JP2003138437A - 嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸 - Google Patents

嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸

Info

Publication number
JP2003138437A
JP2003138437A JP2001336548A JP2001336548A JP2003138437A JP 2003138437 A JP2003138437 A JP 2003138437A JP 2001336548 A JP2001336548 A JP 2001336548A JP 2001336548 A JP2001336548 A JP 2001336548A JP 2003138437 A JP2003138437 A JP 2003138437A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lactic acid
polylactic acid
temperature
bulkiness
yarn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001336548A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3901989B2 (ja
Inventor
Masakatsu Okumura
正勝 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Fibers Ltd
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Fibers Ltd
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Fibers Ltd, Unitika Ltd filed Critical Unitika Fibers Ltd
Priority to JP2001336548A priority Critical patent/JP3901989B2/ja
Publication of JP2003138437A publication Critical patent/JP2003138437A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3901989B2 publication Critical patent/JP3901989B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリ乳酸系マルチフイラメント糸からなる仮
撚加工糸を用いた織編物に、ポリ乳酸系マルチフイラメ
ント糸特有のロウ質感(ワキシー感)がなく、嵩高であ
り、適度の伸縮性があってサラリとした手触りを付与で
きる嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸を提
供する。 【解決手段】 ポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維か
らなる仮撚加工糸であって、高温結晶融解相が結晶相全
体の90%以上を占め、高温結晶融解相の結晶融解開始
温度が190℃以上であり、かつ、嵩高度が150%以
上、伸縮伸長率が45%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ乳酸系マルチ
フイラメント糸からなる高嵩高性、伸縮性の仮撚加工糸
に関し、製編織すれば、ポリ乳酸系マルチフイラメント
糸特有のロウ質感(ワキシー感)がなく、肌触りがよ
く、適度の伸縮性のある嵩高な布帛が得られる嵩高性、
伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリ乳酸は、仮撚加工糸として汎用され
るポリエステルやナイロンなどに比較して融点が低く、
165℃程度であるため、ポリ乳酸系マルチフイラメン
ト糸に仮撚加工を施す場合、通常100℃近傍で仮撚加
工しなければならなかった。100℃近傍を超える温度
で仮撚を施すと、フィラメント間融着が起こって糸条が
集束したいわゆる未解撚糸となり、また100℃近傍未
満の低い温度で仮撚を施すと捲縮堅牢性がなく、捲縮の
低い仮撚加工糸となり、低い張力で引っ張っても捲縮が
消失してしまうという程の使用に耐えないものであっ
た。
【0003】このように、ポリ乳酸系マルチフイラメン
ト糸は、100℃近傍での仮撚を余儀なくされていたた
め、ポリ乳酸系マルチフイラメント糸からなる仮撚加工
糸は、ロウ質感(ワキシー感)が強く、肌触りが悪く、
衣料用への適用が進展していない原因となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、ポリ乳酸系マルチフイラメント糸からなる仮
撚加工糸を用いた織編物に、ポリ乳酸系マルチフイラメ
ント糸特有のロウ質感(ワキシー感)がなく、嵩高であ
り、適度の伸縮性があってサラリとした手触りを付与で
きる嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸を提
供することを技術的な課題とするものである。
【0005】
【課題を達成するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするもので
ある。 (1) ポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維からなる仮撚
加工糸であって、高温結晶融解相が結晶相全体の90%
以上を占め、高温結晶融解相の結晶融解開始温度が19
0℃以上であり、かつ、嵩高度が150%以上、伸縮伸
長率が45%以上であることを特徴とする嵩高性、伸縮
性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸。 (2) ポリ乳酸ステレオコンプレックスがL−乳酸を主成
分とするポリL−乳酸と、D−乳酸を主成分とするポリ
D−乳酸から構成されたものである上記(1) 記載の嵩高
性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸。 (3) L−乳酸を主成分とするポリL−乳酸がL−乳酸単
位70〜100モル%と、D−乳酸単位又はD−乳酸以
外の共重合単位0〜30モル%より構成されており、D
−乳酸を主成分とするポリD−乳酸がD−乳酸単位70
〜100モル%とL−乳酸単位又はL−乳酸以外の共重
合単位0〜30モル%より構成されている上記(2) 記載
の嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸。 (4) L−乳酸を主成分とするポリL−乳酸の平均分子量
が10,000〜150,000 であり、D−乳酸を主成分とするポ
リD−乳酸の平均分子量が10,000〜150,000 である上記
(1) 〜(3) のいずれかに記載の嵩高性、伸縮性に優れた
ポリ乳酸系仮撚加工糸。 (5) 上記(1) 〜(4) のいずれかに記載の嵩高性、伸縮性
に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸を用いた織編物。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維か
らなるポリ乳酸系仮撚加工糸は、まず伸縮伸長率が45
%以上を有することが特徴である。伸縮伸長率が45%
未満の加工糸は、従来の100℃近傍で仮撚加工を施し
て得られるものであるが、捲縮が弱く、その織編物はヌ
メリ感が強く、嵩が低くて伸縮性のない、肌触りの悪い
織編物となる。一方、伸縮伸長率が100%を超えるほ
ど高くしようとして、仮撚数や温度を高くすると糸強力
が弱くなり、いわゆる素抜け状態になって使用に耐えな
い加工糸となりやすい。本発明者らの知見によると、織
編物にして良好な伸縮性が得られる伸縮伸長率は45%
以上、好ましくは55%以上であり、またウ−ル織編物
のような適度な嵩高性、手触り感を指向する場合でも伸
縮伸長率は100%以下が好ましい。
【0007】また、本発明の仮撚加工糸は、嵩高度が1
50%以上のものである。嵩高度が150%未満になる
と、製編織して得られる布帛は厚みがなく、嵩高感が得
られない。従来技術の項でも説明したように、通常のポ
リ乳酸系マルチフイラメント糸の仮撚加工糸を得る場
合、高々100℃近傍の温度でしか加工できないので、
嵩高度が150%未満、伸縮伸長率が45%未満の仮撚
加工糸しか得られない。これは、熱固定温度が低すぎて
充分な捲縮固定ができないためである。
【0008】本発明の仮撚加工糸を得るためには、結晶
化速度が速くなり始める温度の150℃以上の温度であ
って、高温結晶融解相の結晶融解開始温度未満の温度か
ら30℃低い温度までの間の温度に仮撚温度を設定し、
仮撚係数28000 〔=仮撚数×D1/2 、Dは繊度(dte
x)〕以上の仮撚数で仮撚加工しなければならない。し
かし、通常のポリL乳酸繊維やポリD乳酸繊維では、こ
のような高温の仮撚温度を採用すると、これらの繊維は
融化接着してしまうので、このような仮撚温度は採用で
きない。
【0009】このような高い仮撚加工温度を設定できる
ポリ乳酸系繊維として、本発明者らは、高温結晶融解相
が結晶相全体の90%以上を占め、かつ高温結晶融解相
の結晶融解開始温度が190℃以上のポリ乳酸ステレオ
コンプレックス繊維を採用すればよいことを見出した。
図1は、本発明の仮撚加工糸を構成するポリ乳酸系重
合体からなるマルチフイラメント糸を、示差走査熱分析
(DSC)を行った際の融解吸熱曲線(DSC曲線)を
示す。融解吸熱曲線(a)において、吸熱ピークの熱量
(結晶融解熱量)は、重合体の結晶相の量の多少を示
し、この吸熱量は図の斜線部の面積で表される。
【0010】ステレオコンプレックスを形成したポリ乳
酸系重合体においては、構成する重合体成分種あるいは
組成比、並びにそのステレオコンプレックスの調製条件
及び形成状態に応じて、通常は少なくとも2つの吸熱ピ
ークを示し、2つの結晶相が存在することを示す。1つ
は、ポリ−L−乳酸やポリ−D−乳酸のような個々のポ
リマー成分に固有の融点である165〜180℃に観測
される低温結晶融解相(X)で、もう一つは、ステレオ
コンプレックスの形成に伴い認められる190〜230
℃の高温結晶融解相(Y)である。
【0011】高温結晶融解相及び低温結晶融解相の相対
的比率は、それぞれの結晶融解熱量の大きさ、すなわ
ち、融解吸熱曲線(a)の2つの吸熱ピークで表される
面積の大きさから算出することができる。したがって、
結晶相全体に対する高温結晶融解相の比率は、下記式に
より求められる。結晶相全体に対する高温結晶融解相の
比率(%)=Y×100/(Y+X)上式において、
Y:高温結晶融解相の吸熱ピークで表される面積、X:
低温結晶融解相の吸熱ピークで表される面積とする。
【0012】結晶相全体に対する高温結晶融解相の比率
が90%未満であると、この繊維からなるマルチフイラ
メント糸を仮撚加工するとフィラメントが軟化し、融解
を始めることがあり、いわゆる未解撚糸が発生するので
好ましくない。
【0013】次に、高温結晶融解相の融解開始温度につ
いてであるが、これは、高温融解結晶相の吸熱ピークの
開始(onset)温度であり、吸熱ピークの低温側の
DSC曲線の傾きが最大の点で引いた接線と低温側のベ
ースラインを高温側に延長した直線とが交差する点の温
度をいう。より具体的には、パーキンエルマー社製パイ
リス(pyris)1を用い、昇温速度20℃/分で自
動計測した場合に表示されるonset温度である。
【0014】本発明の仮撚加工糸を構成するステレオコ
ンプレックスを形成してなるポリ乳酸系重合体の高温結
晶融解相の融解開始温度が190℃未満であると、この
繊維からなるマルチフィラメント糸に150℃以上の温
度で仮撚加工を施すと、繊維が軟化して一部融解を始
め、未解撚を発生することがあるので好ましくない。し
たがって、本発明においては、繊維を構成するステレオ
コンプレックスを形成してなるポリ乳酸系重合体の高温
結晶融解相の融解開始温度は190℃以上であるが、好
ましくは210℃以上である。
【0015】なお、本発明の加工糸を構成するポリ乳酸
系重合体において、結晶相全体に対する高温結晶融解相
の比率が100%であり、融解開始温度が190℃以上
である高温結晶融解相のみからなるものであってもよ
い。
【0016】上記した本発明のステレオコンプレックス
を形成したポリ乳酸系マルチフイラメント糸からなる仮
撚加工糸は、例えば次のようにして得ることができる。
ステレオコンプレックスを形成したポリ乳酸系重合体に
おいて、結晶相全体に対する高温結晶融解相の比率は、
構成対裳体であるL−乳酸とD−乳酸の組成比により、
また、ステレオコンプレックスの調製・形成条件に依存
する。L−乳酸とD−乳酸との組成比を1対1に近く
し、また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を溶液状態
あるいは溶融状態で分子レベルで均一に混合させること
により、高温結晶融解相の比率を高めることができる。
【0017】ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を溶液状
態あるいは溶融状態で混合する、あるいは、ポリ−L−
乳酸とポリ−D−乳酸のチップをそれぞれ2軸エクスト
ルーダーで混合溶融・混練することによりステレオコン
プレックスを形成させ、その後、溶融紡糸あるいは、溶
剤紡糸によりマルチフイラメントを形成する。
【0018】次いで、得られたマルチフイラメント糸
に、高温結晶融解相の融解開始温度よりも低い温度で、
かつ、結晶化を促進する温度域、すなわち120〜19
0℃、より好ましくは160〜175℃で熱セットす
る。この熱セットにより結晶化を促進させて高温結晶融
解相の比率を高め、高温結晶融解相の融解開始温度を向
上させ、次いで仮撚加工を施す。このような高温で熱セ
ットを行うことは、ステレオコンプレックスを形成した
ポリ乳酸系重合体が190〜230℃のような高温の結
晶融点を有するため可能であり、従来の単なるポリ−L
−乳酸のような融点が170℃程度のものでは不可能な
ことであった。
【0019】仮撚加工の条件としては、前記したように
仮撚温度として、結晶化速度が速くなり始める温度の1
50℃以上の温度であって、高温結晶融解相の結晶融解
開始温度未満の温度から30℃低い温度までの間の温度
に設定し、仮撚係数が28000〔=仮撚数×D1/2 、Dは
繊度(dtex)〕以上の仮撚数を採用すればよい。
【0020】本発明の仮撚加工糸を構成する単フィラメ
ントの仮撚前の断面形態は、丸断面、異型断面のいずれ
でもよく、また、中空でも非中空でもよい。さらに、そ
の単フィラメントの繊度は特に限定されるものではな
く、用途による要求特性により決めればよいが、通常は
0.3〜30デシテックス程度が好ましい。
【0021】本発明において、伸縮伸長率とは、JIS
L1090に記載の伸縮性測定法において、湿潤処理法
(沸騰水で30分間処理後、乾燥した糸条を測定)で測
定するものである。また、嵩高度は、次の方法で測定す
るものである。 検撚機に0.088CN/dtexの荷重下で50cmの試料を取
る。 同一荷重下で撚方向Z、撚係数2500の追撚を施す。
〔追撚数=2500/D1/2 、Dは繊度(dtex)〕 試料を上記の状態から5%伸長した状態に伸長させ、
その状態でスライドグラスに貼る。 5mm間隔の目盛りの付いたフィルムをスライドグラス
に貼ることにより、試長を10等分した各中央部に印をつ
け、測長可能な顕微鏡で目盛りと試料の交差点の糸直径
を測る。 この実測糸直径の平均値をその糸の理論直径で除し、
100を掛けた値を嵩高度とする。(理論直径とは、糸
条を円筒形のモノフィラメントとして計算した場合の糸
の直径をいう。) さらに、熱特性(高温結晶融解相比率、高温結晶融解相
の融解開始温度、高温結晶融解相の融点)は、パーキン
エルマー社製パイリス(pyris)1を用い、昇温速
度20℃/分で自動計測した場合のDSC曲線より求め
る。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。
【0023】実施例1、比較例1〜4 L−乳酸を主成分とする数平均分子量が78,000のポリ乳
酸(L−乳酸単位:98.2%、D−乳酸単位:1.8
%)と、D−乳酸を主成分とする数平均分子量が66,000
のポリ乳酸(L−乳酸単位:1.3%、D−乳酸単位:
98.7%)とを、2軸エクストルーダーを用い205
〜225℃で約10分間溶融混練した後、水中にストラ
ンド状に押し出し、カッティングすることによりチップ
を作製した。
【0024】次に、このチップを用いて223℃で紡糸
速度3100m/分で溶融紡糸して120dtex/36f の繊維
を得た後、表1に示す条件で延伸を行って84dtex/36f
の糸条となし、さらに表1に示す条件で仮撚加工を施し
た。得られた実施例1、比較例1〜4の各種ポリ乳酸ス
テレオコンプレックス繊維の製糸条件及び熱特性(高温
結晶融解相比率、高温結晶融解相の融解開始温度、高温
結晶融解相の融点)を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から明らかなように、実施例1で得ら
れた仮撚加工糸には毛羽や未解撚の発生がなく、嵩高度
は180%、伸縮伸長率は65%あり、優れた嵩高性と
伸縮性を有していた。この加工糸にZ方向に500T/Mの追
撚を施し、仕上げ密度が経糸本数92本/2.54cm、緯糸
本数81本/2.54cmの密度となるように平織の組織で製
織し、染色加工を施した。
【0027】得られた織物は、従来のポリ乳酸加工糸の
織物では得られなかった、ロウ質感のない、ふくらみに
優れた、しかも3cm幅に切り裂いたこの織物の14.7N 加
重時の伸縮性、回復性を測定したところ、10%の伸長
率、95%の回復率を示し、伸長回復性に優れた織物と
なった。すなわち、実施例1で得られた織物は、100℃
近傍でしか仮撚加工できなかった従来のポリ乳酸加工糸
ではとても到達のできない風合や物性を有する織物であ
った。
【0028】一方、比較例1は温度 100℃で仮撚加工し
たため、捲縮が少なくて伸縮伸長率が20%と極めて少な
い加工糸となり、強く引っ張れば捲縮が消失し、使用に
耐えないものとなった。また、比較例2は温度 210℃で
仮撚加工したため、連続未解撚状の糸形態となり、嵩高
性、伸縮性に乏しいものとなった。次に、比較例3は、
4200T/M の仮撚数で仮撚加工したため、糸へのダメ−ジ
が強く、捲縮は強く、嵩高であるが、伸縮伸長率が測定
できず、引っ張れば素抜けした。また、毛羽の発生が多
く、使用に耐えないものとなった。比較例4は、2400 T
/Mの仮撚数で仮撚したため糸へのダメ−ジが少なく、糸
強度は2.8 CN/dtex と強いが、嵩高度が140%、伸縮
伸長率が25%であり、嵩高性,伸縮性ともに劣るもの
となった。比較例4で得られた加工糸を用い、実施例1
と同様のZ方向に500T/Mの追撚を施し、仕上げ密度が経
糸本数92本/2.54cm、緯糸本数81本/2.54cmの密度とな
るように平織の組織で製織し、染色加工を施した。得ら
れた織物は、従来のポリ乳酸加工糸の織物と同様の、ロ
ウ質感の強い、ふくらみのない、しかも3cm幅に切り裂
いたこの織物の14.7N加重時の伸縮性、回復性を評価し
たところ、伸長率が3%、回復率が80%という伸長回
復性に劣る織物となった。
【0029】
【発明の効果】本発明の仮撚加工糸を構成するポリ乳酸
ステレオコンプレックス繊維は、高温結晶融解相の存在
比率が高く、かつ、高温結晶融解相の融解開始温度が1
90℃以上なので、従来より高温での仮撚加工が可能と
なり、このため加工糸の嵩高度が150%以上、伸縮伸
長率が45%以上あるので、この加工糸から得られる織
編物に、ポリ乳酸系マルチフイラメント糸特有のロウ質
感(ワキシー感)がなく、嵩高であり、適度の伸縮性が
あってサラリとした手触りを付与できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステレオコンプレックスを形成したポリ乳酸系
重合体からなる繊維の融解吸熱曲線(DSC曲線)の例
を示すグラフである。
【符号の説明】
a 融解吸熱曲線 X 低温結晶融解相 Y 高温結晶融解相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA05 BB33 CC20 EE01 EE08 EE20 FF08 FF10 HH01 4L036 MA04 MA24 MA33 PA14 PA18 RA04 UA01 4L048 AA20 AA46 AA47 AB07 AB21 BA01 BA02 CA00 CA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維か
    らなる仮撚加工糸であって、高温結晶融解相が結晶相全
    体の90%以上を占め、高温結晶融解相の結晶融解開始
    温度が190℃以上であり、かつ、嵩高度が150%以
    上、伸縮伸長率が45%以上であることを特徴とする嵩
    高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸ステレオコンプレックスがL−
    乳酸を主成分とするポリL−乳酸と、D−乳酸を主成分
    とするポリD−乳酸から構成されたものである請求項1
    記載の嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸。
  3. 【請求項3】 L−乳酸を主成分とするポリL−乳酸が
    L−乳酸単位70〜100モル%と、D−乳酸単位又は
    D−乳酸以外の共重合単位0〜30モル%より構成され
    ており、D−乳酸を主成分とするポリD−乳酸がD−乳
    酸単位70〜100モル%とL−乳酸単位又はL−乳酸
    以外の共重合単位0〜30モル%より構成されている請
    求項2記載の嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加
    工糸。
  4. 【請求項4】 L−乳酸を主成分とするポリL−乳酸の
    平均分子量が10,000〜150,000 であり、D−乳酸を主成
    分とするポリD−乳酸の平均分子量が10,000〜150,000
    である請求項1〜3のいずれかに記載の嵩高性、伸縮性
    に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の嵩高
    性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸を用いた織編
    物。
JP2001336548A 2001-11-01 2001-11-01 嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸 Expired - Fee Related JP3901989B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001336548A JP3901989B2 (ja) 2001-11-01 2001-11-01 嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001336548A JP3901989B2 (ja) 2001-11-01 2001-11-01 嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003138437A true JP2003138437A (ja) 2003-05-14
JP3901989B2 JP3901989B2 (ja) 2007-04-04

Family

ID=19151353

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001336548A Expired - Fee Related JP3901989B2 (ja) 2001-11-01 2001-11-01 嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3901989B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006188799A (ja) * 2005-01-07 2006-07-20 Unitica Fibers Ltd ポリ乳酸仮撚加工糸パッケージ
EP1780234A4 (en) * 2004-07-22 2009-07-08 Teijin Ltd POLYMIC ACID AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63264913A (ja) * 1987-04-21 1988-11-01 Bio Material Yunibaasu:Kk ポリ乳酸繊維
JP2000234235A (ja) * 1999-02-10 2000-08-29 Toray Ind Inc 撚物布帛
JP2002227035A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Toray Ind Inc 有彩色発色性に優れたポリ乳酸繊維構造物及びその製造方法
JP2002285438A (ja) * 2001-03-26 2002-10-03 Toray Ind Inc ポリ乳酸仮撚加工糸とその製造方法
JP2005023512A (ja) * 2004-10-25 2005-01-27 Toray Ind Inc ポリ乳酸繊維
JP2005290660A (ja) * 1999-06-18 2005-10-20 Toray Ind Inc ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63264913A (ja) * 1987-04-21 1988-11-01 Bio Material Yunibaasu:Kk ポリ乳酸繊維
JP2000234235A (ja) * 1999-02-10 2000-08-29 Toray Ind Inc 撚物布帛
JP2005290660A (ja) * 1999-06-18 2005-10-20 Toray Ind Inc ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法
JP2002227035A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Toray Ind Inc 有彩色発色性に優れたポリ乳酸繊維構造物及びその製造方法
JP2002285438A (ja) * 2001-03-26 2002-10-03 Toray Ind Inc ポリ乳酸仮撚加工糸とその製造方法
JP2005023512A (ja) * 2004-10-25 2005-01-27 Toray Ind Inc ポリ乳酸繊維

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1780234A4 (en) * 2004-07-22 2009-07-08 Teijin Ltd POLYMIC ACID AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
US8304490B2 (en) 2004-07-22 2012-11-06 Teijin Limited Polylactic acid and manufacturing process thereof
JP2006188799A (ja) * 2005-01-07 2006-07-20 Unitica Fibers Ltd ポリ乳酸仮撚加工糸パッケージ

Also Published As

Publication number Publication date
JP3901989B2 (ja) 2007-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3859672B2 (ja) 複合繊維及びその製造方法
JP4858038B2 (ja) 嵩高性ポリエステル複合繊維糸
JP2001288621A (ja) ポリエステル系複合繊維
JP3901989B2 (ja) 嵩高性、伸縮性に優れたポリ乳酸系仮撚加工糸
JP2000248425A (ja) 高収縮性ポリエステル繊維および製造方法
JP4111751B2 (ja) 仮撚加工糸及びその製造法
JP2007247107A (ja) 嵩高性ポリエステル複合繊維
JP2003096642A (ja) 複合布帛とその製造方法
JP4506130B2 (ja) 先染め糸およびその製造方法
JP2000248430A (ja) 潜在捲縮発現性ポリエステル繊維および製造方法
JP4380519B2 (ja) ソフトストレッチ糸の製造方法
JP2007046212A (ja) 複合糸、およびこれを含む布帛製品
JP4687091B2 (ja) ソフトストレッチ糸および布帛
JP4395948B2 (ja) 低収縮ポリエステル糸およびそれからなるポリエステル混繊糸
JP2001214335A (ja) 低収縮ポリエステル太細糸およびそれからなるポリエステル混繊糸
JPH1072732A (ja) ポリエステル系仮撚加工糸の製造方法
JP4660882B2 (ja) 複合仮撚加工糸およびその製造方法
JP3541790B2 (ja) ソフトストレッチ糸および製造方法ならびに布帛
JP3719258B2 (ja) ソフトストレッチ糸および製造方法ならびに布帛
JPH10183435A (ja) 形態安定性に優れた複合糸条
JP3541790B6 (ja) ソフトストレッチ混繊糸および布帛
JP3863286B2 (ja) ポリエステル特殊捲縮糸及びその製造方法
JP3470618B2 (ja) ポリエステル織物
JP2001279562A (ja) 交編編地
JP2003155647A (ja) ラッセルレース

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041029

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060901

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100112

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140112

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees