JP2003151369A - 自己融着性絶縁電線 - Google Patents
自己融着性絶縁電線Info
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- JP2003151369A JP2003151369A JP2001345997A JP2001345997A JP2003151369A JP 2003151369 A JP2003151369 A JP 2003151369A JP 2001345997 A JP2001345997 A JP 2001345997A JP 2001345997 A JP2001345997 A JP 2001345997A JP 2003151369 A JP2003151369 A JP 2003151369A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 自己融着性絶縁電線の融着層中に含まれる残
留フェノール系溶剤量を低減することにより、自己融着
性絶縁電線から発生するフェノール系溶剤臭気及びこの
自己融着性絶縁電線を偏向コイルに成形する時に発生す
るフェノール系溶剤臭気を低減する。 【解決手段】 絶縁電線上に、融着層を設けて成る自己
融着性絶縁電線において、該融着層は共重合ポリアミド
樹脂を主成分とする樹脂成分を、ベンゼン環に水酸基を
2個有する化合物を含む有機溶剤に溶解してなる融着塗
料を塗布焼き付けしてなるものであることを特徴とする
自己融着性絶縁電線。
留フェノール系溶剤量を低減することにより、自己融着
性絶縁電線から発生するフェノール系溶剤臭気及びこの
自己融着性絶縁電線を偏向コイルに成形する時に発生す
るフェノール系溶剤臭気を低減する。 【解決手段】 絶縁電線上に、融着層を設けて成る自己
融着性絶縁電線において、該融着層は共重合ポリアミド
樹脂を主成分とする樹脂成分を、ベンゼン環に水酸基を
2個有する化合物を含む有機溶剤に溶解してなる融着塗
料を塗布焼き付けしてなるものであることを特徴とする
自己融着性絶縁電線。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビ受像器やコ
ンピューターディスプレイ用の偏向ヨークコイルの製造
に用いる自己融着性絶縁電線に関するものである。
ンピューターディスプレイ用の偏向ヨークコイルの製造
に用いる自己融着性絶縁電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自己融着性絶縁電線は、最外層に融着層
が設けられていることから、金型にコイル巻線後、通電
加熱または溶剤処理等の方法により最外層の融着層が溶
解又は膨潤し、線間相互を融着固化せしめうることか
ら、簡単に自己支持型のコイルを作ることが可能であ
る。このように自己融着性絶縁電線は電気機器コイルの
生産性を高め、製造コストを低減させることから、家庭
電気機器、OA機器、電装品、CRTディスプレイ用偏
向ヨーク等のコイル用途に広く実用化されている。従
来、自己融着性絶縁電線の融着層を形成する融着樹脂と
しては、エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)が使用されて
いたが、近年では、耐熱性や接着性のバランスが良い共
重合ポリアミド樹脂が使用されている。このような自己
融着性絶縁電線は、導体上に、絶縁塗料、例えば、ポリ
エステルイミド塗料、ポリエステルイミドウレタン塗
料、ポリウレタン塗料等を、複数回、塗布、焼き付けし
てなる絶縁電線の上層に、共重合ポリアミド樹脂を主成
分とする樹脂成分をクレゾール、フェノール、キシレノ
ール等のフェノール系有機溶剤等に溶解せしめた融着塗
料をダイスにより塗布し、これを焼付炉内に導入して溶
剤を蒸発させ融着層を形成することにより製造されてい
る。この製造方法は、融着塗料用として、溶剤に溶解す
る樹脂であればいかなる樹脂でも使用できること、絶縁
電線への塗布時に必要な粘度低下が可能であること、等
の利点がある。しかし、このように融着塗料を絶縁電線
上に塗布焼き付け作業する際には必然的にフェノール系
有機溶剤が作業環境に揮散して環境を汚染し、しかも得
られる自己融着性絶縁電線の融着層中にフェノール系有
機溶剤が微量ながら残留する問題があった。また、自己
融着性絶縁電線は上記したように金型にコイル巻線後、
通電加熱され電気機器コイルに成形されるが、このよう
に自己融着性絶縁電線の融着層中にフェノール系有機溶
剤が微量ながら残留していると、コイル巻作業時の通電
加熱時等に揮散するという問題がある。フェノール系有
機溶剤は臭気、環境面で有害であるため、これらの問題
を解決するためには融着層中に残留するフェノール系有
機溶剤量を出来るかぎり低減する必要がある。これに対
して特開平8−17251号には、融着塗料の溶剤とし
て臭気,環境の面で効果的なベンジルアルコールを使用
することにより、このような問題点を解消することが提
案されているが、ベンジルアルコールは樹脂の溶解性が
不十分であり、アルコールに可溶な特殊な共重合ポリア
ミド樹脂しか溶解できないという問題がある。
が設けられていることから、金型にコイル巻線後、通電
加熱または溶剤処理等の方法により最外層の融着層が溶
解又は膨潤し、線間相互を融着固化せしめうることか
ら、簡単に自己支持型のコイルを作ることが可能であ
る。このように自己融着性絶縁電線は電気機器コイルの
生産性を高め、製造コストを低減させることから、家庭
電気機器、OA機器、電装品、CRTディスプレイ用偏
向ヨーク等のコイル用途に広く実用化されている。従
来、自己融着性絶縁電線の融着層を形成する融着樹脂と
しては、エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)が使用されて
いたが、近年では、耐熱性や接着性のバランスが良い共
重合ポリアミド樹脂が使用されている。このような自己
融着性絶縁電線は、導体上に、絶縁塗料、例えば、ポリ
エステルイミド塗料、ポリエステルイミドウレタン塗
料、ポリウレタン塗料等を、複数回、塗布、焼き付けし
てなる絶縁電線の上層に、共重合ポリアミド樹脂を主成
分とする樹脂成分をクレゾール、フェノール、キシレノ
ール等のフェノール系有機溶剤等に溶解せしめた融着塗
料をダイスにより塗布し、これを焼付炉内に導入して溶
剤を蒸発させ融着層を形成することにより製造されてい
る。この製造方法は、融着塗料用として、溶剤に溶解す
る樹脂であればいかなる樹脂でも使用できること、絶縁
電線への塗布時に必要な粘度低下が可能であること、等
の利点がある。しかし、このように融着塗料を絶縁電線
上に塗布焼き付け作業する際には必然的にフェノール系
有機溶剤が作業環境に揮散して環境を汚染し、しかも得
られる自己融着性絶縁電線の融着層中にフェノール系有
機溶剤が微量ながら残留する問題があった。また、自己
融着性絶縁電線は上記したように金型にコイル巻線後、
通電加熱され電気機器コイルに成形されるが、このよう
に自己融着性絶縁電線の融着層中にフェノール系有機溶
剤が微量ながら残留していると、コイル巻作業時の通電
加熱時等に揮散するという問題がある。フェノール系有
機溶剤は臭気、環境面で有害であるため、これらの問題
を解決するためには融着層中に残留するフェノール系有
機溶剤量を出来るかぎり低減する必要がある。これに対
して特開平8−17251号には、融着塗料の溶剤とし
て臭気,環境の面で効果的なベンジルアルコールを使用
することにより、このような問題点を解消することが提
案されているが、ベンジルアルコールは樹脂の溶解性が
不十分であり、アルコールに可溶な特殊な共重合ポリア
ミド樹脂しか溶解できないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な自己融着性絶縁電線における、従来技術の問題点を解
消し、自己融着性絶縁電線の融着層中に残留するフェノ
ール系有機溶剤量を少なくでき、また該自己融着性絶縁
電線を用いて電気機器コイルを成形する際にフェノール
系有機溶剤が揮散することがないため臭気環境面での問
題がない、自己融着性絶縁電線を提供することを目的と
するものである。
な自己融着性絶縁電線における、従来技術の問題点を解
消し、自己融着性絶縁電線の融着層中に残留するフェノ
ール系有機溶剤量を少なくでき、また該自己融着性絶縁
電線を用いて電気機器コイルを成形する際にフェノール
系有機溶剤が揮散することがないため臭気環境面での問
題がない、自己融着性絶縁電線を提供することを目的と
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、絶縁電線上
に、融着層を設けて成る自己融着性絶縁電線において、
該融着層は共重合ポリアミド樹脂を主成分とする樹脂成
分を、ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物を含む有
機溶剤に溶解してなる融着性塗料を塗布焼き付けしてな
るものであることを特徴とする自己融着性絶縁電線に関
する。
に、融着層を設けて成る自己融着性絶縁電線において、
該融着層は共重合ポリアミド樹脂を主成分とする樹脂成
分を、ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物を含む有
機溶剤に溶解してなる融着性塗料を塗布焼き付けしてな
るものであることを特徴とする自己融着性絶縁電線に関
する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明における共重合ポリアミド
樹脂は、特に限定されないが、105〜150℃の温度
範囲中に融点を有するもの、好ましくは120℃〜15
0℃の温度範囲中に融点を有するものが好ましい。共重
合ポリアミド樹脂の融点が105℃以下であると自己融
着性絶縁電線の耐熱性が不十分となる傾向にある。一
方、融点が150℃を超えると、偏向ヨークコイル成形
時の接着性が悪くなり、線バラケ等の不具合が生じる場
合がある。なお、このような共重合ポリアミドとして
は、6ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、61
2ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、イソホロン
ジアミン−アジペート等の共重合体があげられ、市販品
としては、ダイセル・デグサ社のX−7079、43
1、451、471、アトフィナ社のM1186、M1
422、M1425、M2269、MX2441、MX
2447、MX2454、等があげられる。本発明にお
いては、融着塗料に各種添加剤を配合してもよい。添加
剤としては、前記共重合ポリアミド樹脂の熱劣化を防止
して、偏向ヨークコイルの線間接着力が実使用時に低下
しないようにするために、適当な酸化防止剤を融着塗料
中に添加してもよい。前記酸化防止剤としては、フェノ
ール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止
剤、アミン系酸化防止剤など、一般的に知られている酸
化防止剤であればとくに限定することなく用いることが
できる。また、自己融着性絶縁電線に良好な潤滑性を付
与して自己潤滑性絶縁電線として使用するために、本発
明の効果を損なわない範囲内で適当な潤滑剤を融着塗料
中に添加してもよい。本発明の自己融着性絶縁電線は、
前記共重合ポリアミド樹脂を主成分とする樹脂、必要に
応じて酸化防止剤,潤滑剤等の添加剤を、ベンゼン環に
水酸基を2個有する化合物を含む有機溶剤に溶解した融
着塗料を絶縁電線上に塗布、焼き付けして形成したもの
である。前記ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物の
具体例としては、レゾルシン(別名:レゾルシノール、
1,3−ベンゼンジオール、m−ジヒドロキシベンゼ
ン、3−ヒドロキシフェノール)、カテコール、ヒドロ
キノン、2−メチルレゾルシン、4−メチルレゾルシ
ン、5−メチルレゾルシン、3−メチルカテコール、4
−メチルカテコール、5−メチルカテコール、2−メチ
ルヒドロキノン、3−メチルヒドロキノン等がある。こ
れらの中では、レゾルシンが樹脂溶解性が良いことから
好ましい。レゾルシンとしては工業用として実用されて
いるものならよい。融着塗料に用いる有機溶剤中のベン
ゼン環に水酸基を2個有する化合物の含有量は3〜80
重量%であることが、溶解性、塗料安定性等の点で適切
である。さらに好ましくは5〜60重量%である。前記
有機溶剤は、ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物以
外の有機溶剤を含有していてもよい。たとえばクレゾー
ル(クレゾール酸)、フェノール、キシレノール等のフ
ェノール系有機溶剤やN−メチルピロリドンなどのほ
か、溶解可能であればメタノール、エタノール、ブタノ
ール、ペンタノール、2−エチルヘキサノール、オクタ
ノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤も
使用できる。また、必要に応じてソルベントナフサ、各
種芳香族ナフサ、キシレン、トルエンなどの貧溶媒も前
記良溶媒と共に用いることができる。これらは単独で用
いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。ベン
ゼン環に水酸基を2個有する化合物を有機溶剤として用
いることにより、フェノール系有機溶剤などの含有量を
低減させることができるので、本発明の融着塗料に用い
る有機溶剤中のクレゾール(クレゾール酸)、フェノー
ル、キシレノール等のフェノール系有機溶剤の含有量
は、30重量%以下であることが好ましい。フェノール
系有機溶剤を含有する場合は、3〜30重量%であるこ
とが更に好ましい。30重量%を超えると、該融着塗料
を用いて形成される自己融着性絶縁電線中の残留フェノ
ール系溶剤量が増加するため、臭気が悪化し本発明の効
果が得られない。 前記融着塗料の樹脂分濃度として
は、使用する絶縁電線のサイズにより異なるが、10〜
25重量%であるのが好ましい。前記樹脂分濃度が10
重量%未満の場合には目標とする融着層を形成するため
に多数回の塗布焼付が必要で生産性が低下するだけでな
く、融着層中の残留溶剤量が多くなる。また、25重量
%を超える場合には融着塗料としたときの粘度が上が
り、それにより塗布焼き付け作業性が急激に悪化するだ
けでなく、融着塗料に用いる溶剤に均一に溶解できない
場合も生じる。
樹脂は、特に限定されないが、105〜150℃の温度
範囲中に融点を有するもの、好ましくは120℃〜15
0℃の温度範囲中に融点を有するものが好ましい。共重
合ポリアミド樹脂の融点が105℃以下であると自己融
着性絶縁電線の耐熱性が不十分となる傾向にある。一
方、融点が150℃を超えると、偏向ヨークコイル成形
時の接着性が悪くなり、線バラケ等の不具合が生じる場
合がある。なお、このような共重合ポリアミドとして
は、6ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、61
2ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、イソホロン
ジアミン−アジペート等の共重合体があげられ、市販品
としては、ダイセル・デグサ社のX−7079、43
1、451、471、アトフィナ社のM1186、M1
422、M1425、M2269、MX2441、MX
2447、MX2454、等があげられる。本発明にお
いては、融着塗料に各種添加剤を配合してもよい。添加
剤としては、前記共重合ポリアミド樹脂の熱劣化を防止
して、偏向ヨークコイルの線間接着力が実使用時に低下
しないようにするために、適当な酸化防止剤を融着塗料
中に添加してもよい。前記酸化防止剤としては、フェノ
ール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止
剤、アミン系酸化防止剤など、一般的に知られている酸
化防止剤であればとくに限定することなく用いることが
できる。また、自己融着性絶縁電線に良好な潤滑性を付
与して自己潤滑性絶縁電線として使用するために、本発
明の効果を損なわない範囲内で適当な潤滑剤を融着塗料
中に添加してもよい。本発明の自己融着性絶縁電線は、
前記共重合ポリアミド樹脂を主成分とする樹脂、必要に
応じて酸化防止剤,潤滑剤等の添加剤を、ベンゼン環に
水酸基を2個有する化合物を含む有機溶剤に溶解した融
着塗料を絶縁電線上に塗布、焼き付けして形成したもの
である。前記ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物の
具体例としては、レゾルシン(別名:レゾルシノール、
1,3−ベンゼンジオール、m−ジヒドロキシベンゼ
ン、3−ヒドロキシフェノール)、カテコール、ヒドロ
キノン、2−メチルレゾルシン、4−メチルレゾルシ
ン、5−メチルレゾルシン、3−メチルカテコール、4
−メチルカテコール、5−メチルカテコール、2−メチ
ルヒドロキノン、3−メチルヒドロキノン等がある。こ
れらの中では、レゾルシンが樹脂溶解性が良いことから
好ましい。レゾルシンとしては工業用として実用されて
いるものならよい。融着塗料に用いる有機溶剤中のベン
ゼン環に水酸基を2個有する化合物の含有量は3〜80
重量%であることが、溶解性、塗料安定性等の点で適切
である。さらに好ましくは5〜60重量%である。前記
有機溶剤は、ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物以
外の有機溶剤を含有していてもよい。たとえばクレゾー
ル(クレゾール酸)、フェノール、キシレノール等のフ
ェノール系有機溶剤やN−メチルピロリドンなどのほ
か、溶解可能であればメタノール、エタノール、ブタノ
ール、ペンタノール、2−エチルヘキサノール、オクタ
ノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤も
使用できる。また、必要に応じてソルベントナフサ、各
種芳香族ナフサ、キシレン、トルエンなどの貧溶媒も前
記良溶媒と共に用いることができる。これらは単独で用
いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。ベン
ゼン環に水酸基を2個有する化合物を有機溶剤として用
いることにより、フェノール系有機溶剤などの含有量を
低減させることができるので、本発明の融着塗料に用い
る有機溶剤中のクレゾール(クレゾール酸)、フェノー
ル、キシレノール等のフェノール系有機溶剤の含有量
は、30重量%以下であることが好ましい。フェノール
系有機溶剤を含有する場合は、3〜30重量%であるこ
とが更に好ましい。30重量%を超えると、該融着塗料
を用いて形成される自己融着性絶縁電線中の残留フェノ
ール系溶剤量が増加するため、臭気が悪化し本発明の効
果が得られない。 前記融着塗料の樹脂分濃度として
は、使用する絶縁電線のサイズにより異なるが、10〜
25重量%であるのが好ましい。前記樹脂分濃度が10
重量%未満の場合には目標とする融着層を形成するため
に多数回の塗布焼付が必要で生産性が低下するだけでな
く、融着層中の残留溶剤量が多くなる。また、25重量
%を超える場合には融着塗料としたときの粘度が上が
り、それにより塗布焼き付け作業性が急激に悪化するだ
けでなく、融着塗料に用いる溶剤に均一に溶解できない
場合も生じる。
【0006】本発明の自己融着性絶縁電線に用いられる
絶縁電線は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム
合金等の導体上に、ポリエステルイミドやポリウレタ
ン、ポリエステル、ポリエステルイミドウレタン、ポリ
アミドイミド、ポリアミドイミドウレタン、ポリイミ
ド、ポリエステルアミド、ポリエステルアミドイミドな
どで被覆し、絶縁層を設けたもの等である。
絶縁電線は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム
合金等の導体上に、ポリエステルイミドやポリウレタ
ン、ポリエステル、ポリエステルイミドウレタン、ポリ
アミドイミド、ポリアミドイミドウレタン、ポリイミ
ド、ポリエステルアミド、ポリエステルアミドイミドな
どで被覆し、絶縁層を設けたもの等である。
【0007】前記融着塗料を絶縁電線上に塗布する方法
としては、通常知られている塗布法であればとくに限定
はなく、例えばダイス絞り法、フェルト絞り法などの方
法があげられる。本発明の自己融着性絶縁電線における
融着層の厚さは、自己融着性絶縁電線の品種、サイズに
より異なるが、5〜20μm、概ね10μm程度であ
る。前記融着層の厚さが5μm未満のばあいには偏向コ
イルとしたときに適切な接着力がえられなくなり、20
μmを超えるばあいにはコストが高くなる。また、本発
明の自己融着性絶縁電線に良好な潤滑性を付与して自己
潤滑性絶縁電線として使用するために、本発明の効果を
損わない範囲内で適当な潤滑剤を本発明の自己融着性絶
縁電線上に塗布してもよい。
としては、通常知られている塗布法であればとくに限定
はなく、例えばダイス絞り法、フェルト絞り法などの方
法があげられる。本発明の自己融着性絶縁電線における
融着層の厚さは、自己融着性絶縁電線の品種、サイズに
より異なるが、5〜20μm、概ね10μm程度であ
る。前記融着層の厚さが5μm未満のばあいには偏向コ
イルとしたときに適切な接着力がえられなくなり、20
μmを超えるばあいにはコストが高くなる。また、本発
明の自己融着性絶縁電線に良好な潤滑性を付与して自己
潤滑性絶縁電線として使用するために、本発明の効果を
損わない範囲内で適当な潤滑剤を本発明の自己融着性絶
縁電線上に塗布してもよい。
【0008】
【実施例】つぎに、本発明の自己融着性絶縁電線を実施
例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例
および比較例における評価方法を下記にまとめて示す。 (樹脂分濃度)融着塗料1.5gを170℃で2時間加
熱した後、不揮発分重量を測定し、不揮発分重量/融着
塗料重量により樹脂分濃度を算出した。 (樹脂溶解性)樹脂溶解性は、融着樹脂を溶剤に溶解さ
せた後、室温まで放冷した時の塗料の状態で評価し、固
化,ゲル化しなければ○、固化,ゲル化した場合は×と
した。 (保存安定性)保存安定性は、融着樹脂を溶剤に溶解さ
せて得られた塗料を室温中に168時間放置した後の塗
料の状態により評価し、流動性がほとんど変化しないも
のを○、増粘,固化あるいはゲル化した場合は×とし
た。 (残留フェノール系溶剤量)自己融着性絶縁電線を35
8℃で5秒間加熱し、発生したガス量をガスクロマトグ
ラフィーにて測定し、自己融着性絶縁電線の融着層重量
当たりの残留フェノール系溶剤量重量の割合で示した。
測定装置として、熱分解装置は日本分析工業社製キュー
リポイントパイロライザー「JHP−22」、ガスクロ
マトグラフィーは島津製作所社製「GC−14A」を用
いた。レゾルシン等のベンゼン環に水酸基を2個有する
化合物は自己融着性絶縁電線の融着皮膜中に一部残留す
るが、上記の熱分解ガスクロマトグラフ後の質量分析に
より確認することができる。 (臭気)コイル巻線機により、巻線、融着、加圧成形さ
れた直後の偏向ヨークコイルの臭気を嗅ぎ判定した。 (実施例1)ダイセル・デグサ社の共重合ポリアミド樹
脂であるX−7079(115g)をレゾルシン(50
0g)、ベンジルアルコール(500g)からなる混合
有機溶剤に、樹脂分濃度が10重量%になるように溶解
して融着塗料を得た。この融着塗料を導体径0.25m
m、絶縁外径0.292mmのポリエステルイミド絶縁
電線上に塗布(ダイス絞り法にて塗布)、焼付(炉長
3.0m、炉温300℃、線速36m/min)を4回
繰り返し、融着皮膜厚さ10μmの自己融着性絶縁電線
を得た。得られた自己融着性絶縁電線を、成形条件が1
40ターン×4本巻、通電時間1.5秒、通電電圧20
0V、冷却プレス15秒、金型温度40℃に設定したコ
イル巻線機により、巻線、融着、加圧成形して偏向ヨー
クコイルを作製した。 (実施例2)混合有機溶剤をレゾルシン(400g)、
ベンジルアルコール(600g)とした以外は実施例1
と同様にして行なった。結果を表1に示す。 (実施例3)共重合ポリアミド樹脂X−7079(18
0g)をレゾルシン(500g)、ベンジルアルコール
(400g)、クレゾール酸(100g)からなる混合
有機溶剤に、樹脂分濃度が15重量%になるように溶解
して、融着塗料を得た。これ以外は実施例1と同様にし
て行なった。結果を表1に示す。 (実施例4)混合有機溶剤をレゾルシン(250g)、
ベンジルアルコール(375g)、クレゾール酸(12
5g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワ
ゾール1000(250g)とした以外は実施例3と同
様にして行なった。結果を表1に示す。 (実施例5)混合有機溶剤をレゾルシン(125g)、
ベンジルアルコール(500g)、クレゾール酸(12
5g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワ
ゾール1000(250g)とした以外は実施例3と同
様にして行なった。結果を表1に示す。 (実施例6)混合有機溶剤をレゾルシン(50g)、ベ
ンジルアルコール(500g)、クレゾール酸(200
g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワゾ
ール1000(250g)とした以外は実施例3と同様
にして行なった。結果を表1に示す。 (比較例1)有機溶剤をベンジルアルコール(1000
g)とした以外は実施例1と同様にして行なった。結果
を表2に示す。 (比較例2)有機溶剤をクレゾール酸(1000g)と
した以外は実施例3と同様にして行なった。結果を表2
に示す。 (比較例3)混合有機溶剤をクレゾール酸(700
g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワゾ
ール1000(300g)とした以外は実施例3と同様
にして行なった。結果を表2に示す。 (比較例4)混合有機溶剤をクレゾール酸(600
g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワゾ
ール1000(400g)とした以外は実施例3と同様
にして行なった。結果を表2に示す。 (比較例5)混合有機溶剤をベンジルアルコール(62
5g)、クレゾール酸(125g)、C9芳香族ナフサ
である丸善石油化学社製スワゾール1000(250
g)とした以外は実施例1と同様にして行なった。結果
を表2に示す。 表2からわかるように、比較例1及び5はワニスの安定
性に問題があり、使用不能である。また、比較例2〜4
は残留フェノール系溶剤量が多く、悪臭が発生する。こ
れらに対して、実施例1〜6の融着塗料は樹脂溶解性、
保存安定性が良好であり、さらに、これら融着塗料を絶
縁電線上に塗布焼き付けして得られる自己融着性絶縁電
線は残留フェノール系溶剤量がないかあるいは少ないた
め、悪臭のフェノール系溶剤臭もない。
例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例
および比較例における評価方法を下記にまとめて示す。 (樹脂分濃度)融着塗料1.5gを170℃で2時間加
熱した後、不揮発分重量を測定し、不揮発分重量/融着
塗料重量により樹脂分濃度を算出した。 (樹脂溶解性)樹脂溶解性は、融着樹脂を溶剤に溶解さ
せた後、室温まで放冷した時の塗料の状態で評価し、固
化,ゲル化しなければ○、固化,ゲル化した場合は×と
した。 (保存安定性)保存安定性は、融着樹脂を溶剤に溶解さ
せて得られた塗料を室温中に168時間放置した後の塗
料の状態により評価し、流動性がほとんど変化しないも
のを○、増粘,固化あるいはゲル化した場合は×とし
た。 (残留フェノール系溶剤量)自己融着性絶縁電線を35
8℃で5秒間加熱し、発生したガス量をガスクロマトグ
ラフィーにて測定し、自己融着性絶縁電線の融着層重量
当たりの残留フェノール系溶剤量重量の割合で示した。
測定装置として、熱分解装置は日本分析工業社製キュー
リポイントパイロライザー「JHP−22」、ガスクロ
マトグラフィーは島津製作所社製「GC−14A」を用
いた。レゾルシン等のベンゼン環に水酸基を2個有する
化合物は自己融着性絶縁電線の融着皮膜中に一部残留す
るが、上記の熱分解ガスクロマトグラフ後の質量分析に
より確認することができる。 (臭気)コイル巻線機により、巻線、融着、加圧成形さ
れた直後の偏向ヨークコイルの臭気を嗅ぎ判定した。 (実施例1)ダイセル・デグサ社の共重合ポリアミド樹
脂であるX−7079(115g)をレゾルシン(50
0g)、ベンジルアルコール(500g)からなる混合
有機溶剤に、樹脂分濃度が10重量%になるように溶解
して融着塗料を得た。この融着塗料を導体径0.25m
m、絶縁外径0.292mmのポリエステルイミド絶縁
電線上に塗布(ダイス絞り法にて塗布)、焼付(炉長
3.0m、炉温300℃、線速36m/min)を4回
繰り返し、融着皮膜厚さ10μmの自己融着性絶縁電線
を得た。得られた自己融着性絶縁電線を、成形条件が1
40ターン×4本巻、通電時間1.5秒、通電電圧20
0V、冷却プレス15秒、金型温度40℃に設定したコ
イル巻線機により、巻線、融着、加圧成形して偏向ヨー
クコイルを作製した。 (実施例2)混合有機溶剤をレゾルシン(400g)、
ベンジルアルコール(600g)とした以外は実施例1
と同様にして行なった。結果を表1に示す。 (実施例3)共重合ポリアミド樹脂X−7079(18
0g)をレゾルシン(500g)、ベンジルアルコール
(400g)、クレゾール酸(100g)からなる混合
有機溶剤に、樹脂分濃度が15重量%になるように溶解
して、融着塗料を得た。これ以外は実施例1と同様にし
て行なった。結果を表1に示す。 (実施例4)混合有機溶剤をレゾルシン(250g)、
ベンジルアルコール(375g)、クレゾール酸(12
5g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワ
ゾール1000(250g)とした以外は実施例3と同
様にして行なった。結果を表1に示す。 (実施例5)混合有機溶剤をレゾルシン(125g)、
ベンジルアルコール(500g)、クレゾール酸(12
5g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワ
ゾール1000(250g)とした以外は実施例3と同
様にして行なった。結果を表1に示す。 (実施例6)混合有機溶剤をレゾルシン(50g)、ベ
ンジルアルコール(500g)、クレゾール酸(200
g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワゾ
ール1000(250g)とした以外は実施例3と同様
にして行なった。結果を表1に示す。 (比較例1)有機溶剤をベンジルアルコール(1000
g)とした以外は実施例1と同様にして行なった。結果
を表2に示す。 (比較例2)有機溶剤をクレゾール酸(1000g)と
した以外は実施例3と同様にして行なった。結果を表2
に示す。 (比較例3)混合有機溶剤をクレゾール酸(700
g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワゾ
ール1000(300g)とした以外は実施例3と同様
にして行なった。結果を表2に示す。 (比較例4)混合有機溶剤をクレゾール酸(600
g)、C9芳香族ナフサである丸善石油化学社製スワゾ
ール1000(400g)とした以外は実施例3と同様
にして行なった。結果を表2に示す。 (比較例5)混合有機溶剤をベンジルアルコール(62
5g)、クレゾール酸(125g)、C9芳香族ナフサ
である丸善石油化学社製スワゾール1000(250
g)とした以外は実施例1と同様にして行なった。結果
を表2に示す。 表2からわかるように、比較例1及び5はワニスの安定
性に問題があり、使用不能である。また、比較例2〜4
は残留フェノール系溶剤量が多く、悪臭が発生する。こ
れらに対して、実施例1〜6の融着塗料は樹脂溶解性、
保存安定性が良好であり、さらに、これら融着塗料を絶
縁電線上に塗布焼き付けして得られる自己融着性絶縁電
線は残留フェノール系溶剤量がないかあるいは少ないた
め、悪臭のフェノール系溶剤臭もない。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【発明の効果】本発明の自己融着性絶縁電線は融着層に
含まれる残留フェノール系溶剤量が少ないため、臭気や
環境面での問題がない。したがって本発明の自己融着性
絶縁電線は工業上極めて有用である。
含まれる残留フェノール系溶剤量が少ないため、臭気や
環境面での問題がない。したがって本発明の自己融着性
絶縁電線は工業上極めて有用である。
Claims (7)
- 【請求項1】 絶縁電線上に、融着層を設けて成る自己
融着性絶縁電線において、該融着層が、共重合ポリアミ
ド樹脂、ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物を含有
することを特徴とする自己融着性絶縁電線。 - 【請求項2】 前記融着層が、共重合ポリアミド樹脂を
主成分とする樹脂を、ベンゼン環に水酸基を2個有する
化合物を含む有機溶剤に溶解してなる融着塗料を塗布焼
き付けして形成されたものであることを特徴とする請求
項1記載の自己融着性絶縁電線。 - 【請求項3】 前記融着塗料の有機溶剤におけるベンゼ
ン環に水酸基を2個有する化合物の含有量が3〜80重
量%であることを特徴とする請求項1または2記載の自
己融着性絶縁電線。 - 【請求項4】 ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物
がレゾルシンであることを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか一項に記載の自己融着性絶縁電線。 - 【請求項5】 前記融着塗料の有機溶剤としてフェノー
ル系有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1〜4
のいずれか一項に記載の自己融着性絶縁電線。 - 【請求項6】 有機溶剤におけるフェノール系有機溶剤
の含有量が30重量%以下であることを特徴とする請求
項5記載の自己融着性絶縁電線。 - 【請求項7】絶縁電線上に融着層を設けて成る自己融着
性絶縁電線において、絶縁電線上に塗布するための融着
塗料であって、共重合ポリアミド樹脂を主成分とする樹
脂を、ベンゼン環に水酸基を2個有する化合物を含む有
機溶剤に溶解してなることを特徴とする自己融着性絶縁
電線用融着塗料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001345997A JP2003151369A (ja) | 2001-11-12 | 2001-11-12 | 自己融着性絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001345997A JP2003151369A (ja) | 2001-11-12 | 2001-11-12 | 自己融着性絶縁電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003151369A true JP2003151369A (ja) | 2003-05-23 |
Family
ID=19159241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001345997A Pending JP2003151369A (ja) | 2001-11-12 | 2001-11-12 | 自己融着性絶縁電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003151369A (ja) |
-
2001
- 2001-11-12 JP JP2001345997A patent/JP2003151369A/ja active Pending
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