0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1Mクエン酸溶液または1M NaOHを使用して3.5±0.05に調整した。その後、溶液を100.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。この溶液を0.2μmフィルターを使用して、濾過した。
例5.5:0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5中0.5Mスクロースの調製
17.1gスクロース(M=342.29g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ80ml 0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1Mクエン酸溶液または1M NaOHを使用して3.5±0.05に調整した。その後、溶液を100.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。この溶液を0.2μmフィルターを使用して、濾過した。
例5.6:0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5中0.5Mトレハロースの調製
17.1gトレハロース(M=342.29g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ80ml 0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1Mクエン酸溶液または1M NaOHを使用して3.5±0.05に調整した。その後、溶液を100.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。この溶液を0.2μmフィルターを使用して、濾過した。
例5.7:0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5中0.5M PEG4000の調製
5g PEG4000(M=3500~4500g/mol)を適切なフラスコに秤量した。およそ80ml 0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を添加し、物質が完全に溶解するまで溶液を攪拌した。pHを1Mクエン酸溶液または1M NaOHを使用して3.5±0.05に調整した。その後、溶液を100.0mlメスフラスコに移し、0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5を標点まで満たし、徹底的に混合した。この溶液を0.2μmフィルターを使用して、濾過した。
例6:低pH不活性化留置の間のウイルス低減に対する賦形剤の有効性
ウイルス減少実験のためのモデルウイルスとして、異種指向性マウス白血病ウイルス(MLV)を使用した。MLVは、非欠陥性ガンマレトロウイルスを代表する。MLVの封入は、CHO細胞株由来の生物学的生成物およびモノクローナル抗体生成物に義務付けられている。
表10:適用されたモデルウイルス
Figure 2022550836000011

適用されたモデルタンパク質は例1.2に記載されるようにmAbBであった。
表11:適用されたモデルタンパク質
Figure 2022550836000012

すべてのアッセイは、TCID50感染力法を使用して行った。
出発材料調製
スパイクに先立ち、材料を37℃±1℃の水浴で緩やかに反転させながら解凍し、氷が完全に溶けたらすぐに容器を水浴から取り出した。
低pHロード試料については、試料を130mg/mlで受け取り、バッファー単独(例5.2に従って0.1Mクエン酸塩バッファーpH3.5)またはクエン酸塩バッファー中の賦形剤(例4.3~4.7に従って)のいずれかを使用して10mg/mlの最終濃度に希釈した。
所望されるタンパク質濃度に調整するために、13分の1希釈で調製、例として、1部の低pHロードを12部のバッファーまたはクエン酸塩バッファー中賦形剤に添加する必要があった。
試料を、操作および低pH留置を通してずっと混合した。試料温度が20℃±0.5℃に一たび達した後、1Mクエン酸および/または1M Trisを使用してpHをpH3.6に調整した。
スパイクには、50mlのpH調整した試料をスパイクした。残りを1M TrisでpH6.0~pH8.0に調整し、5ml試料をスパイクのために分注した。この試料を時間ゼロの中和対照とし、5%(v/v)MLVをスパイクした。
ウイルススパイク(5%v/v)を中和対照試料に添加した。次いで、試料を均等に分割し、中和ロード試料およびロード留置試料を作製した。中和ロード試料のpHを確認し、滴定に先立ち試料を氷上に置いた。ロード留置試料をバルク試料と同じ温度で保持した。
およそ5%(v/v)のウイルススパイクをpH調整した50ml試料に添加した。スパイクの5分後(T=5分)、試料を取り出し、即時に1M Trisで中和した。
低pH処理を20℃±0.5℃においてpH3.6~3.64(目標pH3.6)で行った。インキュベーション期間を通してずっとpHをモニタリングし、必要に応じて目標pH(pH3.6)に調整した。
T=15分およびT=30分に試料を取り出した。試料のpHを、即時に1M TrisでpH6.0~pH8.0に調整した。pH3.6で60分後、残りを1M TrisでpH6.0~pH8.0に調整した。
プロセスステップ
チャートレコーダーを使用して各実験を通してずっと温度をモニタリングした。記録間隔は1分ごとであった。すべてのプロセスステップは図7に示され、以下で記載されるとおりであり、図7で参照されているすべての容量は概算の容量である。
ウイルススパイクの添加に続いて、任意の追加の操作および任意の試料の収集に先立ち、材料を徹底的に混合した。
試料を収集後、すべての試料を徹底的に混合し、必要に応じて1M Trisを使用してpH6.00~8.00の範囲で即時に中和した。アッセイのために必要な容量を氷上に置き、滴定の直前に0.45μmフィルターを使用して濾過した。0.45μm濾過したおよび濾過していない陽性対照を接種した。
図8および図9は、賦形剤を含まない試料と比較した、選択した中性賦形剤(ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロースおよびPEG4000)の存在下における低pH不活性化留置の間のウイルス低減実験の結果を示す。
ウイルス低減係数および堅牢性の査定に基づいて、単位操作は有効、無効、または中程度に有効に分類することができる(FDA Q5A, 1998)。「有効な」ステップは、少なくとも4log10の低減係数を提供し、プロセス変数の小さな摂動に影響されない。「無効な」ステップは1log10以下の低減係数を提供し、「中程度に有効な」ステップはこれらの2つの極値の間にある(EMD Millipore, 2013)。
選択した賦形剤の利用は、選択した賦形剤の有無にかかわらず、すべての場合において有効的なウイルス低減ステップ(>4log10の低減係数)が依然として可能である。これは、選択した賦形剤がウイルス不活性化プロセスステップに悪影響を与えないことを明確に示す。

Claims (13)

  1. アフィニティークロマトグラフィーステップ、ウイルス不活性化ステップおよび任意に他の精製ステップを含む、細胞培養試料から標的タンパク質を精製するための方法であって、ここで細胞培養試料が、標的タンパク質、ウイルスの化合物、ならびに他の生成物およびプロセスに関連する不純物を含み、ここでアフィニティークロマトグラフィーステップが、
    a)アフィニティークロマトグラフィーカラムを細胞培養試料でロードすること、それによって標的タンパク質をアフィニティークロマトグラフィーカラムに結合させること;
    b)pH<6を有し、かつ賦形剤を含む溶出バッファーをアフィニティークロマトグラフィーカラムと接触させることにより、アフィニティークロマトグラフィーカラムから標的タンパク質を溶出させること、ここで賦形剤は、二糖類、ポリオールおよびポリ(エチレングリコール)ポリマーからなる群から選択される;
    c)ステップ(b)から得られた標的タンパク質を含有する1以上の画分を収集すること;
    d)ステップ(c)から得られた画分を合わせて溶出生成物プールを形成すること、
    およびここで、ウイルス不活性化ステップが、
    e)pH2~5において溶出生成物プールをインキュベーションすることを含む;
    を含む、前記方法。
  2. アフィニティークロマトグラフィーステップが、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーステップである、請求項1に記載の方法。
  3. 標的タンパク質が、モノクローナル抗体である、請求項1または2に記載の方法。
  4. ポリ(エチレングリコール)ポリマーが、1,000g/mol~10,000g/molの平均分子量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 賦形剤が、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトールおよびPEG4000からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 溶出バッファーが、2重量%~15重量%の賦形剤濃度を有する(PEG4000の場合において)、または二糖類およびポリオールの場合において、溶液中1mM~1.5Mの範囲の濃度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 溶出バッファーが、5重量%~10重量%の賦形剤濃度を有する(PEG4000の場合において)、または二糖類およびポリオールの場合において、溶液中5mM~500mMの範囲の濃度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 溶出バッファーがクエン酸塩バッファーである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 溶出バッファーが2.5~5.5のpHを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 溶出ステップ(b)が、pH5.5~pH2.75の溶出バッファー勾配を使用して、アフィニティークロマトグラフィーカラムを溶出バッファーと接触させることを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. インキュベーションステップ(e)に先立ち、溶出生成物プールのpHがpH2~pH5の範囲のpHに調整される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. インキュベーションステップ(e)が、pH2.5~pH4.5にて行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. インキュベーションステップ(e)が、室温にて行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
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