JP2003129583A - 梁の接続隅部における気密構造 - Google Patents

梁の接続隅部における気密構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 住宅等の梁の接続隅部における気密性を確保
し、かつ、施工が容易な、梁の接続隅部の気密構造を提
供する。 【解決手段】 本気密構造は、梁1aと梁1bとが接続
した出隅部Aに、気密カバー10を配設し、梁1a、1
bの屋内側に気密シート4を、該気密カバー10との重
なり部分をもつように配設したものである。これによ
り、梁の接続隅部における気密性を確保でき、また、そ
の施工を容易なものとできる。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の建築物の
気密構造、特に梁の接続隅部における気密構造に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】近年、住宅には、計画的な換気による住
宅の快適性の向上や、断熱性の向上による省エネルギー
化を図るために、住宅の気密性が求められるようになっ
てきている。一般に、気密住宅とは、気密性能を表す相
当隙間面積が1平方メートル当たり5平方センチメート
ル以下のものをいい、これを達成するために、住宅の内
部空間全体を気密面で囲うように気密工法が施工され
る。 【0003】気密面の設定の方法として、1階と2階以
上のそれぞれを、独自の気密面で囲う方法と、1階と2
階以上の全体を気密面で囲う方法とがある。後者を採用
した場合には、気密工法を施工する面積が少なくなると
いう利点があるが、1階と2階の間の梁部分、特に梁の
接続隅部の気密を確保することが難しい。 【0004】現在、住宅の1階と2階との間に設けられ
る梁の気密を確保する方法として、湿式気密工法と乾式
気密工法とがある。湿式気密工法は、梁の接続隅部等に
ウレタン等の樹脂を吹き付けることにより気密性を確保
するものであるが、ウレタンを吹き付ける際に、有毒ガ
スの疑いがある塩素系ガスが発生するので、作業者の安
全を確保するために、同時進行で内装工事等を施工する
ことができない。また、ウレタンの吹付けは、大工等は
行うことができず、専門工を必要とする。これらによ
り、湿式気密工法は、施工効率が悪いという問題があっ
た。 【0005】一方、乾式気密工法では、上記問題を解決
することができるが、梁の接続隅部等は、その形状が複
雑なものであるため、気密性を確保することが困難であ
った。図7は、1階と2階(或いは2階と3階)との間
に設けられた梁の配置を示した平面図であり、図中の斜
線部は気密面を設けるべき気密ラインを示している。梁
の接続隅部には、図示するように、気密ラインの出隅部
A、入隅部B、入隅部であって梁つなぎが接続している
入隅部Cがある。出隅部Aは、図8に示すように、H型
の梁1aを勝ち側として、該梁1aに、接続端部20を
有するH型の梁1bを直交して当接し、該接続端部20
に設けられた挿通孔と梁1aに設けられた挿通孔とを挿
通するボルト21により固定したものである。 【0006】上記出隅部Aにおける従来の乾式気密工法
では、図9に示すように、厚さ約0.2ミリメートルの
ポリエチレンフィルムからなる気密シート4を、梁1a
及び梁1bの形状に沿って折り曲げて密着し、気密シー
ト4の接続部分にアルミテープ5を折り曲げて貼り付
け、密封していた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、図9に示す工
法では、気密シート4を梁の形状に沿って複雑な形状に
折り曲げ、接続隅部に貼り付ける必要があるが、梁の接
続隅部の形状は複雑であるので、その施工は容易でな
い。また、梁の接続隅部の形状に従い、適宜、現場にお
いて気密シート4の加工が必要となる。また、アルミテ
ープ5を複雑な形状に合わせて折り曲げながら貼り付け
るので、アルミテープ5に歪みや隙間が生じやすく、こ
れにより、気密性を十分に確保できないという問題があ
る。 【0008】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、住宅等の梁の接続隅部における気密性を確保
し、かつ、施工が容易な、梁の接続隅部の気密構造を提
供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本発明に係る発明は、一の梁の側面に他の梁
の端部が接続されて梁同士が直交する接続隅部における
気密構造であって、相互に直交する一の梁の側部を覆う
面及び他の梁の側部を覆う面と、該2面の上端部に形成
されて各梁の上面と密着する折曲がり部とを有する第1
の気密部材が、前記接続隅部に覆設され、シート状の第
2の気密部材が、各梁の側部を覆い、かつ、上記第1の
気密部材とそれぞれ密接するように配設されたものであ
る。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施例に
係る梁の接続隅部における気密構造を示すものである。
本気密構造は、図7に示す出隅部Aにおけるものであ
り、梁1aと梁1bとが接続した出隅部Aに、気密カバ
ー10を配設し、梁1a、1bの屋内側に気密シート4
を、該気密カバー10との重なり部分をもつように配設
したものである。 【0011】図1に示すように、本気密構造は、梁1a
と梁1bとの接続隅部に、気密カバー10を、梁1a、
1bの上面、及び断熱内壁枠8に密接するように設けて
アルミテープ5で密着し、気密シート4を、梁1a及び
梁1bの屋内側に、該気密カバー10と重なるように配
設したものである。また、梁1a、1bは、軸組7上に
設けられており、該軸組7の屋内側には断熱内壁枠8が
配設されている。さらに、梁1a、1bが有するH型溝
の屋内側の空間、及び梁1a、1bと断熱内壁枠8との
間に形成される空間には断熱材9が配置されている。 【0012】以下、本気密構造の詳細について、図2か
ら図6に基づいて説明する。図2に示すように、出隅部
Aは、図8と同様に、H型の梁1aに、接続端部20を
有するH型の梁1bを直交して当接し、該接続端部20
に設けられた挿通孔と梁1aに設けられた挿通孔とを挿
通するボルト21により固定したものであり、本気密構
造においては、まず、気密カバー10を、当該出隅部A
に配設する。 【0013】図3及び図4は、上記気密カバー10の構
成を示すものであり、該気密カバー10の平面図及び視
点Xからみた図である。図3及び図4に示すように、気
密カバー10は、梁1aの側部を覆う面と、梁1bの側
部を覆う面とが直交した板状体からなるものであり、ポ
リプロピレン製のものである。該気密カバー10の上端
部には、該二面と直交する折曲がり部10aが設けら
れ、該折曲がり部10aの下面側には両面テープ10b
が貼り付けられている。該両面テープ10bは、上記折
曲がり部10aと梁1a、1bの上面とを密着させ、気
密性を確保するためのものである。一方、気密カバー1
0の下端部は、断熱内壁枠8の表面と密接するように、
適宜、折り曲げられている。 【0014】図5は、上記気密カバー10を当該出隅部
Aに配設した状態を示すものである。図示するように、
気密カバー10の折曲がり部10aは、両面テープ10
bにより、梁1a、1bの上面と密着している。 【0015】つぎに、図6に示すように、断熱材9を、
梁1a、1bの屋内側のH型溝、及び梁1a、1bと断
熱内壁枠8との間に形成される空間に隙間なく配設す
る。該断熱材9は、グラスウール製のものであり、予め
配設すべき空間に合致するように裁断し、繊維の飛散等
を防止するために合成樹脂等の袋体に詰めておく。ま
た、気密カバー10の下端と断熱内壁枠8とをアルミテ
ープ5を用いて密着する。 【0016】最後に、図1に示すように、気密シート4
を、梁1a、1bの屋内側に、気密カバー10と重なる
ように貼り付ける。気密シート4の上端側は、外周梁1
a、1bの上方に載置される軽量気泡コンクリート板等
(図示せず)に沿って折り曲げ、下端側は、断熱内壁枠
8を覆うように貼り付ける。 【0017】このように、本実施例による梁の接続隅部
における気密構造によれば、梁1aと梁1bとの接続隅
部に、気密カバー10を、梁1a、1bの上面、及び断
熱内壁枠8に密接するように設けてアルミテープ5で密
着し、気密シート4を、梁1a及び梁1bの屋内側に、
該気密カバー10と重なるように配設したので、梁の接
続隅部における気密性を確保でき、また、その施工を容
易なものとできる。 【0018】なお、上記実施例において、気密カバー1
0は、ポリプロピレン製のものとしたが、気密性を有す
るその他の樹脂や金属等の素材のものとしても、上記実
施例と同様の効果を得ることができる。また、気密カバ
ーと梁等との密着にはアルミテープを用いることとした
が、気密性を有するその他の樹脂等のテープを用いて
も、或いは、接着剤等を用いて密着することとしても、
上記各実施例と同様の効果を得ることができる。また、
断熱材9は、グラスウールの他、ロックウールや発泡性
樹脂等の素材のものを用いてもよい。なお、断熱材9
は、屋内の保温性を確保するためのものであり、気密性
を確保するためのものではないので、断熱材9を配置し
なくとも、実施例の効果が損なわれることはない。 【0019】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
相互に直交する一の梁の側部を覆う面及び他の梁の側部
を覆う面と、該2面の上端部に形成されて各梁の上面と
密着する折曲がり部とを有する第1の気密部材が、前記
接続隅部に覆設され、シート状の第2の気密部材が、各
梁の側部を覆い、かつ、上記第1の気密部材とそれぞれ
密接するように配設されたので、梁の接続隅部における
気密性を確保することができる。また、現場で気密シー
ト等を加工する必要も減るので、気密工法の施工を容易
なものとできる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施例に係る出隅部Aにおける
気密構造の構成を示す概略斜視図である。 【図2】出隅部Aに気密カバー10を配設する位置を示
す概略斜視図である。 【図3】気密カバー10の構成を示す平面図である。 【図4】視点Xからみた気密カバー10の構成を示す図
である 【図5】出隅部Aに気密カバー10を配設した状態を示
す概略斜視図である。 【図6】出隅部Aに気密カバー10及び断熱材9を配設
した状態を示す概略斜視図である。 【図7】住宅の梁の配置を示す平面図である。 【図8】出隅部Aの構成を示す概略斜視図である。 【図9】出隅部Aにおける従来の気密構造の構成を示す
概略斜視図である。 【符号の説明】 1a、1b 梁 10 気密カバー(第1の気密部材) 10a 折曲がり部 20 接続端部 4 気密シート(第2の気密部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上谷 博 大阪市北区大淀中1丁目1番88号 積水ハ ウス株式会社内 Fターム(参考) 2E001 DD02 FA01 GA24 HA32 HA33 HB04 HD01 MA01 MA02 MA03

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 一の梁の側面に他の梁の端部が接続され
    て梁同士が直交する接続隅部における気密構造であっ
    て、 相互に直交する一の梁の側部を覆う面及び他の梁の側部
    を覆う面と、該2面の上端部に形成されて各梁の上面と
    密着する折曲がり部とを有する第1の気密部材が、前記
    接続隅部に覆設され、 シート状の第2の気密部材が、各梁の側部を覆い、か
    つ、上記第1の気密部材とそれぞれ密接するように配設
    されたものであることを特徴とする梁の接続隅部におけ
    る気密構造。
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JP2012092522A (ja) * 2010-10-25 2012-05-17 Asahi Kasei Homes Co 建物の気密構造
JP2019173392A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 大和ハウス工業株式会社 保持金物および建物の室内構造

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