JP2004035377A - 断熱耐火材組成物とこれを用いた断熱耐火材 - Google Patents

断熱耐火材組成物とこれを用いた断熱耐火材 Download PDF

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Abstract

【課題】断熱耐火性組成物として、断熱性及び耐火性に優れて軽量な耐火層をを形成できるものを提供する。
【解決手段】水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、珪素原子に水素原子が直接結合した構造を有する珪素化合物が配合された水性ペーストからなる。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種基材の内部の耐火断熱充填層や表面の耐火被覆層を形成するのに用いられる断熱耐火組成物と、この組成物を用いた断熱耐火材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の高度情報化の進展に伴い、光ファイバーを利用した通信網の展開が加速しつつあるが、情報伝送量が増大するほどシステムダウンによる社会的混乱の度合と拡がりも大きくなるため、通信システムを事故や災害等の突発的事態から守る必要がある。しかるに、現状における通信網の保護施策は不充分であり、特に火災に対する備えの欠如は将来的に大きな不安要因と言える。一方、都市におけるビルの高層化や地下街の大規模化が進み、これに伴って防災対策の必要性がますます高まっており、とりわけ火災対策は最重要課題である。
【0003】
しかして、このような火災対策のハード面では、鉄骨を始めとする各種構造材の表面や壁面に設ける耐火被覆層、ならびに壁や間仕切りの中空部あるいは光ファイバーケーブルを始めとする通信ケーブルの保護管の空隙に充填する耐火充填層等に使用する新しい高性能な耐火材の開発が望まれている。これは、耐火被覆材として旧来汎用されていたアスベストが粉塵吸入による発癌性の問題で使用できず、またロックウールについても同様の健康被害の懸念があって嫌忌すべきものになっている上、これらは耐火性能面でも充分でないことによる。
【0004】
そこで、最近において、前記のアスベストやロックウールに代わる耐火被覆材料として、火災時の受熱で発泡して断熱発泡層を形成し、遮炎・遮熱作用を発揮する熱発泡性耐火塗料が種々提案されている。このような熱発泡性耐火塗料には、水溶性アルカリ珪酸塩を主成分として硬化剤や骨材成分が配合され、含有水分の気化によって発泡を生じる無機系のもの、結合剤樹脂に炭化剤とポリリン酸アンモニウムの如き発泡剤が配合され、発泡と共に炭化層を形成する有機系のもの、水溶性シリケートとアルコキシシラン誘導体やオルガノシリカゾルとの反応物を主体としたもの、水溶性アルカリ珪酸塩と紫外線硬化型樹脂成分を混合したもの等があるが、これらの殆どは実用化しておらず、実際の使用例は有機系のものだけである。しかるに、この有機系のものは、火災時に結合剤樹脂の溶融と共に発泡剤の分解によるガスが発生することにより、フォーム状に膨張した炭化層を生成するが、そのガス成分に有毒なアンモニアガスを高率で含むために被災環境を却って害する懸念がある上、肝心な耐火性能も充分とは言えない。
【0005】
上述の情況に照らし、本発明者は先に、長期にわたる綿密な実験研究のもとに、鉄骨構造用の耐火被覆として充分な熱遮断性を発揮し得る画期的な無機系の耐火性コーティング剤を究明し、これを特願2001−354858号として出願中である。この耐火性コーティング剤は、水溶性アルカリ珪酸塩及びホルマイト系鉱物粉末と、これら以外のSiO2 付与成分とを必須成分として含有する水性ペーストからなり、その塗膜が火災時の受熱によって発泡して断熱発泡層を生成するが、発泡のタイミングとスピードの絶妙なバランスにより、塗膜全体に偏りなく生じた細かい気泡の安定した成長に伴って塗膜全体が均一に膨張し、均一で厚い発泡断熱層を生成する上、発泡後の流動点が高いために垂れ落ちを生じにくく、優れた熱遮断性を長く持続できるという特徴を備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記耐火性コーティング剤においても、当然のことながら様々な面で改良の余地を残している。特に、このような耐火性コーティング剤による耐火被覆層は、一般的に層厚10mm前後といった厚いものになる上、比較的に比重の大きい無機質成分が主体であるため、重量増の面から適用対象に制約を受けることになる。また、この耐火性コーティング剤の組成物は、各種基材の表面に対する耐火被覆層の形成に用いる以外に、例えば通信ケーブルやガス管の外被とする二重式保護管の内外筒間、あるいは間仕切りや壁材に用いる中空パネルの内部等、各種基材の中空部に注入して耐火充填層を形成するのにも利用できるが、これら用途では概して軽量性が重視されるため、耐火充填層による重量増加が問題となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の事情に鑑みて、前記提案の耐火性コーティング剤に係る技術を基本にして、更に耐火被覆層や耐火充填層(以下、両者の総称を耐火層とする)の重量低減という課題を解決すべく様々な角度から鋭意検討を重ねた結果、水溶性アルカリ珪酸塩を含む無機質成分主体の熱発泡性材料中に特定の化合物を配合した場合に、反応によって気泡が発生し、形成される耐火層が略無機質であるにも拘らず軽量な発泡体構造となり、しかも硬化した発泡体構造の耐火層が火災時の受熱によって更に本来の溶融発泡つまり二次発泡を生じて極めて優れた遮炎断熱作用を発揮する上、熱発泡性材料としての組成の選択幅が広がることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1に係る断熱耐火性組成物は、水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、珪素原子に水素原子が直接結合した構造を有する珪素化合物が配合された水性ペーストからなるものである。
【0009】
上記の断熱耐火性組成物では、水溶性アルカリ珪酸塩と前記珪素化合物とが次式のように反応して水素ガスを発生し、形成される耐火層は水素ガス気泡による発泡体構造を持つものとなる。そして、この耐火層は、発泡体構造によって高い断熱性を示すと共に、火災時の高温に晒されると更に溶融発泡を生じて極めて優れた遮炎断熱作用を発揮する。
≡Si− OH + H − Si≡  → ≡Si− O − Si≡ + H2 
【0010】
しかして、前記珪素化合物としては、請求項2の発明で規定する次式;
Figure 2004035377
で表されるシリコーン系化合物が好適である。また該珪素化合物の配合量は、請求項3の発明で規定するように、水溶性アルカリ珪酸塩100重量部に対して1〜10重量部の割合が好適である。
【0011】
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの断熱耐火性組成物において、前記水溶性アルカリ珪酸塩が固形物換算で組成物全量中の30〜80重量%を占める割合で含有されてなるものとしている。この場合、耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能を良好に確保できる。
【0012】
請求項5の発明は、上記請求項1〜4のいずれかの断熱耐火性組成物において、前記無機質粉末として微粒子状シリカを含むものとしている。この場合、耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能がより向上すると共に、耐火層の形成時の硬化が速くなる。
【0013】
請求項6の発明は、上記請求項5の断熱耐火性組成物において、前記無機質粉末として、微粒子状シリカと共に、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、焼成クレーより選ばれる少なくとも一種を含むものとしている。すなわち、炭酸カルシウムは熱分解によって炭酸ガスを放出し、水酸化アルミニウムは加熱の初期段階で水を発生し、共に耐火層3の熱発泡を補助する作用があり、また焼成クレーは熱伝導率が低いために耐火層3の断熱性を高める作用があり、これらの使用によって耐火層の耐火断熱性能が向上することになる。
【0014】
請求項7の発明は、上記請求項1〜6のいずれかの断熱耐火性組成物において、平均繊維長0.5〜15mmの短繊維物質が配合されてなるものとしている。この構成では、耐火層の硬化収縮に伴う亀裂や基材の温度変化に伴う伸縮による亀裂の発生が防止されると共に、耐火層の強度も向上する。また、特に基材に塗工する場合、垂れ落ちや重力による変形を生じにくく、形成した耐火被覆層の寸法安定性及び保形性がよく、施工性も向上することになる。しかして、短繊維物質は適度な繊維長であることから、熱発泡性材料の各成分を混合する際、繊維同士の絡まり合いが抑制され、もって耐火層全体に短繊維物質を均一に含有させることができる。
【0015】
請求項8の発明に係る断熱耐火材は、表面に前記請求項1〜7のいずれかに記載の断熱耐火性組成物の塗工による発泡体構造の耐火被覆層が形成されてなるものである。また、請求項9の発明に係る断熱耐火材は、中空部に前記請求項1〜7のいずれかに記載の断熱耐火性組成物の注入による発泡体構造の耐火充填層が設けられてなるものである。これら断熱耐火材では、発泡体構造の耐火層が高い断熱性を示すと共に、火災時の高温に晒されると更に溶融発泡を生じて極めて優れた遮炎断熱作用を発揮する耐火層として機能し、また耐火層が低密度であるために全体として軽量となる。
【0016】
請求項10の発明は、上記請求項9の断熱耐火材において、耐火充填層の比重が0.5〜1.0の範囲にあるものとしている。この構成では、耐火充填層が軽量で且つ均一な発泡体組織を有するものとなる。
【0017】
請求項11の発明は、上記請求項9又は10の断熱耐火材において、前記中空部が中空パネルの内空間である構成としている。この断熱耐火材は、パネル形態で高断熱性及び高耐火性を備え、且つ軽量なものとなる。
【0018】
請求項12の発明は、上記請求項9又は10の断熱耐火材において、前記中空部が二重紙管の外側紙管と内側紙管との間であるものとしている。この断熱耐火材は、内外管の間に発泡体構造の耐火充填層を有する上、これら内外管も断熱性の高く軽量な紙管からなるため、全体として軽量で高い断熱性及び耐火性を備え、通信ケーブルやガス管等を火災から保護する外被として有用なものとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る断熱耐火性組成物は、既述のように水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、珪素原子に水素原子が直接結合した構造を有する珪素化合物が配合された水性ペーストからなるものであり、各種基材の表面に塗工して耐火被覆層を形成したり、各種基材の中空部に注入して耐火充填層を形成するのに使用されるが、水溶性アルカリ珪酸塩と前記珪素化合物との反応によって気泡が発生することから、形成される耐火層が略無機質であるにも拘らず軽量な発泡体構造となる。そして、この発泡体構造の耐火層は、優れた断熱性を持つため、平常時には断熱層として機能し、また火災時にも熱遮断作用を発揮するが、火災の高熱によって昇温すると、含有水分の気化によって更に溶融発泡を生じてより発泡率の高い発泡層に転化し、極めて優れた遮炎断熱作用を発揮する。
【0020】
上記の水溶性アルカリ珪酸塩と珪素化合物との反応は、次式のように両者が水素ガスの遊離を伴ってシロキサン結合するものである。
≡Si− OH + H − Si≡  → ≡Si − O − Si≡ + H2 
【0021】
上記珪素化合物としては、珪素原子に水素原子が直接結合した構造を有するものであれば特に制約なく使用できるが、無機質成分が主体の耐火性組成物に配合する上でH − Si結合含有ポリシロキサン系化合物、とりわけ次の構造式で示されるシリコーン系化合物が好適である。
【0022】
このような珪素化合物の配合量は、前記水溶性アルカリ珪酸塩100重量部に対して1.0〜10重量部の割合が好ましい。すなわち、この配合量が少な過ぎては、充分な発泡が得られず、形成される耐火層は密度が高くなって重い上に断熱性に乏しいものとなる。逆に該配合量が多過ぎては、水溶性アルカリ珪酸塩の反応消費により、火災時の耐火層の溶融発泡性が低下することになる。
【0023】
本発明の断熱耐火性組成物は、上記の珪素化合物と水溶性アルカリ珪酸塩との反応にて発生する水素ガスを利用して発泡体構造の耐火層を形成する上で、該珪素化合物を耐火層形成の直前に他の配合成分と混合して組成物を調整するのがよい。すなわち、該珪素化合物を除く配合成分、つまり水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末を主体とする他の配合成分は前もって混合した水性ペースト形態で長時間保持できるが、該珪素化合物を予め混合した状態で長時間置くと、前記反応によって発生した水素ガスが離脱してしまい、良好な発泡体構造の耐火層を形成できなくなる。なお、上記反応は白金や錫等を触媒として促進されることから、本発明の断熱耐火性組成物においても、これら触媒成分を耐火層形成時の発泡を速める目的で配合しても差し支えない。
【0024】
本発明の断熱耐火性組成物における主成分の一つである水溶性アルカリ珪酸塩は、塗膜に熱発泡性をもたらすための基本成分であり、火災時の受熱によって溶融状態となって気化した含有水分を気泡化させて層内に留まらせ、もって耐火層をより発泡率及び厚さが大きい耐火断熱層へ転化させるものである。また、原料組成物においても、その水溶液がベースとして他の配合成分を分散ないし溶存させる液媒体となる。従って、この水溶性アルカリ珪酸塩は、断熱耐火性組成物の水を除く成分中の30〜80重量%を占める割合で用いることが好ましく、この割合が少な過ぎては充分な熱発泡性が得られず、逆に多過ぎても熱発泡が不均一になって断熱性能が低下する。
【0025】
このような水溶性アルカリ珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等が挙げられるが、水ガラスとしての水溶液形態の市販品を好適に使用できる。しかして、この水溶性アルカリ珪酸塩は、M2 O・nSiO2 (Mはアルカリ金属)の構造式で表され、化合物の種類や水ガラスでのグレードによってM2 OとSiO2 のモル比に幅がある。
【0026】
上記の水溶性アルカリ珪酸塩と共に主成分として併用する無機質粉末には、従来より無機及び有機コーティング剤の骨材や充填剤に使用されている種々の無機化合物及び天然鉱物の粉末を使用できる。その具体例としては、ホワイトカーボンやコロイダルシリカの如き微粒子状シリカ、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、酸化チタン粉末、セピオライトの如きホルマイト系鉱物粉末、バーミュキュライトの如き加水雲母類粉末、珪酸カルシウム粉末、天然ガラス粉末、パーライトの如き真珠岩類の粉末、カオリン類やシリマナイトの如きクレー及びこれらの焼成クレー、亜硫酸カルシウム粉末、中空状アルミノシリケート粒子等が挙げられ、これらは2種以上を併用可能である。
【0027】
上記の無機質粉末の中でも、微粒子状シリカは、耐火層の溶融発泡時の垂れ防止と、該耐火層形成時の硬化促進に寄与することから、特に好適なものとして推奨される。すなわち、水溶性アルカリ珪酸塩を含む無機質の熱発泡性材料では、水溶性アルカリ珪酸塩のSiO2 /M2 O(Mはアルカリ金属)のモル比でSiO2 の比率が高いほど発泡後の流動点(流動温度)は高くなる傾向があり、それだけ火災時の受熱から垂れ落ちを生じるまでに時間を要し、もって発泡層による優れた熱遮断効果が長く持続することが判明している。しかるに、例えばJIS−3号水ガラスの同モル比が3.2程度であるように、水溶性アルカリ珪酸塩単独ではSiO2 の比率を高くできないが、微粒子状シリカの使用によって該比率を高く設定することが可能となる。また、本発明の断熱耐火性組成物は硬化前には一般的にクリーム状ないしパテ状の水性ペーストをなすが、その硬化は微粒子状シリカの存在によって速まることが認められており、それだけ耐火層形成の作業能率が向上することになる。
【0028】
しかして、微粒子状シリカの配合量は、水溶性アルカリ珪酸塩との合量におけるSiO2 /M2 O(Mはアルカリ金属)のモル比を3.7〜8とする割合に設定するのがよく、少な過ぎては使用効果が充分に発現せず、逆に多過ぎては原料組成物の硬化が速過ぎて使用困難になる。なお、他のSiO2 成分を含む化合物や鉱物では、前記溶融発泡後の垂れ防止に寄与するSiO2 付与成分として作用しにくいことが判明している。
【0029】
また、他の好適な無機質粉末として、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、焼成クレーが挙げられる。これらの内、炭酸カルシウム粉末は、900℃程度で熱分解して炭酸ガスを発生し、これが耐火層の受熱による発泡時に気泡となるため、発泡助剤として機能する。また、水酸化アルミニウム粉末は、200〜300℃程度で水を発生し、これに伴って気化熱を奪って冷却効果をもたらすため、初期段階での耐火層の昇温抑制に寄与する。更に、焼成クレーは、熱伝導率が低いため、耐火層の断熱作用を高める作用がある。しかして、これらの好適な無機質粉末は、その1種又は2種以上を前記微粒子状シリカと併用することが特に推奨される。
【0030】
他の無機質粉末として、酸化チタン粉末は、一般的に白色顔料として知られるが、本発明の断熱耐火性組成物においては、その充填性を高めると共に防黴作用があるため、好適なものである。その他、セピオライトの如きホルマイト系鉱物の粉末は、繊維状組織を有するため、耐火層の保湿と熱発泡前及び熱発泡後の亀裂防止に効果がある。バーミュキュライトの如き加水雲母類粉末は、層状粒子からなるために保湿機能に優れる。亜硫酸カルシウム粉末は、硬化促進剤として水溶性アルカリ珪酸塩と反応して耐火層形成時の硬化を速める機能がある。
【0031】
なお、本発明の先行技術である前記耐火性コーティング剤ではホルマイト系鉱物粉末と他のSiO2 付与成分という組み合わせを必須としているが、本発明組成物では該組み合わせは必須ではない。これは、本発明組成物によって形成される耐火層が既に発泡体構造を有しており、この耐火層自体が火災時にも発泡体構造に基づく優れた断熱作用を発揮することから、受熱による溶融発泡つまり二次発泡の程度は少なくてよく、それだけ熱発泡条件が緩和される結果、使用する無機質粉末の選択肢が拡がることを意味している。
【0032】
本発明に係る断熱耐火性組成物は、既述のように、水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、珪素原子に水素原子が直接結合した構造を有する珪素化合物が配合された水性ペーストからなるものであるが、必要に応じて他の各種添加剤を耐火層本来の特性を阻害しない少量範囲で使用することができる。このような添加剤としては、強化材としての短繊維物質、過度な乾燥による耐火層内の水分喪失を防ぐ保湿剤、水濡れの可能性がある部位に使用する場合の溶出を防止する撥水剤、基材表面に対する常温下もしくは高温下の接着性を高める接着性付与剤、着色剤、粘度調整剤等が挙げられる。
【0033】
とりわけ、短繊維物質は、耐火層の硬化収縮に伴う亀裂や基材の温度変化に伴う伸縮による亀裂の発生を防止できると共に、耐火層の強度を高める作用があり、また組成物を基材に塗工する場合には、垂れ落ちや重力による変形を抑制でき、形成した耐火被覆層の寸法安定性及び保形性を良好にし、施工性も向上させるという利点がある。しかして、このような短繊維物質としては、特に制約はなく、合成樹脂繊維、非有機質繊維、動物性繊維、植物性繊維等の種々のものを使用可能であるが、合成樹脂繊維及び非有機質繊維が好適である。すなわち、ビニロン繊維の如き合成樹脂繊維は火災時に高熱で炭化するが、この炭化物の断熱性によって耐火層自体の耐火断熱性能が向上する。また、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、人工セラミック繊維等の非有機質繊維は、高熱下でも非有機質繊維が原形を保つため、火災時に耐火層が溶融発泡する際の垂れ落ちを防止できると共に、形成された断熱発泡層の亀裂が防止され、これら垂れ落ちや亀裂による耐火断熱性能の低下が確実に阻止される。
【0034】
このような短繊維物質の平均繊維長は0.5〜15mmの範囲が好ましく、短過ぎては強化材として機能しにくく、長過ぎては配合時に繊維同士が絡まり合い、耐火層全体に均一に含有させることが困難になる。また、短繊維物質の配合量は、固化状態の組成物全量中の0.02〜2.0重量%を占める割合がよく、少な過ぎては使用効果が充分に発現せず、逆に多過ぎては耐火層の火災時の溶融発泡性が阻害される懸念がある。
【0035】
本発明の断熱耐火性組成物を調製するには、水溶性アルカリ珪酸塩の水溶液に上述した他の配合成分を添加混合すればよいが、発泡させるための反応成分である前記の珪素化合物は、既述のように耐火層形成の直前に配合することが望ましい。混合にて調製される組成物は水性ペーストであるが、概してクリーム状ないしパテ状をなし、そのままでもスプレーガンによる吹き付け塗装、刷毛塗り塗装、スリットからの流延塗装等で基材表面に塗工したり、注入具を用いて基材の中空部に注入充填することが可能である。なお、これら塗工や注入を容易にするために必要とあらば、適当な粘度になるように水を加えて希釈してもよい。また、塗工では所要の厚みに設定する上で重ね塗りを行える。
【0036】
かくして基材の表面に塗工したり中空部に充填した断熱耐火性組成物は、一定時間(通常48時間程度)放置することによって硬化するが、前記反応で生じた水素ガス気泡によって硬化物が発泡体構造となる。なお、硬化は、余剰水分の蒸発と共に、水溶性アルカリ珪酸塩がバインダーとして働いて無機質粉末粒子をアルカリの作用で結着することによってなされる。
【0037】
本発明の断熱耐火材は、上記断熱耐火性組成物の塗工による発泡体構造の耐火被覆層が形成されてなるもの、ならびに中空部に前記断熱耐火性組成物の注入による発泡体構造の耐火充填層が充填されてなるものであり、いずれにおいても発泡体構造の耐火層が高い断熱性を示すと共に、火災時の高温に晒されると更に溶融発泡を生じて極めて優れた遮炎断熱作用を発揮する耐火層として機能し、しかも耐火層が低密度であるために全体として軽量となる。
【0038】
上記の耐火被覆層を形成する基材としては、特に制約はなく、例えば、鉄骨の如き鋼材を始めとする各種構造材、建物の内外壁や天井部、間仕切り、建具、屋外通路壁、トンネル内壁、器壁等が挙げられる。一方、耐火充填層についても形成対象に特に制約はなく、例えば、断熱・耐火性外被としての多重管の内外筒間に充填したり、建物や構造物の壁材、天井材、床材、間仕切り、建具等に使用される中空パネルの内部に充填し、これらを高断熱・高耐火性のものとできる。また、耐火被覆層や耐火充填層を形成する基材の材質についても特に制約はなく、不燃物及び可燃物のいずれでもよく、例えば、鉄を始めとする各種金属、スレート、コンクリート、木材、合板、紙管、ダンボール、圧縮板紙、合成樹脂、FRP等の広範な材質が対象となる。
【0039】
図1は、本発明の断熱耐火材の好適な構成例である耐火性保護管を示す。この耐火性保護管10は、同心状に配置した内側紙管1と外側紙管2との間に、前記の断熱耐火性組成物の注入によって発泡体構造の耐火充填層3が形成されている。このような耐火性保護管10では、耐火充填層3が低密度で軽い上、その内外も断熱性が高く軽量な紙管1,2であるため、高い断熱性及び耐火性を備えることに加えて全体が非常に軽量となり、その取り付けによる重量負荷は僅かで済み、施工性や運搬等の取り扱い性もよい。また、両紙管1,2は、それ自体で断熱性に優れる上に強靱であり、ある程度の厚みがあれば大きな剛性を示す。
【0040】
しかして、外側紙管1は、火災の炎に晒された際に炭化した上で焼失するから、内側の耐火充填層3の膨張を伴う溶融発泡を妨げず、また消失前の炭化層としても断熱に寄与する。更に、紙管は水分を通すことから、形成後の耐火充填層3内の余剰水分を放出して完全硬化を速めると共に、紙の保湿性と呼吸作用によって耐火充填層3の水分含量を適度に維持できる。しかも紙管は合成樹脂管よりも耐光性がよいため、耐火性保護管10を外部に露呈する部位に用いても外側紙管1の経時的劣化は少なく、耐久性は良好となる。
【0041】
従って、この耐火性保護管10は、例えば、光ファイバーケーブル、電気通信ケーブル、電力ケーブル、化学・ガス・石油プラントやこれらのコンビナートにおける制御信号系の電気又は光配線、屋内外の一般電気配線等を直接に内部に通したり、これらケーブル類や配線類を収めた配管、ガス管、燃料導管等に外嵌させることにより、これらを火災の高熱から効果的に保護できる。しかして、保護対象は屋内配管や地中配管でもよく、例えば地中埋設される共同溝内の通信ケーブルや都市ガス管の耐火保護にも好適であり、特に都市ガス管に外嵌させれば、地面を掘って行う各種工事の際に掘削工具等が誤って接触して耐火性保護管10を傷つけても、内部のガス管の折損や破損を生じにくくなるから、工事に伴うガス漏出事故を激減できる。また、本発明の耐火性保護管10は、径の大きいものを用いて複数本の異種又は同種のケーブル、配線、配管の全体を被包することも可能であり、その他、損傷防止の目的で水道管等の耐火性はさほど重要視されない地中配管の保護に用いたり、断熱保温の観点から、例えば温泉地の導湯管、スチーム導管、冷暖房用の熱媒配管及び空気配管、冷凍機用の冷媒配管等に用いることもできる。
【0042】
なお、このような耐火性保護管10においては、外側紙管1の表面又は内部に難燃剤や羽毛成分を含有させてもよい。すなわち、難燃剤の使用により、外側紙管1は火災の高熱に晒された際に燃焼せずに炭化するから、燃え広がりを確実に阻止できる。また、外側紙管1に羽毛成分を含有させれば、外気の温度及び湿度の急激な変化があっても表面の結露を防止できるから、結露水が内部へ浸入して該紙管1の劣化や耐火充填層3の変質を生じる恐れがなく、且つ羽毛成分は紙管1における湿気(水蒸気)自体の流通を妨げないため、耐火充填層3は適度の保湿状態を維持できる。なお、難燃剤を含有させるには、これを含む塗料をを用い、外側紙管1の原料紙材に予め塗工するか、製作後の該紙管1の表面に塗工すればよい。また、羽毛成分については、難燃剤同様に外側紙管1の原料紙材や製作後の表面に羽毛を分散させた塗料を塗布してもよいが、羽毛塗工紙を該紙管1の表面に巻回貼着する方法が簡易である。
【0043】
図2は、本発明の断熱耐火材の好適な構成例である耐火性パネルを示す。この耐火性パネル11は、中空パネルを構成する表裏の面板4,5間の中空部に、前記の断熱耐火性組成物の注入によって発泡体構造の耐火充填層3が形成されている。このような耐火性パネル11では、耐火充填層3による優れた断熱性及び耐火性を備えると共に、該充填層3が低密度で軽いため、全体が軽量であって施工性や運搬等の取り扱い性に優れ、その取り付け部位の重量負担も少なくて済む。しかして、面板4,5の少なくとも一方を木板や板紙のような可燃性材料からなるものとすれば、火災時に炎に晒された部位が焼失するから、内側の耐火充填層3の膨張を伴う溶融発泡を妨げず、もって該充填層Bによる高い断熱耐火機能を確実に発揮させることができる。
【0044】
なお、前記の耐火性保護管10や耐火性パネル11の耐火充填層3のように、基材の中空部に設ける耐火性充填層については、その比重を0.5〜1.0の範囲に設定することが好ましく、該比重が大き過ぎては気泡量が少ないために充分な断熱性を発揮できず、逆に該比重が大き過ぎては気泡の局部的集中による所謂『巣』を生じ易く、組織の不均一化によって全体としての断熱耐火性能が低下する懸念がある。
【0045】
【実施例】
次に、本発明の耐火性保護管の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において部とあるは重量部を意味する。
【0046】
Figure 2004035377
【0047】
上記成分を混合してクリーム状の断熱耐火性組成物ぺーストを調製し、このぺーストを垂直状態で同心状に固定した外側紙管(内径127mm、厚さ3mm、長さ2m)と内側紙管(内径61.5mm、厚さ6mm、長さ2m)との間に注入充填し、室温で48時間放置して該ペーストを硬化させることにより、両紙管の間に厚さ27.5mmの発泡体構造の耐火充填層を有する耐火性保護管を作製した。なお、外側紙管には、表面に難燃剤(カワグチマック工業社製AF−20C)を塗工した上に、羽毛塗工紙を表面に巻回貼着したものを用いた。
【0048】
Figure 2004035377
【0049】
実施例3
実施例1の断熱耐火性組成物における炭酸カルシウム粉末及び水酸化アルミニウム粉末を使用せず、代わりにセピオライト粉末(日成共益社製LFC−1)5.0部を追加配合して調製したペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして耐火性保護管を作製した。
【0050】
比較例
実施例1の断熱耐火性組成物におけるメチルハイドロジェンシリコーンオイルとを共に使用せずに調製したペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして非発泡構造の耐火充填層を有する耐火性保護管を作製した。
【0051】
〔耐火性試験〕
上記実施例1〜3及び比較例の耐火性保護管を水平状態に保持し、その周面に対して真下からガスバーナーの炎を直火で継続的に当て、接炎部の状況を観測すると共に、熱電対によって接炎面と管内面の温度を測定した。その結果、いずれの耐火性保護管も、5分後には外側紙管が接炎部を中心に径100mm程度の範囲で焼けて炭化したが、それ以上には燃え広がらず、10分後に炭化層が焼失して赤熱した耐火充填層の膨張が始まり、以降継続して膨張して前記接炎部を中心に表面が50mm径程度の大きさの盛り上がりを生じたが、接炎面の温度は当初より約1000℃であるにもかかわらず、30分後でも内側紙管の内面の温度は60℃未満であった。
【0052】
〔充填耐火層の比重測定〕
また、上記実施例1〜3及び比較例の耐火性保護管の耐火層の一部を切除し、その比重を測定したところ、次の結果が得られた。
実施例1・・・耐火充填層の比重 0.80
実施例2・・・耐火充填層の比重 0.85
実施例3・・・耐火充填層の比重 0.75
比較例 ・・・耐火充填層の比重 1.50
【0053】
実施例4
実施例2の断熱耐火性組成物ペーストを、縦横各300mmの木製中空パネル(表裏板の厚さ各0.5mm、表裏板間隔25mm)内部に注入充填し、室温で48時間放置して該ペーストを硬化させることにより、表裏板間に厚さ25mmの発泡体構造の耐火充填層を有する耐火性パネルを作製した。
【0054】
実施例5
実施例2の断熱耐火性組成物ペーストを、ベニヤ板(縦横300mm、厚さ6mm)の表面に、吹き付け塗装−放置乾燥を3回繰り返して厚さ約6mmの塗膜を形成し、室温下で48時間放置して硬化させることにより、発泡体構造の耐火被覆層を形成した。
【0055】
〔耐火性試験〕
実施例4の耐火性パネルと実施例5で耐火被覆層を形成したベニヤ板について、実施例4では表板側を、実施例5では耐火被覆層側を、それぞれ下向きにして固定し、その下面側の接炎位置に対応した上面側位置に熱電対を取り付け、下方に配置した火炎温度870℃のガスバーナーの炎を直火で当てて継続的に加熱し、上面側の温度を測定した。その結果、実施例4の耐火性パネルでは加熱開始から30分後でも上面温度は60℃未満であり、また実施例5のベニヤ板では加熱開始から30分後の裏面温度は130℃未満であり、共に優れた断熱耐火性能を備えることが判明した。なお、この耐火性試験において、実施例4の耐火性パネルでは、加熱開始から1分後に表板の接炎位置周辺が消失し、次いで2分後に耐火充填層の溶融発泡による膨張が始まり、試験後の接炎位置の層厚は元の層厚の約1.5倍になっていた。また、実施例5のベニヤ板では、2分後に耐火被覆層の溶融発泡による膨張が始まり、試験後の接炎位置の層厚は元の層厚の約1.5倍になっていた。
【0056】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、各種基材の内部の耐火断熱充填層や表面の耐火被覆層の如き耐火層を形成するための断熱耐火性組成物として、水溶性アルカリ珪酸塩を含む無機質成分主体の熱発泡性材料中に特定の反応成分が配合されていることにより、軽量な発泡体構造で断熱性の高い耐火層を形成でき、しかも該耐火層が火災時の受熱によって更に溶融発泡を生じて極めて優れた遮炎断熱作用を発揮し得るものが提供される。
【0057】
請求項2の発明によれば、上記の断熱耐火性組成物において、上記反応成分として特定構造の珪素化合物を用いることから、より確実に発泡体構造の耐火層を形成できるという利点がある。
【0058】
請求項3の発明によれば、上記の断熱耐火性組成物において、上記反応成分を特定割合で含むことから、高断熱性で軽量な耐火層を形成できると共に、特に耐火充填層として均一な発泡体構造のものを確実に形成できるという利点がある。
【0059】
請求項4の発明によれば、上記の断熱耐火性組成物において、前記水溶性アルカリ珪酸塩が特定割合で含有されていることから、耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能を良好に確保できるという利点がある。
【0060】
請求項5の発明によれば、上記の断熱耐火性組成物において、前記無機質粉末として微粒子状シリカを含むことから、形成される耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能がより向上すると共に、耐火層の形成時の硬化が速くなるという利点がある。
【0061】
請求項6の発明によれば、上記の断熱耐火性組成物において、前記無機質粉末として、微粒子状シリカと共に特定粉末を併用することから、形成される耐火層の耐火断熱性能がより向上するという利点がある。
【0062】
請求項7の発明によれば、上記の断熱耐火性組成物において、特定の短繊維物質が配合されていることから、形成される耐火層の硬化収縮に伴う亀裂や基材の温度変化に伴う伸縮による亀裂の発生が防止されると共に、耐火層の強度も向上し、また特に基材に塗工する場合の垂れ落ちや重力による変形を生じにくく、形成した耐火被覆層の寸法安定性及び保形性がよく、施工性も向上するという利点がある。
【0063】
請求項8の発明によれば、断熱耐火材として、前記の断熱耐火性組成物の塗工による発泡体構造の耐火被覆層を有することから、軽量で優れた断熱性及び耐火性を備えるものが提供される。
【0064】
請求項9の発明によれば、断熱耐火材として、中空部に前記の断熱耐火性組成物の注入による発泡体構造の耐火充填層が設けられていることから、該耐火充填層が高い断熱性及び耐火性を示すと共に、全体として軽量なものが提供される。
【0065】
請求項10の発明によれば、上記の耐火充填層を有する断熱耐火材において、該耐火充填層の比重が特定範囲にあることから、該耐火充填層が軽量で且つ均一な発泡体組織を有し、もって断熱耐火性能により優れたものになるという利点がある。
【0066】
請求項11の発明によれば、上記の耐火充填層を有する断熱耐火材として、パネル形態で高断熱性及び高耐火性を備え、且つ軽量なものが提供される。
【0067】
請求項12の発明によれば、上記の耐火充填層を有する断熱耐火材として、二重紙管の外側紙管と内側紙管との間に発泡体構造の耐火充填層を有することから、全体として軽量で高い断熱性及び耐火性を備え、例えば光ファイバーケーブルや電気通信ケーブル、電力ケーブル、電気配線等を直接に被包したり、これらを収めた管体やガス管等に外嵌させて火災から保護するのに非常に有用な耐火性保護管が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱耐火材の一構成例である耐火性保護管の断面図である。
【図2】同断熱耐火材の他の構成例である耐火性パネルの一部の断面図である。
【符号の説明】
1     外側紙管
2     内側紙管
3     耐火充填層
4,5   表板
10    耐火性保護管
11    耐火性パネル

Claims (12)

  1. 水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、珪素原子に水素原子が直接結合した構造を有する珪素化合物が配合された水性ペーストからなる断熱耐火性組成物。
  2. 前記珪素化合物が次式;
    Figure 2004035377
    で表されるシリコーン系化合物からなる請求項1記載の断熱耐火性組成物。
  3. 前記珪素化合物が前記水溶性アルカリ珪酸塩100重量部に対して1.0〜10重量部の割合で配合量されてなる断熱耐火性組成物。
  4. 前記水溶性アルカリ珪酸塩が固形物換算で組成物全量中の30〜80重量%を占める割合で含有されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の断熱耐火性組成物。
  5. 前記無機質粉末として微粒子状シリカを含む請求項1〜4のいずれかに記載の断熱耐火性組成物。
  6. 前記無機質粉末として、微粒子状シリカと共に、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、焼成クレーより選ばれる少なくとも一種を含む請求項5記載の断熱耐火性組成物。
  7. 平均繊維長0.5〜15mmの短繊維物質が配合されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の断熱耐火性組成物。
  8. 表面に前記請求項1〜7のいずれかに記載の断熱耐火性組成物の塗工による発泡体構造の耐火被覆層が形成されてなる断熱耐火材。
  9. 中空部に前記請求項1〜7のいずれかに記載の断熱耐火性組成物の注入による発泡体構造の耐火充填層が設けられてなる断熱耐火材。
  10. 耐火充填層の比重が0.5〜1.0の範囲にある請求項9記載の断熱耐火材。
  11. 前記中空部が中空パネルの内空間である請求項9又は10記載の断熱耐火材。
  12. 前記中空部が二重紙管の外側紙管と内側紙管との間である請求項9又は10記載の断熱耐火材。
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