JP2003144020A - 釣り用リールの発音装置 - Google Patents

釣り用リールの発音装置

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JP2003144020A
JP2003144020A JP2001345119A JP2001345119A JP2003144020A JP 2003144020 A JP2003144020 A JP 2003144020A JP 2001345119 A JP2001345119 A JP 2001345119A JP 2001345119 A JP2001345119 A JP 2001345119A JP 2003144020 A JP2003144020 A JP 2003144020A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発音装置において、簡素な構成で比強度を維
持して明瞭で細かなクリック音を得ることができるよう
にする。 【解決手段】 ドラグ発音機構93は、ドラグ作動時に
発音する装置であって、第1ディスク91と、音出しピ
ン98と、コイルばね99とを備えている。第1ディス
クは、スプール軸15に回転不能に装着され、外周面に
前側面91fから後側面91gに向かって軸方向に沿っ
て途中まで形成されかつ周方向に間隔を隔てて形成され
た第1凹溝93aと、外周面に後側面から前側面に向か
って第1凹溝の先端93cとその先端93dが軸方向に
重なり合うように形成されかつ周方向に間隔を隔てて第
1凹溝と交互に形成された第2凹溝93bとを有する円
板状の部材である。音出しピンは、先端が第1ディスク
の両凹溝に弾性的に接触可能にスプール4に回転不能に
装着された部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発音装置、特に、
釣り用リールの相対回転する第1部材と第2部材との間
に設けられ、両部材の相対回転により発音する釣り用リ
ールの発音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スピニングリールや両軸受リールや片軸
受リールなどの釣り用リールには、回転するスプールや
ドラグディスクや各種の調整つまみの回転を報知するた
めなどに発音装置が広く採用されている。たとえば、ス
ピニングリールには、ドラグ作動時に発音する発音装置
やドラグつまみの調整時に発音する発音装置が採用さ
れ、両軸受リールや片軸受リールには、ドラグ作動時に
発音する発音装置やスプール回転時に発音する発音装置
が採用されている。
【0003】この種の発音装置は、凹凸部を有する第1
音出し部材と、第1音出し部材の凹凸部に向けて付勢さ
れ凹凸部との衝突を繰り返す第2音出し部材とを有して
いる。たとえば、スプールの回転を報知する発音装置の
場合、第1音出し部材は、スプール又はスプール軸に設
けられ、第2音出し部材は、リール本体に設けられてい
る。第1音出し部材は、スプール又はスプール軸に装着
され外周面又は一側面に回転方向に間隔を隔てて多数の
凹凸部が形成された円板状の部材で構成される。第2音
出し部材は、リール本体に進退自在かつ凹凸部方向に付
勢された音出しピンや凹凸部に接触可能に配置されたば
ね部材で構成される。
【0004】この種の発音装置では、可及的に細かなク
リック音を発生できるようにすることが望ましい。細か
なクリック音を得ようとする場合、従来は、凹凸部の形
状の小さくしたり間隔を狭めて配置したりしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】凹凸部の形状を小さく
したり凹凸部の間隔を狭めて配置したりする従来の発音
装置では、凹凸部の形状を小さくすると、細かなクリッ
ク音が得られるが明瞭なクリック音を得にくくなる。ま
た、形状を小さくせずに間隔を狭めると、凹凸部の間の
凸部分が薄くなって壊れやすくなり比強度の面で問題が
生じる。この問題は、とくに、第1音出し部材を樹脂成
形品にした場合に顕著になる。このため、上記のような
手法では比強度を維持して明瞭で細かなクリック音を得
にくい。
【0006】そこで、従来は、たとえば第2音出し部材
を凹凸部の間隔の半分だけ位相をずらして2つ配置する
などの手法がとられている。しかし、第2音出し部材を
2つ設ける構成では、その分発音装置の構成が複雑にな
る。本発明の課題は、釣り用リールの発音装置におい
て、簡素な構成で比強度を維持して明瞭で細かなクリッ
ク音を得ることができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明1に係る釣り用リー
ルの発音装置は、釣り用リールの相対回転する第1部材
と第2部材との間に設けられ、両部材の相対回転により
発音する装置であって、第1音出し部材と、第2音出し
部材とを備えている。第1音出し部材は、第1部材に回
転不能に装着され、外周面に第1側から第2側に向かっ
て軸方向に沿って途中まで形成されかつ周方向に間隔を
隔てて形成された第1凹溝と、外周面に第2側から第1
側に向かって第1凹溝の先端とその先端が軸方向に重な
り合うように形成されかつ周方向に間隔を隔てて第1凹
溝と交互に形成された第2凹溝とを有する円板状の部材
である。第2音出し部材は、一部が第1音出し部材の両
凹溝の先端に弾性的に接触可能に第2部材に回転不能に
装着された部材である。
【0008】この発音装置では、第1部材と第2部材と
が相対回転すると、交互に形成された第1音出し部材の
第1凹溝及び第2凹溝の先端に第2音出し部材が衝突を
繰り返し、発音装置が発音する。ここでは、第1凹溝と
第2凹溝とを交互に形成しているので、両凹溝を第1音
出し部材の外周面の軸方向の全体にわたって形成した場
合と同じ数の凹溝を得ることができ、1つの第2音出し
部材で明瞭で細かなクリック音を得ることができる。し
かも、両凹溝を外周面の軸方向全体にわたって形成せず
先端だけが軸方向に重なり合うように形成しているの
で、両凹溝間の間隔を広くすることができ、比強度は両
凹溝のいずれか1つの凹溝を形成した場合より僅かに低
い程度に維持できる。このため、簡素な構成で比強度を
維持して明瞭で細かなクリック音を得ることができるよ
うになる。しかも、2つの凹溝が交互に配置され、それ
ぞれ別の側部に延びているので、金型を用いた型成形に
より第1音出し部材を製作することができ、複雑な形状
の凹溝を簡単に形成できる。
【0009】発明2に係る釣り用リールの発音装置は、
発明1に記載の装置において、第1音出し部材は二つ割
りの金型を用いた成形品であり、両凹溝は成形して形成
されている。この場合には、2つの凹溝を設けた第1音
出し部材を金型で形成できるので、機械加工することな
く簡単に製造でき、製造コストを削減できる。発明3に
係る釣り用リールの発音装置は、発明2に記載の装置に
おいて、第1音出し部材は樹脂成形品である。この場合
には、第1音出し部材が樹脂成形品であるので、さらに
製造コストを削減できる。
【0010】発明4に係る釣り用リールの発音装置は、
発明2に記載の装置において、第1音出し部材は金属成
形品である。この場合には、第1音出し部材が、たとえ
ばダイキャストなど成形加工により得られた硬くて振動
しやすい金属製であるので、より明瞭で大きな音を発す
ることができる。発明5に係る釣り用リールの発音装置
は、発明1から4のいずれかに記載の装置において、第
2音出し部材は、第2部材に両凹溝に接触可能に進退自
在に装着された音出しピンと、音出しピンを両凹溝に向
けて付勢する付勢部材とを有する。この場合には、第2
音出し部材が進退する音出しピンとそれを付勢する付勢
部材とにより構成されるので、より明瞭な音を出しやす
くなる。
【0011】発明6に係る釣り用リールの発音装置は、
発明1から4のいずれかに記載の装置において、第2音
出し部材は、第2部材に基端が固定され先端が両凹溝に
接触可能な弾性部材である。この場合には、第2音出し
部材が1つの部材で構成されるので、構造がさらに簡素
になる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を採用したス
ピニングリールはフロントドラグ型のものであり、図1
に示すように、ハンドル1を回転自在に支持するリール
本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロ
ータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されて
いる。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るもので
あり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されてい
る。
【0013】リール本体2は、リールボディ2aと、リ
ールボディ2aから斜め上前方に延びる竿取付脚2bと
を有している。リールボディ2aは、図2に示すように
内部に空間を有しており、その空間内には、ロータ3を
ハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構
5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻
き取るためのオシレーティング機構6とが設けられてい
る。
【0014】ロータ駆動機構5は、ハンドル1が固定さ
れたハンドル軸10とともに回転するフェースギア11
と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12
とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されて
おり、その前部は、ロータ3の中心部を貫通し、ナット
によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12
は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受を
介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0015】オシレーティング機構6は、スプール4の
中心部にドラグ機構60を介して連結されたスプール軸
15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動
させるための機構である。オシレーティング機構6は、
スプール軸15の下方に平行に配置された螺軸21と、
螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、
螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有してい
る。スライダ22にはスプール軸15の後端が回転不能
に固定されている。中間ギア23は図示しない減速機構
を介してピニオンギア12に噛み合っている。
【0016】ロータ3は、図2に示すように、円筒部3
0と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第
1及び第2ロータアーム31、32とを有している。円
筒部30と両ロータアーム31、32とは、たとえばア
ルミニウム合金製であり一体成形されている。第1ロー
タアーム31は、円筒部30から外方に凸に湾曲して前
方に延びており、円筒部30との接続部分は円筒部30
の周方向に広がり湾曲している。第1ロータアーム31
の先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自
在に装着されている。第1ベール支持部材40の先端に
は、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ
41が装着されている。
【0017】第2ロータアーム32は、円筒部30から
外方に凸に湾曲して前方に延びている。第2ロータアー
ム32は、先端部から円筒部30との接続部分に向けて
2股に分岐しており、円筒部30と周方向に間隔を隔て
た2箇所で接続されている。第2ロータアーム32の先
端外周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装
着されている。
【0018】ラインローラ41と第2ベール支持部材4
2との間には線材を略U状に湾曲させた形状のベール4
3が固定されている。これらの第1及び第2ベール支持
部材40、42、ラインローラ41及びベール43によ
り釣り糸をスプール4に案内するベールアーム44が構
成される。ベールアーム44は、図2に示す糸案内姿勢
とそれから反転した糸開放姿勢との間で揺動自在であ
る。
【0019】スプール4は、ロータ3の第1ロータアー
ム31と第2ロータアーム32との間に配置されてお
り、スプール軸15の先端にドラグ機構60を介して装
着されている。スプール4は、図3に拡大して示すよう
に、糸巻胴部7aを有するスプール本体7と、糸巻胴部
7aの前端部に取り付けられた大径の前フランジ部8
と、前フランジ部8をスプール本体7に固定するための
ナット部材9とを有している。スプール本体7は、外周
に釣り糸が巻かれる筒状の糸巻胴部7aと、糸巻胴部7
aの後端部に一体成形された大径筒状のスカート部7b
と、糸巻胴部7aの内周側に取り付けられた内筒部材7
cとを有している。
【0020】糸巻胴部7a及びスカート部7bは、アル
ミニウム合金の薄板をプレス加工により一体成形して得
られた大小2段の筒状の部材である。糸巻胴部7aは、
外周に釣り糸が巻き付けられる筒状の部分である。糸巻
胴部7aには、釣り糸の巻き始め端の結び目を収納する
ための貫通孔7f(図1及び図3参照)がスカート部7
b近傍に1箇所形成されている。
【0021】スカート部7bは、糸巻胴部7aの後端部
から外周側に延びる後フランジ部7hと、後フランジ部
7hの外周部から後方に延びる円筒部7iとを有してい
る。円筒部7iには、図1及び図3に示すように、段付
きの凹部7gが形成されており、この凹部7gに釣り糸
の先端部分を係止するための釣り糸係止部50が装着さ
れている。凹部7gと釣り糸係止部50との間には、釣
り糸を挟持するための隙間が生成されている。
【0022】内筒部材7cは、糸巻胴部7aの内周側に
取り付けられ、内周部にドラグ機構60が装着される合
成樹脂製の筒状部材である。内筒部材7cの後端部に
は、ナット部材9がねじ込まれる雄ねじ部7jが糸巻胴
部7aから突出するように形成されている。内筒部材7
cの前端部には、糸巻胴部7aの前端面が係止される大
径の鍔部7kが形成されている。鍔部7kは、糸巻胴部
7aの前端部とで前フランジ部8を挟持して固定するた
めに設けられている。内筒部材7cには、後述するドラ
グ機構60の作動により発音するドラグ発音機構93が
装着されている。内筒部材7cの内周側には、前後1対
の軸受55,56が装着されており、内筒部材7cは、
軸受55,56によりスプール軸15に回転自在に装着
されている。
【0023】前フランジ部8は、たとえばアルミニウム
合金製の環状部材であり、前リング部8aと後リング部
8bとを有し、両リング部8a,8bの外周側で折れ曲
がるようにカーリング加工が施されている。前リング部
8aの内径は内筒部材7cの外径と略同一であり、後リ
ング部8bの内径は糸巻胴部7aの外径と略同一であ
る。前リング部8aの前面は鍔部に密着されるように形
成されている。前フランジ部8は、ナット部材9に雄ね
じ部7jをねじ込むことにより、鍔部7kと糸巻胴部7
aの前端面とに挟持されて内筒部材7cに固定される。
【0024】ナット部材9は、中心に雄ねじ部7jに螺
合する雌ねじ部9aが形成された、たとえば合成樹脂製
の弾性を有するリング部材である。ナット部材9の後面
には、ナット部材9を回すための専用の工具を径するた
めの工具係止部9bが周方向に間隔を隔てて形成されて
いる。なお、釣り糸係止部50は、図3に示すように、
弾性変形可能な側面断面略T字状部材であり、ナット部
材9の後端部に突出して形成された突起9cに装着さ
れ、突起9cの先端に取り付けられたプッシュナット5
1により固定されている。
【0025】このような構成のスプール4を組み立てる
際には、内筒部材7cに前フランジ部8を装着しさら
に、糸巻胴部7aを装着する。この状態で釣り糸係止部
50をナット部材9に装着固定し、ナット部材9に対し
て内筒部材7cを回転させてナット部材9に雄ねじ部7
jをねじ込み、糸巻胴部7a及び前フランジ部8を内筒
部材7cに固定する。ここでは、内筒部材7cの後端部
に形成された雄ねじ部7jを利用して前フランジ部8を
固定しているので、スプール4の軽量化を図りつつ、そ
の内部空間を十分に確保できるようになる。
【0026】ドラグ機構60は、スプール4とスプール
軸15との間に装着され、スプール4にドラグ力を作用
させるための機構である。ドラグ機構60は、図3に示
すように、ドラグ力を手で調整するためのつまみ部61
と、つまみ部61によりスプール4側に押圧される複数
枚のディスクからなる摩擦部62とを有している。スプ
ール軸15の前部には平行な面取り部15aが形成され
ており、面取り部15aの先端には雄ねじ部15bが形
成されている。つまみ部61は、面取り部15aに回転
不能かつ軸方向移動自在に設けられた第1部材63と、
第1部材63の軸方向前方に配置されスプール軸15に
螺合する第2部材64と、第1部材63と第2部材64
との間に装着された発音機構65とを有している。
【0027】第1部材63は、円筒部63aと円筒部6
3aより大径のリング状の鍔部63bとを有する鍔付き
円筒状の部材である。円筒部63aの内周部には、スプ
ール軸15に回転不能に係止する小判形状の係止孔66
が形成されている。第1部材63の円筒部63aの後端
面が摩擦部62に当接する。第1部材63の円筒部63
aと内筒部材7cの内周面との間には、外部から摩擦部
62側への液体の侵入を防止するためのシール板71が
装着されている。シール板71は、たとえば、ステンレ
ス製のリング部材の周囲にNBR製の皿状の弾性部材を
アウトサート成形して得られたシール部材であり、外周
部にリップを有している。
【0028】第2部材64は、第1部材63と対向しか
つ第1部材63と相対回動自在に設けられている。第2
部材64は、第1部材63のスプール軸15方向前方に
並べて配置されたつまみ本体67と、つまみ本体67の
外周部に先端が固定され第1部材63を内部に相対回動
自在に収納するカバー部材68とを有している。つまみ
本体67は円盤状の部材であり、前面に前方に突出した
略台形状のつまみ67aが形成されている。つまみ本体
67の内部には、スプール軸15の先端の雄ねじ部15
bに螺合するナット69が回転不能かつ軸方向移動自在
に装着されている。また、第2部材64とナット69と
の間においてスプール軸15の外周にはコイルばね70
が圧縮状態で配置されている。
【0029】カバー部材68の先端部とつまみ本体67
との間には断面が矩形のOリング73が装着されてい
る。Oリング73は、たとえばNBR製の弾性部材であ
り、第1部材63と第2部材64のつまみ本体67との
隙間から内部に液体が侵入するのを防止するために設け
られている。この隙間から液体が侵入すると、たとえシ
ール板71を設けても、第1部材63とスプール軸15
との隙間を通って摩擦部62まで水が侵入し、摩擦部6
2が濡れてドラグ力が変動することがある。
【0030】摩擦部62は、図3及び図4に示すよう
に、第1部材63に接触する第1ディスク91と、第1
ディスクに回転不能に係止された第2ディスク92と、
第1ディスク91と第2ディスク92との間に配置され
た第2ディスク94と、第1ディスク91と内筒部材7
cとの間に装着されたドラグ発音機構93とを有してい
る。
【0031】第1ディスク91は、ドラグ発音機構(本
発明の一実施形態による発音装置)93の第1音出し部
材と兼用されており、たとえばポリアセタール樹脂など
の硬質な合成樹脂成形品であり、たとえば二つ割りの金
型を用いた型成形により製作されている。第1ディスク
91は、第1部材63が接触する内円板部91aと、内
円板部91aの外周側から後方に延びる円筒部91b
と、円筒部91bの後端部から内筒部材7cの中心部の
外周に沿って後方に延びる外円板部91cとを有してい
る。第1ディスク91は、内円板部91aの中心に形成
された略矩形の係止孔91dがスプール軸15の面取り
部15aに係止されることによりスプール軸15に回転
不能かつ軸方向移動自在に装着されている。また、外円
板部91cには、ドラグ発音機構93の第1凹溝93a
及び第2凹溝93bが形成されている。第1ディスク9
1の外円板部91cの内周側後側面91gには、周方向
に間隔を隔ててたとえば4つの円弧溝91eが形成され
ている。
【0032】第2ディスク92は、筒部92aと鍔部9
2bとを有する鍔付き円筒状の部材である。筒部92a
は、内筒部材7cの中心部の外周側に配置されており、
中心部に回転自在に装着されている。筒部92aの先端
には、周方向に間隔を隔てて4つの突起爪92cが形成
されている。この突起爪92cは、円弧溝91eに係止
される。これにより、第2ディスク92は、第1ディス
ク91に回転不能に係止される。したがって第2ディス
ク92もスプール軸15に対して回転不能である。
【0033】第3ディスク94は、第2ディスク92の
筒部92aの外周面に回転自在に装着されている。第3
ディスク94は、外周側に径方向外方に突出する1対の
係止爪94a(一方のみ図示)を有している。この係止
爪94aは、内筒部材7cの内周面に形成された係止溝
7mに係止される。これにより、第3ディスク94は、
スプール軸15に対して回転自在でかつスプール4に対
して回転不能である。
【0034】ドラグ発音機構93は、第1及び第2凹溝
93a,93bが外周面に形成された第1音出し部材と
しての第1ディスク91と、第1及び第2凹溝93a,
93bに先端が衝突するように内筒部材7cに径方向に
進退自在に装着された第2音出し部材としての音出しピ
ン98と、音出しピン98を第1及び第2凹溝93a,
93bに向けて付勢するコイルばね99とを有してい
る。
【0035】第1凹溝93aは、図5に示すように、第
1ディスク91の外周面に前側面(図5右側面)91f
から後側面(図5左側面)91gに向かって軸方向に沿
って略中央部分まで形成されかつ周方向に間隔を隔てて
形成されている。第1凹溝93aは、断面が略半円形状
の溝であり、軸方向略中央部分の先端93cも半円形状
である。第2凹溝93bは、第1ディスク91の外周面
に後側面91gから前側面91fに向かって第1凹溝9
3aの先端93cとその先端93dが軸方向に重なり合
うように形成されかつ周方向に間隔を隔てて第1凹溝9
3aと交互に形成されている。
【0036】音出しピン98は、図3及び図6に示すよ
うに内筒部材7cに設けられ糸巻胴部7aにより塞がれ
た貫通孔7nに径方向に沿って進退自在に収納されてい
る。音出しピン98は、棒状部材であり、半球状の先端
部98aと、先端部98aより大径のガイド部98b
と、ガイド部98bより小径のばね装着部98cとを有
している。先端部98aは、第1及び第2凹溝93a,
93bの重なり合う先端93c,93dに接触するよう
に進退可能な形状であり、両凹溝93a,93bとの衝
突を繰り返す。ガイド部98bは、コイルばね99の先
端を係止するとともに、貫通孔7nにより案内されるよ
うにするために設けられている。ばね装着部98cは、
コイルばね99を外周側に配置するために設けられてい
る。
【0037】コイルばね99は、基端が貫通孔7n内で
糸巻胴部7bの内周面に当接しており、圧縮状態で配置
されている。このドラグ発音機構93では、ドラグ作動
時、つまりスプール4がスプール軸15に対して回転す
ると、コイルばね99により付勢された音出しピン98
が第1及び第2凹溝93a,93bとの衝突を繰り返し
て発音する。このとき、第1凹溝93aと第2凹溝93
bとを交互に形成しているので、両凹溝93a,93b
を第1ディスク91の外周面の軸方向の全体にわたって
形成した場合と同じ数の凹溝93a,93bを得ること
ができ、一つの音出しピン98で明瞭で細かなクリック
音を得ることができる。しかも、両凹溝93a,93b
を外周面の軸方向全体にわたって形成せず先端93c,
93dだけが軸方向に重なり合うように形成しているの
で、両凹溝93a,93b間の間隔を広くすることがで
き、比強度は両凹溝のいずれか1つの凹溝を形成した場
合より僅かに低い程度に維持できる。このため、簡素な
構成で比強度を維持して明瞭で細かなクリック音を得る
ことができるようになる。しかも、2つの凹溝が交互に
配置され、それぞれ別の側部に延びているので、金型を
用いた型成形により第1ディスク91を製作することが
でき、複雑な形状の凹溝93a,93bを簡単に形成で
きる。
【0038】第1ディスク91と第3ディスク94との
間、第3ディスク94と第2ディスク92との間、及び
第2ディスク92と内筒部材7cとの間には、グラファ
イト製又はフェルト製のドラグディスク95,96,9
7がそれぞれ装着されている。 〔リールの操作及び動作〕このスピニングリールでは、
キャスティング時等の糸繰り出し時にはベールアーム4
4を糸開放姿勢に倒す。この結果、釣り糸は仕掛けの自
重によりスプール4の先端側から順に繰り出される。
【0039】糸巻取時には、ベールアーム44を糸巻取
姿勢側に戻す。これは、ハンドル1を糸巻取方向に回転
させると、図示しないベール反転機構の働きにより自動
的に行われる。ハンドル1の回転力は、ハンドル軸10
及びフェースギア11を介してピニオンギア12に伝達
される。ピニオンギア12に伝達された回転力は、その
前部からロータ3に伝達されるとともに減速機構を介し
てピニオンギア12に噛み合う中間ギア23によりオシ
レーティング機構6に伝達される。この結果、ロータ3
が糸巻取方向に回転するとともにスプール4が前後に往
復移動する。
【0040】仕掛けに魚がかかると、魚の引きによりド
ラグ機構60が動作しスプール4が逆転することがあ
る。ドラグ作動時には、第1ディスク91及び第3ディ
スク94はスプール軸15に対して回転不能であり、第
2ディスク92は、スプール4に対して回転不能である
ので、ドラグディスク95〜97を介して第1及び第3
ディスク91,94と第2ディスク92及びスプール4
との間で滑りが生じる。このときのドラグ力は、つまみ
部61のつまみ67aを回して設定される第1部材63
の第1ディスク91への押圧力により定まる。
【0041】このドラグ作動時には、第1ディスク91
とスプール本体7との相対回転により、音出しピン98
が第1ディスク91の両凹溝93a,93bとの衝突を
繰り返し、ドラグ発音機構93が発音する。このとき、
第1凹溝93a及び第2凹溝93bを前側面91fと後
側面91gとから形成したので、金型を用いたインジェ
クション成形などの型成形で第1ディスク91を製造で
きる。このため、第1ディスク91を安価に製造でき
る。しかも、前述したように比強度を維持して明瞭で細
かなクリック音を得ることができる。
【0042】〔他の実施形態〕 (a) 前記実施形態では、第1音出し部材として機能
する第1ディスク91を合成樹脂成形品としたが、金属
成形品でもよい。たとえば、亜鉛やステンレスやアルミ
ニウムなどの溶融金属によるダイキャストや金属粉末に
よる焼結により形成してもよい。
【0043】(b) 前記実施形態では、スピニングリ
ールのドラグ発音機構を例に本発明を説明したが、スピ
ニングリール以外の両軸受リールや片軸受リールの発音
装置にも本発明を適用できる。たとえば、両軸受リール
のスプール軸に円板状の第1音出し部材を回転不能に装
着し、リール本体に第1音出し部材の両凹溝に接触する
第2音出し部材を装着したスプール発音機構にも適用で
きる。この場合、前記実施形態のような音出しピンによ
り構成された第2音出し部材でもよいし、たとえば両凹
溝に先端又は中間部が接触可能な弾性を有する金属製又
は合成樹脂製のばね部材により構成された第2音出し部
材でもよい。
【0044】(c) 前記実施形態のような構成の第1
音出し部材は、回転部材の位置決め(インデックス)に
用いることもできる。この場合、軟質材やゴムなどの弾
性体のように材質的に発音が小さなものでもクリック感
や耐久性を向上させる目的で第1音出し部材に採用する
ことができる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、第1凹溝と第2凹溝と
を交互に形成しているので、両凹溝を第1音出し部材の
外周面の軸方向の全体にわたって形成した場合と同じ数
の凹溝を得ることができ、一つの第2音出し部材で明瞭
で細かなクリック音を得ることができる。しかも、両凹
溝を外周面の軸方向全体にわたって形成せず先端だけが
軸方向に重なり合うように形成しているので、両凹溝間
の間隔を広くすることができ、比強度は両凹溝のいずれ
か1つの凹溝を形成した場合より僅かに低い程度に維持
できる。このため、簡素な構成で比強度を維持して明瞭
で細かなクリック音を得ることができるようになる。し
かも、2つの凹溝が交互に配置され、それぞれ別の側部
に延びているので、金型を用いた型成形により第1音出
し部材を製作することができ、複雑な形状の凹溝を簡単
に形成できる。複雑な形状の凹溝を簡単に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリー
ルの左側面図。
【図2】前記スピニングリールの左側面断面図。
【図3】前記スピニングリールのスプールの拡大断面
図。
【図4】ドラグ機構の分解斜視図。
【図5】第1ディスクの外周面の拡大部分図。
【図6】図3のVI−VI断面図。
【符号の説明】
4 スプール 15 スプール軸 91 第1ディスク(第1音出し部材) 93 ドラグ発音装置 93a,93b 第1及び第2凹溝 93c,93d 先端 98 音出しピン(第2音出し部材) 99 コイルばね

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】釣り用リールの相対回転する第1部材と第
    2部材との間に設けられ、両部材の相対回転により発音
    する釣り用リールの発音装置であって、 前記第1部材に回転不能に装着され、外周面に第1側か
    ら第2側に向かって軸方向に沿って途中まで形成されか
    つ周方向に間隔を隔てて形成された第1凹溝と、前記外
    周面に前記第2側から前記第1側に向かって前記第1凹
    溝の先端とその先端が軸方向に重なり合うように形成さ
    れかつ周方向に間隔を隔てて前記第1凹溝と交互に形成
    された第2凹溝とを有する円板状の第1音出し部材と、 一部が前記第1音出し部材の前記両凹溝の先端に弾性的
    に接触可能に前記第2部材に回転不能に装着された第2
    音出し部材と、を備えた釣り用リールの発音装置。
  2. 【請求項2】前記第1音出し部材は二つ割りの金型を用
    いた成形品であり、前記両凹溝は成形して形成されてい
    る、請求項1に記載の釣り用リールの発音装置。
  3. 【請求項3】前記第1音出し部材は樹脂成形品である、
    請求項2に記載の釣り用リールの発音装置。
  4. 【請求項4】前記第1音出し部材は金属成形品である、
    請求項2に記載の釣り用リールの発音装置。
  5. 【請求項5】前記第2音出し部材は、先端が前記両凹溝
    に接触可能に前記第2部材に進退自在に装着された音出
    しピンと、前記音出しピンを前記両凹溝に向けて付勢す
    る付勢部材とを有する、請求項1から4のいずれかに記
    載の釣り用リールの発音装置。
  6. 【請求項6】前記第2音出し部材は、前記第2部材に基
    端が固定され先端が前記両凹溝に接触可能な弾性部材で
    ある、請求項1から4のいずれかに記載の釣り用リール
    の発音装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020156365A (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 グローブライド株式会社 魚釣用スピニングリール

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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