JP2003138111A - ポリエステル組成物、その製造方法およびその用途 - Google Patents

ポリエステル組成物、その製造方法およびその用途

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JP2003138111A
JP2003138111A JP2001318088A JP2001318088A JP2003138111A JP 2003138111 A JP2003138111 A JP 2003138111A JP 2001318088 A JP2001318088 A JP 2001318088A JP 2001318088 A JP2001318088 A JP 2001318088A JP 2003138111 A JP2003138111 A JP 2003138111A
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polyester
titanium
compound
polycondensation
polyester composition
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JP2001318088A
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English (en)
Inventor
Takashi Hama
隆司 濱
Susumu Hataho
進 幡歩
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの含有
量が少なく、かつ成形時におけるこれらのアルデヒドの
増加量が少ないポリエステル組成物を提供する。 【解決手段】 ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘
導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体と
を、チタン系触媒の存在下に重縮合させることにより得
られるポリエステルおよび2,5,7,8-テトラメチル-2(4',
8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールを含
有することを特徴とするポリエステル組成物、その製
法、ならびに該ポリエステルから形成される中空成形
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ボトル等の成形体を成形
する際にアセトアルデヒド生成量の少ないポリエステル
組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、調味料、油、飲料、化粧
品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類
およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されてい
る。
【0003】これらのうちでポリエチレンテレフタレー
トは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性
に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料
などの飲料充填用容器の素材として好適である。
【0004】このようなポリエチレンテレフタレート
は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、
エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体と
をエステル化した後、重縮合触媒の存在下で液相重縮合
し、次いで固相重縮合して得ることができる。そしてこ
のポリエチレンテレフタレートは、例えば射出成形機械
などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成
形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸
ブロー成形したり、さらに熱処理(ヒートセット)して
中空成形容器に成形される。
【0005】ところが、従来のポリエチレンテレフタレ
ートを成形して得た成形体では、成形時にアセトアルデ
ヒドやホルムアルデヒドの含有量が増加し、これらがポ
リエチレンテレフタレート成形体中に残存するため、該
成形体中に充填される内容物の風味、香りなどが著しく
低下してしまうことがあった。
【0006】特表平10−508045号(WO96/
04833)には、飲用液体容器クロージャーライナー
組成物であって、該液体においてアルデヒドの存在によ
る異臭を防ぐために、非活性化ヒドラジド化合物及び/
又は無機亜硫酸塩化合物及び/又は又はトコフェロール
化合物を含むライナー組成物が開示されている。同公報
には、ライナー処方で滑材として用いられる脂肪酸、そ
の誘導体は、飲料中または容器内に飲料とともに封入さ
れる空気中の酸素や、殺菌剤として用いられるオゾンに
より酸化を受け、異臭を発生する中鎖アルデヒドを生じ
ること、同公報に記載の安定剤処方により、異臭原因物
質の形成を阻止することが記載されている。しかし、ア
セトアルデヒドやホルムアルデヒドの低減、特にポリエ
ステルの成形時に増加するアセトアルデヒドやホルムア
ルデヒドの含有量を低減させる試みについては何ら開示
されていない。
【0007】一方ポリエステルの重合触媒として、チタ
ンテトラアルコキシド等のチタン系触媒が知られてい
る。しかし、ゲルマニウム、アンチモン等の重合触媒を
使用して得られるポリエステルに比べ、ポリエステルが
着色する、また該ポリエステルから成形される成形体
は、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドの含有量が多
い等の傾向がある。
【0008】EP1013692号公報には、特定の重
縮合触媒と環状ラクトン系化合物およびヒンダードフェ
ノール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と
の存在下に重縮合を行うと、高い重合活性でポリエステ
ルが得られ、かつ得られたポリエステルはアセトアルデ
ヒド含有量が少ないことが記載されている。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
課題を解決しようとするものであって、チタン系触媒を
用いてポリエステルの製造する場合でも、アセトアルデ
ヒドやホルムアルデヒドの含有量が少なく、かつ成形時
におけるアセトアルデヒドやホルムアルデヒドの増加量
が少ないポリエステル組成物を提供することを目的とし
ている。
【0010】
【発明の概要】即ち本発明は、下記のとおりである。 (1) ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体
と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、チ
タン系触媒の存在下に重縮合させることにより得られる
ポリエステルおよび2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'
-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールを含有する
ことを特徴とするポリエステル組成物。 (2) 2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチ
ルトリデシル)クロマン-6-オールをポリエステル重量当
たりヒドロキシル基換算で1〜50ppmを含有するこ
とを特徴とする前記(1)に記載のポリエステル組成
物。 (3) チタン系触媒が下記(I)〜(III)のいずれか
の触媒であることを特徴とする前記(1)に記載のポリ
エステル組成物。 (I)チタンハロゲン化物の加水分解により得られるチ
タン化合物からなる重縮合触媒。 (II)チタンハロゲン化物の加水分解の際にチタン以外
の他の元素から選ばれる少なくとも一種の元素の化合物
またはこの化合物の前駆体を共存させて得られる含チタ
ン化合物からなる重縮合触媒。 (III)(I)または(II)の触媒と、周期表上のIIA
族、IIIB族、マンガン、コバルト、亜鉛から選ばれる
元素の少なくとも1種の化合物とからなる重縮合触媒。 (4)ポリエステルが芳香族ポリエステルであることを
特徴とする前記(1)に記載のポリエステル組成物。 (5)芳香族ポリエステルがポリエチレンテレフタレー
トであることを特徴とする前記(4)に記載のポリエス
テル組成物。 (6) ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体
と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮
合させて製造する際に、重縮合が終了するまでの任意の
段階で2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチル
トリデシル)クロマン-6-オールを添加することを特徴と
する前記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステ
ル組成物の製造方法。 (7) 重縮合後のポリエステルおよび2,5,7,8-テトラ
メチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6
-オールを混合して溶融混練することを特徴とする前記
(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル組成物
の製造方法。 (8)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエス
テル組成物から成形されることを特徴とする中空成形
体。
【0011】
【発明の具体的説明】以下本発明に係るポリエステルの
製造方法について具体的に説明する。本発明のポリエス
テルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体
と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを原料
として製造する。好ましくは芳香族ジカルボン酸または
そのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそ
のエステル形成性誘導体とを原料として製造する。
【0012】芳香族ジカルボン酸として具体的には、フ
タル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカ
ルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸などが挙げられる。
【0013】脂肪族ジオールとして具体的には、エチレ
ングリコール、トリメチレングリコール、プロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレン
グリコールなどが挙げられる。
【0014】本発明では、芳香族ジカルボン酸ととも
に、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジ
カルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを原料とし
て使用することができ、脂肪族ジオールとともに、シク
ロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビス
フェノール、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキ
シエトキシフェニル)プロパン類、1,3-ビス(2-ヒドロ
キシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエト
キシ)ベンゼンなどの芳香族ジオールなどを原料として
使用することができる。
【0015】また本発明では、トリメシン酸、トリメチ
ロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロー
ルメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物
を原料として使用することができる。
【0016】本発明のポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ま
しい。
【0017】上記したような芳香族ジカルボン酸または
そのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそ
のエステル形成性誘導体とを含む原料は、エステル化さ
れる。具体的にはまず、芳香族ジカルボン酸またはその
エステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエ
ステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
【0018】このスラリーには、芳香族ジカルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体1モルに対して1.02
〜1.4モル、好ましくは1.03〜1.3モルの脂肪
族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれ
る。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供
給される。
【0019】エステル化反応は、好ましくは2個以上の
エステル化反応器を直列に連結した装置を用いて脂肪族
ジオールが還流する条件下で、反応によって生成した水
を精留塔で系外に除去しながら実施される。エステル化
反応を行う際の反応条件は、第1段目のエステル化反応
の温度が、通常240〜270℃、好ましくは245〜
265℃であり、圧力が、通常0.2〜3kg/cm2
G、好ましくは0.5〜2kg/cm2Gであり、また
最終段目のエステル化反応の温度が通常250〜280
℃、好ましくは255〜275℃であり、圧力が通常0
〜1.5kg/cm2G、好ましくは0〜1.3kg/
cm2Gである。
【0020】エステル化反応を2段階で実施する場合に
は、第1段目および第2段目のエステル化反応条件がそ
れぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合に
は、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応の
反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応
条件の間の条件である。
【0021】例えば、エステル化反応が3段階で実施さ
れる場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度
は、通常245〜275℃、好ましくは250〜270
℃であり、圧力は、通常0〜2kg/cm2G、好まし
くは0.2〜1.5kg/cm2Gである。これらのエ
ステル化反応の反応率は、それぞれの段階においては、
とくに制限はないが、各段階におけるエステル化反応率
の上昇の度合が滑らかに分配されることが好ましく、さ
らに最終段目のエステル化反応生成物においては通常9
0%以上、好ましくは93%以上に達することが望まし
い。
【0022】これらのエステル化工程によりエステル化
物(低次縮合物)が得られ、このエステル化物の数平均
分子量は、通常、500〜5000である。このような
エステル化反応は、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジ
オール以外の添加物を添加せずに実施することも可能で
あり、また後述する重縮合触媒の共存下に実施すること
も可能である。またトリエチルアミン、トリn-ブチルア
ミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン;水
酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn-ブチル
アンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム
などの水酸化第4級アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基
性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチレンテレ
フタレートの主鎖中のジオキシエチレンテレフタレート
成分単位の割合を比較的低水準に保持できるので好まし
い。
【0023】次いで得られたエステル化物は、液相重縮
合工程に供給される。この液相重縮合工程では、重縮合
触媒の存在下に減圧下で、得られるポリエステルの融点
以上の温度に加熱し、この際生成するグリコールを系外
に留去させてエステル化物を重縮合する。
【0024】このような液相での重縮合反応は、1段階
で行っても、複数段階に分けて行ってもよい。複数段階
で行う場合、重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の
反応温度が、通常、250〜290℃、好ましくは26
0〜280℃であり、圧力が、通常、500〜20Tor
r、好ましくは200〜30Torrであり、また最終段階
の重縮合反応の温度が通常265〜300℃、好ましく
は270〜295℃であり、圧力が通常10〜0.1To
rr、好ましくは5〜0.5Torrである。
【0025】重縮合反応を2段階で実施する場合には、
第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上
記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2
段目から最終段目の1段前までの重縮合反応の反応条件
は上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の
条件である。
【0026】例えば、重縮合反応が3段階で実施される
場合には、第2段目の重縮合反応の反応温度は通常26
0〜295℃、好ましくは270〜285℃であり、圧
力は通常、50〜2Torr、好ましくは40〜5Torrの範
囲である。これらの重縮合反応工程の各々において到達
される固有粘度(IV)は特に制限はないが、各段階に
おける固有粘度の上昇の度合が滑らかに分配されること
が好ましい。また、最終段目の重縮合反応器から得られ
るポリエステルの固有粘度は、通常0.35〜0.80
dl/g、好ましくは0.45〜0.75dl/g、さ
らに好ましくは0.55〜0.75dl/gの範囲であ
ることが望ましい。
【0027】本明細書において、固有粘度は、ポリエス
テル0.5gをテトラクロロエタン/フェノール=50/50(wt/wt)混合溶液
100cc中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定
された溶液粘度から算出される。
【0028】またこのポリエステルの密度は、通常1.
33〜1.35g/cm3であることが望ましい。本明
細書において、ポリエステルの密度は、四塩化炭素およ
びヘプタンの混合溶媒を用いた密度勾配管により、23
℃の温度で測定される。
【0029】上記のような重縮合反応は、チタン系の重
縮合触媒の存在下に実施される。チタン系触媒は、特に
限定されるものではないが、中でも、下記(I)〜(II
I)のチタン触媒が重合活性の理由で好ましい。 (I)チタンハロゲン化物の加水分解により得られるチ
タン化合物からなる重縮合触媒。 (II)チタンハロゲン化物の加水分解の際にチタン以外
の他の元素から選ばれる少なくとも一種の元素の化合物
または該化合物の前駆体を共存させて得られる含チタン
化合物からなる重縮合触媒。 (III)(I)または(II)の触媒と、周期表上のIIA
族、IIIB族、マンガン、コバルト、亜鉛から選ばれる
少なくとも1種の元素の化合物からなる重縮合触媒。 上記の重縮合触媒は、調整条件、重合条件等によって
は、得られるポリエステルを使用してボトル等の成形体
を成形した際、アセトアルデヒド含有量やホルムアルデ
ヒド含有量が多くなることがある。このような高活性触
媒を使用してポリエステルを製造する場合であっても、
2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデ
シル)クロマン-6-オールを配合することにより、成形時
に増加するアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの量を
低減させることができる。
【0030】本発明で用いられる重縮合触媒(I)は、
チタンハロゲン化物を加水分解してなる加水分解物から
なる。加水分解物の調製に用いられるチタンハロゲン化
物は、チタン原子とハロゲン原子との結合が少なくとも
1つ以上分子内に存在する化合物であり、具体的には四
塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどの四ハ
ロゲン化チタン;三塩化チタンなどの三ハロゲン化チタ
ン;二塩化チタンなどの二ハロゲン化物および一ハロゲ
ン化チタンが挙げられる。
【0031】チタンハロゲン化物を加水分解する方法と
しては、特に限定されず、例えば水中にチタンハロゲ
ン化物を添加する方法、チタンハロゲン化物中に水を
添加する方法、水中にチタンハロゲン化物の蒸気を含
んだガスを通じる方法、チタンハロゲン化物中に水蒸
気を含んだガスを通じる方法、チタンハロゲン化物を
含んだガスと水蒸気を含んだガスとを接触させる方法な
どが挙げられる。
【0032】上記のように加水分解方法は特に限定され
ないが、いずれの場合でもチタンハロゲン化物に大過剰
の水を作用させて加水分解を完全に進行させることが必
要である。加水分解を完全に進行させず、得られた加水
分解物が特公昭51-19477項公報に記載されてい
るような部分加水分解物となる場合には、重縮合速度が
充分でないことがある。
【0033】加水分解を行う温度は、通常100℃以
下、特に0〜70℃の範囲であることが好ましい。本発
明で用いられる重縮合触媒(II)は、チタンハロゲン化
物と、チタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1
種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体(以下「他
の元素の化合物」ということがある。)との混合物を加
水分解してなる加水分解物からなる。すなわち他の元素
の化合物を共存させてチタンハロゲン化物の加水分解を
行うことにより得られる。
【0034】チタンハロゲン化物の加水分解時に共存さ
せてもよい他の元素の化合物としては、ベリリウム、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、
スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロ
ム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニ
ウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、
銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、
ゲルマニウム、スズ、アンチモンおよびリン(以下これ
らの元素を「他の元素」という。)からなる群より選ば
れる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の
前駆体が挙げられる。上記他の元素の化合物としては、
例えば、水酸化物などが挙げられる。この化合物の前駆
体としては、例えば塩化マグネシウムなどの塩化物が挙
げられる。
【0035】これらの他の元素の化合物は、1種単独で
または2種以上組み合わせて用いることができる。チタ
ンハロゲン化物と、他の元素の化合物との混合物を加水
分解する方法としては特に限定されず、例えば他の元
素の化合物が溶解または懸濁した水中にチタンハロゲン
化物を添加する方法、水中にチタンハロゲン化物と他
の元素の化合物との混合物を添加する方法、チタンハ
ロゲン化物と他の元素の化合物との混合物中に水を添加
する方法、チタンハロゲン化物中に他の元素の化合物
が溶解または懸濁した水を添加する方法、他の元素の
化合物が溶解または懸濁した水中にチタンハロゲン化物
の蒸気を含んだガスを通じる方法、水中にチタンハロ
ゲン化物の蒸気および他の元素の化合物の蒸気を含んだ
ガスを通じる方法、チタンハロゲン化物と他の元素の
化合物との混合物中に水蒸気を含んだガスを通じる方
法、チタンハロゲン化物中に水蒸気と他の元素の化合
物の蒸気を含んだガスを通じる方法、チタンハロゲン
化物を含んだガスと他の元素の化合物の蒸気を含んだガ
スと水蒸気を含んだガスを接触させる方法などが挙げら
れる。
【0036】加水分解の際には、チタンハロゲン化物中
のチタン(Ti)と、他の元素の化合物中の他の元素
(E)とのモル比(E/Ti)は、1/50〜50/1
の範囲であることが望ましい。また加水分解を行う温度
は、通常100℃以下、好ましくは0〜70℃の範囲で
あることが好ましい。
【0037】チタンハロゲン化物または、チタンハロゲ
ン化物と他の元素の化合物との混合物を加水分解する際
には、チタンハロゲン化物の加水分解により発生するハ
ロゲン化水素によって液性が酸性を呈する。この酸性に
よって加水分解が完結しないことがあるので塩基を添加
して中和してもよい。ここで用いられる塩基としては、
アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化マグネシウムなどの元素の周期表第1、2族元素の
水酸化物、あるいは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの元素の周期
表第1、2族元素の炭酸(水素)化合物、尿素、塩基性
有機化合物が挙げられる。中和の終点はpHが4以上が
好ましく、また中和は、70℃以下で行うことが好まし
い。
【0038】上記加水分解により得られる加水分解物
は、この段階ではオルソチタン酸とも呼ばれる含水水酸
化物のゲルまたは他の元素を含む含水複合水酸化物ゲル
である。この含水水酸化物ゲルまたは含水複合水酸化物
ゲルは、このまま重縮合触媒として用いることができる
が、脱水乾燥して固体状の加水分解物(固体状含チタン
化合物)とすることが好ましい。
【0039】加水分解物の乾燥は常圧または減圧下、固
相状態または水よりも高沸点の液相に懸濁した状態で行
うことができ、乾燥温度は特に限定されないが、30℃
以上350℃未満であることが好ましい。なお乾燥の前
に含水水酸化物ゲルまたは含水複合水酸化物ゲルを水洗
したり、乾燥後に固体状含チタン化合物を水洗すること
によって水溶性の成分を除去してもよい。また乾燥は速
やかに行うことが好ましい。
【0040】このようにして得られた固体状含チタン化
合物は、その組成は共存させる他の元素の有無や量、水
洗の有無、乾燥方法、乾燥の程度によって異なるが、水
酸基(OH)とチタン(Ti)とのモル比(OH/T
i)が通常0.09を超えて4未満、好ましくは0.1
〜3、より好ましくは0.1〜2の範囲にあることが重
縮合活性の点で望ましい。水酸基とチタンとのモル比
は、付着水分および加熱脱離水分の測定により求めるこ
とができる。
【0041】水酸基とチタンとのモル比は、具体的には
以下のようにして求める。固体状含チタン化合物中の水
酸基含量を求めるには、まずカールフィッシャー水分計
により付着水分量を測定する。次に、熱重量分析により
600℃まで加熱することによる加熱減量を測定する。
600℃まで加熱することにより付着水分が脱離し、水
酸基は水として脱離するものと考えられるため、加熱減
量から付着水分量を差し引いた値より水酸基含有量を求
める。固体状含チタン化合物中のチタン含有量は、高周
波プラズマ発光分析装置(ICP分析)により求める。
上記チタン含有量と水酸基含有量とからOH/Ti比を
求める。
【0042】より具体的には、例えば調製時に中和剤と
してアンモニアを使用した固体状含チタン化合物であっ
て、固体状含チタン化合物中のチタン含有量が46重量
%であり、付着水分量が6.73重量%であり、600
℃までの加熱減量が9.67重量%であり、窒素含量が
1.3重量%であり、塩素含量が14ppmである場合
OH/Ti比は以下のように計算する。なお、窒素含量
は微量全窒素分析装置(化学発光法)で、塩素含量はク
ロマトグラフィーで分析する。
【0043】固体状含チタン化合物100g中のチタン
のモル量は、チタン含有量(46重量%)とチタンの原
子量(47.88)より、46÷47.88=0.96
07と計算される。
【0044】また固体状含チタン化合物中の窒素および
塩素はそれぞれアンモニア、塩化水素として脱離するた
め、加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求められ
る。 9.67÷(1.3×(17/14))−(0.0014×(36.5/35.
5))=8.090 ここで、9.67は固体状含チタン化合物の600℃までの加
熱減量、1.3×(17/14)は窒素含量のアンモニア換算値、0.0
014×(36.5/35.5)は塩素含量の塩化水素換算値であ
る。
【0045】上記計算結果と付着水分量の測定値から水
酸基由来の加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求
められる。 8.090−6.73=1.360 これより固体状含チタン化合物100g中に含まれる水
酸基のモル量は以下のように求められる。
【0046】(1.360/18)×2=0.1511 以上より、固体状含チタン化合物中のチタン含有量と水
酸基含有量とのモル比(OH/Ti比)が求められる。 0.1511÷0.9607=0.157
【0047】この固体状含チタン化合物は、重縮合反応
が行われる温度、例えば約280℃においても水酸基が
残留する。また固体状含チタン化合物が他の元素を含む
場合は、該化合物中のチタン(Ti)と、他の元素
(E)とのモル比(E/Ti)が、1/50〜50/
1、好ましくは1/40〜40/1、さらに好ましくは
1/30〜30/1であることが好ましい。
【0048】含水水酸化物ゲル、含水複合水酸化物ゲル
または固体状含チタン化合物は、塩素含量が通常0〜1
0000ppm、好ましくは0〜100ppmである。
この重縮合触媒(I)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族
ジオールとの混合物の重量に対して、重縮合触媒(I)
中の金属原子換算で、通常0.0005〜0.2重量
%、好ましくは0.001〜0.05重量%の範囲とな
る量で用いられる。重縮合触媒の使用量が上記範囲にあ
ると、重縮合時間の短縮効果に優れる。
【0049】重縮合触媒(I)は、エステル化反応工程
において反応器に添加することもできるし、液相重縮合
反応工程の第1段目の反応器に添加することもできる。
本発明で用いられる重縮合触媒(III)は、上記重縮合
触媒(I)または(II)と、周期表上のIIA族、IIIB
族、マンガン、コバルト、亜鉛から選ばれる少なくとも
1種の元素の化合物からなる助触媒成分からなる。
【0050】周期表上のIIA族元素としては、ベリリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウムを挙げることができる。IIIB族元素としては、ホ
ウ素、アルミニウム、ガリウムを挙げることができる。
より具体的には、周期表上のIIA族、IIIB族、マンガ
ン、コバルト、亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも
1種の元素の酢酸塩などの脂肪酸塩、これらの元素の炭
酸塩、これらの元素の硫酸塩、これらの元素の硝酸塩、
塩化物などのハロゲン化物、これらの元素のアセチルア
セトナート塩、これらの元素の酸化物などが挙げられる
が、酢酸塩または炭酸塩が好ましい。
【0051】助触媒化合物としてより具体的には、アル
ミニウム化合物としては、酢酸アルミニウムなどの脂肪
酸アルミニウム塩、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウ
ム、アルミニウムのアセチルアセトナート塩などが挙げ
られ、特に酢酸アルミニウムまたは炭酸アルミニウムが
好ましい。
【0052】バリウム化合物としては、酢酸バリウムな
どの脂肪酸バリウム塩、炭酸バリウム、塩化バリウム、
バリウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特
に酢酸バリウムまたは炭酸バリウムが好ましい。
【0053】コバルト化合物としては、酢酸コバルトな
どの脂肪酸コバルト塩、炭酸コバルト、塩化コバルト、
コバルトのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特
に酢酸コバルトまたは炭酸コバルトが好ましい。
【0054】マグネシウム化合物としては、酢酸マグネ
シウムなどの脂肪酸マグネシウム塩、炭酸マグネシウ
ム、塩化マグネシウム、マグネシウムのアセチルアセト
ナート塩などが挙げられ、特に酢酸マグネシウムまたは
炭酸マグネシウムが好ましい。
【0055】マンガン化合物としては、酢酸マンガンな
どの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、
マンガンのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特
に酢酸マンガンまたは炭酸マンガンが好ましい。
【0056】ストロンチウム化合物としては、酢酸スト
ロンチウムなどの脂肪酸ストロンチウム塩、炭酸ストロ
ンチウム、塩化ストロンチウム、ストロンチウムのアセ
チルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸ストロン
チウムまたは炭酸ストロンチウムが好ましい。
【0057】亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛などの脂肪
酸亜鉛塩、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛のアセチルアセト
ナート塩などが挙げられ、特に酢酸亜鉛または炭酸亜鉛
が好ましい。
【0058】助触媒化合物としては、これらのなかでも
炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどのマグネシウ
ム化合物;炭酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカル
シウム化合物;塩化亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛化合物が
好ましい。
【0059】これらの助触媒化合物は、1種単独でまた
は2種以上組み合わせて用いることができる。このよう
な助触媒化合物は、上記重縮合触媒(I)中のチタン
と、助触媒化合物中の金属原子(M)とのモル比
〔(M)/(I)〕または上記重縮合触媒(II)中のチ
タンおよび他の元素と、助触媒化合物中の金属原子
(M)とのモル比〔(M)/(II)〕で、1/50〜5
0/1、好ましくは1/40〜40/1、より好ましく
は1/30〜30/1の範囲の量で用いられることが望
ましい。なお、リン酸塩や亜リン酸塩などのリン化合物
を使用する場合は、リン化合物に含まれる金属原子換算
である。
【0060】助触媒化合物は、エステル化反応工程にお
いて反応器に添加することもできるし、液相重縮合反応
工程の第1段目の反応器に添加することもできる。また
重縮合触媒(I)または(II)と同時に添加してもよ
く、別個に添加してもよい。
【0061】このようにして、最終重縮合反応器から得
られたポリエステルは、通常、溶融押出成形法によって
粒状(チップ状)に成形される。
【0062】このような粒状ポリエステルは、通常2.
0〜5.0mm、好ましくは2.2〜4.0mmの平均
粒径を有することが望ましい。このようにして液相重縮
合工程を経た粒状ポリエステルは、所望により固相重縮
合工程に供給される。
【0063】粒状ポリエステルは、固相重縮合を行う場
合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った
後、固相重縮合工程に供給してもよい。このような予備
結晶化工程は、粒状ポリエステルを乾燥状態で、例えば
120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度
に、1分〜4時間加熱することによって行ってもよく、
あるいは粒状ポリエステルトを水蒸気雰囲気下、水蒸気
含有不活性ガス雰囲気下または水蒸気含有空気雰囲気下
で、例えば120〜200℃の温度に1分間以上加熱す
ることによって行ってもよい。
【0064】このような粒状ポリエステルが供給される
固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、重縮合温
度が通常190〜230℃、好ましくは195〜225
℃であり、圧力が通常、1kg/cm2G〜10Torr、
好ましくは常圧ないし100Torrの条件下で、窒素ガ
ス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下
で固相重縮合反応が実施される。これらの不活性ガスの
中では窒素ガスが好ましい。
【0065】このようして得られたポリエステルの固有
粘度は、通常0.50dl/g以上、好ましくは0.5
0〜1.50dl/g、より好ましくは0.72〜1.
0dl/gであることが望ましい。このポリエステルの
密度は、通常1.37g/cm3 以上、好ましくは1.
37〜1.44g/cm3 、より好ましくは1.38〜
1.43g/cm3、さらに好ましくは1.39〜1.
42g/cm3 以上であることが望ましい。
【0066】また上記のような重縮合触媒の存在下に重
縮合して得られたポリエステルのアセトアルデヒド含有
量は、好ましくは4ppm以下、より好ましくは0.1
〜3.5ppm、特に好ましくは0.5〜3.0ppm
の範囲にあるのが望ましい。ホルムアルデヒド含有量
は、好ましくは 8ppb以下、より好ましくは0.1〜
5ppb、特に好ましくは0.5〜3ppbの範囲にあ
るのが望ましい。
【0067】(ポリエステル組成物)本発明のポリエス
テル組成物は、ポリエステルおよび2,5,7,8-テトラメチ
ル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オ
ールを含有することを特徴としている。2,5,7,8-テトラ
メチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6
-オールはポリエステル重量当たりヒドロキシル基換算
で1〜50ppm、より好ましくは 2〜20ppm、
特に好ましくは4 〜 10ppmとなるように配合す
る。上記の範囲内であると、成形品の外観を損ねること
無く効率的にアセトアルデヒド量、ホルムアルデヒド含
有量を低減することが出来るという理由で好ましい。
【0068】本発明のポリエステル組成物は、2,5,7,8-
テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロ
マン-6-オールを、ジカルボン酸又はそのエステル形成
性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体
とを重縮合させて製造する際に、重縮合が終了するまで
の任意の段階で添加することにより製造することができ
る。例えば、原料スラリー調整時、エステル化反応の任
意の段階で添加してもよく、液相重縮合反応工程の第1
段目の反応器に添加することもできる。また重縮合触媒
と同時に添加してもよく、別個に添加してもよい。
【0069】あるいは重縮合が終了したポリエステルお
よび2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチルト
リデシル)クロマン-6-オールを混合して、加熱溶融混練
することによりポリエステル組成物を製造することもで
きる。混合には、例えばタンブラーブレンダー、ヘンシ
ェルミキサー等の混合機を用いることができる。加熱溶
融混練は、押出機、射出成形機、ニーダー等を用いて行
なうことができる。またポリエステルと2,5,7,8-テトラ
メチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6
-オールを溶融混練してマスターバッチを作成してお
き、そのマスターバッチをポリエステルに適宜配合する
方法等を採用することもできる。
【0070】本発明のポリエステル組成物は、各種成形
体の素材として使用することができ、例えば溶融成形し
てボトルなどの中空成形体、シート、フィルム、繊維な
どに使用されるが、ボトルに使用することが好ましい。
ポリエステル組成物、例えばポリエチレンテレフタレー
ト組成物からボトル、シート、フィルム、繊維などを成
形する方法としては、従来公知の方法を採用することが
できる。
【0071】例えばボトル等の中空成形体を成形する場
合には、ポリエステルを溶融状態でダイより押し出して
チューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望の
形状の金型中に保持した後、空気を吹き込み、金型に着
装することにより中空成形体を製造する方法、ポリエス
テル組成物から射出成形によりプリフォームを成形し、
該プリフォームを延伸適正温度まで加熱し、次いでプリ
フォームを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込
み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方
法などがある。
【0072】フィルムまたはシートを成形する方法とし
ては、従来公知の押し出し装置および成形条件を採用
し、溶融したポリエステルをTダイ等から押し出す方法
がある。これらのフィルム、シートは公知の延伸方法に
より延伸してもよい。
【0073】繊維を成形する方法としては、溶融したポ
リエステルを紡糸口金を通して押し出す方法がある。こ
のようにして得られた繊維をさらに延伸してもよい。
【0074】得られた成形体のアセトアルデヒド含有量
は好ましくは 10ppm以下、より好ましくは4〜7
ppmの範囲にあることが望ましい。またホルムアルデ
ヒド含有量は、10ppb以下、より好ましくは4〜8
ppbの範囲にあることが望ましい。
【0075】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0076】(実施例1) 触媒の調整 1000mlのガラス製ビーカーに脱イオン水500m
lを秤取し、氷浴にて冷却した後、攪拌しながら四塩化
チタン5gを滴下した。塩化水素の発生がとまったら氷
浴より取出し、攪拌しながら25%アンモニア水を滴下
し、液のphを8にした。生成したチタン水酸化物の沈殿
を3kg/cm2の圧力で加圧ろ過によりろ過、分別した。
その後、得られたチタン水酸化物の沈殿を脱イオン水で
5回洗浄した。洗浄後の固液分離は上記と同様に3kg/
cm2の圧力で加圧ろ過により行った。洗浄後のチタン水
酸化物を70℃、10torr、18時間の減圧乾燥で水分を除
去し、固体状含チタン化合物を得た。この固体状含チタ
ン化合物をエチレングリコールに溶解し、チタン含有エ
チレングリコール触媒溶液を調整した。
【0077】ポリエステルの製造 定常運転時に33500重量部の反応液が停留する反応
器に、高純度テレフタル酸とエチレングリコールとを混
合して調整されたスラリーを連続的に供給し、攪拌下、
窒素雰囲気で、260℃、0.9kg/cm2-Gの条件下でエ
ステル化反応を行った。高純度テレフタル酸とエチレン
グリコールとをそれぞれ6458重量部/時、2615
重量部/時の割合で混合することにより調整した。エス
テル化反応では、水とエチレングリコールとの混合液が
留去された。エステル化反応物(低次縮合物)は、平均滞
留時間が3.5時間となるように制御して連続的に系外
に抜き出した。上記で得られたエチレングリコールとテ
レフタル酸との低次重縮合物の数平均分子量は600〜
1300(3〜5量体)であった。
【0078】こうして得られた低次縮合物に、チタン含
有エチレングリコール触媒溶液を添加し285℃、1torrの
条件で液相重縮合反応を行った。チタン含有エチレング
リコールは、低次縮合物中のテレフタル酸単位に対して
チタン原子換算で0.021モル%となる量で添加した。得
られた非晶質のポリエチレンテレフタレートの固有粘度
が0.65dl/gに達するまでに要した時間は50分であ
った。さらにこのポリエチレンテレフタレート樹脂をペ
レット形状のまま、210℃、循環窒素ガスの存在かで固
相重縮合を行った。得られたポリエチレンテレフタレー
トの固有粘度は0.83dl/gであった。また、アセトア
ルデヒド含有量は1.5 ppm、ホルムアルデヒド含
有量は1ppbであった。
【0079】ボトルの成形 得られたポリエチレンテレフタレートは、除湿エア乾燥
機を用いて170℃、4時間乾燥した。乾燥後の樹脂中の
水分量は40ppm以下であった。乾燥したポリエチレン
テレフタレートを日精ASB機械株式会社製ASB-50を用い
て、シリンタ゛ー設定温度265〜275℃、成形サイクル2
6秒前後で成形、ボトルを得た。2,5,7,8-テトラメチル
-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オー
ルは、化合物中のヒドロキシル基換算で樹脂重量あたり
1ppmとなる量を射出成形工程にて添加した。得られた
ボトルについて、アセトアルデヒド含有量(AA)およ
びホルムアルデヒド(FA)含有量を以下の方法で測定
した。結果を表1に示す。
【0080】(アセトアルデヒド量の測定)試料2.0g
を秤量し、フリーザーミルを用いて冷凍粉砕する。粉砕
試料は窒素置換したバイアル瓶に投入、さらに内部標準
物質(アセトン)と水を入れて密栓する。バイアル瓶は1
20±2℃の乾燥機で1時間加熱した後、上澄み液をガ
スクロマトグラフィーに注入し測定した。(ホルムアル
デヒド量の測定)試料1.0gを秤量し、フリーザーミルを
用いて冷凍粉砕する。粉砕試料はバイアル瓶に投入、さ
らに水10mlを添加後、超音波照射しアルデヒドの抽出を
行った。その後、NaCl 3gとペンタフルオロベンジルア
ミン 1000ppm水溶液を3ml添加、60℃1時間加熱し、ア
ルデヒド類の誘導体化を行った。生成したホルムアルデ
ヒド誘導体をヘッドスペースガスクロマトグラフィーマ
ススペクトルに注入し測定した。
【0081】(実施例2)2,5,7,8-テトラメチル-2(4',
8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールの化
合物中のヒドロキシル基換算で樹脂重量あたり4ppmとな
るよう添加した以外は実施例1と同様にしてポリエチレ
ンテレフタレートを得、さらにボトルを成形した。得ら
れたボトルについて、アセトアルデヒド含有量、ホルム
アルデヒド含有量を実施例1と同様の方法で測定した。
結果を(表1)に示す。
【0082】(実施例3)2,5,7,8-テトラメチル-2(4',
8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールの化
合物中のヒドロキシル基換算で樹脂重量あたり10ppm
となるよう添加した以外は実施例1と同様にしてポリエ
チレンテレフタレートを得、さらにボトルを成形した。
得られたボトルについて、アセトアルデヒド含有量、ホ
ルムアルデヒド含有量を実施例1と同様の方法で測定し
た。結果を(表1)に示す。
【0083】(比較例1)2,5,7,8-テトラメチル-2(4',
8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールに代
えて、テトラキス[メチレン-3 (3,5-tert-フ゛チル-4-ヒト゛ロキシフェニルフ゜ロヒ
゜オネート] メタンを用い、化合物中のヒドロキシル基換算
で樹脂重量あたり4ppmとなるよう添加した以外は実施
例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得、さ
らにボトルを成形した。得られたボトルについて、アセ
トアルデヒド含有量、ホルムアルデヒド含有量を実施例
1と同様の方法で測定した。結果を(表1)に示す。
【0084】(比較例2)2,5,7,8-テトラメチル-2(4',
8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールに代
えて、テトラキス[メチレン-3 (3,5-tert-フ゛チル-4-ヒト゛ロキシフェニルフ゜ロヒ
゜オネート] メタンを用い、化合物中のヒドロキシル基換算
で樹脂重量あたり10ppmとなるよう添加した以外は実
施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得、
さらにボトルを成形した。得られたボトルについて、ア
セトアルデヒド含有量、ホルムアルデヒド含有量を実施
例1と同様の方法で測定した。結果を(表1)に示す。
【0085】(比較例3)2,5,7,8-テトラメチル-2(4',
8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールを添
加しない以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレ
フタレートを得、さらにボトルを成形した。得られたボ
トルについて、アセトアルデヒド含有量、ホルムアルデ
ヒド含有量を実施例1と同様の方法で測定した。結果を
(表1)に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物は成形体に
成形する際にアセトアルデヒドおよびホルムアルデヒド
の含有量の増加が著しく抑制される。例えばこのポリエ
ステル組成物からボトルを成形した場合には、該ボトル
に充填される内容物の味、香りを損ねることが少ない。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA01 BA18 FA02 FA03 4F071 AA44 AC19 BB06 BB07 BB13 BC01 BC04 4J002 CF041 CF061 CF071 CF081 EL096 FD206 GG01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘
    導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体と
    を、チタン系触媒の存在下に重縮合させることにより得
    られるポリエステルおよび2,5,7,8-テトラメチル-2(4',
    8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールを含
    有することを特徴とするポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】 2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-ト
    リメチルトリデシル)クロマン-6-オールをポリエステル
    重量当たりヒドロキシル基換算で1〜50ppmを含有
    することを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成
    物。
  3. 【請求項3】 チタン系触媒が下記(I)〜(III)のい
    ずれかの触媒であることを特徴とする請求項1に記載の
    ポリエステル組成物。 (I)チタンハロゲン化物の加水分解により得られるチ
    タン化合物からなる重縮合触媒。 (II)チタンハロゲン化物の加水分解の際にチタン以外
    の他の元素から選ばれる少なくとも一種の元素の化合物
    またはこの化合物の前駆体を共存させて得られる含チタ
    ン化合物からなる重縮合触媒。 (III)(I)または(II)の触媒と、周期表上のIIA
    族、IIIB族、マンガン、コバルト、亜鉛から選ばれる
    元素の少なくとも1種の化合物とからなる重縮合触媒。
  4. 【請求項4】 ポリエステルが芳香族ポリエステルであ
    ることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成
    物。
  5. 【請求項5】 芳香族ポリエステルがポリエチレンテレ
    フタレートであることを特徴とする請求項4に記載のポ
    リエステル組成物。
  6. 【請求項6】 ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘
    導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを
    重縮合させて製造する際に、重縮合が終了するまでの任
    意の段階で2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-トリメ
    チルトリデシル)クロマン-6-オールを添加することを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル
    組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 重縮合後のポリエステルおよび2,5,7,8-
    テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロ
    マン-6-オールを混合して溶融混練することを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル組成物
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエ
    ステル組成物から成形されることを特徴とする中空成形
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004107383A (ja) * 2002-09-13 2004-04-08 Mitsui Chemicals Inc ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂組成物およびその用途
WO2007123240A1 (ja) * 2006-04-25 2007-11-01 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. 収納飲食品の香味保持性に優れるポリエステル樹脂容器及びその製造方法

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