JP2003155426A - 耐火性コーティング剤と耐火構造物 - Google Patents

耐火性コーティング剤と耐火構造物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐火性コーティング剤として、ビル等の大型
建造物に使用される鉄骨等に対して極めて優れた耐火性
能を付与できるものを提供する。 【解決手段】 水を除く成分中の30重量%以上を占め
る水溶性アルカリ珪酸塩と、ホルマイト系鉱物の粉末
と、前二者以外のSiO2 付与成分とを含有する水性ペ
ーストからなる耐火性コーティング剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビル等の大型建造
物に使用される鉄骨の耐火被覆等に使用される耐火性コ
ーティング剤と、このコーティング剤を用いた耐火構造
物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄骨構造を採用したビルの高層化
が進んでおり、これに伴って火災時でも鉄骨構造の剛性
を保つことが重要な課題になっているが、普通鋼の耐熱
温度は350℃、耐火鋼でも600℃に過ぎず、それ以
上の高温では軟化してしまうため、火災温度1000℃
に耐えるためには極めて強力な熱遮断性を発揮する耐火
被覆が必要である。しかるに、このような耐火被覆とし
て旧来汎用されていたアスベストは粉塵吸入による発癌
性の問題で使用できず、またロックウールについても同
様の健康被害の懸念があって嫌忌すべきものになってい
る。
【0003】そこで、前記のアスベストやロックウール
に代わる耐火被覆材料として、火災時の受熱で発泡して
断熱発泡層を形成し、遮炎・遮熱作用を発揮する熱発泡
性耐火塗料が種々提案され、一部に使用例もある。しか
して、これら熱発泡性耐火塗料には、水溶性アルカリ珪
酸塩を主成分として硬化剤や骨材成分が配合され、含有
水分の気化によって発泡を生じる無機系のものと、結合
剤樹脂に炭化剤及び発泡剤が配合され、発泡剤による発
泡と共に炭化層を形成する有機系のものとがあり、他に
水溶性シリケートとアルコキシシラン誘導体やオルガノ
シリカゾルとの反応物を主体としたものや、水溶性アル
カリ珪酸塩と紫外線硬化型樹脂成分を混合したもの等も
提案されている。
【0004】しかしなから、現状では、これら提案の熱
発泡性耐火塗料は殆どが実用化しておらず、実際の使用
例は有機系のものだけであるが、それさえも建築基準法
上で建築耐火被覆として使用できる一般認定品ではな
く、対象物件のみに特例として使用許可を受けた特殊認
定(建築基準法38条)による場合に限られている。し
かも、この使用実績のある有機系の熱発泡性耐火塗料
は、図1の鋼材温度−加熱時間の相関曲線Bで示すよう
に、耐火性能評価試験において被覆した鉄骨温度を35
0℃以下に維持できる時間が加熱開始から40分程度で
しかなく、鉄骨構造用の耐火被覆としては甚だ心もとな
い性能であると言わざるを得ない。因みに、建築基準法
で規定される鉄骨構造の耐火時間は、ビルの階数による
区分があり、耐火性能評価試験(JIS A1304)
において、最上階から数えた階数が1〜4では1時間耐
火、同5〜14では2時間耐火、同15以上では3時間
耐火と定められている。従って、従来においては、熱発
泡性耐火塗料として普通鋼の鉄骨に対して1時間耐火の
性能を満たし得るものさえ実現していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
事情に鑑みて、鉄骨構造用の耐火被覆として充分な熱遮
断性を発揮し得る無機系の熱発泡性耐火塗料を実現する
べく研究を行う過程で、まず発泡性の塗膜として特に次
の〔A〕〜〔D〕の諸条件を満たすことが重要であると
の知見を得た。そして、従来の無機系の熱発泡性耐火塗
料が実用化に至っていない原因は、これら必要条件の何
れかを欠くことにあると想定された。 〔A〕 受熱による発泡性が高く厚い発泡層を形成する
こと。 〔B〕 発泡によって塗膜全体に均一で細かい気泡を生
じること。 〔C〕 発泡後の流動点(流動温度)が高いこと。 〔D〕 塗膜にクラックがないこと。
【0006】これら条件の内、〔A〕及び〔B〕は当然
であるが、水溶性アルカリ珪酸塩を主成分とする無機系
の塗料の場合、充分な発泡性を確保する上で、塗膜が継
続的に適度の水分含有量を維持している必要があり、し
かも火災時の熱で塗膜全体に偏りなく細かい気泡を生成
し、これら気泡の各々の成長に伴って塗膜全体が厚みを
増すように膨張してゆくためには、塗膜中の水分が気化
する段階で無機物からなる素地が適度な粘性の溶融状態
に転化している必要がある。しかるに、水分含有量が多
過ぎたり、発泡時の粘性が低過ぎる場合は、気泡が合体
して発泡層中に空洞を生じたり、気泡同士が連通した連
続気泡状態となり、断熱作用が低下すると共に、流動性
が高くなって発泡物の垂れ落ちに繋がることになる。一
方、発泡時の粘性が高過ぎる場合は、塗膜が膨れ上がっ
て破裂したり、塗膜に亀裂を生じたりし、更には塗膜が
充分に溶融せずに細片に分解して飛び散ったりすること
もある。従って、これら〔A〕〔B〕の条件を満たすこ
とは容易ではない。
【0007】また、条件〔C〕の発泡後の流動点につい
ては、これが低い場合は、発泡してから短時間の内に柱
表面や梁の側面のような垂直面で垂れ落ちを生じて発泡
層が薄くなり、その部分の熱遮断性が著しく低下するこ
とになる。更に、条件〔D〕のクラックについては、塗
膜にクラックが存在すると、その位置では熱及び炎が鋼
材に直接に届き、鋼材温度が一気に上昇することにな
る。しかして、クラックは塗工後の塗膜が乾燥硬化する
際に生じ易い上、以降も気温の日周変化及び季節変化に
伴う鋼材の伸縮によって発生することがあるから、クラ
ック防止に必要な塗膜性状を単純には定められない。
【0008】しかるに、本発明者らは、引き続いて綿密
な実験研究を重ねた結果、水溶性アルカリ珪酸塩を主成
分とする熱発泡性耐火塗料において、必須成分として特
定の含繊維鉱物粉末と他のSiO2 付与成分とを配合し
た場合に、形成塗膜が適度の水分含有量を継続的に保持
でき、受熱による均一で高い発泡により、内部に空洞を
生じたり亀裂を発生することなく熱遮断性に優れた厚い
断熱層が生成する上、発泡後の流動点が高く、優れた熱
遮断性を長く持続でき、しかも塗膜硬化時のクラック発
生を防止できると共に経日的なクラックの発生も抑制で
き、もって鉄鋼等の鋼材に対して優れた耐火性能を付与
し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項1に係る耐火性コーティング剤は、水を除く成分中の
30重量%以上を占める水溶性アルカリ珪酸塩と、ホル
マイト系鉱物の粉末と、前二者以外のSiO2 付与成分
とを含有する水性ペーストからなるものとしている。
【0010】また、本発明では、上記耐火性コーティン
グ剤において、ホルマイト系鉱物がセピオライトである
請求項2の構成、ホルマイト系鉱物が水溶性アルカリ珪
酸塩に対して5〜50重量%の割合で配合量されてなる
請求項3の構成、前記SiO 2 付与成分は、水溶性アル
カリ珪酸塩との合量におけるSiO2 /M2 O(Mはア
ルカリ金属)のモル比を3.7〜8とする割合で配合さ
れてなる請求項4の構成、同モル比を5.0〜7.0と
する割合で配合されてなる請求項5の構成、前記SiO
2 付与成分は、加水雲母類、珪酸カルシウム、コロイダ
ルシリカ、天然ガラス、カオリン類、真珠岩類より選ば
れる少なくとも一種である請求項6の構成、前記SiO
2 付与成分として、加水雲母類と共に、珪酸カルシウ
ム、コロイダルシリカ、天然ガラス、カオリン類、真珠
岩類より選ばれる少なくとも一種とを含有する請求項7
の構成、前記水性ペースト中に酸化チタン粉末を含有す
る請求項8の構成、前記水性ペースト中にヒドロキシプ
ロピレンセルロースを含有する請求項9の構成、をそれ
ぞれ好適態様としている。
【0011】一方、請求項10の発明に係る耐火構造物
は、鉄骨表面に、直接に又は下塗り層を介して、前記請
求項1〜9のいずれかに記載の耐火性コーティング剤に
よる塗膜が形成されてなるものとしている。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る耐火性コーティング
剤は、水溶性アルカリ珪酸塩を基本成分とし、ホルマイ
ト系鉱物の粉末と、前2者以外のSiO2 付与成分とが
配合された水性ペーストからなる無機系の熱発泡性耐火
塗料であり、鉄骨等の表面に塗工することによって熱発
泡性の塗膜を形成するものである。そして、この塗膜は
火災時の受熱によって発泡して均一で厚い発泡層を生成
するが、この発泡層が極めて卓越した熱遮断性を発揮す
ることから、例えばこれによって被覆された鉄骨が普通
鋼であっても建築基準法で規定される1時間耐火を満足
する耐火性能を確実に付与でき、更に配合仕様によって
2時間耐火も実現できる上、塗膜厚を厚くすれば3時間
耐火も可能となる。
【0013】本発明の耐火性コーティング剤による塗膜
が上記のように驚異的な耐火性能を発現する機構につい
ては明確ではないが、この塗膜が受熱によって発泡する
際、塗膜の素地が理想的な粘性の溶融状態となり、発泡
のタイミングとスピードが極めて絶妙にバランスし、塗
膜全体に偏りなく生じた細かい気泡の安定した成長に伴
って塗膜全体が均一に膨張してゆき、熱遮断に最適な性
状の発泡層を生成するものと考えられる。
【0014】本発明の耐火性コーティング剤において必
須成分とするホルマイト系鉱物は、繊維状組織を有する
鉱物であり、形成される塗膜に湿度を一定に保つ呼吸作
用、つまり含有水分量が多くなると外気に放出し、逆に
少なくなると外気から水分を吸収する作用を付与し、も
って塗膜が発泡に必要な適度な水分含有量を継続的に維
持すること可能にすると共に、火災時の受熱による塗膜
の発泡をコントロールし、既述した発泡のタイミングと
スピードの絶妙なバランスをもたらし、熱遮断性に優れ
た均一な発泡層の生成に寄与し、また繊維状組織による
補強作用により、塗膜の乾燥固化時のクラックならびに
経日的なクラックの発生を効果的に防止する機能を果た
す。
【0015】このようなホルマイト系鉱物としては、特
に制約はないが、その代表的なものとしてマグネシウム
のイノ珪酸塩鉱物であるセピオライトが挙げられる。そ
して、このセピオライトは、適度な繊維長を有し、また
安価に入手できることから、特に好適なものとして推奨
される。なお、繊維長が長過ぎるものでは、火災時に塗
膜が発泡する際に余剰のガスが逃げにくくなり、発泡層
が風船状に膨れて内部に空洞部を生じ易くなる。
【0016】ホルマイト系鉱物の粉末の配合量は、水溶
性アルカリ珪酸塩に対して5〜50重量%となる範囲が
好ましく、特に5〜30重量%の範囲が最適である。す
なわち、この配合量が少な過ぎても、また多過ぎても、
既述した塗膜の受熱による発泡のタイミングとスピード
のバランスが崩れ易く、所期する熱遮断性に優れた発泡
層は形成困難になる。とりわけ配合量が少な過ぎる場合
は、外的環境(気温と湿度等)によって塗膜の水分含有
量が変動し、発泡不足による熱遮断性の低下や発泡過多
による空洞形成に繋がると共に、塗膜のクラック防止の
面でも充分な効果が得られにくくなる。
【0017】本発明の耐火性コーティング剤における水
溶性アルカリ珪酸塩は、塗膜に熱発泡性をもたらすため
の基本成分であり、火災時の受熱によって溶融状態とな
って気化した含有水分を気泡化させて塗膜内に留まら
せ、もって塗膜の発泡層への転化を可能にするものであ
る。また、コーティング剤においても、その水溶液が塗
料ベースとして他の配合成分を分散ないし溶存させる液
媒体となる。従って、この水溶性アルカリ珪酸塩は、コ
ーティング剤の水を除く成分中の30重量%以上を占め
る割合で存在する必要があり、この割合が30重量%未
満では充分な発泡性が得られなくなる。
【0018】このような水溶性アルカリ珪酸塩として
は、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等が
挙げられるが、水ガラスとしての水溶液形態の市販品を
好適に使用できる。しかして、この水溶性アルカリ珪酸
塩は、M2 O・nSiO2 (Mはアルカリ金属)の構造
式で表され、化合物の種類や水ガラスでのグレードによ
ってM2 OとSiO2 のモル比に幅がある。
【0019】しかるに、本発明者らの研究によれば、前
記モル比でSiO2 の比率が高いほど塗膜の発泡後の流
動点(流動温度)は高くなる傾向があり、それだけ火災
時の受熱から垂れ落ちを生じるまでに時間を要し、もっ
て発泡層による優れた熱遮断効果が長く持続することに
なるが、例えばJIS−3号水ガラスの同モル比が3.
2程度であるように、水溶性アルカリ珪酸塩単独ではS
iO2 の比率を高く設定できない。そこで、本発明では
他のSiO2 付与成分を加えてSiO2 の比率を高め、
もって発泡後の流動点を高くすることにより、発泡層に
よる優れた熱遮断効果が長く機能するようにしている。
なお、前記ホルマイト系鉱物に含まれるSiO2 成分は
該流動点の高低に殆ど関与しないことが判明している。
【0020】このようなSiO2 付与成分としては、加
水雲母類、珪酸カルシウム、コロイダルシリカ、天然ガ
ラス、真珠岩類、カオリン類やシリマナイトの如きSi
2を主体とする粘土鉱物及びこれらの焼成物、中空状
アルミノシリケート粒子等が挙げられる。しかして、こ
れらSiO2 付与成分は、2種以上を併用してもよく、
特に加水雲母類を必須として、これと共に珪酸カルシウ
ム、コロイダルシリカ、天然ガラス、カオリン類、真珠
岩類より選ばれる少なくとも一種を併用することが好適
である。
【0021】また、上記のSiO2 付与成分の配合量
は、水溶性アルカリ珪酸塩との合量におけるSiO2
2 O(Mはアルカリ金属)のモル比を3.7〜8とす
る割合に設定するのがよい。すなわち、このモル比が低
過ぎると、前記発泡後の流動点が低くなり、発泡層の垂
れ落ちによって高い熱遮断性を長く維持することが困難
になる。逆に同モル比が高過ぎる場合は、コーティング
剤中の水溶性アルカリ珪酸塩の相対比率が低下して発泡
不足に陥り易いこともあるが、前記モル比が8を越える
ものはコーティング剤として調製困難である。しかし
て、特に普通鋼の鉄骨に1時間耐火を優に越える耐火性
能を付与する上で、同モル比を5.0〜7.0の範囲に
設定することが推奨される。
【0022】前記のSiO2 付与成分の内、加水雲母類
は、底面に平行なへき開性を有する雲母類鉱物に水分が
加わったものであり、前記のSiO2 /M2 Oのモル比
を高める機能に加え、コーティング剤の塗膜に二次発泡
性を付与して熱遮断性をより向上させる機能があること
から、特に好適である。すなわち、加水雲母類において
は、原鉱物中のアルカリ分と置換した水分が含まれてい
るが、この水分は雲母類特有の熱が伝わりにくい層状構
造中に結晶水として存在するため、加熱しても容易には
蒸発せず、外部温度が約800〜1000℃程度に達し
た段階から蒸発、脱水を開始し、自身は脱水の水蒸気に
よって層状構造の各層間が押し広げられてアコーデオン
状に膨張(剥離膨張)して多孔質構造に転化する。従っ
て、この加水雲母類を含む耐火コーティング剤の塗膜が
火災の熱に晒された際、まず主成分の水溶性アルカリ珪
酸塩の溶融に伴って塗膜中の非結晶水性の水分が蒸発し
て気泡化し、生成した発泡層の熱遮断性によって被覆鋼
材の高温化を防止するが、火災温度の上昇によって該発
泡層自体が高温になってくると、加水雲母類中の結晶水
が蒸発を開始して二次発泡を生じ、この二次発泡に伴う
熱吸収と熱遮断効果が加わって被覆鋼材の高温化をより
長時間にわたって抑制できることになる。
【0023】このような加水雲母類としては、特に制約
はなく、白雲母類や黒雲母類に属する各種の含水鉱物を
使用できるが、中でも蛭石とも称されるバーミキュライ
トの未焼成品が好適である。このバーミキュライトはマ
グネシア(MgO)の多い輝岩が熱水の影響を受けてア
ルカリ分を逸脱して水分が加わったものであり、その焼
成品は多孔質で軽量であることからコンクリート配合
材、断熱材、吸音材、土壌改良材等に広く用いられてい
るが、本発明では前記の結晶水による二次発泡をもたら
すために未焼成品を使用する。しかして、この未焼成バ
ーミキュライトとしては、細粒のものでは粒子内部まで
熱が伝わり易くなって前記二次発泡性を充分に確保でき
ないため、平均粒度で1〜3mm程度と比較的に粗粒の
ものが好ましい。
【0024】SiO2 付与成分として好適な真珠岩類
は、珪酸分の多い酸性の火山岩の一種であり、シリカ
(SiO2 )とアルミナ(Al2 3 )の和が80%以
上で、多少のアルカリ分(Na2 O,K2 O)を含むガ
ラス質の鉱石として産し、2〜5%の結晶水を含む真珠
岩(パーライト)の他、結晶水が2%未満の黒曜石、結
晶水が5%を越える松脂岩があるが、これら原石の粉砕
品及び粉砕後の焼成品のいずれをも使用可能である。
【0025】コロイダルシリカは、やはりSiO2 付与
成分として好適なものであるが、塗料の粘度を上昇させ
る作用が大きいため、その配合量を多くすると吹き付け
塗装等の塗工性を確保する上で水分量を多くする必要が
ある。しかるに、水分量が多くなると塗膜の乾燥固化時
にクラックを生じ易くなるため、使用する水溶性アルカ
リ珪酸塩の種類とコーティング剤中の含有比率から前記
モル比を高く設定する上でSiO2 付与成分を多く配合
する必要がある場合、コロイダルシリカと共に粘度上昇
作用の小さい他のSiO2 含有成分を併用することが望
ましい。しかして、このような粘度上昇作用の小さいS
iO2 付与成分としては、火山灰として産出する天然ガ
ラスが好適である。
【0026】珪酸カルシウムは、SiO2 付与成分とし
ての機能に加え、カルシウム分の存在と針状ないし繊維
状を呈することから、ホルマイト系鉱物粉末と協働して
塗膜のクラック防止作用を更に高める機能を併せ持つ。
また、カオリン類は、カオリナイト、ナクライト、デイ
ッカイト、ハイロイサイト等の1種又と2種以上からな
る粘土鉱物であるが、その焼成品であるメタカオリンが
特に好適である。中空状アルミノシリケート粒子は、中
空粒子であることから塗膜の断熱効果を更に高める作用
があるが、熱膨張する性質があるために単独で多量配合
することは望ましくない。
【0027】本発明の耐火性コーティング剤において
は、上記の水溶性アルカリ珪酸塩、ホルマイト系鉱物粉
末、SiO2 付与成分以外にも、必要に応じて種々の添
加剤を配合することができる。好適な添加剤としては、
酸化チタン粉末、撥水剤、接着性付与材等が挙げられ
る。
【0028】酸化チタン粉末は、白色顔料としての着色
作用と共に、本発明のコーティング剤では塗膜の防黴剤
や溶融状態での垂れ止めとしての機能も期待できるもの
であり、水溶性アルカリ珪酸塩に対して1〜15重量%
程度の範囲で使用するのがよい。しかして、このような
酸化チタン粉末としては、特にルチル型のものが垂れ止
め作用に優れる点で好適である。
【0029】撥水剤は、鉄骨構造物の構築後、屋根や壁
等の周囲部が出来上がるまでの間に、塗膜が雨水に濡れ
て溶出するのを防止ための成分である。しかして、この
ような撥水剤としては、特に制約はないが、ポリメチル
水素シロキサン等のシリコーン系のものが他の成分との
親和性の面から好適である。また、接着性付与材は、被
覆鋼材に対する塗膜の接着性を高める成分であり、特に
高温下での接着性向上に有用なものとしてヒドロキシプ
ロピレンセルロースが推奨される。これらの他にも、本
発明の耐火コーティング剤には、無機系の有彩着色顔
料、骨材、充填剤、粘度調整剤等、種々の添加剤を目的
に応じて適宜配合可能である。
【0030】本発明のコーティング剤を調製するには、
水溶性アルカリ珪酸塩の水溶液に上述した他の配合成分
を添加混合すればよい。しかして、この混合にて調製さ
れるコーティング剤は水性ペーストであるが、概してク
リーム状ないしパテ状をなし、そのままでもスプレーガ
ンによる吹き付け塗装、刷毛塗り塗装、スリットからの
流延塗装等で塗工可能であるが、必要とあらば適用する
塗工方法に応じて適当な粘度になるように水を加えて希
釈してもよい。また、塗膜を所要の厚みに設定する上で
重ね塗りを行うことも可能である。
【0031】かくして得られる本発明の耐火性コーティ
ング剤は、高い熱遮断性を発揮するための既述の必要条
件〔A〕〜〔D〕を満たすことに加え、次のような優れ
た特徴を併せ持っている。 (イ) ほぼ全量が無機質の組成であるたに火災時に有
毒ガス及び煙を発生しない。 (ロ) 鋼材表面に対する塗膜の被着性がよく、消火の
放水圧で剥離しない。 (ハ) 発泡後の塗膜はハンマーや木槌等で叩いて鋼材
表面から簡単に剥離できるため、火災後の再塗装に支障
がない。 (ニ) 鋼材表面から剥離させた発泡後の塗膜は、有害
物質を含まないため、廃棄による環境汚染の問題がな
い。 (ホ) 低コストで安価に製造でき、容器詰めも容易で
ある。 (ヘ) 吹き付け塗装が可能であるため、塗膜形成の施
工性に優れる。 (ト) 保管中に固形分の沈降分離を生じず、長期にわ
たって安定した性状を維持し、塗工前に再分散のための
攪拌操作が不要である。 (チ) 塗膜表面は平滑で外観が良好であるため、格別
な上塗り塗装を必要としない。
【0032】本発明のコーティング剤は、鉄骨の如き鋼
材の耐火性被覆として特に好適であるが、例えばFRP
管、紙管等の他の材料からなる種々の物品の耐火性被覆
にも使用できる。鋼材の耐火性被覆とする場合の膜厚
は、1〜20mm程度の範囲が好ましく、薄過ぎては充
分な耐火性が得られず、逆に厚過ぎては被覆鋼材の重量
が大きくなる上に発泡時に自己重量によって垂れを生じ
易くなる。なお、発泡後の厚みは、通常では発泡前の3
〜4倍程度になる。
【0033】なお、本発明の耐火性コーティング剤は、
鉄骨の如き鋼材表面に対して良好な接着性を示すが、鋼
材表面に下塗り層を施した上に塗工することも可能であ
る。このような下塗り層としては、特に本発明の耐火性
コーティング剤による塗膜の発泡時の鋼材に対する被着
性を向上させる接着介在層として機能するものが好まし
い。しかして、接着介在層とする下塗り層については、
接着性を高める作用を有するものであれば特に制約はな
いが、本発明の耐火性コーティング剤との親和性の面よ
り、当該耐火性コーティング剤と同様か又は近似した組
成を有する無機系のものが好適である。
【0034】このような下塗り層形成用の好適なコーテ
ィング剤としては、水溶性アルカリ珪酸塩を主成分とし
てホルマイト系鉱物の粉末を含有し、且つ該ホルマイト
系鉱物を除く組成中のSiO2 /M2 O(Mはアルカリ
金属)のモル比が4未満のものが挙げられる。すなわ
ち、このコーティング剤による下塗り層は、上層同様に
水溶性アルカリ珪酸塩を主成分とした熱発泡性の塗膜と
なるから、上層との親和性が高い上、前記モル比が低い
ために発泡時の鋼材表面に対する被着性に優れているか
ら、接着介在層として好適に機能する。そして、この場
合の上層として、前記モル比が例えば5以上と特に高い
本発明の耐火コーティング剤を用いることにより、上層
側でより優れた熱遮断性を確保することができる。
【0035】なお、前記モル比が5未満の下塗り層形成
用のコーティング剤については、SiO2 付与成分は必
須ではないが、SiO2 付与量の小さい骨材や充填剤と
して含有していてもよい。また、下塗り層と上層とは同
程度の厚みでよく、その合計厚として1〜20mm程度
とするのがよい。
【0036】
【実施例】後記表1及び表2に記載の各成分を表記の配
合割合で攪拌混合し、耐火性コーティング剤No.1〜
12を調製した。そして、この耐火性コーティング剤を
H形鋼(耐火鋼、断面縦横10cm×10cm)の全面
に、吹き付け塗装−放置乾燥を4回繰り返して厚さ約1
0mmの塗膜を形成し、試験用サンプルを作製した。た
だし、No.12は下層用のコーティング剤の2回塗り
にて厚さ約5mmの塗膜を形成し、この乾燥硬化後の塗
膜に上層用のコーティング剤を2回塗りで厚さ約5mm
に塗装し、厚さ約10mmの2層構造の塗膜を形成し
た。なお、表1中のMRは、既述したSiO2 /M2
(MはNa)のモル比である。なお、使用した各配合剤
成分は次の通りである。
【0037】JIS−3号水ガラス・・・・大阪曹達社
製(濃度38重量%、SiO2 /M2 Oのモル比3.
2) セピオライト粉末・・・・・・昭和鉱業社製ミルコンM
S−2−2 SiO2 付与成分 バーミュキュライト粒子・・・オーストラリアン・バー
ミュキュライト・インダストリー社製(未焼成品…粒度
1.2〜2.2mm) コロイダルシリカ・・・・・・日成共益社製ゼオシール
77(含水非晶質SiO2 98%) 珪酸カルシウム粉末 ・・・・ハイクロン・インディア
・リミテッド社製ハイコンS−3 天然ガラス粉末・・・・・・・九州パーミス社製パーミ
スKp−F アルミノシリケート粒子・・・日本フィライト社製フィ
ライト5e(中空状粒子) シリマナイト粉末・・・・・・コルベエコー社製セラデ
オラS パーライト粉末 ・・・・・・トモエパーライト社製 メタカオリン粉末・・・・・・日成共益社製 酸化チタン粉末・・・・・・・古河機械金属社製FR−
41(ルチル型) 撥水剤・・・・・・・・・メチルナトリウムシリコネー
ト/信越化学工業社製POLON−C 接着性付与剤・・・・・・・・ヒドロキシプロピレンセ
ルロース/信越化学工業社製
【0038】〔耐火性能評価試験〕前記のコーティング
剤No.1〜12による塗膜を設けたH形鋼の各試験用
サンプルについて、社団法人・日本建築総合試験所(大
阪府吹田市)において、JISA1304に基づく耐火
性能評価試験方法に準じ、当該試験用サンプルを試験炉
内に塗膜形成面が垂直になるように配置し、この塗膜形
成面をガスバーナーにて直火(1400℃)で加熱する
と共に、熱電対を介してH形鋼の異なる6箇所の温度を
加熱開始から最長100分まで測定した。この試験の鋼
材温度(6箇所の平均値)−加熱時間の相関曲線と、加
熱温度曲線を図1及び図2に示す。なお、これら図中の
曲線に付した数字は表1及び表2に示すコーティング剤
の番号であり、一点鎖線の曲線Hは加熱温度曲線(サン
プルのバーナー側表面近傍の炉内温度…熱電対による測
定)、二点鎖線で示す曲線Bは既述した従来の有機系の
熱発泡性耐火塗料を用いたときの鋼材温度−加熱時間の
相関曲線(メーカーのカタログ記載データを引用)であ
る。試験データの図1,2への振り分けは、曲線の錯綜
を避けただけで、他の意味合いはない。
【0039】また、各コーティング剤について、保存安
定性、塗工時の垂れの有無、接着強度、耐火性試験後の
塗膜状態を調べ、その結果を耐火性能評価試験における
加熱開始から鋼材温度350℃に達するまでの時間
(分)と共に表1及び表2に示す。なお、保存安定性
は、コーティング剤を2か月間静置保存後、固形分の沈
降分離、粘度上昇や硬化を生じていなかった場合を
〔良〕、生じた場合を〔不良〕とした。接着強度は、H
型鋼に塗装して乾燥硬化した耐火性コーティング剤の塗
膜をタガネで叩き、塗膜が鋼との界面で簡単に剥離した
場合を〔不良〕、強く叩いて部分的に界面剥離する場合
を〔可〕、強く叩いても界面剥離しなかった場合を
〔良〕として評価した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】図1,図2及び表1,表2に示すように、
水溶性アルカリ珪酸塩とホルマイト系鉱物の粉末及び他
のSiO2 付与成分を含有する本発明の耐火性コーティ
ング剤(No.2〜11)は、No.3のものを除い
て、これらによる耐火被覆を施したH形鋼の温度が加熱
開始から350℃に達するまでに1時間以上を要してお
り、普通鋼からなる鋼材に対して1時間耐火の性能を充
分に付与できることが判る。なお、No.3の耐火性コ
ーティング剤では、被覆鋼材の350℃到達時間が1時
間を僅かに切るが、従来の有機系の熱発泡性耐火塗料に
よる耐火性能(曲線B)を遙かに凌駕しており、塗膜厚
を厚くすれば1時間耐火の性能を充分に付与可能であ
る。しかるに、水溶性アルカリ珪酸塩とホルマイト系鉱
物の粉末を含有していても、他のSiO2 付与成分を含
まないコーティング剤(No.1)では、殆ど耐火効果
は得られていない。
【0043】しかして、SiO2 付与成分の配合によっ
てSiO2 /M2 Oのモル比を5.0以上と高く設定し
たコーティング剤(No.5,7〜10)では、より優
れた耐火性能を付与でき、溶融発泡状態での垂れが抑え
られ、塗膜厚を大きくすれば普通鋼からなる鋼材に対し
て2時間耐火の性能も付与できることが示唆される。ま
た、SiO2 付与成分としてコロイダルシリカや珪酸カ
ルシウムを多量配合した場合(No.5,7,8)は塗
膜の接着強度がやや劣る傾向があるが、SiO 2 付与成
分として含水雲母類(未焼成バーミュキュライト)を用
いたコーティング剤(No.9,10)では、接着強度
も良好である上、被覆鋼材の350℃到達時間が100
分を遙かに越えていることから、10mmの塗膜厚でも
2時間耐火の性能を充分に付与可能であり、更に塗膜厚
を厚くしたり、鋼材を耐火鋼とすることにより、3時間
耐火を越える耐火性能も期待できる。一方、塗膜を2層
構成として、下層側を前記モル比が低いコーティング
剤、上層側を同モル比が高いコーティング剤にて構成
(No.11)すれば、下層側で鋼材に対する接着強度
を担わせ、上層側で優れた耐火性能を確保できることが
判る。
【0044】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、無機系の耐火
コーティング剤として、無機質の塗膜が火災時の受熱に
よって均一に発泡して極めて優れた熱遮断性を発揮する
発泡層に転化し、もって被覆した鋼材の熱による軟化を
長時間にわたって防ぐことができ、鉄骨構造用の耐火被
覆等として充分な実用性を備えるものが提供される。ま
た、このコーティング剤は、安価に製造できることに加
え、スプレー塗装によって平滑で外観のよい塗膜を容易
に形成できる上、火災時には塗膜が消火の放水圧で剥れ
たり有害ガスや煙を発生することがなく、また発泡後の
塗膜を鋼材表面から簡単に剥離できると共に、剥離させ
た塗膜は有害物質を含まないために廃棄による環境汚染
の問題を生じないという多くの利点を有している。
【0045】請求項2の発明によれば、上記の耐火性コ
ーティング剤として、特に材料の入手が容易で安価に製
造できるものが提供される。
【0046】請求項3の発明によれば、上記の耐火性コ
ーティング剤として、特に火災時の塗膜の発泡が確実に
且つスムーズになされ、熱遮断性により優れた発泡層を
形成できると共に、塗膜の乾燥固化時のクラックならび
に経日的なクラックの発生を効果的に防止できるものが
提供される。
【0047】請求項4の発明によれば、上記の耐火性コ
ーティング剤として、鋼材等に優れた耐火性能を確実に
付与できるものが提供される。
【0048】請求項5の発明によれば、上記の耐火性コ
ーティング剤として、発泡後の塗膜の流動点が高く、よ
り高温になるまで発泡層の垂れ落ちを生じず、もって鋼
材等により優れた耐火性能を付与できるものが提供され
る。
【0049】請求項6の発明によれば、優れた熱発泡性
の塗膜を形成し得る上記の耐火性コーティング剤を容易
にに調製できるという利点がある。
【0050】請求項7の発明によれば、上記の耐火性コ
ーティング剤として、発泡層による熱遮断性をより高め
得るものが提供される。
【0051】請求項8の発明によれば、上記の耐火性コ
ーティング剤として、防黴性を有して白色度の高い塗膜
を形成できるものが提供される。
【0052】請求項9の発明によれば、上記の耐火性コ
ーティング剤として、被覆鋼材に対する高温下での接着
性に優れた塗膜を形成できるものが提供される。
【0053】請求項10の発明によれば、鉄骨構造物と
して、上記の耐火性コーティング剤による耐火被覆を有
することから、火災時の高熱に耐える優れた耐火性能を
具備するものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例及び比較例の耐火性コーティ
ング剤による塗膜を設けた鋼材の耐火性能評価試験にお
ける鋼材温度−加熱時間の相関を示す特性図である。
【図2】 同上の鋼材温度−加熱時間の相関を示す特性
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DE04 FA01 FA02 GA52 GA65 GA66 HF12 4H028 AA02 AA05 AA08 AB03 BA04 4J038 AA011 HA446 HA451 KA20 MA08 MA10 NA15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水を除く成分中の30重量%以上を占め
    る水溶性アルカリ珪酸塩と、ホルマイト系鉱物の粉末
    と、前二者以外のSiO2 付与成分とを含有する水性ペ
    ーストからなる耐火性コーティング剤。
  2. 【請求項2】 ホルマイト系鉱物がセピオライトである
    請求項1記載の耐火性コーティング剤。
  3. 【請求項3】 ホルマイト系鉱物が水溶性アルカリ珪酸
    塩に対して5〜50重量%の割合で配合されてなる請求
    項1又は2に記載の耐火性コーティング剤。
  4. 【請求項4】 前記SiO2 付与成分は、水溶性アルカ
    リ珪酸塩との合量におけるSiO2 /M2 O(Mはアル
    カリ金属)のモル比を3.7〜8とする割合で配合され
    てなる請求項1〜3のいずれかに記載の耐火性コーティ
    ング剤。
  5. 【請求項5】 前記SiO2 付与成分は、水溶性アルカ
    リ珪酸塩との合量におけるSiO2 /M2 O(Mはアル
    カリ金属)のモル比を5.0〜7.0とする割合で配合
    されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の耐火性コー
    ティング剤。
  6. 【請求項6】 前記SiO2 付与成分は、加水雲母類、
    珪酸カルシウム、コロイダルシリカ、天然ガラス、カオ
    リン類、真珠岩類より選ばれる少なくとも一種である請
    求項1〜5のいずれかに記載の耐火性コーティング剤。
  7. 【請求項7】 前記SiO2 付与成分として、加水雲母
    類と共に、珪酸カルシウム、コロイダルシリカ、天然ガ
    ラス、カオリン類、真珠岩類より選ばれる少なくとも一
    種とを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の耐火性
    コーティング剤。
  8. 【請求項8】 前記水性ペースト中に酸化チタン粉末を
    含有する請求項1〜7のいずれかに記載の耐火性コーテ
    ィング剤。
  9. 【請求項9】 前記水性ペースト中にヒドロキシプロピ
    レンセルロースを含有する請求項1〜8のいずれかに記
    載の耐火性コーティング剤。
  10. 【請求項10】 鉄骨表面に、直接に又は下塗り層を介
    して、前記請求項1〜9のいずれかに記載の耐火性コー
    ティング剤による塗膜が形成されてなる耐火構造物。
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